FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2020/02/06/15:12:37

日経平均株価は上昇:アジア株高と円安を好感して大幅高

前日の米国株式市場の大幅高や円安進行を好感した買いに加え中国・上海株や香港株の上昇で投資家心理が一段と強気に傾いた。また、複数海外メディアが『中国が米国からの一部輸入品の関税引き下げ』と報じ先物を買い戻す動きが強まったほか、トヨタが業績予想を上方修正して自動車関連中心の買いが加速した。アジア株高やNYダウ先物の上昇で、市場心理が改善されたことで一時600円を超えた。結局、前日比554円高の2万3873円と3日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:心理的節目の110.00円に届かず

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の大幅高に支えられ109.90円付近まで値を上げた。英国と中国で新型コロナウイルスのワクチン開発に大きな進展があったことも、引き続きリスク選好の円売り要因として意識された。午後もこの流れは続き、複数のメディアが『中国政府が対米報復関税の一部について、14日から引き下げる』と報道すると、さらにドル買い・円売りが進んで109.98円付近までじり高となった。ただ、心理的な節目の110.00円はドル売り・円買いオーダーが厚いと見られており、上げは一服した。その後は、日経平均株価や上海総合株価指数の動向をにらみながら、109.95円付近でもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、1.0990ドル台でこう着相場となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

新型コロナウイルスの治療薬の前進

英スカイ・ニュースは5日、同国の科学者による新型コロナウイルスのワクチン開発に大きな進展があったと報じた。ワクチンの通常の開発期間の一部を『2‐3年からわずか14日に』短縮することが可能になったという。スカイは、今回の感染拡大には対応できないが、次に感染が拡大した際に重要なワクチンになると報じている。また、市場関係者によると、中国のテレビは、浙江大学の研究チームが新型コロナウイルスに有効な治療薬を発見したと報じた。

中国湖北省の衛生局は、新型コロナウイルスの感染による同省の死者は70人増え、5日時点で549人に達したと発表した。新たに2987人の感染が確認され、感染者は合計で1万9665人となった。死者数の増加ペースは、4日の65人から加速した。しかし、新たに感染が確認された人数は、4日の3156人からやや減少した。

 

米国の1月サービス関連指標は予想を上回る好調を維持

米供給管理協会(ISM)が発表した1月ISM非製造業景況指数は55.5と12月54.9から予想以上に上昇し、昨年8月来で最高となった。一方で同指数の雇用は53.1と、12月の54.8から低下し、6カ月平均の53.7も下回った。
事前にマークイットが発表した1月サービス業PMI改定値は53.4と、予想外に速報値53.2から上方修正された。1月総合PMI速報値も53.3と、速報値53.1から上方修正された。

 

米国の貿易赤字は6年ぶりに縮小

トランプ大統領の貿易赤字を縮小させる措置が奏功し2019年の赤字はようやく6年ぶり縮小した。米商務省が発表した12月貿易収支は489億ドルの赤字となった。赤字幅は11月437億ドルから予想以上に拡大した。赤字幅は9月来で最大となった。ただ、2019年の貿易赤字は1.7%減の6170憶ドルと、過去10年間で最大となった2018年の6280億ドルから縮小したことで、6年ぶりの縮小となった。対中の関税率の引き上げで輸入が減少した。

 

