FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2018/05/25/15:13:06

日経平均株価:短期筋の買戻しで小動き

米朝首脳会談中止を嫌気して120円近く下げたものの、北朝鮮が会談に引き続き前向きな姿勢を示していることもあり、買い戻しが入った。市場では『米系短期筋などから買い戻しが観測された』との指摘もあり、70円超高まで一転上昇。もっとも、前引けにかけては伸び悩むなど方向感が定まらなかった。結局、前日比13円高の2万2450円と小幅4日ぶり反発で取引が終了した。

 

東京外国為替市場:地政学リスクの円買いは一服

ドル/円は、本邦実需勢のドル買い・円売りや米長期金利が上昇したことに支えられ、109.74円までじり高となった。また、日経平均株価がプラス圏へ転じたことも、円売りを誘った。ただ、予定されていた米朝首脳会談が中止になったことで、北朝鮮情勢を巡る先行き不透明感が強まり、ドルの上げも一服した。午後は、日経平均株価をにらみながら103.50円前後での狭いレンジ取引に終始した。英米市場の3連休を前に様子見ムードが強く、積極的な売買は見送られた。ユーロ/ドルは1.1710ドル台前半で方向感の欠く値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

為替市場では地政学リスクよりも新興国通貨安を懸念

米朝会談中止をネタにした円高は終了した模様。市場でも『過激な発言や脅しで駆け引きするのがトランプ流の「交渉術」となっているが、市場もそれに慣れてきた。むしろ、為替市場で関心が高いのは米長期金利の上昇に伴う影響の広がり。地政学リスクよりも、新興国の資金流出リスクの方がはるかに注目されている。巨額の経常赤字を抱えるトルコでは、、通貨のリラが過去最低水準まで下落している。トルコ中央銀行は緊急利上げに踏み切ったものの、リラ売りの動きが収まっていない。アルゼンチンやマレーシア、ブラジルなども通貨安は波及しており、目が離せない状況となっている。

 

米国市場では4月耐久財受注が公表

同じ4月のISM製造業景況指数では『新規受注』が61.2となり、3月の61.9から鈍化した。昨年12月の67.4をピークに減速傾向にある。減税効果期待の一服のほか、4月の貿易戦争懸念や米長期金利上昇、ドル高などが悪材料となっている。参考となる3月実績は前月比+2.6%となり、市場予想を上回った。民間航空機・同部品が44.5%増え、全体を押し上げた。変動の激しい輸送関連を除くと、新規受注額は横ばい。4月については3月に増加した反動で減少する感応性が高い。ただし、輸送関連を除く受注額はやや増加する可能性がある。

 

米国市場では5月ミシガン大学消費者信頼感指数が公表

米国では4-5月にかけて、原油などの資源相場が上昇した。ガソリンなどの価格も連動上昇しており、米国の家計には打撃となりやすい。米国では長期金利上昇や株価の上げ渋りなども家計マイナス要因となる。雇用改善の持続や緩やかな賃金上昇などもあり、改めて前向きな消費者心理が示される可能性も残る。

 

欧米イベント

○16:00   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○16:15   1-3月期スイス鉱工業生産指数
○17:00   5月独Ifo企業景況感指数(予想:102.0)
○17:30   1-3月期英国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比0.1%/前年比1.2%)
○21:30   4月米耐久財受注額(予想:前月比▲1.3%/輸送用機器を除く前月比0.5%)
○22:15   クーレ欧州中央銀行(ECB)理事、講演
○22:20   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、ストックホルムで講演
○23:00   5月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:98.8)
○26日00:45   カプラン米ダラス連銀総裁、エバンズ米シカゴ連銀総裁、ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○未定   カーニー・イングランド銀行(BOE)総裁、リーカネン・フィンランド中銀総裁、スウェーデン中銀の会合でパネリストとして参加
○米債券市場は短縮取引(メモリアルデーの前営業日)

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欧米タイム直前市場コメント!

