FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2021/09/16/15:12:21

日経平均株価:利益確定売りに押される展開

朝方から上海株や香港株が下げ基調にあり、日本株の重石となった。また、中国恒大集団の過剰債務問題への警戒感がくすぶっており、国内要因を背景とした目先の上昇は一服した。そのため、海外リスクが意識されてきている。さらに、連休を控えていることもあって、積極的にはポジションを取りにくい展開となっている。最近の急ピッチの上昇による短期的な過熱感から、利益確定の売りが次第に優勢になった。結局、前営業日比188円の3万0323円と続落して終了した。9月第2週(6日~10日)の海外投資家は3010億円と2週連続の買い越しとなった。

 

東京外国為替:米長期金利の小幅低下で109円前半でもみ合い相場

ドル/円は、日経平均株価の下げ幅拡大を眺めてドル売り・円買いが入り109.20円付近まで下落した。米長期金利が小幅に低下したことも、ドルの押し下げにつながった。ただ、前日の海外市場でつけた約1ヵ月ぶりの安値109.11円が視界に入ると、下げは一服した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、109.20円台を中心とした狭いレンジ取引された。ユーロ/ドルは1.18ドル台前半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国恒大問題、業界全体に波及の恐れ

米ゴールドマン・サックスは15日、過剰債務と資金繰り不安に揺れる中国恒大集団の問題が中国不動産セクター全体に波及する恐れがあるとの見方を示した。中国恒大は2兆元(3050億ドル)近くの負債を抱えており、負債返済やサプライヤーへの支払いのための資金調達に苦慮している。ゴールドマンのアナリストはノートで『中国恒大の不動産開発事業に一段の混乱が生じた場合、国内の不動産購入者や投資家のセンチメントに非常に悪い影響を与え、影響は不動産セクター全体に波及する可能性がある』と指摘した。同社の選択肢として、オンショア事業の継続に向けた企業改革、第三者による出資、債務・株式の再編を挙げた。また、JPモルガンは、同社を巡る状況は悪化しており、他のセクターに影響が及ぶことを防ぐために政府による追加措置が必要だと指摘した。顧客やサプライヤーの利益を守るために同社が事業を継続することを期待しているとした。

 

トルコ中銀は外貨預金準備率を引き上げ

トルコ中銀は15日、10月1日から市中銀行が中銀に預ける外貨建ての預金準備率を2%引き上げることを発表した。7月に続いての準備率改定となり、前回19%から21%に引き上げられた『期間1年未満の外貨建て預金』の準備率は23%に設定した。また前回13%から15%に上げられた『期間1年以上の外貨建て預金』準備率は17%となる。くわえて、リラ建て準備預金から外貨に転換できる上限が、前回7月は全体の20%から10%に引き下げられたが、来月1日からは0%と移し替えができなくなる。トルコ中銀のウエブサイトによれば、今回の準備率改定は『物価安定という主要な目的に沿い、金融伝達メカニズムの有効性を高めるため』としている。10月1日時点でリラ建ての必要準備金は約139億リラ増加し、FXおよび金の準備金は約34億ドル拡大する見込みである。

 

南アの7月小売売上高は非常に弱い結果

注目された7月に南ア小売売上高は前月比で-11.2%(予想-2.7%)、前年比でも-0.8%(+3.3%)まで落ち込んだ。7月の各地での暴動により、輸送や港湾などが麻痺し、暴動の被害を受けないために小売業が店を閉じ、製造業も生産を中断したことなどが要因である。ある程度の落ち込みは予想はされていたが、昨年のパンデミック禍によるロックダウン時よりも売り上げが減少したことはサプライズと言える。

 

米国との関係強化はメキシコにとってもポジティブ材料

先週、4年ぶりに米国とメキシコで再開されたハイレベル経済対話での主要課題となったサプライチェーン(供給網)の強化について、昨日にはクロティエ経済相が国内の半導体生産拡大のために製造に不可欠な水が豊富な南部諸州に製造拠点を建設する可能性を示唆した。これはかねてよりロペスオブラドール大統領が目指す貧しい南部諸州の発展にもつながる話でもあり、米国との関係強化も含めてメキシコにとっては明るいニュースとなっている。

