FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2019/08/06/15:15:34

日経平均株価:米国株の大幅続落につれた売り優勢に

前日の米国株主要3指数が大幅続落となったことを嫌気しほぼ全面安商状で始まった。しかし、為替市場で、ドル安・円高が一服したほか、中国の人民元が1ドル=7.0699元で取引が始まった後、7.0485元付近まで元高となったことも安心感を与え、買い戻しの動きにつながり下げ幅を縮小した。また、短期間で急激に下げただけに、ショートカバーの機会を探る展開となった。結局、前日比134円安の2万585円と3日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:人民元高に設定されリスク回避が後退

ドル/円は、米財務省が『中国を為替操作国に認定した』と発表、米中の対立がさらに激化するとの懸念が広がった。これを受けて円は一時105.52円付近まで下落した。1月3日以来となる安値を付けた。しかし、東京市場に入ると、国内輸入企業のドル買い・円売りや米長期金利の上昇に支えられ、106円台前半に水準を回復した。中国人民銀行が発表した人民元の対ドル基準値が、市場の予想より元高・ドル安に設定されたことも、過度なリスク回避姿勢を和らげて円売りを誘った。午後もこの流れが続き、NYダウ先物の持ち直しや日経平均株価の下げ幅縮小を背景に、継続的にストップロスのドル買い・円売りオーダーを巻き込みながら一時107.10円近辺まで急伸した。その後は米中貿易戦争が長期化するとの根強い懸念から、利益確定や戻り待ちのドル売り・円買いに押され、106.60円台へ軟化した。ユーロ/ドルは、米長期金利の上昇を眺めた持ち高調整などのユーロ売り・ドル買いが入り、1.1190ドル台へ値を下げた。

 

日本の金融当局は円高・株安を止められるのか

日本では10月に消費税増税が迫る中で、円高・株安の経済打撃が深刻化してきた。
安倍晋三首相は5日、『リスクが顕在化なら、機動的なマクロ経済政策を躊躇なく実行する』と発言している。今後は政府による補正予算を含めた消費税軟着陸策の前倒しや、日銀による臨時会合を含めた今後の金融緩和強化などが焦点になる。
5日は急激な円高・株安を受け、財務省・金融庁・日銀の3者会合が開催された。会合後に財務省の武内良樹財務官は、『過度な為替の変動は経済・金融にとって望ましくない』、『G7、G20の合意に沿って対応をきちんと講じる』と発言している。前週末以降のような大幅かつ急激な為替変動に対し、市場安定化を目的にスムージング・オペ介入を実施することは、G7ルールの範囲内で他国との交渉が可能だ。

 

新たな地政学的リスク:核保有国同士の摩擦

カシミールの帰属を巡っては、インドとパキスタンとの対立が絶えません。(中国も一部領有権を主張しています)。70年以上も帰属を争い、印パ戦争が複数回行われています。カシミール国民は大多数がイスラム教徒ですが2割程度ヒンズー教もいることで、宗教をめぐる争いでもあります。そもそもの紛争の発端は一つ、70年近く前に国民はイスラム教徒が多い中で、ヒンズー教徒だったカシミール藩王がパキスタンによる武力介入に対して、インドに派兵を求めたことです。それ以来、インドはカシミールを領有するという姿勢を崩していません。今回自治権を剥奪されたことで、カシミール州住民やパキスタンが反発することになるのは間違いないでしょう。しかも、警戒しなくてはならないのはインドとパキスタンは核保有国ということで、もし争いが激化したらどのような方向に行くのかが懸念されます。世界各国の国際情勢が乱れている中、印パの今後の動きにも警戒が必要になりそうです。

 

中国の人民元安容認で通貨安戦争の始まりか?

