FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

2021/12/22/07:46:07

米国株式市場は上昇:米経済封鎖の否定で景気回復の鈍化懸念が後退

NYダウは560.54ドル高の35492.70ドル、ナスダックは360.15ポイント高の15341.09ポイントで取引を終了した。新型コロナのオミクロン変異株に対し、製薬会社が追加接種の有効性を確認したほか、いくつかの経口薬の当局の承認が近いとの報道で、オミクロン変異株感染が管理可能との安心感から寄り付き後は上昇した。バイデン大統領がパンデミック発生当初とは違うとし、経済封鎖を否定したため景気回復の鈍化懸念が後退し一段の上昇に繋がった。大統領はさらに、歳出法案に関しても何らかの進展の可能性を示唆したことも手伝い、終日堅調推移となった。NYダウは終盤に35400ドル割れを見た後に再浮上し高値圏で終えてきた他、ハイテク株の多いナスダック総合指数は2.40%高、S&P500は1.78%高で終えた。VIX指数は22.87から21.00へ低下した。

 

NY外国為替市場:米長期金利上昇でドル買い優勢

ドル/円は、米10年債利回りや米国株が上昇したことをきっかけに買いが先行した。NYダウは570ドル超高、米10年債利回りは1.49%台まで上昇幅を広げたため、その後も強い地合いを保ちながら一時114.22円まで上値を伸ばした。一方、15日高値の114.26円がレジスタンスとして意識されたうえ、20年債入札後に米長期金利が上昇幅を縮めると114.08円付近まで下押しした。 

 

ユーロ/ドルは、米長期金利の上昇が相場の重石となったほか、ロシアからの供給懸念で欧州天然ガスが急騰し消費者マインドが悪化するのではとの警戒感が浮上したことが嫌気された。一時1.1261ドルまで下押しする場面があったが、引けにかけては1.1280ドル台まで下げ渋った。 

 

トルコリラはもみ合いとなった。欧州序盤こそ上下したが、その後は対ドルで13リラ前後、対円で8.80円を挟んだもみ合いとなった。トルコ財務省はこの日、満期が3-12カ月のリラ建て預金を対象に中銀の政策金利を適用する新たな保護措置を導入すると発表した。外貨換算の為替レートと預金利回りの差を顧客の預金口座に入金することで、為替の変動から保護することが目的となる。

 

NY原油先物市場は3日ぶりに反発:欧米株高を好感した買い優勢

NY原油先物市場は68.56ドル-71.50ドルのレンジ相場となった。米バイオ企業モデルナは20日、同社製ワクチンの追加接種でオミクロン株の感染予防効果が期待できるとする臨床研究の結果を発表。これを受けて投資家心理が改善し、原油先物は時間外から堅調に推移した。米国株が上昇幅を拡大したこともリスク資産とされる原油の買いに繋がり、一時71ドル半ばまで上値を伸ばした。アジア市場で68.56ドルまで下げたが、ニューヨーク市場の後半にかけて71.50ドルまで一段高となった。通常取引終了後の時間外取引でも71ドル台で推移した。

 

NY金先物市場は小幅続落:リスク回避の金買いは縮小

NY金先物市場は1785.00-1801.70ドルのレンジ相場となった。米長期債利回りが上昇し、金利が付かない金の価値が相対的に低下して売りに押された。また為替相場でドルが対ユーロで買い戻され、割高感が生じたドル建て金の重石となった。ニューヨーク市場の序盤にかけて1801.70ドルまで買われたが、米国株高を受けて安全逃避的な買いは縮小した。一時1785.00ドルまで売られた。ただ、通常取引終了後の時間外取引では下げ渋り、1790.00ドルまで戻す場面があった。 

 

米国債券市場は下落:欧州債券売りに連れた売り優勢

米国債券市場で中長期ゾーンは下落(利回りは上昇)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.02%高い(価格は下落)0.65%で終了した。また米10年物国債利回りは前営業日比0.04%高い1.46%で終了した。ロシアからの供給懸念で欧州天然ガスが急騰し、欧州長期金利が軒並み上昇すると米長期金利も連れ高になった。米国株が大幅反発したことも安全資産とされる債券売りにつながり、利回りは一時1.49%台まで上昇した。一方、20年債入札が好調だったことで引けにかけてはやや買い戻しが入った。 

