FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2020/05/11/15:17:49

日経平均株価は緊急事態宣言の解除期待から買い優勢

米雇用統計の悪化にも米経済活動の再開期待から前週末のNYダウ455ドル高の大幅続伸や新型コロナウイルス感染者数の伸び鈍化に特定警戒都道府県以外の多くで近く緊急事態宣言の解除を期待した買いが優勢となった。ただ、追加の売買材料が乏しい中、短期筋の買いが一巡すると個人投資家の利益確定売りが上値を抑えた。結局、前営業日比211円高の2万0390円と3日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:107円台のワンタッチで上値の重い展開

ドル/円は、国内輸入企業などのドル買い・円売りや日経平均株価の続伸に支えられ、107.01円付近へじり高となった。米長期金利が小幅上昇したことも、ドル買いを誘った。しかし、4日に付けた107.06円付近が上値の目処として意識されると、上げは一服した。その後は、週末にホワイトハウス内で新型コロナウイルスの感染者が確認されたことから、ドル売りも見られ106.80円台へ押し戻された。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、106.90円台を中心に取引された。本邦実需筋の売り買いは午前中で一巡したこともあり、閑散相場となった。ユーロ/ドルは、1.08ドル台半ばで小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

先行き未曾有の余剰マネーがリスク資産へ溢れ出る余地

国内のカネ余りでいえば、当面は名目GDP実額の急減が『実体経済見合いでの資金供給量のダブつき』を増幅させていく。かたや日銀マネタリーベースは、最新4月の月中平均が518.92兆円となってきた。昨年10-12月時点で『(マネタリーベース)-(名目GDP)』の格差は過去最少の▲6.8兆円へと迫っていたが、今後は双方の一段の格差接近や場合によってはマネタリーベースの逆転凌駕も想定される。こうした国内での未曽有の余剰マネーの蓄積退蔵については、コロナ打撃の最悪期通過や来年にかけての内外景気の反動回復に向けて、内外リスク資産へ溢れ出る余地が注視される。なお、リーマン・ショック直後の2009年1-3月に日本の名目GDPは、486.3兆円へと急減した。当時の日銀マネタリーベース残高(月間平均)は、94.5兆円にとどまっている。震災直後の2011年4-6月にも名目GDPは484.7兆円へ急減したが、マネタリーベースは113.5兆円とGDP比4分の1に抑制されていた。現在のマネタリーベースは良くも悪くもながら、名目GDPと肩を並べる518兆円超となっている。

 

3月半ばの国債市場の異常な変動はミンスキー・モーメント

国際決済銀行(BIS)の調査によれば、3月半ばの国債市場の異常な変動はレバレッジを使いごく僅かな利回り格差から利益を上げる投資家の国債投げ売りが原因だった。
この種のロング・ショート戦略は1998年に破綻したヘッジファンド「ロングターム・キャピタル(LTCM)の取引と酷似、ボラティリティー上昇や市場流動性低下に脆弱である。つまり、甚大な損失を招きかねず、投資家は追加証拠金を要求され、借入金返済で資産を投げ売りせざるを得なくなる「ミンスキー・モーメント」そのものである。

ミンスキー・モーメントとは、信用循環または景気循環において、投資家が投機によって生じた債務スパイラルによりキャッシュフロー問題を抱えるポイントである。このポイントにおいて、どのカウンターパーティ(金融取引参加者)も事前につけられた高い提示額に対して値をつけることができず、大きな株の投げ売りが始まる。その結果、市場決済資産価格の突然かつ急激な崩壊、市場流動性における急激な落ち込みが発生する。

 

