FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2019/08/14/15:20:04

日経平均株価:米国株高を好感されたものの上値の重い展開

前日の米国株高が好感されたほか、外国為替市場でドル/円が106円台後半まで円安となったことが好感され、先物主導で上昇した。ただ、買いが一巡した後は模様眺めとなり、薄商いの中、プラス圏での小動きとなった。ドル/円相場も上値が重く、香港のデモなど地政学リスクもあり、材料不足でリスクオフトレンドの転換には至らなかった。結局、前営業日比199円高の2万0655円と反転して終了した。売買代金は7月29日以来11日ぶりの2兆円割れとなった。

 

東京外国為替市場:終日106円台で振れる展開

ドル/円は、前日のNY時間に急伸した反動から、利食いなどに押される展開となり、106.18円付近まで下落した。中国国家統計局が発表した7月の鉱工業生産と小売売上高が、共に予想を大きく下回ったことも、円買いにつながった。しかし、対中制裁関税発動の一部先送りで、米中貿易摩擦を巡る過度な懸念が後退しており、下値を追う動きは限られた。午後は一部メディアが『中国政府は、9月にワシントンで予定されている貿易協議に前向きな姿勢を維持している』と報じると、ショートカバーが入って106.60円付近まで上昇した。日経平均株価の上げ幅が一時200円を超えたことも、リスク選好の円売りを誘った。しかし、今晩の米株動向を見極めたいとの雰囲気から上げは一服、106.40円台へ緩んだ。ユーロ/ドルは、1.11ドル台後半で方向感に欠く値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

欧州市場では4-6月期ユーロ圏域内総生産(GDP)改定値

4-6月期域内総生産(GDP)速報値は前年比+1.1%だった。市場予想と一致したものの、経済成長ペースは前四半期との比較で減速した。フランス、スペイン、オーストリア、ベルギーの経済成長はいずれも鈍化した。また、イタリアはゼロ成長。速報値ではドイツGDP統計が追加されるが、ドイツの成長率は1-3月期との比較で鈍化が予想されており、域内総生産の伸びはある程度抑えられることになる。

 

アルゼンチンペソは続落:5年以内のデフォルト確率上昇

13日の取引でアルゼンチンペソが続落し、同国債も値下がりした。11日に実施された大統領選の予備選挙で、野党候補のフェルナンデス元首相が現職マクリ大統領を抑えて首位となり、マクリ氏の再選が危ぶまれる状況となった余波が続いている。アルゼンチン国債の債務不履行(デフォルト)に対する保険の機能を持つクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は引き続き上昇した。IHSマークイットのデータによると、CDSのプレミアムは5年ぶりの高値を付けた前日の1994ベーシスポイント(bp)から一段と上昇し2116bpとなった。同水準が示す5年以内のデフォルト確率は70-75%となる。

 

インフレ指標上昇でも米国の9月利下げ見通しは変わらず

米労働省が13日発表した7月消費者物価指数(CPI)は前月比+0.3%と、市場予想通り、6月+0.1%から上昇し4月来で最高となった。また、前年比でも+1.8%と6月の+1.6%から上昇し、予想の+1.7%を上回り3月来で最高となった。米連邦公開市場委員会(FOMC)がインフレ指標として特に注目している燃料や食料を除いたコアCPIは前年比で+2.2%と、予想外に6月+2.1%から上昇した。1月来で最高となり、FOMCの目標である2%を17カ月連続で上回った。インフレの上昇や景気見通しの改善にもかかわらず、FRBが9月のFOMCで追加利下げに踏み切ることは依然確実視されている。ただ、金利先物市場での9月の50ベーシスポイントの利下げ確率は35%前後から11%に低下した。

 

