FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2020/10/29/15:13:07

日経平均株価:日本株は資金が集まり底堅い展開が継続

新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて前日の米国株式相場が大幅安となり、日本株市場も朝方ら全面安となった。しかし、幅広い業種で売りが先行する中、決算発表を手掛かりに好業績銘柄では買いが入り、相場を下支えした。欧米株式市場では連日大幅安となっているが、日本株は大幅下落を回避できている。市場では、『決算発表前から欧米に比べて日本株がしっかりした動きをしていたことに加え、新政権で行政改革がスムーズに進んでいる点や米国株の割高感が出始めた点などを総合的にみて、国際分散投資の観点から日本株にマネーが集まっているのではないか』との声が聞かれている。結局、前営業日比86円安の2万3331円と4日続落して終了した。海外投資家の10月第3週は、3週ぶり26億円の売り越しとなった。

 

東京外国為替市場:米長期金利が上昇したことでドルの押し上げ

ドル/円は、本邦輸入勢のドル買い・円売りや米国株価指数の上昇に支えられ、104.50円付近までじり高となった。米長期金利が上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。ただ、米国で中西部を中心に新型コロナウイルスの新規感染者が急増していることから上値を追う動きは限られ、104.45円前後で取引された。午後は、日経平均株価をにらみながら、104.40円台を中心とした狭いレンジでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、ECB理事会を控えて様子見ムードが広がり、1.17ドル台半ばで小動きに終始した。

 

欧州市場では欧州中央銀行(ECB)理事会が開催

前回のr次回終了後に行われた会見でECBのラガルド総裁は、『ユーロ圏の成長見通しに対するリスクバランスは引き続き下向き』、『経済見通しを巡る不透明感の高まりが、個人消費や企業投資を圧迫』などの見方を伝えている。域内経済のすみやかな回復を期待できないことから、ECBはあらゆる手段を講じる用意があることを再度表明する見込み。

 

欧州での新型コロナウイルスの感染再燃が深刻化するリスク

欧州では新型コロナウイルスの流行が再燃し、新たな成長リスクとして警戒されている。フランスでは新型コロナウイルス死者数がパンデミックとなった4月来で最高に達するなど、最悪の状況に陥っている。域内最大の経済であるドイツ政府は11月2日から30日まで、バー、レストラン、映画館、ジムを休業とし、集会、店舗やホテルの営業を制限するなどの部分的な封鎖を発表した。さらに、休業を強いられるビジネス対象の100億ユーロの支援策を発表した。フランス政府も10月30日から12月1日までの全国的な閉鎖を発表した。欧州経済はようやく第3四半期国内総生産(GDP)でリセッションを脱したばかりと見られるが、再びリセッション入りする2番底リスクに直面する可能性がある。

 

南アフリカのCPI低下で利下げ観測がランドの上値を抑える

注目されたムボウェニ南ア財務相が発表した中間予算(ミニバジェット)では、今年の財政赤字をGDP比15.7%減とした。ただし、来年以降は順次10.1%減、8.6%減とGDP比・赤字幅の縮小を予測した。GDP予想も今年は-7.8%とし、6月の-7.2%よりもさらに下方修正した。なお、中間予算では、財政改善のため今後3年間の給与据え置きを求められた公務員側の反発が予想される。 また、昨日発表された9月消費者物価指数(CPI)は前月比+0.2%(予想:+0.3%)、前年比+3.0%(予想:+3.1%)と市場予想を下回っただけでなく、南ア準備銀行(SARB)が目標とする3-6%の目標レンジの下限に達した。この影響で南アの再利下げの可能性も徐々に高まってくる。

 


