FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2020/12/01/15:13:58

日経平均株価:売り方からの買い戻しで上げ幅拡大

前日の米国株式市場では利益確定売りが先行し、主要3指数は反落した。しかし、米国株先物がしっかりした動きとなっていることや、ドル/円相場が円安に振れていることが支えとなり、日経平均は堅調に推移した。売り方の買い戻しや機関投資家とみられる買いが集まり、上げ幅は一時400円を超える場面もあった。結局、前営業日比353円高の2万6787円と反転して終了した。テクニカル的には節目である、最高値からバブル後の最安値までの下げ幅に対する61.8%戻しの水準(2万6745円)を終値として初めて超えた。

 

東京外国為替市場:持ち高調整のドル買いでじわり円安

ドル/円は、本邦輸出勢などのドル売り・円買いが先行し、104.25円付近まで下落した。しかし、新型コロナウイルスワクチン開発への期待が高まっているため、下値を追う動きは限られた。その後は、日経平均株価やアジア主要株価の動向を睨みながら、104.30円台を中心としたもみ合い相場となった。午後は、短期筋などから持ち高調整などのドル買い・円売りが入り104.46円付近まで値を上げた。ユーロ/ドルは、1.19ドル台半ばで小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国では個人所得上昇も所得格差問題が大きな課題

国際通貨基金(IMF)は、中国の1人当たり所得ランキングが2025年までの4半世紀に56カ国・地域を追い抜くと予測している。中国の1人当たり国内総生産(GDP)は、購買力調整後で25年に2万5307ドルになると見込んでいる。中国の1人当たり所得は2019年1万4100ドルと1万ドルの大台を突破し、高中所得国の平均である9074ドルを上回った。2019年は192カ国・地域中71位となった。ただ、経済成長を続ける中国において、都市部と農村部、内陸部と沿海部、東部と西部等、地域間での所得格差や、都市内部での所得格差の存在が引き続き深刻な問題となっている。市場経済化、改革開放などで急速な経済発展を成し遂げたが、所得分配のバランスを崩すと同時に、都市農村間だけでなく都市内部でも所得格差をもたらした。格差問題の解決は習中国政権にとって、大きな課題である。

 

英国では来年スコットランドの独立を巡る問題

スコットランド自治政府のスタージョン首相は30日、独立を巡る新たな住民投票について、来年にも実施する可能性を排除しない構えを示した。また、英政府が住民投票の実施を阻止する場合は法的措置も辞さない姿勢を示唆した。2014年の住民投票では賛成45%、反対55%で独立は否決された。だが英政府による欧州連合(EU)離脱や新型コロナウイルス感染症対策への不満を背景に独立支持が増えている。スタージョン氏が率いるスコットランド民族党(SNP)は来年5月のスコットランド議会選で勝利するとみられている。SNPは住民投票の再実施を委任されたと訴える見込み。スタージョン氏はスカイニュースに対し、再度の住民投票を『次の議会会期の前半に』実施する考えを示し、2021年秋にも行う可能性を排除しなかった。

 

トルコの金融引き締めや制限措置強化が景気にブレーキ

好結果となった7-9月期GDPは、その6割近くを占める個人消費が前年同期比で約9.2%も増加したことが分かった。この時期には銀行が住宅や自動車購入ローン金利を引き下げ、消費喚起が促された。また、製造業も9%超、建設業は6%超拡大し、政府による景気浮揚策が功を奏した結果となった。政府が予想する通年の成長率0.3%を達成できるかは微妙だが、国際機関が予想する3.5%減から5%減の成長率は上回ってもおかしくはない結果と言える。もっとも手放しで喜べるというわけでもなく、トルコ中銀による夏以降の金融引き締め策は確実に10-12月期に影響するとみられ、景気回復にどの程度ブレーキがかかるかは今後の見極めが必要がある。また、エルドアン・トルコ大統領は昨日、新型コロナウイルス感染拡大を抑制するため、平日の夜間外出禁止令や週末のロックダウン(都市封鎖)を発表した。制限措置の強化を受けて経済活動の停滞が懸念され、リラを買う動きが鈍った。

 

