FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2020/12/22/15:16:26

日経平均株価:世界景気の影響を受けやすい銘柄中心に下落

英国で確認された新型コロナウイルスの異変種感染が引き続き警戒され、朝方から軟調なスタートとなった。英国などで新型コロナウイルスの変異種の感染が拡大する中、景気の先行き不透明感から投資家のリスク許容度が低下した。そのため、日本株にも売りが波及した。NYダウ先物や主要なアジア株価指数がそろって下落したことも投資家心理を低下させた。世界景気の影響を受けやすい海運、鉱業、鉄鋼などの銘柄を中心に幅広い銘柄が下げた。結局、前営業日比278円安の2万6436円と3日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク回避のドル買いで底堅く推移

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、103.45円付近へ値を上げた。英国で新型コロナウイルス変異種の感染拡大が続いており、これを嫌気したポンド/ドルのポンド安・ドル高が波及した面もあった。ただ、今晩の米国株価動向や米経済指標を見極めたいとの雰囲気もあり、上値を追う動きは限られた。その後は、米FRBの金融緩和政策が長期化するとの観測からドル売りも見られ、103.40円を挟んでもみ合いとなった。午後は、日経平均やアジア主要株価の動向を睨みながら103.40円台を中心とした狭いレンジでのもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、新型コロナウイルス変異種がイタリアやデンマークで確認され、欧州での感染拡大を警戒したユーロ売り・ドル買いが優勢になり1.2215ドル近辺に下落した。

 

英国では駆け込み脱出で変異種の拡散懸念

英政府が20日にロックダウン(都市封鎖)に踏み切る前夜、ロンドンの主要駅では地方に向かう長距離列車に乗る客で大混雑となった。クリスマス休暇直前の政府の方針転換を受け、大勢が駆け込みで脱出を急いだ格好である。感染急増を招いている新型コロナウイルスの変異種の拡散に懸念も広がっている。
ジョンソン首相は19日夕方の緊急記者会見で、ロンドンなどを20日午前0時01分から封鎖すると発表した。同席したウィッティー首席医務官は『この地域で旅行を計画中の人は、荷を解き、家にいてほしい』と呼び掛けていた。駆け込み脱出を受け、ハンコック保健相は『非常に無責任な行動だ』と非難した。シャップス運輸相は駅に警察官を増員し、監視を強化すると表明した。

 

南アでも変異種ウイルスの観測もランドは底堅い展開

本来であれば英国で多数報告されている変異種ウイルスが南アでも観測されていることを考えると、南アランドを買う地合いではない。しかしながら、今月の為替市場は年末を控えた特殊要因でもあるのか、かなり強いリスク選好になっている。昨日はランドだけでなく欧州通貨も買うようなニュース等は非常に少ないにもかかわらず、買い戻しの勢いは強く、この流れに逆らうのは難しい。ランド/円も同様にいつ梯子を外されるか分からない不安もあるが、当面はトレンド追随が賢明となりそうだ。なおアフリカ民族会議(ANC)は1月8日に予定されていたANC109周年式典を、ウイルスの感染対策として全て中止をすると発表している。

 

24日のトルコ中銀の利上げ期待がリラの下支え

英国で新型コロナウイルス変異種の感染が拡大し、トルコは英国との渡航を一時停止した。トルコにとって英国からの観光客数は国別で5番目の多さであり、低迷が続くトルコ観光セクターにとっては更なる打撃となることが嫌気されている。ただ、24日トルコ中銀金融政策決定会合への利上げ期待は高いままである。24日の利上げ幅については市場予想の中心値は1.5%とされているが、一部では2-2.5%の引き上げを見込むアナリストもいる。いずれにせよ利上げがほぼ確実視されるなかで、会合までに警戒すべきはエルドアン・トルコ大統領の金利に対する発言である。このところ大統領は金利については言葉少なめですが、先月の中銀による大幅利上げ後には引き締めスタンスをけん制している。

 

日本とトルコの経済関係強化が期待

日本国内のポンプ大手会社が、トルコに拠点をおくポンプメーカー『バンサン社』を買収すると発表した。為替市場へのインパクトは今のところ限られているが、先日も日立製作所が家電製品の海外事業をトルコ家電大手に売却などの報道もあり、今後も日本とトルコの経済関係強化が期待される。

