FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

2022/03/23/07:31:39

米国株式市場は上昇:金利高の恩恵を受ける銀行セクターがけん引

NYダウは254.47ドル高の34807.46ドル、ナスダックは270.36ポイント高の14108.82ポイントで取引を終了した。スポーツ用品ブランドのナイキ(NKE)の好決算を好感した買いや金利高の恩恵を受ける銀行セクターの上昇がけん引し、寄り付き後は上昇した。連邦準備制度理事会(FRB)が引き締めペース加速の必要性を主張し、高インフレへの対応を強化する方針を示したことが中銀への信頼回復に繋がったことも買い材料になり、終日堅調に推移した。ハイテク株の買いも継続した。VIX指数は23.53から22.94へ低下した。

 

NY外国為替市場:日米金融政策の違いからドル買い・円売り優勢

ドル/円は、欧州市場では一時121.03円と2016年2月以来6年1カ月ぶりの高値を付けたものの、NY市場に入ると120円台半ばから後半でのもみ合いに終始した。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が前日の講演で積極的に金融引き締めを進める方針を改めて示した一方、黒田東彦日銀総裁が前週末に足もとの円安を容認し、最近の資源高によるインフレでも大規模緩和策を堅持する方針を表明したことから円売り・ドル買いが出やすい地合いだった。半面、このところ急速に値を上げた反動で持ち高調整目的の売りも出やすく、相場は方向感が出なかった。対欧州通貨中心にドル安が進んだ影響も受けた。なお、ブラード米セントルイス連銀総裁は『インフレ抑制に向け積極的に行動する必要がある』『政策金利を今年3%に引き上げるべき』と述べたほか、デイリー米サンフランシスコ連銀総裁は『今こそ緩和策を縮小させるとき』『インフレを抑制しインフレ期待をより強固に固定するために政策金利を中立水準以上に引き上げるべき』などと発言したものの、相場の反応は限られた。 

 

ユーロ/ドルは、欧米株価の上昇を背景にリスク選好のユーロ買い・ドル売りが優勢になると、一時1.1046ドルと日通し高値を更新した。ただ、前日の高値1.1070ドルが目先レジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。NY午後に入ると、新規材料難から1.10ドル台前半で値動きが鈍った。 

 

NY原油先物市場は4営業日ぶりに反落:やや調整売り強まる

NY原油先物市場は107.10ドル-113.35ドルのレンジ相場となった。欧州によるロシア産原油の禁輸措置について足並みがまだ揃っていないとの報道などからやや調整売りが強まった。アジア市場で113.35ドルまで買われた後、ロンドン市場で107.10ドルまで反落。利食い売りが増えた。ただ、ウクライナ情勢は流動的であり、ニューヨーク市場で111ドル台まで戻しており、通常取引終了後の時間外取引では主に109ドルを挟んだ水準で推移した。

 

NY金先物市場は反落:米長期金利の上昇を嫌気した売り

NY金先物市場は1909.80-1939.50ドルのレンジ相場となった。昨日のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長によるタカ派発言で本日も米長期金利が大幅上昇したため、金利のつかない金先物相場には売りが強まった。一時1909.8ドルまで下落する場面があった。アジア市場で1939.50ドルまで買われたが、米長期金利の上昇や株高を意識して反落した。ニューヨーク市場の序盤にかけて1909.80ドルまで下げた。ただ、ウクライナ情勢がすみやかに改善する兆しはないため、安全逃避的な買いも観測された。通常取引終了後の時間外取引では主に1920ドル台で推移した。 

 

米国債券市場は続落:米FRBが利上げを急ぐとの観測から売り優勢

米国債券市場で中長期ゾーンは続落(利回りは上昇)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.05%高い(価格は下落)2.17%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.09%高い2.38%で終了した。米連邦準備理事会(FRB)が利上げを急ぐとの観測が強まる中、この日も債券売りが続いた。利回りは一時2.3898%前後と2019年5月以来の高水準を付けた。なお、米金融大手ゴールドマン・サックスは『FRBは5月と6月に連続して0.50%の利上げに踏み切る』と予想している。

カテゴリー: 朝の市場コメント

朝の市場コメント!

