FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2021/09/02/15:13:32

日経平均株価:好地合いが継続して底堅く推移

前日までの好地合いを継続し買い優勢で始まったものの、これまでの上昇が比較的早かったことで高値警戒感が生じ、中頃から伸び悩んでもみ合いに終始した。押し目買いも意欲もあり、崩れる気配は見られなった。市場では、高値警戒感があり上値を追うのは難しいが、テクニカル的には基調の強さも感じられるため下値も堅いとの声もあった。結局、前営業日比92円高の2万8543円と7月14日(2万8608円)以来、1ヵ月半ぶりの高値で終了した。海外投資家の8月第4週(23日~27日)では、45億円の売り越しとなり、売り越しは2週連続となった。一方、先物は3346億円の買い越しとなり、買い越しは2週ぶりになった。

 

東京外国為替市場:新規材料乏しく110円挟んで小動き

ドル/円は、仲値に向けて本邦輸出勢などのドル売り・円買いが通常より多く持ち込まれ、109.88円付近まで値を下げた。日経平均株価が朝高後に伸び悩み、プラス圏から一時マイナス圏へ転じたこともリスク回避の円買いを誘った。しかし、前日の海外市場でつけた安値109.88円に接近すると下げは一服した。その後は、値ごろ感からのドルの押し目買いが入り、110.00円近辺へ値を戻した。午後は、新規の手掛かり材料に乏しく、110.00円を挟んで小動きに終始した。今晩発表される週間の米新規失業保険申請件数や米株価動向を見極めたいとのムードが広がった。ユーロ/ドルは、1.184ドル前後で方向感の乏しい値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

OPECプラスの段階的な原油増産継続歓迎:米ホワイトハウス

米ホワイトハウスは1日、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成する『OPECプラス』が原油生産の段階的な拡大継続を決定したことを歓迎すると表明した。その上で、景気回復支援に向けて一層の取り組みを求めていく考えを示した。
ホワイトハウスの報道官は『7月の増産合意と同様に、OPECが原油生産の段階的拡大を継続することを歓迎する』と表明した。『価格決定における競争市場の重要性や、回復支援に向けた一層の取り組みについて、OPECプラスのメンバーと引き続き接触していく』と述べた。

 

4-6月期トルコGDP伸び率は過去最大

昨日発表された4-6月期トルコGDPは前年比21.7%と四半期ベースの上昇幅としては過去最大を記録した。昨年のコロナ禍との比較であることは考慮しなければならないが、トルコ経済が回復基調だということは確かである。カブジュオール・トルコ中銀総裁は昨日、7-9月期も経済活動は活発化していると成長の継続に自信を示した。 また、GDPと同時に発表された8月トルコ製造業PMIも54.1と景況判断の分岐点となる50を3カ月連続で上回った。トルコでは7月以降、新型コロナウイルスの感染者数が急増したが製造業への影響はかなり限定的だった。

 

南アの景気悪化による治安の乱れなどが懸念

8月のABSA製造業PMIは7月の43.5ポイントから57.9ポイントへと急上昇した。これは7月末から、アルコールの解禁などをはじめロックダウンが緩和されたことが要因となっている。しかしながら、雇用指数は7月の47.6ポイントから8月は47.1ポイントに低下した。南ア鉄鋼技術産業連盟によると、製造業の雇用は2008年に記録された37.9%よりもさらに悪い35%に低下している。このこともあり、今後は再び南アの治安の乱れなどを懸念する声もある。

 

メキシコ中銀のインフレレポートでは上方修正

メキシコ銀行(中央銀行)がインフレレポートを公表した。10-12月期のインフレ見通しを従来の4.8%から5.7%へと上方修正した。また、レポートでは『2022年の初めまで5%を超えるインフレが続く』としている。さらに、今年のGDP成長率見通しも従来の6.0%から6.2%へと引き上げられた。今後については『成長のリスクは均衡、インフレリスクは上振れ方向』となった。ところで、ハリケーン『ノラ』はメキシコの西海岸に沿って北上した。『ノラ』は『カテゴリー1』と『アイダ』の『カテゴリー4』と比較すると勢力は大きくないものの、メキシコ西海岸のリゾート地などを直撃した。各地で洪水などが生じ、プエルトバジャルタの町では1人の死者が出たようである。また、ゲレロ州では6人の漁師が行方不明となっている。