トルコ中銀のインフレレポートで上昇修正:次回会合で利上の可能性も

本日29日は共和国宣言記念日であり、トルコの祝日である。トルコ建国の父といわれるムスタファ・ケマルが独立を宣言してから97年経過した。昨日トルコ中銀が発表した四半期インフレレポートでは、20年末のインフレ見通し(予想レンジの中心値)を前回8.9%から12.1%に引き上げ、21年末も6.2%から9.4%に修正した。年末見通しを現状のインフレ水準(9月CPI前年比11.75%)よりも引き上げたことで、来月会合では利上げに踏み切りやすくもなった。なお、枯渇が懸念される外貨準備高についてウイサル中銀総裁は昨日、他中銀との通貨スワップ設定や拡大について協議が具体的に進展していることを明らかにした。もし、実際にスワップ協定が決まれば、それなりの値幅での反発が見込まれるかもしれない。 

 

米大統領選が接戦なら米国株は下落調整と予想

米金融大手JPモルガンが10月半ばに開催した投資家セミナーで、大統領選が接戦になった場合のS&P500指数の予想は55%が『10%下落』、37%が『5%下落』といずれも下落を予想する。米政治情報サイト『リアルクリア・ポリティクス』集計によれば、選挙人が多くトランプ氏にとって最重要州であるフロリダ州のバイデン支持率のリードは僅か1.5ptへと縮まり、戦後18回の大統領選で『17勝1敗』の勝利の法則がある激戦州ハイオ州の支持はすでに10月半ばにトランプ氏が逆転している。

 

米国市場では7-9月期国内総生産(GDP)速報値が公表

アトランタ地区連木の経済予測モデル『GDPNow』は、前期比年率35.3%と予想している。7-9月期におけるサービス業や住宅関連の指標は改善している。個人消費の動向が注目されるが、回復傾向が続いており、市場予想の前期比年率+32.0%の成長率を上回る可能性もある。

 

欧米市場イベント

○15:00   9月南アフリカマネーサプライM3(予想:前年比10.95%)
○15:30   黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
○17:55   10月独雇用統計(予想:失業率6.3%/失業者数変化▲5000人)
○18:30   9月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.3%/前年比2.5%)
○18:30   9月英消費者信用残高(予想:7億ポンド)
○18:30   9月英マネーサプライM4
○19:00   10月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲15.5)
○19:00   10月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:89.5)
○21:30   9月カナダ住宅建設許可件数
○21:30   7-9月期米国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比年率31.0%)
           個人消費(速報値、予想:前期比38.9%)
           コアPCE(速報値、予想:前期比4.0%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:77.5万件/770.0万人)
○21:45   欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:0.00%に据え置き)
○22:00   10月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比横ばい/前年比▲0.3%)
○22:30   ラガルドECB総裁、定例記者会見
○23:00   9月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比3.4%/前年比なし)
○30日01:00   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○30日02:00   米財務省、7年債入札
○トルコ(共和国宣言記念日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2020/10/28/15:11:32

日経平均株価:売り一巡後は下げ渋る展開で底堅い

前日の米国株式相場がまちまちの展開となる中、NYダウ先物が軟調な動きとなったことを受け、日経平均株価は朝方から幅広い業種で売りが先行した。しかし、売り一巡後は下げ渋り、マイナス圏でもみ合う展開となった。市場からは、『引き続き、決算を材料視した物色の動きが相場を下支えする』との声が聞かれた。結局、前営業日比67円安の2万3418円と小幅続落して終了した。信用評価損益率は、23日申し込み時点でマイナス12.62%となり、前の週からマイナス幅が0.2ポイント悪化した。悪化は2週連続となった。

 

東京外国為替市場:心理的節目の104.00円が意識される

ドル/円は、欧州景気の減速を警戒したユーロ安・円高が波及、104.30円付近へじり安となった。本邦輸出勢から月末に絡むまとまったドル売り・円買いフローも観測された。午後に入っても軟調地合いは続き、104.21円付近まで下落した。ただ、心理的節目の104.00円が視野入りすると下げは一服、104.25円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、フランスやドイツ新型コロナウイルスの感染者が急増し、都市閉鎖(ロックダウン)措置が検討されているため、1.17ドル台後半で上値の重い展開となった。

 

