FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2020/04/14/15:16:46

日経平均株価:中国景気の過度な懸念が後退して買い優勢に

前日の米国株式市場でのハイテク株高や、新型コロナウイルスに伴う世界的な経済停滞が早期に収まるとの期待を背景に買いが先行した。また、中国税関総署が発表した3月の中国貿易統計ではドル建ての輸出が前年同月から減少したものの、減少率は市場予想よりも小幅にとどまった。中国景気に対する過度な懸念が後退したとの受け止めが広がったことで、今晩の欧米株の上昇を見込んだ海外短期勢による先物買いが継続した。結局、前日比595円高の1万9638円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:円買い先行後は株高からドル買い戻し

ドル/円は、新型コロナウイルスの影響で、米企業の業績悪化するとの警戒感からドル売り・円買いが先行し107.54円付近まで下落した。しかし、前日のNY市場で付けた安値107.51円が意識され下げは一服した。その後は本邦実需勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の反発に支えられ、107.65付近へ値を持ち直した。3月中国貿易統計が、まずますの結果となったことも円売り材料となった。午後もこの流れは続き、日経平均株価の大幅高を眺めてさらにドル買い・円売りが進み107.75円付近までじり高となった。ただ、今晩予定されている米主要企業の決算や国債通貨基金(IMF)の世界経済見通しを前に、上値を追う動きは限られ、107.70円を挟んでもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、イースター休暇明けとなる欧州勢街の様相となっており、1.0940ドル前後で方向感を欠く展開となった。

 

本邦1~3月期のGDP速報値では悪化実態をつかめない可能性も

2020年1~3月期の国内総生産(GDP)からその影響が数字に表れ始めるとみられるものの、注意が必要なのが5月発表のGDP速報値ではサービス行が大きく悪化する実態がつかめない可能性がある。GDPを計算する際の基礎統計のなかで、新型コロナウイルスが直撃するサービス業の統計が速報段階で間に合わない。そのため、1~3月期の速報値では景気悪化度合いを過小評価する可能性が高い。内閣府が5月18日に発表するGDP速報値では、新型コロナによる景気落ち込みの実態が把握できず、6月8日公表のGDP改定値まで待たなければならない。

 

中国の3月ドル建て輸出と輸入は予想より減少率は小さい

中国税関総署が発表した中国の2020年3月の貿易統計で、米ドル建ての輸出は前年同月比6.6%減だった。減少率は1~2月の17.2%(速報値)から縮小し、ダウ・ジョーンズ通信が集計した市場予想(15.9%減)より小さかった。輸入は同0.9%減で、幻想率は1~2月の4.0%(速報値)から縮小した。市場予想は10.0%減だった。貿易収支は199億ドルの黒字となった。1~2月は71億ドルの赤字で、市場予想は210億ドルの黒字だった。

 

金ETFに大規模な資金流入が続く

13日の米国市場で金を投資対象とするSPDRゴールド・シェアーズに8億3782万ドルの流入となり、1月17日(9億6593万ドル)以来、3カ月ぶりの抱き規模流入となった。過去1カ月で41億ドル超の資金流入となり、3月末以降は大規模な流入基調が強まっていた。この日の米国市場でGLDは続伸し、1.71%高の161.14ドルで終了した。一時162.38ドルまで上昇して2013年2月以来、7年2カ月ぶりの高値水準をかいふくした。米FRBの大規模な金融緩和策を受け、フローを伴いながら実物資産の金が買われる流れが強まっている。

 

マスクの次は食糧不足懸念も

国際連合食糧農業機関(FAO)は3月下旬、食糧サプライチェーン(供給網)の寸断が4月~5月に具現化する可能性があると警鐘を鳴らした。世界で3番目に大きなコメ輸出国であるベトナムは3月25日、コメの新規輸出契約の締結を一時的に禁止した。コメ先物価格は3月初旬以来12%上昇し、現在1年前と比較して約40%高となっている。小麦先物も急騰している。ロシアやウクライナ、カザフスタンも新たな輸出制限を発表または検討している。

 

