FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2019/07/16/15:12:45

日経平均株価:108円割れで先物売りが先行

国内連休中の米国株は上昇したものの、為替が1ドル=107円後半まで円高方向に振れたことで、朝方から先物売りが先行した。15日に発表された中国第2四半期の国内総生産(GDP)の成長鈍化で中国経済が懸念されたほか、日本郵政、かんぽ生命の上場来安値更新も投資家心理を冷ました。ただ、日銀のETF買い入れ観測が相場を下支えした。結局、連休前比150円安の2万1535円で終了した。

 

東京外国為替市場:108円を挟んでもみ合う展開

ドル/円は、3連休明けとなる国内輸入企業などのドル買い・円売りに支えられて、108.10円付近へじり高となった。しかし、米長期金利が低下したこともあり、上値を追う動きは限られた。その後は、日経平均株価の下げ幅拡大をながめた利食い売りなどに、107.90円台へ押し戻された。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、108.00円近辺でもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、1.1260ドルを挟んで小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

米中貿易摩擦の影響で中国景気は再び減速

中国4-6月期GDPは前年比+6.2%と、四半期ペースで統計を開始した1992年以降で最も低い水準となった。今年3月までは2期連続で+6.4%と、政府の大規模の減税などの景気対策を支えに+6.4%にとどまっていたが、米中貿易摩擦の影響で再び減速に転じた。今年上半期のGDPは前年比+6.3%と、中国政府の今年目標である6.0-6.5%の範囲内にとどまっているが、28年ぶりの低水準となった2018年の+6.6%から低下している。中国政府は2012年の共産党大会で20年までのGDP倍増を目標にしており、その目標達成には19-20年の平均成長率が6.2%以上になることが必要である。市場では、今年下半期のGDPは政府目標の下限となる+6.0%近辺まで鈍化するとの見方がくすぶっている。

 

中国が台湾独立派へけん制として軍事演習

中国国防省は14日、『軍が最近、南東部沿岸の海空域で組織的な演習を行った』と発表した。これについて15日付の中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報は、『台湾独立派』をけん制する狙いがあるとの見方を伝えた。台湾に近い地点で大規模な演習が行われた可能性がある。 国防省は『今回の演習は年次計画に基づく定例的なものだ』とし、詳細は明らかにしていない。同省は大抵の軍事演習に関して『特定の対象や目標を狙ったものではない』と強調するが、今回はこの表現がなかった。発表の仕方にこうした特異な点があることから環球時報は『重大事案の前触れである可能性が高い』という専門家の分析を伝えた。

 

米国株の上昇は円ベースでも優位性が高い

過去最高値を再更新してきた米国株に対し、日本株は大きく出遅れているが、円ベース比較でも米株優位が定着しつつある。前週11日までの直近1カ月間ではドル安・円高圧力が強まってきたが、日本勢から見た円換算ベースでもNYダウは+4.02%の上昇となっている。それに対して円ベースの日経平均株価は+2.63%であり、同じ円建て比較で米国株を下回っている。年初来の円ベース成績でも、米株のS&P500は+18.2%、ナスダック総合は+22.0%、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は+26.2%、配当重視型のNYダウ公共株は+14.8%、ブルームバーグ米国REIT(不動産投信)は+17.8%などと円建てでも堅調に推移している。それに対して日本株は同じ円ベースで、日経平均が+8.4%、TOPIXは+5.5%などと相対比較で伸び悩んでいる。

 

米世論調査では民主党上位3人の候補がトランプ大統領を上回る支持

2020年の米大統領選へ向けて民主党候補指名争いに名乗りを挙げている上位3人の候補者がいずれもドナルド・トランプ大統領を上回る支持を集めている。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とNBCニュースの最新の共同世論調査で分かった。
調査は全米規模で実施。各民主党候補とトランプ氏の一対一の対決で、トランプ氏を上回る支持を獲得したのはジョー・バイデン前副大統領、エリザベス・ウォーレン上院議員、バーニー・サンダース上院議員の3人で、カマラ・ハリス上院議員はトランプ氏とほぼ互角だった。

