FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2020/12/29/15:10:41

日経平均株価:景気回復の期待が高り大幅続伸

米国株式市場は続伸し、主要指数が最高値を更新して取引を終了した。新型コロナウイルス追加経済対策法案がトランプ大統領の署名を受けて成立したことで、景気回復への期待が高まった。この署名により、失業給付の特例措置が再導入され、連邦政府機関の一部閉鎖も回避されることになった。これが好感され、日本株は朝から買い優勢の展開となった。1991年4月以来の2万7000円を回復した後も勢いは止まらず、90年8月以来30年4ヵ月ぶりの高値水準まで上昇した。売り方からの買い戻しも巻き込みながら連鎖的に上昇した。結局、前営業日比714円高の2万7568円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:株高でリスク選好の円売り優勢

ドル/円は、本邦輸出勢のドル買い・円売りや日経平均の大幅高に支えられ、103.81円付近まで値を上げた。しかし、前日の海外市場でつけた103.89円が上値の目処として意識されると上げは一服した。その後は、利益確定などのドル売り・円買いに押されて103.70円付近へ下落した。午後は日経平均や上海総合株価指数の動向を睨みながら、103.60円台を中心とした狭いレンジで取引された。休場明けとなるロンドン勢の動向を見極めたいとの雰囲気もあり、取引は閑散だった。ユーロ/ドルは、年末で通常よりも市場参加者が少ないことから積極的な売り買いは目立たず、1.2240ドル前後で方向感に欠ける値動きとなった。

 

英・EUは合意なき離脱は回避できたが中期的には不透明感も

英国とEUは来年からの将来関係協議で基本合意した。英国の議会承認やEU側の暫定発効での手続きが残るが、自由貿易協定(FTA)合意なしで移行期間を終了する最悪の事態を回避した。FTA締結で英EU間の貿易はこれまで同様に関税・数量割当なしの自由貿易が継続される。ただ、今後は国境通過時の税関・動植物検疫・規格適合検査が開始され、英EU間で異なる規制への対応が必要になる。進出先としての英国の優位性の一部が失われ、中長期的には英国脱出の動きが広がる恐れがある。

 

南アランドの上値を抑える要因:変異種感染拡大で規制強化

ラマポーザ南ア大統領が、新型コロナウイルス感染の警戒レベルを1から3に引き上げたことを発表したこともありランドの上値は抑えられた。この数カ月続いていたランド/円の買いトレンドが、南アでのウイルスの変異種感染が拡大していることで、トレンドが変わる可能性がある。警戒水準の引き上げは来年の1月15日まで続き、これにより夜間外出禁止の時間を21時から翌6時までに拡大され、アルコールの販売も禁止される。ラマポーザ大統領は経済活動を止めないように努めるとしているが、これは南アが財政的に厳しく他国のように国民への支援ができないことも要因としてある。他国からも入国禁止をされていることで、南アは今後は再び厳しい経済状況に直面しそうである。


トルコリラの買い材料続出

先週の金融政策決定会合の結果を受け、トルコ政策金利は中銀が引き締め路線に転じる前と比べ2倍以上になった。市中金利も上昇し実質金利のマイナスが解消されつつある中で、トルコ国内からのドル化の流れも後退している。エルドアン・トルコ大統領は昨日、締結が報じられた英国との自由貿易協定(FTA)について、29日にも署名がなされると述べた。トルコは欧州連合(EU)と関税同盟を結んでおり、英EU交渉の決着がつくまでは英国との通商協議を進めることができなかった。英国はトルコにとって2番目に大きい輸出相手国であり、トルコ輸出産業にとっては一安心となった。ところで、トルコがファイザー社から購入する新型コロナウイルスのワクチンは450万回分とされている。十分な量ではないが、感染抑制のきっかけになるのではないかと期待されている。なお、既にトルコへの供給が決定している中国の製薬会社シノバック・バイオテック製のワクチンは、中国からの到着が予定とされた28日より数日遅れると報じられた。

 