中国の金融規制当局は、市場が米中貿易摩擦や弱い経済成長率を巡る懸念を織り込めるよう1ドル=7元を超える人民元安を容認したと、関係者3人が5日、明らかにした。政策に詳しい関係者の1人はロイターに対し『政策発表のタイミングや市場を誘導する方法、問題に対するいくつかの措置などについて内部で本格的に協議した』と指摘した。1ドル=7元を超える元安について規制当局は半分反対し、半分許容する考えを持っているとした。 中国人民銀行(中央銀行)は同報道に対し現時点でコメントしていないが、報道前には人民元相場を妥当でバランスの取れた水準で維持することができると確信していると表明した。人民銀の易綱総裁はこの日遅くにウェブサイトに掲載された声明で、貿易摩擦など国外の混乱に対処するための手段として人民元を用いたり、通貨切り下げ競争を行ったりすることはないと述べた。

 

米7月ISM非製造業は予想外に悪化:中国への追加関税の影響も

米供給管理協会(ISM)が発表した7月ISM非製造業指数は53.7と、上昇予想に反して6月55.1から低下、2016年8月以降ほぼ3年ぶり低水準に落ち込んだ。米国経済の7割を消費が占める。同指数の予想外の悪化は、7-9月期の国内総生産(GDP)成長を消費が抑制する可能性を示唆した。 ISM非製造業調査委員会のアンソニー・ニーブス委員長は『経済の成長は減速している』との見解を示すと同時に、『50を割り込み活動の縮小をあらわしている項目もない』と指摘した。さらに、調査の回答者は関税を懸念していることも明らかにした。米国のトランプ大統領は中国との交渉や公約実施に向けた中国の姿勢に進展がなければ、残り3000億ドル規模の中国輸入品に新たに10%関税を課す計画を発表した。ニーブス委員長は新たな関税が企業の信頼感に影響することになる可能性を警告した。

 

欧米イベント

○15:00   6月独製造業新規受注(予想:前月比0.5%/前年同月比▲5.2%)
○7日01:00   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○7日02:00   米財務省、3年債入札
○6-7日   7月ロシア消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.3%)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2019/08/05/15:16:14

日経平均株価:急速な円高を嫌気した売り優勢

前週末の米国株主要3指数が下落したことや為替の円高が嫌気され、朝方から幅広い銘柄で売りが先行した。取引時間中に一段と円高が進行しドル/円が105円台に下落すると、為替に連動する先物売りが強まり、現物指数を大きく押し下げた。中国人民銀行が設定した対ドル基準値が1ドル=6.9225元と市場予想より元安だったことで、当局が元安を容認したとの見方が出た。人民元は一段安となり、オフショア、オンショアともに1ドル=7元台へ下落した。結局、前営業日比366円安の2万720円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク回避の円買いに拍車

ドル/円は、日経平均株価の大幅安や米長期金利の急低下をながめて、下値を模索する展開となり、105.80円付近げ下落した。米中貿易戦争が長期化するとの思惑から、オプショア市場で人民元が急落したことも、リスク回避の円買いに拍車をかけた。その後は、国内輸入企業などが値ごろ感からドル買い・円売りに動き、106.10円台へ切り返した。しかし、一部メディアが『中国が国営企業に対して、米国産農産物の輸入停止を要請している』と報じたことから伸び悩み、106.00円前後でもみ合う展開となった。午後は、NYダウ先物の大幅安を嫌気して一時105.79円程度まで値を下げ、1月3日以来のドル安・円高を付けた。しかし、財務省・日銀・金融庁が3社会合を行うと発表、急激な円高がけん制されるとの警戒感から、下げは一服した。ユーロ/ドルは、1.11ドル台前半で方向感に欠く展開となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

トルコの政策金利は今後も低下:エルドアン大統領

トルコのエルドアン大統領は、最近引き下げられた政策金利について、今後も低下するとし、インフレ率も低下すると述べた。トルコ中央銀行は先月、政策金利を425bp引き下げ、19.75%とした。景気後退(リセッション)に陥っている経済を下支えする狙いだが、利下げ幅は予想を上回った。エルドアン大統領は『中銀は金利を引き下げたが、一段と引き下げる』と延べ『全ての国民に求める。我々の経済に関する憶測には耳を閉ざすべきだ』と述べた。後任のウイサル総裁は7月末、今後数ヵ月間中銀には金利を操作するかなりの余地があると説明した。

