★欧州市場朝方の取引では、世界的な株高を背景に、リスク選好のドル安・円安が持続した。なお、欧州株は全面高で取引を開始した。米中通商協議への期待など投資家のリスク選好が回復する中、ドル/円以外ではドル安の流れが持続した。欧州経済に大きな影響を及ぼす中国で、サービス業PMIの堅調な結果が確認されたことを市場の安心感を誘い、対ユーロでドル弱含みからドルの上値を抑えた。
米3月ADP雇用統計を受けて下落反応、111.50円台での上値の重さが露呈していた中、下値追いに勢いが出た。その後、米3月ISM非製造業指数が56.1と予想の58.0を下回ったことが分かると一時111.32円まで失速した。米国株や米長期金利の上昇に伴いドルの下押しも限定的だった。米長期金利の上昇が一服し、NYダウも小高い水準で推移するなど、手掛かり材料に乏しい中、111円半ばで動きが鈍い展開となった。米経済指標が冴えない結果となったが、米中通商協議への期待感で下値が堅い展開だった。
★欧米主要経済指標
・英・3月サービス業PMI:48.9(予想:50.9、2月:51.3)
・英・3月総合PMI:50.0(予想:51.1、2月:51.5)
・ユーロ圏・2月小売売上高:前月比+0.4%(予想:+0.3%、1月:+0.9%←+1.3%)
・米・3月ADP雇用統計:前月比+12.9万人(予想:+17.5万人、2月:+19.7万人←+18.3万人)
・米・3月ISM非製造業景況指数:56.1(予想:58.0、2月:59.7)
・米・3月サービス業PMI改定値:55.3(予想:54.8、速報値:54.8)
・米・3月総合PMI改定値:54.6(速報値:54.3)
★欧米市場のポイント
・111.32-56円のレンジ相場
・英国の『合意なき離脱』が回避されるとの思惑
・米中通商協議の進展期待でドル底堅い展開
・3月ADP全米雇用報告と3月ISM非製造業指数は弱い結果
・新規材料難から方向感を欠いた展開
・VIX指数は13.36から13.74へ上昇
★日経225の日足では、概ね20.900-22,000円のレンジ相場の様相となっている。徐々に各移動平均線(SMA)の間隔が縮小してきていることから、一度上下に振れると大きな動きになりやすい。
上値に200日SMA(紫線)21,922円と260日SMA(茶線)21,960円が位置しており、強いレジスタンスとして意識されやすく、上値を抜くには大きな買い材料が必要となる。一方で、下値では21,000円前後の75日SMA(緑線)近辺が強いサポートとして意識されている。
ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は、%Kが%Dを上抜けしてきており、戻り基調を示している。
レンジ上限近くまで上昇していることから、利益確定売りを吸収できるだけの買いが出てくるかが焦点となりそう。英FT紙が『米中閣僚協議で最終合意が近い』と報じていることや、中国の経済指標が改善方向にあることが相場の下支えとなっている。実際に米中間で合意されると、出遅れている日本株にも買いが入りやすくレンジ上限上抜けとなる可能性が高い。ただ、2万3000円台も非常に上値が重く、好材料や円安進行など日本株買い材料が必要となる。
★東京白金の日足では、上値を切り下げ下値を切り上げる三角持合いが鮮明となっている。3月1日高値と3月22日高値を結んだトレンドラインと2月15日安値と3月12日安値を結んだトレンドラインの中に納まっている。
5日SMA(赤線)と10日SMA(黄線)は上向きとなっており、短期的には上昇基調を維持している。また、200日SMA(紫線)と260日SMA(茶線)を上抜けしていることで、上向きのバイアスが強まっている。
一方、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は、3日間陽線となっているものの、%Kが%Dをわずかに下抜けするなど上昇の勢いが鈍化している。
また、75日SMA(緑線)はサポートとして意識されているものの、200日SMAや260日SMAは抵抗なくあっさり下抜けするケースが多い。
三角持合いからの上・下放れとなると、大きな動きになりやすいので注意が必要となる。
★ドル/円の日足では、200日SMA(青線)111.47円がレジスタンスとなり上抜け出来ない地合いが3日目となる。また、3月5日高値112.13円と3月15日高値111.90円を結んだトレンドラインもレジスタンスとして意識されている。
ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)も%Kが%Dを上抜けしており、両線とも上向きを維持していることから、戻り基調は続いている。
200日SMAを上抜けしてくると3月15日高値111.90円や3月5日高値112.13円が視界に入ってくることになる。
時間外での米国長期金利やNYダウ先物も上昇してきていることから、本日上抜けする可能性が高まっている。