メキシコは安全な国・地域番付で最下位

新型コロナウイルスが依然として世界中で感染拡大が続くなか、一部通信社が毎月発表している最も安全な国・地域の番付で、メキシコは前月に続いて53位と最下位を記録する。過去1カ月における人口10万人あたりの感染者数こそ、それほど多くはなかったものの、死亡率や死亡者数、検査陽性率が群を抜いて高い水準となっている。メキシコ国内での感染状況はというと、メキシコ市とメキシコ州での感染拡大のスピードが上がっており、すでに感染者数は合わせて全体の32%を占めるほどになった。これを受けて、メキシコ市とメキシコ州は感染警戒信号を最大レベルである『赤』にすることを発表している。そして、グアナファト州も28日から『赤』に変更するとされており、年末から年始にあたり、さらなる警戒感が高まっている。

 

米上院で給付額増額を採決するかどうか注目される

米下院は28日、トランプ大統領が要求した2000ドルの個人向け現金給付に関する法案を275対134の賛成多数で可決した。ただ、共和党が多数派を占める上院での可決は不透明な状況である。上院は29日に招集される予定になっている。共和党のマコネル上院院内総務は27日、トランプ氏の景気対策法案署名に歓迎の意を表したが、現金給付引き上げ案を上院で採決するかどうかには触れなかった。

 

欧米市場イベント

○23:00   10月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比6.9%)
○30日03:00   米財務省、7年債入札

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/12/28/15:11:13

日経平均株価:米追加景気対策・歳出法案に署名したとの報道を好感

クリスマス休暇ら年末休暇までの休暇シーズンで市場参加者が少ない中、取引時間中にトランプ米大統領が新型コロナウイルス追加景気対策・歳出法案に署名したと報道されたことが好感され、日経平均は前場を通してプラス圏での推移となった。トランプ米大統領が署名したことにより、失業給付の特例措置が再導入され、連邦政府機関の一部閉鎖も回避されることになった。後場にかけて上げ幅を拡大してこの日の高値で終了した。結局、前営業日比197円高の2万6854円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:トランプ大統領が署名したことでリスク選好の円売り

ドル/円は、本邦輸出勢のドル買い・円売りや日経平均の反発に支えられ、103.62円付近まで上昇した。トランプ米大統領が新型コロナウイルス経済対策法案に署名したことも、リスク選好の円売りにつながった。ただ、26日の早朝につけた103.67円が上値目処として意識されると上げは一服した。その後は、利益確定などのドル売り・円買いも見られ、103.60円付近でもみ合いとなった。午後は、日経平均株価の動向を睨みながら、103円台半ばで取引された。本日はボクシングデーで英国市場で休場となるため、様子見ムードも強かった。ユーロ/ドルは手掛かり材料難から積極的な売り買いは目立たず、1.22ドル台前半で小幅な値動きに終始した。

 

中国の工業企業の利益は大幅回線

中国国家統計局が27日に発表した統計によると、2020年1-11月の工業企業(年間売上高2000万元以上の企業)の税引き前利益は前年同期比2.4%増の5兆7445億元となった。1-10月の0.7%増から伸び率が1.7ポイント加速した。

 

欧州でもワクチン接種が本格的に始まる

欧州連合(EU)加盟国で27日、新型コロナウイルスのワクチン接種が本格的に始まった。米製薬大手ファイザーと独ビオンテックが共同開発したワクチンをまず高齢者や医療関係者に投与する。EUの人口は約4億5000万人。年内に1250万回(625万人)分のワクチンを受け取る予定である。EUは、米モデルナ、英アストラゼネカなどからも計20億回分以上のワクチンを確保している。来年中にすべての成人に投与することを目指す。フランスやポーランドなどの世論調査によると、ワクチン接種に消極的な人も少なくないが、EU首脳は日常生活を取り戻す上で最高のチャンスになると訴えている。

 

エルドアントルコ大統領の利上げに対する言動に注意

先週トルコ中銀が予想以上の利上げ幅を決定した影響を暫く見極め、トルコと欧米との関係の行方や新型コロナウイルス感染状況に注視しながらの取引となった。トルコ中銀は24日に開いた金融政策決定会合で、政策金利を15%から17%に引き上げた。市場予想(16.5%に引き上げ)を上回る上げ幅だったことや、声明で引き締め姿勢を継続する断固たる決意を示したことが市場に好感された。気を付けるべきは、金利は低くあるべきとの考えを持つエルドアン大統領の動向である。前回の中銀会合後は、大統領が金利高けん制の発言をしたことでリラ相場は伸び悩んだ。エルドアン大統領は最近、金利に関してはかなり言葉少なめではあるが、今回も中銀に何等かの圧力を加えてくる可能性は捨て切れない。

