FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2020/12/08/15:14:04

日経平均株価:感染者増による先行き不安から売り優勢

新型コロナウイルスの感染者増から、経済の先行きに対する不安感が高まり、景気敏感株を中心に売り優勢の展開となった。ただし、売り一巡後はワクチン供給による景気回復期待を背景にハイテク株の一角の下値では押し目買いが流入し、中ごろから下げ渋る展開となった。結局、前営業日比80円安の2万6467円と3日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:材料難から104.05円前後でこう着相場

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ104.10円近くへ値を上げた。日経平均の下げ幅縮小で、リスク回避姿勢が和らいだことも円売りにつながった。ただ、米国で新型コロナウイルスの感染者が急増し、経済活動の停滞が警戒されていることから上値を追う動きは限られた。その後は、持ち高調整などのドル売り・円買いも見られ、104.05円前後で取引された。午後に入っても、104.05円を挟んでもみ合いが続いた。英国とEUの通商交渉や米追加経済対策の行方を見極めたいとのムードが強く、積極的な売り買いは手控えられた。ユーロ/ドルは、1.21ドル台前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

10日にECB理事会が開催:量的緩和強化やユーロ高牽制が焦点

コロナ感染の再拡大などにより、コロナ対策で導入した1兆3500億ユーロ(約170兆円)の資産購入策と銀行への資金供給策について、拡大や期間延長などが焦点になっている。すでに織り込みは進んでおり、想定の範囲内となれば一旦の好材料出尽くしなどで、欧米の株安と安全逃避によるユーロ安・ドル高という調整リスクをはらむ。円相場ではドル/円でのドル小幅高、ユーロ/円でのユーロ小幅安という短期変動も想定される。一方で注目されるのは、ECBによるユーロ高への警戒度合いである。予想よりも強い警戒姿勢が示され、先行きの対策強化が示唆されると、短期調整的なユーロ安やドル高を促す。反対に想定の範囲内の警戒トーンにとどまると、短期調整を挟みつつも基本的なユーロ高・ドル安の地合いが持続すると見られている。

 

南アフリカの7-9月期国内総生産(GDP)を公表:ぬか喜びは禁物

本日最大の注目となるのが、南アの7-9月期国内総生産(GDP)になります。4-6月期が厳格なロックダウン中だったことで、前期比では50%を超える上昇が期待されています。上昇に寄与するセクターとしては鉱業・製造業・小売・卸売・電力生産などと指摘されている。しかしながら、7‐9月期は大幅な上昇を予想をしているものの、4-6月期があまりにも酷かったことと、10‐12月期についても悲観的なため、ぬか喜びをしてはいけないとの声がある。10-12月期は南アの主要貿易相手国である欧州が再ロックダウンを行っていることや、南ア国内も今週からマンデラベイでロックダウンが再び始まったことなどが理由となっている。

7-9月期南アフリカ国内総生産(GDP、予想:前期比年率52.6%/前年同期比▲7.2%)

 

EU外相会議でトルコに制裁を科すべきか検討:リラの重石

昨日のEU外相会議を終えて、ボレルEU外務・安全保障政策上級代表は制裁への言及は避けたが、『トルコを巡る状況はポジティブではない』と述べた。トルコが東地中海における権益を諦めるとは到底思えないなかで、EU加盟国のギリシャやキプロスとの対立構図は変わらないと予想される。仲介役として期待されるドイツも反トルコ陣営を抑えられるか不透明とされるなか、リラの上値を積極的に追う展開とはなり難そうである。

 

NY市場では引き続きウイルス感染拡大状況と追加経済対策に注目

昨日のNY市場では、新型ウイルス感染件数の増加が警戒感に繋がりリスク回避の動きが再び優勢となった。ホワイトハウスのパンデミックタスクホースの一医師が最悪の状況に直面する可能性を警告。米国でワクチンは早ければ10日、11日のうちに配布が開始される予定だが、量に限りがあるため国民全体に行きわたるには来春くらいと時間がかかる懸念も残る。それまでに、ウイルス感染が一段と拡大し、規制強化などで、景気が一段と落ち込む可能性が警戒されており、ドルの上値を抑えている。同時に、速やかな追加経済対策に期待が集まる。ペロシ下院議長はクリスマス前の合意に楽観的な見方を示したが、行方に注目されている。もし、何らかの合意が成立した場合、見通し改善でドル買いが再燃することになる。