日銀は重大なジレンマに直面:JPモルガン証券リポート

JPモルガン証券は14日付のリポートで『金利低下が続くと、日銀は日本の金融システムに対する副作用拡大と、急速な円高のどちらを選ぶかというジレンマに直面する』と指摘した。ドル/円は日米の長期金利差との相関性を維持しているといい、『この相関通りの動きが続けば、米10年債金利が更に0.3%低下すると、日本10年債金利はさらに0.06%程度低下することになり、マイナス0.30%に近づく可能性がある』という。その一方、『日銀がそれを許容すれば、ドル/円の下落は1.8円程度、104円ちょうど近辺で止まる可能性が高い。しかし、日銀が金融システムに対する副作用を懸念して金利低下を止めたり、反転させようとすれば、金利差はこれまでの相関以上に縮小してしまい、ドル/円の下落がこれまでの金利差の動きから想定される以上に加速してしまうリスクが高まる』ということから、日本の長期金利の低下に歯止めをかけようすすれば日米金利差の縮小に伴う円高・ドル安リスク出る恐れがあるという。その上でリポートでは『日銀は、長期金利の一段の低下とそれによる日本の金融システムに対する副作用というマイナス面を許容してこれまでよりも急速な円高となることを阻止するのか、あるいは日本の金融システムに対する副作用拡大を阻止すべく長期金利低下を阻止して、これまでの相関以上の円高加速を許容するのか、難しい二者択一を迫られていると考えられる』と指摘した。

 

欧米イベント

○15:00   4-6月期独国内総生産(GDP)速報値(季節調整済、予想:前期比▲0.1%/前年同期比0.1%)
○15:00   4-6月期独GDP速報値(季節調整前、予想:前年同期比▲0.3%)
○15:30   7月インド卸売物価指数(WPI、予想:前年比1.93%)
○15:45   7月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比▲0.2%/前年比1.1%)
○16:30   7月スウェーデンCPI(予想:前月比0.2%/前年比1.5%)
      コア指数(予想:前月比0.2%/前年比1.3%)
○17:30   7月英CPI(予想:前月比▲0.1%/前年比1.9%)
       小売物価指数(RPI、予想:前月比横ばい/前年比2.8%)
○17:30   7月英卸売物価指数(PPI、食品とエネルギーを除くコア指数、予想:前年比1.7%)
○18:00   6月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比▲1.4%/前年比▲1.2%)
○18:00   4-6月期ユーロ圏GDP改定値(予想:前期比0.2%/前年比1.1%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   6月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比2.3%)
○21:30   7月米輸入物価指数(予想:前月比横ばい)
○23:30   EIA週間在庫統計
○トルコ(犠牲祭)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2019/08/13/15:10:34

日経平均株価:米国主要3指数の下落につれた売り優勢

週明けの米国株主要3指数がそろって下落したことが嫌気され、幅広く売られて始まったものの、売りが一巡下後は安値圏でこう着状態となった。これまでの米中貿易戦争激化に加えて、香港デモの激化も地政学リスクとして強く警戒されだした。さらに、旧盆休み中とあってマーケット参加者が少なく、売り崩す動きが出ることが警戒されている。ただ、ドル/円相場が落ち着いた展開となっており、追撃して売り叩くだけの手掛かりも乏しく、模様眺めムードが強まった。結局、前営業日比229円安の2万0455円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:ドル/円は105円台半ばで小動き

ドル/円は、連休明けとなる本邦実需筋のドル買い・円売りや、日経平均株価の下げ幅縮小に支えられ、105.58円付近までじり高となった。ユーロ/ドルのユーロ安・ドル高が波及した面もあった。しかし、米中対立が激化するとの懸念から伸び悩み、利食いなど105.50円付近へ小緩んだ。午後は、日経平均株価や米長期金利の動向を睨みながら、105.40円付近で取引された。ユーロ/ドルは、イタリアの政局先行き不安から、ユーロ売り・ドル買いが優勢となり、1.11ドル台後半の安値圏で推移した。

 

中国の新車販売台数は減少傾向

中国自動車工業協会が12日発表した7月の新車販売台数は前年同月比4.3%減の181万台となり、13カ月連続で前年実績を下回った。米中貿易摩擦の長期化や根強い景気減速懸念が引き続き消費者の購入意欲に悪影響を及ぼした。減少幅は前月(9.6%)から縮小したものの、同協会は『マイナス傾向は基本的に変わっていない』と厳しい認識を示した。