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2021/12/21/07:43:08

米国株式市場は下落:世界的な感染急増や規制強化を嫌気した売り

NYダウは433.28ドル安の34932.16ドル、ナスダックは188.73ポイント安の14980.95で取引を終了した。世界中で新型コロナ感染急増や規制強化が発表され、回復鈍化懸念が引き続き重石となり寄り付き後は下落した。世界経済フォーラムが来年1月にスイスで開催される予定だったダボス会議の延期を発表すると、投資家心理がさらに悪化した。また、バイデン政権が推し進めている大規模歳出案『ビルド・バック・ベター』の早期成立の見込みがたたず、エコノミストが成長見通しを引き下げると、さらなる下落に繋がった。ただ、序盤に大きく突っ込んだ後は持ち直し、終盤に切り返して終えた。VIX指数は21.57から22.87へ上昇した。

 

NY外国為替市場:リスク回避の展開のなかドルは行って来い相場

ユーロ/ドルは、『先週の欧州中央銀行(ECB)理事会で多数のメンバーがインフレの上振れリスクを認めるべきと主張していた』との一部報道を受けて独長期金利が上昇したことで欧州時間からユーロは堅調だったが、NY時間に入っても地合いを継続した。一時1.1304ドルまで上値を伸ばした。ただ、1.13ドル台での滞空時間は短く、引けにかけては米10年債利回りが上昇したことを重石に1.1270ドル台まで押し戻された。 

 

ドル/円は、NYダウが一時700ドル近く下げ、クロス円が売られた場面では一時113.33円と本日安値をわずかに更新した。ただ、米長期金利が上昇したため、その後は下値を切り上げ早朝に付けた高値113.73円に一時面合わせした。 

 

トルコリラは乱高下した。エルドアン・トルコ大統領が19日の演説で『私からは利下げ以外を期待しないでほしい』と発言したことが失望売りを招き、対ドルで18.3633リラ、対円で6.17円とそれぞれ史上最安値を更新した。もっとも、同大統領がリラ預金の新たな保護策を講じる姿勢を示すと一転して急反発した。インターバンク市場では12.2756リラ、9.86円まで大幅にリラは買い戻された。クリスマスを前に市場の流動性が極端に低いなかで値が振れやすかったことも影響している。

 

NY原油先物市場は続落:欧米株安を嫌気した売り優勢

NY原油先物市場は66.12ドル-69.98ドルのレンジ相場となった。オミクロン株の感染拡大を受け、エネルギー需要減への懸念が高まった。時間外から売り優勢となり、一時66ドル前半まで大きく値を下げた。ただ6%を超える下げ幅となると流石に売られ過ぎ感も強まり、一巡後はショートカバーが進んだ。欧米株安を嫌気した売りが強まり、ニューヨーク市場の中盤にかけて66.12ドルまで一段安となった。ただ、押し目買い興味も観測されており、通常取引終了後の時間外取引で69.08ドルまで戻している。

 

NY金先物市場は3日ぶりに反落:リスク回避による換気目的売り優勢

NY金先物市場は1789.00-1804.60ドルのレンジ相場となった。オミクロン株・感染拡大への警戒感から世界株安が進み、金は換金を目的とした売りに押された。NY午後には為替相場でドルが底堅さを取り戻したことも、ドル建ての金の重石となった。アジア市場で1804.60ドルまで買われたが、戻り売りが強まり、ニューヨーク市場では1800ドルを下回る状態が続いた。株安を受けて換金目的の売りも増えており、通常取引終了後の時間外取引で1789.00ドルまで一段安となった。

 

米国債券市場はまちまち:翌日の米20年債入札控え売りが優勢に

米国債券市場で中期ゾーンは変わらずだった。米2年物国債利回りは前営業日比変わらずの0.63%で終了した。長期ゾーンは3日ぶりに反落(利回りは上昇)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.02%高い(価格は下落)1.42%で終了した。新型コロナ・オミクロン株への懸念から時間外で債券買いが進み、10年債利回りは一時1.35%台まで低下した。ただ、明日の20年債入札への警戒感から引けにかけては売りが優勢となった。

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2021/12/20/03:01:37

米国株式市場は下落:感染拡大で経済活動が停滞するとの懸念を嫌気

NYダウは532.20ドル安の35365.44ドル、ナスダックは10.75ポイント安の15169.68ポイントで取引を終了した。国内でも新型コロナのオミクロン変異株感染が急増し、回復を抑制するとの警戒感に寄り付き後は下落した。四半期ごとに実施される引け後の指数のリバランシングを見据え、さらに、株価指数の先物やオプション、シングル株オプションなど4つの取引期限が重なるクアドラプル・ウィッチングでテクニカルな売りも重石となった。さらに、連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事の『3月連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げも選択肢となる』とのタカ派発言も売り材料となり、終日軟調に推移した。感染拡大による規制強化で、経済活動が停滞するとの懸念が高まると、アメリカン・エキスプレスやキャタピラーなど景気敏感株に売りが出た。米長期金利の低下でゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど金融株も売られた。原油安を背景にシェブロンも値下がりした。 VIX指数は20.57から21.57へ上昇した。