 

今晩から米国国債の大規模入札実施:結果次第では波乱含み

米国債市場では前週、コロナワクチンの開発期待や米追加経済対策の進展期待などで、米10年債金利が上昇(価格は下落)となった。その中で今週は、米国の財務省による大規模な国債入札が予定されている。8日に3年債560億ドル、9日に10年債380億ドル、10日に30年債240億ドルの入札が続く。先行きの財政出動拡大や米国債の増発持続警戒などにより、入札で需要が伸び悩むと、一段の米債金利上昇へと作用する。為替相場では、全般的なドルの反発を支援する。ただし、米債金利上昇が米国の株安につながり、『リスク回避の円高』や『米債売り=ドル安』となる市場反応も注視される。

 

欧米イベント

○15:45   11月スイス失業率(季節調整前、予想:3.3%)
○16:45   10月仏貿易収支(予想:54.16億ユーロの赤字)
○16:45   10月仏経常収支
○18:30   7-9月期南アフリカ国内総生産(GDP、予想:前期比年率52.6%/前年同期比▲7.2%)
○19:00   12月独ZEW景況感指数(予想:45.5)
○19:00   12月ユーロ圏ZEW景況感指数
○19:00   7-9月期ユーロ圏GDP確定値(予想:前期比12.6%/前年比▲4.4%)
○21:00   11月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前月比0.78%)
○22:30   7-9月期米非農業部門労働生産性・改定値(予想:前期比4.9%)
○9日03:00   米財務省、3年債入札
○米大統領選、各州の投票結果の確定期限

 

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/12/07/15:11:30

日経平均株価:利益確定売りで下げ幅拡大

前週末の米国株式相場は主要株価指数が最高値を更新するなど、堅調に推移した。日経平均も寄り付きでは年初来高値を更新し、上昇してスタートしたが、その後は利益確定売りに押されてマイナス圏に沈み、下げ幅を拡大する展開となった。新型コロナウイルスの感染拡大のほか、米中対立の懸念など取り巻く環境が悪化している。週明けは海外勢の動きも鈍いため、買い手不在の中で値を消した。結局、前営業日比203円安の2万6547円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:米中対立激化を警戒したリスク回避の円買いが散見

ドル/円は、日経平均のさえない動きを眺めドル売り・円買いに押され、104.00円付近へ下落した。一部メディアが『トランプ米政権が香港情勢を巡り、少なくとも12人の中国当局者に制裁を課す準備を進めている』と報じたことで、米中対立激化を警戒したリスク回避の円買いも散見された。午後のこの流れは続き、日経平均が下げ幅を拡大すると、さらにドル売り・円買いが進んで103.95円付近まで値を下げた。ただ、米追加経済対策の行方を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルを買い戻す動きとなり、104.10円付近へ上昇した。ユーロ/ドルは、1.21ドル台前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

英国とEUの通商交渉は部分合意がメインシナリオ

英・欧州連合(EU)の移行期間は今月末で終了を迎える。英・EUの通商交渉は最終局面に入り、交渉をめぐる情報が錯綜しているが、結論はなかなか伝わってこない。残された時間は少なく、何らかの結論を出さないといけない状況でありながら、お互いに相手の譲歩を求める姿勢に変わりはない。とはいえ、『決裂』の勇気もない。結局は今月中に限定的な分野で合意に至り、残りの分野は来年に交渉を継続する『部分合意』がメインシナリオとなる。『合意なき離脱』を回避すれば、ポンドは底堅い動きが見込まれるが、市場で合意への楽観ムードが先行していることを考えると、ポンドの上値の余地は限られる。

