FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

2022/03/01/07:49:19

米国株式市場はまちまち:ハイテク株上昇で下げ幅縮小して終了

NYダウは166.15ドル安の33892.60ドル、ナスダックは56.78ポイント高の13751.40ポイントで取引を終了した。ウクライナ危機を受け政府はロシア中銀との取引禁止を発表するなど、対ロ制裁を強化したため、寄り付き後は下落した。ロシアのプーチン大統領も報復制裁を発表すると、警戒感が強まり一時580ドル超まで下げ幅を拡大した。同時に、ロシアとウクライナが初の停戦協議を開催、一定の成果が見られ、近く2度目の開催で合意したことが報じられたほか、金利の低下に伴うハイテク株の上昇にも支えられ、引けにかけダウは下げ幅を縮小した。VIX指数は27.59から30.15へ上昇した。

 

NY外国為替市場:米長期金利低下でドル売りやや優勢

ドル/円は、ウクライナとロシアの代表団が停戦を巡る協議を開始したと伝わると、停戦交渉への期待から米国株が下げ渋り、ドル/円にも買い戻しが入る場面があった。ただ、停戦実現に向けた両国の立場は大きく異なり、今後の対話で進展が望めるかは不透明。ロシア側は停戦の条件としてウクライナの非武装化・中立化、現政権の責任追及などを要求した一方、ウクライナ側はウクライナ領とクリミア半島からのロシア軍撤退を求めた。不透明感を嫌気してNYダウが580ドル超下落すると、リスク回避の円買いが優勢となり、週明け早朝取引で付けた114.90円を下抜けて一時114.82円まで値を下げた。なお、この日も首都キエフ近郊などウクライナ各地で両国軍の戦闘が報じられた。米国の衛星画像ではロシア軍がキエフに接近していることが確認されており、ロシア軍はキエフに突入する構えを崩していない。米国防総省高官は『ロシア軍が数日間でキエフの包囲を狙う』との見通しを示した。 

 

ユーロ/ドルは、ウクライナとロシアはベラルーシ南東部のウクライナとの国境地帯で停戦を巡る協議を実施したものの、双方の立場は隔たりが大きく、今後の対話で進展が望めるかは不透明。安全資産とされる米国債は買われ、米長期金利の指標である米10年債利回りは一時1.81%台まで低下した。米金利の動きに連れてドルも弱含み、ユーロドルは一時1.1246ドルと日通し高値を付けた。市場では『マーケット混乱回避のため米連邦準備理事会(FRB)が3月米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.50%の大幅利上げに動きにくくなった』との見方が強まっており、ドルの重石となった面もあった。

 

NY原油先物市場は大幅反発:利食い売り後に再び買戻し

NY原油先物市場は94.43ドル-99.10ドルのレンジ相場となった。週末にロシアに対して国際銀行間通信協会(SWIFT)から排除する追加の金融制裁を科すことで合意したことで、早朝の時間外では99ドル台まで上昇して始まった。その後、ウクライナとロシアの和平交渉が始まったことなどもあり、上げ幅は大きく削ったが、依然として欧州でのエネルギー不安が高いことで先週末比では大幅に反発して引けた。アジア市場で99.10ドルまで買われたが、その後はウクライナウ情勢をにらんで利食い売りが増えたことで伸び悩み、ニューヨーク市場の中盤にかけて94.43ドルまで反落した。ただ、通常取引終了後の時間外取引で買い戻しが入り、96ドル近辺で推移している。

 

NY金先物市場は反発:西側諸国とロシアの対立深まり買い優勢に

NY金先物市場は1892.20-1935.20ドルのレンジ相場となった。週末にロシアに対して国際銀行間通信協会(SWIFT)から排除する追加の金融制裁を科すことで合意するなど、ウクライナ情勢をめぐる西側諸国とロシアとの対立が深まり、リスク回避の動きで安全資産とされる金先物に買いが集まった。もっとも、ウクライナとロシアの和平交渉が第2ラウンドまで開かれることが決まると、徐々に上げ幅を縮めた。アジア市場で1935.20ドルまで買われたが、ウクライナ情勢の進展をにらんでニューヨーク市場の中盤に1892.20ドルまで反落した。ただ、通常取引終了後の時間外取引では株安を意識して1900ドル台を回復している。 