 

トルコとロシアの親密度が高まる

トルコの産業構造は、サービス業が約59%、工業は24%強、農業が5%弱とされ、主要産業であるサービス業の収入の約9割を占めるのが観光セクターと言われている。18年トルコ観光客数の国別内訳では、ロシアからが596万人強とトップ、2位ドイツの約451万人とは140万人以上の開きがある。3位はブルガリアの239万人弱、4位が英国の約225万人。ここまでは前年比で2割から3割増加だったが、これらに次ぐ200万人程度のジョージアやイランは前年比で減少した。2019年のトルコ観光業も好調で、上半期の外国人観光客数は1087万人と前年同時期比で13%増を記録した。なかでもロシアからは既に271万人弱がトルコを訪れ、17年上半期比では約15%の伸び率となっている。トルコ系が多く住むドイツからも180万人程度(約10%増)がトルコに来ているが、ロシア人がトルコ観光業の支えといって良い。トルコとロシアの関係は、ロシア製地対空ミサイル導入、両国を結ぶ天然ガスパイプライン、ロシア企業によるトルコ国内での原発建設など、関係強化が目立つ。トルコの重要産業である観光でもロシアに頼るところが大きくなれば、今後ますますの米国離れ、ロシア寄りの行動をトルコがとるようになっていくことが予想される。

 

メキシコ政府と国営石油会社の共倒れリスク

メキシコ政府が、経営不振の続く国営石油会社ぺメックスの救済に躍起になっている。公的資金を使った設備投資で生産を回復させ、負債を減らす計画だが、市場からは実現性に疑問の声があがる。既にぺメックスの社債格付けを引き下げる動きが出ている。資金負担の重さから政府も共倒れとなる恐れがあり、メキシコ国債の格付けへの悪影響も懸念されている。今回まとめた中期計画によると、まず政府がぺメックスへの資本注入と税金減免によって総額2690億ペソ(約1兆5200億円)の金融支援を実施する。米格付け会社ムーディーズは17日付けリポートで『計画している投資額では原油算出量の目標達成には至らない。より多くの政府支援が必要だ』と指摘している。国主導で救済に固執するメキシコ政府自体にも、危機の足音が近づいている。ロペスオブラドール政権になって以降、経済成長の減速は鮮明となっている。税収も減少基調が続いている。ぺメックスへの多額の支援や税金免除によって、財政状況のさらなる悪化も懸念される。

 

南アランドの戻りには限界も

国営電力会社エスコムの損失額が市場予想よりも少なかったことは南アランド(ZAR)にとっては好材料となった。しかし、依然として7月末に辞任したハデべ前最高経営責任者(CEO)の後任が決定していない。そのため、2月に発表された3分割案も暗礁に乗り上げたままとなっている。今年に入り、南アからの資金流失は債券市場を中心に急ピッチで進み、現時点では1998年にデータを取り始めてから最大ペースになっている。この流れはZARの上値を抑えることになる。また、ラマポーザ大統領を巡るアフリカ・グローバル・グループ(旧ボササ)からの違法献金問題などで、大統領が来年には辞職に追い込まれる可能性もあることも、ZARにはネガティブな材料となる。

 

米国市場では7月ISM非製造業景況指数が公表

米7月ISM非製造業景況指数は55.5と、6月の55.1を上回る見通しとなっている。好不況の節目となる50は上回るものの、大幅な改善は期待薄と見られている。7月の数値が市場予想を下回った場合、ドル売りが強まる可能性がある。

 