 

米国市場では6月小売売上高が公表

5月実績は前月比+0.5%だった。4月は▲0.2%から+0.3%に上方修正された。主要13項目のうち11項目で増加した。オンライン・ストア、家電製品、スポーツ・趣味用品・楽器・書籍などが主に増加した。6月については雇用環境が悪化していないことから、5月実績に近い伸びとなる可能性がある。

 

欧米イベント

○16:00   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○16:00   4月トルコ失業率
○17:30   6月英雇用統計(予想:失業保険申請件数推移2万2800件/失業率なし)
○17:30   3-5月英失業率(ILO方式、予想:3.8%)
○18:00   5月ユーロ圏貿易収支(季調済、予想:178億ユーロの黒字)
      ユーロ圏貿易収支(季調前)
○18:00   7月独ZEW景況感指数(予想:▲22.3)
○18:00   7月ユーロ圏ZEW景況感指数
○21:00   カーニー英中銀(BOE)総裁、講演
○21:15   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○21:15   ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○21:30   5月対カナダ証券投資
○21:30   6月米輸入物価指数(予想:前月比▲0.7%)
○21:30   6月米小売売上高(予想:前月比0.1%/自動車を除く前月比0.1%)
○22:00   6月ロシア鉱工業生産(予想:前年比2.0%)
○22:15   6月米鉱工業生産指数(予想:前月比0.1%)
       設備稼働率(予想:78.1%)
○23:00   7月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:64)
○23:00   5月米企業在庫(予想:前月比0.4%)
○17日01:20   カプラン米ダラス連銀総裁、講演
○17日02:00   パウエルFRB議長、講演
○17日04:30   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○17日05:00   5月対米証券投資動向

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2019/07/05/15:09:04

日経平均株価:様子見ムード強く方向感を欠いた展開

前日は米国市場が独立記念日で休場だったことや、為替相場も1ドル107円台後半で小動きが続き、手掛かり材料に欠いた。また、今晩発表される米雇用統計を見極めたいとする向きも多く、朝方から方向感なく推移した。結局、前日比43円高の2万1746円とわずかに続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:様子見ムード強く狭いレンジ内での展開

ドル/円は、国内輸入企業などのドル買い・円売りに支えられ107.91円付近まで上昇した。しかし、心理的節目の108.00円が視野に入ると、上げは一服した。その後は、米長期金利の低下をながめた利益確定売りも散見され、107.85円を挟んだもみ合う展開となった。午後に入っても、107.80円台を中心とした狭いレンジでの展開となった。今後発表される米6月雇用統計を控えて様子見ムードが強かった。ユーロ/ドルは、1.1280ドル前後で方向感を欠いた値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

EUとイタリアの財政問題も一時停戦:秋から再び交戦

6月にイタリアに対して財政赤字の是正手続きの開始を示唆した欧州委員会は、イタリア政府が赤字抑制策を発表し、2019年の財政見通しを修正したことを受け、手続き開始の勧告を見送った。 ただし、2020年についてはVAT増税の撤回とフラット税の導入を計画しており、今回を遥かに上回る赤字抑制策が必要。来年度の予算審議が本格化する秋にEUとの対立が再燃する公算大きい。

 

自動車関連メーカーが事業縮小や撤退で英国経済は混迷

英国経済の混迷は、相次ぐ自動車関連メーカーの事業縮小や撤退を見れば明々白々だ。今年2月、英地方都市スウィンドンで約30年間、工場操業を続けてきたホンダが英国生産から撤退すると発表して激震が走った。ホンダは撤退とBrexitは関係ないと主張するが、『合意なき離脱』となればEU間に関税が復活しコスト競争力を失う。日産自動車は次期「エクストレイル」の生産計画を撤回、独BMWも「ハードBrexit」なら「ミニ」生産の一部をオランダに移す。米フォード・モーターは6月上旬、不振続きの欧州事業リストラの一環として英国エンジン工場を閉鎖すると発表、理由は「ハードBrexit」による関税復活への懸念であり、関税復活なら10億ドルの減益と試算する。英国の18年の自動車生産数は約150万台と独、スペイン、仏に次ぐ欧州4位で、ホンダや日産、トヨタにBMWなど外資が3分の2を占める。今年4月の英国自動車生産台数は約7万台と前年比で半分近くに急減、相次ぐ外資の撤退・事業縮小がすでに英国経済を震撼させつつある。

