FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2019/07/01/15:13:13

日経平均株価:米中首脳会談の結果を好感した買い優勢

29日の米中首脳会談が市場の期待通りの結果となったほか、トランプ大統領が米企業による華為技術(ファーウェイ)への部品供給を一部認める方針を示したことも好感された。半導体・電子部品株がほぼ全面高となった。設備投資関連株なども買われた。米中首脳会談では通商協議の再開が決まり、米国は第4弾の対中追加関税の発動を当面先送りすると表明した。予想通りの結果だが、米中対立がひとまず緩和したことで市場に安心感が広がった。一時上げ幅を483円に広げた。結局、前週末比454円高の2万1729円と大幅反発して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク選好の動きが続き108円台前半で推移

ドル/円は、週末に行われた米中首脳会談で、貿易戦争が一時的に『休戦』となったことを好感したドル買い・円売りが先行し一時108.51円まで上昇した。しかし、東京市場に入ると、利益確定や戻り待ちのドル売り・円買いに押される展開となり、108.10円付近まで軟化した。財親・マークイットが発表した6月中国製造業PMIが、低調な数字となったことも円買いを誘った。その後は日経平均株価の大幅高や中国株高に支えられ、108.20円台へ切り返した。午後はユーロやポンドなど欧州通貨に対するドル高が波及し、108.35円近辺までじり高となった。ユーロ/ドルは、下値のストップロスを狙った仕掛け的なユーロ売り・ドル買いが持ち込まれ、1.13ドル台半ばから1.1323ドル程度まで下落した。

 

6月日銀短観は悪化傾向:市場予想を下回り前回3月調査から悪化

日銀が発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大基調製造業で+7と、前回3月調査に比べ5ポイント低下した。市場予想は+9だった。事業計画の前提となっている想定為替レートは、大企業・製造業2019年度通期が1ドル=109.35円となり、3月調査時は108.87円よりやや円安方向となった。

 

米中貿易戦争の終結には依然長い道のり:米中貿易戦争は継続

チャイナ・デーリーは29日遅く掲載した論説で『米国は交渉再開に向けた中国製品への追加関税発動を延期するこ戸に合意し、トランプ氏は交渉が終わるまで華為技術(ファーウェイ)に関する決定を延期する可能性があることも示唆したが、問題は依然未解決だ』と指摘した。『問題の90%で合意しても十分ではない。残りの10%で基本的な見解の相違がある。概念のレベルで引き続きかけ離れているため、現時点で100%合意に達するのは簡単ではない』との見方を示した。

 

豪州の住宅価格に下げ止まる兆候が

オーストラリア最大の都市シドニーで6月の住宅価格がほぼ2年ぶりに上昇し、同国の住宅価格の下落トレンドが終了しつつある新たな兆しが示された。コアロジックが1日公表したデータによれば、シドニーの6月の住宅価格は前月比0.1%上昇。ただ、州都、準州都、首都特別地域の全体では0.1%下落した。不動産市場への3つのプラス材料としては、①中央銀行が先月利下げ、②銀行監督当局が住宅ローン借り入れの基準緩和を提案、③加えて総選挙で野党・労働党が予想外の敗北を喫し不動産投資の優遇税制を撤廃・縮小する計画が消えた。

 

OPEC定例総会では産油量削減の延長予定

主要産油国で構成する石油輸出国機構(OPEC)は1日、ウィーンの本部で定例総会を開き、1月から実施している産油量削減の延長を決める。世界経済の減速懸念が強まる中、原油相場のてこ入れを図る。2日にはロシアなど非加盟の産油国との会合も開き、協調減産を決める方針だ。ロシアのプーチン大統領は6月29日、20カ国・地域首脳会議(G20サミット)が開かれた大阪市でOPECの盟主サウジアラビアのムハンマド皇太子と会談後、『協調減産の延長で合意した』と表明した。
減産量については、OPEC加盟国と非加盟国の合計で日量120万バレルの減産を決めた現在の枠組みを据え置く方向。減産期間は7月1日から6~9カ月間となる見通しで、2020年にも減産を続ける可能性がある。