 

3日の米8月雇用統計では好悪サプライズどちらもあり

先行指標の中で労働省が発表する雇用統計と最も相関関係が強いとされる民間の雇用者数を示すADP雇用統計の8月分は前月比+37.4万人と、7月+32.6万人から伸びが拡大も、予想のほぼ半分にとどまった。7月も同様に60万人超の増加が予想されていた中、32.6万人にとどまったが、雇用統計では、6月に続き90万人超の雇用の増加となった。パンデミックの影響で連邦・地方職員、教員などの季節的な調整が複雑になっていることが影響している可能性もある。このため、雇用は鈍化傾向にあるとはいえ8月の雇用統計でも、6月、7月同様100万人近くの雇用の増加というポジティブサプライズも不可能ではない。週次の失業保険申請件数も減少傾向にあり、40万を下回る水準を維持している。 一方で、全米の製造業動向を示す、ISM製造業の雇用は49と、再び活動の拡大と縮小の境目となる50を割り込んだ。昨年11月来で最低。各地区製造業の雇用も軒並み鈍化している。製造業は半導体不足が長引き、生産ができずに工場の操業停止をやむなくされる企業も少なくない。ゴールドマンサックスは新型コロナウイルスデルタ株流行による労働市場への影響が予想以上で非農業部門雇用者数の予想を従来の60万増から50万増に引き下げた。

 

市場の注目はテーパリングから利上げ時期に移行

パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長ら当局者は、資産購入のテーパリング(段階的縮小)を年内に開始する準備を進めているところで、今後は2018年以来となる利上げがいつになるのかに関心が移行する。6月に公表された連邦公開市場委員会(FOMC)参加者の四半期経済予測の金利予測分布図(ドット・プロット)を見ると、22年の利上げ開始を見込んでいたのは18人中7人だったが、今月公表される最新予測ではこの人数が増える可能性もある。

 

欧米市場イベント

○15:30   8月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.1%)
○15:30   7月スイス小売売上高
○16:00   4-6月期スイス国内総生産(GDP、予想:前期比2.0%/前年比9.0%)
○18:00   7月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比1.1%/前年比11.0%)
○20:30   8月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:30   7月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比0.3%)
○21:30   7月カナダ貿易収支(予想:14.0億カナダドルの黒字)
○21:30   4-6月期米非農業部門労働生産性・改定値(予想:前期比2.4%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:34.5万件/277.5万人)
○21:30   7月米貿易収支(予想:710億ドルの赤字)
○23:00   7月米製造業新規受注(予想:前月比0.3%)
○3日02:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、討議に参加
○3日04:00   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、ウェブセミナーに参加

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/09/01/15:15:07

日経平均株価:感染者鈍化と政局を巡り動きから買い優勢に

前日の米国株市場は安かったものの、日本株は好地合いを引き継ぐ形で幅広く物色され、上値を追う展開になった。市場では、国内での新型コロナウイルスの新規感染者数が前週比で減少傾向となっていることや、政局を巡る動きが加速していることが材料視された。感染者数の鈍化で欧米株に出遅れた形で追いつくとの期待があった。ただ、午後は高値圏で一進一退の展開だった。結局、前営業日比361円高の2万8451円と3日続伸して7月14日以来およそ1ヵ月半ぶりの高値となった。信用評価損率は8月27日申し込み時点でマイナス10.79%と、前週のマイナス12.88%からマイナス幅が2.09ポイント縮小し、改善は2週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:米長期金利上昇でドル買い優勢に

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや米長期金利が上昇したことに支えられ、110.25円付近へじり高となった。日経平均株価の大幅高もリスク選好の円売りが強まった。午後は、手掛かり材料難から積極的な売り買いは目立たず、110.20円台を中心とした狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、米長期金利上昇を眺めたユーロ売り・ドル買いが入り、1.18ドル台を割り込んで1.1795ドル付近へ下落した。

 