南アランドは本日神経質な値動きに

日本時間17時に南アの9月消費者物価指数(CPI)が発表される。市場予想は前年比で3.1%となっているが、これは南ア準備銀行(SARB)が目標とする3-6%の目標レンジの下限に近い予想となっている。もし3%を割り込むことになると、再利下げ観測も出てくることでランド円の上値を圧迫することになる。 また、ムボウェニ南ア財務相が中間予算(ミニバジェット)を発表する予定となっていることで、この予算にも注目が集まっている。昨日、予算発表を前に経営危機に陥っている南ア航空(SAA)のムゴドゥソ議長が辞任を表明した。SAAに関しては今回の予算で再び政府の救済策が発表されるとされているが、事前に議長が辞任することは想定外と言える。中間予算はどのように予算が配分されるのかが注目されているが、世界銀行から20億ドルの融資を受ける際に、破綻している国営企業に対してその融資を使用しないようにと釘を刺されている。ムボウェニ南ア財務相がどの程度、ドラスティックに予算を割り振るのかなども注目される。

 

トルコ財務相がリラ安容認発言でリラ売り加速


トルコ中銀が先週、市場の期待を裏切り、政策金利引き上げを見送ったことが依然としてリラの上値を抑えている。くわえて、トルコと欧州連合(EU)一部諸国や米国との対立激化懸念、ナゴルノ・カラバフ紛争などトルコ周辺の地政学リスクの高まりもリラ売り材料のままである。また、昨日は、アルバイラク・トルコ財務相が外国の投資家との会合で『競争力のある為替レートがトルコの輸出を拡大させる』と述べ、リラ安容認と捉えられたことも売りを加速させた。止まらないリラ売りを受け、一部の外国人投資家はトルコ政府が資本取引の規制に動くのではないかと警戒し始めた。ただ、これに対してアルバイラク財務相は昨日、資本規制をハッキリと否定した。もっとも、同財務相はリラ安への危機感はかなり薄く、トレンド転換の打開策を出す可能性も低い。

 

トルコで金への資金逃避が顕著:米国との関係悪化が要因

通貨安が進行するトルコで金への資金逃避が顕著になっている。金融情報会社のリフィニティブによると、直近8月の貿易統計でトルコの金輸入量は37.6トンと前月比で74%増となった。2018年1月以来約2年半ぶりの高水準となった。金の国際価格は8月に1トロイオンス2000ドル台を突破し史上最高値を更新した。リラ安が進むトルコでは現地通貨建て金価格はドル建てを上回って上昇したにもかかわらず金輸入は増加が続き、1~8月では前年同時期の2倍超の174トンとなった。金買いに走るのは当の中銀も同様である。金の国際調査機関のワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)によると、トルコ中銀の金買いは1~8月で194トンと他の中銀から突出する。背景にはここ数年の米国との関係悪化があるとみられる。米国の制裁に備え、トルコは海外の銀行に預けていた金を着々とトルコ国内に持ち込んでいる。16年に16%だった国内保有比率は19年時点で80%まで上昇した。政治・経済情勢が不透明さを増すなか、トルコで金へと資金を逃避させる動きは今後も続きそうだ。

 

トルコ中銀が四半期インフレレポート発表:リラの値動きに注意!

本日、トルコ中銀が四半期インフレレポートを発表する。前回7月には20年末のインフレ見通しを4月予想時点の7.4%から8.9%に修正した(予想レンジは6.9%か10.9%)。ただし、これは新型コロナ感染の第2波に見舞われず、世界経済が回復し始めることを前提としていた。インフレレポートでトルコ中銀が現状をどのように捉えているか、年末までの残る2会合へのヒントとなるか注目される。本日はトルコ祝日(共和国宣言記念日前夜)だが、イスタンブール株式市場は現地時間10時から12時30分まで取引される。為替市場では欧州昼前ぐらいから流動性が徐々に薄くなってくると思われ、値動きには注意が必要となる。

 