 

米国市場では6月ISM製造業景気指数が公表

5月実績は52.1で市場予想を下回った。生産指数と受注残高指数が低下したことが要因となった。6月については、生産指数の持ち直しが期待できないこと、受注残高指数の低下が予想されることから、5月実績をやや下回る可能性がある。

 

欧米イベント

○15:15   クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○15:30   5月スイス小売売上高
○15:45   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○16:00   6月トルコ製造業PMI
○16:30   6月スイスSVME購買部協会景気指数(予想:49.0)
○16:50   6月仏製造業PMI改定値(予想:52.0)
○16:55   6月独製造業PMI改定値(予想:45.4)
○16:55   6月独雇用統計(予想:失業率5.0%/失業者数変化▲3000人)
○17:00   6月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:47.8)
○17:00   5月ユーロ圏マネーサプライM3(予想:前年比4.6%)
○17:30   5月英消費者信用残高(予想:9億ポンド)
○17:30   5月英マネーサプライM4
○17:30   6月英製造業PMI(予想:49.2)
○18:00   5月ユーロ圏失業率(予想:7.6%)
○22:45   6月米製造業PMI改定値(予想:50.1)
○23:00   6月米ISM製造業景気指数(予想:51.0)
○23:00   5月米建設支出(予想:前月比横ばい)
○2日03:00   6月ブラジル貿易収支(予想:53億ドルの黒字)
○1-2日   1-3月期ロシア国内総生産(GDP)確報値(予想:前年比0.5%)
○石油輸出国機構(OPEC)総会(ウィーン)
○世界経済フォーラム夏季会合(夏季ダボス会議、中国・大連、3日まで)
○カナダ(建国記念日)、休場

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/06/28/15:11:37

日経平均株価:様子見ムード強く利益確定売り優勢

米中首脳会談を29日に控えて様子見ムードが強く、前日上昇した分の利益確定やポジション調整の売りが出た後も押し目買いが入りにくかった。上海株が軟調地合いとなったことや、ドル/円が107円台半ばに弱含むと、じりじりと値を下げた。結局、前日比62円安の2万1275円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:様子見ムード強く実需筋の動きに振れる展開

ドル/円は、日経平均株価の下げ幅が100円を超えたことや中国株安をながめて107.53円近辺まで下落した。国内輸出企業から月末に絡むドル売り・円買いも観測された。しかし、明日予定されている米中首脳会談のイベントを控えて下げは一服、107.60円を挟んでもみ合う展開となった。午後は、株価をにらみながら107.60円台を中心とした狭いレンジで取引された。手がかり材料に乏しく、週末ということも相まって、積極的な売り買いは目立たなかった。ユーロ/ドルは、1.1365ドル前後で方向感に欠く値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

欧州市場では6月ユーロ圏消費者物価コア指数が公表

5月実績は前年比+0.8%だった。4月のインフレ率は特殊要因でやや高い伸びとなったが、5月分は通常の状態に戻ったことから、インフレ率は鈍化した。6月については物価上昇に寄与する項目は減少すると見られており、インフレ率は5月実績を若干上回る可能性がある。

 

英・仏・独・中・露・EUとイランが協議:協議内容に注目

懸案のイラン情勢では本日ウィーンで、核合意について英仏独中ロ5カ国とイラン、そしてEUが協議する。会合を前に一部報道からは、イラン高官の発言として『イランは、米国の離脱前と同水準の原油輸出が可能になることだけを要求する』が伝わった。イランは核合意について、(米国が離脱したことで)合意を守る義務を負わないとしており、今後の中東の地政学リスクを占う上でも協議内容にが注目点となる。

 