衆議院の解散・総選挙後には株高になりやすいというジンクス

市場では衆議院の解散・総選挙後には株高になるとの経験則がある。8月31日夜に浮上した『菅首相が自民党総裁選を先送りし、9月上旬にも衆院解散に踏み切る』との観測が、相場では『買い』と判断された。菅首相がこの観測を否定したと伝わると日経平均株価も伸び悩む場面もあったが、『自民党総裁選との前後はどうであれ、総選挙を控えている状況には変わりない』ことが市場で意識された。2012年、14年、17年に実施された3回の総選挙時には、投票日から60営業日後までの期間にTOPIXがいずれも大幅に上昇した。

 

各都市の家賃上昇率を年5%までに制限:中国

中国政府は、各都市の家賃について年5%を超えて上昇するべきではないとする指針を示した。中国が家賃の伸び率に制限を設けるのは初めてのことである。習近平国家主席が『共同富裕』に向けて貧富の格差縮小を目指す中、低所得層の窮状が政策立案者の関心事になっている。当局者はまた、過度に高い家賃を請求するなど、不動産会社やオンライン不動産プラットフォームによる不当行為を取り締まる。今回の規則は向こう3年間の不動産市場改革の一環である。政府は投機や住宅価格の上昇につながっているとする不正行為の撲滅を目指している。

 

中国8月財新中国製造業PMIは50割れ

中国メディアの財新と英IHSマークイットが発表した2021年8月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.2と、市場予想の50.2を下回った。20年4月以来16ヵ月ぶりに好不況の分かれ目となる50を割り込み、20年2月(40.3)以来の低水準となった。前月比では1.1ポイント低下した。

 

来年は供給過剰へ転換予想:OPECプラス専門委員会

石油輸出国機構(OPEC)にロシアなど非加盟産油国を加えた『OPECプラス』の合同専門委員会(JTC)は、石油市場の見通しについて、今年は引き続き日量90万バレルの供給不足となるものの、来年は生産拡大に伴い同250万バレルの供給過剰に転じるとの見方を示した。OPECプラスは9月1日に閣僚級会議を開き、今後の生産方針について話し合う。関係筋によると、会議では現行の計画を据え置き、予定通り小幅な増産を進める公算が大きい。OPECプラスは今後数ヵ月、協調減産を毎月日量40万バレル縮小することで合意している。

 

米消費の急激な落ち込みで2番底懸念も

コンファレンスボードが発表した8月消費者信頼感指数は113.8となった。7月分は129.1から125.1へ下方修正され、予想以上に低下し、2月来で最低。現況は147.3と、2カ月連続の低下で4月来で最低となった。7月分は160.3から157.2へ下方修正された。期待は91.4と1月来で最低となった。7月分は108.4から103.8へ下方修正された。
新型コロナウイルスのデルタ株感染拡大やインフレが13年ぶりの高水準で、消費者マインドが悪化した。現況の経済状況や短期的な楽観的な見通しが後退した。消費者の住宅、自動車、家電購入意欲も後退した。一方、6カ月内に休暇取得を考えている消費者は依然高止まりとなった。1年物の期待インフレは6.8%と、6.6%から上昇し、2008年来で最高を記録している。雇用の現況や見通しでも若干鈍化の兆しが見られる。急激な消費の冷え込みで2番底懸念に陥る可能性を警戒する悲観的な予測もある。

 

米国市場では8月ISMA製造業景況指数が公表:予想は59.0

7月実績は59.5だった。新規受注はまずまず高い水準を維持する見込みだが、雇用の大幅な改善は期待できないこと、コスト増は一服していることから、全体的には小幅な低下にとどまる見込みとなっている。

 

