FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2020/03/31/15:16:05

日経平均株価:午後から短期筋の仕掛け的な売りで下げ幅拡大

前日の米国株式市場が反発したほか、中国統計局が発表した3月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は52と、過去最低を記録した前月から上昇し、景況拡大と悪化の分かれ目である50を予想外に上回った。そのため、景気敏感株を中心に買い優勢となった。今日は年度末最終で期末株価が注目されるが、そうした中で、日銀が購入したETFの買いコストとなる1万9500円の損益分岐点の攻防が意識された。しかし、明日以降の新年度入り金融機関の売りを先取りした海外短期筋の売りや新型コロナウイルス『緊急事態宣言』外出自粛長期化による景気停滞を懸念した売りに下げ幅を250円に広げた。結局、前日比167円安の1万8917円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:月末・期末に絡む円買いで一時108円台後半

ドル/円は、本邦実需勢などから月末・期末に絡むドル買い・円売りフローが多く持ち込まれ、108.80円付近まで上伸した。しかし、米国で新型コロナウイルスの感染者が16万人近くに急増しているため、上値では利益確定や戻り待ちのドル売り・円買いも見られ、108円台半ばを中心に取引された。午後は、日経平均株価の下げ幅拡大を眺め、108.15円付近へ下落した。ただ、今晩の米国株動向や経済指標を見極めたいとの雰囲気からドル売り・円買いは続かず、1008.20円前後でもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、1.10ドル台前半で方向感に欠ける値動きとなった。欧州勢参入待ちの様相となった。

 

4月1日から原油増産:米国が介入するか注目

4月1日から石油輸出国機構(OPEC)加盟国、非加盟国が増産に踏み切る計画であることから供給過剰懸念や新型ウイルスまん延を巡る世界経済の鈍化を受けた需要鈍化懸念からNY原油先物は一時20ドルを割り込み17年ぶり安値を更新した。その後、トランプ大統領がロシアのプーチン大統領と価格競争に関して協議したと伝わると売り止まった。原油価格安定のためにロシアとサウジアラビアの価格競争に果たして米国が介入するかどうかに注目が集まる。

 

中国の巨額隠れ融資にデフォルトリスク

世界経済が停滞し、資源価格が急落する中、ひそかに積み上がった債務がここにきて新興国を脅かしつつある。新興国は中国から推定2000億ドル(約21兆6000億円)を借り入れているもようだが、公式データにはその実態が反映されていない。その中国マネーは、高い利回りを求めて過去10年間にリスクの高い新興国市場に約2兆ドルを投じてきた投資家の目算を狂わせかねない。新興国の中には、足元の金融市場の混乱が発生する以前の段階ですでに、中国への返済が行き詰った国もある。

 

当面の間は南アランドは荒れ模様の相場展開

昨年末に中国で発生した新型コロナウィルスは、足下で世界的大流行となるなど世界経済のリスク要因となっている。昨年末にかけての世界経済は米中合意への期待を背景に底打ちする動きがみられたが、南アフリカでは計画停電が足かせとなる形で『テクニカル・リセッション』に陥る厳しい状況に直面していた。さらに、足下では同国内でも新型肺炎の感染者数が拡大しており、非常事態宣言の発令及び外出禁止令の発動に踏み切るなど一段の景気減速が避けられない状況にある。こうしたなか、ムーディーズ社は同国を格下げし、主要格付機関はいずれも『投資不適格』となる。足下の国際金融市場の動揺を背景にランド相場は調整局面が続いたが、機関投資家の退出に伴う荒れ相場化に加え、一段と下押し圧力が強まることも予想される。

 

米3月ダラス連銀製造業活動指数は過去最低

米国の3月ダラス連銀製造業活動指数は▲70と、2月1.2から過去最低に落ち込んだ。重要項目の生産指数は2月16.4から▲35.3に急激に悪化した。新規受注も▲41.3とそれぞれ景気後退時の2009年来で最低となった。雇用指数も2月の0から▲23へ悪化した。
新型ウイルスまん延を受けた全米経済悪化や原油安が影響した。

 

米2月中古住宅販売成約指数は予想外に2カ月連続プラスだが?