ワクチンには課題があり数か月間は厳しい局面:パウエル米FRB議長

パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は30日、緩やかな景気改善ペースや、新型コロナウイルス感染者の急増を踏まえると、米国は向こう数カ月『厳しい』局面を迎えるとの見解を示した。新型コロナのワクチンを巡っては依然として生産や大量配布の面で課題があり、不透明な経済状況が続くと指摘した。議会公聴会での証言準備原稿で『米国や海外での新型コロナウイルスの新規感染者の増加は懸念事項であり、今後数カ月は厳しい局面になる可能性がある』とした。『ワクチンに関する最近のニュースは中期的に非常に前向きだ。しかし、現時点ではタイミングや生産、配布、異なるグループでの有効性の差など大きな課題と不透明感がなお残っている。これらの進展状況が経済に影響を与える時期や規模について自信を持って判断するのは依然として困難だ』と述べた。

 

米国市場では11月ISM製造業景況指数が公表

先行指標となるマークイット11月製造業PMIは56.7で10月実績の53.4を大幅に上回った。ニューヨーク、フィラデルフィア連銀の景気指数はまちまちとなった。11月については景気拡大のペースが多少鈍るとの見方で新規受注が10月実績を下回ると予想されており、全体的にも11月実績をやや下回る見込みである。

 

欧米市場イベント

○15:45   7-9月期スイス国内総生産(GDP、予想:前期比5.8%/前年比▲3.3%)
○16:00   11月トルコ製造業購買担当者景気指数(PMI)
○16:00   11月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.3%)
○17:30   11月スイスSVME購買部協会景気指数(予想:51.3)
○17:50   11月仏製造業PMI改定値(予想:49.1)
○17:55   11月独雇用統計(予想:失業率6.3%/失業者数変化8000人)
○17:55   11月独製造業PMI改定値(予想:57.9)
○18:00   11月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:53.6)
○18:30   11月英製造業PMI改定値(予想:55.2)
○19:00   11月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比▲0.2%)
○19:00   11月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比0.2%)
○22:30   9月カナダGDP(予想:前月比0.9%/前年比▲2.9%)
       7-9月期カナダGDP(予想:前期比47.9%)
○23:45   11月米製造業PMI改定値(予想:56.7)
○24:00   11月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:57.9)
○24:00   10月米建設支出(予想:前月比0.8%)
○24:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長とムニューシン米財務長官が米上院銀行委員会で証言
○2日02:00   ブレイナードFRB理事、講演
○2日02:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○2日03:00   11月ブラジル貿易収支(予想:47.90億ドルの黒字)
○2日03:15   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○2日05:00   エバンズ米シカゴ連銀総裁、あいさつ
○欧州連合(EU)財務相理事会(テレビ会議)

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/11/30/15:13:10

日経平均株価:高値警戒感から利益確定売り優勢

前週末の米国株高を受け、好地合いを引き継ぐ形で朝方は堅調にスタートしたが、その後は月末が意識される形で利益確定売りが先行し、下げ幅が拡大する場面もあった。ただ、押し目買い意欲も依然として強く、一進一退の動きが続いた。しかし、NYダウ先物が下げ幅を200ドル超へ広げ海外短期筋が先物に継続的な売りを出して下げ幅を広げた。結局、前週末比211円安の2万6433円と5日ぶりに反落した。

 

東京外国為替市場:株安を受けてリスク回避の円買いがやや優勢

ドル/円は、本邦輸出勢から月末に絡むドル売り・円買いフローが持ち込まれ、104.85円付近へ下落した。日経平均株価が高値警戒感から伸び悩み、プラス圏から一時マイナス圏へ転じたことも、リスク回避の円買いを誘った。ただ、103.65-70円付近がテクニカル的な下値のサポートとして意識されると、下げは一服した。その後、値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、103.90円台へ値を切り返した。午後は、日経平均株価をにらみながら、103.90円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、1.1970ドルを挟んで小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

