★豪ドル/円の日足では、3月以降80円半ばから84円半ばでのレンジ相場となっている。豪ドル/円は上げ止まる前に大陽線を示現する特徴がある。今回も下落前に大陽線が発生した後、下落基調となった。
次の特徴では、25日線近辺では抵抗体となり数日間もみ合うことが多いことである。
現在のところ上値を10日線(黄線)83.12円がレジスタンスとなり、下値を25日線(青線)82.91円と75日線(緑線)82.62円がサポートする展開となっている。
ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、3、3、20、80)は、%K:64.31、%D:75.23と%Kが%Dを下抜け両線とも下向きとなっていることから、下落基調が継続していることを示している。今までは、ほとんどダマシなく上昇・下落するパターンであったことから、同様の動きになるか注目される。
最後に、今までは下げ止まる前に大陰線が出現することが多い。大陰線が出現した後、大陽線が出現して再び上昇基調に戻るパターンとなっている。ただし、25日線近辺では一旦上値が重くなる。
同様の動きになるかは分からないが、ここまでは今までのパターンが当てはまった値動きとなっている。そのため、数日間もみ合いが続く可能性があるが、25日線や75日線を下抜けするとパターンにはまる。その後はストキャスティクスが売られ過ぎ近辺まで下落したところが底値になる可能性がある。ここから、反転して再び84円台を目指す動きになると、今までのパターンが崩れたことになるので注意が必要となる。
★ドル/円の日足では、三尊天井を形成しており5月29日安値108.08円がネックラインとなっている。また、真ん中の山が高いことからネックラインを下抜けると、ドル/円の大幅下落(円高)が予想されるので注意が必要。
3月26日直近安値104.59円と5月21日直近高値111.39円を結んだフィボナッチリトレースメントと白銀比率で分析する。週末は23.6%押し109.79円が上値抵抗ラインとなり下押ししたが、白銀比率29.8%押し109.36円が支持ラインとなり上抜けて終了した。現在のところ109.30-109.70円台が相場の節目になっている。
11-15日週は重要なイベントが目白押しとなっている。G7首脳会談は8日から9日にかけ、カナダのケベックで開催される。さらに、12日には歴史的な米朝首脳会談がシンガポールで開催される。金融政策でも連邦準備制度理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)、欧州中央銀行(ECB)は定例理事会、日本も金融政策決定会合を予定している。
そのため、大きく相場が動く可能性があるので注意が必要となる。下値では38.3%押し108.79円、5月29日の三尊天井ネックラインとなる108.08円、半値押しの107.99円が節目となりやすい。
ロウソク足では、前日ロウソク足に対して上値・下値を切り下げる陰線となっていることから、円高圧力が強いことを示している。そのため、週明けは前日高値109.85円と安値109.17円を上抜け・下抜けするかが焦点となる。
★欧州市場朝方の取引では、8-9日のカナダG7サミットでの通商問題の対立などが警戒される中、前日NY市場の流れを引き継いで、新興国や資源国通貨売りが再開され、全般的にリスク回避によるドル高・円高が進行、クロス円が一段安となった。欧州株が全面安で推移、NYダウ先物も下げ幅を拡大する中、資源国通貨もリスク回避の動きとなった。G7首脳会談を控えて、貿易戦争への警戒感が強まってリスク回避の円買いが優勢になった。米長期金利が上昇に転じたことや、一目均衡表転換線が位置する109.19円がサポートとして意識されると買戻しが優勢になった。米長期金利の上昇が一服したことや、NYダウが58ドル安にやや下げ幅を拡大したことで、戻り売り圧力に押された。NYダウの持ち直しに伴って円売り・ドル買いがじわりと強まった。その後は、週末を控える中、相場材料の乏しく方向感が出なかった。
市場予想を上回った米4月卸売在庫改定値を受けた米長期金利の上昇に伴いドル買いが優勢となったが、G7首脳会議や米朝首脳会談への懸念がくすぶり伸び悩んだ。NY時間後半では、109.40-50円の狭いレンジ相場となり方向感がなくなった。トランプ大統領の言動が読めないだけに、市場は必要以上にリスク回避の動きになりやすい。11日週は米中首脳会談やFOMC、ECB定例理事会など重要イベントが多いことから相場が上下に振れやすくなる。ドル/円の日足では三尊天井を形成しており、ネックラインの5月29日安値108.08円を下抜けると円高に拍車がかかりやすいので注意。
★J.P.モルガン.グローバル製造業PMI(季節調整済)
PMI(購買担当者景気指数)とは、景気の方向性を示す経済指標で速報性の高さから金融市場で注目されている。企業の購買担当者に新規受注や生産、雇用の状況などを聞き取り、景況感についてアンケート調査した結果を指数化したものである。50を判断の分かれ目としてこの水準を上回る状態が続くと景気拡大、逆に50を下回る状態が続くと景気減速を示す。