米国市場では7日に最新1月雇用統計が公表

市場エコノミストは平均予想で、失業率が3.5%と50年来の低水準を維持、非農業部門雇用者数は前月比+16万人と、11月の+14.5万人から伸びが小幅拡大するとみている。
先行指標の中で、米労働省が発表する雇用統計と最も相関性が強いとされる民間部門の雇用者数を示すADP雇用統計の1月分は前月比+29.1万人と、前月から伸びが鈍化するとの予想に反し前月から拡大した。予想のほぼ倍の伸びとなるポジティブサプライズとなった。2015年5月以降ほぼ5年ぶりの大幅な伸びを記録したため、1月雇用統計でも引き続き強い労働市場が再確認されると期待が強まった。例年に比べて暖冬が奏功した可能性が指摘されている。しかし、ボーイングの生産停滞による製造業の雇用に与える影響への懸念が根強い。また、調査によると、企業は本年の米国、世界経済成長が弱まると見ており、大統領選挙の年でもあることから下方リスクに特に警戒、雇用の拡大などの投資を控えている。
◆市場予想失業率:3.5%(12月3.5%)非農業部門雇用者数:前月比+16.3万人(12月+14.5万人)民間部門雇用者数:前月比+15万人(12月+13.9万人)平均時給:予想:前月比+0.3%、前年比+3.0%(12月+0.1%、+2.9%)

 

欧米イベント

○15:15   インド中銀、金融政策決定会合(予想:5.15%で据え置き)
○16:00   12月独製造業新規受注(予想:前月比0.6%/前年同月比▲6.6%)
○17:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○21:30   1月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○22:00   1月ロシア消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.5%)
○22:30   10-12月期米非農業部門労働生産性・速報値(予想:前期比1.6%)
○22:30   10-12月期米単位労働コスト・速報値(予想:前期比1.4%)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.5万件/172.0万人)
○23:00   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○23:15   カプラン米ダラス連銀総裁、講演
○ニュージーランド(ワイタンギ条約記念日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2020/02/05/15:12:25

日経平均株価は上昇:米国株高と円安に連れて買い優勢

中国政府の景気対策への期待に前日のNYダウが407ドル高とナスダック史上最高値更新を受けて先物に買いが先行し1ドル=109円台前半の円安も輸出関連株の買い材料とされ上げ幅を広げた。米国株高や円安進行を好感して寄り付きから大幅高となった。ただ、早い時間に23400円台に乗せた後は戻り売りに押されて上げ幅を縮めた。その後、アジア株の堅調スタートを受けて盛り返したが、積極的に上値を追うほどの動きとはならず、次第にこう着感が強まった。結局、前日比234円高の2万3319円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:アジア株堅調推移でドル底堅い展開

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル売り・円買いが先行し109.37円付近まで下落した。しかし、中国政府が景気下支えに向けて経済政策を打ち出すとの期待が高まっているため、下押しは限られた。その後は、上海総合株価指数や香港ハンセン指数の上昇に支えられ、109.50円付近へ値を切り返した。トランプ大統領が一般教書演説を行ったが、市場の反応は限定的だった。午後は、日経平均株価をにらみながら、109.40円台を中心とした狭い値幅でももみ合いとなった。ユーロ/ドルは、今週発表された米経済指標の上振れで、欧米景況観格差を意識したユーロ売り・ドル買い優勢となり、1.10ドル台前半の安値圏で推移した。

 

トランプ大統領の一般教書演説では中国への言及は5回

トランプ大統領が4日夜に行った2020年の一般教書演説(SOTU)で中国に関して5回の言及があった。前年(4回)から1回増え、トランプ政権の通商・外交政策で中国に対する関心の高さが伺えた。今回のSOTUでは『数日前、我々は中国と画期的な新しい協定を結んだ。この協定で我々の雇用、知的財産権を守り、米国産品の市場を新たに切り開くことになった。週国家主席と共に良い関係を築きたい』と貿易協議のフェーズ1の成果を示す一方、『中国での新型コロナウイルスの感染拡大に、中国政府と協力して取り組んでいる』と述べ、足元で不透明要因となっている新型コロナを踏まえて中国との連携を強調していた。駐留米軍の経費増額に関して北大西洋条約機構(NATO)に関する言及はあったが、北朝鮮に関する言及もなく、米大統領選挙を控える中、東アジアの安全保障に対するトランプ政権の関心の低さが伺えた。

 