欧米市場のイベント

○15:00   7月独小売売上高指数(予想:前月比▲0.9%/前年比3.7%)
○15:00   8月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.2%)
○16:00   4-6月期トルコGDP(予想:前年比21.7%)
○16:00   8月トルコ製造業PMI
○16:30   8月スイスSVME購買部協会景気指数(予想:67.3)
○16:50   8月仏製造業PMI改定値(予想:57.3)
○16:55   8月独製造業PMI改定値(予想:62.7)
○17:00   8月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:61.5)
○17:30   8月英製造業PMI改定値(予想:60.1)
○18:00   7月ユーロ圏失業率(予想:7.6%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:00   4-6月期ブラジルGDP(予想:前期比0.2%/前年同期比12.8%)
○21:00   バイトマン独連銀総裁、講演
○21:15   8月ADP全米雇用報告(予想:61.3万人)
○22:45   8月米製造業PMI改定値(予想:61.2)
○23:00   7月米建設支出(予想:前月比0.2%)
○23:00   8月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:58.6)
○23:30   EIA週間在庫統計
○2日01:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○2日01:00   7月ロシア失業率(予想:4.7%)
○2日03:00   8月ブラジル貿易収支(予想:72.00億ドルの黒字)
○石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国による「OPECプラス」閣僚級会合(テレビ会議)

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/08/31/15:12:31

日経平均株価:底堅い展開となったことで買い戻し

日経平均はNYダウ安の流れを引き継ぎ、反落スタートした。朝方から景気敏感株を中心に売りが先行した。また、香港ハンセン指数や上海総合指数などのアジア株が下げ幅を拡大したことが重石となり、上値を追う展開にはならなかった。日経平均は11ヵ月連続月末安となっており、市場では8月も継続するかに関心が寄せられた。相場の下値が堅いとみた投資家が値ごろ感のある銘柄を物色した。また、短期筋による買い戻しも入り、相場を押し上げた。結局、前営業日比300円高の2万8089円と7月15日以来、およそ1ヵ月半ぶりの高値となった。

 

東京外国為替市場:終日108円台を中心とした狭いレンジ相場

ドル/円は、本邦輸出勢などからドル売り・円買いが持ち込まれ、109.83円付近まで下落した。米長期金利が小幅に低下したことも、ドルの押し下げにつながった。ただ、前日につけた安値109.70円が視野入りすると下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、109.85円前後で取引された。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、109.80円台を中心とした狭いレンジの取引が続いた。3日に発表される8月米雇用統計を前に、様子見ムードも広がった。ユーロ/ドルは、月末に絡むユーロ買い・ドル売りフローが持ち込まれ、1.1825ドル付近へ上昇した。

 

トルコが国際社会でプレゼンス上昇できるか

米軍がアフガニスタンを撤退し、同国を掌握したイスラム原理主義勢力・タリバンはカブール国際空港の運営支援をトルコやカタールに要請している。エルドアン・トルコ大統領は自前の治安部隊なしでは協力が難しいと述べ、やや後ろ向きの姿勢を示していたが、一部のトルコメディアによれば運営に向けた話し合いが進んでいる。トルコがアフガニスタンと北大西洋条約機構(NATO)の橋渡し役となれば、国際社会におけるトルコのプレゼンス上昇に繋がるだろう。なお、本日はトルコの7月貿易収支が発表され、赤字幅が43億ドルまで拡大することが見込まれている。予想通りであれば月間ベースの赤字が40億ドル超えは今年3回目となってしまい、リラの買いづらさに繋がってしまうかもしれない。

 

南ア大統領は3日に国会で『復興計画』の質疑応答

8月米雇用統計と同じ3日に、南アからもラマポーザ南ア大統領が『復興計画』の進捗状況を国会で発表することが、週末の29日に大統領府からアナウンスされた。雇用計画、インフラ投資、および国有企業の再編などについて説明をした後に、大統領は質疑応答を受ける予定になっている。南ア国内外ともに3日が今週の最大注目日となりそうである。

 

6週連続の米国株買い越し:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズの31日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は23~27日の1週間に米国株を15億3700万ドル買い越した。6週連続の買い越しとなる。この週は米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が27日の講演で年内の量的緩和(QE)の縮小を示唆し、市場の想定内の内容だったことでS&P500指数が1.52%高となって2週ぶりに上げて史上最高値を更新した時だった。主体別動向ではヘッジファンド(HF)が3億9200万ドルの売り越しで、3週ぶりの売り越し。機関投資家は2億8700万ドルの買い越しで、3週ぶりの買い越しだった。個人投資家は7億5700万ドルの売り越しで4週連続の売り越し、企業の自社株買いは24憶ドルで、3週連続の20億ドルを上回って活況だった。傾向としてはS&P500指数が史上最高値を更新する中、全体としては5週ぶりの買越額の大きさを記録したが、上場投資信託(ETF)買い/個別株売りの展開だった。