 

アルゼンチンペソが急落:大統領選の予備選結果を嫌気

アルゼンチンで11日に行われた大統領選の前哨戦となる予備選挙の結果、現職でビジネスフレンドリーな中道右派のマクリ大統領は自由経済を批判している左派フェルナンデス元首相に約15ポイントの大差をつけられ2位に退いた。
投資家は、アルゼンチンが再び債務危機に陥るとの警戒感を強めた。アルゼンチンのクレジットデフォルトスワップ、債券利回りも急伸。アルゼンチンが今後5年間でデフォルトに陥る確率は75%と、先週末の49%から急伸した。

 

欧州市場では8月の独ZEW系強感指数が公表

7月の同指標発表時は、-24.5と市場予想の-22.3や6月の-21.1を下回り、昨年10月以来の低水準となったことを嫌気してユーロが軟化した。今回も事前予想は-28.5と弱めとなっている。冴えない結果となれば、ユーロ/ドルは1.11ドル台に並ぶ買いオーダーを叩きに行く可能性がある。

 

米国は大統領選前に景気後退の可能性:ゴールドマンサックスが警告

12日のニューヨーク外為市場では米中貿易摩擦、香港のプロテストの激化が地政学的リスクとなりリスク回避の動きが加速した。リスクでは、引き続き米中貿易摩擦。香港のプロテスト激化だが、本日はフライトもキャンセルとなっている。中国人民銀行は12日基準値を1ドル=7.0211元に設定。8営業日続けて、元安となった。中国政府が米国との貿易戦争で対抗措置として緩やかな元安を容認しているとの見方が強まりつつある。
ゴールドマンサックスは、第4四半期国内総生産(GDP)の成長率予想を20ベーシスポイント引き下げ1.8%とした。また、米中貿易問題の解決が2020年の大統領選挙以降になるとの見方。米国政府が残り3000億ドル規模の中国輸入品に対して10%の追加関税を9月1日に発動すると見ている。貿易摩擦が予想以上に経済に影響を与え、大統領選挙前に米国経済が景気後退に陥る可能性を警告した。

 

米国市場では7月消費者物価コア指数が公表

6月実績は前年比+2.1%だった。6月は居住費、中古車、被服費、家具などの価格が上昇し、インフレ率上昇に寄与した。7月については、居住費の伸びが続いていることや、被服費の上昇も予想されており、コアインフレ率は6月実績と同水準となる可能性がある。

 

欧米イベント

○15:00   7月独卸売物価指数(WPI)
○15:00   7月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.5%/前年比1.7%)
○17:30   7月英雇用統計(予想:失業保険申請件数推移3万2000件/失業率なし)
○17:30   4-6月英失業率(ILO方式、予想:3.8%)
○18:00   8月独ZEW景況感指数(予想:▲28.5)
○18:00   8月ユーロ圏ZEW景況感指数
○21:30   7月米CPI(予想:前月比0.3%/前年比1.7%)
       エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比2.1%)
○トルコ(犠牲祭)、休場

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/08/09/15:12:41

日経平均株価:前日の米国株高を好感した買い

前日の米国株高が好感されたほか、日経平均のSQ(特別生産指数)算出にからんだ特殊な需給要因も重なり、朝方から買いが先行した。その後は次の材料待ちつつ高値圏でもみ合った。米国が中国の華為技術(ファーウェイ)との取引再開許可の決定を先送りしているというブルームバーグ報道の影響が懸念されたが、センチメントはそれほど悪化しなかった。中国人民銀行が発表した人民元の対ドル基準値が市場予想よりも小幅に元高で、当局の元安誘導を想起させるものでなかったことも安心感を与えた。結局、前日比91円高の2万0684円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:国内輸入企業などのドル買い根強く106円を挟んだ展開

