FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2021/01/25/15:15:51

日経平均株価:明確な方向性を欠く展開で推移

米国株は前週末には下落したもののNYダウ先物が堅調となり、日経平均は終始強含み地合いの展開となった。ただ、明確な方向性は感じられず、一気に高値を取りに行くような動きにはならなかった。今週から3月期企業の第3四半期決算発表が本格化する日本の株式市場も決算への注目度が高まる。大引け間際に買いが強まった。結局、前営業日比190円高の2万8822円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:株価の動向を睨みながら103円台後半でもみ合い

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、103.89円付近まで上昇した。日経平均の上げ幅が100円を超えたことも、リスク選好の円売りを誘った。しかし、バイデン米政権が打ち出した大型経済対策の早期成立に対する期待がやや後退しているため、上値を追う動きには限られた。その後は、利益確定や戻り待ちのドル売り・円買いに押されて103.75円付近へ下落した。午後は、日経平均やアジア主要株価の動向を睨みながら、103.70円を挟んでもみ合う展開になった。ユーロ/ドルは、夕方に予定されているラガルドECB総裁の講演や1月独IFO景況感指数を控えて上下に動きにくく、1.21ドル台後半で小幅な値動きに終始した。

 

欧州要人からのユーロ高への言及に要警戒

先週の欧州中央銀行(ECB)理事会では、ユーロ高に対する牽制はなかったものの、ラガルドECB総裁は『為替レートの動向が中期的なインフレ見通しに与える影響について引き続き注視していく。全ての政策手段は調整可能で、いかなる選択肢も排除されていない』と警戒感を示していた。本日も、ラガルドECB総裁、パネッタECB専務理事、レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミスト、バイトマン独連銀総裁の講演で、ユーロ高への言及に要警戒となる。

 

トルコはギリシャとの協議と米国との今後の関係が注目

25日にイスタンブールで開催されるトルコ・ギリシャ協議も注目材料である。両国間の海域(エーゲ海)問題の解決に向けた土台となる協議は2002年に始まり、今回は約5年ぶり61回目となる。歴史的な経緯からこれまでの60回は一進一退だったが、欧州連合(EU)は久しぶりの協議再開への期待感を表明している。トルコとしても、経済的に結びつきが強いEUとの関係改善のきっかけにしたいところである。ただ、協議内容に対する両者の思惑の違いが報じられており、双方の溝はそう簡単には埋まらないかもしれない。
トルコと米国の今後の関係だが、米国側でカギとなる人物の1人・国務長官に指名されたアントニー・ブリンケン氏が先日、承認公聴会に臨んだ。同氏は、トルコのロシア製ミサイル配備は北大西洋条約機構(NATO)同盟国として容認できないと述べながらも、更なる制裁に関しては慎重な姿勢を示した。ただ、トルコは同盟国としての役割を十分に果たしていないとも発言しており、バイデン新政権が前政権よりも強硬な態度でトルコに臨む可能性はまだ残っている。

 

南アランドはネガティブ要素も多く上値の重石

ウイルス感染による景気悪化に備えた利下げ論も出ていたが、先週発表された消費者物価指数(CPI)では食品価格が前年比で7%以上上がり、他の日用品やガソリンなども上昇傾向にあることで、南ア準備銀行(SARB)の利下げ論が後退したことでランド/円を下支えする。しかしながら、中長期的にはウイルスのワクチン確保のために増税が議論され、感染を抑えるロックダウンにより企業が人員削減に走るなど、ネガティブな要素も多い。

 

バイデン政権はパンデミック集束を見極め増税実施

米上院指名承認本会議でイエレン財務長官の採決を予定している。イエレン氏は上院指名承認公聴会での議員の質問への返答書の中で、バイデン政権の給与税や法人税の引き上げ計画を明確にしたほか、議会と協力し中国などへの為替操作に対処していく方針を示している。バイデン政権は、年末、パンデミック終息を見極め増税実施の構えである。トランプ前大統領が21%まで引き下げた法人税は28-35%とオバマ政権の水準まで再び引き上げられる見通し。給与税は年収40万ドル以上の国民対象に引上げを予定しており、経済への影響が懸念される。

 

