FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2019/08/21/15:17:01

日経平均株価:欧米株安の流れを引き継ぎ売り先行も下げ幅縮小

朝方は欧米株安の流れを引き継いで売りが先行し、一時200円近い下げ幅となった。その後、追随売りが出なかったことが安心感を誘い、前場引けにかけて為替と連動する形で下げ幅を縮小した。市場からは材料が特にない上に為替市場もあまり動いていないため、日経平均は上にも下にも行き難い状態となった。結局、前日比58円高の2万0618円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利上昇でドルは底堅い展開

ドル/円は、米長期金利の上昇や日経平均株価の下げ幅縮小に支えられて、106.50円までじり高となった。NYダウ先物が小幅ながら上昇したことも、リスク回避姿勢を和らげて円売りを誘った。午後もこの流れは続き、106.56円まで上昇した。しかし、米中の貿易摩擦が長期化するとの根強い懸念から上げ幅は一服、106.40円台を中心とした狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは1.1095ドル前後で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

イタリアは今年も長い政治空白に陥る可能性

20日にイタリアのコンテ首相が辞意を表明した。マタレッタ大統領は新たな内閣の樹立を目指すが、容易ではない。新内閣樹立に失敗すると、大統領は議会を解散し、『解散なら70日以内』という10月か11月に総選挙が実施される可能性がある。イタリアでは昨年18年3月の総選挙後の『3ヵ月の政治空白』を経て6月にコンテ氏が新首相に指名、『五つ星運動』と右派『同盟』の2党による連立政権が発足した。昨年に続いて今年も長い政治空白におちる可能性されており、選挙戦に突入すれば過大な財政政策を強調したり、反EUスタンスを強調する可能性がある。イタリア国債に対するクレジットリスクが再認識され、イールドハンティングで膨らんだバブルが弾けるリスクも残るので注意が必要となる。

 

同じ特別行政区でも恵まれているマカオ

マカオ政府の2019年予算には、約187.5億マカオパカタ(1マカオパカタ=13円では2437.5億円)の『富の還元』関連予算が計上された。マカオは世界一のカジノ売上高を誇り、カジノ税という財源を持っている。2008年からマカオ政府は、インフレ対策や富の還元を理由に、その市民に対して現金配布を行っている。その額は、永久居留権保有者には日本円にして約13万円、臨時居留権保有者には約8万円が支給される。くわえて、高齢者への敬老金(約11万円)や毎月支給される養老金(5万円弱)と呼ばれるものもあり、やはり年配者へは厚い配慮だ。また、子育て家族にも優しく、父母同時に申請可能な出産補助金(5万円弱)や幼稚園から小中学生にも教科書補助代として日本円で3万円~4万円も支給される。※1マカオパカタ=13円で計算
同じ特別行政区の香港では大規模な抗議デモが継続されているが、マカオが落ち着いた状況というのも分からないでもない。

 

米国市場では7月中古住宅販売件数が公表

6月実績は527万戸で市場予想を下回った。ただし、販売価格の中央値は前年比で上昇しており、中古住宅市況は特に悪化していないと見られる。7月については、中古物件の供給がやや増えると予想されており、販売件数は6月実績をやや上回る見込みとなる。

 

米国市場では7月30-31日開催のFOMC議事要旨が公表

FRBはこの会合でほぼ10年ぶりとなる利下げに踏み切った。米金利先物市場では9月のFOMCでも追加利下げが確実視されている。米国の2年債と10年債利回りが一時逆転し、米国債相場の動向が近く米国経済が景気後退入りする可能性を示唆した。加えて、世界経済の弱さや貿易の不透明性が成長を引き続き抑制するとの見方が背景となる。市場は年内0.75%の利下げを織り込んだが、トランプ大統領は少なくとも1.00%の利下げが必要だとの主張を繰り返している。一方で、7月FOMCでは2名のメンバーが、米国経済は引き続き順調に成長しており政策金利の据え置きを主張。利下げに反対した。パウエル議長下でのFOMCで最大の反対票数となった。米国最新の小売売上高、雇用統計は引き続き強い結果を示しており、9月会合前の結果も引き続き強い内容となると、再び何人かのメンバーが追加利下げに反対する可能性は残る。FRBが21日に公表する議事録の中で、7月会合では利下げを支持したものの今後何回かの追加利下げに何人のメンバーが前向きであるかを探っていくことになる。