米ミネアポリス連銀カシュカリ総裁は悲観的な見解を示す

米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は週末のメディアインタビューで新型ウイルスパンデミックに起因する経済活動停止からの回復は効果がある治療法やワクチンが開発されるなどの奇跡が起こらない限り、『長く、困難』な道のりになると悲観的な見解を示した。『速やかなV字型回復は楽観的過ぎる』と警鐘を鳴らした。カシュカリ総裁は、政府や地方自治体が外出自粛を解除し、経済活動が再開したとしても、ワクチンが開発されない限り、消費者の信頼感が回復せず、国民は引き続き外出や旅行、消費を控える可能性があると警告している。 実際、金融機関のエコノミストも当初は大半がV字型回復を予想していたが、ここにきて、L字型回復、U字型回復といった長期にわたり鈍い回復を警戒し始めている。 

 

米国株式市場では決算発表の本格化で上下に振れやすい

米国株市場では、14日前後から決算発表が本格化していく。コロナ打撃で大幅な悪化が警戒され、決算発表の前段階から米国の株安とリスク回避の円高圧力が強まるリスクをはらむ。同時に米国ではコロナ対策での企業支援策や金融機関サポート策と引き換えに、自社株買いや配当の自粛が要請されている。株主還元策についても失望となるようなら、リスク回避の流れが後押しされる。ただし、米国企業の決算発表については、当座の壊滅的な悪化を織り込む形で米国株は2月後半から3月後半にかけて急落してきた。一定の下振れに対する市場覚悟や備えも整いつつある。そのため決算発表では初期反応こそ米株安・円高に振れても、二次反応としては『一旦の悪材料の出尽くし』や『年後半にかけての業績リバウンド修復期待』などにより、米株高とリスク選好の円安に振れる上下動が注視される。

 

欧米イベント

○21:30   3月米輸入物価指数(予想:前月比▲3.2%)
○15日00:05   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○15日01:30   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○15日04:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○国際通貨基金(IMF)・世界銀行春季会合(ビデオ会議、16日まで)
○先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議(ビデオ会議)
○IMF世界経済見通し発表

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/04/13/15:12:49

日経平均株価:日銀のETF買い入れないとの観測から失望売り

先週末の米国株が休場で、売り買いの手掛かりに乏しい中、朝方にNYダウ先物が大きく下げたことから売りが先行した。開始早々に下げ幅を250円近くまで広げた。想定外の弱さとなったことから、押し目を拾う動きも限られ、売りが一巡した後も200円近く下げた水準で模様眺めの様相が強まった。しかし、市場の予想に反して日銀のETF買い入れがなかったとの観測が引き続き売りを促した。ただ、心理的な節目の1万9000円に近付くと押し目買いも入った。結局、前週末比455円安の1万9043円と大幅反落して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク回避から円買いが強まり108円割れ

ドル/円は、NYダウ先物や日経平均株価の下落を眺めたドル売り・円買いに押され、108.00円付近まで下落した。OPECプラスが最終合意した原油の減産規模が、日量1000万バレルから970万バレルに引き下げられ、物足りないと受け止められたことも、リスク回避の円買いにつながった。午後もこの流れが続き、日経平均株価の大幅安でさらにドル売り・円買いが進み107.86円付近まで下落した。ただ、今秋予定されている米経済指標や主要企業の決算内容を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、107.90円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、イースターマンデーで海外勢の流動性が低下しているため、1.09ドル台前半で小幅な値動きに終始した。

 

中韓は先行して経済活動の再開観測

中国と韓国はコロナの感染と経済打撃が先行して深刻化する一方、先行して封鎖経済などを強化させてきたこともあり、先行して感染者の減少と経済活動の再開が観測されつつある。中韓経済と関係の深い周辺アジア経済にも、一定のプラス効果をもたらしつつある。
しかも3月以降には米国、欧州、中国などの大学による初期研究として、『高い気温と高い湿度が新型コロナウイルスの感染率の低さに関係している』という分析も見られている。まだ確証には至っていないものの、これから季節的に東南アジアや南アジアなどでは気温と湿度の上昇が見込まれ、湿度上昇地域からの感染者減少の可能性も注視されやすい。

 

OPECプラスで減産決まるも過剰供給が継続となり失望

WTI原油価格は時間外取引で買い先行後に反落。メキシコ側の反対により週末までもつれ込んだOPECプラスと20カ国・地域(G20)エネルギー相は結局970万バレルで合意したことで時間外では一時24.74ドルまで急速に値を上げた。ただ、減産内容としては、サプライズはなく織り込み済だったことですぐに戻り売りに押された。新型コロナウイルスによる需要減3000-3500万バレルなどから過剰供給が続くことになる。サウジアラビアが日量250万バレル、米国が30万バレル、削除を拒否していたメキシコが10万バレル削除することとなった。米国の石油掘削装置(リグ)稼働数は3月14日直近最多の683基から4月10日には504基と179基の減少となっている。