 

米国債券市場は上昇:世界経済の先行き不透明感強まり買い優勢に

米国債券市場で中長期ゾーンは上昇(利回りは低下)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.15%低い(価格は上昇)1.42%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.14%低い1.82%で終了した。ロシアのウクライナ侵攻に対し、欧米諸国がロシアに厳しい経済制裁を発動した。世界経済の先行き不透明感が強まり、相対的に安全資産とされる米国債には買いが集まった。市場では『月末の機関投資家による保有債券の残存年限を長期化するための買いが入った』との声も聞かれた。 

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2022/02/28/03:01:54

米国株式市場は上昇:ロシアとウクライナでの停戦交渉期待から買い優勢

NYダウは834.92ドル高の34058.75ドル、ナスダックは221.05ポイント高の13694.63ポイントで取引を終了した。ロシアのプーチン大統領がウクライナと高官レベルの協議に前向きだとの報道を受け投資家心理が改善し、寄り付き後は上昇した。停戦交渉への期待に加え、1月耐久財受注や個人消費支出(PCE)、2月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値が予想を上回る経済指標の強い結果も手伝い、終日堅調に推移した。また、「米証券取引委員会(SEC)は新規制でヘッジファンドの株式ショートの情報開示拡大を求める」との報道も好感された。さらに引けにかけて、疾病管理予防センター(CDC)がマスク規制の緩和を発表すると、景気回復期待がさらに強まり、上げ幅を拡大した。VIX指数は30.32から27.59へ低下した。

 

NY外国為替市場:ウクライナの緊迫化和らぎドル売り・円売り

ユーロ/ドルは、ウクライナのゼレンスキー大統領が声明でプーチン露大統領に対して停戦交渉を提案したほか、ロシア側もウクライナと交渉するため『ベラルーシの首都ミンスクに代表団を送る用意がある』と表明し、協議に応じる姿勢を示した。ロシアとウクライナの停戦交渉への期待が浮上し、欧米株価が大幅上昇すると投資家のリスク回避姿勢が和らぎユーロを買い戻す動きが強まり、一時1.1274ドルと日通し高値を更新した。ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁がユーロ圏財務相会合後に『ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、ユーロ圏の物価安定と金融安定の確保に必要なことは全て実施する用意がある』と表明したことも相場を下支えした。同総裁は『インフレは短期的に高くなる公算が大きい』『次の措置について3月10日の理事会で分析する』とも語った。

 

ドル/円は、ロシア政府がウクライナとの停戦交渉に臨む考えを表明し、紛争が早期に終結するとの期待が高まると、欧米株価が大幅に上昇。投資家のリスク志向が改善し円売り・ドル買いが優勢になった。前日の高値115.69円を上抜けて一時115.76円まで値を上げた。ただ、16日の高値115.79円や15日の高値115.87円が目先レジスタンスとして働くと伸び悩んだ。世界的に株価は大幅上昇したものの、ウクライナ情勢は依然として流動的なうえ、欧米によるロシアへの経済制裁が世界景気を冷やすリスクも引き続き警戒される。なお、米連邦準備理事会(FRB)はこの日、半期に一度の金融政策報告書を公表し、『インフレがFRBの長期目標を大きく上回り、労働市場が好調に推移する中、政策金利の引き上げが近く適切になると見込んでいる』と表明した。報告書は来週3月2-3日のパウエルFRB議長の議会証言に先立ち公表された。 

 