トルコの今週のポイント

本日発表される7-9月期国内総生産(GDP、前年比)では前回9.9%減からの回復度合いを、10月貿易収支では赤字の縮小幅を見極めることになる。トルコ政権側からは楽観的な経済見通しが聞こえてくることが多く、市場参加者としては現状を把握したいところである。貿易収支については、輸出入の増減度合いが1つのポイントになる。12月1日の11月製造業PMIでは、新型コロナウイルス感染拡大に歯止めをかけられないなかでトルコ製造業の耐久度を探ることになる。 最も重要なのが3日に発表される11月インフレ指標である。消費者物価指数(CPI、前年比)は過去4カ月連続で11%台が続いていた。今回は6月以来の12%台まで上昇が見込まれており、6月の12.62%が1つの目安となる。また、10月分では前年比18.2%と年初から2倍も伸び率を拡大した生産者物価指数(PPI)も注目となる。

●トルコの重要イベント

30日  7-9月期トルコGDP(前年比、前回 -9.9%)
30日 10月トルコ貿易収支(前回 48.3億ドルの赤字)
12月1日 11月トルコ製造業購買担当者景気指数(PMI、前回 53.9) 
12月3日 11月トルコCPI(前回 前月比2.13%、前年同月比11.89%)

 

メキシコ政権は積極的にインフラ投資計画を発表

ロペスオブラドール政権の民間投資への消極的な態度が国内外から非難されていたが、先月に約138億ドルとなるインフラ投資計画を発表して以降、国内経済界とは和解し、ロペスオブラドール大統領の支持率も上がるなど、メキシコ政権に対する信用度が上がっている。そのようななかで、関係者筋の話ではどうやらインフラ投資計画の第2弾が近々発表されるとのことである。規模は100億ドルとなり、一つにはエネルギー部門プロジェクトが含まれており、米国企業センプラ・エナジー社がエンセナダ北西部の港近くに20億ドルの液化天然ガス輸出プラントを建設する。経済調整会議(CCE)のサラザール代表も来週にもパッケージの発表があるかもとの匂わし発言をしている。来年2月には第3弾の計画もあるといい、これまで民間企業に対する冷ややかな対応が問題視されていたメキシコ政府がここへきて下馬評を覆す状況となっており、3年目を迎えて落ち込む国内経済を立て直すことができるのか注目である。

 

OPECプラスは実需低迷で原油減産を延長か

石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟の産油国の連合体『OPECプラス』が、今年末までの予定で実施している日量770万バレルの原油協調減産に関し、2~3カ月延長する案を検討していることが27日明らかになった。原油価格は上昇基調にあるが、新型コロナウイルスの感染再拡大で実需が低迷しており、2021年1月に予定していた生産量回復を先送りする。これまで減産目標を達成できなかった参加国に対し、今後埋め合わせるよう求めることも検討している。ロイター通信によると、29日に非公式会合を開いて協議し、30日~12月1日にオンラインで開く閣僚級会合で21年1月以降の方針を正式に決める。欧米などで新型コロナワクチンの接種が近く始まるとの見方が強まって原油価格が上昇した。報道によれば、アラブ首長国連邦(UAE)などが増産に転じたい意向である。しかし、サウジアラビアは時期尚早だとして、UAEなどを説得している。

 

米国の政権移行プロセスの開始がリスク選好要因

NYダウが史上初の3万ドル大台に乗せた11月24日、その起爆剤となった好材料として、①新型コロナ予防ワクチン開発進展と経済『正常化』、②バイデン次期政権の財務長官にイエレンFRB前議長の任命、③トランプ大統領が政権移行を勧告し政情不安が払しょくされたなどが指摘される。もっとも、イエレン前議長は確かにコミュニケーション能力が高く、労働経済の専門家として深刻な雇用問題にとって適任者であり、積極財政にも前向きな『プロビジネス』のハト派として市場フレンドリーだが、FRB議長として突出して優れた手腕を発揮した訳ではない。さらに、ワクチン開発進展も臨床試験で想定外の効果が出ているのは朗報だが、接種は2度にわたり広く国民に行き渡るのは来年5月頃からという予想が現実的である。つまりNYダウの3万ドルへの号砲となったのは、ワクチンでもイエレン財務長官でもなく、圧倒的に政権移行プロセスの開始である。

 