 

新型コロナウイルス感染者拡大でトルコリラの下押し圧力は強い

トルコでは12日までで新型コロナ感染者が累計で5万7000人に迫り、感染による死者数も1198人に達した。10日夜にはトルコ政府がイスタンブールや首都アンカラなどの主要都市を週末2日間のみロックダウン(首都封鎖)することを発表した。突然の知らせだったため市民がパニック的にスーパーに押し寄せた様子が報じられた。混乱の責任を取るためにソイル内相が辞任の意向を表明しましたが、エルドアン大統領は辞任を認めていない。 経済活動を停止させたくないエルドアン大統領は、本日13日からにはロックダウンを解除する見込みであり、中途半端な対策では今後も感染拡大を止めることは難しい。感染の影響はトルコにとって外貨獲得手段で重要な観光セクターへの大きなダメージとなる。先週は、外貨準備金の減少が止まらないトルコ中銀がFRBと通貨スワップラインの設定を協議したと報じられた。ただし、担保となり得る米国債の所有をトルコ中銀が減らしているということもあり、スワップ規模は限定されるのではないかという意見もでている。また、IMFはトルコを支援するための融資に関して前向きであるものの、エルドアン大統領は自らの政策に制限がかかることを嫌がり、かたくなに融資対して否定的である。

 

FRBのバランスシート規模増大でドル供給過剰懸念も

米FRBのバランスシートは、先週4月8日時点で6.13兆ドルに拡大しており、パウエルFRB議長のヘリコプタークレジットと呼ばれる流動性供給により4.5兆ドルが加わることで、10兆ドルのバランスシートが視野に入っており、ドル流動性不足懸念が払拭され、ドル供給過剰懸念が高まりつつある。 一方でドル買い・円売り要因としては、日本政府の緊急事態宣言・緊急経済対策(事業規模108.2兆円)や年金(GPIF)の外債投資拡大(最大31%)による約340億ドルの投資余力、などが挙げられる。

 

 

今週の米新規失業保険申請件数に市場は注目

今週(4月12-18日)は、米国4月の雇用統計の調査対象週(12日を含む週)なので、米国での新型コロナウイルスの感染拡大状況や工場の操業停止に伴うレイオフ関連の報道に要注目となる。米国の新規失業保険申請件数は、3月21日週が330.7万件、3月28日週が686.7万件、4月4日週が660.6万件と3週間で1678万件となっている。今月末までの失業者数は、2000万人程度まで増加するとの見方があるが、イエレン第15代FRB議長は、現状の失業率が12-13%まで上昇していると述べており、労働力人口を1億6000万人とすると失業者数は2000万人程度となる。トランプ米大統領が外出自粛要請を4月末まで延長していることで、サービス業関連でのレイオフが増加する警戒感が高まっている。

 

欧米イベント

○16:00   2月トルコ経常収支(予想:9.9億ドルの赤字)
○16:00   2月トルコ鉱工業生産(予想:前月比1.7%)
○ドイツ、スイス、フランス、英国、スウェーデン、ノルウェー、ポーランド(以上、イースターマンデー)、南アフリカ(ファミリーデー)、休場

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/04/10/15:15:45

日経平均株価:日銀のETF買い思惑から買い戻し優勢に

米FRBの資金供給策に前日の米ダウ平均285ドル高の続伸を受け買いが先行したが東京中心に国内新型コロナ感染拡大が続き日本経済の先行き不安が意識され週末の持ち高調整の売りに押された。しかし、10日は『イースター」』金曜日でアジアや欧米主要市場が休みとなり、海外投資家の商いが乏しく薄商いで日銀のETF(上場投信)買い思惑が買いを誘った。結局、前営業日比152円高の1万9498円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:ドルの需給のひっ迫懸念が後退で上値の重い展開