 

トルコのリスク対米関係悪化よりも格下げ

先月末のG20サミットに併せて行われた首脳会談のうち、金融市場では米国とトルコの首脳会談の行方に注目が集まった。昨年は両国の関係悪化を発端とする『トルコ・ショック』が動揺を招いたが、足下ではトルコによるロシア製兵器導入を巡り対立が再燃してきた。 直接会談では、トランプ氏の事実誤認が露呈する一方、政権内での意思統一が錯綜している様子もうかがわれた。一方、エルドアン氏は制裁回避に自信を示している。 ただし、実務者レベルでは対立が続いている模様である上、米議会も強硬姿勢を強めるなど来秋の大統領選を控えてトランプ氏の『外堀』は埋まりつつある。エルドアン氏は国営銀行に対する対イラン制裁違反を巡る制裁解除でも自信を示すが、トランプ氏のイランへの強硬姿勢を勘案すれば望み薄である。 米国の制裁発動に伴う直接的影響は限定的だが、格下げに伴う金融市場の動揺は不可避であり、リラ相場の再混乱も懸念される。

 

英国のイラン原油タンカー拿捕で地政学リスクが高まる可能性も

英海兵隊は本日、シリアに向けてイラン産原油を輸送していたと見られるタンカーを、ジブラルタル海峡付近で拿捕した(ジブラルタルは英国の海外領土)。一部報道によると、タンカーはEUが制裁の対象としているシリアの製油所に向かっていたもよう。イラン政府は英軍の対応に強く反発しており、(英も参加する)イラン核合意を巡り関係性が微妙になるなかで、両者の溝が深まる懸念が強まる。

 

米国市場では6月雇用統計が公表

5月の非農業部門雇用者数は前月比+7.5万人にとどまり、労働年齢人口の伸びを維持するために必要な10万人程度の雇用増を下回った。6月については反動増が予想されるが、20万人の大台には届かない見込み。失業率については、労働参加率が横ばいで推移すると予想されており、5月実績の同水準の3.6%となる可能性が高い。

非農業部門の新規雇用者数のコンセンサスは16万人増予想まで切り下がっている。市場予想を出している73社のうち、20万人超の強気予想が5社で、ゴールドマンも17万5000人増でやや強気。一方、10万ジャストの弱気予想もある。株式市場の理想としては10万人台前半で、0.25%の利下げ観測が市場にとって落ち着きやすい。ただ、強い雇用統計となると、利下げ観測が払しょくされ米国金利上昇・米株安・ドル買い戻しとなりやすい。

 

欧米イベント

○15:00   5月独製造業新規受注(予想:前月比▲0.1%/前年同月比▲6.2%)
○15:45   5月仏貿易収支(予想:49.50億ユーロの赤字)
○15:45   5月仏経常収支
○16:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○16:15   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○21:30   6月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化1万人/失業率5.5%)
○21:30   6月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化16万人/失業率3.6%/平均時給、前月比0.3%/前年比3.2%)
○23:00   6月カナダIvey購買部協会景気指数(予想:55.0)
○7日 ギリシャ総選挙