 

複数の国で南アの入国制限及び停止で南アの経済へ打撃

英国のハンコック保健相は南アの変異種は英国のものよりも感染性が高いと発表した。このことで、英国は南アからの航空便を停止したほか、過去2週間に南アに滞在していた国民を2週間隔離することにもなった。(一方で南アの研究者は英国の変異種よりも感染性が高いことを否定し、英国が変異種拡大を抑え込めていないのを南アの責任にしようとしているのではないかという疑念の声も高まっている。) 英国だけでなく複数の国で南アの入国制限及び停止を行っていることは、南ア経済にとってはマイナス要因となり、先週まで続いたランド/円の買いトレンドも終焉する可能性もある。

 

欧米市場イベント

○21:00   11月南アフリカ貿易収支
○29日03:00   米財務省、2年・5年債入札
○英国、カナダ、(以上、ボクシングデーの振替休日)

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/12/25/15:12:35

日経平均株価:好悪材料入り混じり方向感を欠く展開

英国と欧州連合(EU)が自由貿易協定(FTA)を含む将来の関係で合意したことを受け、市場には一定の安心感が広がった。しかし、米追加経済対策の行方の不透明感や新型コロナウイルスの変異種の感染拡大が警戒されている。日経平均は好悪材料が入り混じる中、方向感を欠く値動きとなった。結局、前営業日比11円安の2万6656円と小幅反落して終了した。

 

東京外国為替市場:市場参加者少なく103円台半ばでもみ合い相場

ドル/円は、仲値にかけて本邦輸出勢から通常より多くドル売り・円買いが持ち込まれ、103.49円付近まで下落した。しかし、下値では本邦輸入勢などがドル買い・円売りに動き、103.60円付近へ切り返した。その後は、日経平均を睨みながら、103.55円を挟んでもみ合いとなった。午後は、103.50円台を中心とした狭いレンジでの取引が続いた。クリスマス休暇入りで市場参加者が少なく、この後の欧米市場が休場となるため、商いは薄かった。ユーロ/ドルは、海外勢の流動性が極端に低下していることから説教的な売り買いは手控えられ、1.2200ドル付近で方向感を欠く展開となった。

 

多少の混乱の可能性は残るが英経済に強気:ゴールドマン・サックス

英国と欧州連合(EU)が難航していた自由貿易協定(FTA)交渉で合意した。ゴールドマン・サックスは24日付けのリポートで『ブレグジット交渉の結果は、当社が以前より示してきた年内に『内容を絞った』FTAに合意するだろうという基本シナリオと一致する。短期的に非関税障壁(ノーディール・ブレグジットとなった場合と比べれば遥かに少ないが)を巡り多少の混乱が起きる可能性は残るが、当初は本日の合意を今後数年の英国経済に対する当社の強気見解の支援材料とみている』と指摘した。ブレグジット合意だけでなく、21年4~6月(2Q)からのサービス・セクターの急回復、来年4月までに全人口の50%がワクチンを接種を受けるとの同社予想、景気回復を後押しする金融・財政政策を踏まえ、2021年の英国の国内総生産(GDP)予想を7%成長とコンセンサス(4.5%成長)を上回る強気の数字で見込んでいる。

 

スキュー指数が高止まり:ブラックスワンやテールリスクの高まり

ブラックスワンやテールリスクが起こる可能性が高いと予想する投資家が増えると上昇する『スキュー指数』(skew index)が147へと上昇傾向を強めている。スキュー(skew)は『歪み』を意味し、スキュー指数は市場の歪みを指数化した指標で『ブラックスワン』指数とも呼ばれ、起こりえないことが起きて、起きた時の衝撃が強い事象を指す。発生する確率は低いが、発生した場合に巨大損失をもたらす『テールリスク』として注目されるスキュー指数は、シカゴ・オプション取引所が算出・公表し、S&P500指数のOTM(Out of the Money)のオプション価格から歪みが算出されている。100がフラットの状態で、通常100より高ければコール・オプション(買う権利)よりプット・オプションが買われている状態で、プットオプション(売る権利)が買われ、ボラテリティが上がっているのでブラックスワンやテールリスクの高まりを示している。

