FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2019/06/24/15:13:35

日経平均株価:週末G20 首脳会議控え様子見ムード強く方向感欠く展開

前週末の米国株安や円高警戒などで朝方は売りが先行したものの、小口の手仕舞い売りが中心で下値は堅かった。売りの一巡後は、中国株高やNYダウ先物の上昇が支えとなりプラス圏で浮上した。しかし、週末のG20 首脳会議に合わせて行われる米中首脳会談を控えて様子見姿勢が強く、方向感に欠ける展開となった。結局、前営業日比27円高の2万1285円と小幅反発して終了した。

 

東京外国為替市場:円安が一服し107.40円前後での値動き

ドル/円は千葉南部などで震度4の地震が発生すると、リスク回避の円買いが先行して107.21円まで下落した。しかし、本邦実需筋などのドル買い・円売りや、日経平均株価がマイナス圏からプラス圏へ転じたことに支えられ、107.40円近辺まで値を戻した。午後もこの流れは続き、日経平均株価の底堅い動きをながめ107.46円近辺までじり高が続いた。ユーロ/ドルは、1.13ドル台後半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

6月の日銀短観の予想は3月調査から悪化が見込まれる

日銀は7月1日に6月の全国企業短期経済観測調査(短観)を発表する。最も注目されるのかが大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)で、今回は指数が前回3月調査から悪化するとの予想が多い。民間予想(20社)の中心値は6月21日時点で9となっており、3月調査の12から悪化が見込まれている。大基調・製造業の景況感は2四半期連続で悪化すると見込まれている。海外経済の減速や半導体関連需要の調整が続き、輸出や生産が弱含んでいる。為替の円高で収益環境の悪化への懸念も強い。米中貿易摩擦を通じた中国経済の成長鈍化は、日本から中国向けの輸出を下押ししかねない。先行きも悪化が続くと見込まれている。米国が対中関税『第4弾』を発動する可能性は残り、日米の貿易交渉にも不透明感が強い。製造業を中心に慎重な姿勢が継続される。

 

英国ジョンソン前外相の首相就任が確実視:7月22日が最終投票終了

英保守党党首選はボリス・ジョンソン前外相とジェレミー・ハント現外相が決戦投票に進出する。一般党員に絶大な人気を誇るジョンソン氏の首相就任が確実な情勢となっている。ジョンソン氏はメイ首相の離脱案を修正し、北アイルランドのバックストップ撤廃を要求する見込みとなっている。交渉が本格化するのは秋とみられ、10月末の離脱期限までの審議日程はタイトとなっている。議会は合意なき離脱の阻止に動きとみられる。内閣不信任案が可決され、議会の解散・総選挙を理由に、10月末の期限が再延長されると予想される。ジョンソン首相が誕生で保守党が離脱支持の有権者を取り戻すことに成功すれば、保守党政権継続で強硬離脱に突き進む。労働党が政権を奪取すれば、二度目の国民投票を実施する可能性が高まる。つまり、ジョンソン首相誕生は、合意なき離脱の可能性を高めるだけでなく、EU残留の可能性を高める面もある。

 

週末の米中首脳会談に注目が集まる

28-29日に大阪で開催される20カ国・地域首脳会議(G20 サミット)での米中首脳会談や米中首脳会談や日米首脳会談での通商協議への警戒感が高まっている。トランプ政権は、対中制裁関税第1・2・3弾(約2500億ドル・5%)に続き、対中制裁関税第4弾(約3250億ドル・25%)を公聴会(14-17日)で検証し、大阪サミットに合わせて開催される米中首脳会談の結果を見極めて発動するか否かを決断する。米中通商問題が合意に達した場合は、対中制裁関税第1・2・3弾も取り消されて、米中貿易戦争は収束に向かうことで、ドル買い・円売り要因となる。しかし、決裂した場合は、対中制裁関税第4弾が発動され、中国も米国債の売却やレアアースの対米輸出規制に野離脱ことが予想されることで、米中簿易戦争が激化し、ドル売り・円買い要因となる。ただ、今回の米中首脳会談では亀裂が入った関係修復という程度で、通商問題に関する交渉ではないとの見方もある。