欧米イベント

○15:00   10月南アフリカマネーサプライM3(予想:前年比9.60%)
○16:00   10月トルコ貿易収支(予想:24.0億ドルの赤字)
○16:00   7-9月期トルコ国内総生産(GDP、予想:前年比4.5%)
○16:30   10月スイス小売売上高
○17:00   11月スイスKOF景気先行指数(予想:101.5)
○18:30   10月英消費者信用残高(予想:0億ポンド)
○18:30   10月英マネーサプライM4
○19:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○19:00   外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○21:00   10月南アフリカ貿易収支(予想:263億ランドの黒字)
○22:00   11月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比▲0.7%/前年比▲0.2%)
○22:30   7-9月期カナダ経常収支
○22:30   10月カナダ住宅建設許可件数
○22:30   10月カナダ鉱工業製品価格
○22:30   10月カナダ原料価格指数
○23:30   テンレイロ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○23:45   11月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:59.0)
○24:00   10月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比1.0%/前年比なし)
○ユーロ圏財務相会合(ブリュッセル)
○石油輸出国機構(OPEC)会議
○インド(シーク教ナナック生誕日)、休場

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/11/27/15:18:42

日経平均株価:押し目買い根強く4日続伸

前日の米国株式市場が祝日で休場となるなど、手掛かり材料が乏しい中、朝方は小幅安でスタートした。その後、プラス圏で推移し上げ幅を拡大する場面もあったが、利益確定売りに押されやすい展開となった。前場は小反落で取引を終えたが、押し目買いが入り再びプラス圏となった。結局、前営業日比107円高の2万6644円と4日続伸して終了した。終値で1991年4月以来およそ29年半ぶりの高値を連日で更新した。

 

東京外国為替市場:米長期金利低下でドル押し下げ

ドル/円は、本邦輸出勢から月末に絡むドル売り・円買いが持ち込まれ、104.00円付近まで下落した。米長期金利が低下したことも、ドルの押し下げにつながった。午後に入っても軟調地合いは続き、104円を割り込んだ103.91円付近までじり安となった。FRBの低金利政策が長期化するとの観測も、ドル売り要因として意識された。国内メディアが『政府は本日の夜に新型コロナウイルス感染症対策本部を首相官邸で開催する』と報じたものの、市場の反応は限られた。ユーロ/ドルは、週末を控えた持高調整などのユーロ買い・ドル売りが入り1.1910ドル台から1.1928ドル付近まで値を上げた。

 

トヨタ自動車は10月の世界販売は2ヵ月連続過去最高

トヨタ自動車が発表した10月の生産・販売・輸出実績(トヨタ・レクサス車)によると、世界販売台数は前年同月比8.3%増の84万7713台だった。米国や中国で販売好調が続いた。2ヵ月連続で前年実績を上回り、9月に続き10月も単月としての過去最高となった。世界生産も9.0%増の84万5107台と2ヵ月連続の前年実績を上回り、10月として過去最高だった。

 

Go Toキャンペーンで物価が下押し

政府の需要喚起策『Go Toキャンペーン』事業が、物価動向を翻弄している。新型コロナウイルス感染拡大の影響で需要が減退しているところに、同キャンペーンによる割引が重なり、物価を下押ししている。エネルギー価格の下落なども一因とはいえ、直近では『Go To』だけで物価全体を0.6ポイント程度押し下げた。11月のと東京都区部・消費者物価指数(CPI、中旬速報値)は、生鮮食品を除く総合が前年同月比0.7%下落した。下落率は10月の0.5%から拡大し2012年5月以来8年ぶりの大きさだった。11月の都区部CPIでは宿泊率が34.4%下落した。

 

日銀の好調な中間決算:総資産残高は過去最高

日銀が26日公表した2020年9月中間決算は、企業の純利益に相当する当期剰余金が9288億円(前年同期は9214億円)と過去最高となった。大規模金融緩和の一環として買い入れている上場投資信託(ETF)の分配金が増加したことが押し上げた。9月末の総資産残高は前年同月末比21.1%増の690兆269億円と過去最高を更新した。国債の保有額に加え、新型コロナウイルス対応策として金融機関向けの低利貸し出しが増え、総資産は一段と膨らんだ。

 

英国とEUの通商交渉は本当に合意できるのか?