米メキシコ湾岸石油生産の約半分が停止:ハリケーン接近の備え

米メキシコ湾岸のエネルギー各社や港湾当局が同湾上空を移動するハリケーン『ゼータ』への警戒態勢を強めている。英BP、米シェブロン、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルは27日、157の施設から作業員を退避させ、生産を大幅に削減した。パイプライン運営のエンブリッジENB.TOもルイジアナ州の天然ガス処理施設などから作業員を退避させている。米安全環境執行局(BSEE)によると、27日時点でメキシコ湾岸の石油生産の49%、天然ガス生産の55%が停止しているという。米国立ハリケーンセンター(NHC)によると、ゼータは27日午前にユカタン半島を通過後、時速65マイル(100キロ)に風力を弱めたが、メキシコ湾中央に移動しながら時速85マイルに再び加速する見通しだ。28日には米沿岸部にハリケーンまたはそれに近い勢力で接近する可能性があり、NHCはルイジアナ州からミシシッピ州とアラバマ州の州境にかけての一部の地域にハリケーン注意報を出している。

 

好調な米住宅市場と9月耐久財受注では鈍化傾向を確認

米8月S&PコアロジックCS20都市住宅価格指数は前年比+5.18%と、2018年8月来で最大の伸びを記録した。米連邦住宅金融局(FHFA)が発表した8月FHFA住宅価格指数は前月比+1.5%で、伸びは鈍化予想に反して7月+1.1%から拡大し、過去最大を記録した。回復が停滞する米国経済の中で住宅市場が引き続き唯一明るいセクターであることを新たに証明した。9月耐久財受注速報値は前月比+1.9%と伸びは8月+0.4%から拡大し、予想+0.5%を上回ったが、変動の激しい輸送用機を除いた9月耐久財受注速報値は前月比+0.8%と、8月+1.0%から鈍化。国内総生産(GDP)の算出に用いられる製造業出荷・資本財(航空機を除く非国防)速報値は前月比+0.3%と、8月+1.5%から伸びが鈍化しマイナスに落ち込んだ4月来で最低となり、7-9月期の成長を抑制する。

 

欧米市場イベント

○16:00   9月独輸入物価指数(予想:前月比▲0.3%/前年比▲4.8%)
○16:45   10月仏消費者信頼感指数(予想:93)
○17:00   9月南アフリカCPI(予想:前月比0.3%/前年比3.1%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:15   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○23:00   カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:0.25%で据え置き)
○23:30   EIA週間在庫統計
○24:00   マックレムBOC総裁、記者会見
○29日02:00   米財務省、5年債入札
○29日06:00頃  ブラジル中銀、政策金利発表(予想:2.00%で据え置き)
○トルコ株式市場は短縮取引(共和国宣言記念日前夜)
〇英国と欧州連合(EU)の首席交渉官級による協議(ロンドン、最終日)

 

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2020/10/27/15:12:53

日経平均株価:好決算銘柄がけん引して下げ幅縮小

前日米国株安を受けて下落して始まり一時200円を超える下げとなったが、売り一巡後は下げ渋る展開となった。市場では、予想を上回る好決算銘柄が目立っており、これらが株価を下支えする要因になっている。また、大きく下げたマザーズ市場で、追証が一巡したとみられることも、市場を落ち着かせる要因となった。結局、前日比8円安の2万3485円と小幅続落して終了した。

 

東京外国為替市場:104.70円付近で小動きの展開

ドル/円は、日経平均株価の続落やアジア株安をながめたドル売り・円買いに押され104.70円付近まで下落した。米追加経済対策を巡る与野党の協議が引き続き難航していることも、ドルの重石となった。米上院は連邦最高裁判事に保守派のエイミー・バレット高裁判事を充てる人事案を採決し、賛成多数で招致したものの、市場の反応は限定的だった。午後に入っても、ドル/円の軟調地合いは続き、104.68円付近まで値を下げた。しかし、前日につけた104.66円が下値の目処として意識されると下げ一服、104.70円台を中心とした狭いレンジで取引された。今週予定されている日銀金融政策決定会合やECB理事会を前に、様子見気分も強かった。ユーロ/ドルは、前日の海外時間に下落した反動から、利益確定などのユーロ買い・ドル売りが持ち込まれ、1.1835ドル付近へじり高となった。