★4月2日(火)の米国3市場は、NYダウ:79.29ドル安の26,179.13ドル、S&P500:0.05ポイント高の2,867.24ポイント、NASDAQ:19.78ポイント高の7,848.69とNYダウは下落したものの、S&P500とNASDAQはわずかに上昇した。一方、米長期金利は、再び2.500%割れとなる2.472%へ低下(価格は上昇)した。『1日日付けPERと株価から逆算』して4月2日付け予想PER計算すると、NYダウ:17.71倍、S&P500:17.76倍、NASDAQ:23.87倍と、NYダウとNASDAQは前日比でPERは上昇したものの、S&P500はほぼ変わらずだった。2011年4月21日以降の平均値は、NYダウ:15.00倍、S&P500:16.59倍、NASDAQ:21.77倍で現在3指数とも大幅に上回っている。このPERを基に2日付けのイールドスプレッドを算出すると、NYダウ:▲3.175%、S&P500:▲3.159%、NASDAQ:▲1.717%と、NYダウはイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)となった一方で、S&P500とNASDAQは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)となった。
米長期国債金利は、前日に急落(利回りは上昇)した反動で買い戻しが入ったほか、欧州債券相場が上昇した流れを引き継ぎ、米国債にも買いが入った。なお、2月米耐久財受注額は予想を上回った一方、輸送用機器を除く数値は予想を下回ったため相場の反応は限られた。
昨年12月3日の高値時のイールドスプレッドを参考にする。12月3日に戻り天井となり下落基調となった。NYダウ:▲3.069%、S&P500:▲2.731%、NASDAQ:▲1.198%だった。
2日(火)のNYダウの予想イールドスプレッドは前日▲3.290%⇒▲3.175%となり縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。1月3日の直近割安となったイールドスプレッドの▲4.226%から1.051%に拡大(米国株に割高感)している。また、12月3日の戻り天井となった12月3日の▲3.069から0.106%へ縮小してきている。NYダウは、前日までの3日間で600ドル超上昇し、およそ半年ぶりの高値を付けたあとだけに利益確定目的の売りが優勢となった。通期の業績見通しを下方修正したウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンスが12%を超える急落となり、1銘柄でダウ平均を48ドル押し下げた。ホーム・デポやジョンソン・エンド・ジョンソンなども軟調だった。 米2月耐久財受注で設備投資の先行き指標となる非国防資本財受注が直近4ヵ月間で3度目のマイナス成長となり、金融緩和が意識されてS&P500やナスダック総合指数は小幅上昇となった。VIX指数は13.40から13.36へ低下した。
S&P500の予想イールドスプレッドは前日▲3.131%⇒▲3.159%となり、イールドスプレッドは縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。S&P500も割安感が徐々に払拭されていたが、大幅下落で修正されてきている。1月3日のイールドスプレッド▲3.869%から0.710%に拡大してきている。また、12月3日の戻り天井の2.731%から▲0.428%へ縮小してきている。
NASDAQの予想イールドスプレッドは、前日▲1.700%⇒▲1.717%となり、イールドスプレッドは縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。1月3日のイールドスプレッド▲2.179%から0.462%に拡大してきている。また、12月3日の戻り天井の▲1.198%から▲0.519%へ縮小してきている。
テクニカル的には、NYダウは、前日ロウソク足に対して『はらみ線』となった。前日年初来高値後のはらみ線となったことで、中期的な分岐点となりやすいので注意が必要となる。5日SMAが上向きとなっており、短期的には上昇基調を維持している。
S&P500は年初来高値を更新したものの、高値圏での『十字線』となっており、買い方の勢いが鈍化している。また、高値圏での『十字線』は相場の転換シグナルとなりやすい。5日SMAが上向きとなっていることから、短期的には上昇基調は維持している。
NASDAQも、年初来高値を更新して『小陽線』となっており、三指数の中では一番強い展開となっている。5日SMAは10日SMAが上向きとなっており、短期的には上昇基調を維持している。
ストキャスティクス(パラメータ:14、5、3、20、80)では、三指数とも過熱感なく%Kが%Dを上抜けしてきており、上向きバイアスを維持している。米長期金利が低下しているうちは、株価が上昇してもイールドスプレッドの割高感を打ち消す動きになりやすい。そのため、米長期金利の動向には注意が必要となる。
2011年4月21日以降のイールドスプレッドの平均値のNYダウ:4.223%、S&P500:3.499%、NASDAQ:2.069%も下落時の節目となりやすい。
※毎日イールドスプレッドを掲載していきますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。
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