トルコリラ売り一服もトレンド転換は時期尚早

トルコ金融当局による為替介入は継続しているが、リラは対ドルで売られ史上最安値(ドル最高値)を記録した。先週発表されたトルコ中銀の4月30日時点での外貨準備高(グロス、ただし金保有高は除く)は約515億ドルと、前週比2.3%減、前年同時期と比べると3割弱も減少している。一部アナリストは今後数カ月で外貨準備高が枯渇する可能性も指摘しており、他中銀との通貨スワップラインの設定や拡大を急ぐ必要がある。アルバイラク・トルコ財務相は、20カ国・地域(G20)の主要中銀との通貨スワップ協定に向けた交渉が進んでいると投資家との会談で述べたが、米国からはその可能性を否定する発言も聞かれた。 また、アルバイラク財務相は、20年トルコ経済成長がプラスになるとの見解も示した。国際通貨基金(IMF)や世界銀行、大手格付け会社がトルコのマイナス成長を予測しており、この財務相の見通しはあまりにも楽観的過ぎると言える。先週半ばにかけて強まっていたリラ売りは週末にかけて一服したものの、トルコを取り巻くネガティブ材料は多く、トレンド転換はまだ早いかもしれない。

 

南アランドは買い戻されても上値は限定的

南アフリカ国税庁は『新型コロナウイルスの影響で150億ランドの歳入が不足している』と、前回の130億ランドからさらに歳入不足額が増加したことを発表した。また、モガジャネ南ア財務長官がラジオでのインタビューで『南アの失業率は40%に達するだろう』『税収は2000億ランド不足するだろう』と、新型コロナウイルスの影響が南アフリカ経済に与える影響を予測している。どれをとってもランドを買う材料がないことで、原油先物価格などの動きで一時的にランドが買い戻される局面があっても、上値は限られ可能性が高い。また、週末の新型コロナウィルスの感染者数の増加も懸念材料として残る。 

 

米国では雇用削減の第2波に警戒

4月の雇用統計は失業率が大恐慌以降で最高となったほか、非農業部門雇用者数も過去最大の落ち込みとなった。最悪期は脱したとの見方もあるが、雇用削減の第2波に警戒される。小売りのJクルーに続き百貨店のニーマンマーカスが破綻申請。今週は小売りのJCぺニーが破綻申請すると報じられておりかなりの雇用が削減されることになる。加えて、企業の収益率が悪く、一時解雇(レイオフ)から恒久的な解雇になる可能性も十分にある。Airbnb は全従業員の25%、ウーバーが14%、ユナイテッドは30%の雇用削減計画を発表している。

 

欧米イベント

○15:00   4月ノルウェーCPI(予想:前月比0.1%/前年比0.4%)
○16:00   2月トルコ失業率
○19:45   メルシュ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○12日02:00   米財務省、3年債入札
○ロシア(戦勝記念日の振替休日)、休場

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/05/08/15:12:40

日経平均株価:米中対立への警戒感の後退を好感した買い優勢

欧米の経済活動再開を好感したNYダウ211ドル高の反発した。また、中国の劉鶴副首相とライトハイザー米通商代表部代表、ムニューシン米財務長官が電話会談したことが伝わると、米中対立への警戒感が後退して買いが優勢となりSQ(特別清算指数)絡みの売買もあり上げ幅を広げた。結局、前営業日比504円高の2万179円と3営業日ぶりに2万円に乗せて終了した。

 

東京外国為替市場:リスク選好の円売りも上値の重い展開

ドル/円は、日経平均株価の大幅続伸を眺めたドル買い・円売りが先行し、106.46円付近まで上昇した。しかし、今晩発表される4月米雇用統計は、歴史的な悪い数字が予想されていることから、上げは一服した。その後は、週末を控えた持ち高調整などのドル売り・円買いが入り、106.30円前後でもみ合う展開となった。午後は、本邦実需筋などがドル買い・円売りに動き、106.40円付近へじり高となった。日経平均株価の上げ幅拡大もリスク選好の円売りを誘った。ユーロ/ドルは、1.0840ドル台を中心とした狭いもみ合い相場となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

 

3月はFX取引が過去最大に急増

新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化した3月に、外国為替証拠金取引(FX)の取引金額が過去最大の1015兆円に達したことが7日、分かった。有事に強いドルを巡り市場が混乱し、円相場が巻き込まれた。今後も新型コロナ流行の長期化などに警戒が強まれば、再び相場の乱高下や取引膨張といった局面が生じる可能性がある。金融先物取引業協会の集計では、3月の取引金額が2月の403兆円から急増し、これまで最大だった2015年1月の660兆円を大きく上回った。円とドルの取引で全体の7割を占めた。