2022/03/22/07:39:18

米国株式市場は下落:パウエル米FRB議長のタカ派発言で売りに拍車

NYダウは201.94ドル安の34552.99ドル、ナスダックは55.38ポイント安の13838.46ポイントで取引を終了した。ロシア、ウクライナ停戦交渉への期待や値ごろ感からの買いに、寄り付き後は上昇した。しかし、中国での旅客機墜落事故を受けたボーイングの下げがNYダウを押し下げ、下落に転じた。1銘柄でNYダウを44ドルほど押し下げた。さらに、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が全米企業エコノミスト協会(NABE)で講演し、インフレ高進を抑制するため、必要とあれば大幅な利上げも辞さないとするタカ派姿勢を再表明したため金利上昇を警戒し、売りに一段と拍車がかかり、一時410ドル超下げた。VIX指数は23.87から23.53へ低下した。

 

NY外国為替市場:パウエル米FRB議長のタカ派発言ど全般ドル買い優勢

ドル/円は、しばらくは119円台前半でのもみ合いが続いていたが、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が講演で『今後の会合で通常の利上げペースよりも積極的に政策金利を引き上げることが適切と判断すればそうする。中立金利を上回る利上げが必要と判断した場合にはそうするだろう』などと述べ、積極的な金融引き締めに前向きな姿勢を示すと、米金利の上昇とともにドル買いが活発化した。前週末の高値119.40円を上抜けて一時119.50円と2016年2月以来6年1カ月ぶりの高値を付けた。 

 

ユーロ/ドルは、パウエルFRB議長が必要に応じて0.50%の利上げを実施する用意があるとの姿勢を表明し、5月までにバランスシート縮小に着手する可能性があるとの見方を改めて示すと、ユーロ売り・ドル買いが優勢となった。ロシアとウクライナの停戦交渉の行方に不透明感が広がっていることも相場の重しとなり、一時1.1010ドルと日通し安値を更新した。なお、ナーゲル独連銀総裁は『インフレ見通しによって正当化されるなら、欧州中央銀行(ECB)は金融政策の正常化を継続し、早ければ年内にも利上げを実施すべき』と述べたものの、相場の反応は限られた。

 

NY原油先物市場は3日続伸:ウクライナ情勢の悪化から買い優勢に

NY原油先物市場は102.47ドル-111.08ドルのレンジ相場となった。収まらないウクライナ情勢の悪化を受けて欧州各国がロシア産原油の禁輸措置にいよいよ動くとの思惑から需給圧迫を懸念した買いが優勢となった。アジア市場の序盤に102.47ドルまで下げた後はじり高となり、ニューヨーク市場の序盤に109.56ドルまで上昇した。一時108ドルを下回ったが、ウクライナ情勢は流動的であり、通常取引終了後の時間外取引で111.08ドルまで一段高となった。 

 

NY金先物市場は小反発:地政学リスクの高まりから買い優勢に

NY金先物市場は1917.20-1941.80ドルのレンジ相場となった。NY序盤には1917ドル付近まで調整売りに押されたが、ロシア軍が包囲するマウリポリの制圧を狙って攻撃を激化するなどウクライナ情勢のさらなる緊迫化を受けて安全資産とされる金の買い意欲は強かった。ニューヨーク市場の序盤にかけて1917.20ドルまで下げたが、ウクライナ情勢の改善は期待できないことから、1941.80ドルまで反発した。株安を意識して安全逃避的な買いも観測された。通常取引終了後の時間外取引では主に1930ドル台で推移した。

 

米国債券市場は下落:パウエル米FRB議長のタカ派発言受け売り優勢に

米国債券市場で中長期ゾーンは下落(利回りは上昇)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.18%高い(価格は下落)2.12%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.14%高い2.29%で終了した。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長のタカ派発言が伝わると、積極的な金融引き締めに前向きとの受け止めから債券売りが広がった。利回りは一時2.3186%前後と2019年5月以来の高水準を付けた。 

カテゴリー: 朝の市場コメント

週末の朝市場コメント!

2022/03/21/03:00:12

米国株式市場は上昇:米中首脳会談への期待から切り返し

NYダウは274.17ドル高の34754.93ドル、ナスダックは279.06ポイント高の13893.84ポイントで取引を終了した。前日までの4日間で1500ドル強上昇していたため、週末を控えて利益確定目的の売りなどが先行しほか、ロシア軍が北大西洋条約機構(NATO)加盟国であるポーランド国境近くのウクライナ西部を再びミサイル攻撃し、リビウ空港近くにミサイルが撃ち込まれたとの報道で状況悪化を警戒し、寄り付き後は下落した。しかし、ウクライナ戦争を巡る米中首脳会談への期待に下げ止まった。さらに、金利の低下で、ハイテク株が引き続き強く相場をけん引した。また、個別銘柄と指数を対象としたオプションが本日期限を迎え、トリプルウィッチングに絡んだ買いも見られ引けにかけて上げ幅を拡大した。VIX指数は25.67から23.87へ低下した。

 