NY原油先物市場は4日ぶりに反落:利食いやロングの投げ巻き込み売り

NY原油先物市場は90.06ドル-95.64ドルのレンジ相場となった。ウクライナ各地から同国軍とロシア軍の戦闘の様子が伝わり、東欧リスクの高まりは『買い』の原油先物は95ドル台まで上昇した。しかしながらその後、ロシアは停戦交渉の用意があると報じられると、一転し売り戻しが優勢になった。ロングの投げも巻き込み、一時90ドル手前まで下値を広げた。ただ節目の手前では下げ止まり、週引けにかけては下値を切り上げて終えた。アジア市場で95.64ドルまで買われたが、その後は利食い売りが増えたことで伸び悩み、ニューヨーク市場の中盤にかけて90.06ドルまで反落した。ただ、通常取引終了後の時間外取引で買い戻しが入り、92ドル台半ば近辺まで戻している。米国の石油掘削装置(リグ)稼働数は前週比2基増加の522基となった。

 

NY金先物市場は 4日ぶりに大幅下落:リスク回避の巻き戻しの売り

NY金先物市場は1884.40-1925.00ドルのレンジ相場となった。ウクライナ情勢を眺め、市場のリスクセンチメントは強弱どちらにも大きく振れた。その影響を受けて、金先物は時間外でも1880ドル台から1920ドル台で荒い値動きとなった。NY勢の参入後、プーチン露大統領がウクライナとの交渉に前向きな姿勢を示したことが伝わると、金融市場全般にリスク回避の巻き戻しが進んだ。安全資産とされる金は上値重いまま週引けした。アジア市場で1925.00ドルまで買われたが、欧米株式の上昇を意識して上げ渋り、ニューヨーク市場の中盤に1884.40ドルまで反落した。通常取引終了後の時間外取引では主に1890ドル台で推移した。

 

米国債券市場はまちまち:停戦交渉実現への不透明感を意識

米国債券市場で中期ゾーンは上昇(利回りは低下)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.01%低い(価格は上昇)1.57%で終了した。また、米長期ゾーンは変わらずだった。米10年物国債利回りは前営業日比変わらずの1.96%で終了した。ロシアとウクライナの停戦交渉への期待から債券売りが先行したものの、売り一巡後は買い戻しが入り持ち直した。ウクライナ情勢を巡る懸念は根強く、積極的に債券売りを進める状況にはならなかった。ロシアとウクライナの激しい武力衝突が報道され、停戦交渉実現への不透明感も意識された。 

 

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2022/02/25/07:35:47

米国株式市場は上昇:売り一巡後はハイテク株に押し目買いで持ち直す

NYダウは92.07ドル高の33223.83ドル、ナスダックは436.10ポイント高の13473.59ポイントで取引を終了した。ロシアによるウクライナ軍事侵攻を受け投資家心理が悪化し、アジア、欧州市場からの流れを継ぎ、寄り付き後は大幅安となり、一時850ドル超下落した。その後、バイデン大統領が発表した対ロ制裁第2弾はプーチン大統領個人を対象とした制裁やSWIFTシステム、エネルギー関連の制裁が含まれず、厳しいものにならず、売り一巡後はハイテク株に押し目買いなどが入り、急速に持ち直した。引けにかけて下げを消し、プラスに転じた。VIX指数は31.02から30.32へ低下した。

 

NY外国為替市場:流動性の高いドルを買う動き

ユーロ/ドルは、ロシアがウクライナへの本格的な軍事侵攻を開始したことを受けて、投資家のリスク回避姿勢が強まり、世界的に株式相場が下落した。為替市場でもリスク回避の動きが強まり、ユーロ売り・ドル買いが進んだ。サポートとして意識されていた1月28日の安値1.1121ドルを下抜けて一時1.1106ドルと2020年6月以来の安値を更新した。ロシアのウクライナ侵攻でWTI原油先物価格は約7年7カ月ぶりに節目の1バレル=100ドルを突破した。エネルギーコストの上昇がユーロ圏経済の回復を妨げるとの見方からユーロ売りが出た面もあった。ただ、一時は850ドル超急落したNYダウがプラス圏を回復し、ナスダック総合が3%超上昇すると、投資家のリスク回避姿勢が後退しユーロ買い・ドル売りが優勢になり、一時1.1221ドル付近まで下げ幅を縮めた。バイデン米大統領はホワイトハウスで演説し、『プーチン露大統領は侵略者。追加の強力な制裁と新たな輸出制限を承認する』と発言した。『ロシアの主要銀行5行に制裁を科す』『ロシアがドルとユーロ、ポンド、円で取引する能力を制限する』と表明した。ただ、米大統領が発表した追加制裁に国際決済網からのロシア締め出しは含まれなかったことから、米国株には買い戻しが入った。 