トランプ前大統領の弾劾裁判で有罪望むが過半数

米連邦議会議事堂襲撃事件を巡るトランプ前大統領の弾劾裁判について、最新のロイター/イプソン世論調査ではトランプ氏の有罪と公職資格剥奪を望む人が全体の過半数を占めた。20日、21日に実施した調査によると、トランプ氏を議事堂襲撃における『反乱扇動』で有罪とすべきだと答えたのは51%、無罪判決を決めたのが37%、「分からない」が12%だった。また、将来公職に就くことを禁止するのに賛成は55%、反対は34%、「分からない」は11%だった。上院がトランプ氏の有罪を認定しても、公職資格を剥奪するには改めて採決を行う必要がある。

 

欧米イベント

○17:45   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○18:00   1月独Ifo企業景況感指数(予想:91.4)
○19:45   パネッタECB専務理事、講演
○22:00   レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○23:45   バイトマン独連銀総裁、講演
○26日01:00   12月ロシア鉱工業生産(予想:前年比▲3.0%)
○26日02:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○26日03:00   米財務省、2年債入札
○世界経済フォーラム「ダボス・アジェンダ」(オンライン、29日まで)

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/01/22/15:10:57

日経平均株価:高値警戒感から利益確定売り優勢

週末で利益確定売りが目立ったほか、テクニカル面で高値警戒感も生じていることから終始さえない動きとなった。来週以降、本格化する企業決算発表にマーケットの関心が向かっているとの声が聞かれた。7-9月期の決算では機械、電気機器、自動車などの回復が目立ったが、今回は小売や流通など、出遅れた業界の開封kがみられるかが焦点になる。結局、前営業日比125円安の2万8631円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:新規材料難から103円台半ばでもみ合い相場

ドル/円は、本邦輸入勢のドル買い・円売りや日経平均の下げ幅縮小に支えられ、103.61円付近まで値を上げた。米長期金利が小幅に上昇したことも、ドルの買い戻しにつながった。しかし、前日の東京市場でつけた高値103.67円に接近すると、利益確定などのドル売り・円買いも見られ、103.55円を挟んでもみ合いとなった。午後に入っても、103.50円台を中心とした狭いレンジでの取引が続いた。新規の手掛かり材料に乏しく、週末ということもあり商いは薄かった。ユーロ/ドルは、1.2170ドル台でこう着した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

国内物価は10年3ヵ月ぶりの下落率

総務省が発表した2020年12月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は101.1となり、前年同月比1.0%下落した。前月の0.9%下落を下回り、2010年9月以来の大幅な下落率となった。市場安定を反映して電気代・ガス代の下落率が拡大、コアCPIの重石となった。コアCPIの前年同月比マイナスは5ヵ月連続となった。

日本10年債利回り+0.035%(名目金利)-消費者物価コア前年比-1.00%=+0.965%(実質金利)

 

ビットコインは『8倍の壁』:機関投資家は慎重姿勢

ビットコインは14日に今月2度目の4万ドル台に乗せたが、その後は買いの勢いがピタリと止まった。チャート上は1月上旬の高値と『ダブルトップ』を形成した。20年3月のコロナショック時に付けた安値5000ドル前後の8倍にあたる4万ドル近辺が1つの『壁』として意識されるようになってきた。情報サイトのコインマーケットキャップなどが集計している24時間ごとの暗号資産の取引データによると、ビットコインはここ1週間ほど商いの薄い時間帯が目立つ。ある個人投資家は『上値を追う動きが活発だったことに比べて2~3割少なく、機関投資家の慎重姿勢が広がっているようだ』と警戒している。

 

欧州市場ではマーク一イット1月ユーロ圏製造業購買担当者景気指数(PMI)が公表

12月実績は55.2だった。英国と欧州連合(EU)の自由貿易協定が暫定的に発効されたが、ドイツなどにおけるウイルス感染拡大や都市封鎖措置の影響が強まることから、1月の製造業PMIは12月実績をやや下回る可能性が高いとみられる。

 