 

ビットコイン1万ドル回復:機関投資家に存在感

代表的な仮想通貨であるビットコインの価格が心理的節目の1万ドルを回復した。2018年3月以来約1年3ヵ月ぶりの高値をつけた。年初来では約3倍になった。米フェイスブックによる仮想通貨による決算インフラ構想など短期的な材料に反応する形で個人マネーが流入していることに加え、機関投資家マネーがファンドを通じて運用資産の一部に仮想通貨を組み入れる動きが活発化している。世界・市場情勢が不透明になる中で、リスク資産から逃げたお金の一部が流れ込んでいる。

 

欧米イベント

○17:00 ◎ 6月独Ifo企業景況感指数(予想:97.2)

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/06/21/15:15:56

日経平均株価:中東情勢の地政学リスクの高まりを嫌気

朝方は米国株高の流れを引き継ぐ形で2万1500円付近まで上昇したが、追加の買い材料がなく伸び悩んだ。その後、米紙NYタイムズ(電子版)が20日トランプ大統領がイランへの軍事攻撃を一時承認していたと報じてNYダウ先物が下落し日経平均先物にも売りが出た。一方、ドル/円は米FRBの早期利下げ観測が強まり米長期金利が再び2%に迫りお昼頃に107.02円近辺へと円高が進んだ後ことで、下げ幅が拡大した。結局、前日比204円安の2万1258円と3日ぶりに反落して終了した。

 

東京外国為替市場:中東の地政学リスク警戒からドル売り

ドル/円は、米長期金利が再び2.0%を割り込んだことや、中東の地政学リスク警戒した持ち高調整などのドル売り・円買いが入り、107.02円近辺へ軟化した。日経平均株価のさえない動きも、円買いを誘った。しかし、心理的節目の107.00円が視界に入ると、下げは一服した。午後は、淺川財務官が『ファンダメンタルズから離れた急激な為替の動きは認められない』『マーケットを凝視している』などと発言すると、ショートカバーが入り、107.25円付近まで値を戻した。ユーロ/ドルはFRBの早期利下げ観測を背景としたドル売りが一巡すると、1.1295ドル前後で小動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

欧州市場では6月マークイットユーロ圏製造業PMIが公表

5月実績は47.7で速報値から改定はなかった。3月の水準をやや上回ったものの、50割れの状態が続いている。6月については、生産や新規受注の回復が不十分であることから、5月実績と同水準となる可能性がある。

 

米国とイランの地政学リスク高まる

イランの精鋭部隊『イスラム革命防衛隊』は20日、米国のドローンが撃墜されたことについて、米国への『明らかなメッセージ』だとし、米国の侵略には力強く対応すると表明した。国営テレビが報じた。同隊のホセイン・サラミ司令官は『米国のドローンの撃墜は、米国への明らかなメッセージだ。イランの国境は越えられない一線であり、我々はいかなる侵略にも力強く対応する』と表明した。 『イランはどの国とも戦争を望んでいないが、イランを防衛する準備は完全に整っている』と述べた。

NYタイムズ紙は、『トランプ米大統領がイラン攻撃を承認した数時間後に撤回した』と報じている。

 

トランプ大統領のパウエル米FRB議長への言葉の圧力

トランプ米大統領は20日、今週の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で連邦準備制度理事会(FRB)が利下げを決定することを望んでいたと発言した。一方で、FRB当局者が今後の会合で利下げする準備ができているように見えることで勇気づけられたとも述べた。トランプ氏は、FRBの見通しとパウエルFRB議長の声明が早ければ7月の利下げを視野に入れていることに言及し、記者団に『もっと早く実施するべきだった。すべて思い通りというわけにはいかない』などと語った。

 