 

12月8日に南アの7-9月期国内総生産(FDP)が発表:急回復する公算

12月8日に7-9月期国内総生産(GDP)が発表される。4-6月期の落ち込みの反動から急回復する公算が大きいものの、雇用環境のさらなる悪化や社会制限措置が長期化したことで、コロナ前水準との比較では回復緩慢となる。また、直近で複数の格付会社から格下げされるなど、財務面への懸念が残る。製造業購買担当者景気指数(PMI)の前月からの低下も悪材料視され、大きな手掛かり材料になり難い。

 

EU首脳会議ではトルコ制裁が議題:トルコリラの上値の重石

10-11日に開催される欧州連合(EU)首脳会議を控え、トルコとEU関係の行方を睨みながらの展開となる。EU首脳会議では『トルコ制裁』が議題に上がることが決まっている。ギリシャやフランスとの対立要因の1つ、東地中海におけるトルコのエネルギー資源探査に関しては、トルコが探査船を呼び戻したことが報じられた。これにより地域間の緊張が和らいだという見方は確かにある。ただし、領有権問題で長年争うギリシャや、東地中海以外でも利害が対立するフランスがそう簡単にトルコへの警戒感を緩めることはない。 特にトルコ仏の溝は広がるばかりであり、エルドアン・トルコ大統領は先週末『フランスが一刻も早くマクロン大統領から解放されることを願う』と関係をより拗らせるような発言をしている。EU議長国ドイツのメルケル首相の調整力次第ではあるが、(トルコ経済にとって重要な)欧州による対トルコ制裁への警戒感が残るなかでは、リラの上値を積極的には追うことは難しい。

 

米11月雇用統計は低調な結果

米労働省が発表した11月雇用統計で失業率は6.7%と、予想通り10月6.9%から低下し経済封鎖開始直前の3月以来の低水準まで回復した。労働参加者の減少が一因と、悲観的な見方もある。非農業部門雇用者数は前月比+24.5万人と、伸びは10月61万人から鈍化し、予想のほぼ半分にとどまった。平均時給は前月比+0.3%、前年比+4.4%と、予想+0.1%、+4.2%をそれぞれ上回った。労働参加率は61.5%と、予想外に10月61.7%から低下。不完全雇用率(U6)は12.0%と、12.1%から低下し3月来で最低となった。
11月の初旬から全米各地でウイルス感染が再拡大し規制が強化されたため企業は第2、第3の雇用削減を強いられている。

 

トランプ大統領再選の可能性残る

米大統領選挙の選挙人(538人)の獲得状況は、バイデン候補が306人(約8001万票)、トランプ大統領が232人(約7380万票)となっており、12月14日に投票が行われる。1887年に制定された『選挙人算定法』では、12月8日の開票作業の期限までに訴訟などで間に合わない場合は、改めて憲法の規定に従って州議会が定める方法で選挙人を選ぶことになっている。下院は、50州が1名ずつ選出し合計50名の投票によって行われる。共和党が26州、民主党が24州となる可能性が高く、トランプ大統領が再選される可能性は残されている。

 

イエレン米財務長官とパウエル米FRB議長のコンビはドル上値を抑制

バイデン次期大統領は、次期財務長官に労働経済学の専門家であるイエレン元米連邦準備理事会(FRB)議長を任命した。イエレン次期財務長官は、持論の『高圧経済』、すなわち、景気回復につれて雇用情勢が改善しても、社会の隅々にその恩恵が行き渡るまで、インフレ圧力がよほど強まる恐れでもない限り、引き締めへの政策転換はできるだけ待つ政策をとるならドルの上値を抑える。パウエル現FRB議長も、雇用を重視する『平均2%物価目標』により、2023年末までのゼロ金利政策の継続を示唆しており、米国の財政・金融政策がドルの上値を抑える可能性が高まりつつある。

 

欧米市場のイベント

○16:00   10月独鉱工業生産(予想:前月比1.6%/前年同月比▲4.6%)
○24:00   11月カナダIvey購買部協会景気指数
○8日05:00   10月米消費者信用残高(予想:160億ドル)