ドル/円は、一部メディアが『トランプ米政権が中国通信機器最大手の制裁緩和を先送りする』と報じたことが嫌気され、106円を割り込んで一時105.70円台へ急落した。しかし、東京市場では国内輸入企業などのドル買い・円売りや日経平均株価の続伸に支えられ、106.02円付近へじり高となった。低下していた米長期金利が持ち直したことも、ドル買い戻しにつながった。中国人民銀行が発表した人民元の対ドル基準値は、1ドル=7.0136元となり、連日で節目の7元よりも元安方向に設定されたが、市場の反応は限定的だった。午後は、株価をにらみながら、105.90円台を中心とした狭いレンジでの展開となった。ユーロ/ドルは、1.1195ドル付近で方向感を欠いた値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日本のGDPは3期連続プラス成長 消費と設備投資が好調

内閣府が発表した2019年4-6月国民所得統計1次速報によると、実質国内総生産(GDP)は前期比プラス0.4%、年率換算でプラス1.8%となり、3四半期連続プラス成長となった。中国経済減速など外需の悪化を民間最終消費や設備投資の好調が上回り、プラス成長を維持した。消費は前期比プラス0.6%、これで3期連続プラスを維持した。雇用者所得の増加傾向を背景に、新型車効果で自動車販売が伸びたほか、エアコンなど家電販売も好調、また、10連休効果で旅行やサービス消費も寄与した。設備投資も同プラス1.5%と3期連続のプラスとなった。一方で、外需はマイナス0.3%となり、輸出は同マイナス0.1%と伸び悩んだ。輸入は、内需が好調な中で前期に大きく落ち込んだ反動でプラス1.6%と輸出を上回る伸びとなり、外需を下押しした。

 

人民元空売りコストを引き上げるため中央銀行手形を発行予定

中国人民銀は5月15日に200億元、6月26日に300億元規模の人民元建て中央銀行手形をそれぞれ発行した。金利は5月の3カ月物が3.00%、1年物が3.10%、6月の1カ月物が2.80%、6カ月物が2.82%だった。今月14日にも、香港で300億元規模の人民元建て中央銀行手形を発行する。償還期間別に3カ月物が200億元、1年物が100億元の2本建て。オフショア人民元の金利を上昇させ、人民元空売りコストを高めることで相場の安定を図る。 

 

ユーロ圏の成長見通しは悪化傾向:ユーロの重石

欧州中央銀行(ECB)は8日発表した経済報告で、長引く不透明感により製造業を中心にユーロ圏の成長見通しが悪化していると指摘した。 貿易問題を巡る緊張が高まり、英国が合意なく欧州連合(EU)を離脱するリスクが依然としてあることから、ユーロ圏の成長率は第2・四半期と第3・四半期に鈍化するとの見解を示し、7月の理事会後に発表した政策声明の内容を概ね踏襲した。
 不確実性の広がりや製造業不況で成長見通しが悪化する中、ECBは7月の理事会後、今後数カ月内に追加の刺激措置を講じると事実上約束した。経済報告は、最近の経済指標や調査からは、引き続き雇用の拡大が示されていると指摘している。雇用拡大が家計所得と個人消費を支え、貿易不振の打撃を和らげるとの見方を示した。

 

米国のリセッション確率上昇も依然健全な経済成長を予想

エコノミストは米国や世界経済の見通しを軒並み引き下げた。ブルーンバーグが行った8月のエコノミスト調査で、世界貿易の緊張で経済に不透明性が広がったため米国経済が12カ月内に景気後退(リセッション)に陥る確率は35%と見ていることが明らかになった。前回予想の31%から上昇した。リセッションの確率が上昇したにもかかわらず、エコノミストは依然健全な米国の経済を予想している。米労働省が8日発表した最新の週次新規失業保険申請件数も49年ぶり低水準付近で推移した。米国の労働市場が依然強い新たな証拠となった。米国経済の本年の成長ペースは今のところ平均で2.3%の見通し。第2四半期の国内総生産(GDP)は+1.8%、第3四半期は+1.9%が予想されている。米商務省が利用しているモデルと似ているモデルを利用しその正確性に定評があるアトランタ連銀の第3四半期成長見通しも+1.9%となっている。