 

ヘッジファンドの株式ネットロングは減少傾向

ジェフリーズは29日付リポートで、米国の機関投資家が四半期ごとに投資先明細を開示する報告書『フォーム13』をもとにヘッジファンドのポジションを調査したところ、株式のネットロングは136.2%と2014年以来の水準まで低下したとの分析結果を取りまとめた。長期的成長が見込める株式へのオーバーウエートは先月の15.6%から8.4%まで低下し、20年9月水準となったとも指摘した。リポートでは夏に向けてポジションを縮小する動きが見られたとの見方が示されている。一方で、米5大IT企業であるFAANG(フェイスブック、アップル、アマゾン、ネットフリックス、グーグル)のウエートは23.6%と線g熱の21.7%から上昇したとも推計している。個別銘柄ではアップル、テスラ、エヌビディアのウエート上昇が目立ったとも指摘している。

 

テーパリングの時期探る上で注目される米8月雇用統計

米8月非農業部門雇用者数の予想は、前月比76万人程度の増加だが、最少予想が前月比+50万人程度、最大予想が前月比+102万人程度となっており、予断を許さない状況が続いている。非農業部門雇用者数が予想を上回る増加幅だった場合、7月8月の堅調な雇用情勢を受けて、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で年内のテーパリングが協議されて時期が公表される可能性が高まる。しかし、新型コロナウイルスのデルタ株感染拡大の影響で予想を下回った場合は、年内のテーパリング開始の可能性が低下することになる。

 

米FRBがハト派姿勢を保つことは難しい:BofAセキュリティーズ

Bof Aセキュリティーズは30日付リポートで、航空株アナリストがインド型(デルタ型)拡大による弱さを受けて、予約が安定しているとみる一方で、欧州連合(EU)における証拠から、米国におけるデルタ型の影響がピークに達している可能性があると推測していると指摘した。ワシントン大学のIHME新型コロナウイルスモデルでは、米国が現在、新規感染のピークレベル2週間過ぎていることを示唆しているという。次の米FOMCの日である9月22日までに、新規感染ピークから約30%減少すると予測され、『労働市場と新型コロナの状況の両方が急速に改善していることを考えると、米FRBがハト派姿勢を保つことは難しい課題になるだろう』との見解を示した。

 

米国市場では8月CB消費者信頼感指数:予想は124.0

7月実績は、129.1で高水準を維持していた。8月については、新型コロナウイルス変異株の感染拡大が警戒されていること、インフレ懸念は消えていないことから、信頼感指数は7月実績を下回る見込み。

 

欧米市場イベント

○15:00   7月南アフリカマネーサプライM3(予想:前年比0.10%)
○15:45   7月仏卸売物価指数(PPI)
○15:45   7月仏消費支出(予想:前月比0.2%)
○15:45   4-6月期仏国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比0.9%)
○15:45   8月仏CPI速報値(予想:前月比0.4%/前年比1.7%)
○16:00   7月トルコ貿易収支(予想:43.0億ドルの赤字)
○16:55   8月独雇用統計(予想:失業率5.6%/失業者数変化▲4.0万人)
○17:30   7月英消費者信用残高(予想:4.4億ポンド)
○17:30   7月英マネーサプライM4
○18:00   ホルツマン・オーストリア中銀総裁、クノット・オランダ中銀総裁、講演
○18:00   8月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比2.7%)
○18:00   8月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比1.5%)
○19:00   外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○21:00   4-6月期インドGDP(予想:前年同期比20.0%)
○21:00   7月南アフリカ貿易収支(予想:450億ランドの黒字)
○21:30   6月カナダGDP(予想:前月比0.7%/前年比8.8%)
       4-6月期カナダGDP(予想:前期比2.5%)
○22:00   6月米住宅価格指数(予想:前月比1.9%)
       4-6月期米住宅価格指数
○22:00   6月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比18.5%)
○22:45   8月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:68.0)
○23:00   8月米消費者信頼感指数(予想:124.0)