イラン叩きは米国にとって一石二鳥

過去10年石油ガス生産増の1/2が米国であり、消費増の1/3が中国であり、イランの原油がなくなれば石油価格は上昇し米国経済にメリットとなるが、中国経済の『一人負け』を促す。イランとの緊張は、米中貿易戦争による世界経済減速と原油需要減退による原油下落を支える効果があり、今や世界最大の産油国である米国経済及び米株価にとって原油価格1バレル50ドル台後半の安定推移は朗報に他ならない。
事実、米国産石油のシェアは世界の15%を占めるに至り、米国の輸出に占める石油のウエイトは16%にも上る。とりわけ、この10年間の米国の石油増産が際立っており、早晩、サウジを抜いて世界最大の原油輸出国に転じるとみられる。

 

米国5地区連銀製造業指数は軒並み低下

全米の製造業の活動鈍化が明らかになり始めた。5地区連銀の製造業指数がそろって低下した。過去6カ月間で初めてとなる。世界の需要の鈍化や貿易緊張の長期化が製造業セクターに引き続き重しとなっている。米国経済の成長を今後抑制する可能性が示唆された。 最新6月のカンザスシテイ連銀製造業活動は0と、5月4から低下し予想1も下回った。2016年11月以降ほぼ3年ぶり低水準を記録したほか、3カ月連続の低下となった。同地区はカンザス州、コロラド州、ネブラスカ州、オクラホマ州、ワイオミング州に加えて、ミズーリ州やニューメキシコ州の一部が含まれる。その他、NY、フィラデルフィア、リッチモンド、ダラスの連銀製造業指数も軒並み悪化した。

6月:
・カンザスシテイ連銀製造業活動:0(予想1、5月4)
・NY連銀景況指数:-8.6(5月17.8、6カ月平均6.0)
・フィラデルフィア連銀製造業景況指数:0.3(5月16.6、6カ月平均8.7)
・リッチモンド連銀製造業指数:3(5月5)
・ダラス連銀製造業指数:-12.1(5月―5.3、6カ月平均+0.5)

 

米国市場では5月PCEコアデフレーターが公表

4月実績は前年比+1.6%だった。上昇率は1%台後半で推移している。5月については個人消費が特に拡大していないこと、家賃の上昇率は加速していないことから、コアPCEの伸びは4月並の水準にとどまる見込み。

 

欧米イベント

○15:00   5月独輸入物価指数(予想:前月比▲0.2%/前年比▲0.3%)
○15:00   5月南アフリカマネーサプライM3(予想:前年比8.60%)
○15:45   5月仏卸売物価指数(PPI)
○15:45   5月仏消費支出(予想:前月比0.2%)
○15:45   6月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比横ばい/前年比1.0%)
○16:00   6月スイスKOF景気先行指数(予想:94.9)
○16:00   5月トルコ貿易収支
○17:00   6月ノルウェー失業率(予想:2.1%)
○17:30   1-3月期英国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比0.5%/前年比1.8%)
○17:30   1-3月期英経常収支(予想:320億ポンドの赤字)
○18:00   6月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比1.2%)
○18:00   6月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比1.0%)
○21:00   5月南アフリカ貿易収支(予想:27億ランドの黒字)
○21:30   4月カナダ国内総生産(GDP、予想:前月比0.1%/前年比1.5%)
○21:30   5月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比0.1%)
○21:30   5月カナダ原料価格指数(予想:前月比▲3.0%)
○21:30   5月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.4%)
       5月米個人所得(予想:前月比0.3%)
       5月米PCEデフレーター(予想:前年比1.5%)
       5月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.2%/前年比1.6%)
○22:45   6月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:53.1)
○23:00   6月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:98.0)
○29日04:20   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○29日11:30   米中首脳会談(大阪)
○英仏独中ロとイラン、核合意存続に向け協議(ウィーン)