 

新型コロナ感染症を巡る中国政府を提訴する動きが広がる

新型コロナ感染症を巡り、中国政府の初動対応の遅れが世界的な感染拡大を招いたとして賠償を求める声が、米国や英国、インドやトルコなど各地で上がっている。中国当局は『反中世論』を形成しようとする動きだとして警戒している。米ミズーリ州は4月21日、中国当局が武漢市での感染症発生情報を隠したとして、中国政府などを相手に提訴した。英保守系シンクタンクは、中国がWHOへ十分な情報を提供しなかったことは『国際保健規則』に反しており、国際社会は中国に対して法的措置を講じるべきだとの報告書を公表した。G7への損害額は最低4兆ドル(約430兆円)になると試算した。

 

米経済が完全回復するまでに1年以上かかるが半数以上:世論調査

英フィナンシャル・タイムズ(FT)と米ピーター・G・ピーターソン財団は4月23~27日、11月の米大統領選に関する世論調査を実施した。新型コロナウイルスの影響から米経済が完全回復するまでに「1年以上かかる」との回答が56%にのぼった。家計が新型コロナとの長期戦に備え、消費を手控える姿勢が強まっていることも浮き彫りになった。米国では州ごとに外出制限を段階的に緩める動きがあるが、新型コロナ前の状況には遠い。大統領選の勝敗を決めるとされる11の激戦州に限ると米経済の完全回復まで1年以上かかるとの回答は61%。全米平均を5ポイント上回った。再選を目指すトランプ大統領は経済活動の早期再開を各州に促し、経済の立て直しを急ぐ。

 

米FRBはマイナス金利導入を否定するも市場は織り込み始める

米国債相場は来週の入札規模が予想を上回り供給増の思惑に下落していたが、悲惨な雇用関連指標を受け米国経済の悪化懸念から米連邦準備制度理事会(FRB)が当面ゼロ金利や大規模な資産購入を続けるとの見方から米国債の購入が強まった。米国の金利先物市場ではFRBが2021年の初旬にも政策金利であるFF金利誘導目標をマイナスまで引き下げることを織り込み始めた。特に、2年債や5年債利回りは過去最低水準となりドル売り圧力となっている。 ただ、米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーは、マイナス金利が『今のところ選択肢にはない』との方針を繰り返している。パウエル議長も過去のインタビューですでに『米国でのマイナス金利導入は考えていない』と常に答えている。FRBはマイナス金利よりも、追加緩和手段として、イールドカーブコントロールやフォワードガイダンスといった手段がより効率的と考えている。

 

米国市場では4月雇用統計が公表

4月雇用統計では失業率が16%と過去最高水準まで上昇、非農業部門雇用者数も前月比▲2125万人と過去最大の減少となると警戒されている。雇用統計ともっとも相関関係が強いとされる民間部門の雇用者数を示すADP雇用統計の4月分は2023.6万人減と、減少幅は過去最大を記録したことも雇用統計での雇用悪化を示唆している。さらに、雇用統計の先行指標となる週次新規失業保険申請件数も過去7週間で3300万人超に達した。失業保険継続受給者数は2264.7万人と予想1980万人を上回り過去最高を記録した。

 

欧米市場イベント

○15:00   3月独貿易収支(予想:188億ユーロの黒字)
○15:00   3月独経常収支(予想:207億ユーロの黒字)
○20:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○21:00   4月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前月比▲0.20%)
○21:15   4月カナダ住宅着工件数(予想:11.00万件)
○21:30   3月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比▲20.0%)
○21:30   4月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化▲400.00万人/失業率18.0%)
○21:30   4月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化▲2200.0万人/失業率16.0%/平均時給、前月比0.4%/前年比3.3%)
○23:00   3月米卸売在庫(予想:前月比▲1.0%)
○23:00   3月米卸売売上高(予想:前月比▲3.0%)
○英国(アーリーメイバンクホリデー)、フランス(戦勝記念日)、休場
○10日 ポーランド大統領選