欧米イベント

○14:45   7月スイスSECO消費者信頼感指数(予想:▲8)
○15:30   6月スイス小売売上高
○16:00   7月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比1.60%/前年比16.90%)
○16:50   7月仏サービス部門PMI改定値(予想:52.2)
○16:55   7月独サービス部門PMI改定値(予想:55.4)
○17:00   7月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:53.3)
○17:30   7月英サービス部門PMI(予想:50.2)
○22:45   7月米サービス部門PMI改定値(予想:52.3)
○22:45   7月米総合PMI改定値
○23:00   7月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:55.5)
○6日02:30   ブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○カナダ(市民の日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2019/08/02/15:13:51

日経平均株価:対中貿易摩擦激化と円高を嫌気した売り

前日の米国株式市場で、トランプ米大統領が新たな対中関税の第4弾の発表を受けてNYダウが連日大幅安となったこや、ドル/円は一時6月25日以来となる107円割れとなったことを嫌気し、主力銘柄を中心に総じて売られる展開となった。上海株やNYダウ先物が軟調に推移し、投資家心理を圧迫した。ランチタイム中に日経先物に売りが出て現物指数が一段と下落した。一時下げ幅を550円超へ広げた。結局、前日比453円安の2万1087円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:ドル安は一旦後退し107円台を挟んでもみ合い

ドル/円は、日経平均株価の大幅安を嫌気して下値を模索する展開となり、107円台半ばから106.86円付近まで下落した。トランプ米大統領が『中国と合意するまで、徹底的に関税を課す』と発言したことも、リスク回避の円買いを誘った。しかし、6月25日に付けた106.78円が下値サポートとして意識されると、ショートカバーが入って107円台を回復した。午後は、日経平均株価が一時的に節目の2万1000円を下回ると、再び107円を割り込んで106.95円付近へじり安となった。しかし、今晩公表される米7月雇用統計を見極めたいとの雰囲気から下げ渋り107.10円を挟んでもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、1.10ドル台後半で小動きの展開に終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

米7月ISM製造業景況指数は3年ぶり低水準

米供給管理協会(ISM)が発表した7月ISM製造業景況指数は51.2と、上昇予想に反して、6月51.7から低下した。活動の拡大と縮小の境目である50を依然上回ったものの、2016年8月以降3年ぶり低水準となった。貿易摩擦や世界経済の成長減速を受けた輸出の鈍化が響いた。事前に民間マークイットが発表した7月製造業PMI改定値は50.4と速報値50.0から上方修正され、予想50.1を上回った。しかし、少なくとも2016年7月以来で最低となった。

 

サムスン電子4-6月期半導体部門の営業利益が激減

韓国サムスン電子は31日、4-6月期半導体部門の営業利益が-71%の激減と発表した。日本政府が7月4日にフッ化水素など3品目の輸出規制を強化、半導体生産に欠かせない部材の機動的な調達リスクと共に競争力の源泉である大量受注モデルへの信頼が揺らぎ、大幅減益となった。英調査会社IHSマークイットによれば、サムスンは処理速度が速く電源を落とすとデータ消失するDRAMが43%、電源を消してもデータが残るNAND型フラッシュメモリー38%の世界首位のシェアを誇る。特に、サムスン、韓国SKハイニックス、米マイクロン・テクノロジー3社で寡占状態のDRAMは18年売上高営業利益率が7割に達した。しかし、日本に9割を依存する高純度フッ化水素の輸入規制を日本に受けるため規模の生産が危うくなるという。サムスン電子がフッ化水素を調達できなければメモリーは生産できず、顧客はサムスンとの取引リスクを認識せざるを得ない。韓国経済の心臓サムスンの取引減少は、同国経済にとって瀕死の重傷となる。

 

米国市場では6月貿易収支が公表

5月実績は、▲555億ドルで貿易赤字は4月との比較で拡大した。輸入・輸出ともに増加したが、財の対中赤字は301億ドルに拡大した。6月については輸入額の減少が予想されることから、貿易赤字幅はやや縮小する見込みとなっている。