 

欧米イベント

○17:00   7月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.7%/前年比4.4%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:30   7月カナダCPI(予想:前月比0.2%/前年比1.7%)
○23:00   7月米中古住宅販売件数(予想:前月比2.5%/年率換算539万件)
○23:30   EIA週間在庫統計
○22日03:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(7月30日-31日分)
○日米閣僚級貿易協議(ワシントン、22日まで)
○英独首脳会談(ベルリン)

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/08/20/15:11:07

日経平均株価:米国株高を好感した買い優勢

前日の米国株主要3指数の続伸が安心材料となり、朝方から買いが先行した。しかし、手掛かり材料が乏しい中で買い一巡後は伸び悩む展開となった。市場では、国際情勢の先行きを見極めたいという向きも多くい。また、米中通商協議が難航しているこtから、トランプ大統領は近く、中国の習近平国家主席と電話協議を行う意向を明らかにしている。週末にはパウエル米FRB議長の講演も控えていることもあり、様子見ムードも広がっている。一時上げ幅を120円に広げたが、結局、前日比114円高の2万0677円と3日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:106円台半ばで底堅い展開継続

ドル/円は、国内輸入企業などのドル買い・円売りや日経平均株価の続伸に支えられて、106.69円付近まで上昇した。しかし、前日の海外市場でつけた戻り高値106.70円が意識されると、上げは一服した。その後は、短期筋などの利食い売りに押されて、106.55円付近へじり安となった。午後は日経平均株価や米長期金利の動向をにらみながら、106.50円台を中心とした狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、1.10ドル台後半で方向感を欠いた値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

前日の欧米市場のリスク選好の動きの材料

米国のトランプ政権が一部関税発動を延期したことに加えて中国通信機器メーカー大手、華為技術(ファーウェイ)に対する米製品の調達禁止措置の猶予期間をさらに90日間延長すると発表したため、米中貿易摩擦への懸念が緩和した。また、米国債利回りの上昇で景気後退懸念も緩和した。さらに、ドイツや中国の財政・金融刺激策への期待もリスク選好の動きを助けた。本日もこれらのリスク選好の動きが継続するのか、それとも一旦の材料織り込みとなるのか注目される。

一方で、アメリカ商務省は19日、自国の企業が中国の通信機器大手ファーウェイやその関連会社と取り引きすることを禁じる措置をめぐって、取り引きを禁止する対象に新たに46社を追加したと発表した。貿易をめぐる両国の対立が激しくなる中、アメリカ政府がファーウェイに対する締めつけを強化した形となっている。

 

米世論調査にらみのトランプ政権政策

18日に公表されたNBC・WSJの最新世論調査によると、『自由貿易が米国のためになる』とした回答は64%と、同調査項目として過去最高となった。その中でトランプ氏の支持率は43%と、7月の調査時から2ポイント低下。不支持率は3ポイント上昇し、55%となった。同大統領の不支持率は支持率を12ポイント上回り、同格差は18年4月以来最大となっている。こうした最新情勢により、トランプ氏が対中国を中心とした通商強硬姿勢を一旦緩和させ、『当座の支持率建て直し策』や『年末商戦配慮』などで景気・株価重視へと軸足をシフトさせると、短期的にはリスク回避の緩和により、円高一服や円安・外貨高が後押しされやすい。

 