 

東京外国為替市場:欧米株安でリスク回避のドル買い・円買い

ユーロ/ドルは、欧米で新型コロナウイルスの感染者数が増加する中、行動規制による景気への悪影響が懸念されると株価が下落。リスク回避のドル買いが優勢となり、取引終了間際に一時1.1235ドルと日通し安値を更新した。ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事が『3月のFOMCでの利上げもあり得る』『利上げ後すぐにバランスシートを縮小することも可能』などと発言したこともドル買いを誘った。なお、ビルロワドガロー仏中銀総裁は『必要ならばインフレに対応することに躊躇しない』『インフレを深刻に捉えている』と述べたほか、ウンシュ・ベルギー中銀総裁は『ECBは本質的にインフレ目標を達成した』などと述べたものの、相場の反応は限られた。 

 

ポンド/ドルは頭が重かった。英中銀が前日に予想外の利上げに踏み切ったことを受けて、欧州序盤に一時1.3339ドルと日通し高値を付けたものの、前日の高値1.3374ドルがレジスタンスとして意識されると失速した。欧米株価の下落を背景にリスク回避のドル買いも入り、一時1.3232ドルと日通し安値を更新した。市場では『英国では新型コロナ新規感染者が9万3045人と3日連続で過去最多を記録しており、景気への悪影響が懸念される』との声が聞かれた。

 

ドル/円は、時間外のNYダウ先物や欧州株の下落を受けてリスク回避の円買いが先行すると一時113.10円と6日以来の安値を付けたものの、売り一巡後は徐々に買い戻しが進んだ。NYダウが一時610ドル超下落したことを受けてリスク回避のドル買いが入ると、一時113.77円付近まで持ち直した。ウォラーFRB理事のタカ派的な発言も相場を下支えした。 

 

NY原油先物市場は反落:欧米株安からリスク回避の売り優勢

NY原油先物市場は69.70ドル-72.05ドルのレンジ相場となった。世界的なオミクロン株の感染拡大でエネルギー需要の減退が懸念され、売りが優勢となった。米国株が大幅下落するなど投資家のリスク回避姿勢が強まり、リスク資産の原油に売り圧力が強まる中、為替相場でドル高・ユーロ安が進んだのも、ドル建ての原油に割高感が生じ、原油の売りを後押しした。アジア市場で72.05ドルまで買われたが、株安を嫌気した売りが強まり、ニューヨーク市場の中盤にかけて69.70ドルまで下落した。その後、71ドル台を一時回復したが、株安やユーロ安を意識した売りが再び強まり、通常取引終了後の時間外取引で70ドル台前半まで下げている。米国の石油掘削装置(リグ)稼働数は前週末比4基増かの475基となった。

 

NY金先物市場は続伸:換金目的の売りで上値の重い展開

NY金先物市場は1796.50-1815.70ドルのレンジ相場となった。世界的なオミクロン株の感染拡大への懸念で米国株が大幅安となり、米長期金利が低下し、安全資産の金が買われた。ただ、為替市場でドル高・ユーロ安が進み、ドル建ての金に売りも入り、上値は限られた。ニューヨーク市場の序盤にかけて1815.70ドルまで買われたが、ユーロ安・米ドル高の相場展開を嫌気した売りが強まり、通常取引終了後の時間外取引で1796.50ドルまで下落した。換金目的の売りも観測された。

 

米国債券市場はまちまち:米国安でリスク回避の長期債買い

米国債券市場で中期ゾーンは下落(利回りは上昇)した。米2年物国債利回りは前営業日比+0.03%高い(価格は下落)0.63%で終了した。長期ゾーンは続伸(利回りは低下)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.01%低い(価格は上昇)1.40%で終了した。ウォラーFRB理事のタカ派発言を受け中期債は売られた。一方で、新型コロナウイルスの感染拡大を嫌気して株価が軟調に推移すると、相対的に安全資産とされる米国債に買いが入った。 

 

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2021/12/16/07:36:43

米国株式市場は上昇:FOMCの結果が想定内だったことで買い優勢

NYダウは383.25ドル高の35927.43ドル、ナスダックは327.94ポイント高の15565.83ポイントで取引を終了した。FOMCではテーパリングの加速が決定されたほか、ドット・チャートでは来年3回の利上げが示された。ただ、市場では『ほぼ想定の範囲内』と受け止められ、FOMCを通過した安心感から買いが優勢になった。なお、FOMC前は軟調に推移し一時150ドル超下落する場面があった。VIX指数は21.89から19.29へ低下した。