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/08/30/15:12:12

日経平均株価:目立った買い材料はないものの底堅い展開

前週末の米国株式市場で主要3指数が上昇した流れを引き継ぎ、朝方は幅広い業種で買い優勢となった。目立出った買い材料はないものの、NYダウ先物が堅調推移する一方、上海総合指数、ハンセン指数など中国株式市場が高くなっていることが下支え要因になった。しかし、月末安のアノマリーが意識されるため、上値を追う積極的に追う動きは見られなかった。一時280円高となる場面もあったが、主力銘柄に利益確定や戻り待ちの売りが出て、上げ幅を縮めた。結局、前営業日比148円高の2万7789円で終了した。13日以来の約半月ぶりの高値となった。

 

東京外国為替市場:月末に絡むドル売りで上値の重い展開

ドル/円は、本邦輸出勢などから月末に絡むドル売り・円買いフローが持ち込まれ、109.70円付近まで下落した。27日にジャクソンホールで行われたパウエル米FRB議長の講演で、早期の利上げに慎重な姿勢が示されたこともドルの重石となった。ただ、今晩の米国株価動向を見極めたい雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、値ごろ感からドル押し目買いが入り、109.80円付近へ戻した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、1009.70円台を中心とした狭いレンジでもみ合うと展開になった。ユーロ/ドルは、米FRB議長のハト派な講演内容を手がかりとしたユーロ買い・ドル売りが一巡すると1.1800ドル前後でこう着相場となった。

 

中国は価格高騰対策で金属備蓄を放出

中国政府は27日、金属価格の高騰を抑制するため、合計15万トンの国家戦略金属備蓄を来月1日の公開入札を通じて売却すると発表した。入札は3回目である。銅3万トン、亜鉛5万トン、アルミニウム7万トンを売却する。国家備蓄の放出は異例である。これまでに合計27万トンの銅、亜鉛、アルミニウムが放出された。前回7月29日の入札では、アルミ9万トンなど、合計17万トンの金属が売却されている。

 

今週のトルコの注目イベント:8月消費者物価指数(CPI)に注目

明日31日発表される7月貿易収支は、赤字幅が43億ドルまで拡大することが見込まれている。予想通りであれば月間ベースの赤字が40億ドル超えは今年3回目となり、リラの買いづらさが意識される可能性がある。また、9月1日には4-6月期国内総生産(GDP、前年比)が発表され、昨年コロナ禍との比較ですが+21.0%と大幅な成長拡大が予想されている。トルコは7月からコロナ規制の多くを緩和させており、本来ならば次の四半期も成長が見込まれている。ただ、緩和後に新規のコロナ感染者数が急増、山火事や洪水などの大規模な自然災害などで、7-9月期GDPの雲行きが怪しくなってきている。最終的には3日発表の8月トルコ消費者物価指数(CPI)を見極めることになる。8月消費者物価指数は前回の前月比+1.80%や前年比+18.95%を下回ると予想されている。前月比では+1%を割り込むと見られているが、前年比では依然として+18%台で高止まりする見通しである。予想からどの程度の振れ幅となるか、次回のトルコ中銀・金融政策決定会合に影響するため、大きな注目を集める。

【今週の予定】
・30日 トルコ祝日(戦勝記念日)
・31日 7月トルコ貿易収支(前回 28.5億ドルの赤字)
・1日 4-6月期トルコGDP(前年比、前回 +7.0%)
・1日 8月トルコ製造業PMI(前回 54.0)
・3日 8月トルコ消費者物価指数(CPI、前回 前月比 +1.80%:前年比 +18.95%)

 

南アの雇用改善見通せずランドの重石に

南ア雇用が全く改善の兆しを見せていない。先週発表された4-6月期南ア失業率は前回32.6%から34.4%へと悪化し、2008年の計測以来最悪の結果となった。若年層(15-24歳)失業率も63.2%から63.3%と過去最高を記録した。また、就活を諦めた失業者を含めた拡大失業率は43.2%から44.4%まで増加していた。南アフリカの経済指標では30日に月次財政収支、31日に7月のマネーサプライや貿易収支などが発表される。また、8月スタンダード銀行PMI、ABSA製造業PMIなども発表されますが、いずれの指標でも市場を動かすのは難しいのではないかと思われる。