 

米財政出動の規模は4兆ドル

米国の上下両院は21日、9000億ドル(約93兆円)の新型コロナウイルス対策を採決し、超党派の賛成多数で可決する見通しである。経済対策の発動は、3月初旬の第1弾(83億ドル)以降、今回で4回目となる。合計の財政出動の規模は4兆ドルと国内総生産(GDP)比で20%前後となり、世界平均(6%程度)と比べ突出する。米国は日欧に比べて労使の雇用ルールが緩く、レイオフ(一時帰休)などで大量失業が発生しやすい。失業者は現時点でも1000万人を超えており、景気回復まで公的マネーで手厚く支える必要がある。

 

米国市場では7-9月国内総生産(GDP)確定値が公表

改定値は、前期比年率比+33.1%で速報値と同水準だった。速報値から設備投資は情報修正されたが、個人消費は下方修正された。確定値については、一部項目情報修正される可能性があることから、改定値と同水準か、若干の上方修正が予想される。

 

欧米市場イベント

○16:00   1月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲9.0)
○16:00   7-9月期英国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比15.5%/前年比▲9.6%)
○16:00   7-9月期英経常収支(予想:116億ポンドの赤字)
○18:30   センテノ・ポルトガル中銀総裁、議会証言
○22:30   7-9月期米GDP確定値(予想:前期比年率33.1%)
○22:30   7-9月期米個人消費(確定値、予想:前期比40.6%)
○22:30   7-9月期米コアPCE(確定値、予想:前期比3.5%)
○24:00   12月米消費者信頼感指数(予想:97.0)
○24:00   11月米中古住宅販売件数(予想:前月比▲2.2%/年率換算670万件)
○24:00   12月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:10)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2020/12/21/15:17:26

日経平均株価:日銀の株式ETF買い期待で下げ幅縮小

朝方は反発してスタート後、年初来高値更新となったが、その後は国内での新型コロナウイルスの感染拡大や欧州での変異種の発生などに対する警戒感から、徐々に値を消す展開となった。国内でのコロナ感染や英国でロックダウンといったネガティブなニュースを受け、景気への影響が警戒されている。米追加経済対策合意で材料出尽くしとなっていただけに、利益確定売りが強まりやすかった。一方で、日銀の株式ETF買い期待を背景に、次第に下げ幅を縮めた。結局、前営業日比48円安の2万6714円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:米追加経済対策合意でドル買い戻し

ドル/円は、日経平均の下げ幅が一時200円を超えたことからリスク回避の円買いを誘い、103.25円付近まで下落した。しかし、18日の欧州市場で付けた103.20円が下値目処として意識されると下げは一服した。その後は、本邦輸入企業などがドル買い・円売りに動き103.40円付近へ値を持ち直した。週末に米議会の与党指導部が9000億ドル規模の追加経済対策を合意したことで、米景気先行き懸念が後退したこともありドルが買い戻された。午後は、日経平均の下げ幅縮小を眺めたドル買い・円売りに103.50円付近へじり高となった。ユーロ/ドルは、欧州で感染力の強い新型コロナウイルス変異種の拡大が続いているため、欧州景気の落ち込みを警戒したユーロ売りが優勢になり、1.21ドル台後半の安値圏で推移した。

 

ポンドは年末までFTA協議関連のヘッドラインで一喜一憂

ジョンソン英首相と欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は13日までに『決断を下す』と明言し、英国のEU離脱問題はやっと決着を迎えるかと思いきや交渉は継続することになった。結局は相手から譲歩を引き出したい一念でのパフォーマンスに過ぎず、この駆け引きは移行期限の年末ぎりぎりまで続く可能性がある一方で、ここ数日で決着することも考えられる。EUでは交渉決着の遅れで欧州議会の承認が間に合わず、英国との自由貿易協定(FTA)批准が年明けにずれ込む事態も想定している。欧州議会は28日に臨時本会議の開会を決めているが、合意が来週以降になる場合には議会は採決に難色を示している。交渉が決着していてもFTAを発効できず、年明けに経済の混乱が生じる懸念がある。ポンドは協議関連のヘッドラインで一喜一憂する神経質な動きが年末まで続く可能性が高い。