欧州市場ではユーロ圏12月小売売上高が公表

11月実績は前月比+1.0%だった。非食品の売上高が主に増加したが、自動車燃料は減少した。12月については、非食品の売り上げ増加が予想されているが、ドイツ、フランスにおける小売売上高は伸び悩むとの見方が出ており、全体的にはやや減少する可能性がある。

 

中国で現物金の需要が落ち込むとの懸念も

中国の景気対策を受けて新型肺炎をめぐる市場の懸念が和らぎ、世界的に株価が上昇した。安全資産とされる金に売りが出た。外国為替市場でドルが反発したことも、ドルの代替投資先とされる金の売りを誘った。新型コロナウイルスの影響で世界最大の金購入国である中国での現物需要が落ち込むとの懸念もある。同国の金輸入量は昨年12月に3倍となっていたものの、前年同月比では28%減となっていたことが先週金曜日に明らかとなっている。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)が1月31日発表した28日時点の建玉報告によると、COMEXで投機筋(非商業部門)による金先物の買い持ち高は4週ぶりに拡大した。前週比1万2397枚多い33万92枚とデータが開示されている1986年以降で最高となった。

 

米中通商協議の第2段階協議は新型肺炎で話し合いは進まず

最近は感染が拡大している中国の新型肺炎の話題が持ち切りで、米中通商協議の話はあまり出ていない。1月中旬に第1段階合意の署名に至り、中国の旧正月を終えてから第2段階協議の日程や内容などを含めた話し合いを行う段取りだったが、新型肺炎で今の中国にはその余裕がない。さすがにトランプ米大統領からも、最近は米中協議に関する発言が伝わっていない。もっとも第2段階協議では、本丸に位置付ける中国の産業構造改革が焦点になる。米国側は国有企業への補助金支給を通じた産業育成策の見直しを求める一方で、中国は外圧に負けて方向転換を迫られる事態になれば、習指導部の求心力にも影響を与えかねないので、米国の要求に応じる可能性は極めて低く、難航が見込まれている。また、今回の新型肺炎で中国が第1段階で合意した、中国は今後2年間で2017年に比べ、米国からのモノやサービスの輸入を2000億ドル以上増やすという約束を果たせるかどうかも雲行きが怪しくなった。

 

アイオワ州党員集会の結果は予想外にブティジェッジ候補が健闘

米民主党は、11月の米大統領選に向けた候補者選びの初戦となるアイオワ州党員集会の暫定集計結果を発表した。CNNの推計では、支持率は前インディアナ州サウスベンド市長のブティジェッジ氏が26.9%、バーニー・サンダース上院議員が25.1%で2位、エリザベス・ウォーレン上院議員18.3%で3位、バイデン前副大統領が15.6%で4位、エイミー・クロブシャー上院議員が12.6%で5位となった。

共和党は、党員集会をスムーズに進められない民主党に国を任せることは出来ないと指摘。トランプ大統領は『まったくの大惨事だ』とツイッターに投降した。

 

トランプ大統領の支持率は就任以来で最高

ギャロップ調査によると、トランプ大統領の支持率は49%と、就任以来で最高に達した。ほぼ半数の国民がトランプ大統領を支持したことになる。共和党員の支持は94%、どちらの党にも所属していないインディペンデントからの支持率は42%。一方民主党員の支持率は7%で、共和党員と民主党員の支持率の差は87%と調査が始まって以来で最大となった。
経済を巡るトランプ大統領の支持率は63%に達し、2001年の9月11日米国同時多発テロ直後のジョージWブッシュ元大統領の支持率72%以降で最高となる。トランプ大統領の再選確率が上昇することは一段のリスク選好の動きに繋がると見る。

 