ECBは金融政策据え置きを決定

欧州中央銀行(ECB)は定例理事会で市場の予想通り政策金利据え置きやパンデミック緊急購入プログラムの規模を1.85兆ユーロで維持することを決定した。また、『金利は現行、またはそれ以下で維持』とのフォワードガイダンスも維持した。12月に追加緩和パッケージを発表後、今後はパンデミックの状況などを睨み、必要とあれば全政策措置を修正する準備があるとの方針を表明した。その後の会見で、ラガルド総裁は第4四半期の経済が縮小したとし、『大規模金融緩和が不可欠』とした。見通しリスクも下方に傾斜しているがリスクは深刻さが軽減したとの見方を示した。同時に、ユーロ高がインフレを抑制しているとし、為替を綿密に監視していくとしたためた。

 

南ア準備銀行は予想通り政策金利を据え置き

昨日の南アフリカ準備銀行(SARB)の金融政策委員会(MPC)では、政策金利を市場予想通りに3.50%で据え置いたが、意外にも3対2という僅差での据え置き決定だった。食品価格や食用油・砂糖などの生活必需品が前年比で高騰していることなどもあり、利下げは行わないという意見が高まっていた。しかし、2名が0.25%の利下げを主張したのは、労働組合連合のコサツが利下げ(それも0.50%)を要求するなど、労働組合や経済界からの利下げ要求が強いことも理由として挙げられる。 なお、SARB声明文では『全体的なインフレ見通しは短中期的に均衡』『21年GDP見通しは3.6%に上方修正、前回予測3.5%』『21年コアCPI見通し3.4%、22年が4.0%と前回予測と変わらず』『将来のインフレ見通しは、前年の結果を踏まえてより安定的となった』『通貨下落によるインフレへのリスクは縮小』などと発表した。また、クガニャゴSARB総裁は『金融政策は引き続き緩和的』『経済や財政状態は変動幅が大きい状況が続くと予測』と発言した。

 

米国市場ではマークイット1月製造業購買担当者景気指数(PMI)が公表

12月実績は57.1だった。雇用はさえないが、購買担当者の景気回復への期待は持続している。1月については、ウイルスの感染拡大が懸念されているものの、追加経済対策への期待やワクチン接種の拡大を考慮して12月実績に近い水準となる可能性がある。

 

欧米市場イベント

○未定   1月月例経済報告
○16:00   12月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比1.2%/前年比4.0%)
○16:00   12月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比0.8%/前年比7.0%)
○17:15   1月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:50.5)
○17:15   1月仏サービス部門PMI速報値(予想:48.5)
○17:30   1月独製造業PMI速報値(予想:57.5)
○17:30   1月独サービス部門PMI速報値(予想:45.3)
○18:00   1月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:54.5)
○18:00   1月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:44.5)
○18:30   1月英製造業PMI速報値(予想:54.0)
○18:30   1月英サービス部門PMI速報値(予想:45.0)
○22:30   11月カナダ小売売上高(予想:前月比0.1%/自動車を除く前月比0.3%)
○23:45   1月米製造業PMI速報値(予想:56.5)
○23:45   1月米サービス部門PMI速報値(予想:53.6)
○23:45   1月米総合PMI速報値
○24:00   12月米中古住宅販売件数(予想:前月比▲2.0%/年率換算655万件)
○23日01:00   EIA週間在庫統計

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/01/21/15:13:04

日経平均株価:循環物色で相場全体を押し上げる展開

米国株式市場が最高値を更新したほか、バイデン米大統領就任式が無事に通過できたことも投資家心理が改善した。明確な物色傾向があるわけではなく循環物色が続き、相場全体を押し上げる展開になった。日銀の金融政策決定会合の結果が公表されたが、市場の予想通りの内容だったことで反応は限定的だった。市場の関心は、26日から開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)や月末から本格化する企業決算に向かっている。結局、前営業日比233円高の2万8756円と反発して終了した。1月第2週の海外投資家は、2週連続で2614億円の買い越しとなった。

 

東京外国為替市場:米長期金利低下でドル売りが優勢に

ドル/円は、本邦輸入勢のドル買い・円売りに支えられ103.67円付近まで上昇した。日経平均の上げ幅が一時300円を超えたことも、リスク選好の円売りを誘った。しかし、今晩発表される米経済指標を見極めたいとの雰囲気もあり、上値を追う動きは限られた。その後は、欧州通貨や資源国通貨に対するドル安が波及し103.50円台まで押し戻された。午後は、米長期金利低下を眺めたドル売り・円買いが持ち込まれ、103.33円付近まで下落した。しかし、15時30分から黒田日銀総裁の定例記者会見を前に、下げは一服した。その後は値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、103.35円付近でもみ合う展開になった。ユーロ/ドルは、今晩のECB理事会を控えて様子見ムードが広がり、1.21ドル台前半で小動きに終始した。