スナク英財務相は26日、欧州連合(EU)との通商交渉で合意は可能だが、英国は犠牲を払ってでも署名するつもりはないと述べた。英国の完全なEU離脱まであと5週間となり、双方は通商合意にこぎつけようとしている。スナク財務相は英メディアのスカイで『あらゆる側の建設的な態度と善意でわれわれは合意できる。合意の輪郭ははっきりしている』と述べた。またLBCラジオで『合意することが望ましいが、いかなる犠牲を払ってでも合意を求めるべきではない。それは正しくない』と述べた。
あるEU高官は、合意が可能としながらも週内は難しいとの見方を示した。ある外交筋は合意は来週と予想している。

 

ビットコイン急落:流動性低下が直撃

インターネット上の代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインの最高値更新はお預けとなった。米国が感謝祭の祝日で市場参加者が激減した26日、ドル建ての価格は一気に3,000ドルも下げた。情報サイトのコインデスクによると、日本時間27日時点で直近24時間に付けたビットコインの安値は1ビットコイン=1万6242ドル。急落前のピークは1万9400ドル台だった。過去最高値の1万9600ドル台まであとわずかのところで力尽きた。下げのきっかけは一部の投機筋によるまとまった規模の利益確定売りだった。従来の主な買い手だった長期投資家の多くは米感謝祭で休暇に入っていた。ドルや円など法定通貨の市場では現在、小刻みに売り買いを繰り返す高頻度取引業者(HFT)が相場の変動を抑えるが、暗号資産ではまだHFTの数は少ない。売りを吸収する買い注文があらわれぬうちに、証拠金を差し入れて運用額を増やす『レバレッジ』に傾いていた個人が損失覚悟の売りに追い込まれた。

 

欧米市場イベント

○16:00   10月独輸入物価指数(予想:前月比0.1%/前年比▲4.1%)
○16:45   11月仏CPI速報値(予想:前月比横ばい/前年比0.1%)
○16:45   10月仏消費支出(予想:前月比3.5%)
○16:45   10月仏卸売物価指数(PPI)
○16:45   7-9月期仏国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比18.2%)
○17:30   7-9月期スウェーデンGDP(予想:前期比4.4%)
○18:00   11月ノルウェー失業率(予想:4.0%)
○18:30   パネッタ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○19:00   シュナーベルECB専務理事、講演
○19:00   11月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:86.5)
○19:00   11月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲17.6)
○21:00   7-9月期インドGDP(予想:前年同期比▲8.8%)
○21:00   10月メキシコ貿易収支(予想:35.75億ドルの黒字)
○感謝祭翌日で米債券・株式・商品市場は短縮取引

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/11/26/15:14:20

日経平均株価:押し目買い強く切り返す動き

高値警戒感が強く、朝方は安寄りして始まったものの、押し目買い意欲が強く切り返す動きとなった。ただ、個別では上値を追い続ける銘柄がある一方、主力銘柄でも利益確定売りに押される銘柄もあるなど、物色動向はまちまちとなった。市場では、悪材料については読み切れない中で、脱コロナと呼べる銘柄群が物色された。テーマとしては環境関連が注目される一方、約4割の企業が上方修正した好決算も見直された。結局、前営業日比240円高の2万6537円と3日続伸となった。信用評価損率は20日申し込み時点でマイナス12.85%と、前の週(マイナス12.4%)からマイナス幅が0.45ポイント悪化となり、悪化は3週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:FRBの低金利政策の長期化思惑からドル上値重い

ドル/円は、本邦輸出勢から月末に絡むドル売り・円買いが通常より多く持ち込まれたことで、104.26円付近まで下落した。25日に公表された米FOMC議事要旨では、次回会合で量的緩和策の拡充を検討する方針が明らかになった。FRBの低金利政策は長期化するとの思惑から、持ち高調整のドル売り・円買いも散見された。午後は、日経平均株価やアジア主要株価の動向を睨みながら、104.30円を挟んでもみ合いとなった。本日は感謝祭で米国市場が休場となるため、様子見気分も強かった。ユーロ/ドルは、1.1925ドルを挟んでこう着相場となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

懐かしい『マラドーナ理論』:レジェンドの訃報で思い出す

昨日はサッカー界のレジェンドであるディエゴマラドーナの訃報が伝えられたが、金融市場ではキング元BOE総裁が命名した『マラドーナ理論』が有名である。 中央銀行が目指すインフレ率を公開すれば、市場は中央銀行の今後のアクションを予想して金利形成を行い、中央銀行が実際にアクションを取る前に、経済に影響を及ぼすことができるとする考え方のことである。