 

NY外国為替市場:米FOMC結果公表でドル買い先行後売られる展開

ドル/円は、米連邦公開市場委員会(FOMC)結果公表を前に全般ドル買いが先行した。11月米小売売上高が予想を下回ったことを受けて一時113.75円付近まで売られたものの、12月米ニューヨーク連銀製造業景気指数や12月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数が予想を上回ったこともあり、下押しは限られた。米連邦準備理事会(FRB)は今日まで開いたFOMCでテーパリング(量的緩和の縮小)のペースを倍増し、終了時期の想定を2022年6月から同3月へ前倒しした。委員らが示した政策金利予想(ドット・チャート)では、22年の利上げ回数が前回の1回から3回に引き上げられた。23年は3回で、前回と同じだった。24年は2回と前回の3回から引き下げられた。また、FOMCはこれまでの『インフレは一時的(transitory)』との表現を声明文から削除し、『需給不均衡がインフレの押し上げに寄与し続けた』とインフレの持続性を強調する表現に改めた。FOMC直後はドル買いが優勢となり一時114.27円まで値を上げたものの、『ほぼ想定の範囲内』との受け止めが広がると次第に伸び悩んだ。重要イベントを通過した安心感から米国株が一転上昇するとリスク選好のドル売りも出て、一時113.95円付近まで下押しした。FOMCを受けて米10年債利回りはやや上昇したものの、1.46%前後で推移し前日終値(1.44%)からの上昇幅は小さかった。
 なお、パウエルFRB議長はFOMC後の会見で『インフレ高進は困難であると認識。FRBは物価安定の責務達成にコミット』『テーパリングは来年3月半ばに終了する見通し』などと述べた一方、『テーパリング完了まで利上げは開始しない』『テーパリング続行中の利上げは不適切』との考えを示した。 

 

ユーロ/ドルは、FOMC結果公表を前に全般ドル買いが進んだ流れに沿ったほか、米国株相場が下落して始まったことを背景にリスク回避のドル買いが先行した。FOMC公表直後にドル買いが強まると一時1.1222ドルと日通し安値を付けた。ただ、そのあとは米国株が一転上昇したことを受けてリスク選好のドル売りが優勢になり、一時1.1299ドルと日通し高値を更新した。なお、NYダウは一時400ドル近く上げたほか、ナスダック総合は2.2%超上昇する場面があった。 

 

NY原油先物市場は小反発:原油在庫が予想以上に減少で買い優勢に

NY原油先物市場は69.39ドル-71.66ドルのレンジ相場となった。『オミクロン株』感染拡大に伴う規制強化でエネルギー需要が鈍化するとの懸念が強まり、売りが先行した。ただ、米エネルギー情報局(EIA)の在庫統計で原油在庫が458.4万バレルの取り崩しと、予想以上に減少したことも支えに買い戻しが入った。ロンドン市場で69.69ドルまで売られたが、供給超過を警戒した売りは拡大せず、まもなく70ドル台を回復した。米連邦公開市場委員会(FOMC)会合の結果判明後にしっかりとした買いが入っており、通常取引終了後の時間外取引で一時71.66ドルまで一段高となる場面があった。 

 

NY金先物市場は続落:米長期金利の上昇を嫌気した売り優勢

NY金先物市場は1753.00-1781.30ドルのレンジ相場となった。米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表を前に積極的な取引は手控えられたが、為替相場でユーロが対ドルでの上値の重い動きとなったことや、米長期金利が上昇傾向に推移したことが重しとなり、金は売りが優勢となった。通常取引終了後の時間外取引で1753.00ドルまで下げたが、その後1781.30ドルまで戻した。米国金利の先高観が台頭しているが、押し目買い興味は残されている。

 

米国債券市場はまちまち:米FOMC結果受け売り先行も反応は一時的

米国債券市場で中ゾーンは変わらずだった。米2年物国債利回りは前営業日比変わらずの0.65%で終了した。また、長期ゾーンは下落(利回りは上昇)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.02%高い(価格は下落)1.46%で終了した。米連邦公開市場委員会(FOMC)でテーパリング(量的緩和の縮小)の加速が決定され、政策金利予想(ドット・チャート)で来年3回の利上げが示唆されると債券売りが出た。ただ、『ほぼ想定の範囲内だった』との見方から反応は一時的だった。