 

最大の民族大移動の春節迫る:当局は警戒を強める

中国交通運輸省は20日の記者会見で、2月12日の春節(旧正月)を挟む40日間に延べ約17億人が移動するとの予測を明らかにした。新型コロナウイルスの感染拡大が始まった前年同期に比べると1割以上増加するが、コロナ前の2019年同期比では4割減少した。感染の再拡大を受けた帰省の自粛要請が一定程度効果を発揮するとみられるが、それでも1年で最大の『民族大移動』に変わりなく、当局は警戒を強めている。

 

欧州市場では欧州中央銀行(ECB)理事会の結果発表

ラガルドECB総裁は1月13日に『新型コロナウイルス感染再燃とそれに伴う制限措置にもかかわらず、昨年12月に広報したユーロ圏の経済成長予測は今も妥当だ』との認識を示した。今回の理事会では主要政策金利の据え置きが決定される見込みだが、追加緩和の具体策について議論される見込みである。ラガルド総裁は金融と財政による景気支援は継続する必要があるとの見解を変えていないことから、大規模な金融緩和策を長期間維持する方針は当面維持される見込みである。

 

南ア中銀の政策金利は据え置き予想

昨日発表された12月消費者物価指数(CPI)は前年比で3.1%となり、市場の予想通りの結果になった。年間を通すと3.3%になり、これは2004年以来16年ぶりの低水準だった。南アフリカ準備銀行(SARB)のCPIターゲット(3-6%)に収まっていることもあり、本日の金融政策委員会(MPC)では政策金利を3.50%に据え置かれることが予想される。 低い結果となったCPIだが、食品価格は前年比で7.3%上がり、食用油や砂糖などの日用品やガソリンなども上昇している。今後のインフレ指標の高まりを予想する声があり、当面はSARBが利下げを躊躇するのではないかとの声がある。

 

トルコ中銀の政策金利発表までは動き難い展開

日本時間20時のトルコ中央銀行の政策金利発表までは動き難い展開である。政策金利は、インフレは高止まっているものの、エルドアン大統領が高金利を否定する考えを示したこともあり、大方の予想通り『17%で据え置き』となる可能性が高い。ただ、可能性は低いが、もし小幅でも金利を変更するようなことがあれば、ここ最近の13円後半から14円前半のレンジから上放れする可能性が高い。注目は声明で示される今後の金融政策スタンスである。前回述べた『物価が安定するまで金融引き締めスタンスを断固として維持する』に何らかの変化があるかが1つのポイントになる。

 

バイデン政権は金融規制強化への揺り戻し:米金融市場のリスク

トランプ政権は金融サービスの消費者保護『消費者金融保護局』(CFPB)の権限を弱めると共に銀行に高リスク取引を禁じる『ボルカー・ルール』の一部を緩和する等、いずれもオバマ政権が金融危機への反省から『金融規制改革法(ドッド・フランク法)』による規制・監督体制を逆行させる規制緩和へと舵を切った。だが、民主党バイデン政権となって規制強化へ揺り戻しが起きそうだ。規制強化派の代表が米証券取引委員会(SEC)委員長に指名された米金融大手ゴールドマンサックス出身の元米商品先物取引委員会(CFTC)委員長ゲーリー・ゲンスラー氏である。CFTC委員長時代にウォール街の権益に切り込みデリバティブ(金融派生商品)規制を主導した。

 

欧米市場イベント

○15:30   黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
○16:45   1月仏企業景況感指数(予想:92)
○17:30   12月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比▲0.3%)
○18:00   ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:0.00%で据え置き)
○18:00   11月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比▲2.5%)
○20:00   トルコ中銀、政策金利発表(予想:17.00%で据え置き)
○21:00   12月メキシコ失業率(季節調整前、予想:4.30%)
○21:45   欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:0.00%に据え置き)
○22:30   ラガルドECB総裁、定例記者会見
○22:30   12月米住宅着工件数(予想:156.0万件、前月比0.8%)
○22:30   12月米建設許可件数(予想:160.4万件、前月比▲1.8%)
○22:30   1月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:11.5)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:91.0万件/540.0万人)
○未定   南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利発表(予想:3.50%で据え置き)
○24:00   1月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲15.0)
○米財務省2年、5年、7年債入札条件
○欧州連合(EU)首脳会議(オンライン)