イングランド銀行のキング総裁が2005年5月の演説において、1986年のFIFAワールドカップメキシコ大会・アルゼンチン‐イングランド戦で、アルゼンチンのディエゴ・マラドーナが、敵側選手の予想を利用し5人の選手をかわし、60ヤードを独走してシュートを決めたいわゆる『5人抜き』を引合いにだし、『偉大なサッカー選手、マラドーナが、イングランド戦で見せたゴールは、金利の現代理論における”期待の力”を示唆したものであり、金融政策も同様に機能する。市場金利は中央銀行が何をするかという予想に反応する。』と述べ、それを『金利のマラドーナ理論』と命名したことに由来する。

ゼロ金利やマイナス金利政策下においては、何を期待すれば良いのかという根本的な問題がある。

 

SPDARゴールド・シェアーズから大規模な資金流出

24日の米国市場で金価格に連動するSPDRゴールド・シェアーズ(GLD)から7億9423万ドル資金が流出した。同ETFとしては2016年11月10日(8億4304万ドル)以来、4年ぶりの大規模流出だった。これで過去1カ月で38億ドル超の資金が流出したことになる。この日の米国市場でGLDは続落し、1.53%安の169.59ドルで終えた。バイデン新政権が前米連邦準備理事会(FRB)議長のイエレン氏を財務長官に指名すると報じられたことを受けて株高・債券安(利回りは上昇)・原油高・ゴールド安の流れでリスク選好の中、一時は7月16日以来の安値圏に沈んだ。GLDは10月以降は流出基調にあるが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う金融政策の長期化思惑から年初来で168億ドルの資金が流入したままで、引き続き流出基調が警戒される。

 

トルコ保険省が感染の全容を明確に:観光セクター持ち直し期待?

新型コロナウイルスについてトルコ保健省は昨日、7月以来で初めて『無症状も含む』1日あたりの感染者数(2万8351人)を発表した。コジャ保健相は9月末、PCR検査で陽性であっても無症状の人は感染者数に含めていないことを明らかにしている。この新型コロナ感染状況の不透明性がトルコ内外から政府への不信感に繋がっていた。新型コロナ感染の拡大で大打撃を受けているトルコ観光産業では、今週発表された10月の外国人観光客数は前年比59.4%減と依然として減少幅は大きいままである。トルコ政府がやっと感染の全容を明確にしたことで、今後の対策次第では観光セクターの持ち直しも期待できるかもしれない。

 

『平均物価目標』と『高圧経済』でドルの上値を抑制する可能性に注意

昨日発表された米11月雇用統計調査対象週(11月12日週)の失業保険継続受給者数は、607万人となり、10月の調査対象週の782.3万人から減少した。来週12月4日に発表される11月の雇用統計の予想は、非農業部門雇用者数が前月比+52.6万人(10月+63.8万人)、失業率は6.8%(10月6.9%)となっている。新型コロナウイルス感染第3波を受けて、米国の雇用情勢が悪化した場合、パウエル第16代FRB議長は、雇用に軸足を置く『平均物価目標』により2023年末までのゼロ金利政策を継続することを示唆している。雇用を重視するイエレン第78代米財務長官も、持論である『高圧経済(high pressure economy)』により、財政刺激策などで経済の過熱状態を保つことで、金融緩和継続と財政刺激策が期待できることになる。すなわち、パウエル第16代FRB議長の『平均物価目標』とイエレン第78代米財務長官の『高圧経済』がドルの上値を抑制する可能性に要警戒となる。

 

米FRBはFOMC議事要旨を公表(11月4-5日開催分)

メンバーは経済の回復が予想より速く、速やかな資産購入の修正は必要ないと見ていることが明らかになった。同時に、『ウイルスの再燃や財政刺激策の欠如』が下方リスクと見ており、資産購入の変更を正当化するような状況変化の可能性も指摘するなど、慎重な姿勢も崩していない。数人のメンバーは資産購入プログラムのいくつかの修正を予想している。資産購入策の追加措置の選択肢に関して協議したことも明らかになり、いずれ追加緩和を実施する可能性も残る。米連邦準備理事会(FRB)は現行で、各月1200億ドル規模の国債と住宅ローン担保証券の購入をしているが、今後数カ月は少なくとも現行ペースでの購入をするとしており、必要とあれば、購入ペースの加速や残存機関の延長も可能だと指摘した。また、労働市場の改善ペースも鈍化しており、正常水準のまだ半分にも満たないとの見方である。中小企業の資金繰りにも懸念を表明した。ただ、貯蓄率が高く消費を支えると見ている。

