★欧州市場朝方の取引では、欧州株が堅調に取引を開始する中、リスク許容度がいくぶん改善したことを受け底堅く推移した。欧州市場では、ドル下値トライが一旦失敗となったことを受けたほか、月末要因のドル買い需要にも支えられると反発に転じたが、戻り売りに押される展開となった。欧州株は全面高で、NYダウ先物も上昇したが、2.25%台に低下したことで伸び悩んだ。米国の1-3月期GDP改定値など経済指標の発表待ちのムードで全体的に小動きとなった。
ボルトン米大統領補佐官が『ファーウェイへの対応を最終決定したわけではない』などと発言すると、米中貿易摩擦激化への懸念が和らぎ円売り・ドル買いが優勢となった。ただ、ペンス米副大統領が『米国は必要なら中国製品への関税を2倍以上に引き上げることができる』と発言したことや、NYダウが一時マイナス圏に下落し、S&P500やナスダック総合も上げ幅を縮小したことで上値が重くなった。米長期金利が2.27%まで上昇後は、再び低下し2.24%まで低下するとドル売りが優勢となった。米主要3指数とも一時マイナスになったことで、ドル売りが継続した。
★欧米主要経済指標
・米・1-3月期GDP改定値:前期比年率+3.1%(予想:+3.0%、速報値:+3.2%)
・米・1-3月期個人消費改定値:前期比年率+1.3%(予想:+1.2%、速報値:+1.2%)
・米・1-3月期コアPCE改定値:前期比+1.0%(予想+1.3%、10-12月期+1.3%)
・米・先週分新規失業保険申請件数:21.5万件(予想:21.4万件、前回:21.2万件←21.1万件)
・米・失業保険継続受給者数:165.7万人(予想:166.2万人、前回:168.3万人←167.6万人)
・米・4月卸売在庫速報値:前月比+0.7%(予想:+0.1%、3月:0%←-0.1%)
・米・4月中古住宅販売成約指数:前月比-1.5%(予想:+0.5%、3月:+3.9%←+3.8%)
★欧米市場のポイント
・109.43-92円のレンジ相場
・米中の貿易摩擦激化への懸念が和らぎドル買い
・ロンドンフィキシングを通過するとドル売り
・ペンス副大統領が中国製品への関税を2倍に引き上げることが出来る発言
・欧州経済の先行き不透明感と米中貿易摩擦激化懸念から米国債買い優勢
・VIX指数は17.90から17.30へ低下
★豪ドル/円の日足では、4月17日高値を起点として5月7日高値を結んだトレンドライン(R1)をもみ合い相場ながら上抜けしてきた。5月17日安値を起点として5月24日安値を結ぶと安値を切り上げる小さなダブルボトムとなっている。そのため、5月20日高値76.39円を上抜けすると戻り基調が継続する可能性が高い。
SMAでも5日SMA(赤線)と10日SMA(黄線)が横ばいからわずかに上昇基調となってきており、ロウソク足が両線を上抜けしてきたことで短期的には上昇基調となりやすい。
ストキャスティクス・スロー(14、5、3、20、80)では、%DとSlow%Dが底這いしていたが、緩やかに上昇基調となり%DがSlow%Dを上抜けしてきことから戻り基調となってきた。
まとめると、投資判断は『買い』または『様子見』となる。ロウソク足がR1を上抜けしていることや、レジスタンスとして意識されていた5日SMAと10日SMAを上抜けしていることから、短期的には戻り基調となっている。ただ、上値ではダブルボトムネックラインの76.39円近辺では一旦上値を抑えられる可能性がある。また、25日SMA(青線)下向きとなっていることから、25日SMAがレジスタンスとして意識される。さらにストキャスティクスでは徐々に下値を切り上げる動きとなっていることから戻り基調を示している。投資判断を変更するシナリオは、再び5日SMAや10日SMAを下抜けたら、今回の上抜けがダマシとなったことになり、再び下落トレンドに戻る可能性が高まる。また、レンジ相場のような値動きとなっていることから、レンジ上限の76.39円を上抜けするか、それともレンジ下限の5月17日安値75.30円を下抜けしてから順張り売買という戦略もある。
★東京とうもろこしの日足では、天井圏から上ヒゲを伴う大陰線が出現した。前日大陽線のロウソク足と一本にすると上ヒゲの長いロウソク足となる。
2月以降下限23,550円、上限24,920円のレンジ相場となっていたが、4月22日にレンジ下抜けすると下落基調が強まった。ただ、4月24日安値22,440円で一旦反転したものの、再び下落基調となり5月14日安値22,600円が底値となり下値を切り上げるダブルボトムからの上昇基調となった。
5月9日高値のダブルボトムネックラインを上抜け、3月27日を起点として4月16日と結んだトレンドライン(R1)上抜け上昇トレンドが継続した。
その後も5日SMA(赤線)と10日SMA(黄線)がサポートラインとなりレンジ相場の上限を昨日上抜けした。
ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は、%D:89.06、Slow%D:89.38とかなり買われ過ぎ過熱感は出ている。ただ、トレンドが明確出ている時はモメンタム系オシレータは上方で売りシグナルを出しながら上昇基調が継続するなどのダマシが発生しやす。そのため、トレンドが明確となっている現状では買われ過ぎでも売りは注意する必要がある。