全米不動産業者協会(NAR)が発表した2月中古住宅販売成約指数は前月比+2.4%となった。1月+5.3%に続いて、2カ月連続のプラスとなった。同指数は契約時点での統計となるため、中古住宅販売の先行指標として通常は注目される。ただ、3月に入り新型ウイルスまん延で経済が急激に悪化したため失業などから住宅ローンが得られず数多くの契約が破棄された可能性も考えられる。

 

米国市場では3月CB消費者信頼感指数が公表

2月実績は130.7に悪化した。3月については、米国内で新型コロナウイルスの感染が急速に広がっていることから、2月実績を大幅に下回るか旺盛が高い予想される。

 

欧米イベント

○15:00   2月独輸入物価指数(予想:前月比▲0.3%/前年比▲1.5%)
○15:00   10-12月期英国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比横ばい/前年比1.1%)
○15:00   10-12月期英経常収支(予想:70億ポンドの赤字)
○15:30   2月スイス小売売上高
○15:45   3月仏CPI速報値(予想:前月比0.4%/前年比1.0%)
○15:45   2月仏卸売物価指数(PPI)
○15:45   2月仏消費支出(予想:前月比0.7%)
○16:00   2月トルコ貿易収支(予想:30.5億ドルの赤字)
○16:55   3月独雇用統計(予想:失業率5.1%/失業者数変化2万9000人)
○18:00   ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○18:00   3月ユーロ圏HICP速報値(予想:前年比0.8%)
○18:00   3月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比1.1%)
○19:00   外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○21:00   2月南アフリカ貿易収支(予想:20億ランドの黒字)
○21:30   1月カナダGDP(予想:前月比0.1%/前年比1.9%)
○21:30   2月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比▲0.2%)
○21:30   2月カナダ原料価格指数
○22:00   1月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比3.2%)
○22:45   3月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:40.0)
○23:00   3月米消費者信頼感指数(予想:110.0)
○20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁テレビ会議

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/03/30/15:16:51

日経平均株価:経済活動の停滞への懸念が強まる売り優勢

新型コロナウイルスの感染者増加はとどまることを知らず、経済活動の停滞への懸念を強めている。外国為替市場で円高が進行し、NYダウ先物も下落したため、東京市場も軟調地合いとなり、幅広い業種での売りが先行した。本日は3月の配当権利落ち日で、日経平均株価に対し180円程度の押し下げ要因となったとみられている。一時下げ幅が800円を超えたものの後場は日銀のETF買い観測で下げ渋り、結局、前週末比304円安の1万9084えんと反落して終了した。

 

東京外国為替市場:107.00円の心理的節目手前で下げ止まる

ドル/円は、月末・期末に絡む本邦実需勢などのドル売り・円買いや日経平均株価の大幅安を背景に、107円台後半から107.14円付近まで下落した。米国で新型コロナウイルスの感染者が急増していることも、ドルの重石となった。しかし、心理的節目の107.00円が視野入りすると下げは一服した。午後は、NYダウ先物や日経平均株価の下げ幅縮小を眺めてショートカバーが入り、107円台後半へ値を切り返した。低下していた米長期金利が持ち直したことも、ドル買い戻しにつながった。ユーロ/ドルは、1.10ドル台後半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

首都封鎖では想定を超す大きな傷を生む可能性も

小池百合子東京都知事が都市封鎖(ロックダウン)に言及後、東京都内の移動を厳しく制限する『首都封鎖』の現実味が高まっている。しかし、政治・経済の機能が集中する首都圏で移動を規制した場合、生産や消費に直接的な打撃が発生するだけでなく、社会心理が不安定化し、マインド悪化から景気のV字回復ではなく、L字回復に陥るリスクも高まる。『コロナショック』への対策として政府・与党は50兆円規模の支援策を検討しているが、その中には『首都封鎖』対策が今のところ入っていない。封鎖中に売り上げがゼロになる中小・零細企業の『所得補償』というセーフティーネットを構築しないまま、強権を発動すると、日本経済に想定を超す大きな傷を生み出すことにもなりかねない。