 

米国市場では7月雇用統計が公表

市場予想は失業率が3.6%。6月3.7%から低下し、ほぼ50年来の低水準を維持すると見られている。また、非農業部門雇用者数は前月比+16.5万人と、6月+22.4万人から伸びの鈍化が予想されている。さらに、平均時給は前月比+0.2%、前年比+3.1%と、6月と同水準の伸びが予想されている。先行指標の中でも労働省が発表する雇用統計と相関関係が最も強いとされている民間の雇用統計となるADP雇用統計の7月分は前月比+15.6万人と、持続可能な水準での伸びが続いた。6月分は+11.2万人と、+10.2万人から上方修正されており、労働省が発表する雇用統計でも順調な雇用の伸びが示唆される可能性が強い。ただ、製造業の雇用は減速が見込まれる。全米の製造業景況を示すISM製造業景況指数の7月分は予想外に6月分から悪化し、3年ぶり低水準に落ちこんだ。パウエルFRB議長が指摘していた通り、世界経済の鈍化や関税が、米国の製造業にも悪影響を与えている証拠となった。トランプ政権は9月から残り3000億ドルの中国輸入品に10%追加関税を課すと発表した。そして、交渉に進展が見られなければ関税率を25%まで引き上げる可能性も指摘した。そうなると製造業に一段の打撃を与えることが懸念される。雇用統計が予想を下回った場合は、年内の追加利下げ観測をさらに強め、さらなるドル売りに繋がりやすい。

 

欧米イベント

○15:30   7月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.3%)
○16:30   7月スイスSVME購買部協会景気指数(予想:46.5)
○17:00   7月ノルウェー失業率(予想:2.3%)
○17:30   7月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:46.0)
○18:00   6月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比▲0.3%/前年比0.8%)
○18:00   6月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比0.2%/前年比1.3%)
○21:30   6月カナダ貿易収支(予想:3億カナダドルの赤字)
○21:30   6月米貿易収支(予想:546億ドルの赤字)
○21:30   7月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化16.4万人/失業率3.7%/平均時給、前月比0.2%/前年比3.1%)
○23:00   6月米製造業新規受注(予想:前月比0.8%)
○23:00   7月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:98.5)
○日米閣僚級貿易協議(ワシントン、最終日)

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/08/01/15:19:06

日経平均株価:円安を好感した買い優勢

パウエル米FRB議長がFOMC後の会見で利下げサイクル入りを示唆せず、米国株主要3指数が急落した。日本株も朝方は売りが先行した。その後、為替市場で1ドル=109円台前半と約2ヵ月ぶりの円安水準となったことを横目に下げ幅が縮小しプラス展開した。市場では『リスク・パリティ系ファンドのアセット配分の見直しで、株の方にも資金が入ってきているのではないか』との観測も出ていた。結局、19円高の2万1540円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利上昇で109円台を回復

ドル/円は、FOMCで0.25%の利下げを実施した後に、パウエルFRB議長が『長期的な利下げ局の始まりではない』と発言したことから、ドル買いが優勢となった。この流れを引き継いで、上値を試す展開となった。心理的節目の109.00円を上抜けすると、ストップロスのドル買い・円売りオーダーを巻き込みながら一時109.31円付近まで上昇した。米長期金利が上昇したことも、ドル買いにつながった。しかし、トランプ大統領の不規則発言が警戒されているため、上げは一服した。その後は、利益確定や戻り待ちのドル売り・円買いが入り109.10円台へ小緩んだ。午後は、日経平均株価や米長期金利の動向をにらみながら、109.20円前後でもみ合う展開となった。今晩予定されている英中銀金融政策委員会の結果発表や米7月ISM製造業景況感指数を控えて、様子見ムードが広がった。ユーロ/ドルは、FRBの利下げ期待が低下したことによる急激なユーロ安・ドル高が一服し、1.10ドル台半ばで小動きとなった。