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/06/27/15:13:17

日経平均株価:米中貿易協議進展期待が高まり買い優勢

前日の米国株式市場の流れを引き継ぎ、朝方から半導体関連株など景気敏感株に買いが先行した。米中首脳会談を控えて貿易協議進展期待が高まるなか上海株などアジア株が総じて上昇し投資家心理が強気に傾き先物に海外短期筋の買いが入り全体相場を押し上げた。結局、251円高の2万1338円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:米中貿易戦争の後退でドル買い戻し

ドル/円は、日経平均株価の反発や米長期金利の上昇をながめて、ドル買い・円売りが進み108.05円近辺へじり高となった。一部の海外メディアが、大阪で開催されるG20サミットに先立ち、『米中が貿易戦争の一時休戦で合意』と報じたことも、リスク選好の円売りが強まった。午後もこの流れが続き、日経平均株価の上げ幅拡大に支えられ、108.13円まで値を上げた。ただ、前日から一本調子の上昇が続いていることで、上値では利益確定などのドル売り・円買いも見られ、108.10円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、29日に予定されている米中首脳会談を控え、持ち高調整などのユーロ売り・ドル買いが入り、1.1348ドル付近まで軟化した。

 

米中首脳会談では制裁先送りで協議を継続の見通し

トランプ米大統領がG20での米中首脳会談次第で、対中制裁関税第4弾を発動するかどうかを決定すると明言しており、この首脳会談に世界中が注目している。『決裂』した場合は、米中報復関税がエスカレートし、両大国による経済戦争による世界経済の鈍化が懸念される。中国が米国の要求を受け入れる可能性は少なく、合意の期待感は薄いが、両国及び世界経済への大きな悪影響から、『協議を継続』し、対中制裁関税第4弾は先送りするとの結果になる可能性が高い。

大阪G20は、28日に貿易とデジタル経済について議論し、2日目の29日は女性の活躍や男女の格差是正、環境問題などについて話し合いが行われる予定。また、米中首脳会談はG20閉幕直後の29日になると見込まれている。

G20首脳宣言では、米国の反発を配慮し、『保護主義と闘う』との文言は盛り込まない方針で、『自由で公平な貿易を実現する』との文言を盛り込む方向で調整が進んでいる。

 

トランプ大統領はインドに対しては厳しい対応も

トランプ大統領はツイッターで『インドのモディ首相と話すのが楽しみだ。インドが何年も米国に対して高い関税をかけていたが、つい最近されをさらに引き上げた。これは受け入れられない、関税は撤回されなければならない』とつぶやいた。米国とインドの間では、米国が6月上旬、インドに適用していた『一般特恵関税制度(GSP)』から除外するとインドも米国に対して28品目の関税をすぐに引き上げて対立が続いている。市場では米中首脳会談に関しては米中が貿易センスおの停戦で暫定合意とサウス・チャイナ・モーニング・ポストが27日に報じてマーケットで好感する動きが広がっているが、対インドではトランプ政権が厳しい対応を取る恐れがある。

 

対イランに対してもトランプ流のディールか

米国とイランの対立は1980年の国交断絶から40年近くにわたり、今に始まった訳ではない。イランが米国を除く核合意当事国に原油輸出や金融決済で米国制裁を回避する方策を示すよう求め、期限が7月7日に迫る中、20日にイラン革命防衛隊が米国の無人偵察機を撃墜して中東情勢が緊迫化した。これに対しペンス副大統領やポンペオ国防長官にボルトン大統領補佐官など強硬派は主戦論を唱え、対イラン軍事攻撃を進言したが、トランプ大統領は一度ゴーサインを出したものの最終局面で距離を置いた。むろん、『最大限の圧力』で対話に追い込むのがトランプ流であり、軍事攻撃は対話機会を完全に頓挫させてしまう。『攻撃する』と言いながら実行しないのはオバマ前政権と同じ『弱腰』との批判が沸き起こったが、中東有数の軍事大国イランと戦争を始めれば短期決戦などあり得ない。そのため、トランプ政権は24日、軍事攻撃の代替策として最高指導者ハメネイ師を含む追加経済制裁を発表、近くザリフ外相にも制裁を科す等、米無人偵察機の撃墜等を巡りイラン指導部の責任を問う姿勢を明確にした。