 

米下院歳入委、経済対策財源の2.1兆ドル増税を可決

米下院歳入委員会は、主に企業と富裕層を対象とする2兆1000億ドルの増税措置を賛成多数で可決した。3兆5000億ドルの税制・支出計画に含まれる数十年ぶり規模の社会支出拡大の財源となるもので、バイデン米大統領の計4兆ドル規模の長期的な経済課題の法制化に向け一歩近づいたことになる。

 

9月NY連銀製造業景気指数はQ3の強い経済を示唆

米9月NY連銀製造業景気指数は34.3と、8月18.3から予想外に予想のほぼ2倍近く上昇し、強い成長を示唆した。地区連銀製造業指数の中でも、早い時期に発表される同指数は最新の製造業活動状況を判断する上で度々注目される。加えて、6カ月先の見通しで景況指数が48.4と、8月46.5から上昇していることも期待が持てる。一方で、新型コロナウィルスの変異株流行で消費者マインドが悪化している。米国経済の7割を占める消費の伸びが滞り、景気回復の障害になるとの警戒感は根強い。中国の8月小売りも予想を大幅に下回る伸びにとどまった。製造業の順調な回復が証明された形だが、商務省が発表する8月小売売上高でさらに消費動向を探る。

 

米国市場では8月小売売上高が公表:予想は前月比-0.9%

7月実績は前月比-1.1%だった。ガソリン、飲食・サービスの売上は増加したが、自動車・関連部品販売店、衣料・装飾品などの売上は低調だった。8月については、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で個人消費はさえない状態が続く可能性があるため、前月からの反動増となる可能性は低いとみられる。

 

欧米市場イベント

○17:00   レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○18:00   7月ユーロ圏貿易収支(予想:季節調整前なし/季節調整済149億ユーロの黒字)
○21:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○21:15   8月カナダ住宅着工件数(予想:26.80万件)
○21:30   7月対カナダ証券投資
○21:30   7月カナダ卸売売上高(予想:前月比▲2.0%)
○21:30   8月米小売売上高(予想:前月比▲0.8%/自動車を除く前月比▲0.1%)
○21:30   9月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:18.8)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:33.0万件/278.5万人)
○23:00   7月米企業在庫(予想:前月比0.5%)
○17日05:00   7月対米証券投資動向
○メキシコ(独立記念日)、休場

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/09/15/15:10:47

日経平均株価:達成感から利益確定売り優勢

直近で日本株は米国株との連動性が薄れていたものの、前日までの上昇により過熱感が生じていたことから、朝方から軟調な展開になった。日経平均株価は一時300円を超す下落となった。ただ、中長期的な上昇期待が大きいため、押し目買いニーズも強く徐々に下げ渋る展開になった。注目された中国の経済指標が予想を下回ったほか、北朝鮮が飛翔体を発射したと伝えられたものの、これら悪材料に対して市場は反応薄だった。結局、前営業日比158円安の3万0511円と4営業日ぶりに反落した。信用評価損益率は10日申し込み時点でマイナス7.47%と、前の週のマイナス9.23%からマイナス幅が1.76ポイント縮小した。改善は3週連続となった。

 

東京外国為替市場:リスク回避の動きでも109円台半ばを維持

ドル/円は、前日に発表された8月米消費者物価指数(CPI)が予想を下回り、米FRBによる早期テーパリング観測がやや後退するなかでドル売り・円買いが先行し、109.55円付近まで下落した。日経平均株価がさえない動きとなったことも、リスク回避の円買いを誘った。ただ、心理的節目の109.50円に接近すると下げは一服した。その後は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りを持ち込み、109.60円台へ値を戻した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、109.60円前後でもみ合い相場となった。今晩の米国株価動向などを見極めたいとのムードが広がった。なお、日本政府が午後1時前に『北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射された』と発表したものの、相場への影響は限定的だった。ユーロ/ドルは、1.1805ドル前後で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国恒大集団の経営危機:政治問題へ発展か