ドル/円は、国内輸入企業などのドル買い・円売りに支えられ108.60円付近へ上昇した。しかし、前日にFRBが新たな資金供給策を導入すると発表し、ドル需給のひっ迫懸念が後退しているため、上値を追う動きは限られた。その後は、日経平均株価や上海総合株価指数の動向をにらみながら、108.50円前後でもみ合う展開となった。午後に入ると、週末を控えた持ち高調整などのドル売り・円買いに押され、108.33円付近まで下落した。NY州で新型コロナウイルスの感染拡大による1日あたりの死者数が、3日連続で過去最多を更新したことも、ドルの重石となった。しかし、今晩発表される米3月消費者物価指数を見極めたいとの雰囲気から下げは一服し、108.40円を挟んだ展開となった。ユーロ/ドルは、イースター休暇中で市場参加者が少なく、1.0930ドル台を中とした狭いレンジ内での取引となった。

 

世界の金ETFに資金が集まる:運用資産残高が過去最高

世界の金上場投資信託(ETF)が価値の裏付けとして保有する金現物の残高が3月末時点で過去最高となった。新型コロナウイルス感染拡大による景気不安を背景に安全資産を求めるマネーの金への流入が続く。米国など各国の金融緩和策も金の需要を高め、3カ月連続で最高を更新した。金の国際調査機関であるワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が8日にまとめた。3月末時点で世界の金ETFが保有する金現物の残高は3185トンと前月末から151トン増加した。ドル建ての運用資産残高も過去最高となっている。

 

トルコは感染ピークの見通しが立ちにくい

トルコ国内では新型コロナ感染拡大に歯止めはかからず、昨日も新たな新型コロナウイルスの感染者が4000人ほど確認され、感染者合計がついに4万2000人を超えた。感染による死者数も900人を上回り、医療崩壊の懸念が高まる。65歳以上や20歳以下の外出や主要都市間の行き来は禁止しているが、エルドアン・トルコ大統領は実質的なロックダウン(都市封鎖)を出すことに躊躇しており、このままでは感染ピークの見通しも立ちにくい。新型コロナ感染への恐れがあるうちはトルコの主要産業である観光セクターの回復もままならず、外貨獲得手段が狭まることになる。 外貨に関しては、トルコ中銀・外貨準備高の減少傾向が止まらないのも気になる。昨日のドル/リラは、為替相場全般がドル安に振れたことでドル売り・リラ買い戻しとなったが、トルコの対外債務の多さなどを見る限りではドル化の流れはまだ続く。

 

米国では悪化する雇用指標と強まるデフレ傾向

 米労働省が発表した先週分新規失業保険申請件数は660.6万件と、予想550.0万件を上回り前回686.7万件に続き2週連続で600万件台となった。前週は664.8万件から686.7万件に上方修正され過去最大を記録。失業保険継続受給者数は745.5万人と過去最大となった。予想823.6万人は下回った。
また、3月生産者物価指数(PPI)は前月比-0.2%と、2月-0.6%に続き2カ月連続でマイナスとなったが、予想を上回った。前年比では+0.7%と、2月+1.3%から低下したものの予想+0.5%を上回った。食品やエネルギーを除いた3月生産者物価コア指数は前月比+0.2%と、2月-0.3%からプラスに改善し予想を上回った。また、前年比では+1.4%と、低下予想に反して、2月と同水準を維持した。

 

★米FRBは低格付け債購入の導入:低格付け債ETFが上昇

新型コロナウイルスにより金融危機を上回る経済悪化が想定され、世界の中央銀行が前例のない資金供給策を連発する。米連邦準備理事会(FRB)は一般企業に間接融資する緊急措置を発動した。『禁じ手』とされた低格付け債の購入にも着手する。中銀による自国国債の買い入れは、カナダやオーストラリアなどに広がり、新興国中銀も社債などの資産購入を決断した。財政も市場も今や中銀マネーなしで成立しない。9日の米社債市場では、買い手がつかなかった低格付け債の価格が急反発した。FRBは同日朝、2兆3000億ドルもの新たな緊急資金供給を発表したが、柱の社債購入策にリスクの高い『ダブルB(投資不適格)』まで対象として組み込んだ。低格付け債に投資する上場投資信託(ETF)は、価格が7%も上昇し、新型コロナウイルスの影響が深刻化する前の2月の水準まで一気に近づいた。

 