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/05/07/15:22:14

日経平均株価:中国の景気の回復期待から買い優勢

大型連休の間の冷えこく株が弱かったことを受けて売りが先行した。寄り付きは150円近い下落となったが、19500円を割り込んだことで値ごろ感が出た上に、ハイテク株やマザーズなどグロース関連に強い動きが見られたことから、早々に下げ渋った。その後は、欧米の経済活動再開や昼頃に発表された中国4月ドル建て輸出額が前年+3.5%と予想-18.8%を上回り中国景気の回復期待に海外短期筋などの先物買いが断続的に入った一方で、企業業績の不透明感から機関投資家の売買が低調で上値が重い展開となった。結局、前営業日比55円高の1万9674円で終了した。

 

東京外国為替市場:日経平均株価の持ち直しからドル買い戻しも

ドル/円は、大型連休明けとなる国内輸入企業などのドル買い・円売りに支えられ、106.30円近辺へじり高となった。しかし、新型コロナウイルスの発生源を巡る米中の対立が警戒されていることから、伸び悩み、106.20円付近へ下落した。午後は本邦実需筋などがドル買い・円売りに動き、106.32円付近まで上昇した。日経平均株価がマイナス圏からプラス圏へ転じたことも、円売りを誘った。ユーロ/ドルは、1.0795ドル前後で方向感に欠ける値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

欧州自動車大手5社の1-3月期決算

欧州自動車大手5社の20年1~3月期決算が6日出そろった。新型コロナ感染拡大が各社の業績を直撃した。世界的に実施されている外出制限によって、販売台数や純利益が大幅に減るなどの影響が出た。ドイツ勢の純利益をみると、ダイムラーは前年同期比96%減の9400万ユーロ(約108億円)にとどまった。フォルクスワーゲンも86%減の4億500万ユーロ。BMWも減益となったが、下落率は1.2%にとどまった。

 

プーチン露大統領の支持率が過去最低

ロシアの独立系世論調査機関レバダ・センターは、4月の調査でプーチン大統領の支持率が59%だったと発表した。2000年5月の大統領就任後でもっとも低い水準となった。政権の新型コロナウイルス対策への不満を反映しているとみられる。

 

冬を迎える南米諸国で感染者拡大懸念:大気汚染ひどい地域で致死率上昇

南半球でこれから冬を迎える南米諸国は、気温の低下だけではなく薪ストーブによる大気汚染によって、新型コロナウイルス感染症の犠牲者が一段と増えると懸念されている。
チリでは人々が自宅待機を求められる中で寒さが訪れようとしており、冬場の大気汚染の一大要因である薪ストーブ利用が急増する見通しとなる。 さらに米ハーバード大学がこの4月に公表した研究論文によると、有害な微粒子による大気汚染のひどい地域では新型コロナ感染症による致死率が高くなる。 ドイツのハレ・ビッテンベルク・マルティン・ルター大学が同月公表した論文では、フランス、スペイン、ドイツ、イタリアの新型コロナ死者の78%は、自動車や火力発電所が排出する窒素酸化物による大気汚染が最も深刻な5地域に集中していた。

 

米国市場では8日に4月雇用統計公表:過去最大の雇用の落ち込み警戒

先行指標の中で、米労働省が発表する雇用統計と最も相関性が強いとされる民間部門の雇用者数を示すADP雇用統計の4月分は2023.6万人減と、減少幅は過去最大を記録したことも雇用統計での雇用悪化を示唆している。貿易関税などの影響で新型ウイルス前から低調だった製造業の雇用も一段と悪化した。全米の製造業活動動向を示すISM製造業景況指数の雇用は27.5と、9カ月連続で50割れで縮小し、1949年6月来で最低を記録した。
週次失業保険申請件数は過去6週間で3000万人に達しており、2008年の金融危機以降創出された雇用はすべて喪失した。加えて、収益の大幅悪化で、数多くの企業は今後の雇用削減計画を発表している。民泊仲介のairbnbは全従業員の25 %、配車サービスのウーバーも14%、航空大手ユナイテッド航空は30%削減を発表しており、経済活動が再開したとしても労働市場が危機前の水準に回復することはほぼ不可能と見られる。