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/07/04/15:10:53

日経平均株価:米国株高を好感した買いも上値重い

米国株主要3指数が終値で史上最高値を更新したことを好感し、朝方から幅広い業種で買いが先行した。その後、米国が独立記念日で休場であることや5日に米雇用統計の発表を控えていることなどから動きづらい展開となった。市場では、7月のFOMCでの利下げ実施が織り込まれているなか、見送りという可能性も排除してはいけない。株価が史上最高値の中、雇用統計が強く出てしまったら、利下げを実施するお題目は見えにくくなるとの指摘もある。結局、前日比64円高の2万1702円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:米国市場が休場となるため持ち高調整の動き

ドル/円は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、107.75円前後でもみ合う展開となった。本日は米国が独立記念日で休場となるため、積極的な売り買いは目立たなかった。午後は5日に発表される米6月雇用統計を前に、持ち高調整などのドル買い・円売りが入り108.85円近辺までじり高となった。しかし、心理的な節目の108.00円が視野に入ると、利食い売りも見られ108.80円前後でもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、1.1285ドル前後で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

欧州市場では5月ユーロ圏小売売上高が公表

4月実績は前月比▲0.4%だった。5月については、一部加盟国の雇用情勢がやや改善していることなどを考慮して、多少持ち直す可能性がある。ただし、主要国の個人消費は伸び悩んでおり、域内の小売売上高は弱含みの状態がしばらく続くとみられる。

 

トルコのインフレ率は鈍化傾向

トルコ統計局が発表した6月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比15.72%と、1年ぶりの低水準だった。前年同月の物価水準が高かったことが背景。市場では中銀の利下げ余地が拡大したとの見方が浮上している。6月のCPI上昇率は前月比では0.03%となり、市場予想の0.05%を下回った。CPI上昇率は、昨年10月に前年比25%を超え、15年ぶりの高水準を記録したが、その後は鈍化している。

 

1990年代以降のFRBの予防的利下げは4回

1990年代以降の米FRBの利下げ転換局面は1995年、1998年、2001年、2007年の4回あり、うち景気後退(リセッション)を回避したのは95年と98年の2回ある。しかも、95年と98年はpreemptive(予防的)利下げで『Too late』に陥ることなくその後景気回復へと誘い、再び利上げに転じている。クラリダFRB副議長は今春4月インタビューで『FRBはかつて1995年と1998年に保険的に利下げを行ったが、必ずしも景気後退と結びついた訳ではなかった』と述懐している。なお、全4回の利下げ転換局面のうち、3回(95年、98年、2001年)は初回利下げ前に米ISM製造業景況指数が好不況の分岐点『50』を下回っており、95年と2001年については実質GDP成長率が利下げ実施期に向かって大きく減速していた。

 

昨日米国経済指標はドル安要因だかドル底堅い展開

 米オートマチック・データ・プロセッシング(ADP)とムーディーズ・アナリティクスが3日発表した6月ADP雇用統計(民間雇用者数)は、前月比+10.2万人と市場予想の同比+14万人程度を下回った。また、米商務省が発表した5月貿易収支は、-555億ドルとなり、貿易赤字は5カ月ぶりの高水準となった。輸出は増加したものの、対中関税引き上げを前に輸入が拡大したことが、赤字拡大につながったとみられる。市場予想は-540億ドル程度だった。4月の赤字額は508億ドルから512億ドルに改定された。米労働省が5日に発表する6月米雇用統計も予想を下回る可能性があることから、米国株安はドル相場にとっても悪材料になり得る。また、貿易赤字の拡大は一般的にドル売り材料となる可能性があることから、4日の米独立記念日を挟んでドルの上値は再び重くなる可能性がありそうだ。

 