 

米国市場では7月生産者物価コア指数が公表

6月実績は前年比+2.3%だった。サービス価格の上昇が全体の指数上昇に寄与した。7月についてはサービス価格の上昇が続くと予想されていること、大幅な価格変動が生じている項目は特にないことから、コア指数の上昇率は6月実績と同水準にとどまる可能性がある。

 

欧米イベント


○15:00   6月独貿易収支(予想:195億ユーロの黒字)
○15:00   6月独経常収支(予想:217億ユーロの黒字)
○15:00   7月ノルウェーCPI(予想:前月比0.6%/前年比1.8%)
○15:45   6月仏鉱工業生産指数(予想:前月比▲1.4%)
○16:00   6月トルコ経常収支(予想:2.7億ドルの赤字)
○17:30   6月英GDP(予想:前月比0.1%)
○17:30   4-6月期英GDP速報値(予想:前期比横ばい/前年比1.4%)
○17:30   6月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:118億ポンドの赤字/26億ポンドの赤字)
○17:30   6月英鉱工業生産指数(予想:前月比▲0.2%/前年比▲0.2%)
      製造業生産高(予想:前月比▲0.1%)
○21:00   6月インド鉱工業生産(予想:前年同月比1.5%)
○21:15   7月カナダ住宅着工件数(予想:20.35万件)
○21:30   6月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比1.5%)
○21:30   7月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化1.25万人/失業率5.5%)
○21:30   7月米PPI(予想:前月比0.2%/前年比1.7%)
      食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比2.4%)
○シンガポール(独立記念日)、南アフリカ(女性の日)、休場

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/08/08/15:13:45

日経平均株価:円安進行と対中対立の激化懸念後退で買い優勢

ドル/円が朝方の高値からじり安となり、小幅高で始まった日経平均も一旦マイナス圏に沈んだ。しかし、今日の人民元の対ドル基準値が当局の元安誘導を想起させるものではなかったことで、米中対立の激化に対する警戒がやや後退した。また、日本が管理を厳格化した韓国向けの半導体材料3品目の一部の輸出を許可したことも、日本のハイテク関連株の下支えになった。結局、営業日比76円高の2万0593円と5日ぶりに反発して終了した。

 

東京外国為替市場:米中の対立激化懸念が後退したことでドル買い

ドル/円は、中国人民銀行が発表した人民元の対ドル基準値は、2008年以来の元安となる1ドル=7.0039元に設定された。しかし、市場の想定よりも元安水準でないと受け止められ、米中の対立が激化するとの懸念が和らいだ。これを受けて、ドル/円はショートカバーが持ち込まれ、106.30円近辺まで上昇した。日経平均株価がマイナス圏からプラス圏へ転じたことも、リスク選好の円売りを誘った。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、106.10円台を中心とした狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、1.12ドル台前半で方向感に欠く値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

米国市場で『ぶり』値相次ぐ:リスク回避の動き強まり資金移動

7日の米国市場で相場が久しぶりの高値・安値を付ける『ぶり』値が相次いだ。NY金先物は一時、6年4ヵ月ぶりの高値を付け、米30年物国債利回りは3年1ヵ月ぶりの低さとなり過去最低値に迫った。投資家のリスク回避姿勢が強まり、相対的に安全資産とされる金と米国債に資金が流入した。一方、高リスク資産は売り優勢となり、NY原油先物市場は一時7ヵ月ぶりの安値、NYダウは2ヵ月ぶりの安値まで下げる場面があった。米国の10年ぶりの利下げや、米政権の対中制裁関税『第4弾』を受けた米中対立の激化が背景にある。利下げ観測の強まりで米金利低下が加速した。米中対立が世界経済の足を引っ張るとの懸念が投資家を萎縮させている。7日は自国経済を守るため新興国などの中央銀行が相次ぎ利下げに踏み切り、相場変動に拍車をかけた。