NY外国為替市場:黒田日銀総裁の円安肯定発言で円売り優勢

ドル/円は、今週、米連邦準備理事会(FRB)は金融引き締めに動いた一方、日銀は大規模な金融緩和策を維持したことから、日米金融政策の方向性の違いに着目した円売り・ドル買いが出やすい地合いとなった。黒田東彦日銀総裁が円安について『家計には必ずしもプラスではない』としながらも、『輸出増などを通じて経済全体に恩恵がある』と強調し、足もとの円安を肯定したことも円売りを誘った。また、FRB高官らから相次いで早期の米金融引き締めに前向きな発言が伝わったこともドル買いを促し、一時119.40円と2016年2月以来6年1カ月ぶりの高値を更新した。
 なお、ウォラーFRB理事は『今後数カ月は0.50%の利上げを複数回実施して、より早期に物価高にインパクトを与えるべき』との考えを示したほか、ブラード米セントルイス連銀総裁は『年内の残り6回会合のうち5回で0.50%の利上げが必要と考える』『FF金利の誘導目標は今年、3%以上に引き上げるべき』などと発言した。また、カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁は『インフレ抑制のためにFRBはより積極的に行動する必要がある』と語った。

 

ユーロ/ドルは、複数のFRB高官から積極的な米金融引き締めに前向きな発言が伝わったことで、ユーロ売り・ドル買いが優勢となった。ロシアとウクライナの首都キエフでの攻防がこう着し、『消耗戦』の様相を帯び始めたこともユーロの重石になった。前日の安値1.1008ドルを下抜けて一時1.1003ドルまで値を下げた。ただ、両国の停戦交渉進展への期待も高まっており、売り一巡後は買い戻しが優勢になった。米長期金利の低下もユーロ買い・ドル売りを促し、1.1072ドル付近まで下げ渋る場面があった。なお、バイデン米大統領と習近平・中国国家主席はこの日、テレビ電話で会談し、ロシアによるウクライナ侵攻や米中関係について協議した。米ホワイトハウスは声明で『バイデン氏は米国や同盟国の見解を伝えるとともに、ロシアに科している代償を含め、侵攻を阻止するための対応について説明した』と明らかにしたほか、危機を外交的に解決することへの支持も強調した。

 

NY原油先物市場は続伸:ウクライナ情勢を意識した買い

NY原油先物市場は100.96ドル-104.67ドルのレンジ相場となった。エネルギー供給不足への懸念が根強いこともあり、時間外取引から底堅く推移。一時は106ドル台まで上昇する場面も見られた。アジア市場で104.67ドルまで買われた後、ニューヨーク市場の序盤にかけて100.96ドルまで下げたが、その後反転した。ウクライナ情勢は流動的であり、通常取引終了後の時間外取引で104.13ドルまで戻している。米国の石油掘削装置(リグ)稼働数は前週末比3基減少の524基となった。

 

NY金先物市場は反落:利益確定売りと株高を意識した売り優勢

NY金先物市場は1918.00-1946.20ドルのレンジ相場となった。ウクライナとロシアの停戦交渉に対する期待感が高まったことを受け、安全資産とされる金相場は売りに押された。また、これまで急ピッチで上昇してきた反動から週末を前に利益確定目的の売りも散見された。アジア市場の取引開始後に1946.20ドルまで買われたが、まもなく反落した。株高を意識して安全逃避的な買いは縮小した。通常取引終了後の時間外取引で一時1918.00ドルまで下げている。

 

米国債券市場はまちまち:ウクライナ情勢懸念から長期ゾーンに買い

米国債券市場で中期ゾーンは下落(利回りは上昇)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.02%高い(価格は下落)1.94%で終了した。また、長期ゾーンは上昇(利回りは低下)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.02%低い(価格は上昇)2.15%で終了した。ウクライナ情勢を巡る懸念から長期債が買われ長期金利は低下した。一方、米連邦準備理事会(FRB)のタカ派姿勢を背景に短期債は売られ(利回りは上昇)、利回り曲線の平坦化が進んだ。3年債利回りが一時10年債利回りを上回る『逆イールド』が発生した。 

カテゴリー: 朝の市場コメント

朝の市場コメント!