市場は早くも7月の日米金融政策会合への憶測

日銀の次回7月政策決定会合での追加緩和思惑としては、ステルス・テーパリングの中止やYCC(イールドカーブ・コントロール)の追加緩和等が観測されている。
市場では米FRBの次回7月FOMCの利下げは通例の0.25%でなく0.50%の大幅利下げもありうるとの見方が浮上している。しかも、米FRBが3月に2017年秋から始めた保有資産縮小(テーパリング)を今秋9月末で止める方針を言明していたが、ここに来て7月の利下げと共にテーパリング前倒し中止の可能性が浮上している。
確かに、米景気減速が顕在化し年内3回利下げ説が台頭している中で資産縮小の「量的引き締め」は筋が通らない。『第4弾』発動による米中貿易戦争の激化は、月末の米中首脳会談が実現することで延期となろうが、『逆イールド』という債券市場が発するリセッション気配を軽視すると『too late』に陥りかねない。
すでに、中国人民銀行も年内2回の利下げが観測され、FRBにECBの追随利下げに日銀が先行すれば、世界4大中銀の再緩和に『金融相場』が蘇生し、株高『資産効果』が戦後最長のアベノミクス景気拡大が支援される。

 

米アップルとトランプ政権間のディール

米アップルは、トランプ米政権が計画する対中追加関税に反対する意向を示した。導入されれば、同社の米経済への貢献が低下し、世界市場における同社の競争力が損なわれると主張した。同社の見解が20日、政府のウェブサイトに掲載された。
トランプ政権は先月、中国への制裁関税の第4弾として、携帯電話など約3000億ドル分の製品に最大25%の関税を課す計画を表明した。トランプ氏は習主席との会談が不調に終われば実施するとしている。同社が政府に提出した文書には、アップルが米財務省に納める法人税額は米企業最大であることのほか、同社が昨年公表した今後5年間で米経済に3500億ドル超の直接的貢献を行う計画も記されている。

 

欧米イベント

○16:15   6月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:50.7)
○16:15   6月仏サービス部門PMI速報値(予想:51.5)
○16:30   6月独製造業PMI速報値(予想:44.5)
○16:30   6月独サービス部門PMI速報値(予想:55.4)
○17:00   6月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:48.0)
○17:00   6月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:52.9)
○17:30   5月香港CPI(予想:前年同月比2.8%)
○21:30   4月カナダ小売売上高(予想:前月比0.2%/自動車を除く前月比0.3%)
○21:30   テンレイロ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○22:45   6月米製造業PMI速報値(予想:50.4)
○22:45   6月米サービス部門PMI速報値(予想:51.0)
○22:45   6月米総合PMI速報値
○23:00   5月米中古住宅販売件数(予想:前月比1.2%/年率換算525万件)
○22日01:00   ブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事、メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○22日01:00   ノボトニー・オーストリア中銀総裁、講演
○22日04:00   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○スウェーデン(夏至祭)、休場
○23日 トルコ・イスタンブール市長選再実施

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/06/20/15:22:06

日経平均株価:FOMCの結果を好感した買い優勢

米FOMCが年内の利下げを示唆した。米国株が上昇した流れを引き継ぎ、日本株も買いが先行した。外国為替市場でドル/円は一時107円半ばまで下落し、1月4日以来のドル安・円高を付けたものの、日本株はプラス圏は維持した。また、日銀が20日まで開いていた政策決定会合で大規模緩和の現状維持を決めたが、事前予想に沿った結果であり持ち高を一方向に傾ける動きが限られた。結局、前日比128円高の2万1462円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:米FRBの早期利下げ観測から全般ドル売り

ドル/円は、前日の米FOMCで、早期利下げの可能性が示唆されたことを背景に、ドル売りが優勢となった流れを引き継いだ。米長期金利が節目の2.00%を割り込むと、108円台前半から継続的にストップロスのドル売り・円買いが入り一時107円台半ばまで急落した。下げが一服すると107.80円近辺まで値を切り返した。昼前に、日銀金融政策決定会合の結果、短期の政策金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度に誘導する金融緩和の現状維持を賛成多数で決定した。欧米中銀は緩和に前向きな姿勢を示しているが、市場の一部で期待されていた金融政策の先行き方針(フォワードガイダンス)を延長しなかった。これを受けて、持ち高調整などのドル売り・円買いに押され、107.60円付近までじり安となった。午後は、日経平均株価や米長期金利の動向をにらみながら、107.60円台を中心とした狭いレンジで取引された。