 

中国7月貿易収支は予想を上回るも前月からは減少

中国の7月貿易収支は3102億6000万人民元(450億6000万ドル)の黒字となり、市場予想の3100億人民元(426億5000万ドル)の黒字を上回った。また、6月の3451億8000万人民元(509億8000万ドル)の黒字よりは減少した。中国7月貿易統計の輸出(ドル建て)が前年同月比+3.3%と6月(-1.3%)から改善し2ヵ月ぶりに増加に転じた。事前予想は-2.0%だった。輸入は-5.6%と3ヵ月連続の減少だが、減少率は6月-7.3%から縮小した。なお、同時発表された中国7月の人民元建て輸出は+10.3%、輸入+0.4%といずれも増加、貿易収支は3102億元の黒字となった。

 

中国の外貨準備は減少するも金準備は増加

中国人民銀行(中央銀行)が発表した7月末時点の外貨準備は3兆1040億ドルだった。6月末時点から155億4000万ドル減少した。 ロイターがまとめた市場予想は、180億ドル減の3兆1010億ドルだった。 中国は米中貿易戦争や国内の景気減速にもかかわらず、過去1年間、資本流出を抑制できているが、人民元は今週11年ぶりの安値に下落しており、今後、資本流出圧力が高まる可能性もある。7月末時点の金準備は888億7600万ドル。6月末の872億7000万ドルから増加した。

 

FRBが市場圧力に屈すれば下落する見通し

米連邦準備理事会(FRB)が金融市場やトランプ米大統領の圧力に屈してあと0.5%の利下げを実施すれば、ドルの優位性は終わりを迎えるとみられている。年初の時点で引き締めが想定されていたFRBの政策見通しが180度展開したにもかかわらず、これまでのところドル安は進んでいないが、アナリスト60人を対象に実施した調査ではドルの見通しが悪化していることが分かった。FRBは先週0.25%の利下げを決定したが、パウエル議長が利下げを『サイクル半ばの調整』と説明したことなどから、ドル指数は底堅さを維持した。ドル建て資産への需要を背景にドルは魅力を保っているが、回答社の40%以上が、FRBの政策を巡る見通しの変化が今後のドル相場を左右すると答えた。CMEフェドウォッチによると、金融市場は年内に少なくとも2回の0.25%利下げを織り込んでいる。回答者の大半は、市場の予想通りに利下げ行われれば、ドルは大幅に下落するとの見方を示した。

 

欧米イベント

○20:00   7月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.37%)
○21:00   7月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前月比0.24%)
○21:30   6月カナダ新築住宅価格指数(予想:前月比横ばい)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.5万件/169.0万人)
○23:00   6月米卸売売上高(予想:前月比0.2%)
○23:00   6月米卸売在庫(予想:前月比0.2%)
○9日02:00   米財務省、30年債入札

 

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/08/07/15:19:20

日経平均株価:円高進行を嫌気した売り優勢

朝方は米国株の反発を好感して主力銘柄の一角が買われたが、円高への警戒感が残る中、全体的に売りが優勢となった。米国先物が下落したことや、ドル/円が106円付近まで弱含んだことなども投資家心理を圧迫し、前場引けにかけて下げ幅を拡大した。しかし、4日間で1000円超下げただけに値ごろ感から個人の押し目買いが入り下げ幅を縮めた。結局、前日比68円安の2万0516円と4日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:日本株の下落と米長期金利の低下で円買い優勢

ドル/円は、日経平均株価の続落や米長期金利の低下をながめた持ち高調整などのドル売り・円買いに押され、106.00円まで下落した。ニュージーランド準備銀行が予想以上となる0.5%の大幅利下げを決定、NZドル/円の急落が波及した面もあった。午後もこの流れは続き、106円を割り込んで105.94円近辺まで値を下げた。しかし、下値では値ごろ感からドルの押し目買いが入り、下げは一服した。その後は、日経平均株価の下げ幅縮小で過度なリスク回避姿勢が和らぐと、ショートカバーが入り、106.20円台へ持ち直した。ユーロ/ドルは、1.12ドル台前半で方向感に欠く値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国人民元の大幅な下落は続かない:中国当局者が鎮静化声明