米大統領選を踏まえ瀬戸際政策による譲歩

トランプ大統領は、『安全保障への影響がなければ』との条件付きファーウェイ一部禁輸解除した。むろん、米国は安全保障を脅かす恐れがあるからファーウェイを『エンティティ・リスト』(EL)に入れた訳であり、もはやこれは大統領の一存で動かせない問題である。ELリストに登録された企業は米国からの輸出や米国製品の再輸出の他、米国由来の部品が25%超含まれていれば他国の会社が生産した製品でも事実上、輸出が禁じられる。案の定、米NEC(国家経済会議)クドロー委員長は30日、米FOXニュースのインタビューで制裁緩和を巡り『一般的な恩赦ではない』と説明、米商務省は安全保障上の脅威である外国企業リストELのファーウェイ登録は残すと明言した。つまり、汎用品など米国企業が高い国際競争力を持つ半導体や基本ソフト(OS)等に絡んだ解禁に留まり、大統領が習近平氏に甘言を弄した可能性が否定できない。激戦の農業州で大豆の対米輸出減少など不満が高まり、『第4弾』発動に至っては生活必需品が含まれ家計直撃で慎重論が支配的となっていた。米中首脳会談の暫定『休戦合意』は『第4弾』発動見送りの瀬戸際政策と換言できる。

 

欧米イベント

○15:30   6月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.1%)
○16:00   レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○18:00   5月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比0.3%/前年比1.6%)
○18:10   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○米国(独立記念日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2019/07/03/15:10:41

日経平均株価:円高を嫌気して売り優勢

米中通商協議を巡るポジティブな話しは前日までに織り込まれ、次のニュース待ちとなっている。為替の円高進行も嫌気され、朝方から利益確定売りが優勢となった。その後は、ドル/円が107.50円台まで下落した場面では、為替に連動する先物売りが出て指数を押し下げた。結局、前日比116円安の2万1638円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:日本株下落や米長期金利低下で円買い優勢

ドル/円は、米長期金利の急低下や日経平均株価の反落をながめたドル売り・円買いが進み、107.54円近辺まで下落した。トランプ米大統領がハト派で知られるジュディ・シェルトン氏とクリストファー・ウォーラー氏を、FRB理事に指名したことも、ドルの押し下げにつながった。しかし、今晩発表されるADP全米雇用リポートや米ISM非製造業景況感指数を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。午後は日経平均株価や米長期金利の動向をにらみながら、107.60円台を中心とした狭いレンジで取引された。4日は独立記念日で米国市場が休場となるため、商いは薄かった。ユーロ/ドルは、1.1290ドル前後で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ドラギECBの後任にラガルド専務理事を指名

欧州連合(EU)は10月末までの任期となったドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁の後任に、フランス出身で国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事を指名した。総裁就任が決まればECB総裁として初の女性となる。政治家出身で危機対応の経験の長いラガルドしにはその調整能力に期待が高い半面、市場にサプライズ(驚き)をもたらすような『マジック』は見込めないとの声もある。

 

空席のFRB理事にハト派の2名を指名する方針

トランプ大統領は2名の空席のあるFRB理事の人事について欧州復興開発銀行(EBRD)のジュディ・シェルトン氏とセントルイス地区連銀の調査局長であるクリストファー・ウォーラー氏を指名する方針を示した。パウエルFRB議長の更迭を検討しているとされるトランプ大統領としては、ハト派の人物をFRB理事として送り込み、パウエル氏の後任候補にしたい考えを持っているとみられる。保守派エコノミストのシェルトン氏は金本位制への回帰を求めている変わった人物だが、2016年の米大統領選でトランプ氏の経済アドバイザーを務めていた。ワシントンポストの6月19日付けインタビューでは『FRBは可能な限り早く利下げを行うべきだ』とハト派的な見解を示した。ウォーラーしの金融政策に対するスタンスは不明だが、同氏が所属するセントルイス地区連銀のブラード総裁はFOMCメンバーでハト派として知られ、6月のFOMCで唯一25bpの利下げを主張していた人物である。そのブラード総裁はホワイトハウスからFRB理事就任を打診された経緯がある。

 