ユーロ/ドルは、FRBが早ければ7月にも利下げに踏み切るとの思惑から、ユーロ買い・ドル売りが優勢となり、1.12ドル台後半の高値圏で推移した。

 

日銀政策決定会合では新味に欠ける結果

日本銀行は20日に開いた金融政策決定会合で、長短金利操作付き量的・質的緩和の枠組みを維持する方針を7対2の賛成多数で決定した。片岡審議委員と原田審議委員が反対票を投じた。長期金利が0%程度で推移するよう国債買い入れを行い、ある程度の金利変動を許容する方針と、-0.1%の短期金利を維持する。指数連動型上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(J-REIT)の買い入れ方針も変わらず。政策金利のフォワードガイダンスも据え置いた。

 

欧州市場では英国中央銀行MPCが金融政策発表

英中央銀行のブロードベント副総裁は6月11日に『英国の欧州連合(EU)離脱が円滑に進み、経済が予想通りに成長すれば、英国の金利は市場の予想よりもやや速いペースで上昇する必要がある』との考えを示した。将来的な利上げの可能性はやや高いものの、英国は合意なきEU離脱に向かう可能性は残されており、金融政策の運営は難しい局面を迎えることになる。

 

ドラギECB総裁の置き土産

ドラギ総裁は毎年恒例のシントラでの政策フォーラムで、追加緩和の必要性と近い将来の検討開始を強く示唆した。これを受け、次回7月の理事会でフォワード・ガイダンスを修正し、9月の理事会で追加緩和を決定すると予想する。 追加緩和のメニューは、預金ファシリティ金利の10bps引き下げが有力視される。金利階層化論者のビルロワドガロ仏中銀総裁がドラギ氏の後継総裁に内定していれば、同時にマイナス金利による副作用の軽減措置が導入される可能性が高まる。 一方で、タカ派のバイトマン独連銀総裁がドラギ氏の後継総裁に内定している場合、ドラギ総裁は自らの任期中に資産買い入れの再開を決定し、後継総裁のタカ派傾斜に待ったを掛けようと考える可能性もある。後継総裁人事の行方が、追加緩和メニューにも影響する可能性がある。

 

FOMC結果を受けて7月の利下げ観測強まる

米連邦準備制度理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)で市場の予想通り政策金利据え置きを決定した。声明は前回から大きく修正された。次の行動に『辛抱強くなる』との文言が削除されたことから、早くて7月の利下げ観測が強まった。そのほか、見通しの不透明性が上昇したと指摘されたことや、成長を持続させるために行動することを強調したことが利下げ観測につながった。
さらに、ブラード・セントルイス連銀総裁が据え置き決定に反対票を投じ、0.25%の利下げを主張。パウエル議長が率いるFOMCとして初めての反対票となった。パウエル議長は反対票に関して、『健全だ』との見方を示している。会合後の会見では、パウエル議長は多くのメンバーが利下げの論拠が強まったと主張したことを明らかにした。

『経済金利見通し』のドットチャートでは、2019年末の中央値は現状水準で据え置いた。2020年末は1回の利下げ。2021年は1回の利上げ。そして長期的見通しでは2.50%と前回3月の2.75%から下方修正となった。一番重要だった2019年末の予想では、1回の利下げを1人、2回の利下げを7人が予測している。逆に、据え置きを8人、1回の利上げを1人が予想していることが分かった。要するに、タカ派とハト派が両極端に偏ってい状況となっている。市場が織込んでいる2回から3回の利下げが実現する可能性は、今後のデータや国際情勢などにかかっている。

 

欧米イベント

○15:30   黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
○15:30   レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○16:30   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○17:00   ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:1.25%に引き上げ)
○17:30   5月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比▲0.5%/前年比2.7%)
      英小売売上高指数(自動車燃料除く、予想:前月比▲0.4%/前年比2.5%)
○20:00   英中銀金融政策委員会(MPC)2日目、終了後政策金利発表(予想:0.75%で据え置き、資産買取プログラムは4350億ポンドで維持)
○20:00   MPC議事要旨
○21:30   1-3月期米経常収支(予想:1246億ドルの赤字)
○21:30   6月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:11.0)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.0万件/168.8万人)
○22:00   5月ロシア失業率(予想:4.6%)
○23:00   5月米景気先行指標総合指数(予想:前月比0.1%)
○23:00   6月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲6.5)
○21日01:00   カーニー英中銀(BOE)総裁、講演
○英保守党党首選、第4回及び第5回投票
○米財務省2年、5年、7年債入札条件
○欧州連合(EU)首脳会議(ブリュッセル、21日まで)
○ポーランド、ブラジル(キリスト聖体祭)、休場