 

ビットコインが一次急落:システムトラブル

米コインデスクによると、日本時間午前5:30分頃に1万3700ドル弱だったビットコイン価格が20分程度の間に1800ドル弱下落した。急落のきっかけと指摘されたのが米コインベースのシステム障害。同社は午前5時47分に障害を認識し調査中と公表した。価格情報がサイトで表示されなくなるなど事態が発生した。同社は6時13分に問題を特定し修復中とし、6時17分に修復が完了とした。コインベースはフェイスブックのリブら構想に参加している大手の仮想通貨交換会社で、システム障害が投資家心理を冷やした。そもそも高値警戒感が出ていたことも急落の背中を押した。年初に3700ドル程度だったビットコイン価格は22日に1万ドルを突破した。機関投資家マネーの流入もあり上昇ピッチを速めていた。その後、ビットコイン価格は1万3000ドル台半ばまで持ち直した。

 

欧米イベント

○18:00   6月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲7.2)
○18:00   6月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:104.6)
○18:30   5月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.5%/前年比6.3%)
○21:00   6月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.1%/前年比1.4%)
○21:30   1-3月期米国内総生産(GDP)確定値(予想:前期比年率3.1%)
      個人消費(確定値、予想:前期比1.3%)
        コアPCE(確定値、予想:前期比1.0%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.0万件/166.5万人)
○23:00   5月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比1.0%/前年比0.4%)
○28日01:00   ノボトニー・オーストリア中銀総裁、講演
○28日02:00   米財務省、7年債入札
○28日03:00   メキシコ中銀、政策金利発表(予想:8.25%で据え置き)

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/06/26/15:14:48

日経平均株価:米FRBによる早期利下げ期待後退で売り優勢

前日の米国株安の流れを引き継ぐ形で朝方から売りが先行したものの、半導体関連の堅調推移などが支えとなり、節目の2万1000円割れは回避した。為替の円高一服や上海株の落ち着いた動きも安心感を誘った。G20 サミットに合わせて実施が予定されている米中首脳会談については、通商協議が劇的に進展する期待はやや後退している。米中対立の長期化が意識される中、積極的にリスクをとりづらい状況となっている。結局、前日比107円安の2万1086円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:107円台半ば近辺でもみ合い

ドル/円は、国内輸入企業などから月末に絡むドル買い・円売りが多く持ち込まれたことや、米長期金利の上昇に支えられ107.50円近辺までじり高となった。ただ、24日に付けた107.53円が上値の目処として意識されると上げは一服、107.45円を挟んでもみ合う展開となった。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、107.40円台を中心とした狭いレンジでの取引となった。ユーロ/ドルは、1.13ドル台半ばで方向感に欠く値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

トランプ大統領や市場の大幅利下げ圧力をけん制

パウエル米FRB議長は外交問題評議会で行った講演で大統領や市場からのFRBの独立性を強調した。FRBは『短期的な政治亜知力から隔絶』していると述べ、トランプ大統領の利下げ要求をけん制したほか、利下げを行わなければ市場の失望を招く可能性があることについて質問されると『FRBの任務は金融状況の短期的な動向に対応することではない』と答えた。金融政策については、米経済が堅調に推移すると見込まれる一方、通商問題などを巡る不確実性が利下げの根拠になり得るかどうかを見極めようとしていると説明した。『不確実性が引き続き見通しを圧迫し、追加緩和の必要性につながるのかといった疑問にわれわれは取り組んでいる』とした。同時に『多くのFOMC参加者は多少の追加緩和策を講じる根拠は強まったと判断しているが、隠喩政策は個別のデータや短期的な心理の振れに過度に反応すべきでない点にも留意している』と延べ、『今後の経済見通しに関する情報を注意不覚監視しながら、計器拡大の維持に向け適切に行動する』と強調した。