 

メキシコは12月と来年1月はマイナス成長:ワクチン接種開始

メキシコ銀行(中央銀行)のヒース副総裁が『ロックダウン措置の強化によって12月と来年1月はマイナス成長になるだろう』との見解を示した。メキシコでは新型コロナウイルスの死者数がすでに12万人を超え、首都メキシコシティなどでは前週末から行動制限措置が強化されました。こうした状況のなか、米ファイザー製の新型コロナウイルスワクチン第1便がメキシコに到着した。メキシコ政府はワクチン接種を開始することを明らかにしている。

 

米追加経済対策に不透明感:協議は来週2日間

米国の追加経済対策では再び不透明感が広がった。議会が可決した9000億ドル規模の追加経済対策において、トランプ大統領が余分な予算を削り、国民への現金支給額を現行の600ドルから2000ドルへ引き上げるべきと、議会に再考を迫り、拒否権を発動する可能性を示唆した。当初から大規模な支給を主張していた民主党下院は、2000ドル支給を提示したが、共和党に阻止された。もし、大統領の署名がなければ、経済対策案は成り立たず、予算案に組み込まれているため、政府機関閉鎖のリスクにも直面。失業支援策などの失効に伴い、回復の低迷がより深刻化する可能性が懸念される。議会が協議する時間は、来週2日間しかない。

 

欧米市場イベント

○スイス、ドイツ、フランス、スウェーデン、ノルウェー、ポーランド、英国、南アフリカ、カナダ、米国、ブラジル、メキシコ(以上、クリスマス)、休場

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/12/24/15:13:54

日経平均株価:手掛かり材料が乏しい中で押し目買い優勢

手掛かり材料が乏しい中で、目先的な調整の一巡感から押し目買いを誘い、全体的な展開となったものの、方向性が定まらなかった。商いは引き続き細った状態となっており、そうした中で個別物色の動きが活発化した。2万6700円を上回り年初来高値(2万6817円)が視野に入ると、利益確定売りが出て上値を抑えた。結局、前営業日比143円高の2万6668円と続伸して終了した。12月第3週(14日~18日)の海外投資家(外国人)は1655億円の買い越しとなり7週連続となった。

 

東京外国為替市場:様子見から103円台半ばでもみ合う展開

ドル/円は、本邦輸出勢などのドル買い・円売りに支えられ、103.62円まで上昇した。しかし、前日の海外市場でつけた高値103.65円が意識され、上値を追う動きは限られた。その後は、短期筋による利益確定売りも見られ、103.55円付近でもみ合う展開となった。午後に入っても、103.55円前後で方向感に乏しい値動きが続いた。日本時間20時に予定されているジョンソン英首相の『ブレグジット』についての記者会見を前に、様子見を決め込む市場参加者が多かった。ユーロ/ドルは、高値警戒感から持ち高調整などのユーロ売り・ドル買いが入り、1.2200ドル付近へ下落した。英国でこれまでの新型コロナウイルスの変異種とは異なる新たな変異種が確認されたことも、ユーロの重石となった。

 

南アのウイルス感染拡大に要警戒:ランド暴落に注意

ランド/円の買いトレンドは非常に強く、このトレンドが続く可能性は高いが、南アでのウイルス感染拡大には要警戒となる。日本時間早朝には英国が南アからと南アへの航空便を変異種拡大のために停止すると発表した。また南アフリカ歳入庁(SARS)は本日から1月4日まで感染拡大を抑えるために長期に閉鎖することを決定した。モデルナ社は開発されたワクチンが、変異種にも効果があるかのテストを行うと発表している。もし効果がなかった場合は、今までのワクチンを支えにしたリスク選好相場が崩れる可能性もある。

 