 

ドル/円は、日本時間夕刻に一時114.41円と3日以来の安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢になった。対ユーロ中心にドル高が進んだ流れに沿って円売り・ドル買いが出たほか、市場では『欧米諸国とロシアとの緊張が高まるなか、不測の事態に備えて、流動性の高いドルを買う動きが強まった』との声が聞かれ、一時115.70円と日通し高値を更新した。一時は1.84%台まで低下した米10年債利回りが1.97%台まで低下幅を縮めたことも相場を下支えした。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時97.74と2020年6月以来の高値を付けた。 

 

NY原油先物市場は3日続伸:世界的な供給混乱が危惧され買い優勢

NY原油先物市場は91.45ドル-100.54ドルのレンジ相場となった。ロシア軍がウクライナの複数都市を攻撃したことが報じられると、世界的な供給混乱が危惧されて原油相場は急騰した。NY早朝には約7年7カ月ぶりに100ドル台に乗せる場面があった。もっとも米国勢が本格的に参入すると上値を切り下げる展開になった。急ピッチで上げた反動や、対露制裁を懸念してロシア産原油を買う動きが手控えられたとの報道も重石となった。ロンドン市場で100.54ドルまで買われたが、ニューヨーク市場の中盤以降は上げ渋り、終盤にかけて91.45ドルまで反落。通常取引終了後の時間外取引では主に93ドルを挟んだ水準で推移した。 

 

NY金先物市場は3日続伸:ドル高を嫌気した売りで上値切り下げ

NY金先物市場は1878.60-1976.50ドルのレンジ相場となった。ロシア軍がウクライナに侵攻したことが伝わると安全資産とされる金を買う動きが一気に強まり、時間外では1976ドル付近まで大きく値を上げた。ただNY勢が本格参入すると一転し売り戻しが優勢になった。為替相場でドル高が急速に進み、ドル建ての金には割高感が生じたことも重石となった。なお、リスクセンチメントの改善を受け、引け後の時間外取引きでは1900ドルを割り込んだ。ロシアによるウクライナ攻撃で1976.50ドルまで買われたが、ニューヨーク市場の終盤にかけて一時1878.60ドルまで反落した。通常取引終了後の時間外取引では主に1900ドルを挟んだ水準で推移した。

 

米国債券市場は上昇:米国株の持ち直しで急速に伸び悩み

米国債券市場で中長期ゾーンは上昇(利回りは低下)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.02%低い(価格は上昇)1.58%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.03%低い1.96%で終了した。ロシアがウクライナへの本格的な軍事侵攻を開始したことを受けて、投資家のリスク回避姿勢が強まり、相対的に安全資産とされる米国債に買いが集まった。ただ、大幅安で始まった米国株が持ち直すと急速に伸び悩んだ。 

 

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2022/02/24/07:47:18

米国株式市場は下落:地政学リスクが再び意識され売り優勢に

NYダウは464.85ドル安の33131.76ドル、ナスダックは344.03ポイント安の13037.49ポイントで取引を終了した。良好な企業決算を好感した買いや、欧米の対ロ制裁がそれほど厳しいものではなく、さらに、ロシア、ウクライナ対立が地域的なリスクにとどまるとの見方も支援し、寄り付き後は上昇した。その後、政府がウクライナに48時間内のロシアによる本格侵攻を警告したと報じられ、さらに、ウクライナが全土非常事態宣言を発令する計画が明らかになると、警戒感を受けた売りが再燃した。引けにかけて、下げ幅を拡大し一時510ドル超下落した。VIX指数は28.81から31.02へ上昇した。

 