マカオと香港の違い:シャトルバスで30~40分の距離

19世紀半ばにポルトガルに完全植民地化されたマカオだが、1987年にポルトガルと中国がマカオ返還の共同声明に調印し、1999年12月20日に同地域の行政管理権が中国に返還されて特別行政区となった。 マカオ返還後の50年は現状保全が取り決められており、2049年までは公用語にポルトガル語が採用される(主要な公用語は中国語・広東語)ほか、ポルトガル統治時の法律の多くが適用されている。ただし、1999年の返還以来、マカオには中国人民解放軍が駐屯。香港では撤回に追い込まれた国家安全条例案だが、その条例案と同様な反政府活動を禁じる国家安全維持法が2009年には制定された。返還20周年記念となる12月に向けてこの特別行政区は、現状の香港とは違い、お祝いムードが盛り上がる一方となりそうだ。

 

英国の合意なき離脱の混乱を英国自信も把握

リークされた英政府の文書によれば、合意なき離脱時の英国は、ドーバー海峡の物流混乱による食料・医薬品・燃料不足と国民生活混乱、北アイルランド経済の混乱と将来的な物理国境の導入、EUとの銀行送金や電子商取引が遮断される恐れがある。 政府は合意なき離脱の準備作業を加速、追加予算を計上しているが、一定の混乱は避けられない。英国自信も合意なき離脱では混乱は避けられないと把握している。

 

FRBの判断と市場の期待のギャップをどう埋めるのか?

足元の米FF金利先物価格の水準から判断すると、市場では9月と10月のFOMC時での0.25%ずつの利下げをほぼ100%の確率で織り込んでいる。その後は、来年1月までに1回、7月までにもう1回の利下げを織り込む格好となっている。 パウエル米FRB議長のジャクソンホール講演でこれに沿うような内容の話が出れば、市場の安心感は高まる。FRBとすれば市場に過剰な期待を抱かせるのは得策ではないと考える一方で、製造業部門での減速傾向が続いているうえ、米中関係や世界経済の動向も逆風の中、景気を支える力を強める余地はまだあると判断している。市場が期待しているような累計で1%以上の利下げは必要ではないと考えているとしても、わざわざ否定して市場の混乱を強めるデメリットよりも、敢えて否定しないことによって市場が落ち着くメリットの方が、将来的には政策の自由度を増すことに繋がる可能性が高い。

 

欧米イベント

○15:00   7月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比横ばい)
○17:30   7月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比3.0%)
○18:00   6月ユーロ圏建設支出
○21:30   6月カナダ製造業出荷(予想:前月比▲1.7%)

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/08/19/15:13:52

日経平均株価:買い先行も薄商いの中上値の重い展開

週末の米国株式市場が、ドイツの財政出動を巡る報道を好感して上昇したことを好感し、朝方は先物主導で買い先行となったものの、その後は手掛かり材料に乏しいことから模様眺めとなり伸び悩んだ。前場の東証1部売買代金は1兆円を割り込むなど商いは細ったままで、前週に続いて市場参加者は少ない。一時上げ幅を200円超に広げたものの物色対象が広がらず上げ幅を縮小して終了した。結局、前週末比144円高の2万0563円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:アジア株上昇でリスク先行の円売りで底堅い展開

ドル/円は、日経平均株価の上げ幅縮小を眺めたドル売り・円買いに押され、106.19円近辺まで下落した。トランプ大統領が早朝に『米国は中国通信機器大手ファーウェイとビジネスを行うことは望んでいない』と発言したことも、引き続き円買い要因として意識された。しかし、16日のNY市場で付けた106.20円近辺が意識されると、下げは一服した。その後は、国内輸入企業などがドル買い・円売りに動き106.47円近辺で切り返した。午後は日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、106.30円台を中心に狭いレンジ内での展開となった。ユーロ/ドルは、1.10ドル台後半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日7月貿易収支は対中輸出を始め2ヵ月ぶり赤字