 

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/06/19/15:11:25

日経平均株価:米中通商協議進行期待から買い優勢

トランプ米大統領が今月末のG20首脳会議に合わせて中国の習近平国家主席と会談すると述べ、米中通商協議への期待が高まった。朝方から幅広い銘柄に買いが先行した。中国株の堅調推移も支援材料となり上げ幅を広げた。結局、前日比361円高の2万1333円と大幅反発して終了した。

 

東京外国為替市場:FOMC結果発表を前に利食い売りに押される

ドル/円は、来週予定されている米中首脳会談に対する期待や日経平均株価の大幅高を背景に、108.61円前後まで上昇した。しかし、前日の海外市場でつけた高値108.67円が視野入りすると、上げは一服した。その後は、FOMC結果発表を前に、利食い売りなどに押されて108.45付近まで下落した。午後に、一部メディアが『トランプ大統領は、ロシアのミサイルシステム導入を進めるトルコに対して、新たな制裁を検討している』と報じると、持ち高調整などのドル売り・円買いが入り108.33円近辺まで下落した。さらに『ロケット弾がイラクに着弾した』と伝わり、中東の地政学リスクを警戒した円買いも散見された。ユーロ/ドルは、欧州の景気減速懸念からユーロ売りが優勢となり、1.11ドル台後半の安値圏で推移した。

 

日銀の追加緩和は難しくなる可能性も

トランプ米大統領は本日のドラギECB総裁がハト派よりの発言をしたことに対して、『欧州は上昇している(米国には不公平だ)』とツイートしている。 短いツイートのため米大統領の真意を理解するのは難しいが、ドラギ総裁の発言で米金利も低下し、米株式先物指数も上昇した。米大統領にとっては株価の上昇よりも、金利低下による通貨安が米国にとって貿易で不利になることを気にかけていると思われる。 このような状況で米国にベッタリの日本が、更なる量的緩和拡大を行うのは難しくなるかもしれない。

 

トルコリラ相場の動揺リスクに注意

足下のトルコ・リラ相場は米トランプ政権との関係の行方が左右する展開が続いている。一方でインフレ続きにも拘らず、中銀は『ハト派』姿勢を示すなど政策の不透明感も高まっている。こうしたなか、14日に米ムーディーズ社は格付を1ノッチ引き下げた上で追加格下げの可能性を残す判断を示した。 これに対してトルコ財務省は反発する声明を発表するも、いささか的外れの感は否めない。また、昨夏の『トルコ・ショック』に関連する米通信社の記事に関連して同社記者などが告訴され、検察当局は起訴を決定するなど言論弾圧も辞さない姿勢もみせている。 さらに、中銀は17日付で事実上の『ステルス緩和』を発表した。現状は反応薄の展開が続くが、イスタンブール市長選などの行方如何では政策が一段と不可解なものとなり、リラ相場が動揺するリスクに注意が必要となる。

 

第2回英保守党党首選の結果

1)ボリス・ジョンソン前外相 (126票)
2)ジェレミー・ハント外相   (46)
3)マイケル・ゴーヴ環境相   (41)
4)ローリー・スチュワート国際開発相(37)
5)サジド・ジャヴィド内相   (33)
※以下は落選
6)ドミニク・ラーブ前EU離脱相 (30)保守党議員の10%に当たる33票に届かず

※6月19日第3回投票予定

 