NY外国為替市場:ウクライナ絡みの材料ではドル/円は方向感出ず

ユーロ/ドルは、欧米諸国は対ロシア制裁を相次ぎ表明したものの、限定的な制裁にとどめて外交的解決の道を残したことから、投資家の過度なリスク回避姿勢が和らぎ、欧州序盤は一時1.1359ドルまで買い戻される場面があった。ただ、買い戻しはあくまでポジション調整の域を出ず長続きしなかった。NYの取引時間帯に入ると軟調に推移した。ウクライナ議会はこの日、全土に非常事態宣言を発令することを承認したほか、同国軍は市民の予備役招集を開始。また、バイデン米政権はゼレンスキー・ウクライナ大統領に『ロシア軍が48時間以内に本格的な侵攻を開始する可能性があると警告した』と伝わり、ロシアの本格的なウクライナ侵攻への警戒感が強まった。高く始まった米国株相場が下げに転じ、リスク回避のユーロ売り・ドル買いが進むと、1.1301ドルと日通し安値を更新した。なお、米政府高官は『ロシアはウクライナ国境沿いに集結させた軍部隊のうち80%が戦闘態勢を整えている』とし、ロシアはいつでもウクライナを全面的に侵攻できる状態にあるとの見方を示した。

 

ドル/円は、一時114.93円まで下げたあと115.20円の本日高値まで値を上げたが、再び114.89円の本日安値まで押し戻された。ウクライナ絡みの材料ではドルと円が同じ方向に動きやすく、ドル/円自体は方向感に欠ける動きとなった。また、本日は重要な米経済指標の発表などもなく手掛かり材料に欠けたことから、方向感が出にくい面もあった。 

 

NY原油先物市場は続伸:需給ひっ迫の可能性残り買い優勢に

NY原油先物市場は90.64ドル-93.90ドルのレンジ相場となった。ウクライナの領土保全を侵害したとし、欧米諸国から経済制裁を受けたロシアが、対抗措置で原油の供給を制限するとの根強い懸念が下値を支えた。ロシア軍の本格的なウクライナ侵攻への警戒感が高まった場面では93.90ドル付近まで急騰した。もっとも、主要産油国ロシアのエネルギー相が『市場にとっての最適な原油価格は、1バレル55ドルから70ドル』との見解を示したことが重石となり、一巡後は上げ幅を大きく削った。ロンドン市場で90.64ドルまで売られたが、ニューヨーク市場で93.90ドルまで買われた。 

 

NY金先物市場は続伸:ウクライナ情勢による地政学リスク高まり買い優勢

NY金先物市場は1891.10-1912.90ドルのレンジ相場となった。高値圏での推移が続くなか利益確定売りに押される場面はあったが、1900ドル割れでは再び下げ渋った。ロシアによるウクライナへの本格的な軍事侵攻に対する警戒感が高まっており、安全資産とされる金の需要は根強かった。ロンドン市場で1891.10ドルまで下げたが、ロシアに対する経済制裁が導入されたことから、安全逃避的な買いが入った。ニューヨーク市場で1912.90ドルまで反発した。通常取引終了後の時間外取引では主に1910ドルをやや上回る水準で推移した。

 

米国債券市場は続落:エネルギー価格の上昇でインフレ圧力が高まるとの見方

米国債券市場で中長期ゾーンは続落(利回りは上昇)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.04%高い(価格は下落)1.60%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.05%高い1.99%で終了した。ウクライナ情勢の緊迫化でエネルギー価格が上昇傾向を強め、インフレ圧力が一段と高まるとの見方が強まった。米連邦準備理事会(FRB)がインフレ抑制のため積極的に金融政策の正常化を進めるとの観測から債券売りが広がった。 

 

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2022/02/22/07:35:32

米国市場はプレジデンツデーで休場

米国株式市場、NY原油先物、NY金先物、米国債券市場は休場

 