米中首脳会談後も制裁緩和限定的

ナバロ米大統領補佐官(通商担当)は2日、トランプ大統領が表明した中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)に対する制裁緩和に関して『安全保障に影響しないローテク製品』に限って輸出を認めると明らかにした。半導体の販売が可能になるのは、年10億ドル(約1080億円)未満と小規模になるとの見通しを示した。米CNBCテレビのインタビューでナバロ氏は、米国が認めるのは『短期的に年10億ドル未満の少量の半導体をファーウェイに販売すること』だと指摘した。詳細は不明だが、同社は全世界の企業から年670億ドルの部材を調達しており、制裁緩和は限定的になる可能性がある。ナバロ氏は「(次世代通信規格)『5G』を巡る米国の対ファーウェイ政策は変わっていない」と説明し、最新技術を搭載した製品やソフトウエアは引き続き禁輸対象になると示唆した。制裁緩和の見返りに『中国がすぐに大量の農産品を買うと約束した』と主張した。

 

米国市場では5月貿易収支が公表

4月は輸出と輸入がいずれも大きく減少し、貿易赤字縮小した。民間航空機の需要減少や対メキシコ輸入関税などが影響した。5月については輸出入額の伸び悩みが予想されることから、貿易赤字は4月実績と同水準となる可能性がある。対中貿易赤字については4月実績の294億ドルに近い水準になる可能性がある。

 

欧米イベント

○16:00   6月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.05%/前年比15.74%)
○16:30   スウェーデン中銀、政策金利発表(予想:▲0.25%で据え置き)
○16:50   6月仏サービス部門PMI改定値(予想:53.1)
○16:55   6月独サービス部門PMI改定値(予想:55.6)
○17:00   6月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:53.4)
○17:00   ノボトニー・オーストリア中銀総裁、記者会見
○17:30   6月英サービス部門PMI(予想:51.0)
○19:00   カンリフ・イングランド銀行(BOE)副総裁、講演
○未定   ポーランド中銀、政策金利発表(予想:1.50%で据え置き)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:30   6月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:15   6月ADP全米雇用報告(予想:14.0万人)
21:15   ブロードベントBOE副総裁、講演
○21:30   5月カナダ貿易収支(予想:15億カナダドルの赤字)
○21:30   5月米貿易収支(予想:540億ドルの赤字)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.3万件/167.5万人)
○22:45   6月米サービス部門PMI改定値(予想:50.7)
○22:45   6月米総合PMI改定値
○23:00   5月米製造業新規受注(予想:前月比▲0.5%)
○23:00   6月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:55.9)
○23:30   EIA週間在庫統計
○23:30   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○米株式・債券市場は短縮取引
○米財務省3年、10年、30年債入札条件

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/07/02/15:10:26

日経平均株価:材料に乏しく方向感を欠く動き

朝方は利益確定売りが先行したものの、米国株高や為替の落ち着きなど良好な外部環境を背景にプラスに転じた。その後は国内手掛かり材料が乏しく、方向感に欠ける値動きが続いた。結局、前日比24円高の2万1745円と小幅続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:108円前半の狭いレンジ内の展開

ドル/円は、国内輸入企業などのドル買い・円売りや日経平均株価がマイナス圏からプラス圏へ転じたことに支えられ、108.47円近辺まで上昇した。しかし、前日につけた戻り高値108.53円が意識されると、上げは一服した。その後は利益確定などのドル売り・円買いが入り、108.40円近辺でもみ合いとなった。午後も、108.30円台を中心とした狭いレンジでの取引が続いた。米中通商交渉の行方を見極めたいとの雰囲気もあり、積極的な売り買いは目立たなかった。ユーロ/ドルは、1.12ドル台光波で小動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

豪州は減税と金融政策面から景気の浮上を図る

オーストラリアの保守連合政権は、大規模減税法案の可決に十分な支持を確保しつつある。法案可決の鍵を握る独立系議員らが2日、モリソン首相と合意する見通しだと明らかにした。フライデンバーグ財務相は4月、今後10年で主に中間所得層向けに総額1580億豪ドル(1100億米ドル)の減税を実施すると表明した。政府は昨年も1440億豪ドル規模の減税を実施している。