■市場予想失業率:16%(3月4.4%)非農業部門雇用者数:前月比-2125万人(3月-70.1万人)民間部門雇用者数:前月比-2152万人(3月-71.3万人)平均時給:予想:前月比+0.4%、前年比+3.3%(3月+0.4%、+3.1%)

 

欧米イベント

○15:00   3月独鉱工業生産(予想:前月比▲7.5%/前年同月比▲8.9%)
○15:00   英中銀金融政策委員会(MPC)2日目、終了後政策金利発表(予想:0.10%で据え置き、資産買取プログラムは6450億ポンドで維持)
○15:00   MPC議事要旨
○15:00   英中銀イングランド銀行、四半期ごとの物価報告(インフレリポート)
○15:45   3月仏鉱工業生産指数(予想:前月比▲12.4%)
○15:45   3月仏貿易収支
○15:45   3月仏経常収支
○17:00   ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:0.25%で据え置き)
○18:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、ブリーフィング
○20:00   4月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲1.02%)
○20:30   4月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:30   1-3月期米非農業部門労働生産性・速報値(予想:前期比▲5.5%)
○21:30   1-3月期米単位労働コスト・速報値(予想:前期比4.0%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:300.0万件/1990.5万人)
○21:30   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○22:00   4月ロシア消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.8%)
○23:00   4月カナダIvey購買部協会景気指数(予想:25.0)
○8日01:00   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○8日04:00   3月米消費者信用残高(予想:150億ドル)
○8日05:00   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/05/01/15:16:17

日経平均株価:トランプ米政権が中国への報復措置を検討との報道を嫌気

前日の米指標悪化にNYダウ288ドル安の反落を受けて改めて新型コロナウイルス感染拡大による急速な景気悪化懸念が意識されて売りが優勢となった。欧米株安を嫌気して寄り付きから2万円を割り込んだ。いったん2万円まで戻したものの、売り直されると下げ幅を拡大した。米国でアマゾンやアップルが時間外で下落したことも警戒材料となっており、下値模索が続いた。また、トランプ米政権が、新型コロナウイルスを巡り、中国への報復措置を検討しているとの報道も嫌気され下げ幅を拡大した。結局、前営業日比574円安の1万9619円と大幅反落して終了した。

 

東京外国為替市場:米中関係悪化からリスク回避の円買い

ドル/円は、国内輸入企業のドル買い・円売りや原油高に支えられ、107.41円まで値を上げた。しかし、前日のNY市場でつけた107.50円が上値の目途として意識され、上げは一服した。その後は、日経平均株価の大幅安を嫌気したドル売り・円買いに押され、107.10円付近へじり安となった。トランプ米大統領が30日に『武漢の研究所が新型コロナウイルスの発生源になった可能性を確信しており、対中報復関税も検討している』と発言したことも、リスク回避の円買いにつながった。午後のこの流れは続き、日経平均株価の下げ幅拡大や米長期金利低下を眺めたドル売り・円買いが優勢となり、107.02円付近まで下落した。ユーロ/ドルは、多くのアジア市場が休場で、海外勢の流動性が著しく低下していることもあり、1.09ドル台半ばで方向感に欠ける値動きとなった。

 

ラガルドECB総裁も来年までの経済の正常化は困難との見方

欧州中央銀行(ECB)は定例理事会で市場の予想通り政策金利を据え置いた。 同時に、パンデミック対処で資金供給を拡大した。銀行向け新たなパンデミック・リファイナンスオペを発表した。条件付き長期リファイナンスオペ第3弾(TLTRO3)の条件をいっそう緩和した。金利を預金ファシリティレートの‐0.5%からさらに50ベーシスポイント引き下げ、実質-1%とした。拡大が予想されていたパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の規模は7500億ユーロに据え置きとなった。 ただ、ラガルドECB総裁は一時的で的を絞ったPEPPを必要とあれば2020年以降も延長、または、規模の拡大や期間延長などで修正する準備があるとしたためユーロ売りが一時強まった。パウエルFRB議長と同じく、ラガルドECB総裁も少なくとも来年まで経済の正常化は困難との悲観的見方を示した。