NY外国為替市場:ウクライナ情勢を巡る地政学リスクへの警戒が高まる

ユーロ/ドルは、ウクライナ情勢を巡り、仏大統領府が『米露首脳会談の開催提案を両首脳が原則として受け入れた』と発表すると、緊張緩和への期待からユーロ買い・ドル売りが入り、欧州序盤に一時1.1390ドルと日通し高値を付けた。ただ、ロシア側から首脳会談の具体的な計画はないとする報道が伝わるなど、本格的な緊張緩和につながるかは不透明で、ユーロ買いの勢いは続かなかった。そのあとは独株価指数が大幅続落し約11カ月ぶりの安値を更新したことを受け、リスク回避のユーロ売り・ドル買いがじわりと強まった。米国がプレジデンツデーの祝日で休場だったことから、市場参加者は少なかったが、一時1.1307ドルと日通し安値を付けている。なお、ウクライナ東部の親ロシア派『ドネツク人民共和国』と『ルガンスク人民共和国』の指導者はこの日、独立国家として承認するようプーチン露大統領に要請した。これを受けて、プーチン氏は両共和国を承認する法令に署名した。市場では『親ロ派が国家となれば、中央政府を無視して、ロシアに軍事介入を要請する展開もあり得る。ウクライナ情勢は重大な局面を迎えた』との声が聞かれた。 

 

ドル/円は、ウクライナ情勢を巡る地政学リスクへの警戒が高まる中、リスク回避の円買いが優勢となった。一目均衡表雲の上限114.81円や前週末の安値114.79円を下抜けて、一時114.70円まで値を下げた。取引終盤に『プーチン氏はウクライナ東部の親ロ派地域での平和維持活動を命じた』と伝わったことも相場の重石となった。 

 

ウクライナ情勢への警戒から欧州株や下落

ウクライナ情勢への警戒から、地政学リスクが引き続き相場の重荷となる。21日は主要な欧州の株価指数が軒並み下落した。投資家のリスク回避姿勢は強く、東京市場でも売りが続く可能性が高い。大証の日経225先物は前日比420円安の26,520円で終了した。

緊迫化するウクライナ情勢の懸念から21日の欧州株式市場ではドイツの主要株価指数DAXが2%下落し、11カ月ぶりの安値を付けた。フランスのCAC40やイタリアのFTSE・MIBも2%下げた。ロシアの株価指数RTSは13%安と急落した。

 

地政学リスクがFRBのレトリックを変えることはない

CMEグループのFedウォッチツールで21日、3月米連邦公開市場委員会(FOMC)での50bp利上げの織り込み度が16.3%となり、前週末(22.1%)から低下した。ウクライナ情勢の緊迫化を受け、大幅利上げはないとの見方が優勢になってきた。ウクライナ情勢次第で米連邦準備理事会(FRB)のハト派化を期待する動きが強まるのか関心を集めそうだが、22Vリサーチは21日付のリポートで『地政学リスクが見通しを変えることはない』との見解を示した。リポートでは、ロシアとの紛争が原油価格を急騰させ、成長を鈍化させるリスクがあるため、金融引き締めを巡るFRBのレトリックが緩和されると予想する向きもあるとしながら、『FRBが総需要の伸びを鈍化させるような展開(利上げ)を相殺しようとする理由はない。問題は、彼らが収縮ショックを相殺する傾向があるかどうかだ。この時点での答えはノーだ』と指摘した。その上で『ウクライナ情勢のエスカレートが避けられれば良いのだが、そうであればアメリカの強い需要の伸び、家賃の上昇圧力、そして賃金が実質利回りを押し上げるだろう』としつつ、『年末のコア個人消費支出(PCE)物価指数は約3%に達する見込みだ』とし、インフレ圧力が残る中でFRBのハト派化は難しいとみていた。その一方、中期的にFRBが価格決定力の低下を通じた成長鈍化を追求している状況に投資家が適応する中、株式市場は苦戦するだろうとしながら、『ロシア情勢の解決は短期的な懸念を緩和し、短期的な回復を後押しするだろう』と指摘した。サプライチェーンの改善も予想されることから、株式のロング戦略を維持することは22年後半に興味深いものになるだろうともみていた。

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