 

欧州のソーシャルボンドの発行がユーロ下支え

欧州では前週、EUがコロナ復興支援の財源として、初のソーシャルボンド(社会貢献債)を発行し、2330億ユーロ(約29兆円)という記録的な注文を集めた。為替相場では『非欧州の投資家からの需要が、ユーロ高の一因となった』という解説も見られている。EUは前週の起債により、『緊急時失業リスク緩和支援(SURE)』プログラムの下で計画しているソーシャルボンド1000億ユーロ発行のほぼ5分の1を達成した。引き続き発行余地が残されており、今後も潜在的なユーロの押し目買い材料として注視される。

 

トルコと欧米関係悪化が泥沼化

エルドアン・トルコ大統領は25日、米国が(ナゴルノ・カラバフ紛争でトルコが支援する)アゼルバイジャンに、対トルコ制裁について言及したことを明らかにした。怒りにまかせたままエルドアン大統領は『制裁するなら直ぐにしろ』と米国を挑発した。これまでも、露製地対空ミサイルを巡り米トルコ間の緊張は高まっていたが、エルドアン大統領の開き直りとも言える発言は状況悪化に拍車を掛けかねない。市場では、米国による対トルコ制裁がより厳しい措置になるとの見方もでている。
さらに、エルドアン大統領は、マクロン仏大統領のイスラム教に対する考え方に対して『仏の指導者はメンタルチェックが必要』と仏にとっては侮辱的な発言をした。当然ながら仏政府は猛反発し、駐トルコ大使の召還を決定した。くわえて、エルドアン大統領はイスラム諸国で広まる仏製品ボイコットに歩調を合わせ、トルコも不買運動に参加すべきとの考えも示した。トルコ仏の溝はこれまで以上に広まり、簡単には埋められない状態である。エルドアン大統領の米国やフランスに対する強気な態度が改められるとは思えず、関係悪化が泥沼化しかねない様相では、まだ暫くはリラの買い難さが続く。

 

南アランドの安定はトルコほどリスクが少ないため

南アにとってポジティブなのは、地政学上でトルコのように多国間との争いが少なく、政治的なリスクも少ないことがあげられる。経済政策では行き詰っているが、幸いにラマポーザ政権がある程度安定していることは、ランドが大きく売られずに済んでいる大きな要因となっている。ただし、南ア経済的が行き詰っていることや、欧米の新型コロナウィルス感染第2波、米大統領選挙など、リスク回避になりやすくランドが売られる要素も多くある。

 

メキシコ大統領自身がペソ売り材料となるリスク

国内での新型コロナウイルスの感染拡大は依然として懸念材料ではあるものの、ここまで通貨ペソが底堅い理由には1年間続いている利下げサイクルの終焉を期待する声が目立つことである。直近に発表された隔週CPIは前年比で+4.09%と中銀目標の上限4.00%を超えてきている状況であり、中銀が『インフレリスクを考慮すると利下げ余地はわずか』との認識であるならば、次回会合での利下げ終了宣言もあり得る。
一方で、ロペスオブラドール大統領は先週末の定例記者会見でメキシコ中銀に利下げ圧力とも捉えられる発言をした。大統領は国内の金利はなお高いことを指摘し、『融資を促して経済を立て直すためには中央銀行がさらに金利を引き下げる必要がある』と述べた。新型コロナウイルスの現状把握についても、大統領と保健省・州知事では全く見解がかみ合わず、大統領は経済回復のために規制措置は取らない姿勢を貫いている。今回の金利見通しについても、大統領と中銀とでは見解の相違が生まれる可能性が出てきており、大統領自身がペソ売り材料となるリスクを残している。

 