財務省が19日発表した貿易統計速報によると、7月の貿易収支は2ヵ月ぶりに2496億円の赤字だった。中国向け自動車部品や半導体等製造装置の輸出が減少した。中国向け輸出は前年比9.3%減の1兆2288億円と5ヵ月連続で前年実績を下回った。液晶デバイス製造用などの半導体等製造装置が前年比31.5%、ギアボックスなど自動車部分品が同35.0%減となった。全体の抽出は前年比1.6%減の6兆6432億円と8ヶ月連続で前年実績を下回った。米国向けは前年比8.4%増の1兆3554億円と10ヵ月連続増となったものの、アジア向けが同8.3%減の3兆4617億円と9カ月連続で減少した。全体の輸入は前年比1.2%減の6兆8928億円と3ヵ月連続で前年実績を下回った。イランからの原祖油やアラブ首長国連邦(UAE)からのナフサ、台湾からの集積回路(IC)などが減少した。

 

香港ドルにアジア通貨危機を招く通貨の弱点

香港のデモの長期化に対し、世界の投資家が神経をとがらせている。香港市場では8月に入ってから代表的な株価指数のハンセン指数が16日までに7%強下落し、短期金利は約11年ぶりの高水準で推移した。1997年のアジア通貨危機と同工異曲の不安に『金融危機の火種』と警戒する声が増えている。香港ドルは、それと同額の米ドルの準備にみ合った額しか発行できないカレンシーボード制という特殊なペッグ(連動)制を採用している。外貨準備高と資金供給量(マネタリーベース)は一致する。このため、資本流出が起きて香港政府が香港ドルを買い支える香港ドル買い・米ドル売り介入を実施しなければならなくると、香港ドルが市場から枯渇し、短期金利が跳ね上がる仕組みとなっている。前例はアジア通貨危機が香港にも波及した1997年10月。ヘッジファンドなど投機勢の香港ドル売りが金利上昇を招き、翌日物銀行間金利は一時300%を超える水準に上昇した。当時ハンセン指数は1ヶ月間で3割近く下落し、金融危機は日本を含め、世界に広がった。97年のように投機勢主導の香港ドル売りであれば、金利上昇が空売り用の香港ドルの調達コストを引き上げるため、攻撃は短期間に収束する。しかし、香港市民による実需売りだとすれば事は簡単ではない。下手すれば金利上昇と株安の負の連鎖に陥りかねない。

 

日本の10年債利回りが更に低下するようなら緩やかな円高:JPモルガン

世界的に金利基調が続く中、JPモルガン証券は19日付けのリポートで『先週1週間で米10年債金利は1.74%から一気に1.53%まで0.20%も低下したが、日本10年債金利はマイナス0.22%からマイナス0.24%まで0.02%低下しか低下しなかった』と指摘した。その上で『これまでの相関から言えば、米10年物国債金利が0.10%低下すると日本10年物国債金利は0.02%低下する関係だったため、日本の長期金利の低下余地に限界が見え始めているように見える。こうした状況が続くと、日米金利差の縮小がこれまでのペースよりもやや早くなり、ドル/円の下落のペースも速くなるリスクが出てくる』とし、日米の金利差縮小に伴うドル安・円高リスクを警戒している。今後の注目点として、日銀が金利低下を止めるための政策を行わず、日本10年物国債利回りがマイナス0.3%方向に向けて低下してくのであれば、ドル/円はこれまで通り緩やかな下落トレンドに止まるだろう』とみている。

 

★トランプ大統領が米国株式市場に注視している証

トランプ大統領は14日にNYダウが800ドル超急落したことを受けて、大手米銀3行のトップと電話会議し、米個人消費や景況感についての見方を尋ねていたようだと、複数のメディアが16日、関係者の話として報じている。

 

欧米イベント

○17:00   6月ユーロ圏経常収支(季節調整済/季節調整前)
○18:00   7月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比1.1%)
○18:00   7月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比0.9%)
○22:00   7月ロシア失業率(予想:4.5%)

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/08/16/15:08:55

日経平均株価:円高一服とアジア株が堅調推移したことを好感

朝方は、シカゴ日経平均先物にサヤ寄せする形で先物主導で売りが先行したものの、アジア株が堅調推移していることなどを好感した。また、為替市場で円高進行が一服して1ドル=106円台で推移したことも好感された。薄商いのなか、戻り歩調となった。米商務省が発表した7月の小売売上高は前月比0.7%増と、市場予想の0.3%を上回る伸びとなったことが景気の先行きに対する不安を和らげたほか、半導体・ディスプレー製造装置の米アプライド・マテリアルが好決算を発表したことも追う裸子材料として捉えられた。ただ、売り材料も買う材料も乏しいため、はっきりとしない動きた続いた。結局、前日比13円高の2万0418円と小幅反発で終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利が反転したことでドル買い戻し

