FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2019/08/28/15:10:51

日経平均株価:様子見ムード強く小幅な値動き

朝方は買い優勢となり、高寄りして始まったものの、その後は見送りムードが支配し、前日比小幅高の水準で小動きの展開に終始している。前日の米国市場でNYダウは120ドル値下がりして終了したものの、ドル/円が落ち着いて推移しているなど、方向感を示す材料が不足している。米中協議の進展期待が高まっていたものの、中国外務省が通商問題を巡って中国と米国が最近電話協議をしたという話しは聞いていないと表明したほか、米2年債と米10年債の金利の逆転が一段と進行するなど、外部環境は不安定な状態が続いている。結局、前日比23円高の2万0479円と小幅続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:ドルは105円台後半で底堅い展開

ドル/円は、国内輸入企業などのドル買い・円売りや日経平均株価の上昇に支えられて105.89円までじり高となった。低下していた米長期金利も持ち直したことも、ドル買い戻しにつながった。しかし、米中貿易摩擦が長期化するとの根強い懸念から上値を追う動きは限られ、105.80円を挟んでもみ合いとなった。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数の動向をにらみながら、105.85円前後で取引された。月末に絡む本邦実需筋の売り買いは午前で一巡したこともあり、商いは薄かった。ユーロ/ドルは、1.10ドル台後半で方向感を欠く値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

米産余剰トウモロコシ購入効果

トランプ大統領と安倍首相は25日、仏ビアリッツで開催されたG7サミットに合わせて首脳会談を行った。その場では日米通商交渉の大枠合意がなされたが、加えて日本が米産余剰トウモロコシ(飼料用)を購入することで一致した。購入量は、日本の飼料用トウモロコシ年間輸入の3ヵ月分となる約275万トンの見通しとなる。米中貿易戦争の影響で米産穀物の対中輸出の状況が厳しく、日本が肩代わりする形となった。数百億に達する購入金額は、安倍首相が『民間企業を緊急支援する』と首相会談で表明した。飼料メーカーや商社の購入を補助金で支える予定。なお、追加購入するトウモロコシは遺伝子組換えとされている。そのためか、韓国軍は25-26日の2日間、島根県の竹島周辺で軍事訓練を行った。これに対して米国務省は『最近の日韓対立を考えると、タイミングやメッセージ、そして規模の拡大は、現在起きている問題を解決するのに生産的ではない』と不快感を示した。米政府が、竹島周辺での韓国軍事訓練を批判するのは初めてであり、トウモロコシ援助の高官が早速でた。

 

イタリアの新政権樹立に向け交渉開始

イタリアの新政権樹立に向け、与党の左派『五つ星運動』と野党の中道左派『民主党』が交渉を急いでいる。首相候補などで折り合いが付くかが焦点だ。一方、政局混乱のきっかけとなった与党の極右『同盟』の支持率は急落した。マッタレッラ大統領は27日から各党との連立協議を再開する。調査会社テクネによると、21日時点で五つ星の支持率は20.8%と前回調査(5日時点)の17.5%から上昇。民主党も22.4%から24.6%に伸びた。支持率の上昇は連立政権発足に追い風となる可能性がある。一方、同盟の支持率は38.0%から31.3%に急落した。2018年6月の政権発足以来、サルビーニ党首は公約の反移民政策を実行し、支持率はほぼ一貫して上昇していた。だが9日に内閣不信任案を突然提出し、連立政権崩壊の引き金を引くと風向きが変わった。

 