 

韓国の7月貿易統計は8ヵ月連続マイナス:中国景気減速が影響

韓国政府が発表した7月の貿易統計によると、輸出は前年同月比11.0%減の461億米ドルとなった。前年実績からのマイナスは8ヵ月連続となった。米中貿易摩擦への懸念や半導体市況の悪化が輸出額を押し下げた。輸入は2.7%減の437億米ドルだった。

半導体の輸出は28%減と落ち込んだ。半導体を巡っては、日本が7月上旬に韓国への半導体材料の輸出規制を発動しており、先行きの生産への影響が懸念されている。また、地域別では中国向けが16%減となり、9カ月連続で減少した。中国企業が有機ELパネルを増産した。米国向けは0.7%減だった。一方で、自動車の輸出は22%増となった。

 

FRBのタカ派姿勢に投機筋のポジション解消の動き

FRBは米連邦公開市場委員会(FOMC)で10年半ぶりの利下げを決めたが、パウエル米FRB議長の『長期的な利下げ局面の始まりではない』との発言を受けて米国の継続的な利下げ観測がひとまず後退した。商品投資顧問(CTA)などが米債券の買い持ち高を外す動きを強め、米長期金利が上昇した。そのため米長期金利上昇に連動してドルの独歩高が鮮明になった。市場の想定以上にFRBが利下げに消極的な『タカ派』姿勢を見せたことにある。これまで金融緩和相場を想定して『株買い・債券買い・ドル売り』の持ち高を積み上げていたCTAが持ち高解消に走り、米長期金利が上昇したことにある。

 

米国の予防的利下げは過去3回が主流

パウエルFRB議長の発言『今回の利下げはサイクル中盤での金融政策の調整であり、長期的な利下げ局面の始まりではない』を受けてドルは全面高となっている。しかし、米連邦準備理事会(FRB)は、これまで1984年、1995年、1998年に『予防的利下げ』を行っているが、1995年と1998年は3回(x0.25%=0.75%)となっており、今回も2019年末にかけて、3回程度の利下げが見込まれている。

●1995年:①7月6日6.00%⇒5.75%、②12月19日5.75%⇒5.50%、③96年1月31日5.50%⇒5.25%

●1998年:①9月29日5.50%⇒5.25%、②10月15日5.25%⇒5.00%、③11月17日5.00%⇒4.75%

 

米中の溝深く進展が見られなかった米中閣僚級貿易協議

中国で開催されていた注目の米中貿易閣僚級は目立った進展もなく1日で終了した。当初の予定は2日間だった。関税の一部適用除外や交渉を継続することで合意した。次回の協議は9月にワシントンで開催される。トランプ大統領は『公約していた米国の農業製品を購入していない』と中国を非難した。また、中国は2020年の大統領選の結果を見極める長期戦の姿勢だと指摘しており、関税は長期にわたり維持される可能性が強く、景気を抑制していくと見られる。中国の国内総生産(GDP)は6%台の成長を維持しているものの27年ぶり低水準にとどまった。7月製造業PMIは3カ月連続で50割れで、活動の縮小となっている。トランプ大統領は中国が関税の損失を、人民元の切り下げ操作をすることによりある程度、相殺していると批判しており、米国がドル安政策をとるとの懸念はくすぶる。

 

欧米イベント

○16:00   7月トルコ製造業PMI
○16:50   7月仏製造業PMI改定値(予想:50.0)
○16:55   7月独製造業PMI改定値(予想:43.1)
○17:00   7月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:46.4)
○17:30   7月英製造業PMI(予想:47.7)
○20:00   英中銀金融政策委員会(MPC)2日目、終了後政策金利発表(予想:0.75%で据え置き、資産買取プログラムは4350億ポンドで維持)
○20:00   MPC議事要旨
○20:00   英中銀イングランド銀行(BOE)、四半期ごとの物価報告(インフレリポート
○20:30   カーニーBOE総裁、記者会見
○20:30   7月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.4万件/167.8万人)
○22:45   7月米製造業PMI改定値(予想:50.0)
○23:00   7月米ISM製造業景気指数(予想:52.0)
○23:00   6月米建設支出(予想:前月比0.3%)
○2日03:00   7月ブラジル貿易収支(予想:38.00億ドルの黒字)
○日米閣僚級貿易協議(ワシントン、2日まで)
○スイス(建国記念日)、休場