2018/05/24/15:14:57

5月13-19日分の対外及び対内証券売買契約等の状況

国内投資家は、対外中長期債は9489億円の買い越しとなり、買い越しは2週連続となった。対外株式は1658億円の買い越しとなり、買い越しは買い越しは8週連続となった。また、海外投資家は、対内株式は991億円の買い越しとなり、買い越しは2週連続の買い越しとなった。対内中長期債は1509億円の売り越しとなり、売り越しは2週間ぶりとなった。対内短期債は1兆1119億円の買い越しとなり、買い越しは2週間ぶりとなった。

 

本邦投資家の海外投資は継続しており、円を売って外貨を買うことから円高時での下支え要因となりやすい。海外投資家は2週連続買い越しとなっているものの、買い越し額が増えてこないことから上値が重くなっていた。対内短期債の買い越し額が大幅に増えているのは、スワップなどで円とドルを一定期間交換する商いが増えていると思われる。要するに円安傾向が強まっているいることから、6月末の輸出為替予約の持込が増えたことで、手前でドル買い・円売りのフォーワードをする必要があり、海外投資家にその期間は円が滞留することによる短期債運用となっている。

 

日経平均株価:米自動車関税検討を嫌気して売り優勢

トランプ大統領が『自動車などの輸入を巡り232条に基づく調査開始検討を商務省に要請』と発言したことで自動車株中心に売りが加速した。また、外国為替市場での円高進行も売りを後押しし300円近い下げ幅となった。結局、前日比252円安の2万2437円と3日続落となった。

 

東京外国為替市場:根強いリスク回避の円買い

ドル/円は、トランプ米政権が輸入車に新たな関税を課すことを検討していることや米朝首脳会談が中止になる可能性が浮上していることで、リスク回避のドル売り・円買いが優勢となり一時109.45円まで下げた。米長期金利が2.97%台まで低下したこともドル売りを誘った。午後もこの流れが続き、日経平均株価の下げ幅拡大をながめてさらにドル売り・円買いが進み一時109.30円まで下げた。ただ、下値ではドルの押し目買いが入り109.40円台でのもみ合い相場となった。ユーロ/ドルはイタリアの政局に対する根強い懸念があり1.170ドル前後での動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

5月FOMC議事録での確認事項:3回の利上げにそった内容

議事録ではサプライズはなかったが、2点が確認された。①次回6月の利上げが確実になった。大半のFOMCメンバーは追加利上げが『間もなく適切になる』と見ていることが明らかになった。②FRBは現状で、利上げペースを加速させる必要がないと考えていることが明らかになった。昨年中、低迷で悩まされたインフレが2%の目標に向けて上昇することを、メンバーは一段と確信した。このため、経済が順調に展開した場合、緩やかな利上げ軌道を維持すると、大半のメンバーは見ている。また、原油高がインフレ率を押し上げるとの意見も見られた。目標である2%を一時的に突破することも『有益かもしれない』と、どちらかというと前向きな意見が見られた。また、利上げの回数に関しても様々な意見が見られた模様である。総じて2018年3回の利上げ予想のそった内容となった。

 

米中間選挙対策で自動車関税発言か:日独自動車業界に向けた視線

トランプ政権が自動車関税を25%引き上げを得kんとうしていると伝わった。米連邦投票支援プログラムによると、6月5日にアラバマやミシシッピといった日本の自動車メーカーが工場進出している州で予備選が実施される。予備選は、共和・民主各党の候補者を選ぶ選挙にすぎないが、その動員数は中間選挙の結果を大きく左右する。特にアラバマ州では昨年12月の連邦上院補欠選挙で与党・共和党が敗北した。自動車関税は『海外自動車メーカーは米国内での生産をもっと増やせ』と暗に圧力をかけ、選挙民向けには好意的なメッセージとなる。トランプ大統領の保護主義の視線が日本やドイツに向き始めた。いずれ米国製の日本車の逆輸入車が増える可能性もある。

 

米国市場では4月の中古住宅販売件数が公表

先行指標である中古住宅販売契約指数は、3月分で市場予想を下回る鈍化となった。米国では4月にかけて米長期金利が上昇したことで、住宅ローン金も連動して上昇した。米国の住宅市場については、割安物件の減少や在庫不足、建築資材コスト、建築労務費コストの上昇などによる住宅価格の上昇も販売への逆風となっている。

 

欧米いイベント

○15:00   1-3月期独GDP改定値(予想:前期比0.3%/前年同期比2.3%)
○15:00   6月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:10.8)
○15:45   5月仏企業景況感指数(予想:108)
○16:00   カーニー・イングランド銀行(BOE)総裁、ダドリー米ニューヨーク連銀総裁、講演
○17:30   4月英小売売上高指数(自動車燃料含む、予想:前月比0.9%/前年比0.2%)
○17:30   プラート欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○20:30   ECB理事会議事要旨(4月26日分)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数(予想:22万件)
○22:00   3月米住宅価格指数(予想:前月比0.6%)
       1-3月期米住宅価格指数(予想:前期比0.7%)
○23:00   4月米中古住宅販売件数(予想:前月比▲0.9%/年率換算555万件)
○23:35   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○未定   南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利発表(予想:6.50%で据え置き)
○25日02:00   米財務省、7年債(300億ドル)入札
○25日03:00   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○ユーロ圏財務相会合
○仏ロ首脳会談

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欧米タイム直前市場コメント!