年末時点の人民元の対米ドル相場予想:BOAメリルリンチリポート

BOAメリルリンチは最新リポートで、年末時点の人民元の対米ドル相場予想値を引き下げ、1米ドル=7.5元とした。今月上旬にも6.63元から7.3元に引き下げたばかりで、3週間で下方修正を2回行ったことになる。香港経済紙『信報』が27日伝えた。また、メリルリンチは米国の関税追加が人民元相場に及ぼす影響を見直し、中国が関税の影響を元安だけで相殺すると仮定すると、現時点の関税発動スケジュール通り12月15日3000億米ドル分の中国製品に15%に関税が課された場合、人民元相場は7.66元まで下げ、元安・ドル高が7%進むとの試算を示した。ただ、中国は為替相場だけで関税を相殺しているわけではなく、米国製品に報復関税をかけているため、人民元相場を下げる必要性がいくぶん小さくなる。

 

前NY連銀総裁がFRBへ利下げ要求を拒否するよう求める

米ニューヨーク連銀前総裁のウィリアム・ダドリー氏は27日、連邦準備理事会(FRB)に対し、トランプ大統領の貿易政策に調子を合わせることをやめ、利下げ要求を拒否するよう求めた。FRB報道官は『FRBの政策決定は、議会に対し負っている物価安定と最大雇用という責務にのみ基づく』とし、『政治的配慮は全く関与しない』と言明、ダドリー氏の主張を退けた。
ダドリー氏はブルームバーグニュースに寄稿した論説で、貿易を巡って『まずい選択』をした米政権を『救済』しないよう、FRBに求めた。
その上で『FRB当局者は選択を迫られている』と強調。『トランプ政権が貿易戦争の激化を招く破滅的な道を歩み続けることを容認するのか、もしくは政権がその道を進むのであれば、リスクを負うのはFRBではなく、大統領であるという明確なシグナルを送るかの選択だ。次回選挙での敗北というリスクも含まれる』と述べた。

 

欧米イベント

○15:00   7月独輸入物価指数(予想:前月比横ばい/前年比▲1.7%)
○15:00   9月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:9.6)
○17:00   7月ユーロ圏マネーサプライM3(予想:前年比4.7%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○23:30   EIA週間在庫統計
○29日01:20   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○29日02:00   米財務省、5年債入札

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/08/27/15:10:45

日経平均株価:米中協議進展期待と円安を好感

米中協議の進展期待の高まりや、外国為替市場でドル/円が円安に振れていることなどを好感して、輸出関連株を中心に幅広く買われた。前日までは、朝方の変動が一巡した後は、動きが止まったものの、この日は買いが一巡した後にじり高の展開となるなど、動きにうねりが出てきたことが注目された。トランプ米大統領が、日本との貿易交渉が基本合意したことを受け、日本車への追加関税を考えていないとの意見を表明したことも注目された。結局、前日比195円高の2万0456円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利低下からやや円買い優勢に

ドル/円は、月末に絡む国内輸出企業のドル売り・円買いや米長期金利の低下を背景に105.60円近辺までじり安となった。香港政府トップのキャリー・ラム行政長官が『デモによる暴力行為には我慢に限界がある』と発言したことこ、デモ拡大による混乱を警戒した買いを誘った。午後は、日経平均株価や米長期金利の動向をにらみながら、105.70円前後でもみ合う展開となった。再開が予定されている米中通商交渉の行方を見極めたいとの雰囲気もあり、積極的な売り買いは目立たなかった。ユーロ/ドルは、1.1100ドル前後で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

米国景気にも陰りが出ていた昨日の米経済指標結果

米商務省が発表した7月耐久財受注速報値は前月比+2.1%となった。伸びは鈍化予想に反して6月+1.8%から拡大。1年ぶり最大となった。一方で、変動の激しい輸送用機を除いた耐久財受注速報値は前月比-0.4%と、6月+0.8%から予想外のマイナスに落ち込み3月来で最低。国内総生産(GDP)の先行指標となる航空機を除く非国防製造業出荷・資本財速報値は前月比-0.7%と、予想外に3月来のマイナスに落ち込み2016年10月以降ほぼ3年ぶりの低水準を記録した。
同時刻に発表された米国の7月シカゴ連銀全米活動指数は-0.36と、やはり予想外に4月来のマイナスに落ち込んだ。