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/12/04/15:19:30

日経平均株価:ワクチンの年内供給量の半減報道を嫌気した売り優勢

早朝に米製薬大手ファイザーが開発中の新型コロナのワクチン年内供給量が当初計画の半分と伝わりワクチン普及による経済『正常化』期待が後退し投資家心理の悪化に売り優勢となった。今日の米11月雇用統計を控えた週末であることや、為替のドル/円が円高傾向となっていることが重石となり、日経平均は前場を通してマイナス圏での推移となった。結局、前営業日比58円安の2万6751円と4日ぶりに反落して終了した。

 

東京外国為替市場:本邦輸入勢の買い戻しから値を戻す展開

ドル/円は、前日の海外市場でドルが主要通貨に対して全面安となった流れを引き継ぎ、103.74円付近まで下落した。仲値に向けて本邦輸出企業のドル売り・円買いも観測された。ただ、11月8日につけた103.66円が下値目処として意識されると下げは一服した。その後は、本邦輸入勢などがドル買い・円売りに動き、103.80円台へ値を戻した。午後は、今晩の米11月雇用統計を控えた持高調整などのドル買い・円売りが入り、103.99円付近までじり高となった。低下していた米長期金利が持ち直したことも、ドル買いにつながった。ユーロ/ドルは、1.21ドル台半ばで小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

EUと英国の通商合意は依然として不透明

欧州連合(EU)と英国は3日、通商合意を目指し、夜遅くまで協議を続けた。EU当局者によると、これまでにないほど合意に近づいているというが、英政府は、打開のチャンスは薄れてきていると警告している。双方は1月に英国がEUを離脱して以降、見解の相違を克服するのに苦戦した。12月31日の離脱移行期間終了前の合意に向け、互いに譲歩を求めている。EUのバルニエ首席交渉官は4日に加盟国の代表に協議の状況について説明する予定である。バルニエ氏の交渉チームのメンバー、ステファン・デリンク氏は3日、争点となっている3つの主要問題で依然として大きな隔たりがあり、最終的な結果はなお不透明だとした。

 

南アフリカは再ロックダウン

南アの一部の地域では、予想通りウイルス感染再拡大のため再ロックダウンを始めることを昨日ラマポーザ南ア大統領が発表した。夜間の外出禁止や、アルコール販売の制限等、事前に全国コロナウイルス司令部(NCCC)が要求していた通りのものになった。

 

トルコのインフレ率上昇がリラの重石

注目された11月トルコ消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で+14.03%と市場予想の+12.60%を上回り、2019年8月以来の水準まで伸び率を拡大した。予想以上のインフレ悪化となった。エルバン・トルコ財務相は『物価を安定させ、インフレ期待を管理するために金融政策と財政政策の連携に努める』と発言したことが伝わった。また、CPIと同時に発表された11月トルコ生産者物価指数(PPI、前年同月比)が+23.11%と回+18.2%から大きく上振れしており、まだ物価安定への道は遠いことが示唆されている。エルバン財務相は金融政策を支援すると述べているが、金融当局が信頼されるまではトルコ居住者の外貨保有高は高水準が維持される。また、これまでのようにリラが上げたところでは国内からのリラ売り・外貨買いは継続されると予想される。

 

米11月ISM非製造業景況指数:成長ペース鈍化も今後の改善期待

全米のサービス業動向を示す11月ISM非製造業景況指数は55.9と、2カ月連続で低下し5月来で最低となった。ただ、活動の拡大と縮小の境目となる50は6カ月連続で上回った。サービス業は、パンデミックにより落ち込んだ今年4月、5月の2カ月を除き、過去130カ月間50を上回った。11月初旬から新型コロナウイルスが再拡大、各地で規制が強化されており、旅行、小売り、レストラン関連の業種にさらなる痛手となった。消費者の労働市場への不安も再燃し信頼感も低下していることがペース鈍化の理由と考えられる。回答者の見解はまちまちで、ほとんどの企業が慎重だった。
重要項目である新規受注は57.2と、6カ月平均60.6を下回り2カ月連続で低下。8月来で最低となった。コロナ関連のコストが上昇したため、仕入れ価格は8年ぶりの高水準に達した。11月雇用統計の発表を控え、ISM製造業の雇用が再び50を割り込み縮小となったため雇用の鈍化が警戒されたが、サービス業の雇用は51.5と10月の50.1から上昇し3カ月連続で50を上回り拡大が示されたことも、安心感に繋がった。