 

新型コロナウイルス対策資金で欧州分裂の危機

新型コロナウイルスまん延に伴う経済的打撃にどう対応するか、欧州連合(EU)の南北分裂が深刻化している。イタリアなどが求めたEU共通の『コロナ債』をドイツやオランダが拒否した。イタリアのEU不信が強まっている。『この未曽有の困難に立ち向かえないなら、欧州という建物全体が存在理由を失う』。コンテ伊首相は28日付の伊紙ソレ24オレでEUの『連帯欠如』に強い不満を訴えた。
毎日数百人規模の死者を数え影響が甚大なイタリアやスペインは『コロナ債』などと呼ぶ共通債の発行を要求した。EU全体で協力して対策資金を調達すべきだと主張している。しかし、26日のEUテレビ首脳会議では、イタリアなど南欧各国の財政規律の緩みを懸念するドイツやオランダが反対した。債務危機対策基金『欧州安定機構(ESM)』活用でも折り合えず結論を持ち越した。

 

今週末の米3月雇用統計は大幅悪化予想

4月3日には発表される3月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比▲10.0万人程度と予想されており、全体の雇用者数は2010年9月以来となる前月比マイナスとなることが予想されている。失業率は2月実績から0.3ポイント上昇の3.8%程度となる見込み。ただし、先週26日発表された米新規失業申請件数(週間)は、市場予想を大幅に上回る328.3万件となった。過去最多の申請件数であり、今週発表される新規失業保険申請件数も300万件を超える可能性があることから、市場関係者の間からは『4月の失業率は二桁に上昇し、リーマン・ショック後に記録した10.0%を上回る』との声が聞かれている。

 

米国企業は投資適格債券発行で資金調達

米連邦準備理事会(FRB)が23日に無制限の量的緩和(QE)を行う方針を決定したことを受け、米国企業による投資適格級債券発行を通じた資金調達額は27日までの週に過去最高の1091億ドルに達した。 IFRリフィニティブのデータによると、ナイキやマクドナルド、ホーム・デポなど49社が27日までの週に投資適格級債を発行した。週間ベースでこれまで過去最高の資金調達額だったのは2019年9月に記録した735億ドルだった。

 

欧米イベント

○15:00   2月南アフリカマネーサプライM3(予想:前年比6.70%)
○16:00   3月スイスKOF景気先行指数(予想:85.0)
○17:30   2月英消費者信用残高(予想:11億ポンド)
○17:30   2月英マネーサプライM4
○18:00   3月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲11.6)
○18:00   3月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:93.0)
○21:00   3月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.1%/前年比1.4%)
○23:00   2月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比▲2.0%/前年比なし)
○欧州が29日から夏時間に移行済み

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/03/27/15:23:54

日経平均株価:米国株高に連れて買い優勢の展開

前日の米国株式市場は主要株価3指数が大幅高となったことを受けて、日経平均株価も流れを引き継ぎ朝方から幅広く買いが入った。その後は為替市場での円高進行やNYダウ先物の難関などが重荷となり、上げ幅を縮小する展開となった。本日は3月決算企業の権利付き最終日なので、再投資分の先物買いが入るので下値を支える。大引けにかけて機関投資家の配当再投資の先物買いに上げ幅を広げ、結局、前日比724円高の1万9389円と大幅反発して終了した。

 