 

トルコの景気低迷が深刻化・長期化する懸念

昨日発表された3月にトルコを訪れた外国人観光客数は、前年比67.8%減と大きく落ち込んだ。1-3月期の観光収入も前年同期比で11%超減少しており、トルコの重要な外貨獲得手段が失われつつある。3月トルコ貿易赤字も53.9億ドルと18年7月以来の赤字幅を記録した。 トルコと経済的結びつきが強いユーロ圏の1-3月期GDP速報値は前期比3.8%減とさえなく、くわえてラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁は今年の成長率が最大で12%減まで低下する可能性を示唆した。新型コロナウイルス感染拡大の影響でトルコの景気低迷が深刻化・長期化する懸念が拭えないなか、通貨リラを積極的に買い上げる地合いにはなりにくい。

 

新型コロナウイルスによる経済活動の制限が緩和方向へ

新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため世界各国でとられてきた外出や経済活動を制限する措置について、新たな感染者数の減少を受けて制限の緩和に踏み切る国が相次いでいる。ヨーロッパでは感染者が増加するペースがゆるやかになっているとして、経済活動の再開が段階的に始まっている。このうち、ヨーロッパ最大の経済大国、ドイツでは先月20日から一部の店舗の営業が再開され、2万人を超える人たちが死亡したフランスやスペインでも、今月から段階的に商店や学校を再開させる方針。また、感染拡大の早い段階で外出制限に踏み切ったニュージーランドでも、先月28日から飲食店の営業などが再開された。東南アジアではタイが今月末まで非常事態宣言を延長する一方、各地で休業措置がとられている店舗について、3日から一部の営業再開を認めるとしている。

 

V字回復に繋がらないと米財政赤字の一段の悪化懸念

IMF見通しによれば、20年の米財政赤字はGDP比15.4%と、日本の7.1%やユーロ圏の7.5%を大幅に上回り、債務残高のGDP比131%は第2次世界大戦直後の1946年(119%)を超える。米FRBの無制限QE(量的緩和)に米10年債利回りは0.6%台に抑制され、2兆ドルの利払い費は年120億ドルと19年度(3750億ドル)の3%強にとどまる。だが、巨額の財政支出をコロナ『危機収束』と経済『V字回復』に繋げなければ財政赤字の一段の悪化が懸念される。

 

新債券王のジェフリー・ガンドラック氏の警告:株価は再び安値を試す可能性

債券ファンド『ダブルラインキャピタル』率いる『新債券王』の異名を取る著名投資家ジェフリー・ガンドラック氏は27日CNBCに出演、経済再開に歓喜する投資家に対し、『急激な失業増大などこれから起こる社会不安を分かっていない』と警告し『(株価は)再び安値を試す可能性が高い』との相場観を示した。確かに、感染拡大は最悪期を脱し、3月23日に付けた1番底を割り込むとの見方は後退しているが、トランプ政権で米大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を務めたケビン・ハセット氏は26日、米ABCテレビのインタビューで『米経済はかなり深刻な状況にあり、失業率は大恐慌以来、見たことない水準に達するだろう』と憂慮の念を示した。米FRBの保有資産は過去2ヵ月間で58.6%拡大して6.5兆ドルと前人未踏の域へ膨らみ、3月27日に成立した約2.2兆ドルの景気刺激策に加え、トランプ大統領は4月24日に4840億ドルの追加策に署名、『戦時下の大統領』としてウイルス戦争に果敢に挑む。だが、新型コロナ収束や景気回復を期待した足元の米国株の上昇は未だ危うさを孕んでいる。

 

米国市場では4月ISM製造業景況指数が公表

米4月ISM製造業景況指数は37.5と、3月の49.1から大きく落ち込む見通し。新型コロナウイルスの蔓延による製造業への悪影響が示され、先行きへの懸念から安全通貨のドルに買いが入りやすい。

 