2018/05/23/15:10:04

日3月全産業活動指数:市場予想下回る

経済産業省が発表した3月の全産業活動指数(黄説調整値、平成22年=100)は前月比横ばいとなり、市場予想の前月比0.1%上昇を下回った。

 

3月は円高傾向が強くドル/円は年初来高値104.59円を付けるなど、本邦企業にとっては厳しい月となっていた。4月以降は円高も改善され円安傾向が強まったことから、来月の発表では改善方向となりやすい。

 

日経平均株価:裁定解消の現物株売り優勢

前日NYダウが178ドル安の反落に加えトランプ米大統領が22日に米朝首脳会談の延期に触れ朝鮮半島情勢の不透明感に1ドル=110円台半ばへの円高を受け海外ヘッジファンドやCTA(商品投資顧問)の先物売りに裁定解消の現物株売りが広がり下げ幅を拡大した。結局、前日比270円安の2万2689円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:日本株の大幅下落でリスク回避の円買い

ドル/円は、日経平均株価の下げが一時300円を超えたことや米朝首脳会談が中止になる可能性が浮上していることで、リスク回避のドル売り・円買いが強まった。米長期金利が低下したことで、一時110.40円台まで下げた。午後もこの流れが継続し、110.37円まで下げた。ただ、FOMC議事要旨の公表を控えて見極めたいとのムードも広がりドルの下げも一服した。ユーロ/ドルは、イタリアの政局先行き懸念を背景としたユーロ売り・ドル買いが一巡したことで1.1760ドル台を中心の動きとなった。

 

欧州市場ではユーロ圏5月マークイット製造業PMIが公表

参考となる4月実績は56.2で3月実績をやや下回った。ユーロ圏諸国の景況感は特に悪化していないものの、経済成長はやや減速しつつあることから、5月の製造業PMIは4月実績の56.5を下回る可能性が高いとみられる。

 

米国市場では5月マークイット製造業PMIが公表

参考となる4月実績は56.5で3月実績の55.6を大きく上回った。また、5月NY連銀製造業景気指数は4月実績を上回っていること、直近の雇用関連指標は悪化していないことから、5月の製造業PMIは4月実績の56.5をやや上回る可能性がある。

 

米国市場では4月の新築住宅販売件数が公表

参考となる3月は4ヵ月ぶりの高水準に増加しており、4月は反動減速が警戒される。米国では4月にかけて金利が上昇しており、住宅ローン金利も連動上昇した。米国の住宅市場については、割安物件の減少や建築資材コスト、建築労務費コストの上昇などによる住宅価格の上昇も販売への逆風となっている。一方で、米国では雇用の改善傾向が続いている。若年層による独立や新世帯形成も増加しており、潜在的な住宅購入需要は根強くある。米国での金利上昇や李が下継続観測は『金利上昇前の駆け込み需要』喚起させる側面もあり、懸念ほど新築住宅販売が落ち込まない可能性もある。

 

米国市場ではFOMC議事要旨が公表(5月1-2日開催分)

議事要旨では、6月利上げと利上げペースの加速に関する手掛かりを得られるかがポイントとなる。会合後の声明よりも追加利上げに前向きな内容ならドル買いを誘発しやすい。

 

欧米イベント

○16:00   5月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:53.7)
○16:00   5月仏サービス部門PMI速報値(予想:57.2)
○16:30   5月独製造業PMI速報値(予想:57.9)
○16:30   5月独サービス部門PMI速報値(予想:53.0)
○17:00   ロウ豪準備銀行(RBA)総裁、講演
○17:00   5月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:56.0)
○17:00   5月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:54.7)
○17:00   4月南アフリカCPI(予想:前月比0.9%/前年比4.7%)
○17:30   4月英CPI(予想:前月比0.5%/前年比2.5%)
         小売物価指数(RPI、予想:前月比0.5%/前年比3.4%)
○17:30   4月英卸売物価指数(PPI、食品とエネルギーを除くコア指数、予想:前年比2.1%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数

○22:45   5月米製造業PMI速報値(予想:56.1)
○23:00   4月米新築住宅販売件数(予想:前月比▲2.1%/68万件)
○23:00   5月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:0.5)
○23:30   EIA週間在庫統計
○24日02:00   米財務省、5年債(360億ドル)入札
○24日03:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(5月1-2日分)
○24日03:15   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演

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欧米タイム直前市場コメント!