米国市場では3月消費者物価コア指数が公表

2月実績は前年比+2.4%でやや高い伸びとなった。3月については、新型コロナウイルスによる影響が広がっており、一部項目の物価上昇率は鈍化している可能性があることから、インフレ率は2月実績をやや下回る可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:45   2月仏鉱工業生産指数(予想:前月比0.1%)
○16:00   1月トルコ失業率
○21:30   3月米CPI(予想:前月比▲0.3%/前年比1.6%)
         エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.1%/前年比2.3%)
11日01:30   メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○11日02:30   クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○11日03:00   3月米月次財政収支(予想:1500億ドルの赤字)
○20カ国・地域(G20)エネルギー相緊急テレビ会合
○聖金曜日の祝日(グッドフライデー)で豪州、NZ、香港、シンガポール、インド、ドイツ、スイス、フランス、スウェーデン、ノルウェー、南アフリカ、英国、カナダ、メキシコ、ブラジルなど休場。米国は株式・債券・商品市場が休場。

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/04/09/15:11:54

日経平均株価:戻り待ちの売りが強い展開

朝方は前日のNYダウが大幅反発した流れを引き継ぎ上昇して始まったが、日経平均の最近の上昇ペースが急だったこともあり、次第に戻り売りが優勢となった。国内で8日に新たに確認された新型コロナの感染者数は500人を超え、過去最多を更新したことも重荷となった。市場では『新型コロナ感染の終息が見え始めた欧米と、これから新規の感染者数が増加していく可能性のある日本との差が意識されている』との声があった。今週に入り日経平均は前日までで1500円超上昇しており、戻り待ちの売りが出やすい面もある。一方で、新型コロナに対する米国の追加経済対策や、9日のOPECとロシアなど非加盟の主要産油国を加えた『OPECプラス』会合での協調減産合意への期待もあり、下値を探る動きも限られた。結局、前営業日比7円安の1万9345円と4日ぶり小反落して終了した。

 

東京外国為替市場:109.10円が上値目途として意識された

ドル/円は、国内輸入企業などのドル買い・円売りに支えられ、109.06円付近までじり高となった。しかし、前日の海外市場で付けた109.10円が上値の目途として意識され、上げは一服した。その後は、短期筋などの利食いも見られ、108.95円前後でもみ合う展開となった。午後は、日経平均株価をにらみながら、108.90円台を中心とした狭いレンジで取引された。今晩予定されている週間の米新規失業保険申請件数やパウエル米FRB議長の講演を前に、様子見ムードが広がった。ユーロ/ドルは、新規の手掛かり材料に乏しく、1.0860ドル前後で小幅な値動きに終始した。

 

原油の減産強調不調なら再び株式市場の混乱も

産油国の政府系ファンド(SWF)による投資縮小のリスクが顕在化してきた。足元の原油価格では、中東の主な産油国の財政が大幅赤字となりかねず、各国とも株式の売却に乗り出した。株式市場は落ち着きを取り戻したかにみえる。ただ9日に予定される減産協議が不調に終われば、原油価格の急落から株式市場が再び混乱する展開も予想される。

 

トルコ感染拡大と薄い景気支援策で先行き懸念高まる

トルコでは、3月11日に初めて新型コロナウイルスの感染者が確認されて以降、加速度的に感染が広がっている。日本とは違い検査数の多さもあるが、4月7日時点での感染者累計は3万4000人を超えて世界全体で9番目の規模となった。しかしながら、エルドアン大統領は実質的なロックダウン(都市封鎖)に踏み切れていない。 トルコ政府の対応としては、感染が拡大し始めた先月21日にまず65歳以上の外出を禁止し、先週末には20歳以下の外出も禁じた。これにどれほどの法的拘束力があるかハッキリしていないが、いずれにして21歳から64歳に関しては特段の制限はない。また、政府は4日、交通機関など公共の場でのマスク着用を義務付けた。それにともない、外出禁止令の対象となっていない市民(21歳から64歳)に対し、1人当たり週5枚のマスク(布製ではない)を無料配布することを発表した。エルドアン政権は先月、新型コロナ感染拡大にともない150億ドルの景気支援策を発表した。しかしながら、対策には必要ないと思われる税免除も含まれており、資金繰りに苦労する事業や個人への直接支援につながっていないという実情がある。また、政府は金融機関に流動性供給を続けているが、市中では銀行による中小企業への貸し渋りも発生しており、こちらに対する不安も高まっている。