多額の負債を抱える不動産開発業者、中国恒大集団(チャイナ・エバーグランデ・グループ)が、不満を募らせた投資家の抗議デモへの対応に追われている。同社が手掛けたアパートの買い手による怒りは、これよりさらに大きくなりそうだ。中国恒大の本社前に13日、個人投資家が詰めかけてデモを行った。同社が保証していた資産運用商品『理財商品』の一部が期限に支払いを履行できなかったためだ。中国のソーシャルメディア上ではデモの様子をとらえた動画が瞬く間に拡散した。中国恒大は14日、第三者が発行した9億3400万元(約159億3000万円)相当の理財商品について、子会社2社が保証人としての義務を履行できなかったと明らかにした。

 

トルコ建設業界がセメント価格の急騰に抗議

世界的に建設資材価格の上昇が懸念されているが、トルコでは主要建設会社の組合『建設請負業者連盟』が先週、セメント価格の急騰に抗議し『全ての』建設プロジェクトを停止したと報じられた。12万人の会員を擁するこの連盟は『セメント業界の不公平で法外な値上げで、建設業界には解雇とボイコット以外の選択肢がなくなった』と述べ、『24日まで建設を中止する』との声明を発表した。トルコ政府は先週、新たな中期計画を発表した。計画には順調な経済成長が織り込まれており、そのけん引役として期待されているのが建築業界である。そのため政府は巨額な公共事業を承認し、また住宅ブームを後押ししている。建設業界の怒りをおさめるため、競争規制機関はセメントの価格を調査している。世界的な資源価格の高騰や通貨リラ安で、セメント価格が正当と評価される可能性はある。その時、トルコの建設業界はどのような行動にでるのか注目されている。

 

南アの7月小売売上高が公表:暴動の影響から前月比ではマイナス

本日は南アからは7月小売売上高が発表される。市場では前年比では+3.3%程度の予想である。昨年はパンデミック禍のロックダウンが厳格だったことで、前年比では上昇が予想されている。一方で、前月比では-2.7%程度との予想となっている。前月比の落ち込みは、7月は各地で暴動が起きたことで、輸送や港湾などが麻痺してしまった影響などが結果に反映されるのが理由となっている

 

メキシコは格下げの可能性も:格付け会社フィッチ・レーティング

昨日、格付け会社フィッチがメキシコに関する最新のレポートを発表した。それによると、メキシコのガバナンスが過去10年間悪化しており、主要セクターやコロナ後の成長軌道に関わる運用環境に不透明感を与えているとした。法の支配や政府の有効性、汚職の抑制など長年課題とされる状況が改善していないことを挙げており、このまま続くようならば格下げの可能性も出てきた。

 

米8月CPIの伸びは7ヵ月ぶりに低水準

米労働省が発表した8月消費者物価指数(CPI)は前月比+0.3%となった。伸びは7月+0.5%から予想以上に鈍化し1月以降7カ月ぶり低水準にとどまった。前年比では+5.3%。伸びは予想通り7月+5.4%から鈍化し5月来で最小となった。連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として注視している食品やエネルギーを除いたコア指数は前月比+0.1%と、予想外に7月+0.3%から鈍化し2月来で最小となった。前年比では+4.0%と、7月+4.3%から予想以上に鈍化し5月来で最小となった。特に前年比での伸びの鈍化により、インフレ過熱への警戒感が後退した。
先週発表された8月生産者物価指数(PPI)でも前年比では高水準となったが、前月比では鈍化の兆しも見られ、今後、前年比でも伸びが弱まる可能性が示唆された。FRBの予想通り、最近見られていた高インフレが一時的要因によるものであることが証明されつつある。この結果は来週21日、22日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)での金融政策決定会合において参考になる。新型コロナウイルス変異株の感染拡大により、8月の消費信頼感は落ち込んでおり、今後の消費や景気回復の障害になる可能性も警戒される。

 