中国人民銀行の上級当局者らが、外国企業に対し、人民元の大幅な下落は続かないと伝え、不安払拭に努めたと報じている。ブルームバーグに提供された声明によると、人民銀は北京で外国の輸出業者多数との会合を持った。会合で当局者らはまた、ドルを売買することも通常通りに可能だと伝えたという。声明は、中国が通貨を米国との貿易戦争の武器として使うことはないという易綱総裁の言葉を繰り返している。

 

第4弾追加関税で中国経済下押し:モルガン・スタンレーリポート

モルガン・スタンレーは最新リポートで、米国が『第4弾』対中関税として9月1日から3000億米ドルの中国製品に10%の関税を上乗せた場合、中国経済の下押し圧力が一層強まるとの見方を示した。発動された場合、2019年10-12月期の中国国内総生産(GDP)成長率は6%に鈍化すると予測している。これまでの予測は6.2%だった。『AAストックス』が6日伝えた。 また、ほぼすべての中国製品に対する25%の追加関税が4-6カ月間継続し、中国も反撃した場合、19年10-12月のGDP成長率はさらに5.7%に低下する恐れがあり、世界経済も後退するとの見方を示した。一方、中国が財政出動に動いた場合、GDPを0.75-1ポイント押し上げられると見込む。また、緩和的な金融政策を維持する可能性があり、公開市場操作や中期貸出制度(MLF)の利率引き下げ、貸出金利の引き下げに向けた改革の推進などがあり得るとした。

 

年末までに2回の利下げを予想:ゴールドマン・サックス

ゴールドマン・サックスは、米国と中国は2020年11月の米大統領選挙までには通商協議で合意しないとの見方を示した。ゴールドマンのエコノミスト、ヤン・ハチウス氏がリポートを公表した。また『通商政策のリスクの高まりや、一段の利下げに対する市場の期待、英国が合意なしに欧州連合(EU)から離脱する可能性に関する世界的なリスクの増大』などを踏まえて、米連邦準備理事会(FRB)が7月に続いて年末までにさらに2回利下げすると予想した。 FRBが9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げする確率は75%、10月は50%とした。これまでは今年の利下げを2回と予想していた。『FRBは今年、貿易戦争の脅威や債券市場の期待、世界経済の成長への懸念に対し、より敏感に反応している』と指摘した。

 

ハト派のブラード総裁がタカ派的発言

中国が人民元の基準値を1ドル=7元台ではなく、元高水準に設定したことで米中の貿易戦争懸念が和らぐ中、FOMCでの大幅利下げ期待が一服する展開だった。FOMCメンバーでハト派とされるセントルイス地区連銀のブラード総裁がこの日、『次の一手は7月の利下げの効果を見極めてから』『FRBは既に多くのことをしたと思う』『今回サイクルの半ばでの調整で、先々にリセッションが控えている訳ではない』と述べ、ハト派らしからぬ追加利下げに慎重な姿勢を示したことが関心を集めた。

 

欧米イベント

○15:00   6月独鉱工業生産(予想:前月比▲0.4%/前年同月比▲3.1%)
○15:15   インド中銀、金融政策決定会合(予想:5.50%に引き下げ)
○15:45   6月仏貿易収支(予想:41.18億ユーロの赤字)
○15:45   6月仏経常収支
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:00   6月ブラジル小売売上高指数(予想:前年同月比0.6%)
○23:00   7月カナダIvey購買部協会景気指数(予想:53.0)
○23:30   EIA週間在庫統計
○8日02:00   米財務省、10年債入札
○8日04:00   6月米消費者信用残高(予想:160億ドル)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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