 

輸出依存度が低い米国だから通商協議に強気

輸出依存度・輸出性向とは、一国の経済が輸出に依存する割り合いを示す。名目の国内総生産(GDP)や国民所得などに対する輸出額の比率で表す。 日本は1990年半ばの8%台から2007年には16%近辺まで依存度が高まったが、その後は上昇が一服した。2017年の輸出依存度(輸出額÷名目GDP)は14.3%だった。他国の輸出依存度は、韓国は約37.5%、またスイスなども42.5%と高いが、さらに依存度が強いのは78%超のオランダ。これらと比較すると、日本は貿易立国というよりも内需依存型になっている。主要7カ国首脳会議(G7サミット)が、フランスのビアリッツで開催された。日本以外6カ国の17年・輸出依存度は、ドイツの39%が一番高く、その次にイタリア26%、カナダ25.5%が続く。フランスは20.7%となり、英国が日本と近くて16.7%だった。G7で日本より輸出依存度が低いのは7.9%の米国のみであり、内需依存型といえる。そのため、トランプ大統領が各国への通商協議に強気に出れるのは、輸出依存度がひくいからである。

 

米企業の自社株買い減少で下落時の警戒感高まる

米企業の自社株買いが1年半ぶりの低水準に減速している。法人税改革を受けた自社株買いの勢いが弱まるにつれ、この先市場のボラティリティーが一段と高まる兆しかもしれない。S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズの推計によると、S&P500種構成企業が2019年4-6月期に実施した自社株買いは総額約1660億ドル(約18兆円)と、1-3月期の2058億ドル、前年同期の1906億ドルをともに下回った。これは2017年10-12月期以来の低水準で、2四半期連続の減少となる。米中貿易摩擦の激化で相場のボラティリティーが高まったなかで企業が自社株買いの手を緩めたことに、一部投資家は警戒感を強めている。S&P500種株価指数は5月に7%近く下落したが、自社株買いデータからは、企業が18年10-12月期のように株価の下支えに踏み出さなかったことがうかがえる。これは企業が支出を引き締めている可能性を示す。企業幹部は対中貿易摩擦が長引く中で新たな関税の脅威にさらされているうえ、業績軟化や世界的な成長減速の兆候、連邦準備制度理事会(FRB)の金利政策を巡る不確実性にも直面している。

 

米国市場では消費者信頼感指数が公表

7月実績は135.7だった。堅調な雇用情勢や金利低下期待が指数の上昇に寄与下。8月については、雇用情勢は変わらず良好であることやビジネス環境の改善が期待されていることから、消費者信頼感は相対的に高い水準を伊jいする可能性があるが、7月実績には届かない見込み。

 

欧米イベント

○15:00   4-6月期独国内総生産(GDP)改定値(季節調整済、予想:前期比▲0.1%/前年同期比0.4%)
○15:00   4-6月期独GDP改定値(季節調整前、予想:前年同期比横ばい)
○15:45   8月仏消費者信頼感指数(予想:102)
○15:45   8月仏企業景況感指数(予想:104)
○21:00   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、テンレイロ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○22:00   6月米住宅価格指数(予想:前月比0.2%)
       4-6月期米住宅価格指数(予想:前期比0.2%)
○22:00   6月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比2.4%)
○23:00   8月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:▲2)
○23:00   8月米消費者信頼感指数(予想:129.5)
○28日02:00   米財務省、2年債入札

 

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/08/26/15:18:43

日経平均株価:米中貿易摩擦激化を嫌気した売り後は下げ渋る

週末の米中間の報復関税の応酬でセンチメントが悪化した。NYダウ先物が軟調に推移し、外国為替市場で円高が進行する中、日経平均株価の下げ幅を一時500円超に拡大した。その後、追随売りが出ず、ドル/円相場もやや円安に戻したこともあり、一旦投資家心理も落ち着いた。米中緊張の高まりや米国の実体経済に悪いデータが出た場合には、利下げすることがコンセンサスになったこともやや安心感につながったと見られる。また、日銀のETF(上場投信)買い観測も下支え要因視される。結局、前週末比449円の2万0261円と大幅反落した。