 

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/01/20/15:18:00

日経平均株価:材料出尽くしによる利益確定売り優勢

前日の米国株高を好感し、朝方は上昇してスタートしてが、その後は利益確定売りが先行しマイナス圏でもみ合う展開となった。バイデン氏の米大統領就任式を控え、様子見姿勢が強まっているとの見方も出ている。イエレン氏の財政拡大に前向きな発言を先取りして日本株は上昇していただけに、本日は材料出尽くし感から様子見ムードが広がった。そのため、短期的なポジション調整主体の方向感のない展開となった。結局、前営業日比110円安の2万8523円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:様子見ムード強く103.70円近辺でもみ合い相場

ドル/円は、日経平均のさえない動きを眺めたドル売り・円買いに押され、103.75円付近へ下落した。独経済指標の改善やイタリア政局不安の後退を手掛かりとしたユーロ/ドルのユーロ高・ドル安が波した面もあった。午後は、日経平均はアジア主要株価を睨みながら、103.70円台を中心とした狭いレンジで取引された。日本時間21日午前2時に予定されているバイデン氏の米大統領就任式を前に、様子見ムードが強かった。ユーロ/ドルは、1.2145ドル前後で方向感に欠ける値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

本日は南アで12月消費者物価指数(CPI)が公表:金融政策に影響

南アの12月消費者物価指数(CPI)の結果が注目される。本日のCPIは前年比で3.1%が市場の平均予想となっている。南アフリカ準備銀行(SARB)のCPIターゲットが3-6%となっていることで、辛うじて目標にとどまることになる。もし、3%を下回った場合は、21日予定されている金融政策委員会(MPC)での利下げ予測が一挙に高まり、ランド/円が売られる可能性が高い。また逆に3.3%程度まで上昇していた場合は、仮に0.25%の利下げを行うと、政策金利が3.25%になることで実質マイナス金利になる。SARBはこれを避けることが予想され、当面の利下げ論が大幅に後退することになる。

 

トルコでは不動産バブルの様相:金融引き締め強化継続出来るか注目

昨日、11月トルコ住宅価格指数が発表され、前年比では+29.97%と統計が始まった2011年以来では最高の伸び率を記録した。昨年は11月まで前年比+5%前後で推移していたが、今年になり価格上昇が顕著となっている。ここ半年以上は前年比+20%以上の上昇率が続き、不動産バブルの様相を見せている。住宅価格が高騰している要因の1つは高い建設費とされ、また主要都市では土地不足なども原因のようである。くわえて、中東を中心とした外国からの不動産投資(投機)も価格に反映されているとも言われている。インフレ対策に取り組むトルコ中銀としては不動産バブルを避けたいところである。ただ、エルドアン大統領が再び高金利に懸念を示し始めたため、更なる金融引き締めの強化に踏み切るのは難しくなる可能性もある。しばらく中銀は過去2会合の大幅利上げの効果を見守るだけになるかもしれない。

 

メキシコが米新政権との関係構築していくのか注目

国内ではロペスオブラドール大統領がトランプ米政権との間で表面化した移民問題に関して、バイデン次期大統領に移民改革を実行するよう希望すると言及した。一方、メキシコが麻薬取引関与の疑いがあったシエンフエゴス前国防相の捜査を打ち切ると発表したことに対し、米司法省は『深く失望』と表明した。米国はメキシコ側の要請で訴追を見送った後、同国での捜査のためシエンフエゴス氏を本国に送還した経緯があり、今回の措置に対して不満をあらわにした。これらの問題を解決し、米新政権とどのように関係を構築していくのか今後も注意しておく必要がある。

 