 

G20後米国とイランの軍事衝突のリスク高まる可能性も

トランプ米大統領は、28-29日の両日に大阪市で開かれるG20サミットで、対立を深めるイランへの国際包囲網形成を目指したい考え。対イラン強硬派のサウジアラビアと連携を強化する一方、米国が離脱したイラン核合意にとどまる欧州、ロシア、中国の首脳とも会談する。米国とイランの軍事衝突の恐れが高まる中、事態打開に向けた国際社会での指導力が問われることになる。

 

昨日の米国経済指標は景気減速感を示す結果

コンファレンスボードが発表した6月消費者信頼感指数は121.5と、予想131.0を下回り2017年9月来で最低となった。
同時刻に米商務省が発表した5月新築住宅販売件数は前月比-7.8%の62.6万戸。増加予想に反して4月67.9万戸から減少し、年初来で最小となった。住宅市場の中で新築住宅が占める割合は小さいものの、同指数は契約時点での統計となるため、住宅市場の先行指標として注目される。低調な結果は、今後も住宅市場が低迷する可能性を示唆。
一方、米6月リッチモンド連銀製造業指数は3と、5月5から低下し、予想2を上回った。
消費者信頼感の低下や新築住宅販売件数の予想外の減少を嫌気しドル売りが再燃した。

 

米国市場では5月耐久財受注が公表

4月実績は前月比-2.1%だった。自動車・同部品の受注が約1年ぶりの大きさで落ち込んだ。一次金属やコンピューター・電子製品も減少した。5月については4月に減少した反動で前月比横ばい程度に戻すと予想されるが、貿易摩擦継続の影響で企業の設備投資は抑制されており、全体の耐久財受注は小幅な増加にとどまる可能性は残されている。

 

欧米イベント

○15:00   7月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:10.0)
○15:45   6月仏消費者信頼感指数(予想:100)
○18:00   メルシュ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○18:15   カーニー英中銀(BOE)総裁、カンリフBOE副総裁、テンレイロ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、サンダースMPC委員、講演
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:30   5月米耐久財受注額(予想:前月比▲0.1%/輸送用機器を除く前月比0.1%)
○23:30   EIA週間在庫統計
○27日00:30   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○27日02:00   米財務省、5年債入札
○米民主党の大統領選候補者討論会(フロリダ州マイアミ、27日まで)

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/06/25/15:16:46

日経平均株価:中東の地政学リスク懸念からリスク回避

為替市場では心理的節目の107.00円を割り込み、106円台後半にへ下落した。そのため、円高に対する強いサポートは見当たらないとされる。米中首脳会議への期待はあるため株式は売りづらいものの、中東の地政学リスクなどが懸念されてリスク回避的に円が買われれば、ドル安・円高の流れが強まりかねず、日本株の圧迫要因となりやすい。米ブルームバーグが25日昼、『トランプ大統領が日本との安保条約破棄の可能性について側近に示していた』と報じて一部ヘッジファンドなど海外投機筋が先物に売りを出したことで下げ幅が拡大した。結局、前日比91円安の2万1193円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク回避の円買いで一時107円台割れ

ドル/円は、国内輸出企業から月末に絡むドル売り・円買いが持ち込まれたことや、中国株安を背景に107.05円まで下落した。一部メディアが『トランプ米大統領は、日米安保条約を危険する考えを側近に示していた』と報じたことも、リスク回避の円買いを誘った。午後もこの流れは続き、日経平均株価の下げ幅拡大や米長期金利の低下をながめて、下値を模索する展開となった。心理的節目の107.00円を割り込むと、継続的にストップロスのドル売り・円買いオーダーを巻き込みながら106.75円近辺まで下落した。ただ、下値ではドルを買い戻す動きも見られ、107.00円近辺へ値を戻した。ユーロ/ドルは、このところ一本調子の上昇が続いていたため、利益確定などのユーロ売り・ドル買いが入り1.1390ドル台へ緩んだ。