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/07/31/15:17:17

日経平均株価:欧米市場の下落の流れを引き継ぐ下げ

トランプ大統領が中国警告を発し、通商協議に対する懸念が出ている。投資家心理が圧迫され、欧米市場で主要株価指数が下落した流れを引き継ぐ形で、東京市場も幅広い業種で売りが先行した。国内企業の冴えない決算や、米連邦公開市場委員会(FOMC)通過後の円高リスクに対する警戒なども上値を重くした。一時233円まで下げ幅を広げたがNYダウダウ先物の上げ幅拡大したこともあり、下げ幅を縮めた。結局、前日比187円安の2万1521円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:108円台半ばでもみ合う展開

ドル/円は、国内輸入企業などのドル買い・円売りに支えられて、108.65円近辺まで下落した。しかし、トランプ米大統領による中国に批判的な発言が相次ぎ、上海で行われている米中通商協議が難航するとの思惑から、上値を追う動きは限られた。その後は、日経平均株価の下げ幅拡大や上海株安をながめ108.55円近辺でもみ合う展開となった。午後は、FOMCの結果発表を控えて様子見ムードが広がり、108円台半ばでこう着相場となった。ユーロ/ドルは、1.11ドル台半ばで小動きな値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国経済は低迷が続く:景気刺激策による改善見られず

中国国家統計局が発表下7月の製造業購買部担当者景気指数(PMI)は49.7と、6月の49.4から上昇したが、景況拡大と悪化の分かれ目となる50は3ヵ月連続で割り込んだ。輸出受注が14ヵ月連続で悪化し、外需の低迷が輸出業者を圧迫していることが浮き彫りになった。7月は国内の受注減少が続いていることも明らかになった。需要はやや改善したものの、一連の景気刺激策にもかかわらず依然として低迷していることが示された。また、同時に発表された7月の非製造業PMIは53.7と、前月の54.2から低下し、8ヵ月ぶりの低水準となった。

 

ECBのハト派を後押しする欧州経済指標内容

30日に発表された一連のユーロ圏統計は軟調な結果となった。フランス国立統計経済研究所(INSEE)が発表した第2四半期国内総生産(GDP)速報値は前期比0.2%増となり、第1四半期の0.3%増から伸び率がやや減速した。また、ドイツでは、8月消費者信頼感指数が9.7で前月の9.8から低下した。指数の低下は3ヵ月連続で、2017年4月以来の低水準となった。さらに、7月消費者物価指数(CPI)速報値は欧州連合EU)基準(HICP)で前年比1.1%上昇と、前月の1.5%上昇から鈍化した。域内の成長見通しが悪化しており、一段の緩和が必要とするドラギECB総裁の見解を支える。

 

トランプ大統領の中国非難再開:中国非難はリスク回避の動きに

ムニューシン財務長官やライトハイザーUSTR代表は中国を訪問。大阪のG20での米中首脳会談以来初めて中国との貿易協議が再開される。今会合で、合意成立するとの期待は薄い。協議直前、トランプ大統領は『中国経済は過去27年間で最低の伸びに落ち込んでいる。農業製品を購入するとの公約だったが、いまだその兆候が見られない』と中国を非難した。トランプ政権が残り3250億ドル規模の中国製品に対して追加関税を発動した場合、世界経済の成長をさらに減速させる可能性が懸念される。

 