2022/03/18/07:38:09

米国株式市場は続伸:ハイテク株の買い戻しが上昇拡大をけん引

NYダウは417.66ドル高の34480.76ドル、ナスダックは178.23ポイント高の13614.78ポイントで取引を終了した。ロシアがウクライナとの停戦交渉が進展したとの報道は誤りであると表明したため、失望感から寄り付き後は下落し、一時160ドル超下げた。しかし、良好な雇用や住宅関連指標を好感した買いに上昇に転じた。さらに、ロシアのドル建て債利払いが完了し債権者に分配されたことが関係筋の話で明らかになり、ロシア債務不履行懸念の後退も投資家の安心感に繋がり、相場の上昇を後押した。金利の上昇が一段落したためハイテク株でも買い戻しが継続したことも引けにかけた上昇拡大をけん引した。VIX指数は26.67から25.67へ低下した。

 

外国為替市場:ロンドンのフィキシングに絡んだドル売り

ユーロ/ドルは、クノット・オランダ中銀総裁が『利上げは今後のインフレデータ次第』としながらも、『今年2回の利上げを排除しない』との考えを示したことを手掛かりに全般ユーロ買いが先行した。市場では『ロンドン16時(日本時間1時)のフィキシングに絡んだドル売りのフローが観測された』との声も聞かれ、一時1.1137ドルと日通し高値を更新した。ただ、米10年債利回りが上昇に転じると徐々にユーロ売り・ドル買いが優勢になり、1.1089ドル付近まで伸び悩んだ。米当局者の話として『プーチン露大統領は戦争が長期化すれば核の威嚇を行う可能性が高い』との報道が伝わったことも相場の重石になった。

 

ドル/円は、ユーロ/ドルの上昇に伴う円買い・ドル売りが入ったほか、米長期金利の低下が相場の重石となり、一時118.37円と本日安値を更新した。ロンドン・フィキシングに絡んだドル売りのフローも観測された。ただ、米長期金利が上昇に転じたタイミングでドルを買い戻す動きが広がると、一時118.67円付近まで下げ渋った。

 

NY原油先物市場は4営業日ぶりに大幅反発:供給不足への懸念が再燃

NY原油先物市場は93.41ドル-102.69ドルのレンジ相場となった。国際エネルギー機関(IEA)は欧米諸国による対露制裁によって、ロシアの産油量が今後減少する可能性を指摘した。エネルギー供給不足への懸念が再燃するなか、引け後には104ドル台まで上昇するなど堅調に推移した。アジア市場の取引開始後に93.41ドルまで下げたが、その後反転し、ニューヨーク市場で100ドル台を回復した。ウクライナ情勢は流動的であり、通常取引終了後の時間外取引で102.69ドルまで買われている。 

 

NY金先物市場は5営業日ぶりに反発:地政学リスクの再燃で買い戻し

NY金先物市場は1924.00-1951.00ドルのレンジ相場となった。足もとではウクライナとロシアの停戦交渉に対する期待がやや後退しており、安全資産とされる金の重要が高まった。前日まで4日続落した後だけに、持ち高調整目的の買いも相場を押し上げた面がある。アジア市場の取引開始後に1924.00ドルまで下げたが、まもなく反転し、ニューヨーク市場の中盤にかけて1951.00ドルまで買われた。安全逃避的な買いが入った。ただ、米長期金利が下げ渋ったことや米国株高を受けて上げ渋り、通常取引終了後の時間外取引で上げ幅は縮小した。一時1935.60ドルまで値を下げる場面があった。

 

米国債券市場は反発:持ち高調整目的の買い

米国債券市場で中長期ゾーンは小反発(利回りは低下)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.03%低い(価格は上昇)1.92%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.01%低い2.17%で終了した。前日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を無難に通過したことで、持ち高調整目的の買いが入った。ウクライナ情勢を巡る不透明感が根強いことも債券買いを誘った。 

カテゴリー: 朝の市場コメント

朝の市場コメント!

2022/03/17/07:48:25

米国株式市場は上昇:パウエル米FRB議長の会見受け買い優勢に

NYダウは518.76ドル高の34063.10ドル、ナスダックは487.93ポイント高の13436.55ポイントで取引を終了した。ロシアとウクライナの停戦交渉に進展があったとの報道を好感し、寄り付き後は上昇した。連邦準備制度理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)で市場の予想通り0.25%の利上げを決定し、ブラード・セントルイス連銀総裁が0.5%の利上げを主張したほか、スタッフ予測で、本年平均7回の利上げ予想が明らかになると、積極的な引き締めによる景気後退懸念や政策の間違いを警戒した売りが加速し、NYダウは一時下落に転じた。その後の会見で、パウエル議長が政策の柔軟性や経済の強さを強調し、景気後退のリスクが特に高まっていないと言及すると、買いが再燃しダウはプラス圏を回復した。引けにかけて上昇幅を拡大した。VIX指数は29.83から26.67へ低下した。

 