欧米市場イベント

○15:00   4月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比▲0.3%)
○17:30   4月英製造業PMI改定値(予想:32.8)
○17:30   3月英消費者信用残高(予想:7億ポンド)
○17:30   3月英マネーサプライM4
○22:45   4月米製造業PMI改定値(予想:36.7)
○23:00   4月米ISM製造業景気指数(予想:36.0)
○23:00   3月米建設支出(予想:前月比▲3.5%)
○スイス、フランス、ドイツ、ノルウェー、スウェーデン、ポーランド、ロシア、トルコ、南アフリカ、ブラジル、メキシコ(レーバーデー)、休場

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2020/04/30/15:13:22

日経平均株価:短期筋による先物主導の買いが上昇をけん引

コロナ治療薬への期待の高まりなどから米国株が強く買われた流れを受けて、寄り付きから300円を超える上昇。早々に上げ幅を500円超に広げた。買い一巡後は動意が限られ、高値圏でのもみ合いが続いた。中国の4月財新製造業PMIが弱めで、11時前にはやや値を消す場面もあったが、ネガティブな反応は一時的ですぐに盛り返した。リスクを取りやすくなった短期筋による先物主導の買いが上昇をけん引した。結局、前日比422円高の2万0193円と終値としては3月6日以来、約2カ月ぶりに2万円台を回復した。

 

東京外国為替市場:ドルの上値が重くじり安の展開

ドル/円は、国内輸入企業のドル買い・円売りや日経平均株価の大幅高に支えられ106.88円付近まで上昇した。しかし、このところ低調な米経済指標が相次いでいることからドルの上値は重く、利食い売りなどに106.60円台へ押し戻された。午後に入ると、国内輸出企業などから月末に絡むドル売り・円買いフローが持ち込まれ、106.45円付近まで下落した。米長期金利が小幅に低下したことも、ドル売りにつながった。ユーロ/ドルは、海外時間に予定されている1-3月期ユーロ圏国内総生産(GDP)速報値やECB理事会を見極めたいとのムードが広がり、1.0860ドル台を中心とした狭いレンジで取引された。

 

世界の金需要1%増:宝飾向けが減少する一方で投資需要が高まった

金の国際調査機関、ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が30日に発表した1-3月の世界の金需要は1083.8トンと、前年同期を1%上回った。新型コロナウイルスの感染拡大を背景にした景気不安から、上場投資信託(ETF)など投資向けの需要が大きく増えた。金相場の高騰で宝飾向けは減った。分野別では、投資向けが539.6トンと前年同期と比べて239.1トン(80%)増えた。景気の先行き不安から安全資産とされる金の投資需要が高まった。世界の金ETFが価値の裏付けとして保有する金現物の残高は、3月末で過去最高の3185トンとなった。一方、金相場の上昇による買い控えで、宝飾向けの需要は減った。1-3月は325.8トンと前年同期比207.6トン(39%)少なかった。新型コロナウイルス対策として広がったロックダウンも主要な重要国である中国とインドの買いを鈍らせた。

 

欧州市場では1-3月期ユーロ圏域内総生産速報値が公表

欧州委員会が3月13日に公表した予測によると、新型コロナウイルスの世界的大流行によって、2020年の欧州連合(EU)の成長率は2.5ポイント押し下げられる見込み。1-3月期時点では感染被害の影響は限定的であるものの、ユーロ圏経済は当初の予想以上に縮小する可能性がある。

 

トルコが中国に擦り寄るなど中東の新たな火種に

トルコでは、感染対策を巡る政治対立を受けて有効策が打ち出せず、感染者数(累計)は11万人超と新興国で最大となっている。 エルドアン大統領は感染の一層の拡大が懸念されたラマダンについて、休日の外出規制強化に動く姿勢をみせている。今後はラマダン明けの収束が現実化出来るか否かに注目が集まる。他方、国際金融市場では一時のパニックは収束したが、経済のファンダメンタルズの脆弱さに加え、中銀による過度な金融緩和実施も重なり通貨リラ相場は弱含む展開が続く。 結果、資金流出に伴う外貨準備の減少が続き、今月17日時点の外貨準備高(ネット値)は259億ドルに留まり、足下ではゼロ近傍となっている可能性もある。 世界的に内向き姿勢が広がる一方、エルドアン政権はIMFへの支援要請を拒否するなか、今後は中国が支援に動くことも予想される。原油安で混乱が続く中東に新たな火種が生まれることも懸念される。