 

米国株式市場では11月雇用統計が公表

非農業部門雇用者数の増加幅が10月実績の63.8万人増を下回る見込みとなっている。失業率は10月の6.9%から6.8%に低下すると予想されている。非農業部門雇用者数の増加幅は来年にかけてさらに縮小し、来年末の時点では10万人程度の増加にとどまるとの見方も出ている。失業率は5%台に低下する可能性があるが、市場関係者の間からは 『新型コロナウイルスのワクチン接種が拡大し、追加経済対策が早い時期に成立しても、2020年前半に失われた雇用がすべて回復することは難しい』との声が聞かれている。そのため、11月雇用統計が市場予想をやや上回る数字でも、金利・株価見通しの引き上げにはつながらないとみられる。

 

欧米市場イベント

○16:00   10月独製造業新規受注(予想:前月比1.5%/前年同月比0.2%)
○16:45   10月仏財政収支
〇18:00   菅首相、新型コロナウイルス対応について記者会見
○18:30   11月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:52.0)
○18:30   サンダース英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○22:30   11月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化2.00万人/失業率8.9%)
○22:30   10月カナダ貿易収支(予想:30.0億カナダドルの赤字)
○22:30   10月米貿易収支(予想:648億ドルの赤字)
○22:30   11月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化46.9万人/失業率6.8%/平均時給、前月比0.1%/前年比4.3%)
○22:45   テンレイロMPC委員、ウェブセミナー
○24:00   10月米製造業新規受注(予想:前月比0.8%)
○24:00   ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○5日01:00   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○5日01:00   11月ロシア消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.6%)
○新型コロナウイルスについて協議する国連の特別会合(ニューヨーク、最終日)

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/12/03/15:21:46

日経平均株価:高値警戒感と押し目買いで方向感出ず

日経平均は反落スタート後、マイナス圏とプラス圏を行き来する方向感に欠ける値動きとなった。新型コロナのワクチン普及による経済『正常化』期待から株価上昇が続くとの楽観論から下値では押し目買いに支えられる一方で高値警戒感から利益確定売りが重石となり方向感に乏しい展開となった。結局、前営業日比8円高の2万6809円と小幅に3日続伸して終了した。11月第4週の海外投資家は4366億円と4週連続の買い越しとなった。

 

東京外国為替市場:株価にらみで104.40円台でのもみ合い相場

ドル/円は、本邦輸入勢などドル買い・円売りや日経平均の持ち直しに支えられ、104.54円付近まで上昇した。財新が発表した11月中国製造業PMIが57.8と市場予想の56.4を上回ったことも、リスク選好の円売りを誘った。しかし、米国で新型コロナウイルスの感染者が急増し、経済活動の停滞が警戒されていることから上値を追う動きは限られた。その後は、利益確定などのドル売り・円買いに押されて104.45円付近へ下落した。午後は、日経平均やアジア主要株価をにらみながら、104.40円台を中心とした狭いレンジでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、新型コロナウイルスワクチンが早期に実用化される見通しとなったことで、欧州景気の回復を期待したユーロ買い・ドル売り基調が続き、一時1.2125ドル付近まで上昇して2018年4月以来の高値をつけた。

 

欧州市場では10月ユーロ圏小売売上高

9月実績は前月比-2.0%だった。ウイルス感染拡大を抑制するための措置は全面的に解除されていないことから、経済活動のさらなる拡大は期待できない状況である。個人消費の急速な回復は期待薄とみられる。10月は反動増が見込まれているが、小売売上高の持続的な増加は期待できない。