米国も日韓関係に危惧を示す:米国が日韓関係に圧力も

米政府高官は30日、貿易問題などで対立が深まる日韓両国に対し、争いを一時休止する合意を交わすよう提案する考えを示した。米国としてこれ以上の関係悪化を望まない姿勢を鮮明にした。米高官はこの提案について『両国の立場の違いを解決するものではないが、これ以上の応酬を一定期間回避することで、対話の時間を確保できる』と説明した。国務省当局者は取材に対し、米国として日韓関係を『仲裁』する意図はないとしつつ、『二つの同盟国が、誠実な対話を通じて問題解決できるよう引き続き奨励していく』と述べた。
ポンペオ国務長官は8月1日から東南アジア諸国連合(ASEAN)関連外相会議出席のためタイのバンコクを訪れる。河野太郎外相や韓国の康京和外相と会談し、こうした考えを直接伝える可能性がある。

 

米国市場では米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が公表

FRBがこの会合で25ベーシスポイントの利下げを実施することはほぼ確実視されている。 FOMCを控えて経済専門局CNBCがマネーマネジャー、ヘッジファンドマネジャー、アナリストを対象に実施した調査で、回答した41人のうち98%が今回のFOMCでFRBが利下げを実施すると見ていることが明らかになった。そのうち95%が25ベーシスポイントの利下げを予想している。また、平均で年2回の利下げを予想している。ただ、『利下げが必要かどうか』の質問では意見が分かれた。回答者の半数は『利下げは必要ない』と見ていることも明らかになった。利下げ反対派は、『利下げの論拠は明らかではなく、経済は弱くなく、金利もも比較的低水準にあり景気を支援する』と主張している。一方で、利下げ賛成派は『潜在的な将来の問題に早めに対処する保険としての利下げは短期的に適切だ』と主張している。実際、平均の国内総生産(GDP)見通しは、2019年が+2.3%、2020年が+2.1%と、2018年の実質+2.5%から成長は減速するもののリセッション入りは予想されていない。FRBが利下げに踏み切るとしたら、保険的なものにとどまると見られ、トランプ大統領が望むような大幅な利下げは期待できない。

欧米イベント

○15:00   6月独小売売上高指数(予想:前月比0.5%/前年比横ばい)
○15:00   7月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.2%)
○15:45   7月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比▲0.3%/前年比1.1%)
○16:00   6月トルコ貿易収支(予想:32億ドルの赤字)
○16:55   7月独雇用統計(予想:失業率5.0%/失業者数変化2000人)
○17:30   4-6月期香港域内総生産(GDP、予想:前期比0.9%)
○18:00   6月ユーロ圏失業率(予想:7.5%)
○18:00   4-6月期ユーロ圏GDP速報値(予想:前期比0.2%/前年比1.0%)
○18:00   7月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比1.1%)
○18:00   7月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比1.0%)
○19:00   外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   4-6月期メキシコGDP速報値(予想:前期比▲0.1%/前年比0.2%)
○21:00   6月南アフリカ貿易収支(予想:42億ランドの黒字)
○21:15   7月ADP全米雇用報告(予想:15.0万人)
○21:30   4-6月期米雇用コスト指数(予想:前期比0.7%)
○21:30   5月カナダ国内総生産(GDP、予想:前月比0.1%/前年比1.3%)
○21:30   6月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比▲0.1%)
○21:30   6月カナダ原料価格指数(予想:前月比▲3.0%)
○22:45   7月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:50.6)
○23:30   EIA週間在庫統計
○1日03:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表(予想:2.00-2.25%に引き下げ)
○1日03:30   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
○1日06:00   ブラジル中銀、政策金利発表(予想:6.25%に引き下げ)
○英中銀金融政策委員会(MPC、1日まで)
○米財務省3年、10年、30年債入札条件
○米中閣僚級貿易協議(上海、最終日)
○米大統領選に向けた第2回民主党討論会(デトロイト、最終日)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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