石油需要の回復は今年後半との見方

国際エネルギー機関(IEA)は19日、石油需要の回復について、新型コロナウイルスの感染再拡大の影響を受け、今年後半になるとの見方を示した。月報で『ワクチン接種が幅広く実施されるまで、国境閉鎖、ソーシャルディスタンス措置、経済閉鎖が今後も燃料需要を抑制する』と指摘した。その上で、ワクチン接種の本格化は年後半になるとの認識を示した。世界的な石油需要の回復は12月に逆転したとして、第1・四半期の需要見通しを日量58万バレル、2021年年間では日量30万バレルそれぞれ引き下げた。

 

新政権人事ではウォール街へ厳しくなる見込み

バイデン次期米大統領の政権移行チームは、バイデン氏が米証券取引委員会(SEC)委員長にゲイリー・ゲンスラー氏、米消費者金融保護局(CFPB)局長に米連邦取引委員会(FTC)委員のロヒト・チョプラ氏を指名すると明らかにした。この人事は、新政権のウォール街への姿勢が大方の予想よりも厳しいものとなることを意味し、ウォール街は今後4年、逆風にさらされる見込みだ。プログレッシブ(進歩派)は気候変動と社会正義に関する政策課題の推進においてSECとCFPBを重要視している。ウォール街寄りの共和党員らは、今回の人選を左派への迎合と批判し、争いの元となると警告する。

 

次期寒長官候補のイエレン氏の指名承認公聴会での発言

次期財務長官候補のイエレン氏は上院指名承認公聴会で債務の拡大は好まないが積極的な追加経済対策が必要だとの考えを示した。追加支援の有効性はコストを上回ると主張した。さらに、歴史的に低金利の中、積極的な行動は賢明だと、大規模な財政策の実施を擁護した。また、今は増税よりも、国民の食卓に食料を供給することが最優先課題だとして、パンデミックが終息するまで、増税の実施を先送りする意向であることを明らかにし投資家の安心感につながった。ドル政策を巡り、輸出競争での優位性を狙うドル安を求めないとの言及。ただ、『ドル高は国益に叶う』といったような断固としたドル高政策は特に公約しなかった。イエレン氏はハト派との評判が高く、ドル安の流れが簡単に修正される可能性は少ないと予想される。

 

欧米市場イベント

○16:00   12月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.2%/前年比0.5%)
○16:00   12月英CPIコア指数(予想:前年比1.3%)
○16:00   12月英小売物価指数(RPI、予想:前月比0.5%/前年比1.2%)
○16:00   12月英卸売物価指数(PPI、食品とエネルギーを除くコア指数)
○16:00   12月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比0.3%)
○17:00   12月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.2%/前年比3.1%)
○19:00   12月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比▲0.3%)
○19:00   12月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比0.2%)
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○22:30   12月カナダCPI(予想:前月比横ばい/前年比1.0%)
○24:00   カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:0.25%で据え置き)
○24:00   1月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:86)
○21日02:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○21日03:00   米財務省、20年債入札
○21日06:00~   ブラジル中銀、政策金利発表(予想:2.00%で据え置き)
○米大統領就任式

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2021/01/19/15:09:45

日経平均株価:投資家心理改善で買い優勢

前日に続落したことを受けて、それまで過熱感が和らぎ押し目買いが流入し、値がさ株がリードする形で上値を追い、開始早々に28500円台を回復した。しばらくこの近辺でもみ合ったが、戻り売りがそれほど出なかったことから上げ幅を拡大した。また、イエレン次期財務長官が大規模な経済対策に前向きな姿勢を示す方針が伝わり、投資家心理が改善した。前営業日比391円高の2万8633円と3日ぶりに大幅反発した。

 

東京外国為替市場:リスク選好の動きや米長期金利上昇からドル買い優勢

ドル/円は、次期米財務長官に指名されているイエレン氏が、今晩の指名承認公聴会で大規模な経済対策の必要性を強く訴えるとの思惑から上値を試す展開となり、104.10円付近まで上昇した。日経平均の大幅高や米長期金利が上昇したことも、ドル買い・円売りにつながった。ただ、14日につけた104.20円が上値の目処として意識されると上げは一服した。午後は、日経平均や上海総合株価指数を睨みながら、104.00円を挟んでもみ合いとなった。休場明けとなる米国市場の株価や金利動向を見極めたいとの雰囲気もあり、積極的な売買は手控えられた。ユーロ/ドルは、1.2095ドル前後で方向感に欠ける値動きとなった。

 