欧米イベント

○15:00   8月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.5%/前年比2.9%)
○15:00      CPIコア指数(予想:前年比2.9%)
○15:00   8月英小売物価指数(RPI、予想:前月比0.5%/前年比4.7%)
○15:45   8月仏CPI改定値(予想:前月比0.6%/前年比1.9%)
○18:00   7月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比0.6%/前年比6.3%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   7月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比3.3%)
○21:30   8月カナダCPI(予想:前月比0.1%/前年比3.9%)
○21:30   9月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:18.0)
○21:30   8月米輸入物価指数(予想:前月比0.3%)
○21:30   シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○22:15   8月米鉱工業生産指数(予想:前月比0.4%)
          設備稼働率(予想:76.4%)
○23:30   EIA週間在庫統計
○24:00   レーンECB専務理事兼主任エコノミスト、講演

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/09/14/14:27:04

日経平均株価:31年ぶりの高値水準に到達

日経平均株価は2月16日の取引時間中に付けた年初来高値3万0714.52円を更新し、31年ぶりの高値水準に到達した。上昇ピッチが速いために、調整に入るとの警戒感があるものの『主力銘柄でPERが10倍に満たないものが多く、チャート上の節目を突破したと言っても、割安修正の動きに変わりがない。その点からさらに上値が期待できる」との声も聞かれた。ただ、午後は利益確定売りが出て上値を抑えた一方で、出遅れていた投資家の買いも入り3万0600円台での推移が続いた。結局、前営業日比222円高の3万0670円と3日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク選好の円売りで110円台回復

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の続伸に支えされ、110.10円付近へじり高となった。米長期金利が小幅に上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。ただ、前日につけた高値110.16円接近すると上げは一服した。午後は手掛かり材料難から積極的な売り買いは目立たず、110.05円前後で方向感に乏しい値動きが続いた。今晩発表される8月米消費者物価指数(CPI)を極めたいとのムードが広がった。ユーロ/ドルは、1.1815ドルを挟んでもみ合う展開が続いた。欧州勢待ちの様相となっている。

 

トルコ中銀による早期金融緩和に対する警戒感はひとまず和らぐ

先週カブジュオール・トルコ中銀総裁による『コア・インフレ重視』発言で高まった早期金融緩和に対する警戒感はひとまず和らいだ。これまで利下げを強く求めていたエルドアン・トルコ大統領が、このところ金利についてあまり言及しなくなったことも市場に安心感を取り戻させているのかもしれない。ただ、来週にはトルコ中銀の金融政策決定会合が控えており、いつまた中銀に緩和圧力を強めてくるかもしれず、常に大統領発言には注意が必要である。 

 

石油関連会社の争いが米・メキシコ間の関係悪化に広がるか注視

米採掘会社タロス・エナジーなどの企業連合が発見したメキシコ湾南部のザマ油田を巡ってメキシコ・エネルギー省が運営会社を国営石油会社ぺメックスに独断で決定したことに対して、タロス・エナジーは紛争についてメキシコ政府に書簡で通知した。米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の規定に反するものとして、投資家対国の紛争解決に発展する可能性が出てきた。石油関連会社の争いが米・メキシコ間の悪化へとつながることも否定できなくなってきたため、今後の動向に注視する必要がある。

 

顧客が米国株を2週間ぶりに買い越し:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズの14日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は6~10日の1週間に米国株を26億1900万ドル買い越した。2週ぶりに買い越しに転じることになる。前週は7週ぶりに小幅売り越しに転じていたが、この週は10日に発表される8月の卸売物価指数(PPI)が前月比0.7%上昇して市場予想の0.6%上昇を上回ったことでインフレ懸念が高まり、S&P500指数が1.69%安で3週ぶりに下げた時だった。主体別動向ではヘッジファンド(HF)が19億1700万ドルの売り越しで、3週ぶりに売り越した。機関投資家は19億9000万ドルの買い越しで、2週ぶりの買い越しだった。個人投資家は200万ドルの小幅売り越しで、6連続の売り越しとなった。企業の自社株買いは25億4800万ドルで、5週連続で20億ドルを上回って活況だった。傾向としては、個別株買い・上昇投資信託(ETF)売りの流れの中、HFの大幅売り越しが目立った。ヘルスケアを除く全てのセクターで個別株買いが見られたといい、従来の個別株売り・ETF買いの状況に対してパッシブからアクティブに投資手法が変化した可能性がうかがえた。

 