東京外国為替市場:月末・期末がらみのドル売り

ドル/円は、本邦輸出勢などから月末・期末に絡むドル売り・円買いフローが継続的に持ち込まれ、108.25円付近へ下落した。米国で新型委コロナウイルスの感染者が急増し、中国を抜いて世界最多になったことも、ドル売りを誘った。しかし、今晩の米国株価や経済指標を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。午後には、日経平均株価の上げ幅拡大やアジア株高を眺めたドル買い・円売りが入り、108円台半ばへ水準を切り上げた。ユーロ/ドルは、前日に発表された週間の米新規失業保険申請件数の急増で、米景気減速を警戒したユーロ買い・ドル売りが優勢となり、1.10ドル台半ばから1.10ドル台後半へ水準を切り上げた。

 

原油処分売りでアジア通貨危機以来の価格は急落

北海ブレント油が1バレル=27ドル前後まで下落しているが、大半の石油生産国は現在、原油を20ドル未満で処分売りをしているのが実情で、スポット価格は1990年代末のアジア通貨危機後以来の低水準に落ち込んでいる。石油価格は新型コロナウイルス感染拡大による需要の落ち込みと、サウジアラビアとロシアのシェア争いによる供給増加が相まって急落している。一部の油種はブレント油より低い価格で売られるのが普通だが、現在の市場環境下でその差はさらに拡大した。通常はブレント油より高いその他の油種も、現在はかつてないほどブレント種の価格を下回っている。こうした値引きにより、多くの産油国で1バレル当たりの石油収入は、2020年予算に織り込まれた想定価格を大きく割り込んでおり、一部の国では国家財政がさらに圧迫される。

 

死者数が少ないことが国民のパニック化の抑制要因

死者数が少ないことが国民のパニック化を一定程度抑え、過度に医療機関に殺到することなく、オーバーシュート・リスク抑制に寄与している。
各国の総人口100万人当たりの死者数を対比した統計がある。イタリアが総人口6046万1826人に対し死者数5476人、100万人当たり90.6人と断トツに多く、スペイン4675万4778人に対し37.9人、イラン8399万2949人に対し20.0人、フランス6527万3511人に対し11.9人、英国4.1人、中国2.2人、韓国2.1人、米国1.7人、ドイツ1.1人、日本は0.7人である。イタリア、スペイン、イランは明らかにオーバーシュート(感染者の爆発的増加)状態に陥っており、英国、中国、韓国、米国、ドイツなどは1-5人程度で収束に向かう国とこれからクラスタ感染が増えて上昇する可能性のある国に分かれる。
日本は死者数が少ないことが、上記の政府筋が指摘するように国民のパニック化を一定程度抑制し、封鎖・隔離「非薬事介入」政策の早期解除思惑となっている。

 

見えない恐怖は9.11同時多発テロを上回る深刻な状態

新型コロナショックは9.11同時多発テロ時より『見えない恐怖』が強く、封鎖・隔離による経済活動制限の経済ショックが加わり、より深刻な状態に変わりない。9.11同時多発テロが起きた01年7-9月期の米GDP成長率は-1.3%と浅いマイナス成長であり、企業の設備投資や輸出減に拠るもので、個人消費はむしろプラスを維持した。だが、今回はトランプ大統領が非常事態を宣言し、新型コロナ感染拡大阻止の封鎖・隔離『非薬事介入』政策の徹底により米景気の牽引役の個人消費は消滅、『需要ショック』に4-6月期の2桁マイナス成長は避けられない。新型コロナ感染症の『ブラックスワン』に直撃され、そこにサウジとロシアの米シェール潰しの協調減産崩壊「オイルショック」が圧し掛かる『外因性ショック』だけに、米FRBの積極果敢かつ大規模緩和が効き辛い環境となっている。

 

リーマン・ショックを上回る景気後退の可能性も

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、米国の今年4-6月期の実質国内総生産(GDP)が前期比24%減(年率換算)に落ち込む、との予想を米金融大手ゴールドマン・サックスが20日にまとめた。JPモルガンも・チェースも18日時点で前期比14%減と予想するなど、米銀大手は相次ぎ経済見通しを引き下げており、景気後退入りが確実視されつつある。米政府が現行方式でGDPを集計し始めてから、四半期ベースでもっとも成長率が低かったのは1958年1-3月期のマイナス10%。リーマン・ショック直後の2008年10-12月期でもマイナス8.4%だった。