価格の上昇が影響し米9月新築住宅販売件数は8月から減少

米国の新築住宅件数は、住宅市場全体に占める割合は小さいが契約時点での統計となるため先行指標として注目される。米商務省が発表した9月新築住宅販売件数は14年ぶりの高水準となった8月から3.5%減の95.9万戸と予想102.5万戸に満たなかった。価格の上昇が影響した。需要の急増や材料費の高騰で、中間価格は前年から3.5%増の32.68万ドルとなった。住宅市場の需要が供給に追い付いていない状況があらためて証明された。売却にかかる期間は3.6カ月で、統計が開始された1963年来で最短となった8月の3.4カ月からは拡大したが依然低い水準である。歴史的にも低い住宅ローン金利と郊外物件の需要拡大が居住住宅投資を押し上げており、7-9月期国内総生産(GDP)の成長に貢献したと見られている。

 

先行き経済対策から米国債金利の先行観は強い

金融市場で米財政への関心が強まっている。米大統領選では両候補が強力な経済対策を訴えており、2021年の財政赤字は一段と膨らむ公算が大きい。米国債金利は先週大きく上昇し、先高観も根強い。米10年物国債は23日に0.87%まで上昇した。26日は株安を受けて、やや低下したが約4カ月ぶりの高水準にある。背景にあるのは11月3日の大統領選を前に今後米財政が拡張されるとの見方が主要因となっている。

 

欧米市場イベント

○16:45   9月仏卸売物価指数(PPI)
○18:00   9月ユーロ圏マネーサプライM3(予想:前年比9.6%)
○21:00   9月メキシコ貿易収支(予想:40.00億ドルの黒字)
○21:30   9月米耐久財受注額(予想:前月比0.5%/輸送用機器を除く前月比0.4%)
○22:00   8月米住宅価格指数(予想:前月比0.7%)
○22:00   8月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比4.2%)
○23:00   10月米消費者信頼感指数(予想:102.0)
○23:00   10月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:18)
○24:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○28日02:00   米財務省、2年債入札
〇英国と欧州連合(EU)の首席交渉官級による協議(ロンドン、28日まで)

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/10/26/15:11:41

日経平均株価:材料難から様子見ムード強く小幅の展開

今週本格間する4-9月期の企業決算や米国の新型コロナウイルス追加経済対策の取りまとめの行方を見極めたいとして、様子見ムードが強まった。NYダウ先物が下げ幅を拡大したことが重石となった。市場では、全体的に材料が乏しく、閑散としているとの声も聞かれた。結局、前営業日比22円安の2万3494円と反落して終了した。東証マザーズ指数は1ヵ月ぶりの安値となり終値も1,200ポイント割れとなった。

 

東京外国為替市場:105.00円が意識され104円台後半でもみ合う展開

ドル/円は、欧州景気の減速を警戒したユーロやポンドなどの欧州通貨安・ドル高が波及し104.90円付近まで上昇した。中国人民銀行が公表した。人民元の対ドル基準値が、1ドル=6.675元と前営業日比より元安・ドル高に設定されたことも、ドルの押し上げにつながった。午後に入ってもドル買いの流れは続き、104.93円付近まで上昇した。しかし、心理的な節目となる105.00円上値目処として意識されると上げは一服し、104.90円を挟んでもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、欧州各国で新型コロナウイルスの感染が急速に拡大していることから、ユーロ売り・ドル買いが優勢となり、1.18ドル台前半の安値圏で推移した。

 

ジョンソン英首相流の交渉で先行き不透明

ジョンソン英首相はEUとの交渉期限を今月15日に設定し、EUに圧力をかけたが、EU首脳会議では今後数週間にわたって交渉を続けるとし、英国に合意を可能にするための必要な行動を求めた。これに対し、ジョンソン政権は『合意なしに備えるべき』としながらも、交渉を完全に打ち切る決断には踏み切らなかった。ジョンソン首相の交渉期限設定は結局脅しに過ぎず、双方は今週22日から集中協議を再開することで合意した。3週間程度の交渉を行い、11月半ばの合意を目指しているが、最も重要な分野で大きな意見の隔たりが残っており、合意に達するか不透明となっている。双方は意見が対立する分野で妥協点を探る一方で、合意可能な部分では法的文書の作成にも着手する予定である。ポンドは当面、通商交渉に振り回される相場展開が続く。