 

南ア経済に対する回復期待がランドの下支え

8日発表の良好な結果だった7-9月期南アフリカ国内総生産(GDP)後の底堅さが継続される。一部通信社が実施したアナリスト調査によれば、南アの21年成長率見通しは3.9%増とされ、同国経済に対する回復期待感が高まっている。また、11月インフレ指標で南ア物価動向の落ち着きが確認されたこともランドにとっては支援材料になる。足もとのデータを見る限り、南ア準備銀行(SARB)が9月に停止した緩和サイクルに戻るということは考え難く、低金利政策の長期化を余儀なくされる主要先進国との金利差が意識される。

 

24日のトルコ中銀金融政策決定会合への思惑で上下する

アーバル中銀総裁は先週、インフレ対策を最優先事項とし、データ次第では更なる金融引き締めにも含みを持たせた。トルコ中銀は前回11月19日会合で大幅利上げ(政策金利10.25%から15%へ)を実施したが、総裁発言を受け、24日の中銀会合での金利を引き上げ観測が高まりつつある。一部通信社の調べでは利上げ幅は1.5%程度を見込んでいるが、上げ幅2.5%までを予想する専門家もいる。 また、アーバル中銀総裁は外貨準備高の拡大に努めると述べており、実際に準備高は持ち直している。トルコ中銀が発表した11日時点の外貨準備高(グロス、金保有高を除く)は約474億ドルと、アーバル氏の総裁就任後の約1カ月間で17%超回復したことになる。

 

米国では追加経済対策が史上2番目の大きさで与野党合意

米議会の与野党指導部は20日、9000億ドル規模の新型コロナウイルス追加経済対策で合意に達したと明らかにした。民主党のホイヤー下院院内総務によると、下院で21日に採決を実施し、その後、上院でも採決が行われる見通し。今回の対策の規模は3月に承認された米史上最大の2兆3000億ドルの経済対策に次ぐ2番目の大きさとなる。ホワイトハウスのベン・ウイリアムソン報道官は、トランプ大統領は同法案を支持しており、署名し、成立させる見通しと述べている。新型コロナ追加経済対策には、国民への600ドルの直接給付、失業給付の週300ドル上乗せ、小規模事業への追加支援が盛り込まれる見通し。250億ドルの家賃補助も提供される。

 

閑散相場のなか米FRBの追加緩和観測がドル売り圧力

24日はクリスマス・イヴでドイツなど欧州市場が休場、25日はクリスマスで欧米市場が休場となることで、閑散な取引が予想される。米連邦公開市場委員会(FOMC)では、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジが0-0.25%で据え置かれ、ゼロ金利政策を2023年末まで継続し、月額の債券購入額を1200億ドルで据え置き、購入期間は『今後数カ月にわたって』から、雇用とインフレに『一段と顕著な進展』が見られるようになるまでに変更された。そして、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は追加緩和策を示唆したことで、ドル売り圧力が強まりつつある。世界的な新型コロナウイルス感染第3波を受けたリスク回避の円買いも重なり、ドル円は上値が重い展開が予想される。

 

欧米イベント

○17:30   11月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比横ばい)
○24:00   12月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲16.8)
○22日03:00   米財務省、20年債入札

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/12/18/15:15:13

日経平均株価:利益確定売りやポジション調整売り優勢

朝方から小安くスタートした後、一時プラス転換する場面もあったが、その後は利益確定売りに押されマイナス圏で推移した。週末を控えていることから積極的な取引は手控えられ、全体的に方向感のない値動きとなった。ファイザーが18日お昼頃に、日本国内でワクチンの製造販売承認を申請したと発表したが、一定程度下支えする材料にはなったものの、買い上がっていく材料にはつながらなかった。週末とあって、利益確定売りや持ち高調整の売りが優勢だった。結局、前営業日比43円安の2万6763円と3日ぶりに反落して終了した。

 