ハリケーン『ニコラス』が米テキサス州に上陸する可能性

熱帯低気圧 『ニコラス』はハリケーンに発達して米テキサス州に上陸する可能性がある。2週間前にハリケーン『アイダ』の直撃を受けて復旧途中のテキサス州ヒューストンやルイジアナ州の一部地域に大雨をもたらしそうだ。米国立ハリケーンセンター(NHC)の東部時間13日午後5時(日本時間14日午前6時)の発表によれば、ニコラスはテキサス州ポートオコナーの南70マイル(約113キロメートル)にあり、風速は時速65マイル(秒速約29メートル)。メキシコ湾沖合の石油・天然ガスのプラットフォームの大部分を避けて通過する見通しだが、地域の一部で最大20インチ(約510ミリ)の降雨の可能性があり、沿岸の製油所や石油化学施設に脅威となる。ルイジアナ州のエドワーズ知事は非常事態を宣言し、テキサス州のアボット知事は救急隊に嵐への備えを命じた。気象予報センターによると、13日から15日にかけて大雨となる可能性が高い。速度が遅いため通過する地域に洪水リスクが高まっている

 

米国市場では8月消費者物価コア指数が公表:予想は前年比+4.3%

7月実績は、前年比+4.3%だった。7月は、住居、新車などが上昇に寄与したが、航空運賃や自動車保険は下落した。ただ、供給制約や需要増の影響は広範囲に及んでいることから、8月のコア指数の上昇率は4%台前半となる可能性がある。

 

増税計画まとまらずインフラ法案と歳出法案は先送りの可能性

民主党が提案している3.5兆ドル規模のインフラ投資計画において、中道派下院のマンチン議員が規模の縮小を訴えた。バイデン大統領やペロシ下院議長は今月中にも民主党の政策を多く組み入れたインフラ法案と歳出法案を可決する意向であったが、先送りされる可能性が強まった。詳細はまだ、明らかにされていないが、この法案には増税も含まれている。税制計画の中で、現行21%の法人税率は26.5%へ引き上げが提案されると報じられた。バイデン大統領が提案している28%は下回る。
新型コロナウイルス・デルタ変異株の影響ですでに消費や回復の成長に懸念が強まる中、増税が回復のさらなる障害になると警戒感も強い。ただ、ゴールドマンサックスのエコノミストは増税にも、米国経済の成長軌道は変わらずと楽観的見方を維持している。

 

欧米市場のイベント

○15:00   8月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○15:00   5-7月英失業率(ILO方式、予想:4.6%)
○15:30   8月インド卸売物価指数(WPI、予想:前年比10.75%)
○15:30   8月スイス生産者輸入価格
○16:30   8月スウェーデン消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.2%/前年比1.7%)
        コア指数(予想:前月比0.2%/前年比1.9%)
○21:30   7月カナダ製造業出荷(予想:前月比▲1.2%)
○21:30   8月米CPI(予想:前月比0.4%/前年比5.3%)
       エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.3%/前年比4.2%)
○第76回国連総会開幕(ニューヨーク)

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/09/13/15:13:49

日経平均株価:利益売り優勢ながら底堅い展開が継続

前週末の海外株式市場は、欧州株がECBが新型コロナウイルス禍で導入した債券買い入れプログラムを縮小する方針を示したことを受け下落、米国株もインフレ上昇への警戒感が圧迫する形で軟調推移となった。前週末の欧米株価の下落に連れ、朝方に小安く始まった後もマイナス圏での推移が続いた。高値警戒感から利益確定売りが優勢になった。前週末にはトヨタ自動車が通期の世界生産計画を下方修正しており、自動車関連株は軟調だった。ただ、東エレクやアドバンテストといった値がさの半導体関連の一部が高く推移したことで指数の押し上げに寄与した。結局、前営業日比65円高の3万0447円続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:日米金利差拡大からドル買いやや優勢

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りが先行し110.00円付近まで小幅に値を上げた。10日に米長期金利が一時1.35%付近へ上昇し、日米金利差が拡大したこともドル買いにつながった。午後は、ユーロ/ドルのユーロ安・ドル高が波及し、110.05円付近まで上昇した。日経平均株価がプラス圏に持ち直したことも、リスク選好の円売りを誘った。ユーロ/ドルは、明日の8月米消費者物価指数(CPI)を控えた持ち高調整などのユーロ売り・ドル買いに押され、1.18ドル台を割り込んで一時1.1788ドル付近まで下落した。