 

英国離脱問題は最終局面へ

時間切れが迫る英EU間の将来関係協議は、10・11日の欧州首脳会議を前に今週末から来週前半にかけて何らかの政治介入があるとみる。英国ではコロナ対応を巡る1日の議会投票で保守党の離脱派議員が大量造反。来週には北アイルランドに関する離脱合意の内容を一部破棄する新たな法案審議が開始される。ジョンソン首相はこうした国内の政治情勢を睨みつつ、将来関係合意に向けた新たな妥協のタイミングを見定めようとしている。

 

南アは感染拡大でロックダウン地域で規制強化

南アフリカの一部州で実施されているロックダウンでは、全国コロナウイルス司令部(NCCC)の会議で、ホットスポットとされる地域で22時から4時の間の夜間外出禁止、アルコール販売の制限(月から木のみ)、パブや居酒屋の21時以後の営業禁止などを要請した。この会合に続き、昨日は大統領調整評議会(PCC)が開かれたが、おそらく上記の条件で一部では規制が行われることになる。

 

政治と距離を置くパルエルFRB議長:再任される環境を整えつつある

パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は相変わらず『大人の対応』を見せている。1日に議会上院が新型コロナウイルスの経済対策問題で開いた公聴会でムニューシン財務長官とともに出席したパウエル氏は、あくまで専門家の立場としての発言に終始した。政治論争から超越し続けるのは一苦労だが、それだけの価値がある目標である。パウエル氏が党派対立から距離を置くことで、FRBの行動は一つの政党や政治信条にとってではなく、経済全体の利益にとって最善なのだと投資家に確信してもらえる。実際、トランプ氏に起用されながら常に彼の『口撃』ツイートにさらされてきたパウエル氏は、中立性を保ち続け、バイデン氏から再任される環境を整えつつある。

 

FRBの全12地区で景気拡大も一部で感染増の影響も

米連邦準備制度理事会(FRB)は2日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で、経済が秋に『緩慢ないし緩やか』な回復へと加速したものの、11月は中西部や北東部で新型コロナウイルスの感染拡大によって減速も見られたとした。 ベージュブックによると、FRBの全12地区のほとんどで景気拡大が続いた。一方で4地区は『ごくわずかもしくはゼロ成長』だったと報告した他、4地区では11月上旬に経済活動のペースが鈍化したとしている。
同報告書は『企業の見通しは引き続き前向きだが、楽観論は衰退した』と指摘している。前回報告では秋の早い時期には経済成長が『小幅ないし緩慢』なペースにあるとしていた。パウエルFRB議長は2日の議会公聴会で、今後数カ月の経済見通しは厳しいものだが、その後は明るい兆しもあるとし、『来年半ばのいずれかの時点で、誰もが期待しているトンネルの終わりにある光が本当に見えてきそうな状況であり、経済が極めて良好な状態になる可能性もある』と述べた。

 

4日に米11月雇用統計が公表:労働市場の鈍化示唆を警戒

4月に大恐慌以来で最高水準に上昇後、低下基調にある。非農業部門雇用者数は+47.8万人と、6月に大恐慌以来最大の伸びを記録したのち引き続きペースが鈍化すると見られている。 いくつかの先行指標でも雇用の鈍化が示唆された。米労働省が発表する雇用統計と最も相関性が高いとされる民間部門の雇用者数を示す①ADP雇用統計の11月分は+30.7万人で、伸びは10月から拡大予想に反して鈍化し7月来で最小にとどまった。②週次失業保険申請者数は全米各地で新型ウイルスの再拡大が報告された11月初旬から再び増加に転じ、予想外に2週連続で増加している。規制が再び強化される傾向にあり、企業の業績が再び悪化。第2、第3の雇用削減を強いられる可能性が今後も警戒される。③全米の製造業活動を示すISM製造業指数の雇用は48.4と、10月53.2から再び活動の縮小を示す50割れ、8月来の低水準に落ち込んだ。④米連邦準備制度理事会(FRB)が公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)でも、ほとんど全地区が雇用の増加を報告も、ペースの鈍化を指摘した。回復は完了しておらず、企業は雇用の水準が冬季に低下することを恐れていると報告されている。