東京外国為替市場:ドルの買い戻しで103.40円台のレンジ相場

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、103.40円付近まで上昇した。前日の海外時間に約9か月ぶりの安値102.88円を付けた反動から、利益確定や持ち高調整のドル買い・円売りが入りやすかった。午後は、日経平均を睨みながら、103.40円台を中心とした狭いレンジでもみ合いとなった。市場が注目している米追加経済対策が、現在の暫定予算の期限が切れる本日18日の深夜までに成立するかどうか見極めたいとの雰囲気もあり、積極的な売買は見送られた。ユーロ/ドルは、急ピッチの上昇に対しる警戒感から持ち高調整などのユーロ売り・ドル買いが入り一時1.2230ドル台へ下落した。

 

英国とEUとの通商交渉は本日げ暫定期限:来週からクリスマス休暇?

英国と欧州連合(EU)との通商交渉は、来週からはクリスマス休暇となることで、本日が暫定期限とされている。通商交渉では、漁業権を巡り難航している模様だが、バルニエ欧州連合(EU)首席交渉官は『18日までの合意は可能だが、特に漁業権に関しては難しい』と述べ、ジョンソン英首相は『EUが大幅に立場を変えない限り合意には至らないだろう』と述べている。ゴーブ英内閣府担当相は『残念ながら合意に至らない可能性の方が高い。合意に至る確率は50%を下回る』と述べ、EUとの貿易協定は、12月31日までに英議会の承認が必要、と警告している。

 

トルコ中銀は来週の会合で大幅利上げ出来るか注目

先日のアーバル・トルコ中銀総裁の発言『必要なら更なる金融引き締めを行う』を受け、来週の24日に開催される中銀会合に対しては、政策金利を現行15%から17%-17.5%まで引き上げるのではないかという予想も出てきた。11月トルコ消費者物価指数(CPI、前年同月比)は14%台まで上昇し、同生産者物価指数(PPI、前年同月比)が23%台まで跳ね上がっていることを鑑みると、2会合連続の大幅利上げはアーバル総裁の覚悟次第である。また中銀総裁は外貨準備高の拡大に努めると述べていたが、実際に準備高は持ち直している。トルコ中銀が昨日発表した11日時点の外貨準備高(グロス、金保有高を除く)は約474.1億ドルと1カ月間で17%超回復したことが明らかとなった。こちらも金融当局に対する市場の信頼度の高まりに繋がっている。

 

南ア経済の回復期待がランドの下支え

一部通信社によるアナリスト調査によれば、南アフリカの21年成長率見通しの中心値は3.9%と前回調査3.0%から上方修正された。先日発表された7-9月期南ア国内総生産(GDP、前期比)が予想を大きく上回ったことを受けて、楽観的な見方が広がっている。南ア経済の回復期待がランドの下値を支えている。ただ、気になるのはやはり南アの新型コロナウイルス感染状況である。第2波の真っただ中にあり、1日あたりの新規感染者数は4カ月ぶりに1万人を超えた。感染抑制のための制限策は強化され、今後の経済回復の足かせとなる可能性は残っている。

 

メキシコでワクチンの緊急使用開始:感染状況が今後の注目点

メキシコの保健当局は11日、米製薬大手ファイザーと独バイオ医薬品企業ビオンテックが共同開発した新型コロナウイルスワクチンの緊急使用を承認したと発表した。メキシコでは新型コロナウイルスの感染者数がすでに120万人を超えたほか、死者数は11万人超と世界で4番目に多い国となっている。公衆衛生に問題を抱えているメキシコにとってワクチンの使用承認は朗報と言える。ワクチン接種はまず医療従事者が優先されるが、これによってメキシコの感染状況に歯止めがかかることになれば、経済の先行き不透明感解消にもつながる。ワクチン接種開始後のメキシコの感染状況についても引き続き注目される。

 

労働市場の不安は米国経済の一層の悪化リスク:追加対策が必要

11月28日時点で、2000万人近くが何らかの失業手当を受給している。失業者を支援するコロナウイルス支援・救済・経済安全保障(CARES ACT)下のパンデミック失業者支援(PUA)では、自営業者など、各州が設けている通常の失業保険で対象外となるがパンデミック下で特別な受給が可能となる。また、パンデミック緊急失業補償(PEUC)では通常の州の手当てである26週受給を終了したのち、受給期間を最長13週延長できるが、両支援策とも今月末で失効する。もし、追加対策成立せずに、支援策が延長されないと、経済が一層悪化する危険にさらされる。労働市場の不安は米国経済をけん引する消費の鈍化にもつながる。コンファレンスボードが発表した11月消費者信頼感指数は8月来の低水準となった。