メキシコのCPI上昇で金融緩和政策終了の可能性も

メキシコの12月前半の消費者物価指数(CPI)が、市場予想を上回る伸びとなった。国家統計地理情報局(INEGI)がウェブサイトで23日公表した12月前半のCPIは市場予想の前年同期比3.15%を上回る前年同期比3.22%へ上昇した。CPIは2週間前に比べ0.34%上昇した。メキシコ中銀は17日、政策金利を4.25%に据え置くことを決めた。中銀は9月の会合まで11会合連続で利下げを実施し、政策金利を合計で4ポイント引き下げていたが、前回11月の会合で据え置きに転じ、金融緩和サイクルを停止した。インフレ率が中銀の目標レンジ中央値の3%に向け減速しているか見極めるにはもう少し時間が必要だと判断した。CPIが上昇に転じるようなら、金融緩和から引き締めに転じる可能性もある。

 

クリスマスイブで閑散相場の中市場が動意づく材料も燻る

本日の為替市場はドイツやスイスなど複数の市場がクリスマス・イブで休場となる。閑散な取引が予想される中で、市場を動意づかす材料はまだ燻っている。ウイルスの変異種の拡大で英国はイングランド南東部以外の地域でも規制が強化された。モデルナ社は開発したワクチンについて変異種にも効果が出るのかを追加試験を始めると早朝に発表しているが、もし効果がなかった場合はワクチン開発に対する楽観論が吹き飛ぶリスクもある。米国からはトランプ米大統領の任期が1カ月を切る中で、様々な行動で問題を引き起こしている。日本時間早朝に、トランプ大統領は国防権限法案(NDAA)に対して拒否権を発動したが、一昨日に難産の末に上下両議会で通過したウイルスへの追加支援法案に対しても同様な行動に出る可能性もある。また昨日大統領はイラクで11歳と7歳の子供を含む一般市民を殺害した終身刑の米兵に対しても恩赦を与えたことで、中東を巡る問題も懸念される。

 

米個人消費弱さを企業設備投資がで相殺

11月米個人所得は前月比-1.1%と、下落率が10月の‐0.6%から改善予想に反し拡大し8月来で最低となったほか、個人消費支出(PCE)も前月比-0.4%と、パンデミックにより経済が封鎖された4月来のマイナスに落ち込み、冴えない展開となっている。パンデミックの影響で、需要は旅行、サービスなどから電化製品、コンピューターや機器など、物に移行した。企業の設備投資が堅調な伸びを持続しており、消費の弱さを相殺し、緩やかながら10-12月期の成長にプラスに寄与すると期待されている。

 

スキュー指数の上昇でテールリスクの可能性が高まっている

11月以降の世界的な株高は米大統領選の不確実性払拭と早期ワクチン開発によるコロナ終息と経済『正常化』を織り込むリスク選好相場であり、米FRBなど世界中銀による未曾有の大規模緩和と各国のコロナ対応の積極財政を安全弁とした『強気相場』に他ならない。ところが、市場のリスク選好相場を揺るがす要因として、①新型コロナ変異種によるワクチン効果減退、②ワクチン接種普及による副作用の顕在化、③コロナ感染拡大による経済制限の強化と経済『正常化』遅延、④米中対立とハイテク覇権抗争の激化、⑤英国EU通商交渉の決裂などが懸念される。しかも、冬場の感染拡大に加え、英国で感染力が高い新型コロナウイルス変異種が急増しイタリアやデンマーク等でも確認される等、欧州各国は英国からの渡航を相次いで禁止する等変異種に身構え水際対策を強化しつつある。かかるリスク要因の増大と共にブラックスワンやテールリスクが起こる可能性が高まっていると予想する投資家が増えると上昇する『スキュー指数(skew index)』が147へと上昇傾向を強めている。
スキュー(skew)は 『歪み』を意味し、スキュー指数は市場の歪みを指数化した指標で『ブラックスワン』指数とも呼ばれ、起こりえないことが起きて、起きた時の衝撃が強い事象を指す。発生する確率は低いが、発生した場合に巨大損失をもたらす『テールリスク』として注目される。さらに、BoAメリルリンチの最新の投資家調査によれば、投資家の現金比率が-4%と13年5月以降で初のアンダーウェイトに転じるなど、都市封鎖や欧州コロナ変異種の拡大など新たなリスクの顕在化には注意必要となる。

 