 

欧米市場イベント

○16:00   12月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲5.0)
○16:45   11月仏消費者信頼感指数(予想:92)
○17:30   スウェーデン中銀、政策金利発表(予想:0.00%で据え置き)
○18:00   10月ユーロ圏マネーサプライM3(予想:前年比10.4%)
○18:30   10月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.2%/前年比2.5%)
○21:00   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○21:00   7-9月期メキシコ国内総生産(GDP)確定値(予想:前期比12.0%/前年同期比▲8.6%)
○21:30   ECB理事会議事要旨(10月28-29日分)
○22:00   シュナーベルECB専務理事、イベントに参加
○27日05:30   マックレム・カナダ銀行(BOC)総裁、講演
○米国(感謝祭)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2020/11/25/15:10:52

日経平均株価:高値警戒感強く利益確定売りで上値重い

米国株式市場では主要3指数が上昇、NYダウは史上初の3万ドルに乗せた。トランプ米大統領がバイデン次期政権への移行プロセス開始を許可したことや、バイデン氏が次期財務長官に連邦準備理事会(FRB)のイエレン前議長を指名するとの報道、新型コロナウイルスワクチン開発への期待が引き続き相場の支えとなった。昼過ぎに東京都が午後にも、飲食店などに28日から20日間程度、営業時間の短縮を再要請すると伝わると、先物主導で利益確定売りが広がり上げ幅を急速に縮めた。2日間で1000円を超える上昇幅となったことから高値警戒感も強く、利益確定の売り材料となった。結局、前営業日比131円高の2万6296円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:上値を追う展開にはならず104円台半ばの展開

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りは日経平均株価の大幅高に支えられ、104.60円付近まで上昇した。米長期金利が小幅に上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。しかし、今晩の米国株価や米経済指標を見極めたいとのムードもあり、上値を追う動きは限られた。その後は、短期筋などから利益確定のドル売り・円買いが持ち込まれ104.50円付近へ下落した。午後は、日経平均株価の上げ幅縮小を睨みながら、104.40円台を中心にもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、1.1900ドル前後で小動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

トルコ中銀の利上げだけではリラ買いも限界

通貨リラが市場の信認を得るには、トルコ中銀が実施した大幅利上げだけでは不十分とされ、エルバン新財務相のもとで新たな経済対策が待たれる。しかしながら、これまでのところ政権内からは楽観的な見通しは聞かれるものの、具体的な政策内容は伝わってきていない。財政赤字が拡大するなか(2000年前半からトルコ経済拡大の起爆剤となった)積極的な公共投資に頼ることもなかなかできない。 外国人投資家にとって、また資産をトルコ外に移しているトルコ国民や企業にとって、リラ買い戻しに繋がるような魅力的な政策が出せるかが今後の大きなポイントになる。また、トルコ中銀の外貨準備高不足は依然として深刻であり、こちらもリラを買い難くさせている。さらに、トルコと欧州連合(EU)の関係悪化懸念もリラの重石となっている。リビアへの武器密輸を疑われたトルコ船にドイツ軍が強制立ち入り検査をした件を巡り、トルコ独は互いに非難し合い、両者の溝が深まりつつある。独はEU内ではトルコに対し穏健派とされているが、今後の展開次第では独の姿勢が変わり、EUの対トルコ制裁実施を加速させてしまう可能性がある。

 

南ア10月のCPI結果次第では利下げ圧力高まる可能性も

昨日発表された南ア準備銀行(SARB)の中期予算政策声明(MTBPS)では、公的債務がGDPの82%に達する。SARBはこの『債務拡大が金融セクターに深刻な影響を与える』と発表している。短期的には上述の米政権交代の買いトレンドが継続されるが、中長期的には南アの債務超過のスピードには目を配る必要がある。本日は10月の消費者物価指数(CPI)が発表される。前年比では3.1%予想となっている。SARBの目標とする3-6%の間に収まれば問題はないが、先週のSARBの金融政策委員会(MPC)では5人中2人が利下げを主張したことで、もし3%を下回ると年初のMPCでは利下げ圧力が高まりランド/円の上値を抑えるかもしれない。