 

東京外国為替市場:仕掛け的な円買い後にショートカバーで買い戻し

ドル/円は、オセアニア時間帯で米中貿易摩擦がエスカレートしていることを背景に、海外投資機筋から仕掛け的なドル売り・円買いが持ち込まれて、一時104.40円近辺まで急落したしかし、東京市場ではこの流れが反転、国内輸入企業などが値ごろ感からドル買い・円売りに動き105円台前半へ切り返した。中国人民銀行が発表した人民元の対ドル基準値が、前営業日より元高に設定されたことも、過度なリスク回避し姿勢を和らげて円売りを誘った。その後も、中国の劉鶴副首相が『冷静な交渉で米中通商の解決を望む』との見解を示すと、短期筋などからショートカバーが入り、105.80円近くは急反発した。しかし、世界景気の先行き不透明感が一段と強まっていることから伸び悩むと、105円台半ばへ下落する荒い値動きとなった。午後は米長期金利の低下を眺めたドル売りに押されて、105.20円付近へ軟化した。しかし、今晩の米国株動向を見極めたいとの雰囲気から下げ渋り、105.25円を挟んだもみ合いになった。ユーロ/ドルは、新規の手掛かり材料に乏しく、1.11ドル台半ばで小幅な値動きに終始した。

 

英議会は例年通り9月に休会入りとなるのか:合意なき離脱の可能性高まる

英議会は夏季休暇明けの9月3日に再開するが、2週間余り議会を開いた後、例年なら秋に各党が党大会を開催するために再び3週間の休会に入る。10月初旬の議会再開から17-18日の欧州首脳会議、月末の離脱期限日まで時間はわずかしかない。最大野党・労働党のコービン党首は、9月議会再開後に内閣不信任案を提出する予定で、不信任案が可決された場合、コービン氏は暫定首相となってEU離脱を延期し、解散総選挙とEU離脱をめぐる2度目の国民投票を行う方針だ。一方、ジョンソン英首相は内閣不信任案が可決されでも確実にEU離脱するように辞任を離脱後に延期するとの報道も出ている。

 

23日のパウエル米FRB議長は追加利下げに踏み切る可能性を示唆

パウエル議長が23日、アメリカ西部ワイオミング州のジャクソンホールで講演を行うのに先立って発言の内容を公表した。この中でパウエル議長は、世界経済の減速や金融市場が荒れもようになるなど状況が変わってきているという認識を示したうえで「景気の拡大を維持するため、適切に行動する」と述べ、追加の利下げに踏み切る可能性を示唆した。パウエル議長は先月、およそ10年半ぶりの利下げに踏み切った後の会見では『長期にわたる利下げの始まりではない』と述べ、追加の利下げには慎重な姿勢を示していた。しかし、トランプ大統領のたび重なる利下げへの圧力に加え米中の貿易摩擦によって景気の先行きへの懸念が高まっていることから、来月の会合で追加の利下げが必要だという判断に傾いているものと見られている。

 

米企業の自社株買いが減速傾向:米国株の下押しリスクが高まる

米企業の自社株買いが1年半ぶりの低水準に減速している。法人税改革を受けた自社株買いの勢いが弱まるにつれ、この先市場のボラティリティーが一段と高まる兆しかもしれない。S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズの推計によると、S&P500種構成企業が2019年4-6月期に実施した自社株買いは総額約1660億ドル(約18兆円)と、1-3月期の2058億ドル、前年同期の1906億ドルをともに下回った。これは2017年10-12月期以来の低水準で、2四半期連続の減少となる。米中貿易摩擦の激化で相場のボラティリティーが高まったなかで企業が自社株買いの手を緩めたことに、一部投資家は警戒感を強めている。S&P500種株価指数は5月に7%近く下落したが、自社株買いデータからは、企業が18年10-12月期のように株価の下支えに踏み出さなかったことがうかがえる。これは企業が支出を引き締めている可能性を示す。企業幹部は対中貿易摩擦が長引く中で新たな関税の脅威にさらされているうえ、業績軟化や世界的な成長減速の兆候、連邦準備制度理事会(FRB)の金利政策を巡る不確実性にも直面している。