ただ、夜間取引から上値が重くなり上ヒゲを伴う大陰線となっている。
まとめると、前日大陽線と上ヒゲ陰線で売り方の手仕舞いの買い戻しが終了した可能性ある。この2本のロウソク足を1本にすると、上ヒゲの長い小陽線となり高値圏での反転の兆しが出てきている。ただ、レンジ相場の上限がサポートとして意識されており、下ヒゲが出ている。また、5日SMAの上方に位置しており10日SMAと共に上向きが継続していることから、反転の余地も残っていることから、投資判断では『様子見』となる。投資判断を変更するシグナルとすれば、レンジ内に再び下落し5日SMAを下抜抜けするような状況になってくると売りシグナルとなる。一方、レンジ上限を近辺で5日SMAや10日SMAサポートとなり、再び上昇基調が継続する可能性も残っている。移動平均線とロウソク足の動向に注意して見ていく必要がある。
★日米2年国債金利差(青線)と日米10年債金利差(赤線)は、直近4月22日(2年債金利差:2.546%、10年債金利差:2.620%)がピークとなり、その後は金利差が縮小傾向にある。それに伴ってドル/円は上値が重くなり円高基調となってきた。
29日のNY市場では、金利がほぼ横ばいだったことから日米金利差が縮小したことで、ドル/円も下げ止まる展開となっている。
ただ、上値・下値を切り下げる展開となっており、日米金利差の縮小傾向が解消したと判断するには時期尚早となる。
1月3日にフラッシュ・クラッシュが発生し、ドル/円は失速した。その際の日米2年債金利差は2.522%、10年債金利差はは2.557%であったが、現在はそれ以上に日米金利差は縮小している。
円安回帰するには、日米金利差拡大が重要ポイントとなる。一方で、米国債金利がさらに低下するようなら、ドル/円の失速の可能性も高まるので注意が必要となる。
日米金利差拡大は、ドル/円相場で円安傾向となりやすいことから、日経平均株価の上昇を支援する材料にもなる。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.430%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・5月28日:▲3.706%⇒29日予想▲3.757%
29日はNYダウが上昇下落し、米長期金利はほぼ横ばいだったことで、イールドスプレッドは大幅に拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲4.430%から▲0.673%スプレッドがかい離していることや、直近1月3日大底の▲4.226%から▲0.469%スプレッドがかい離している。
NYダウが下落したことで株式益利回りが上昇し、米長期金利が横ばいだったことで、イールドスプレッドは前日比拡大して米国債に対して米国株が前日比でNYダウが割安となった。米国債券を買うより米国株を買った方が良いということになる。今後も、米長期金利の動向が重要ポイント。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.723%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%
・5月28日:▲3.580%⇒28日予想▲3.619%
S&P500のイールドスプレッドも前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲3.723%から▲0.104%スプレッドがかい離していることや、1月3日の▲3.869%スプレッドに対しても▲0.250%のスプレッドかい離している。
S&P500が下落し、米長期金利が横ばいだったことで、イールドスプレッドは前日比で拡大した。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.207%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%
・5月28日:▲1.974%⇒29日予想▲2.007%
NASDAQのイールドスプレッドも前日比拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲2.207%から▲0.200%スプレッドがかい離していることや、1月3日の▲2.179%スプレッドに対しても▲0.172%のスプレッドかい離している。
NASDAQも下落し、米長期金利が横ばいだったことで、イールドスプレッドは前日比で拡大した。
三指数のイールドスプレッドは拡大した。そのため、引き続き米長期金利が低下するようなら、米国株に割安感が出てくる。トランプ大統領がFRBに利下げを強要するのは、米長期金利が低下すると米国株が上昇してもイールドスプレッドの縮小が抑えられるからである。徐々にイールドスプレッドは拡大基調にあり、米国株に割安感が出てきていることを示している。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。
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