欧米市場イベント

○20:00   トルコ中銀、政策金利発表(予想:16.50%に引き上げ)
○21:00   11月メキシコ貿易収支(予想:45.66億ドルの黒字)
○21:00   11月メキシコ失業率(季節調整前、予想:4.5%)
○22:30   11月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比3.0%)
○米財務省2年、5年、7年債入札条件
○ドイツ、スイス、ノルウェー、スウェーデン、ブラジルなどがクリスマス・イブで休場
○フランス、英国、カナダなどはクリスマスの前日で短縮取引
○米債券・株式・商品市場は短縮取引、為替市場は通常取引

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/12/23/15:11:00

日経平均株価:参加者減少で方向感定まらず

前日の米国株市場はまちまちの展開だったが、NYダウ先物が上昇したことや、日経平均が前日大幅下落したことで押し目買いが入り、朝方はしっかりで始まった。しかし、全体的に参加者が減少していることもあり方向感が定まらなかった。日経平均はもみ合いに終始し、一時マイナスになる場面もあった。結局、前営業日比88円高の2万6524円と4日ぶりに反発した。信用評価損率は18日申し込み時点でマイナス12.98%と、前の週のマイナス13.16%からマイナス幅が0.18ポイント縮小した。改善は3週間ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:方向感なく103.40円台を中心としてもみ合い相場

ドル/円は、本邦輸入企業などのドル買い・円売りに支えられ、103.65円付近へ値を上げた。しかし、前日につけた103.73円が上値の目処として意識され、上げ幅は一服した。その後は、日経平均の上げ幅縮小やNYダウ先物の下落を眺めてドル売り・円買いに押されて103.50円付近へ下落した。午後は日経平均を睨みながら、103.40円台を中心とした狭いレンジでもみ合いとなった。今晩の株価動向や米経済指標を見極めたいとの雰囲気もあり、商いは薄かった。ユーロ/ドルは、1.21ドル台後半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

EUが英国の譲歩案を拒否:交渉は来年も継続する可能性も

態度を軟化させたジョンソン英首相の足元を見たのか、昨日はEUが英国の譲歩案を拒否した。そのため、引き続き交渉が続けられている。バルニエEU主席交渉官がEU各国の大使に向けて現状報告をしているが、それらをまとめてみると、両者の溝がどこにあるのかが分かってくる。簡単にまとめてみると、最大の懸案となっている漁業権については、先ず、ブレグジット後の移行期間では英国は3年を主張しているのに対して、EUは6年としている。また、移行期間後の英海域での漁獲量削減については、英国は従来の60%から35%まで譲歩したのに対して、EUは25%なら受け入れられるといった主張をしている。バルニエ氏が説明したように、確かに溝は縮まって『進展』はあったのかもしれないが、合意に至るまでには至っていない。一部からはブレグジット後の来年1月になっても交渉を続ける可能性も報じられるなど、なお予断を許さない状況に変わりはない。

 

南アの明るい話題はワクチンの頭金支払い完了

英国だけではなく南アでもウイルス変異種に対する不安はぬぐえない。明日からドイツをはじめ複数の市場が休場になり、南アも25日はクリスマス休場となっている。すでに多くの市場参加者が休んでいることもあり、ランドは薄商いが予想される。フローに左右される相場のため、大きなニュースが無い限りはもみ合いが予想される。南アからの明るい話題を探すと、支払いが遅れていたウイルスのワクチンの頭金(2億8300万ランド)を昨日支払いが完了したことである。これにより南アの10%(約600万人)が予防接種を受けることができるとされている。

 

トルコの自動車輸出の重要国は実はフランス

トルコ国内には世界の自動車メーカー(フォード、ホンダ、トヨタ、メルセデス、ルノー、ヒュンダイなど)の工場があり、トルコの自動車製造業者協会(OSD)によれば、今年1月から11月までに乗用車と商用車を合わせて合計約115万台が国内で生産された。新型コロナウイルス感染拡大による工場稼働率の低下や需要低迷はあったが、前年同期比の減少幅は13%と何とか留まっていると言えるかもしれない。ただし、輸出台数は前年比で3割弱の減り、苦しい状況になっている。さて、20年1月から11月までのトルコの自動車輸出総額は約231億ドルとされ、トルコ総輸出に占める割合は15%と同国経済にとっての重要度は変わらない。その自動車輸出の相手国は合計で115カ国にも達したとされている。そしてトルコの自動車輸出先でシェアトップが、約14.2億ドルと2位や3位と2倍弱の差をつけてフランスである。しかしながら、エルドアン・トルコ大統領とマクロン大統領の亀裂はかなり深いように見える。トルコ自動車輸出の現状を見る限りでは、外貨が喉から手が出るほど欲しいトルコにとってフランスの位置づけは無視できない。