オーストラリア準備銀行は本日の定例理事会で、政策金利を0.25%引き下げ年1.00%にすると消えたと発表した。2年11ヵ月ぶりに利下げした6月に続き、2会合連続で政策金利を過去最低に引き下げた。6月の利下げ後もロウ総裁は一段の利さえに含みを持たせてきた。

豪準備銀行は声明で成長とインフレを支援するために必要なら政策調整を行なうと述べており、追加利下げの可能性があることを示唆した。市場関係者の間では、『次回の理事会でも0.25ポイントの利下げを行なう可能性があるが、金利調整の余地がより小さくなるため、9月以降になる可能性がやや高い』との声が聞かれている。

 

輸出企業の予約コストを含めると109円台後半から110円台前半が限界

日銀が1日に発表した短観で、2019年度の事業計画の前提となる想定為替レートは大企業・製造業で1ドル=109.35円と足もとより円安・ドル買いとなった。新年度の計画を立てた時点で米中の貿易協議は何らかの形で『手打ちになる』との見方が多く、FRBの大幅利下げ観測がそれほど高まっていなかった。しかし、5月にトランプ米大統領が対追加関税の引き上げを唐突に発表すると、米中貿易摩擦への懸念が再燃して円高が進んだ。このタイミングの違いが影響した。輸出企業は為替リスクを回避するため、3ヵ月から9カ月先の為替予約をするケースが多い。為替予約コストは現在の為替レートと2つの通貨の金利差で決まる。日米金利差から算出される予約コストは3ヵ月物で70銭強、6ヵ月物で1円50銭弱、9カ月物では2円強となっている。輸出企業が為替予約のコストを勘案して円を108円台で確保したいと考えれば109円台後半から110円台前半にかけて円買い・ドル売り需要が強まりやすい。

 

イタリアリスクは後退でユーロ買い要因にも

イタリア政府は、2019年の財政赤字目標を引き下げた。財政政策を巡る欧州連合(EU)の是正措置を回避する狙いで、赤字目標の修正によってイタリアはEU規則を完全に順守することになるとの見方を示した。 EUの執行機関である欧州委員会は、イタリアが昨年の赤字削減目標を達成できなかったことから是正手続きを発動すると警告している。 コンテ首相は1日の閣議で財政問題を協議し、終了後に発表した声明で、予想以上の税収と予想を下回る歳出を受けて19年は構造的財政赤字も名目上の赤字も予想を下回るとの見通しを示した。

 

米国が対中関税第4弾を見送っても状況改善はなし

6月29日に行われた米中首脳会談で通商協議を再開することで双方は合意し、トランプ米大統領は対中関税第4弾の発動を当面行わないと表明した。週明け7月1日のアジア市場では、日本株、上海総合指数などの株価指数は強い動きを見せた。 ただ、市場関係者の間からは『株高が持続する保証はない』との声が聞かれている。中国国家統計局が6月30日に発表した6月の製造業PMIは49.4となり、経済活動の縮小・拡大の境目である50を引き続き割り込んだ。また、財新/マークイットが7月1日に発表した6月中国製造業PMIは49.4に低下し、こちらも節目の50を割り込んだ。
製造業の業況が悪化しているのは、第3弾に及ぶ賦課されている対中輸入関税の影響が大きいとみられている。米国が対中関税第4弾の発動を見送っても状況が改善されるわけではなく、中国の製造業に対する圧力が弱まることはないとみられている。

 

欧米イベント

○15:00   5月独小売売上高指数(予想:前月比0.5%/前年比2.7%)
○15:00   6月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.2%)
○15:45   5月仏財政収支
○17:30   6月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:49.3)
○17:30   クノット・オランダ中銀総裁、バシリアウスカス・リトアニア中銀総裁
、講演
○18:00   5月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比▲0.1%/前年比1.7%)
○18:30   ロウ豪準備銀行(RBA)総裁、講演
○19:35   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○23:05   カーニー英中銀(BOE)総裁、講演
○24:00   メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○新欧州議会招集(仏ストラスブール)
○OPECと非加盟産油国の閣僚会合(ウィーン)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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