 

米国市場では7月耐久財受注が公表

全体の6月実績は前月比+1.9%とやや高い伸びを記録した。民間航空機・部品の受注増によるものだが、航空機を除く非国防資本財(コア資本財)の受注も前月比+1.9%の高い伸びを記録した。7月については、6月に増加した反動や米中貿易摩擦が長引いていることから、、全体とコア資本財の受注額の大幅な増加は期待出来ないとみられる。

 

欧米イベント

○17:00   8月独Ifo企業景況感指数(予想:95.1)
○21:30   7月米耐久財受注額(予想:前月比1.1%/輸送用機器を除く前月比横ばい)
○英国(サマーバンクホリデー)、休場

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/08/23/15:15:34

日経平均株価:様子見ムード強いが円安を好感

寄付きは安く始まったが、押し目買いが入ってプラス転換となった。ドル/円が朝方からやや円安に振れたことや、NYダウ先物がプラス圏で推移したことなどをながめて上値を伸ばした。ただ、パウエル米FRB議長の講演を前に様子見ムードも強く、材料のある個別銘柄が物色された。結局、前日比82円高の2万0710円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利上昇でドルが底堅い展開

ドル/円は、本邦実需筋のドル買い・円売りや日経平均株価の持ち直しに支えられ、106.60円前後へじり高となった。米長期金利が上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。しかし、106.70円前後がレジスタンスとして意識されると、上げは一服した。その後は、週末を控えた利食い売りも散見され、106.55円前後で取引された。中国人民銀行が人民元の対ドル基準値は、1ドル=7.0572元と前日よりも元安に設定されたが、市場の反応は限られた。午後は、株価や米金利動向をにらみながら、106.60円を挟んでもみ合いとなった。市場の関心は今晩ジャクソンホールで予定されているパウエルFRB議長の講演に集中しており、イベントを前に積極的に売り買いは手控えられた。ユーロ/ドルは、ECBが利下げや景気刺激策の導入に前向きな姿勢を見せいていることを背景に、一時1.1061ドル程度まで下落した。

 

材料視されなかったが米中貿易摩擦は後退せず

中国商務省の高峰報道官は22日の記者会見で、米国が9月1日に約1100億ドル(約12兆円)分の中国製品に10%の追加関税をかける方針を示していることに『米国が新たな関税措置を取れば、中国は断固として対抗措置を取る』と述べた。高氏は『一部を延期したが、あらゆる新たな関税措置は貿易摩擦を高め、大阪での米中首脳会談の共通認識に著しく違反し、中国は断固反対する』と表明した。そのうえで『仮に米国が独断専行を続けるなら、中国も相応の対抗措置を取らざるをえない』と強調した。

 

ドイツの景気減速がジョンソン英首相に追い風?

昨日21日、メルケル独首相はジョンソン英首相と会談し、その後に共同記者会見を開いた。そのメルケル首相だが、北アイルランド国境を巡るバックストップ条項を頑なに拒否する英首相に対して、意外と寛容な態度をみせた。超短期ではあるものの、独首相は英国が30日以内に代替案を策定できるとの見方を示した。 ジョンソン首相のもとで英国が『合意なきEU離脱』に突き進んでしまえば、弱含む独経済にも負担が圧し掛かることを懸念しているのだろうか。EUの中核国ドイツの経済減速が独側のブレグジット交渉態度を軟化させ、ジョンソン英首相の追い風となる可能性もある。