 

トルコ中銀はコアCPI指数を政策の軸:早期利下げの警戒感

トルコ消費者物価指数(CPI)で値動きの激しい食品やエネルギーなどを除いたコア指数は8月、前年比で16%後半まで伸び率が低下した。カブジュオール中銀総裁は、これまで伝統的に金融政策の先行指標とされたCPI総合(8月は19%超え)ではなく、コア指数をより政策の軸に置くことが示唆し、市場は早期利下げへの警戒感を強めている。23日の金融政策決定会合でいきなり利下げをするとは思えないが、トルコ中銀は第4四半期のインフレ低下を予想しており、緩和に向けた協議が始められることになりそうである。実質金利マイナスが長引く可能性が高くなれば、リラを手放す動きが進みやすい。

 

SARB総裁は利上げを否定しているとの見方

クガニャゴ南アフリカ準備銀行(SARB)総裁が『インフレ目標を現行の3-6%ではなく、3-4%程度かつ±1%の誤差を認めることが有益』と発言した。南アCPIは前年比で7月が+4.6%、6月は+4.9%だったことですでに目標を上回っており、市場では一時利上げ観測からランド買いでの反応となった。しかし、SARB総裁は『インフレ目標が高いことが、高インフレ国から抜け出せない要因』と説明し、低金利維持のためにインフレ目標を引き下げたい考えを示している。また、目標達成のために政府と協力し、電気や水などの価格引き下げを目指すことが必要と促してもいる。SARB総裁としては『政府が高いインフレ目標に甘えているから、一向に高インフレ国から抜け出すことができないというスタンスで、利上げを否定している』との見方も台頭している。

 

米連邦債務上限問題続く:米デフォルトリスク

連邦債務上限に関しては、イエレン米財務長官が『手元資金のやり繰りを巡って財務省が行っている臨時措置がいつまで継続するかは分からない」』として議会に改めて対応を要請した。しかし、ペロシ米下院議長は、28兆5000億ドルの債務上限を引き上げる必要があるとしながらも、3兆5000億ドル規模の歳出法案に債務上限引き上げに関する条項を盛り込まない方針を示している。さらに、民主党中道派のマンチン上院議員が歳出法案を見直すべきと主張しており、上院は民主党50議席、共和党50議席と拮抗していることで、マンチン上院議員が造反した場合、法案成立が難航する可能性が高まるため、マンチン上院議員の発言に注目していくことになる。

 

米民主党は法人税率上げと富裕層向け付加税提案へ

有力欧米紙であるウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、議会側近の話として、下院民主党が法人税率の21%から26.5%への引き上げを提案する見通しだ、と報じている。予算法案の一環として、500万ドルを超える個人所得に対する3%の付加税も提案する見通しだという。

 

米生産者物価指数(PPI)は高止まり

8月PPIは前月比+0.7%。伸びは7月+1.0%から鈍化も予想は上回った。前年比では+8.3%と、7月+7.8%から予想以上に伸びが拡大した。少なくとも2010年来で最大を記録した。変動の激しい燃料や食品を除いたコアPPIは前月比+0.6%と、7月+1.0%から伸びが鈍化。5月来で最小となり、物価の上昇は一段落した可能性が示された。一方、前年比では+6.7%。伸びは7月+6.2%から予想以上に拡大し2010年来で最大を記録した。新型コロナウイルスのデルタ変異株流行が消費を抑え、下半期の回復ぺース減速に繋がるとの懸念が強まる一方で、ボトルネック問題が長引き高インフレが根強き、スタグフレーション懸念も浮上している。米連邦準備制度理事会(FRB)は最近の高インフレが一時的との見方で、2022年の初旬にはサプライチェーンの混乱も沈静化し、インフレもいずれ伸びが鈍化すると見ている。

 