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2021/12/15/07:31:24

米国株式市場は下落:インフレ高進で米FOMC結果を控え買い手控え

NYダウは106.77ドル安の35544.18ドル、ナスダックは175.64ポイント安の15237.64ポイントで取引を終了した。製薬会社ファイザー(PFE)やジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)製の新型コロナウィルスワクチンがオミクロン変異株感染における重症化を防いでいるとの南ア調査結果に加え、ファイザーのコロナ経口治療薬も入院や死亡リスクを大幅に低減させるとの治験結果を受け、オミクロン株への警戒感が後退し、寄り付き後はNYダウは一時上昇した。しかし、11月生産者物価指数(PPI)が予想を上回り、過去最大の伸びを記録すると、インフレ高進により連邦公開市場委員会(FOMC)がよりタカ派に傾斜することが警戒され下落に転じた。その後、世界保健機関(WHO)がオミクロン変異株感染の速さを警告すると、さらに売りに拍車がかかり、終日軟調に推移した。市場では『明日の米連邦公開市場委員会(FOMC)結果公表を前に、買いが手控えられた』との声も聞かれ、一時200ドル超下落した。VIX指数は20.31から21.89へ上昇した。

 

NY外国為替市場:米利上げ前倒し観測が広まりドル買い戻し

ドル/円は、欧州株相場の下落や時間外のNYダウ先物の失速で、リスク回避の円買い・ドル売りが先行し、一時113.43円と日通し安値を更新した。ただ、前日NY時間の安値113.38円がサポートとして働くと買い戻しが優勢となった。11月米卸売物価指数(PPI)が前月比0.8%/前年同月比9.6%と予想の前月比0.5%/前年同月比9.2%を上回る、大幅な伸びとなったことが分かると全般ドル買いが活発化し、一時113.76円と日通し高値を付けた。米PPIの大幅上昇で、米利上げ前倒し観測が改めて広がった。なお、食品とエネルギーを除くコア指数も前月比0.7%/前年同月比7.7%と予想の前月比0.4%/前年同月比7.2%より強い結果となった。 

 

15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)結果公表や16日の欧州中央銀行(ECB)定例理事会を前にポジション調整目的のユーロ買い・ドル売りが先行し、一時1.1324ドルと日通し高値を更新した。ただ、買い戻しはあくまでポジション調整の域を出ず長続きしなかった。予想を上回る米物価指標を受けてユーロ売り・ドル買いが強まると、一時1.1254ドルと日通し安値を更新した。欧州で新型コロナウイルスの変異型『オミクロン株』の感染が拡大する中、景気後退懸念からユーロ売りが出た面もあった。市場では『新型コロナ感染拡大に加えて、ウクライナ国境付近でロシア軍が軍備を増強させていることなど政治リスクも不安材料となっており、ユーロの下落を予想する向きが増えている』との声が聞かれた。

 

NY原油先物市場は続落:世界の石油需要予想を下方修正で売り優勢

NY原油先物市場は69.51ドル-72.03ドルのレンジ相場となった。『オミクロン株』感染拡大への懸念で渡航規制を強化する動きが強まり、国際エネルギー機関(IEA)が今年と来年の世界の石油需要予想を下方修正し、原油は売りが優勢となった。また、為替相場でドルが対ユーロで上昇し、ドル建ての原油に割高感が生じたことも原油の上値を圧迫した。ロンドン市場の序盤に72.03ドルまで買われたが、需給ひっ迫の思惑は後退し、ニューヨーク市場で70ドルを下回った。米国株安を意識した売りも観測されており、一時69.51ドルまで下落した。ただ、通常取引終了後の時間外取引で多少持ち直しており、70.88ドルまで戻している。 

 

NY金先物市場は3日ぶり反落:米長期金利上昇を意識した売り優勢

NY金先物市場は1766.10-1789.80ドルのレンジ相場となった。市場予想を上回る11月米卸売物価指数(PPI)も手がかりに米長期金利が上昇し、金利を生まない金は売りに押された。アジア市場で1789.80ドルまで買われたが、買いは続かず、ニューヨーク市場の序盤に1766.10ドルまで売られた。米国株安を意識した買いが入ったが、長期金利の動向を意識して上げ渋り、通常取引終了後の時間外取引では主に1770ドル台で推移した。 

 

米国債券市場は反落:米利上げ前倒し観測を嫌気した売り優勢

米国債券市場で中長期ゾーンは反落(利回りは上昇)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.03%高い(価格は下落)0.65%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.03%高い1.44%で終了した。11月米卸売物価指数(PPI)の大幅上昇で、米利上げ前倒し観測が改めて高まり債券売りを促した。

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