 

米国市場では2月PCEコア価格指数が公表

1月実績は前年比+1.6%にとどまっており、インフレ加速を示唆する数値ではないことが確認された。2月時点では米国内での新型コロナウイルスの感染拡大の影響は小さいことから、コア価格指数に大きな変動はないとみられる。

 

欧米市場のイベント

○16:45   3月仏消費者信頼感指数(予想:92)
○21:00   2月メキシコ貿易収支(予想:9.50億ドルの黒字)
○21:30   2月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.2%)
       2月米個人所得(予想:前月比0.4%)
       2月米PCEデフレーター(予想:前年比1.7%)
       2月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.2%/前年比1.7%)
○23:00   3月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:90.0)
○29日 欧州が夏時間に移行

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/03/26/15:23:29

日経平均株価:利益確定売りに押される展開

東京都での新型コロナウイルスの感染者急増と外出自粛要請から警戒感が広がり、朝方から幅広い銘柄で売りが先行した。前日に丸紅が今期の当期損益予想を赤字に修正したことで、企業業績の下押しに対する懸念も出た。日経平均株価は3営業日で3,000円近く上昇していたことから、利益確定のタイミングとなった。結局、前営業日比882円安の1万8664円と4日ぶりに反落して終了した。海外投資家は6週連続で売り越しとなり、3月第3週は4,134億円の売り越しとなった。

 

東京外国為替市場:日本株の下落を睨みながら円買いがやや優勢

ドル/円は、本邦実需勢などから月末・期末に絡むドル売り・円買いフローが持ち込まれ、110.46円付近まで下落した。日経平均株価の下げ幅が一時900円を超えたことも、ドル売り・円買いを誘った。しかし、下値では値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、110.80円付近へ切り返した。午後は、日経平均株価を睨みながら、110円台後半でのもみ合いが続いた。パウエルFRB議長が今晩日本時間午後8時過ぎからテレビに出演してインタビューに応じるため、内容を見極めたいとの雰囲気から、上下に動きにくくなった。ユーロ/ドルは、今晩発表される週間の米新規失業保険申請件数が急増するとの警戒感から、持ち高調整などのユーロ買い・ドル売りが優勢となり、1.09ドル台前半の高値圏で推移した。

 

原油市況の低迷は国際禁輸市場の動揺を増幅

原油市況の低迷は産油国経済の悪化に加え、ソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)による現金化懸念などを通じて折からの国際金融市場の動揺を増幅させる事態に発展している。 国際金融市場の動揺でリスク資産からの逃避が進むなか、産油国では原油市況の低迷も重なり中南米やロシアなどで通貨安圧力が強まっている。金融市場ではこれらの国々のリスクが意識されているが、事態長期化による経済への影響は経済規模が小さい中東や旧ソ連の産油国の方が大きくなりやすい。サウジやロシアは持久戦も辞さない姿勢をみせるなか、中東及び旧ソ連の国々には一段と厳しい事態も懸念される。

 

ユーロ圏の足並みの乱れが市場の不信感を招く可能性も

ユーロ圏各国政府はコロナ危機対応での財政出動を強化しているが、ユーロ圏として一体的な対応を打ち出すには至っていない。24日のユーログループ会合では、EUの救済基金(ESM)を活用し、コロナ対応で財政出動が必要となった国に信用枠を設定することが検討されたが、結論が持ち越された。 それは、オランダなど財政規律を重視する国が、通常の支援プログラム同様に、財政再建や構造改革の履行条件を課すことを求めた。ECBの緊急資産買い入れプログラム(PEPP)創設で、国債市場の緊張に機動的に対処することが可能となったことも、財政当局の危機感後退につながった。こうした危機対応でのユーロ圏の足並みの乱れは、市場の不信感を招きかねない。