また、英ガーディアン紙が報じたところによると、ジョンソン英首相は11月の米大統領選の結果を待ってから欧州連合(EU)と合意なしの離脱を決断するようだという。友人で元々ブレグジットに賛同していたトランプ米大統領が勝利すれば、その可能性は一段と高まるとのこと。

 

トルコとフランス両国の関係悪化懸念強まる

エルドアン・トルコ大統領は24日、与党会合での演説のなかで、イスラム教に対する考え方に関して『マクロン仏大統領は精神的な治療が必要だ』と批判したほか、『選挙で君の行く末を見てやろう。君の道がそんなに長いとは思わないが。君のおかげでフランスが得たものすらないのに、君自身が得たものなどない』とも加えた。これに対して、仏政府は猛抗議し、駐トルコ大使を呼び戻すなど、両国の関係悪化の懸念が高まった。

 

南アフリカは今週イベントが多数予定

南アからイベントが多数予定される。まず、経済指標としては28日に9月消費者物価指数(CPI)、29日に同月生産者物価指数(PPI)、30日に同月貿易収支が発表される。この中では政策金利決定に影響を与えるCPIには注目点となる。また、政治的なイベントとして最大の注目は28日に予定されている中間予算(ミニバジェット)の発表となる。ムボウェニ南ア財務相が発表するミニバジェットは、ラマポーザ南ア大統領が先週打ち上げたアドバルーンをどのように予算配分を行うのかが注目されている。

 

米景気対策法案や最高裁判事の上院での再建も大統領選後の可能性

新型コロナ景気対策法案に関しては、共和党(1.8兆ドル)と民主党(2.2兆ドル)が妥結しても、上院で多数派(53議席)を占める共和党の反対で、法案成立が11月3日の米大統領・上下両院議員選挙後に先送りされる可能性が高まりつつある。さらに、トランプ大統領が最高裁判事に指名したバレット氏の上院での採決が先送りされる可能性もドルの上値を抑える要因となっている。

 

米大統領選で誰が勝っても株高の定説

米大統領選の結果に対する株式市場の反応を懸念する投資家にとって、歴史は重要な教訓がある。政権を握る与党と議会多数派が異なる『ねじれ』か、1つの政党がいずれも握る圧勝のシナリオか。実のところ、株式市場はどの政党がワシントンを支配しても、値上がりする傾向にある。1929年~2019年において、いずれかの政党が上下両院議会と大統領職の双方を握った年は45あった。ダウ・ジョーンズ・マーケット・データによると、S&P500種指数はこの期間、平均で7.45%上昇した。このうちS&P500が上昇した年は30、下落した年は15だった。 また、この期間中に議会多数派と政権を握る政党が割れた年は46あったが、S&P500は平均で7.26%値上がりした。内訳は上昇が29回、下落は16回、変わらずが1回だった。

 

欧米市場イベント

○18:00   10月独Ifo企業景況感指数(予想:93.0)
○19:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○23:00   9月米新築住宅販売件数(予想:前月比1.3%/102.5万件)
○香港(重陽節の翌日)、ニュージーランド(労働者の日)、休場
○欧州は25日から冬時間に移行済み

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2020/10/23/15:13:24

日経平均株価:様子見ムード強く動意の乏しい展開

前日の米国株式市場が上昇した流れを引き継ぎ朝方は堅調推移した。しかし、NYダウ先物が軟調な動きとなったことで上げ幅も縮小し、一時マイナスとなる場面もあった。しかし、米大統領候補のトレビ討論会を終えて、バイデン氏優勢との見方は変わらず、NYダウ先物が小幅高を維持したことで日経平均株価の支えとなった。週末での売り買いともに手控えられ動意の乏しい展開となった。結局、前営業日比42円高の2万3516円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:日経平均株価にらみで104.70円前後でもみ合い