 

米追加景気対策協議の合意不透明:つなぎ予算延長も

米議会指導部による9000億ドル規模の新型コロナウイルス追加景気対策を巡る協議は、合意に向け前進しているものの、つなぎ予算が切れる18日深夜までに合意できるか不透明な情勢となっている。

 

欧米イベント

○15:30   黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
○16:00   11月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比▲4.2%/前年比2.8%)
○16:00   11月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比▲3.3%/前年比4.1%)
○16:00   11月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比0.1%)
○18:00   12月独Ifo企業景況感指数(予想:90.0)
○18:00   10月ユーロ圏経常収支(季節調整済/季節調整前)
○18:00   12月ノルウェー失業率(予想:3.8%)
○19:30   ロシア中銀、政策金利発表(予想:4.25%で据え置き)
○22:30   10月カナダ小売売上高(予想:前月比0.2%/自動車を除く前月比0.2%)
○22:30   7-9月期米経常収支(予想:1890億ドルの赤字)
○24:00   11月米景気先行指標総合指数(予想:前月比0.5%)
○19日01:00   11月ロシア失業率(予想:6.3%)

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/12/17/15:13:40

日経平均株価:個別物色の動きが活発化で底堅い展開

前日米国株式市場では、ナスダックが最高値で取引を終了したものの、日経平均は国内での新型コロナウイルス感染拡大や為替の円高基調が重石となり、軟調な展開となった。しかし、その後は前日終値近辺での一進一退の値動きとなった。日経平均はこう着感が強いものの、個別物色の動きが活発化しており、全体が崩れる雰囲気ではなかった。午後にNHKが都内で新たに800人余りが新型コロナウイルスに感染していることを確認したと報じたものの、材料視されず影響は軽微だった。結局、前営業日比49円高の2万6806円と続伸して終了した。12月第2週の海外投資家が6週連続で2557憶円の買い越しとなった。

 

東京外国為替市場:総じてドルの上値の重い展開

ドル/円は、米国の低金利政策が長期化するとの思惑からドル売り・円買いが優勢となり、103.30円付近まで下落した。ユーロやポンドなどの欧州通貨に対するドル安が波及した面もあった。午後に入っても軟調地合いは続き、103.25円付近まで値を下げた。ただ、11月6日につけた103.18円が下値目処として意識されると下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、103.30円台を中心とした狭いレンジでもみ合いとなった。東京都の新型コロナウイルス専門会議は、都内の医療提供体制に関する4段階の警戒レベルを最も深刻なレベル『ひっ迫している』に引き上げたものの、ドル/円相場への影響は限定的だった。ユーロ/ドルは、前日発表されたユーロ圏指標の上振れや新型コロナウイルスのワクチン普及で、欧州景気の回復を期待したユーロ買い・ドル売りが強まり、一時1.2235ドル付近まで上昇し、およそ2年8ヵ月ぶりの高値を付けた。

 

欧州市場では英中央銀行MPCが金融政策発表

前回開催の金融政策委員会(MPC)の会合では、政策金利の据え置きと量的緩和策の規模拡大(1500億ポンドの増額)が決定された。今回は金融政策の現状維持が予想されるが、通商面での合意がないまま、英国は欧州連合(EU)から離脱する可能性があることから、量的緩和策のさらなる拡大を視野に入れた議論が行われる。

 

南アの不安要因はウイルス感染状況の悪化:ランドの重石

南アフリカ準備銀行(SARB、中央銀行)は9月の金融政策委員会(MPC)から緩和サイクルを停止した。直近のインフレ指標も物価動向の落ち着きを示していたことで、次回会合でも政策金利の据え置きが見込まれている。主要先進国と南アの金利差が意識され、ランド買い意欲は弱まり難い。ただ、上値を積極的に買い進められない要因の1つは、南アの新型コロナウイルス感染状況が悪化していることだと考えらる。感染第2波に襲われた同国は、ラマポーザ大統領が『第2波は第1波より深刻になりかねない』とし、感染抑制のための制限策の延長や強化を発表した。南アはクリスマスと新年を前に夏の休暇シーズンを迎えおり、制限策がどの程度まで効果があるか、見極めが難しいところである。