米FRBは11月の資産購入縮小へ地ならし

米連邦準備制度理事会(FRB)当局者は11月からの金融緩和政策の縮小へ向け、次の会合で合意形成を目指そうとしている。当局者の多くは最近のインタビューや講演で、月額1200億ドル(約13兆円)の米国債と住宅ローン担保証券の購入について、年内に縮小(テーパリング)を開始する可能性があると述べている。9月21-22日に開催される会合でそれが打ち出される可能性は低いものの、パウエル米FRB議長はその次の会合(11月2-3日)で着手する可能性が高いことを示唆するために、9月の会合を利用するかもしれない。現在検討中の計画では、来年半ばまでに資産購入を終了できるペースで買い入れを縮小する可能性がある。パウエル米FRB議長は最近の講演で、『経済がおおむね想定通りの進展を遂げれば、年内に資産購入ペースを減速させ始めることが適切となり得る』と7月の会合で考えていたことを明らかにした。パウエル氏に強く同調するニューヨーク連銀のジョン・ウィリアムズ総裁も、8日のバーチャル会合でほぼ同一の発言をしている。

 

欧米市場イベント

○15:00   8月独卸売物価指数(WPI)
○16:00   7月トルコ経常収支(予想:5.7億ドルの赤字)
○16:00   7月トルコ鉱工業生産
○14日03:00   8月米月次財政収支(予想:1730億ドルの赤字)
○ノルウェー総選挙

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2021/09/10/15:11:50

日経平均株価:高値警戒感あるもののアジア株高を好感した買い優勢

東京市場では、本日はSQ(特別清算指数)に絡んだ注文が買い優勢だったとみられ、高く始まった。その後は、高値警戒感から伸び悩む場面もあったが、上海株や香港株などアジア株がプラス圏で推移する中、上げ幅が拡大した。日経平均のSQ値は、  3万0085.93円になる見通し。買い気配となっている新生銀行をストップ高の1740円で計算した。正式なSQ値は、大引け後に大阪取引所から発表される。結局、前営業日比373円高の3万0381円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク選好の円売り優勢も110円台に届かず

ドル/円は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、109.70円台を中心とした狭いレンジで取引された。本日は五・十日にあたり、仲値にかけて本邦実需筋の動向が注目されたが、需給に大きな偏りはみられなかった。午後に入ると、日経平均株価の大幅反発やアジア株高を眺めたドル買い・円売りが散見され、109.90円付近までじり高となった。また、長期金利が持ち直したこともドル買いを支えた。ユーロ/ドルは、1.1830ドル前後でこう着相場となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国の金融緩和はインフレ上昇懸念から先送りの可能性も

国家統計局が発表した8月の消費者物価指数(CPI)は0.8%上昇となり、伸び率が前月から0.2ポイント低下し、市場予想の1%増に届かなかった。一方、8月のPPIは9.5%上昇と前月から0.5ポイント加速した。市場予想の9%増を上回り、08年8月以来、13年ぶりの高水準となった。

中原銀行の王軍首席エコノミストは中国の8月の貿易統計と生産者物価指数(工業製品出荷価格:PPI)がともに強い内容になったことを踏まえ、7-9月期に預金準備率が引き下げられる可能性は低下したとの見方を示した。7-9月期に経済成長が失速するとの悲観シナリオが現実になることはなく、これまでにくすぶっていた利下げ期待も後退するとした。預金準備率の引き下げや利下げは早くても10-12月期にずれ込むと予想している。

 

バイデン大統領と中国の習主席が2回目の電話会談

ホワイトハウスが米国東部時間9日、バイデン大統領が中国の習近平国家主席と電話会談したと発表した。両国関係の対立が続く中、両首脳は『競争が衝突に発展しないようにするための両国の責任』について協議した。バイデン氏と習氏の電話協議は、バイデン氏が大統領に就任してから2回目となった。政治情報サイトのポリティコによれば、電話は90分続き、口調は率直で親しみやすいものだったという。バイデン政権の幹部は記者団に対し、バイデン氏は米国と中国の当局者間の低いレベルでの協議が重要な問題についての突破口を達成できていないことが明らかになった後、習氏との会談を追求したと語ったとのことであった。両首脳は経済問題について話し合ったが、習氏は米国の関税などでバイデン氏に具体的な質問をしなかったという。サウスチャイナ・モーニング・ポストによれば、中国政府の声明では『率直かつ詳細な議論を行い、彼ら(米国)の呼びかけを受けてコミュニケーションを強化することに合意した』という。