 

トランプ大統領の発言がリスク回避の円買いに

トランプ米大統領は24日、中国や日本などを含め世界各国は原油輸送の要衝であるホルムズ海峡近辺を航行する自国の石油タンカーを自国で防衛する必要があるとの考えを示した。 トランプ氏は『米国はなぜ、何の報酬も受けずに(長年にわたり)他の国の航路を防衛しているのか。これらの国すべては、常に危険と隣り合わせの自国の船舶を自国で防衛する必要がある』とツイッターに投稿した。

また、トランプ米大統領は日本との安保協定を不公平と見なしている、などと考えているという。

 

G20 を控えバンカメ・メリルの顧客が米国株売り越す

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの25日付けの顧客フローのリポートによると、同社の顧客は17~21日の1週間に米国株を17億3900万ドル売り越した。売り越しは8週ぶりのこととなる。この週は18~19日に開かれたFOMCの結果が総じてハト派的な内容となったことを受け、S&P500指数が史上最高値を更新して堅調な相場展開となっていたが、月末のG20サミットを控えて米中の貿易戦争懸念が残る中で幅広い投資家が利食いに動いた。主体別動向ではヘッジファンドが10億800万ドルの売り越しとなり、2週連続の売り越しとなった。個人投資家は12億4100万ドルで6週連続の大幅売り越しだった。一方、機関投資家も6億9900万ドルで2週ぶりに売り越しに転じ、唯一の買い主体は企業の自社株買い(12億900万ドルの買い越し)だった。同リポートはバンカメ・メリルの顧客を対象としたものだが、様々な投資主体の動向を比較的早く知ることができるため重宝されている。

 

米中首脳会談が物別れなら世界の景気は後退

G20サミットが今週大阪で開催される。この会合で、米中首脳会談が予定されており、特に貿易協議での進展が見られるかどうかに焦点が集まる。不透明だった習国家主席のG20出席を中国側が正式に確認したほか、米中首脳会談の開催も確認したため、交渉が進むとの期待感も少なくない。交渉団はすでに交渉を再開している。
UBSは24日に顧客向けレポートの中で、もし、米中首脳の交渉が物別れに終わり、米国のトランプ政権が警告していた通り2000億ドルの中国製品の関税を25%に引上げ、残りの3250億ドルにも25%関税を発動した場合、今後6四半期の世界国内総生産(GDP)で成長見通しが75ベーシスポイント大きく引き下げられ、『緩やかな世界景気後退入り』する可能性を警告した。そのリセッションの規模は、欧州危機や94年末から95年にかけてメキシコで発生した大規模な通貨危機(テキーラ危機)の規模に並ぶと予想している。

 

米国市場では6月CB消費者信頼感指数が公表

5月実績は134.1となった。先行指標となる6月ミシガン大学消費者信頼感指数は97.9で5月実績を下回った。6月については、貿易摩擦継続の影響は無視できないものの、5月の期待指数は6ヵ月ぶりの高水準だったことや、賃金上昇のペースは前年比+3%レベルを維持していることから、5月実績に近い水準になるとみられる。

 

欧米イベント

○15:45   6月仏企業景況感指数(予想:106)
○16:15   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○21:30   4月カナダ卸売売上高(予想:前月比0.2%)
○21:45   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、あいさつ
○22:00   4月米住宅価格指数(予想:前月比0.2%)
○22:00   4月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比2.6%)
○23:00   6月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:2)
○23:00   5月米新築住宅販売件数(予想:前月比1.9%/68万件)
○23:00   6月米消費者信頼感指数(予想:131.2)
○26日01:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○26日02:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、講演
○26日02:00   米財務省、2年債入札
○26日02:15   クーレECB理事、講演
○26日04:30   バーキン米リッチモンド連銀総裁、討論会に参加

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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