2018/05/22/15:12:55

日経平気株価:北朝鮮情勢への警戒感から売り優勢

前日NYダウが298ドル高の続伸や1ドル=111円台の円安を手掛かりに買いが先行したが、海外メディアがペンス米副大統領の『北朝鮮の出方次第で米大統領の6月米朝首脳会談取りやめの用意』発言を報じ朝鮮半島情勢への警戒感が強まり利益確定売りが優勢となり下げに転じた。結局、前日比42円安の2万2960円と4日ぶりに反落して終了した。

 

東京外国為替市場:持ち高調整のドル売りがやや優勢

ドル/円は、日経平均株価がプラス圏からマイナス圏へ転じたことで持ち高調整のドル売り・円買いが入り110.85近辺まで下げた。米長期金利が小幅に低下したこともドル売りを誘った。ただ、23日に公表されるFOMC議事要旨を見極めたいとの雰囲気から下押しも限定的となった。午後は、株価にらみの展開となり、110.90円台を中心としたレンジ相場となった。本邦実需筋による売買は午前中に一巡したことで、午後は薄商いとなった。ユーロ/ドルは、1.17ドル台後半で方向感に欠く値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

米社債リターンが急速に悪化:金融政策引き締めの影響が進行

JPモルガン・チェースの指数によれば、米国社債市場の100日リターンは2000年以降で3番目に大きなマイナスとなっている。FRBによりる引き締め気味の金融環境が期間が長めの高格付け債に影響を与えている。米投資適格社債を対象とするブルームバーグ・バークレイズ指数は年初来で3.9%低下しているが、新興国のドル建て債も同程度の値下がりしている。新興国市場ではドルが再び強くなっていることと、起債ブーム後のクレジットの質を巡る懸念が問題視されている。

 

さらに中東情勢悪化で原油は高止まり

トランプ大統領は原油が69ドルに上昇した4月19日の翌日、協調減産を続けるOPECをやり玉に挙げ『石油価格は人為的にとても高く、容認できない』などと批判した。しかし、その後原油一段高は、トランプ大統領自らによるイラン核合意から離脱決断と対イラン制裁の再開(イランの原油供給削減)思惑が影響を及ぼしている。そのため、今後も中間選挙に向けた有権者配慮で『口先介入』による原油高けん制はあっても、原油相場を押し下げに向けた政策対応には動かない可能性が高い。

さらに、ポンペオ米国務長官は21日、ワシントンのシンクタンクで、イランと米欧など6カ国が結んだ核合意から離脱表明に続く新たなイラン政策を発表した。ウラン濃縮の完全停止など12項目を要求し、イランが政策変更するまで『史上最強』の制裁を続ける方針を表明した。金融面で前例のない圧力もかける。

 

FRB要人発言や23日FOMC議事録に注意

米国では原油高などによるインフレ懸念と金利上昇の圧力が高まるなか、今週はFRB幹部の発言や23日のFOMC議事録が注目されている。現在は過度に利上げペースの加速が警戒され恥園丁いるだけに、改めて慎重なペースでの利上げ姿勢が示唆されると、調整的な米長期の低下とドルの頭打ち、あるいは短期的なドル安を招く。一方で、現在は米国の物価がFRB目標の2%を超えてきても、『FRBは一定の上振れを容認する』というインフレに寛容姿勢が米長期金利の上振れの一因となってきた。FRBがインフレと景気の上振れ過熱に警戒感を示し始める可能性も残る。そのため、利上げペース加速のシグナルが見られると、米国株や新興国株の下落材料となりやすい。その場合は短期調整的なリスク回避により、円全面高に振れる余地もある。

 

欧米イベント

○17:15   カーニー・イングランド銀行(BOE)総裁、ラムスデンBOE副総裁、サンダース英中銀金融政策委員会(MPC)委員、ブリハMPC委員、講演
○18:00   リーカネン・フィンランド中銀総裁、講演
○21:30   3月カナダ卸売売上高(予想:前月比0.9%)
○22:00   4月ロシア失業率(予想:5.0%)
○23:00   5月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:10)
○23日02:00   米財務省、2年債(330億ドル)入札
○米韓首脳会談(ワシントン)

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欧米タイム直前市場コメント!