 

ECBも徐々にテーパリングに向かっての助走

ECBは定例理事会で市場の予想通り政策金利の据え置きを決定した。同時に景気回復にともない今後3カ月の緩和措置微調整により、パンデミック資産購入プロブラム(PEPP)のペース減速を決めた。APPはEU200億ユーロのペースを継続する。ラガルド総裁はこの決定が全会一致で、ECBがテーパリングをするわけではないと主張した。12月会合で、PEPPに関し包括的な協議をする。

 

トルコリアの強弱材料とは

トルコ中銀総裁が一昨日、金融政策の決定材料に(伸びが鈍化した)コア・インフレ率を重要視すると述べた影響は依然として市場に残っている。23日の金融政策決定会合でいきなりの利下げはないにしても、中銀総裁が第4四半期のインフレ低下を予想(または期待)しているところからも、次期会合で金融緩和について協議される可能性は高くリラの重石になっている。一方で、リラの支持材料としては、トルコ中銀の外貨準備高が拡大傾向なことである。昨日発表された3日時点の数値では、金保有高を除く準備高はグロスで約780億ドルと年初来で56%ほど増加した。他、トルコが地域的なライバルであるエジプトとの関係改善を目指して動いていることも、結果は直ぐにでないにしても国際社会から好感される材料になる。

 

南アの経常収支が過去最大:暴動後の結果が出るまでは動きにくい

昨日発表された南アの経常収支が過去最大の黒字となったことは、南アにとってはポジティブ要因である。貿易黒字は1-3月期の4510億ランドから、4-6月期には過去最高の6140億ランドに拡大したことが、経常収支の大幅黒字に貢献している。ただし、この指標も4-6月期のもので、7月の暴動時に港湾や輸送が麻痺したものが含まれていないことで、7-9月期を確かめるまでは市場は動きにくい。

 

米新規失業保険申請件数はハリケーンの影響で来週は増加予想

労働省が発表した先週分新規失業保険申請件数(9/3)は前週比3.5万件減の31万件となり、パンデミック以降で最小となった。失業保険継続受給者数(8/27)は278.3万人と、前回280.5万人から減少も予想は上回った。大幅な減少はハリケーン『アイダ』の影響で申請ができなかったためで、来週は増加が予想されている。

 

欧米市場イベント

○15:00   8月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比横ばい/前年比3.9%)
○15:00   7月英国内総生産(GDP、予想:前月比0.6%)
○15:00   7月英鉱工業生産指数(予想:前月比0.4%/前年比3.0%)
○15:00   7月英製造業生産高(予想:前月比0.1%)
○15:00   7月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:110.00億ポンドの赤字/16.00億ポンドの赤字)
○15:00   8月ノルウェーCPI(予想:前月比▲0.3%/前年比3.1%)
○15:45   7月仏鉱工業生産指数(予想:前月比0.4%)
○16:00   7月トルコ失業率
○17:00   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○18:30   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、記者会見
○19:10   エルダーソンECB専務理事、講演
○19:30   ロシア中銀、政策金利発表(予想:7.00%に引き上げ)
○20:00   7月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比0.3%)
○21:00   7月インド鉱工業生産(予想:前年同月比10.7%)
○21:00   7月ブラジル小売売上高指数(予想:前年同月比3.5%)
○21:30   8月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化10.00万人/失業率7.3%)
○21:30   4-6月期カナダ設備稼働率(予想:81.2%)
○21:30   8月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.6%/前年比8.2%)
       食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.5%/前年比6.6%)
○22:00   メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○23:00   7月米卸売売上高(予想:前月比1.0%)
○23:00   7月米卸売在庫(予想:前月比0.6%)
○11日01:00   4-6月期ロシア国内総生産(GDP)改定値(予想:前年比10.3%)
○ユーロ圏財務相会合(非公式)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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