ドル/円は、国内輸入企業のドル買い・円売りや、日経平均株価がマイナス圏からプラス圏へ転じたことに支えられ、106.27円付近までじり高となった。米長期金利が上昇したことも、ドルの買い戻しにつながった。しかし、前日の海外市場でつけた戻り高値106.35円が意識されると上げ幅は一服した。その後は短期筋などの利食いも見られ、106.20円を挟んでもみ合いとなった。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、106.10円台を中心にもみ合い相場となった。ユーロ/ドルは、1.1100ドル前後で小幅な値動きに終始した。

 

欧州景気に急ブレーキが掛かってきている

主要国のドイツと英国が米中貿易摩擦の影響などでマイナス成長に転落した。今後も英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる混乱や米国との通商関係悪化が予想され、不透明感が強い。欧州最大の経済大国ドイツの4~6月期の実質GDP(国内総生産)は、前期比0.1%減だった。第2位の英国も0.2%のマイナスに落ち込んだ。ユーロ圏全体でも0.2%増にとどまり、景気に急ブレーキがかかっている。特に主要国の製造業の落ち込みが目立っている。米中摩擦に端を発する世界経済の減速で輸出が低迷したほか、英EU離脱の混迷が国境を越えた生産体制を敷く自動車産業を直撃している。環境規制の強化でディーゼル車を中心に自動車販売が振るわないという欧州特有の事情もある。
先行きも課題が山積となっている。ジョンソン英首相は10月末の『合意なきEU離脱』に突き進んでおり、直前には駆け込み需要が見込まれるものの、11月以降は強烈な逆風に見舞われる恐れがある。さらに、米国とEUの貿易摩擦激化も懸念されている。

 

GEショックには注意!:不正額約4兆円は氷山の一角??

米国の著名会計専門家が15日、ゼネラル・エレクトリック(GE)が巨額な損失を隠すために不正会計を行っているとの報告書を公表した。『(2001年に経営破綻した)エンロンよりも巨額の不正を働いている』と指摘したことで、同日の米株式市場では追加損失が膨らむとの懸念から同社株は急落、11%安で取引を終えた。GE側は疑惑を否定している。GEの不正会計を指摘したのはハリー・マルコポロス氏で、リーマン・ショックをきっかけに発覚した史上最大規模の詐欺事件『マドフ事件』を告発したことで知られる。15日はGE株が一時15%超下落する場面もあった。GEに関する報告書は175ページに上り、あるヘッジファンドと協力して7カ月かけて調査したという。発見できただけで不正額は380億ドル(約4兆円)に上るが、それも『氷山の一角にすぎない』と指摘した。特に介護保険事業で、保険の引当金に不正があると問題視した。
GE側は『高い基準にのっとって企業活動を行っている。マルコポロス氏の主張に根拠はない』との反論コメントを発表した。保険事業についても『十分な引当金を積んでいる』とした。

 

再び日本が米国債保有額1位に:米国と運命共同体の日本

米財務省が15日に発表した6月の対米証券投資統計によると、日本の米国債保有高が約3年ぶりの高水準となったことを受け、中国を抜き、外国として米国債の最大の保有国となった。日本の米国債保有高は1兆1220億ドルと、5月の1兆1010億ドルから増加し、2016年10月以来の高水準となった。 外国勢として最大の米国債保有国の地位を日本が中国から奪ったのはこれが初めてではなく、データによると、日本は2017年1-5月、中国以上に米国債を保有していた。日本に次ぐ2位となった中国の米国債保有高は1兆1120億ドルとなった。5月は1兆1100億ドルだった。

 