 

アフガン情勢には要警戒:突発的な衝突やテロ報道には注意

アフガニスタン情勢には引き続き警戒したい。昨日は懸念されていた自爆テロ行為が起こったことで、一時米株などが軟調な動きとなった。バーンズ米中央情報局(CIA)長官とタリバンの共同創設者でナンバー2のガニ・バラダル氏との会談が物別れに終わったことで、数日前から米英独などの国防関係者がテロ行為の可能性が高まっていることを執拗に警告していた。英国防相は新たなテロの可能性が高まっていると発言しているように、再びカブールでのテロが起こるかもしれないことで、アフガン情勢には要警戒となる。

 

大型ハリケーン『アイダ』が米上陸:石油ターミナルの出荷停止

米気象当局によると、ハリケーン『アイダ』は5段階のうち2番目に強い『カテゴリー4』に発達し、ルイジアナ州南部のフォーチョン港近くに上陸した。最大風速67メートルの強力なハリケーンで、米国の主要石油ターミナルの操業に影響が出ている。全米最大の民間運営原油ターミナル、ルイジアナ・オフショア・ポート(LOOP)はハリケーン予想進路に基づき、操業地域に影響が出る懸念があることから、出荷を停止した。ルイジアナ南部の他のいくつかの港とミシシッピ州の複数の港も閉鎖された。規制当局によると、29日時点で、石油各社はメキシコ湾岸の原油生産量の95%超に当たる日量174万バレルの生産を一時停止した。メキシコ湾の沖合は、米国の原油供給量の17%を占めている。

 

米7月コアPCEは価格指数はサプライズなく:消費支出は鈍化傾向

米商務省が発表した7月個人所得は前月比+1.1%となった。伸びは6月+0.2%から予想以上に拡大し、過去最大の伸びを記録した3月来で最大になった。7月個人消費支出(PCE)は前月比+0.3%となり、伸びは6月+1.1%から予想以上に鈍化した。米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として注目しているコアPCE価格指数は前年比+3.6%と、予想通り、1991年5月以降ほぼ30年ぶり高水準となった6月と同水準を維持した。

 

米8月ミシガン大消費者信頼感指数確報値は予想下回る

米8月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値は70.3となった。速報値70.2から上方修正されたが、予想は下回った。FRBがインフレ期待指数として注視している同指数の1年期待インフレ率確報値は4.6%。速報値から修正なく、7月4.7%から低下した。5-10年期待インフレ率確報値は2.9%と、速報値3.0%から下方修正され5月3.0%から低下した。長期期待インフレが抑制されていることが示された。

 

欧米市場イベント

○16:00   8月スイスKOF景気先行指数(予想:125.9)
○18:00   8月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:118.0)
○18:00   8月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲5.3)
○21:00   8月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.1%/前年比3.9%)
○21:30   4-6月期カナダ経常収支
○23:00   7月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比0.5%/前年比▲8.5%)
○インド(クリシュナ神生誕日)、トルコ(戦勝記念日)、英国(サマーバンクホリデー)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2021/08/27/15:14:54

日経平均株価:今晩のイベント控え下落寄り付き後はこう着相場

前日の米国株安を嫌気され、前日終値に対して窓開けして寄り付いた。しかし、その後は下げ幅を縮小して2万6000円台半ばでもみ合いが継続した。パウエル米FRB議長の講演を控え、一段と様子見姿勢が強まる展開になった。手掛かりとなっていたアジア株やNYダウ先物が底堅く推移したことも、日経平均株のこう着感を強めた。結局、前営業日比101円安の2万7641円反落して終了した。

 

東京外国為替市場:イベント控え110.00円を挟んでもみ合い相場

ドル/円は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、110.00円を挟んでもみ合い相場となった。本日のスポット応当日は月末にあたり、仲値にかけて本邦実需勢の動向が注目されたが、需給に大きな偏りは見られなかった。午後は、週末を引けた持ち高調整などのドル売り・円買いに押され、109.88円付近まで下落した。前日にアフガニスタンの首都カブール国際空港のゲート付近で自爆テロが発生し、地政学リスクが警戒されていることも円買いを誘った。ただ、ジャクソンホールで行われるパウエル米FRB議長の講演内容を見極めたとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルは買い戻す動きみ見られ、110.00円付近へ切り返した。ユーロ/ドルは、海外勢から月末に絡むユーロ買い・ドル売りフローが持ち込まれ、一時1.1765ドルまで値を上げた。