中国北東部でコロナ感染拡大続く

中国国家衛生健康委員会は18日、中国本土で17日に新型コロナウイルスの感染者が新たに109人確認されたと発表した。春節(旧正月)の連休を前に北東部で感染が拡大しており、全国に広がる可能性が懸念されている。新規感染者は前日も同数で、100人を超えるのは17日で6日連続となった。中国の新規感染者は2020年初めのピーク期と比べると依然として少ないものの、当局は感染再拡大による打撃を回避するため、一連の厳しい規制を導入、2900万人以上がロックダウン(都市封鎖)の対象となっている。

 

トルコのポジティブ材料:リラの支援材料

昨日トルコの首都アンカラで開催されたトルコ・独外相会談後の共同会見で、マース独外相とチャウショール・トルコ外務相の双方から『トルコとEU関係にポジティブな兆し』との言葉が出たことはリラの支援材料となりそうである。また、明確な進展はまだないが、トルコと友好的なカタールが仲介役になり、トルコと湾岸諸国(サウジアラビアやUAE)との溝が埋まる可能性が出てきたこともトルコ経済にとってはポジティブ材料になる。

 

南アでは難しい金融政策で様子見ムード:利下げか現状維持か

市場が注目する20日の12月消費者物価指数(CPI)、21日の南アフリカ準備銀行(SARB)の金融政策委員会(MPC)まで動きにくい。21日のMPCは一部で利下げ予想もあるが、現時点では3.5%の据え置きが優勢となっている。SARBの中ではインフレ率(11月CPI3.2%)よりも金利を引き下げ、実質マイナス金利には導くことに躊躇しているとしているが、第3段階のロックダウンの影響が大きくなった場合は、利下げ論も話し合われるのではないかとされている。

 

トランプ大統領は任期切れを前に負の遺産残しがリスク

トランプ米大統領の任期切れを前に、大統領が様々なことを発表している。本日の朝に、『国家安全上を理由に中国製のドローンの使用禁止』『欧州・ブラジルからの入国制限を26日から解除』を発表した。また、19日には100人近くに恩赦や減刑を与えるとも予想されている。自分が最高権力者でいる間に、行えることは全て行う姿勢でいる。欧州やブラジルの入国制限解除については、これだけ欧州やブラジルで感染が増加しているにもかかわらず解除することには驚きを隠せない。通常は次期政権が行動をしやすいようにするのが現職大統領だが、トランプ氏はそのようなことを行なわない。次期政権がどのようになろうが『知ったこっちゃない』姿勢を貫いている。残り40時間程度しかないトランプ氏の大統領任期だが、どのようなことを更に行うか予断が許せない状況である。

 

迅速な行動をしない場合は経済は長くより痛みを伴う

米連邦準備理事会(FRB)の前議長を務めたジャネット・イエレン次期財務長官の承認公聴会が19日に議会上院で行われる。準備された原稿によれば、イエレン氏は米国が政府支出を増やすために迅速に行動しなかった場合、『経済により長く、より痛みを伴う景気後退と長期的な傷跡を残すリスクがある』との見解を示したと報じられている。イエレン氏はまたバイデン次期大統領が提案した1兆9000億ドルの追加経済対策に関しては『金利が歴史的な低水準にある今、私たちにできる最も賢いことは、大きく行動することです。長期的には、特に非常に長い間苦労している人々を支援することに関しがある場合、メリットはコストをはるかに上回ると私は信じています』とし、財政赤字が拡大することにより、積極的な愛性主導の必要性を訴えたという。

 

欧米イベント

○16:00   12月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.5%/前年比▲0.3%)
○16:30   12月スイス生産者輸入価格
○18:00   11月ユーロ圏経常収支(季節調整済/季節調整前)
○19:00   1月独ZEW景況感指数(予想:60.0)
○19:00   1月ユーロ圏ZEW景況感指数
○19:00   11月ユーロ圏建設支出
○22:30   11月カナダ卸売売上高(予想:前月比1.0%)
○22:30   11月カナダ製造業出荷(予想:前月比▲0.1%)
○24:00   次期米財務長官に指名されたジャネット・イエレン氏の承認公聴会
○20日03:00   ホールデン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○20日06:00   11月対米証券投資動向
○欧州連合(EU)財務相理事会

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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