米国市場では連邦公開市場委員会(FOMC)会合結果公表

前回会合後に公表された声明では『世界経済と金融、インフレの動向を考慮してFF金利の将来的な調整については忍耐強くなる』との見解が表明された。直近のインフレ率はやや鈍化しているが、今回のFOMC会合でも政策金利の据え置きが決定される見込みとなっている。FOMC経済予想では2020年以降の金利見通しが注目される。また、FOMC声明文では、『辛抱強い』との文言が削除されか注目点となる。CME FedWatch Toolの6月19日終了時では、0.25%利下げが20.8%、据え置きが79.2%となっている。

 

あまり知られていないFRBの裏金融緩和

FOMCでは今回の会合では利下げを見送るものの、9月末としてきた保有資産の縮小を最速で6月末にも終えることを決めるとの見方も浮上してきた。FOMCに対する大方の市場予想は、政策金利を据え置いたうえで、今後の利下げに含みを持たせるというものである。そのため、試算縮小の計画変更となればポジティブサプライズで、各市場の反応も大きくなる可能性がある。

米中貿易摩擦の激化が米景気に影を落とす中、パウエル米FRB議長やFRBメンバーが繰り返すのは、『成長持続のために適切な行動をとる』との主張をしている。セントルイス連銀のブラード総裁のように『利下げが適切』と明言するメンバーもいるが、メンバーの多くは具体的な政策手段には踏み込んでいない。そのため、資産縮小の計画変更も適切な行動であるかもしれない。

 

欧米イベント

○15:00   5月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比0.2%)
○15:36   衛藤公洋日銀理事、あいさつ
○16:30   5月スウェーデン失業率(予想:6.5%)
○17:00   5月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.3%/前年比4.4%)
○17:00   4月ユーロ圏経常収支(季節調整済/季節調整前)
○17:30   5月英CPI(予想:前月比0.3%/前年比2.0%)
      CPIコア指数(予想:前年比1.7%)
       小売物価指数(RPI、予想:前月比0.2%/前年比2.9%)
○17:30   5月英PPI(食品とエネルギーを除くコア指数、予想:前年比2.0%)
○17:30   ユンケル欧州委員長、講演
○18:00   4月ユーロ圏建設支出
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:30   5月カナダCPI(予想:前月比0.2%/前年比2.1%)
○23:00   ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁、ECBフォーラムで閉会のあいさつ
○23:30   EIA週間在庫統計
○20日03:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表(予想:2.25-2.50%で据え置き)
○20日03:00   FOMC、経済・金利見通し発表
○20日03:30   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
○20日06:00   ブラジル中銀、政策金利発表(予想:6.50%で据え置き)
○英保守党党首選、第3回投票
○英中銀金融政策委員会(MPC、20日まで)

 

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2019/06/18/15:15:33

日経平均株価:リスク回避ムードが強まり下げ幅拡大

米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に積極的な売買が手控えられ、朝方は小安くスタートした。国内に手掛かり材料がなく、狭いレンジでもみ合っていたが、前場中頃にトランプ大統領が『米移民税関捜査局が来週にも不法移民の送還開始』とツイッター投稿しリスク回避ムードが強まり下げ幅を広げた。また、円相場が1ドル=108円台前半まで強含むと先物主導でやや下げ幅が拡大した。結局、前日比151円安の2万972円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:豪ドル安を契機にドル/円も円高進行

ドル/円は、米長期金利の低下やハト派色の濃い豪準備銀行理事会議要旨を背景に、持ち高調整などのドル売り・円買いが入り108.35円前後まで下落した。トランプ米大統領が『米移民関税捜査局が、来週にも不法移民の送還を開始する』とツイッターに投稿したことも、リスク回避の円買いにつながった。午後のこの流れは続き、日経平均株価の下げ幅拡大をながめて、さらにドル売り・円買いが進み108.22円値を下げた。しかし、14日に付けた108.16円が下値目処として意識されると、下げは一服した。その後は、米FOMCを控えて、ドルを買い戻す動きみ見られ、108.30円を挟んでもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、1.1235ドル前後で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

トルコとEUの関係悪化も

明日ルクセンブルグで開催されるEU一般問題理事会の声明草案が伝わった。その中で欧米諸国の反対にもかかわらず、トルコが継続している東地中海での資源開発への非難声明が含まれている。EUトルコの関税同盟に向けた話し合いの凍結も示唆された。掘削作業が行われている場所はEU加盟国のキプロス共和国が排他的経済水域としている場所。しかしながら、トルコは自国や北キプロスに住むトルコ系住民の権利を主張し、開発を続けている。