 

NYダウの弱気相場でリセッションの確率は約8割

レーガン政権以来30年ぶり大型減税を掲げたトランプノミクス(トランプ大統領の経済政策)を追い風に3年掛けて今年2月12日2万9568ドルの史上最高値に駆け上がった『トランプ相場』はすでに消滅した。米NYダウ3万ドル目前で皮肉にも米中貿易戦争の仇を打つように『武漢ウイルス』(COVID-19)パンデミック(世界的大流行)が襲撃、つるべ落としの様相を呈して3月23日に2016年の大統領選安値(11月9日)1万8252ドルを下回る1万8213ドルへと下落率38%の全値戻しを余儀なくされた。米国株『弱気相場』は過去90年超の間に13回あり、うち1年以内の米景気後退(リセッション)は11回、1987年と1966年の2回のみリセッションが回避された。つまり、米国株「『弱気相場』入りは約8割の可能性で米リセッションに繋がる。

 

米国5年債入札は好調な結果:資産現金化の債券売りも一巡

米財務省は410億ドル規模の5年債入札を実施した。結果で応札倍率は0.535%と過去最低を記録した。応札倍率は2.53倍とほぼ2年ぶりの高水準で、過去6回入札平均の2.42倍も上回り需要は強かった。各国中銀を含む間接ビッドは52.1%と、前回入札の61.5%を下回った。強い入札結果を受けて米国債は堅調推移した。米10年債利回りは0.87%から0.78%まで低下した。

 

欧米イベント

○16:00   2月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比0.2%/前年比0.8%)
        英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比▲0.2%/前年比1.1%)
○16:00   4月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:7.1)
○16:45   3月仏企業景況感指数(予想:97)
○18:00   2月ユーロ圏マネーサプライM3(予想:前年比5.2%)
○18:30   2月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.2%/前年比4.4%)
○21:00   英中銀金融政策委員会(MPC)、終了後政策金利発表(予想:0.10%で据え置き)
○21:00   MPC議事要旨
○21:00   2月メキシコ失業率(季節調整前、予想:3.59%)
○21:30   10-12月期米国内総生産(GDP)確定値(予想:前期比年率2.1%)
           個人消費(確定値、予想:前期比1.7%)
           コアPCE(確定値、予想:前期比1.2%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:100.0万件/179.1万人)
○27日02:00   米財務省、7年債入札
○20カ国・地域(G20)首脳、緊急ビデオ会談

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/03/25/15:11:43

日経平均株価:米国株に連れてリスク選好の買い優勢

前日の米国株式市場では、米議会で新型委コロナウイルス対策法案の可決が近いと伝わったことで、史上最大の上げ幅になった。米国株の上昇を受けて、朝方から幅広く買いを集めた。一時中だるみの場面があったものの、買い戻しが活発化し、1000円以上の上昇幅となり、3月12日以来の1万9000円台を回復した。市場では、期末を前にして、日銀のETF平均買いコストとされる1万9500円が強く意識され、これに絡んだ思惑的な動きも生じそうだ。後場に『米政権が新型コロナウイルスの景気対策で民主党と合意』と伝わり一段高となり、結局、前日比1454円高の1万9546円と大幅3日続伸で終了した。

 

東京外国為替市場:アジア株高でリスク選好の円売り優勢に

ドル/円は、本邦輸出勢などから月末・期末に絡むドル売り・円買いフローが持ち込まれ、110.76円付近まで下落した。時間外取引のNYダウ先物が下落したことも、ドル売りを誘った。しかし、下値では値ごろ感からドルを買い戻す動きが見られ、110.90円を挟んでもみ合いとなった。午後は、日経平均株価の大幅続伸やアジア株高を眺めたドル買い・円売りが入り111.50円付近へじり高となった。一部海外メディアが『ホワイトハウスは、新型コロナウイルスをめぐる経済対策で民主党と合意した』と報じたことも、ドルの買い戻しにつながった。ただ、連日で乱高下している米株価動向を見極めたいとの雰囲気もあり上げは一服した。ユーロ/ドルは、1.08ドル台前半で方向感に欠ける値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