 

トルコ金融市場への信頼度回復も米国との関係悪化がリラの足かせ

アーバル中銀総裁は昨日、インフレ対策が最優先事項だと述べ、物価低下の道筋がつくまでは金融引き締め策を維持し、データ次第では政策金利の更なる引き上げにも含みを持たせた。11月に14%台まで上昇した消費者物価指数(CPI、前年同月比)は、来年同時期には10%台まで低下を予想している。また、ほとんど効果がなかった為替相場へのリラ買い介入も控え、外貨準備高の拡大に努めるとも述べた。アーバル中銀総裁は就任以降、積極的な利上げに踏み切り、市場オペレーションも簡素化し、金融政策の透明性を高めてきた。これにより投資家のトルコ金融市場への信頼度は上昇しており、リラの底堅さに繋がっています。 一方で、トルコの露製地対空ミサイルS400購入・配備を巡り、同国と米国との対立激化はリラの重しとなっている。昨日もエルドアン・トルコ大統領が『米による制裁はトルコの主権に対する明らかな敵対行動だ』と発言し、北大西洋条約機構(NATO)同盟国としての関係にも疑問を呈した。トルコがNATOを脱退するようなことはないと思われるが、米国との軍事協力関係が薄まれば、地政学リスクの高まりに繋がる可能性も残る。

 

予想されたほどハト派ではなかった米FOMC

米連邦公開市場委員会(FOMC)では、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを0-0.25%で据え置き、ゼロ金利政策を2023年末まで継続し、月額の債券購入額を1200億ドルで据え置き、購入期間は『今後数カ月にわたって』から、雇用とインフレに『一段と顕著な進展』が見られるようになるまでに変更された。市場で予想されていた債券購入の構成やペースは変更されず、平均残存期間の延長には動かなかったことで、予想されたほどハト派ではなかったとの見方であった。

 

米国ではコロナ危機が低所得層を直撃している構図

米国の感染爆発は日本や韓国の比ではない。全米レストラン協会の調査によれば、米飲食店のうち既に17%にあたる11万店以上が完全閉店か長期閉鎖に追い込まれたとされる。こうした飲食店オーナーのうち5割強は飲食業からの完全撤退を検討、飲食ビジネスの急縮小が飲食店の雇用の減少を促し米11月雇用者数は1019万人と7ヶ月ぶり再悪化、危機前2月に比べ18%低い水準である。何より、12月末に米政府コロナ公的支援が相次ぎ失効し米経済は『財政の崖』に直面する。従業員500人以下の中小企業対象の雇用維持策は利用期限が12月末で切れる。失効すれば失職者、つまり失業者が再び増えかねない。NY州レストラン協会の11月調査によれば、54%の半数以上が『連邦政府による追加支援がなければ今後6ヶ月で廃業する可能性が高い』と答えている。レジャー・接客業の平均給与は週857ドルと全産業平均1029ドルを大きく下回り、コロナ危機が低所得層を直撃している構図が浮き彫りとなった。

 

欧米市場イベント

○16:45   12月仏企業景況感指数(予想:81)
○17:30   スイス国立銀行(中央銀行)、政策金利発表(予想:▲0.75%で据え置き)
○17:30   11月スウェーデン失業率(予想:8.4%)
○18:00   ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:0.00%で据え置き)
○19:00   11月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比▲0.3%)
○19:00   11月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比0.2%)
○21:00   英中銀金融政策委員会(MPC)2日目、終了後政策金利発表(予想:0.10%で据え置き、資産買取プログラムは8950億ポンドで据え置き)
○21:00   MPC議事要旨
○22:30   12月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:20.0)
○22:30   11月米住宅着工件数(予想:153.0万件、前月比0.3%)
○22:30   11月米建設許可件数(予想:155.0万件、前月比1.0%)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:80.0万件/559.8万人)
○18日01:00   シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○18日02:30   デギンドスECB副総裁、講演
○18日04:00   メキシコ中銀、政策金利発表(予想:4.25%で据え置き)
○欧州連合(EU)財務相理事会