米国の最新経済指標では消費堅調で景気減速感後退

米国経済が近く景気後退入りするとの警戒感が広がる中、注目された最新7月の小売売上高は前月比+0.7%と、5カ月連続の伸びとなった。また、伸びは3月来で最大を記録し、消費が引き続き成長を支援していく可能性が示唆された。国内総生産(GDP)の算出に用いられるコントロールグループ、自動車・建材・給油・食品を除いた小売は前月比+1.0%と、やはり3月来で最大の伸びを記録。 7月にeコマース大手のアマゾンが実施した『アマゾンプライムデー』などの特別要因が大きく影響した可能性はあるものの、失業率や失業保険申請件数がほぼ50年ぶり低水準となる中、強い雇用が米国の消費を押し上げ、第3四半期の成長を引き続きけん引していくと見られる。
アトランタ連銀は第3四半期国内総生産(GDP)の成長見通しを2.16%と、従来の1.95%から引き上げた。4-6月期GDPは+2.1%と、1-3月期の+3.1%から成長ペースが鈍化した。

 

米国市場は8月ミシガン大学消費者信頼感指数を公表

7月実績は98.4だった。また、7月CB消費者信頼感指数は市場予想を大きく上回る135.7に上昇した。8月については、雇用情勢に大きな変化がないものの、貿易問題などを巡る米中関係の悪化などが消費者信頼感の低下につながる可能性があり、7月実績を下回る可能性がある。

 

欧米イベント

○16:00   6月トルコ鉱工業生産
○17:30   4-6月期香港国内総生産(GDP、予想:前期比▲0.3%)
○18:00   6月ユーロ圏貿易収支(季調済、予想:185億ユーロの黒字)
      ユーロ圏貿易収支(季調前)
○21:30   6月対カナダ証券投資
○21:30   7月米住宅着工件数(予想:125.7万件、前月比0.3%)
        建設許可件数(予想:127.0万件、前月比3.1%)
○23:00   8月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:97.2)

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/08/15/15:13:14

日経平均株価:米国株安につれた売り優勢

前日米国株市場でNYダウの下げ幅が2018年10月以降で最大を記録するなど主要3指数が大幅安となったことを受けて、東京株式市場も先物主導でほぼ全面安商状で始まったが、売り一巡後は徐々に戻り歩調となった。米中貿易戦争や英国のEU離脱のほか、地政学的な緊張の高まりにより世界経済が減速しつつある可能性が示唆されたことで、投資家心理が冷え込んだ。ただ、ドル/円相場が105円台後半で推移し、円高に進まなかったことで追撃して売る動きは見られず、下値不安が徐々に後退した。結局、前日比249円安の2万0405円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:ドル/円は105円台後半で底堅い展開

ドル/円は、国内輸入企業などのドル買い・円売りに支えられ、一時106円台を回復する場面があった。しかし、世界経済の景気減速懸念が強まっており、追随する動きは見られなかった。その後は、米長期金利の低下を眺めたドル売りに押され、105.80円付近へ軟化した。しかし、今晩の米経済指標を見極めたいとの雰囲気から下げ渋り105.90円台へ切り返した。午後になると、経済産業省が発表した6月鉱工業生産(季節調整済み)確報値は、前月比▲3.3%と速報値の▲3.6%より上方修正されたが、市場の反応は限定的だった。日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら105.90円を挟んでもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは1.11ドル台半ばで方向感を欠く展開となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

経済対策発表でもアルゼンチンペソ安止まらず

南米アルゼンチンのマクリ大統領は14日、今月11日の大統領選予備選挙での敗北と通貨ペソの急落を受け、減税や最低賃金の引き上げなどの経済対策を発表した。現地からの報道によると、ペソは前日比8%安の1ドル=60.4ペソで取引を終え、下落に歯止めはかからなかった。予備選では市場経済や財政規律を重視する中道右派マクリ氏が、野党の中道左派候補に大差をつけられて2位となり、10月に予定される本選での再選が危うくなったことで市場の懸念が強まった。選挙対策のポピュリスト的政策で市場が納得するかどうかは不透明な状況となっている。