◆市場エコノミスト予想失業率:6.8(10月6.9%)非農業部門雇用者数:前月比+47.8万人(10月+63.8万人)民間部門雇用者数:前月比+55万人(10月+90.6万人)平均時給:予想:前月比+0.1%、前年比+4.2%(10月+0.1%、+4.5%) 

 

欧米市場イベント

○16:00   11月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比1.00%/前年比12.60%)
○17:50   11月仏サービス部門PMI改定値(予想:38.0)
○17:55   11月独サービス部門PMI改定値(予想:46.2)
○18:00   11月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:41.3)
○18:30   11月英サービス部門PMI改定値(予想:45.8)
○19:00   10月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比0.7%/前年比2.6%)
○21:00   7-9月期ブラジル国内総生産(GDP、予想:前年同期比▲3.5%)
○21:30   11月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:77.5万件/591.5万人)
○23:45   11月米サービス部門PMI改定値(予想:57.5)
○23:45   11月米総合PMI改定値
○24:00   11月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:56.0)
○米財務省3年、10年、30年債入札条件
○石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国の閣僚会合
○新型コロナウイルスについて協議する国連の特別会合(ニューヨーク、4日まで)

 

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2020/12/02/15:14:54

日経平均株価:ワクチンの早期実用化期待が支援材料

米国株先物が軟化したことから、日経平均は高寄りした後はさえない動きとなったものの、景気敏感株が幅広く物色されたことでTOPIXは堅調を保ち、実質的には強い基調を維持した。市場では2万7000円手前で高値警戒感が意識されたとの声があった。しかし、新型コロナウイルスのワクチンが早期に実用化されるとの期待が引き続き支援材料となった。結局、前営業日比13円高の2万6800円と小幅続伸して終了した。株式の含み損益の度合いを示す信用評価損益率は11月27日申し込み時点でマイナス12.35%と前週のマイナス12.85%からマイナス幅が0.5ポイント縮小した。改善は2週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:株価にらみで104.40円台でのもみ合い相場

ドル/円は、日経平均がプラス圏からマイナス圏へ転じると、持ち高調整などのドル売り・円買いに押されて104.23円付近まで下落した。しかし、前日の欧州市場でつけた104.19円が下値目処として意識され、下げは一服した。その後は、国内輸入企業などのドル買い・円売りに支えられ、104.45円付近へじり高となった。午後は、日経平均やアジア主要株価をにらみながら、104.40円台を中心とした狭いレンジでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、米国の低金利政策が長期化するとの観測や欧州の景気回復を期待したユーロ買い・ドル売り基調が続き、一時1.2083ドル付近まで上昇しておよそ2年7ヵ月ぶりの高値をつけた。しかし、ECB当局者によるユーロ高けん制が警戒されることから上値では利食い売りも見られ、1.2070ドル付近へ小緩んだ。

 

トルコ外貨準備高減少:民間銀行とのスワップ更新せず

トルコ中央銀行の外貨準備高が、先週時点で約50億ドル減少したとみられることが明らかになった。3人の銀行関係者が1日までに試算した。国内民間銀行との通貨スワップが更新されず、満期を迎えたことが主な理由である。毎週木曜日に公表される週次データでは、先週のトルコ中銀の純外貨準備は184億5000万ドルだった。130億ドル近辺まで減少すれば、2003年以来となる。減少分の大半は、40億ドル前後に相当するスワップを更新しなかったことによる。関係者は、国内銀の準備金に関する要件の見直しや、トルコ財務省によるユーロ債の発行により、準備金は今後数週間で80億─100億ドル増加すると予想している。トルコ中銀は準備金を強化するため、昨年から国内民間銀行とスワップ取引を行っていた。こうした非伝統的な外貨調達手段は、今年に入り外国為替市場で25%下落した自国通貨リラを下支えすることを目的としていた。ただスワップ更新を見送った決定は、中銀の政策の静かな転換点を示唆する可能性がある。さらに当局はここ数週間で、民間銀が信用を拡大し、スワップ取引を行うことを奨励する措置をいったん後退させている。