 

ユーロ圏では危機対応策の財政措置がまとまらず

欧州中央銀行(ECB)は、8日のユーロ圏財務相会合(ユーログループ)で、新型コロナウイルス危機対応として最大1兆5000億ユーロ(1兆6000億ドル)の財政措置が必要になる可能性があると主張していたことが明らかになった。ユーログループは、16時間にわたる討議にもかかわらず、合意を形成することができず8日にいったん散会し、9日に再開することになった。複数の当局者によると、ユーログループでは、フランスとイタリア、スペインが危機を巡る欧州の今年の対策は1兆ユーロを大きく上回るべきだと主張した。ECBの推計に沿う内容となっている。

 

FOMC議事要旨から迅速な対応が求められていたことが判明

米連邦準備理事会(FRB)が8日公表した3月の2回の緊急連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨によると、新型コロナウイルスの発生が米経済に悪影響を及ぼし、金融市場を混乱させた迅速さに懸念を強め、『強力な措置』の決定につながったことが分かった。
新型ウイルスのパンデミック(世界的大流行)が深刻化する中、FRBはこれまでで最も迅速に前代未聞の規模の支援策を導入した。議事要旨はこうした対応の経緯の詳細を初めて明らかにした。混沌とした数週間でFRBが下した判断は向こう数十年間の世界経済を形作る可能性がある。 緊急会合は3月2日と15日に行われた。政策当局者は金利をゼロ付近に引き下げ、海外の中央銀行へのドル供給を拡大したほか、危機時の金融政策の代表格となった大規模な資産買い入れプログラムを再開した。最初の利下げは2日夜のビデオ会議を経て、翌3日に発表した。 新型ウイルスの感染拡大や、感染拡大を抑えるための対策が米経済に与える打撃に対応するため、FRBが過去最大の規模の支援策を導入することを、いかに速く求められていたかが議事要旨からうかがえる。

 

米国市場では4月ミシガン大学消費者信頼感指数が公表

3月CB消費者信頼感指数は、新型コロナウイルスの感染が急速に広がっていることを受けて低下している。米国ないでの感染被害はさらに広がっていることから、4月の数字は3月実績を大幅に下回る可能性が高いとみられている。

 

欧米市場イベント

○15:00   2月英国内総生産(GDP、予想:前月比0.1%)
○15:00   2月英鉱工業生産指数(予想:前月比0.1%/前年比▲2.9%)
         製造業生産高(予想:前月比0.1%)
○15:00   2月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:60.00億ポンドの赤字/10.00億ポンドの黒字)
○15:00   2月独貿易収支(予想:165億ユーロの黒字)
○15:00   2月独経常収支(予想:170億ユーロの黒字)
○20:30   欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(3月12日分、3月18日分)
○21:00   2月インド鉱工業生産(予想:前年同月比3.2%)
○21:00   3月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前月比0.15%)
○21:30   3月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化▲35.00万人/失業率7.2%)
○21:30   3月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比▲0.4%/前年比0.5%)
        食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.0%/前年比1.2%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:525.0万件/800.0万人)
○23:00   2月米卸売在庫(予想:前月比▲0.5%)
○23:00   2月米卸売売上高
○23:00   4月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:75.0)
○23:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、講演
○10日05:00   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、討論会に参加
○石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国による「OPECプラス」の会合(テレビ会議)
○米債券市場は短縮取引(聖金曜日の前営業日)
○ノルウェー、メキシコ(聖木曜日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2020/04/08/15:22:24

日経平均株価:悪材料出尽くしから海外勢からの買い戻し

朝方は経済活動停滞への悪影響が懸念され、下げに転じる場面もあった。しかし、欧米での新型コロナウイルス感染者の増加ペースを巡る観測や政府の緊急事態宣言を受け、当面の悪材料は出尽くしたとの見方から海外短期筋の先物の買い戻しが強まり、相場を押し上げた。上げ幅は一時500円を超える場面もあった。

 