 

英首相交代してもまとまらないEU離脱

英野党・労働党は、可決できると踏めばすぐさまジョンソン政権に対する不信任投票を求める意向だ。欧州連合(EU)からの離脱(ブレグジット)を遅らせるため、コービン党首率いる暫定政権の樹立を模索する。ジョンソン首相は合意あるなしにかかわらず10月31日までにEUから離脱すると主張している。合意なしでの離脱に反対する議員が反発している。 コービン党首はその他の野党指導者や政界重鎮に宛てた書簡の中で、自身が率いる『厳格に期間を限定した暫定政権』がEUからの離脱を10月31日よりも後に延期し、総選挙を実施するとの方針を示した。
労働党は選挙戦で、EU残留の是非に関する選択肢を含め、ブレグジットの条件を巡り2度目の国民投票を実施すると訴えるという。

 

トルコでは犠牲祭明けの本日5月失業率が公表

1、2月は14.7%と2009年以来の水準まで悪化した指標は、その後3月の14.1%、4月は13%と改善傾向となった。5月失業率も市場予想では12.7%と18年11月以来の水準回復が見込まれている。もっとも、このところの弱いトルコ経済指標をみると、素直に雇用指標の持ち直しを期待してよいかは迷うところだ。今回の失業率は、ロシア製ミサイル購入を巡り米国によるトルコ制裁への懸念が高まっていたときだ。イスタンブール市長選を1カ月後に控えて、先行き不透明感も漂っていた。

 

米国債券の逆イールドは景気後退の前兆だが

1978年以降、米国の2年債と10年債の利回りの逆転は5回で、いずれもリセッションの前兆となった。ただ、①景気後退を確実視するためには長期間の逆転維持される必要がある。また、②実際に利回りが逆転してからリセッション入りするまで、平均で22カ月を要する。さらに、③現在の金利水準自体がかなり低水準であるため、過去の例と比較は困難との意見もある。 過去3回の利回り逆転時の水準2000年:6.4% -5.9%、2006年:4.8%-4.6%、2019年:1.6%-1.6%
短長期債の利回り曲線が一時的に景気後退の兆候を示唆したことは、市場が連邦準備制度理事会(FRB)に対して9月連邦公開市場委員会(FOMC)で50ベーシスポイントの利下げのような積極的な対処を求めている証拠となる。

 

米国市場では7月小売売上高が公表

6月実績は前月比+0.4%となった。主要13項目のうち11項目で増加した。7月については、個人消費者が順調であることから、主要13項目における減少を数項目にとどまる可能性があることから、反動減となる可能性は低いと見られる。市場予想の前月比+0.2%は妥当な水準といえる。

 

欧米イベント

○15:30   7月スイス生産者輸入価格(予想:前月比▲0.2%)
○16:00   5月トルコ失業率(予想:12.7%)
○17:00   ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:1.25%で据え置き)
○17:30   7月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比▲0.2%/前年比2.6%)
      英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比▲0.2%/前年比2.3%)
○21:30   8月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:3.0)
○21:30   4-6月期米非農業部門労働生産性・速報値(予想:前期比1.5%)
○21:30   4-6月期米単位労働コスト・速報値(予想:前期比年率2.0%)
○21:30   8月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:10.0)
○21:30   7月米小売売上高(予想:前月比0.3%/自動車を除く前月比0.4%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.4万件/168.5万人)
○22:00   7月ロシア鉱工業生産(予想:前年比3.0%)
○22:15   7月米鉱工業生産指数(予想:前月比0.1%)
       設備稼働率(予想:77.8%)
○23:00   8月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:65)
○23:00   6月米企業在庫(予想:前月比0.1%)
○16日03:00   メキシコ中銀、政策金利発表(予想:8.25%で据え置きと8.00%に引き下げで拮抗)
○16日05:00   6月対米証券投資動向
○インド(独立記念日)、韓国(解放記念日)、ポーランド(聖母被昇天祭)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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