NY外国為替市場:米国利上げ決定で一時ドル買い強まる

ドル/円は、米連邦公開市場委員会(FOMC)結果公表を控えて、日米金利差拡大への思惑から円売り・ドル買いが先行した。ロシアとウクライナの停戦交渉が進展するとの期待を背景に、欧米株価が堅調に推移したことも相場の支援材料となった。
 米連邦準備理事会(FRB)は15-16日に開いたFOMCで、市場予想通りFF金利の誘導目標を0.25-0.50%に引き上げることを決定。声明では『経済活動と雇用の指標は引き続き強化されている』としながらも、『ロシアによるウクライナ侵攻は、人的および経済的に多大な困難を引き起こしている』『米国経済への影響は非常に不確実だが、短期的には経済活動を圧迫する可能性がある』と指摘した。また、ブラード米セントルイス連銀総裁が0.50%の利上げを主張したことが明らかになった。
 FOMC結果公表直後は米10年債利回りが2.24%台まで上昇したことを受けて、全般ドル買いが活発化し、一時119.12円と2016年2月以来の高値を付けた。ただ、そのあとは約6年1カ月ぶりの119円台乗せとあって達成感から利食い売りなどが優勢になった。米長期金利が上昇幅を縮めたことも相場の重しとなり、118.58円付近まで下押しした。
 注目されていたFOMC当局者による経済・金利見通しでは年内利上げ回数は今回を含め7回と12月会合の3回から大幅に増加し、23年は3.5回となった。23年までの利上げは計10.5回となり、最終的な政策金利は2.50-2.75%との予想が示された。
 また、パウエルFRB議長は会見で『インフレを抑制するために利上げを続けることが適切』『利上げとバランスシート縮小の時が来たことを認識』と述べたほか、『行動加速が適切となれば、そうするだろう』『リセッション確率は特に高まっていない』と語った。バランスシート縮小についての議論は『早ければ5月になる可能性がある』との認識を示した。 

 

ユーロ/ドルは中国が景気浮揚策を打ち出す方針を示したことや、露・ウクライナの停戦交渉が進展するとの期待から欧米株高とともにユーロ買い・ドル売りが進行し、一時1.1040ドルまで値を上げた。FOMC結果公表直後に米金利上昇とともにドル買いが強まると、1.0951ドル付近まで下押しする場面もあったが、アジア時間に付けた日通し安値1.0949ドルが目先サポートとして働くと買い戻しが優勢になった。FOMCを通過した安心感から米国株が一転上昇すると、リスク選好のドル売りが広がり一時1.1047ドルと日通し高値を更新した。

 

NY原油先物市場は3日続落:供給不足への懸念が和らぎ売り優勢に

NY原油先物市場は94.07ドル-99.22ドルのレンジ相場となった。ウクライナとロシアの停戦交渉を巡る進展期待が高まり、供給不足への懸念が和らいだ。また、米エネルギー省(EIA)週間石油在庫で原油在庫が予想に反して大幅な積み増しとなったことも相場の重しとなった。アジア市場の終盤にかけて99.22ドルまで買われたが、米連邦公開市場委員会(FOMC)会合の結果判明後に94.07ドルまで売られた。ただ、ウクライナ情勢は流動的であり、通常取引終了後の時間外取引で主に95ドル台後半まで戻している。 

 

NY金先物市場は4日続落:リスク選好の動きから売り優勢

NY金先物市場は1895.20-1930.10ドルのレンジ相場となった。ウクライナとロシアの停戦交渉に対する進展期待が高まるなか、世界的に株高が進み、安全資産とされる金の需要が低下した。 米連邦公開市場委員会(FOMC)会合の結果判明後に1895.20ドルまで下げたが、通常取引終了後の時間外取引で安全逃避的な買いが入ったことで一時1930.10ドルまで戻しており、下げ幅は縮小した。

 

米国債券市場は下落:金利先高観が強まり売り優勢に

米国債券市場で中長期ゾーンは続落(利回りは上昇)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.09%高い(価格は下落)1.95%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.04%高い2.18%で終了した。米連邦公開市場委員会(FOMC)の政策金利予想(ドット・チャート)では、年内の利上げ回数が今回を含めて7回と12月の3回から増加した。市場では『金融引き締めに積極的』との受け止めが広がり、債券売りを誘った。利回りは一時2.2422%前後と2019年5月以来の高水準を付ける場面があった。ただ、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の会見が進むにつれて、債券を買い戻す動きが広がると下げ幅を縮めた。

 

カテゴリー: 朝の市場コメント

カテゴリー

カレンダー

5月 2024
« 1月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ページの先頭へ