 

米国感謝祭に絡んだアノマリー:年末高が期待できる

相場のアノマリー分析に詳しいトレーダーズ・アルマナックによれば、米感謝祭前(25日)の水曜日と感謝祭(26日)の木曜日を挟んで(27日)金曜日までの株高には強いジンクスがあるという。1952年以降、S&P500指数は上昇が58回に対して下落は10回、平均上昇率は0.67%だった。金曜日から年末にかけては上昇45回、下落23回で、平均上昇率は1.5%を記録したとのことである。すでにS&P500指数は市場最高値を更新して堅調だが、1987円以降は33年間のうち25回は年末にかけて上昇したことから、年末高が期待される。

 

イエレン氏を待つ景気の失速と試される手腕

バイデン米政権で財務長官に就任するとみられるジャネット・イエレン前連邦準備制度理事会(FRB)議長にとって、新型コロナウイルス禍で打撃を受けた経済を立て直すことが喫緊の課題となる。だが、足元では景気が勢いを失いつつあるほか、議会が追加刺激策で合意できるかも不透明で、イエレン氏は就任早々、厳しい状況に直面しそうだ。上院で指名が承認されれば、イエレン氏は追加の経済対策を実現する上で重要な役割を担うことになる。とりわけ、ジョー・バイデン次期大統領が来年1月20日に就任するまでに追加刺激策を巡る議会の交渉がまとまらない場合には、一段と切迫性が増す。今夏にかけて始まった米景気の回復は、感染再拡大や雇用の伸び鈍化を受けて腰折れの兆しが出ている。また議会が今年に入り可決した支援策第1弾は大半が期限切れを迎えた。JPモルガン・チェースのエコノミストは先週、米経済が来年1-3月期(第1四半期)にマイナス成長に陥るとの予想を示している。

 

米国市場では7-9月国内総生産(GDP)改定値が公表

速報値は前期比年率+33.1%だった。改定値の数値は速報値から特に変わることはないと予想される。一部項目は上方修正されると予想されるが、下方修正される項目があるとの見方もあり、速報値と同水準か、小幅な修正にとどまる見込みである。

 

米国市場では10月耐久財受注が公表

9月実績は前月比+1.9%で市場予想を上回った。需要回復や在庫状況を受けて、製造業の業績は回復傾向である。航空機を除く非国防資本財(コア資本財)の受注も増加した。10月については在庫状況を受けた受注増が予想されるが、9月がやや高い伸びを記録しており、10月分の受注の伸び率は9月実績を下回る見込みである。

 

米国市場では10月OCEコア価格指数が公表

9月実績は前年比+1.5%だった。一段の雇用回復が個人消費を下支えするとみられる。9月は耐久財、消費財への支出が主に増加した。10月については消費財への支出増加が一服する可能性があるため、全体の価格指数は9月実績をやや下回る可能性がある。

 

欧米市場イベント

○未定   11月月例経済報告
○17:00   10月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.1%/前年比3.1%)
○18:00   ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○18:30   欧州中央銀行(ECB)、半期金融安定報告
○19:00   10-12月期南アフリカ経済研究所(BER)企業信頼感指数
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○22:30   7-9月期米国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比年率33.2%)
           個人消費(改定値、予想:前期比年率40.9%)
           コアPCE(改定値、予想:前期比年率3.5%)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:73.0万件/602.0万人)
○22:30   10月米耐久財受注額(予想:前月比0.9%/輸送用機器を除く前月比0.5%)
○24:00   10月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.4%)
       10月米個人所得(予想:前月比横ばい)
       10月米PCEデフレーター(予想:前年比1.2%)
       10月米PCEコアデフレーター(予想:前月比横ばい/前年比1.4%)
○24:00   11月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:77.0)
○24:00   10月米新築住宅販売件数(予想:前月比1.5%/97.0万件)
○26日00:30   EIA週間在庫統計
○26日04:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(11月4日-5日分)

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