グローバル製造業PMIは、先進国や新興国を含めた世界全体の景気度合いを計る指標として注目されている。
昨年17年12月31日54.5がピークとなり景気拡大の勢いが鈍化し、今年に入ってから指数は低下し続けていた。一旦3月31日の53.3をボトムとして53.5まで回復基調となった。しかし、回復もつかの間となり再び53.10まで下落基調となり、前回のボトムを下抜けした。ただし、現在は景気成長の節目である50を上回っており、世界的な景気拡大は継続しているものの、景気成長の勢いが鈍化してきたことになる。しかし、50を下回るようなら世界景気の減速となり、リスク回避の動きになるので注意が必要となる。米長期金利上昇やドル高により、財務基盤の弱い新興国の通貨安や国内金利上昇から景気減速感が出始めている。また、スペインやイタリアでは政局の先行き不透明感が残っていることから、欧州景気の足かせになりやすい。さらに、米国発の貿易摩擦問題も世界景気の足かせとなってきている。そのため、今後グローバル製造業PMIの下落基調が継続すると、世界的な景気減速感が強まる可能性もあり警戒する必要がある。また、米国では、FRBの追加利上げペースの鈍化観測から米長期金利が低下傾向となり、日米金利差の縮小から円高・日本株安となりやすい。現在世界景気をけん引するような要因は、ほとんど見当たらないことも問題である。米国の景気が堅調推移しているものの、トランプ大統領が『米国ファースト』で世界への利益分配を拒んでいることから、対米国間で制裁と報復の悪循環に陥る可能性もある。
★エコノミック・サプライズ指数(びっくり指数)
シティグループが算出しているエコノミック・サプライズ指数(びっくり指数)は、各種経済指標と事前予想との食い違い(かい離幅)を指数化し、ゼロ(予想通り)を挟んで、上下(プラス・マイナス)で示した指数である。雇用や生産などの各種経済指標が事前の市場予想と比べてどうだったかを指数化したもので、実績が予想を上回れば指数は上昇、逆に下回れば下落する仕組みとなっている。
この指数は市場の期待値に対して上回るものが多いのか、それとも下回るものが多いのかを示す指数である。市場の期待値に対して上回る指標が多ければ当然に株価や通貨が高くなりやすい。一方で、市場の期待値を下回り続けると、市場参加者が景気の先行き懸念が生じることから、遅行して株価や通貨などが下落しやすい。
先進10カ国と新興国のびっくり指数では、先進10カ国は一旦回復したものの、下向きとなっており経済指標が市場予想を下回る結果が増えている。特に新興国のびっくり指数は資源価格が上昇したことなどから、今年に入ってから市場予想を上回る結果となっていたが、3月15日がピークとなり急減速している。そして、米国金利上昇によるドル高や資源価格の上昇一服などで下げ止まる兆しが見えていない。新興国の景気悪化が急速に進んでいる可能性がある。また、先進国10カ国のびっくり指数も昨年24日をピークとして下落基調が続きマイナスとなっていることで、市場予想を下回る経済指標が続いている。
日米欧のびっくり指数では、12月22日の+84.50だった米国の指数が下落基調となってきており、プラス圏は維持しているものの市場予想を下回る指標が多くなっていることを示している。ユーロ圏のびっくり指数は、ユーロ高が一服したことから下落一辺倒ではなくなったものの、それでも下落基調が継続している。最近ECB要人が金融政策に対してタカ派的な発言が多くなっている。発表される経済指標の多くが市場予想を下回る中、タカ派的な発言はユーロ高を招きやすく、ユーロ圏の経済減速を加速させるリスクがある。14日にECB定例理事会が開催されるが、金融政策縮小の動きがあると一旦ユーロ買いとなりやすい。ただ、ユーロ高は確実にユーロ圏の景気減速を強めていくことから十分注意する必要がある。びっくり指数は先行指標となることから、遅れて(数週間から数ヶ月)ユーロ高が是正される。一方で、ユーロ安が今後も続くようなら、ドイツやオランダなどの景況感が改善し、ユーロ圏内の指数を押し上げる可能性が出てくる。日本のびっくり指数は、再び悪化傾向となってきた。そのため、日本株の重石となることや、また、日米貿易交渉で日本にとって不利な条件を突きつけられ、再び円高基調となるようなら下落傾向が強まる可能性がある。
びっくり指数が低下傾向となってから遅行して株価などのリスク商品が下落基調となっている。最初は市場予想を下回る結果となっても、景気の内容的には高水準を維持しているが、徐々に景気減速の兆候が出始めることで、遅行して市場が反応する。ただし、為替市場では経済指標が市場予想を上回れると結果発表と共に買われ、下回ると売られるなど、経済指標に対して即効性がある。びっくり指数が回復基調となっても、最初は疑心暗鬼で反応しないが徐々に景気の回復感が出始めた頃から市場が反応する。現在は世界的に下落基調続いていることから、株価の上値が重い展開が続きそうだ。
グローバル製造業PMIも50を割り込んでくるようなら、世界的な株価調整につながる可能性があるので注意していく必要がある。
次回の最新情報の掲載は6月20日の夕方となります。
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