東京外国為替市場:ドルは底堅いものの上値も重い

ドル/円は、NY州で新型コロナウイルスの感染による1日あたりの死者数が過去最多を記録したことが嫌気され、108.50円付近まで下落した。しかし、下値では本邦実需勢などがドル買い・円売りに動き、108.80円台へ値を切り返した。午後もこの流れは続き、日経平均株価の大幅高をながめてさらにドル買い・円売りが進み109.00円付近までじり高となった。米長期金利が小幅上昇したことも、ドルを下支えした。しかし、前日の欧州市場の高値109.14円が上値目途として意識されると上げは一服した。その後は短期筋などの利益確定売りに押され108.85円付近でもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、1.08ドル台後半で方向感に欠ける値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

国内3月景気ウォッチャー調査は大幅低下

内閣府が8日発表した3月の景気ウォッチャー調査によると、街角の景況感を示す現状判断DIは14.2で、前月比で13.2ポイントと大幅低下となった。また、先行き判断DIは18.8で、前月比5.8ポイント低下した。

 

2月の旅行収支の黒字額が大幅減少

財務省が発表した今年2月の国際収支統計では、旅行収支の黒字が前の年の同じ月と比べて大きく減少した。新型コロナウイルスの感染拡大で日本を訪れる外国人旅行者が大幅に減ったためで、旅行収支は去年2月の1997億円の黒字から、今年2月は579億円の黒字に減少した。

 

ジョンソン英首相の容態に要警戒

ジョンソン英首相は、新型コロナの発症から10日間で高熱などの症状が治まらないため、予防的措置として検査入院し、集中治療室(ICU)に移され、人工呼吸器は装着していないが、酸素を供給する措置を取っている、肺炎ではない、と報じられており、検査結果などの続報に要警戒となる。

 

ECBの買い入れ枠を使い切った後の手段が必要に

イタリアの国債市場の緊張を受け、ECBは先月、資産買い入れを強化するとともに、パンデミック資産買い入れプログラム(PEPP)を創設した。 買い入れ強化後で初となる購入実績によれば、総額1,200億ユーロの追加買い入れ枠の4分の1を半月余りで使い果たし、総額7,500億ユーロのPEPPを半年で使い切るペースでの資産買い入れを続けている。
 コロナ危機をきっかけに債務危機が再燃するリスクを防ぐECBの決意が感じられる一方、いつまでもECBが国債市場を買い支えていく訳にもいかないことが分かる。そのため、EUの安全網(EU)の利用条件緩和やコロナ共同債の議論が前進するかに注目が集まる。

 

トルコ景気の失速に注意が必要

新型コロナウイルス感染の拡大により、トルコの繊維産業も厳しい状況に陥っている。トルコメディアは7日、欧州のアパレル会社からの注文キャンセルが相次いでいることで、トルコの繊維製品輸出は今後、前年比8割ほど落ち込む可能性を報じた。新型コロナにより自動車や部品の輸出も大きく減少することが見込まれ、主要産業の観光業も打撃を避けられないなかでトルコ景気回復の道のりはかなり遠くなる。

 

バーナンキ元FRB議長発言:4-6月期GDPは30%超縮小の可能性も

バーナンキ元米連邦準備理事会(FRB)議長は7日、新型コロナウイルス感染拡大抑制策で経済活動が停止する中、米経済は第2・四半期に30%を超えて縮小する恐れがあり、経済が立ち直るまでに数年かかる可能性があるとの見方を示した。バーナンキ氏は米シンクタンクのブルッキングス研究所で行われたイベントで、新型ウイルス感染拡大に対応してこれまでに打ち出された財政政策、および金融政策は適切だったが、さらなる対応が必要とし、『全般的には経済に極めて悪い年になる恐れがある』と指摘した。『経済の再開に向け実施できることはあるが、再開が危機の再燃につながらないという、より強い確信が得られるまで、経済は通常状態には戻らないと考えている』と述べた。その上で、過去の事例を踏まえると、回復が続く期間は2007─09年の世界的な金融危機後の回復期と比べると格段に短くなると予想した。米経済は回復するが、数年間の回復はわずかなものになるとの見方を示した。

 

欧米イベント

○15:00   3月ノルウェーCPI(予想:前月比0.1%/前年比0.8%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   2月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比0.2%)
○未定    ポーランド中銀、政策金利発表(予想:1.00%で据え置き)
○21:15   3月カナダ住宅着工件数(予想:18.00万件)
○21:30   2月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比▲4.5%)
○23:30   EIA週間在庫統計
○9日02:00   米財務省、30年債入札
○9日03:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(3月15日分)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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