ドル/円は、本邦輸出勢などからドル売り・円買いが持ち込まれ、104.67円付近まで下落した。ユーロやポンドなどの欧州通貨に対する円高が波及した面もあった。ただ、米追加経済対策を巡る与野党協議の行方を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。午後は、日経平均株価をにらみながら105.70円を挟んだもみ合いとなった。本邦実需筋の売り買いが午前で一巡したこともあり、商いは薄かった。ユーロ/ドルは欧州時間で発表されるフランスとドイツの10月購買担当者景気指数(PMI)を控えて様子見ムードが広がり、1.1800ドル前後で方向感に欠ける値動きとなった。

 

第2回米大統領選のTV討論会の市場影響は限定的

日本時間10時から開始された米大統領選のTV討論会に注目が集まっていたが、前回のような罵り合いではなく、まともな議論が交わされたという印象のみだった。『特に相場に影響を与えることはないのでは』というのが終わってみてからの市場の声となっている。NYダウ先物も小幅にプラス圏で推移しており大きな動きにはなっていない。米CNNの世論調査によると、討論会の勝者は53%がバイデン氏、39%がトランプ氏と回答した。

 

欧州市場ではマークイット10月ユーロ圏製造業PMIが公表

9月実績は53.7で8月実績の51.7を大幅に上回っており、2018年8月以来の高水準となった。ユーロ圏の企業景況感は5月以降、改善傾向にあるが、新型コロナウイルス感染流行が続いていることから、10月の製造業PMIはやや悪化する可能性がある。

 

ドイツでの感染再拡大から買いだめの動きも

新型コロナウイルス感染が再拡大しているドイツで、トイレットペーパーや消毒液の売り上げが増加傾向にあることがわかった。ドイツ連邦統計庁のまとめによると、先週のトイレットペーパー売り上げは新型コロナ危機前に比べ89.9%増加した。消毒液は72.5%増、石鹸は62.3%増となった。統計庁はツイッターに『買いだめの動きが再び活発化している』と投稿した。ドイツの国立感染症研究機関ロベルト・コッホ研究所(RKI)によると、ドイツの1日当たりの新型コロナウイルス新規感染者数が初めて1万人を突破した。

 

米長期金利の上昇も一時的か

米10年債金利は1%へ向けて上昇余地を試す展開になっている。しかし、金利急騰に伴う株価・景気などへの影響を考えると一時的な動きに留まる可能性が高い。米連邦準備理事会(FRB)がいずれかのタイミングで金利上昇を抑制するとみられ、米金利は低位でのレンジ相場が継続見通しとなる。ただ、バイデン候補が勝利ということになれば、米10年債金利は上昇余地を試す展開になりやすい。

 

米国市場ではマークイット10月製造業PMIが公表

9月実績は53.2で2019年1月以来の高い水準となった。製造業PMIは5ヵ月連続で改善したが、米国各州で新型コロナウイルスの感染流行が続いていることから、さらなる改善は難しい。10月は好調・不調の節目である50を大幅に上回るものの、9月との比較である程度悪化する可能性が高いとみられる。

 

欧米市場のポイント

○未定   10月月例経済報告
○15:00   9月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比0.2%/前年比3.7%)
       英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比0.5%/前年比5.0%)
○16:15   10月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:51.0)
○16:15   10月仏サービス部門PMI速報値(予想:46.8)
○16:30   10月独製造業PMI速報値(予想:55.1)
○16:30   10月独サービス部門PMI速報値(予想:49.2)
○17:00   10月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:53.1)
○17:00   10月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:47.0)
○17:30   10月英製造業PMI速報値(予想:53.1)
○17:30   10月英サービス部門PMI速報値(予想:54.0)
○19:30   ロシア中銀、政策金利発表(予想:4.25%で据え置き)
○22:45   10月米製造業PMI速報値(予想:53.4)
○22:45   10月米サービス部門PMI速報値(予想:54.6)
○22:45   10月米総合PMI速報値
○23:00   ラムスデン英中銀(BOE)副総裁、講演
○25日 欧州が冬時間に移行

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