 

FRBによる利下げの理由が見当たらず

米労働省が22日発表した最新の週次新規失業保険申請件数は前週比1.2万件減の20.9万件と前回22.1万件から予想以上に減少し4週間ぶりの低水準となった。依然、過去最低水準付近で推移した。失業保険継続受給者数は167.4万人と、前回172.8万人から予想以上に減少。6月初旬来の低水準となっており、米国の労働市場が依然強い新たな証拠となった。
米国の8月製造業PMI速報値が49.9と活動の縮小を示す50割れとなるなど、関税や世界経済の成長減速の影響を受けて米国の製造業や企業投資の鈍化が目出ち始めたが、雇用は強く消費を支え今後も成長をけん引していく可能性がある。失業保険申請件数の予想以上の減少は8月雇用統計をおしあげる可能性もある。9月連邦公開市場委員会(FOMC)での政策決定で鍵を握る雇用統計の8月分が強かった場合、FOMCの利下げ決定を不透明にする。 FRBは物価の安定に加え、雇用の最大化を使命としている。そのため、現米国内の物価が安定しているほか強い雇用を維持していることから、利下げする理由はないと言える。

FOMCのメンバーは利下げに消極的。一方でトランプ大統領や市場は大幅な利下げを要求している。FRBの支援があまり得られないと見た米国債市場で長短金利は15日以降初めて再び逆転した。9月FOMCで追加利下げが見送られた場合、市場はより警戒感を強めリスクオフの動きが加速することになる。

 

欧米イベント

○20:00 ◎ 4-6月期メキシコ国内総生産(GDP)確定値(予想:前期比横ばい/前年同期比▲0.8%)
○21:30 ◎ 6月カナダ小売売上高(予想:前月比▲0.1%/自動車を除く前月比横ばい)
○23:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、ジャクソンホール会議で講演
○23:00   7月米新築住宅販売件数(予想:前月比▲0.2%/64.9万件)
○米カンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)、テーマは「金融政策の挑戦」(ワイオミング州ジャクソンホール、24日まで)
○24日 主要7カ国(G7)首脳会議(G7サミット、仏ビアリッツ、26日まで)

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/08/22/15:17:29

日経平均株価:利益確定売りに上値重い展開

朝方は米国株高を好感して先物主導で上昇し、つれて現物市場も輸出関連株を中心に買い優勢で始まった。しかし、買い一巡後は伸び悩み、商いは引き続き細った。22日からのジャクソンホール会議を前に株価反発で海外短期筋が利益確定売りに傾斜し上値を抑えた。結局、前日比9円高の2万0628円と小幅に反転して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利低下でドルの上値重い展開

ドル/円は、前日のNY時間に米株高で堅調となった流れを引き継ぎ、106.65円まで上昇した。しかし、20日につけた106.69円が上値の目処として意識されると、上げは一服した。その後は、日経平均株価の上げ幅縮小を眺めたドル売り・円買いが入り、106.40円近くへ軟化した。米長期金利が低下したことも、ドルの押し下げにつながった。午後は、株価や金利動向をにらみながら、106.40円台を中心とした狭いレンジで取引された。明日のジャクソンホールで予定されているパウエルべりFRB議長の講演を前に、様子見ムードが強かった。ユーロ/ドルは、1.1085ドル前後で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

欧州市場では8月マークイットユーロ圏製造業PMIが公表

7月実績は46.5だった。ドイツ製造業の業況悪化などによって指数の低下が続いている。8月についてはドイツとフランスの製造業の業況は改善していないことから、製造業PMIの改善は期待できない。

 