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/12/16/15:15:31

日経平均株価:利益確定売りと押し目買いから小幅な値動き

前日米国市場で主要3指数が上昇した流れを引き継いだ。ただ、米連邦公開市場委員会(FOMC)が始まり様子見ムードは依然として強く、買い一巡後は徐々に上げ幅を縮小する展開となった。2万7000円に近づくと、個人投資家を中心とした利益確定売りに押される。株価を押し上げる強い材料がないなかでFOMCを控えているため、マーケットはポジション調整を急いでいる。一方で、押し目買いも強く下値も堅い展開となっている。結局、前営業日比69円高の2万6757円と小幅反発して終了した。信用評価損率は11日申し込み時点でマイナス13.16%と、前の週(マイナス12.37%)からマイナス幅が0.79ポイント悪化した。悪化は2週連続となった。

 

東京外国為替市場:米長期金利低下から総じてドル売り優勢

ドル/円は、本邦輸入企業などのドル買い・円売りに支えられ、103.72円付近まで値を上げた。しかし、米国で新型コロナウイルスの感染再拡大が続き、行動制限や規制強化で米経済が落ち込むとの警戒感が浮上しているため、上値を追う動きは限られた。その後は、日経平均が朝高後に伸び悩むと、持ち高調整などのドル売り・円買いに押されて103.60円付近へ下落した。午後は、米長期金利低下を眺めてドル売り・円買いが進み、103.42円付近まで下落して約1ヵ月ぶりの安値を付けた。ただ、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、103.45円付近でもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、米国の低金利政策が長期化するとの思惑から海外勢などがドル売りを持ち込み、1.2150ドル台から1.2165ドル付近へ上昇した。

 

国債依存度が過去最高の60%突破

日本政府の2020年度の一般会計歳出は、3度の補正予算編成に伴い総額175兆円超と空前の規模に膨らむ。新型コロナウイルスの影響で税収が落ち込むため、歳入に占める国債依存度は初めて60%を突破した。財政は異常事態だが、コロナ感染の『第3波』が続く中で政府・与党の危機感は乏しく、歳出増加の圧力は緩みそうにない。国債依存度は近年30%台で推移してきたが、20年度は2次補正後で56.3%と、リーマン・ショック後の09年度決算(51.5%)を上回り過去最高を更新した。3次補正後はさらに64.1%まで上昇する。20年度の国債発行額は、前年度の3倍超の112兆5539億円に達する。

 

最近の南アフリカランドが底堅い訳

昨日発表された11月南アPPIは前年同月比で3.0%と、3.3%だった3月以来の水準まで持ち直しました。先週発表された同月消費者物価指数(CPI)も前年同月比3%を上回っており、来年1月の南ア中銀金融政策委員会(MPC)では『3会合連続の政策金利3.5%で据え置き』との見方が高まっている。最近のランドの底堅さは、南ア最大の貿易相手国である中国の経済指標が同国経済の順調さを裏付けていることは、ランドにとって支援材料である。また、金やプラチナなど貴金属価格が上昇したことも、それらが主要輸出品目である南アの通貨・ランドを下支えしている。

 

トルコ財務相の交代で市場の信頼度高まる一方で米国との対立懸念も

エルバン財務相は先週、『市場に寄り添った政策を実施する』『透明性、説明責任、合理的かつ予測可能な方法で全ての問題を解決していく』などと発言した。同財務相が就任以降は当局に対する市場の信頼度は高まっているように感じられ、外国人投資家からトルコへの資金流入が続いているとされている。一方で、欧州連合(EU)、米国と立て続けに対トルコ制裁を決定し、(足もとのトルコ経済への影響は限定的とされているものの)今後の更なる対立激化への警戒感は強まっている。昨日は、制裁への対抗措置としてトルコが、同国南部にあり米国の核弾頭が配備されているインジルリク空軍基地から米軍の撤退を要求するのではないか、という噂が一部メディアで報じられている。