 

トルコの外貨準備高の増加で警戒がやや一服

カブール空港の爆発は過激派組織『イスラム国』(IS)が犯行声明を出し、バイデン米大統領はISに対し攻撃を命じた。アフガン撤退を開始したトルコ軍も米軍を支援することが予想される。新たなテロの可能性もあり、トルコも巻き込まれることが懸念される。ところで、トルコ中銀が週間データを発表し、20日時点の外貨準備高(グロス、金保有高を除く)が681.7億ドルと前週比1.2%増、年初来では36.4%増となったことが明らかになった。準備高規模は十分ではないが、中銀の外貨準備高枯渇への警戒感がやや一服していることもリラ相場の底堅さに繋がっている。

 

シンポジウムを控えてFRB要人がタカ派発言

昨日、ジャクソンホールシンポジウムを控えて、相次いで米連邦準備理事会(FRB)高官が年内の緩和縮小開始に必要性を主張したため金利上昇に伴うドル買いが優勢となった。米カンザスシティー連銀のジョージ総裁はインタビューに答え、『デルタ株流行も昨年の状況に比べて経済への影響は限定的との見方で、テーパリングに踏み出す必要がある』と主張した。セントルイス連銀のブラード総裁も、『インフレが予想を上回り、FRBは金融緩和縮小を開始し、2022年第1四半期までに終了すべき』だとの考えを示した。また、『雇用指標は遅行指標であるとし、債券購入を終了することで、利上げの選択肢が広がる』としている。

 

ジャクソンホールシンポジウムでは『波乱なし』の見方も

ジャクソンシンホールポジウムが目前に迫り、米FRBのテーパリング観測を巡る市場の『熱』がやや冷めてきた。パウエル米FRB議長は同会議で27日に経済見通しについて講演するが、投資家はパウエル議長がわざわざ市場に波風を立てることは言わないとみている。実際にテーパリングが始まったも、『テーパ―タントラム』と呼ばれる2013年のような市場混乱は起きないとの見方も一部から出ている。

 

パウエル氏続投とブレイナード副議長で検討

バイデン米大統領のアドバイザーらは、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長2期目続投とブレイナードFRB理事の銀行監督担当の副議長起用を提言することを検討している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。両氏を組み合わせれば、トランプ前大統領に指名されたパウエル氏続投に難色を示す民主党進歩派の不満を和らげられると踏んでいる。バイデン大統領はFRB人事にまだ踏み込んでおらず、秋までは決定は下されない見込みだと、同関係者は話した。ブレイナード氏はFRB議長候補でもあるが、クオールズ副議長(銀行監督担当)の後任として昇格すれば、パウエル氏の規制を巡る実績に懸念を抱く民主党進歩派の不安を和らげられる可能性がある。

 

米国市場ではPCEコア価格指数が公表:予想は前年比+3.6%

6月実績は前年比+3.5%だった。供給制約が物価を押し上げ、伸びは5月実績を上回った。7月については、外食、宿泊などのサービス価格が引き続き上昇するとみられている。さらに、昨年春以降積み上がっている家計の余剰貯蓄を考えると、コア価格指数が上振れる可能性は残されている。

 

欧米市場イベント

○15:00   7月独輸入物価指数(予想:前月比0.8%/前年比13.6%)
○15:45   8月仏消費者信頼感指数(予想:100)
○16:30   4-6月期スウェーデン国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比0.9%)
○20:00   7月メキシコ貿易収支(予想:0.33億ドルの黒字)
○21:30   7月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比0.1%)
○21:30   7月カナダ原料価格指数
○21:30   7月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.3%)
       7月米個人所得(予想:前月比0.2%)
       7月米PCEデフレーター(予想:前年比4.1%)
       7月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.3%/前年比3.6%)
○23:00   8月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:70.7)
○23:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、ジャクソンホール会議で経済見通しについて講演
○米カンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)

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