 

米国の過去最長の成長期が終了して景気後退入り

米商務省が発表した米国の1-3月期国内総生産(GDP)速報値は前期比年率-4.8%と、2008年10-12月期以降で最大のマイナス成長に落ち込んだ。過去最長となった成長期が終了し、景気後退入りが示唆された。同期個人消費速報値は前期比年率-7.6%と10-12月期+1.8%からマイナスに落ち込み予想-3.6%も下回り1980年4-6月期以降40年ぶり最大のマイナスを記録した。4-6月期GDPはマイナス30%、40%と、歴史上最大に落ち込むと警戒されている。

 

FOMCでは当面ゼロ金利維持:長期の景気停滞回避目指す

米連邦準備制度理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)でゼロ金利政策、『必要な金額の国債やMBS(住宅ローン担保証券)購入』する無制限の国債購入策の据え置きを全会一致で決定した。 パウエルFRB議長は追加支援が必要になる可能性が強いとし、最も懸念しているのは長期的に経済が損なわれることだとし、抑制していくことを目指すとした。現状では債務の拡大を懸念する時期ではなく、まず経済を軌道に戻すことが最優先課題との見解を示した。パウエルFRB議長やFOMCは見通しに異例な不透明感があると、かなり慎重だった。治療薬やワクチンで不透明感が強く、経済活動が回復したとしても消費が元通りになる可能性は少ないとパウエルFRB議長は指摘。成長が回復しても危機前の状況に戻るとは見ていない。ただ、経済活動の再開が始まっているほか、新型ウイルスの治療薬の治験でその有効性にかなり期待が広がっており、治療薬やワクチンの速やかな開発成功で消費動向が改善した場合は、警戒されているほど成長が落ち込まない可能性は残る。

 

 

欧米市場イベント

○14:30   1-3月期仏国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比▲4.0%)
○15:00   3月独小売売上高指数(予想:前月比▲8.0%/前年比▲4.8%)
○15:00   3月南アフリカマネーサプライM3(予想:前年比7.50%)
○15:30   3月スイス小売売上高
○15:45   4月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比▲0.2%/前年比0.2%)
○15:45   3月仏卸売物価指数(PPI)
○15:45   3月仏消費支出(予想:前月比▲5.8%)
○16:00   4月スイスKOF景気先行指数(予想:63.5)
○16:00   3月トルコ貿易収支(予想:54億ドルの赤字)
○16:55   4月独雇用統計(予想:失業率5.2%/失業者数変化7万4500人)
○18:00   3月ユーロ圏失業率(予想:7.8%)
○18:00   1-3月期ユーロ圏GDP速報値(予想:前期比▲3.8%/前年比▲3.4%)
○18:00   4月ユーロ圏HICP速報値(予想:前年比0.1%)
○18:00   4月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比0.7%)
○19:00   外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○20:00   1-3月期メキシコGDP速報値(予想:前期比▲1.5%/前年比▲2.0%)
○20:45   欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:0.00%に据え置き)
○21:00   4月ノルウェー失業率
○21:00   3月南アフリカ貿易収支(予想:95億ランドの黒字)
21:30   ラガルドECB総裁、定例記者会見
○21:30   2月カナダGDP(予想:前月比0.1%/前年比2.2%)
○21:30   3月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比▲2.0%)
○21:30   3月カナダ原料価格指数
○21:30   3月米個人消費支出(PCE、予想:前月比▲5.0%)
       3月米個人所得(予想:前月比▲1.5%)
       3月米PCEデフレーター(予想:前年比1.3%)
       3月米PCEコアデフレーター(予想:前月比▲0.1%/前年比1.6%)
○21:30   1-3月期米雇用コスト指数(予想:前期比0.6%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:350.0万件/1597.6万人)
○22:45   4月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:37.7)

 

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