 

米国でのリスク選好とリスク回避材料の強弱の見極め

米国の新大統領に民主党のバイデン前副大統領が正式に選ばれたことで、同国政治の先行き不透明感が後退した。また、米国でワクチン接種が始まったことや21年度の米予算案を巡り与野党合意が間近とされ、追加コロナ支援策への期待感などはリスク選好の要因となっている。一方で、リスク回避としては、足もとの新型コロナウイルス感染状況は悪化している。米国のコロナ感染による死者数はここ約4週間で5万人増え、累計で30万人を超えた。今後も夏頃までに更に20万人のコロナ関連の死者がでるとも言われている。感染抑制のため経済活動の制限強化が必要との見方も広がりつつあり、強化度合い次第では来年以降の景気回復の動きに腰折れリスクも出てくる可能性がある。

 

米国市場では11月小売売上高速報が公表

11月小売売上高は前月比-0.2%と、10月の同+0.3%から悪化する可能性がある。例年11月はクリスマス商戦の状況を示唆する数字になる。ただし、今年については新型コロナウイルスの感染流行が続いており、対面販売は大半の地域で縮小している。個人消費の回復は基本的に不十分であることから、前月比マイナスとなる可能性がある。

 

米国市場では連邦公開市場委員会(FOMC)会合の結果判明

前回開催のFOMC会合後に公表された声明では『経済の道筋は、ウイルスの行方に著しく左右される」、『現在進行中の公衆衛生の危機は引き続き、短期的に経済活動、雇用、インフレの重石となり、中期的な経済見通しに著しいリスクをもたらす』との見解が盛り込まれた。アメリカでは、ウイルスワクチンに接種が開始されたが、今回のFOMCでも『経済の道筋は、ウイルスの行方に著しく左右される」と文言が含まれる可能性が高い。ワクチンの速やかな実用化が中期的には経済にプラス材料と歓迎するものの、広範に行き渡るには時間がかかるとし、短期的な経済への影響は依然不透明と警戒態勢を緩めていない。新型コロナウイスルス第3波による景気後退の深刻化を避けるために、FOMCが大規模緩和を維持する必要性を主張するハト派姿勢を維持した場合、当面、ドルの上昇を限定的にする。

 

欧米イベント

○16:00   11月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.1%/前年比0.6%)
○16:00   11月英CPIコア指数(予想:前年比1.4%)
○16:00   11月英小売物価指数(RPI、予想:前月比0.2%/前年比1.3%)
○16:00   11月英卸売物価指数(PPI、食品とエネルギーを除くコア指数)
○17:15   12月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:50.1)
○17:15   12月仏サービス部門PMI速報値(予想:40.0)
○17:30   12月独製造業PMI速報値(予想:56.4)
○17:30   12月独サービス部門PMI速報値(予想:44.0)
○18:00   12月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:53.0)
○18:00   12月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:41.9)
○18:30   12月英製造業PMI速報値(予想:55.9)
○18:30   12月英サービス部門PMI速報値(予想:50.5)
○19:00   10月ユーロ圏建設支出
○19:00   10月ユーロ圏貿易収支(季節調整前/季節調整済)
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○22:30   11月カナダCPI(予想:前月比横ばい/前年比0.8%)
○22:30   10月カナダ卸売売上高(予想:前月比0.9%)
○22:30   10月対カナダ証券投資
○22:30   11月米小売売上高(予想:前月比▲0.3%/自動車を除く前月比0.1%)
○23:45   12月米製造業PMI速報値(予想:55.7)
○23:45   12月米サービス部門PMI速報値(予想:55.9)
○23:45   12月米総合PMI速報値
○24:00   12月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:88)
○24:00   10月米企業在庫(予想:前月比0.7%)
○17日00:30   EIA週間在庫統計
○17日00:30   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○17日01:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○17日01:15   シュナーベルECB専務理事、講演
○17日04:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表(予想:0.00-0.25%で据え置き)
○17日04:00   FOMC、経済・金利見通し発表
○17日04:30   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
○英中銀金融政策委員会(英MPC、17日まで)
○ユーロ圏財務相会合(オンライン)
○南アフリカ(和解の日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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