2018/05/21/15:10:31

日経平均株価:米中貿易摩擦懸念後退と円安を好感

米中貿易摩擦への懸念が後退し買い安心感が広がった。外国為替市場での1ドル=111円台での円安進行や米株価指数先物の上げ幅拡大も支えに120円超上昇し、2月2日以来約3ヵ月半ぶりの2万3000円台乗せとなった。結局、前週末比72円高の2万3002円と3日続伸で取引を終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利上昇を受け総じてドル買い優勢

ドル/円は、米長期金利が上昇したことや日経平均株価が約4ヵ月ぶりに2万3000円を回復したことに支えられ、111.07円までじり高となった。週末にムニューシン米財務長官が『今回の米中通商協議では、関税措置を保留することで合意した』と発言したこともドル買い材料となった。午後も流れは続き、直近高値111.08円を上抜けすると一時111.37円まで上昇した。ユーロ/ドルは、イタリアの政局先行き懸念からユーロ売り・ドル買いが続き、役5ヵ月ぶり安値圏となる1.17ドル台半ばまで推移した。

 

米中貿易戦争は玉虫色ながら一旦後退

ワシントンで行われた2回目の米中通商協議は19日に両国が貿易戦争に踏み切らない意向を表明して終了した。しかし、玉虫色な部分のある貿易不均衡是正の公約が実行されない場合はこの『停戦』は一時的なもので終わる見方もある。トランプ大統領は中国からの輸入品最大1500億ドル(約16兆6000億円)相当に関税を課す計画を発表し、中国も同様の対抗措置で臨む姿勢を表明していた。米中は米国の中国に対するモノの貿易赤字の大幅削減で合意し、中国は米国製品の購入を『大幅』に増やす約束をした。しかし、ホワイトハウスは中国政府が年間の対米貿易黒字を2000億ドル削減するという要求に応じるだろうとしているものの、共同声明には具体的な数字は盛り込まれなかった。

 

米財務省の大規模入札が金利上昇を支え

米長期金利は先週、今日上昇し、数ヶ月前には到達し得ないと見られていた水準を突破した。10年債利回りは過去5営業日連日で3%台で終了した。また、ジェフリー・段ドラッグ氏が重要な節目と述べていた30年債利回りは3.22%を1回上回って終了した。米財務省は今週、固定利付き中長期債を合計990億ドル(約11兆円)を入札する予定で、2010年以降では屈指の規模となる。加えて1500億ドルを上回る短期債や160億ドルの変動利付き債を発行する可能性もある。

 

投機筋のポジション減少でも価格は上昇

北海ブレント原油価格が上昇するなか、投機筋による値上がりを見込む投資は減少している。ヘッジファンドによるブレント原油の買い越し残高は5週連続で減り、2016年11月以降で最長を記録した。買い越し残高が減少した後に、原油価格は14年以降で初めて1バレル=80ドルを上回った。ICEフューチャーズ・ヨーロッパが18日に発表した先物オプションのデータによると、ヘッジファンドによるブレント原油の買い越し残高は5月15日終了週の3.7%減少し54万8555枚となった。米商品先物取引委員会(CFTC)の18日の発表によれば、WTIの先物とオプションの買い越し残高は6.2%減り38万5283枚と6週間で最大の落ち込みとなった。

 

5月15日付シカゴIMM投機筋の対米ドルでの差し引き持ち高

 

      (5月8日)   ⇒   (5月18日)

円     :▲5,462   ⇒   +3,680

・ユーロ   :+120,505  ⇒   +115,114

・ポンド   : +8,988  ⇒    +5,621

・豪ドル   : ▲16,766  ⇒   ▲23,106

 

前週まで円の売りポジションが2週続いていたが、一転して円買いポジションへと転換した。投機筋は一般的には一旦ポジションを傾けると、その方向にポジションを積み上げていくことが多い。そのため、2週間で円売りポジションから円買いポジションに転換することは珍しい。それだけ、ドル/円の相場が難しくなっているのかもしれない。ただ、ドル/円日足チャートでは上昇トレンドとなっている。ユーロ/ドルでユーロが下落しているにも関わらず、ユーロ買いのポジションの整理が進んでいない。そのため、戻り局面ではやれやれ売りが出やすく、上値を抑えられる展開となっている。

 

欧米イベント

○16:00   ノボトニー・オーストリア中銀総裁、講演
○17:30   4月香港消費者物価指数(CPI)
○22日01:15   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○22日03:05   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○20カ国・地域(G20)外相会議
○ドイツ、スイス(聖霊降臨祭)、カナダ(ビクトリア女王誕生日)、休場

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