資産の現金化後退で改めて金買い優勢に

先週までは『あらゆる資産の現金化化』が加速し、金にも売りが先行した。16日には1450.9ドルまで急落した。危機時は手元にドル・キャッシュを厚めに確保する動きが出るため、『安全資産』とされる金にも売りが集まっていた。ただ、米連邦準備理事会(FRB)が無制限の量的緩和策を導入すると発表したことで、市場に資金が供給されることになる。投資資金が戻るとしたら、まずは『安全資産』とされる金が一番に買われる。『リーマン・ショック』のあとに量的緩和が実施されると真っ先に資金が向かったのが『金』という経験則もあり、1,600ドル台半ばまで回復している。先週のようなVIX指数(恐怖指数)が85を超えるような異常な状況での『パニック売り』は当面ないとの見方も多い。

 

世界経済が恐慌に陥るとの不安が募っている

新型ウイルスの蔓延で、世界の主要都市が封鎖に踏み切り、中小、大手含め様々な企業や小売り店が製造停止や休業に追い込まれ経済活動が停止、失業者数の急増や世界経済が恐慌に陥るとの不安が募っている。欧州は歴史上最悪の景気後退に陥ると見られている。国際通貨基金(IMF)も2020年のリセッションが2008年金融危機以上に深刻化すると警告した。景気悪化を抑制すべく日本をはじめ財政出動に消極的であったドイツまでも経済支援策を検討している。また、世界最大の経済を持つ米国でもクドロー国家経済会議(NEC)委員長は経済支援策として財政で2兆ドル、米連邦準備制度理事会(FRB)が4兆ドル規模の流動性を供給することになり合計で6兆ドルと経済支援策としては過去最大規模にのぼるとしている。今後、果たして大規模支援が米国のみならず世界経済を救済することができるかが焦点になる。

 

NY州の新型肺炎の感染者は3日ごとに倍増

米東部ニューヨーク州のクオモ知事は24日、州内の新型コロナウイルス感染者は3日ごとに倍増しており『予想以上の勢い』と懸念を表明し、感染のピークが早ければ今後2週間で訪れ、現状のままだと医療機器や人員が大幅に不足するとの危機感を示した。知事は『われわれは炭鉱のカナリアだ。きょうのニューヨークは明日の米国だ』と強調、連邦政府が備蓄している2万台の人工呼吸器を直ちに放出するよう求めた。
知事によると、感染者治療用のベッドは最大で14万床必要だが現状は5万3000床しかない。最大4万台の人工呼吸器が必要だが、現状は7000台しかない。

 

米国株式市場では2月耐久財受注が公表

1月実績は、前月比▲0.2%%になった。輸送機器の受注減少が影響した。ただ、民間設備投資の先行指標とされるコア資本財(非国防資本財から航空機を除く)の受注は前月比+1.1%で好調だった。2月については、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が多少出てくることから、全体の受注額とコア資本財の受注は伸び悩む可能性がある。

 

欧米イベント

○16:00   2月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.3%/前年比1.7%)            CPIコア指数(予想:前年比1.5%)
       小売物価指数(RPI、予想:前月比0.5%/前年比2.5%)
       卸売物価指数(PPI、食品とエネルギーを除くコア指数、予想:前年比0.5%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:30   2月米耐久財受注額(予想:前月比▲0.8%/輸送用機器を除く前月比▲0.4%)
○22:00   1月米住宅価格指数(予想:前月比0.4%)
○23:30   EIA週間在庫統計
○26日02:00   米財務省、5年債入札
○日米首脳電話協議

 

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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