イタリア議会では新たな連立かそれとも総選挙か

イタリアのコンテ首相が辞表を提出したことを受け、マッタレッラ大統領は21、22の両日、新たな政権発足に向けた各党との協議を行う。連立交渉がまとまらなければ、議会を解散し総選挙を実施する可能性がある。与党右派『同盟』を率いるサルビーニ副首相は9日、連立を組む新興左派『五つ星運動』との対立激化を理由に内閣不信任案を提出した。早期の総選挙を主張している。一方、支持率が同盟を下回る五つ星は総選挙を回避したい考えだ。これに前与党の中道左派・民主党が同調する動きを見せており、新たな連立の枠組みが生まれるとの見方がある。同盟の議席数は五つ星を下回るものの、最近の支持率は約38%に上昇した。一方、五つ星は約17%で低迷している。総選挙が実施されれば、同盟の躍進は確実だ。

 

7月FOMC議事要旨ではハト派色強まらず

7月の利下げは①成長減速、②リスク管理、③低インフレが理由となったことが明らかにされた。『サイクル半ばの調整』と大半のメンバーが判断した。経済指標も前回会合時に比べ改善が見られると指摘している。世界経済が低迷する中、米国経済には弾力性があり、『成長を持続すること』が最も可能性のあるシナリオだとの見解が示された。FOMCメンバーは、貿易政策の不透明性のリスクは上昇し、貿易の逆風が長期化すると見ている。 議事録では数人のメンバーが金利据え置きを主張した一方で、2名のメンバーが50ベーシスポイントの利下げの必要性を主張した。ハト派で知られるカシュカリ米ミネアポリス連銀総裁以外のメンバーが50ベーシスポイントの利下げを主張したことはサプライズととらえられている。米国債相場では議事録が期待されていたほどハト派色が強まらず、2年債利回りと10年債利回りは15日以降初めて、再び一時逆転した。市場はFRBの積極的な行動を求めている証拠となった。
議事録の内容は、今後のドルの行方を決定するようなカタリストにはならなかった。

 

トランプ大統領のドル高発言に無反応

トランプ米大統領はツイッターで『ドルは米国の歴史上最も高い』とツイートした。このツイートを読み、多くの市場参加者は、ドルインデックスを見ても、ドル/円、ユーロ/ドルなど主要通貨を見ても、何を根拠に歴史上で最も高いのかということが理解できません。市場はトランプ米大統領の度重なる発言に対して、ほぼ動意薄となっている。また、トランプ米大統領の発言はあまりにもクルクルと変わるため、狼少年扱いされている。 しかし、トランプ米大統領は中国との通商交渉や、米国の税金などについては朝令暮改のような言動が多いですが、ドル安を望んでいること、米連邦準備理事会(FRB)に対して不満を持っていることは、常に一貫した姿勢を貫いています。

 

米国市場では8月マークイット製造業PMIが公表

7月実績は50.4で2009年7月以来の低水準になった。8月については、米中貿易摩擦や世界的な需要低迷などの影響が続いていることから7月実績と同水準かわずかな改善に留まる見込み。

 

欧米イベント

○15:30   4-6月期スイス鉱工業生産指数
○16:15   8月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:49.5)
○16:15   8月仏サービス部門PMI速報値(予想:52.5)
○16:30   8月独製造業PMI速報値(予想:43.0)
○16:30   8月独サービス部門PMI速報値(予想:54.0)
○16:30   7月スウェーデン失業率(予想:6.0%)
○17:00   8月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:46.2)
○17:00   8月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:53.0)
○20:30   欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(7月24日-25日分)
○21:30   6月カナダ卸売売上高(予想:前月比0.3%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.6万件/170.0万人)
○22:45   8月米製造業PMI速報値(予想:50.5)
○22:45   8月米サービス部門PMI速報値(予想:52.8)
○22:45   8月米総合PMI速報値
○23:00   7月米景気先行指標総合指数(予想:前月比0.2%)
○23:00   8月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲7.0)
○米財務省2年、5年、7年債入札条件
○英仏首脳会談(パリ)
○米カンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)、テーマは「金融政策の挑戦」(ワイオミング州ジャクソンホール、24日まで)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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