 

トランプ政権と違い次期政権とはメキシコは友好的な対話

週末にはロペスオブラドール大統領と米国のバイデン次期大統領が電話会談を行い、中米地域の移民問題に人道的に取り組むことで一致した。移民が米国を目指すことの代替策となる新たなアプローチを議論していくとした。国境の壁建設などで強硬な姿勢を示したトランプ米大統領と違い、まずは友好的な対話が進んでいる模様である。 一方、メキシコ国内で新型コロナウイルスの感染拡大は依然深刻で、首都メキシコシティでは警戒信号を『赤色』に変更した。活動制限はさらに強まることになった。英国などで広がっている変異種について、メキシコ国内では現在確認されていないが、今後も懸念材料となる。

 

12月消費者信頼感指数が予想外に悪化:労働市場に悲観的な見方も

コンファレンスボードが発表した12月消費者信頼感指数は88.6と、11月92.9から上昇予想に反し2カ月連続で低下し8月来で最低となった。11月分も96.1から92.9へ下方修正された。現況指数は90.3と11月の105.9から低下し8月来の低水準になった。期待指数は87.5と、11月84.3から上昇したものの11月分は速報の89.5から下方修正された。雇用に関する信頼感も悪化しており、米国経済をけん引する消費にも影響を与えかねない。雇用が現在十分と答えたのは21.8%と、2カ月連続の低下で、6月来で最低になった。不十分は56.2%と、2カ月連続の上昇で6月の水準に並んだ。職を得るのが困難と答えたのは22.0%で8月来で最高となった。6カ月後の予想で、雇用の減少予想は22.2まで上昇し、悲観的な見方が広がっていることが明らかになった。

 

米国市場では11月PCEコア価格指数が公表

10月実績は前年比+1.4%になった。11月は、ウイルス感染の増加でサービス面の支出が落ち込む可能性があること、複数の州で事業活動への新たな制限措置が導入されていることから、上昇率は横ばいとなる見込み。

 

米国市場では11月耐久財受注が公表

10月実績は前月比+1.3%で市場予想を上回った。設備投資の先行き指標となる航空機を除く非国防資本財(コア資本財)の受注は+0.7%で市場予想をやや上回った。11月については、10月がやや高い伸びを記録したことから、伸び率は低下する可能性が高いが、直近においては電子機器や輸送機器の受注が伸びていること、企業の設備投資は底堅い動きを見せていることから、ある程度の増加が予想される。

 

米国市場では11月新築住宅販売件数が公表

10月実績は、99.9万件となった。9月実績をわずかに下回ったものの、新型コロナウイルスの感染流行前の水準を上回っている。低水準の住宅ローン金利が後押ししている。11月については、在庫がやや不足していることから、10月実績をやや下回る可能性がある。ただ、販売価格は下げ渋っており、新築住宅市況は当面堅調とみられる。

 

欧米市場イベント

○16:00   11月独輸入物価指数(予想:前月比0.3%/前年比▲4.0%)
○16:45   11月仏卸売物価指数(PPI)
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○22:30   10月カナダGDP(予想:前月比0.3%/前年比▲3.6%)
○22:30   11月米耐久財受注額(予想:前月比0.6%/輸送用機器を除く前月比0.5%)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:88.5万件/555.8万人)
○24:00   11月米個人消費支出(PCE、予想:前月比▲0.2%)
       11月米個人所得(予想:前月比▲0.3%)
       11月米PCEデフレーター(予想:前年比1.2%)
       11月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.1%/前年比1.5%)
○23:00   10月米住宅価格指数(予想:前月比0.6%)
○24:00   12月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:81.3)
○24:00   11月米新築住宅販売件数(予想:前月比▲0.3%/99.5万件)
○24日00:30   EIA週間在庫統計

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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