 

日銀が消費税増税のために緩和強化も

日銀は19-20日、金融政策決定会合を開催する。日本経済は貿易摩擦や世界減速の影響が深刻化しているほか、米FRBの利下げ観測によってドル安・円高の圧力が強まっている。しかも安倍政権は10月からの消費税増税を逡巡しているが、日本国債の大量買い占めを続ける日銀にとり、消費増税による国債と財政の信認維持は重要となる。その意味で景気悪化と円高・デフレ阻止のほか、政府による消費増税の実施をアシストするため、日銀が緩和強化の地ならしに動く可能性は無視できない。

 

FOMCで次回7月会合での利下げを探る

FRBは今週18日から19日にかけて連邦公開市場委員会(FOMC)を開催する。FOMCの最新予測に比べて現行の金融政策が引き締め気味であるため、一部では利下げが必要とする見方もある。しかし、大半は今会合での利下げは不可能との見方で、政策金利の据え置きを予想している。ただ、声明では『辛抱強い』との表現を削除し、7月の利下げに備える可能性が指摘されている。今会合では、声明に加えて議長会見やスタッフ予測で、利下げの可能性を探る。インフレの低迷に加えて、世界経済の弱さ、貿易の不透明性、関税が景気に影響を与えることを鑑み、市場は7月、9月、12月での利下げを予想している。 米6月NY連銀製造業景気指数は2016年10月来のマイナスと、トランプ政権下で最低を記録した。また、5月の雇用も7.5万人の伸びにとどまった。4-6月期の国内総生産(GDP)は2.1%増と、伸びは1-3月期の3.1%増から鈍化が予想されている。

 

対中国への第4弾制裁関税は大統領再選のマイナス材料にも

米議会では中国製品に対する第4弾の制裁関税について、17日から25日まで公聴会が開催される。公聴会には、米国の小売り業者やメーカーの代表などが出席する予定となっている。公聴会終了後には7日間にわたる反論意見の募集期間が設けられており、第4弾の関税は来月2日まで発動できない。
公聴会で経済界から収益打撃や、消費者への悪影響が強調されると、野党・民主党やメディア、世論などから関税不満が高まる可能性がある。ただでさえ最新の米雇用統計は貿易摩擦影響などで減速しており、来秋のトランプ大統領の再選にはマイナス材料となる。経済界のトランプ氏離れもまた、選挙資金の面で再選には逆風となる可能性もある。引き続きトランプ氏は再選対策として、製造業の労働者や反中国の保守派層を意識した対中強硬姿勢を堅持する一方、貿易交渉では米国経済の「返り血打撃」を抑制させる部分合意の可能性は無視できない。すでにトランプ氏は14日、中国との通商合意は『いずれかの時点で得られる』ため、今月末の大阪G20首脳会議(サミット)に中国の習近平国家主席が『出席してもしなくても構わない』と発言している。

 

欧米市場のポイント

○16:00   4月トルコ鉱工業生産(予想:前月比0.1%)
○17:00   ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○18:00   4月ユーロ圏貿易収支(季調済、予想:170億ユーロの黒字)
      ユーロ圏貿易収支(季調前)
○18:00   5月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比1.2%)
○18:00   5月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比0.8%)
○18:00   6月独ZEW景況感指数(予想:▲5.8)
○18:00   6月ユーロ圏ZEW景況感指数
○21:30   4月カナダ製造業出荷(予想:前月比0.4%)
○21:30   5月米住宅着工件数(予想:124.0万件、前月比0.4%)
        建設許可件数(予想:129.3万件、前月比0.2%)
○23:00   カーニー英中銀(BOE)総裁、講演
○英保守党党首選、第2回投票
○米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
○18-19日   1-3月期ロシア国内総生産(GDP)改定値(予想:前年比0.5%)
○18-19日   5月ロシア鉱工業生産(予想:前年比1.6%)

 

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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