 

『メデューサ』が東地中海周辺の地政学リスクを高める

一部のギリシャメディアは今週初、『ギリシャ、キプロス、フランス、エジプト、アラブ首長国連邦(UAE)』の海軍が、東地中海において合同の軍事演習を始めたことを報じた。 ギリシャやキプロスは、同海域の領有権とエネルギー探査を巡りトルコと対立している。エジプトやUAEはリビア内戦において、トルコが後ろ盾の暫定政権と争う軍事組織を支援し、一触即発まで緊張が高まったこともあった。フランスは、欧州連合(EU)加盟国のギリシャやキプロスを当然支持し、リビア内戦でも(公式には認めていないものの)エジプトやUAEと立場が同じとされている。先のナゴルノ・カラバフ紛争でも、フランスはトルコの対応を非難している。 つまり今回の軍事演習は、対トルコを想定していると言ってもよい。『メデューサ』と名付けられた演習は6日まで続くとされている。 この軍事演習についてトルコ国防省は、『緊張を望み、対話を避け、平和を望まないということを示すものだ』との声明を出している。エルドアン・トルコ大統領が『メデューサ』の脅しに屈して、相手側に歩み寄るとは全く考えられない。逆にトルコは態度を硬化させ、東地中海周辺の地政学リスクは高まる。

 

イエレン氏のツイート:著名投資家レイ・ダリオ氏

世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーター・アソシエーツを率いる著名投資家のレイ・ダリオ氏が1日にツイッターで『新しい財務長官に就任する見通しのイエレン氏がツイッターに加わっていることをとても嬉しく思う』とつぶやいた。イエレン氏が11月30日に『アメリカンドリームを取り戻さなければなりませ。私は財務長官として、すべての人の夢を再構築するために日々努力していきます』とつぶやき、やる気をみせていたツイートを引用したもの。

イエレン氏は財務長官就任後もツイートして市場と対話するのだろうか。

 

米FRB議長と米財務長官を追加財政策を支持:上院銀行委員会で証言

パウエルFRB議長とムニューシン米財務長官は1日に上院銀行委員会で証言を行った。パウエル議長は質疑応答で、経済の回復が想定以上に早いが、1000万人が失業中で正常化には程遠いとの見方を示した。多くの小企業がリスクを抱えておりFRBは非常に強い支援を供給し続け、必要である限り全手段を利用していくことを公約した。さらに、追加財政支援が必要である可能性があると加えた。ムニューシン米財務長官も中小企業には融資でなく、支援が必要とし、議会は給与保護プログラムPaycheck Protection Program (PPP)下で追加3000億ドルを支持するよう要請した。 超党派上院が9080億ドル規模の追加経済対策案を提示したが、この案を支持する姿勢も見せている。

 

欧米市場イベント

○15:30   オア・ニュージーランド準備銀行(RBNZ)総裁、あいさつ
○16:00   10月独小売売上高指数(予想:前月比1.2%/前年比5.8%)
○16:30   11月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.1%)
○19:00   10月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.2%/前年比▲2.4%)
○19:00   10月ユーロ圏失業率(予想:8.4%)
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○未定   ポーランド中銀、政策金利発表(予想:0.10%で据え置き)
○22:15   11月ADP全米雇用報告(予想:43.0万人)
○22:30   7-9月期カナダ労働生産性指数(予想:前期比▲7.0%)
○24:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長とムニューシン米財務長官が米下院金融サービス委員会で証言
○3日00:30   EIA週間在庫統計
○3日03:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、ブリーフィング
○3日03:00   ハスケル英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○3日04:00   米地区連銀経済報告(ベージュブック)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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