欧米イベント

○15:45   1月スイスSECO消費者信頼感指数(予想:▲8)
○17:10   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○17:50   1月仏サービス部門PMI改定値(予想:51.7)
○17:55   1月独サービス部門PMI改定値(予想:54.2)
○18:00   1月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:52.2)
○18:30   1月英サービス部門PMI改定値(予想:52.9)
○19:00   12月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比▲0.9%/前年比2.4%)
○20:30   レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:15   ラガルドECB総裁、講演
○未定   ポーランド中銀、政策金利発表(予想:1.50%で据え置き)
○22:15   1月ADP全米雇用報告(予想:15.6万人)
○22:30   12月カナダ貿易収支(予想:6.1億カナダドルの赤字)
○22:30   12月米貿易収支(予想:482億ドルの赤字)
○23:45   1月米サービス部門PMI改定値(予想:53.2)
○23:45   1月米総合PMI改定値
○24:00   1月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:55.0)
○6日00:30   EIA週間在庫統計
○6日06:10   ブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○未定   ブラジル中銀、政策金利発表(予想:4.25%に引き下げ)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2020/02/04/15:14:25

日経平均株価は上昇:アジア株が総じて堅調で買い優勢

新型肺炎の感染拡大が経済を下押すとの警戒感が重荷となり、米国株高を受けても売り先行となった。そのため、序盤には下げ幅を3桁に広げた。しかし、売り一巡後は下げ渋り、上海株が売り先行からプラスに転じるなど、中国・上海や香港株などアジア株が総じて堅調な動きとなり投資家の安心感を誘い下値を支えた。結局、前日比112円高の2万3084円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:心理的な節目の109.00円に届かず

ドル/円は、日経平均株価がマイナス圏からプラス圏へ転じたことや上海総合株価指数の持ち直しに支えられ、108.70円近辺へじり高となった。米長期金利が上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。午後もこの流れが続き、日経平均株価の上げ幅拡大を眺めてさらにドル買い・円売りが進み108.86円付近まで上昇した。しかし、心理的節目となる109.00円は、ドル売り・円買いオーダーが厚いと見られ、上げは一服した。その後は、米大統領選の民主党候補者を選ぶ、アイオワ州で行われた党員集会の結果を見極めたいとのムードが広がり、108.85円を挟んでもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、1.1060ドルを挟んでこう着相場となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

バルチックドライ海運指数が急落:資源国通貨に下落リスク

世界経済や資源相場、資源国通貨に先行するバルチックドライ海運指数は、新型肺炎の感染拡大と世界景気への打撃懸念などで1月から急落してきた。1月31日には487まで下落する場面があり、2016年4月以来の安値を更新している。

 

OPECプラスでは協調減産を検討

石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟の産油国でつくる『OPECプラス』が、原油の協調減産の削減幅を日量50万バレル拡大する案を検討していることが3日、明らかになった。新型コロナウイルスによる肺炎の拡大で中国などの経済が減速し、原油需要が減るとの懸念が広がったためだ。

 

1月ドル指数月足陽線で年末ドル指数は上昇する確率高い

過去の為替相場の季節アノマリーでは、1月にドル安の圧力が強まるパターンが目立ってきた。背景としては、①米国企業の年末決算に向けた海外収益ドル転の剥落、②米国以外の金融機関による年末ドル資金調達の反動、③米国の新年運用マネーの国際分散投資始動、④1月の決算発表要因などによる米国株の年明け株安ジンクス、などがある。その中でドル指数が『1月の月足で陽線』となる年には、底流部分でのドル需要の強さが反映されることもあり、高確率で同年の『年末ドル指数上昇』というパターンが目立ってきた。プラザ合意翌年の1986年以降、昨年2019年までの約34年間で、ドル指数の『1月陽線』は19回の実績があった。そのうち14回、約74%という高確率でドル指数の12月末終値は、同年の1月末水準を上回る年末ドル高となっている。
しかも例外の残り5回は、リーマン・ショック直後である2009年、サブプライム危機に見舞われた2007年、イラン戦争直後の2004年、ヘッジファンド危機やロシア危機などがあった1998年など、特殊な経済危機や有事リスクのあった年の前後に限られている。

 

米国製造業の回復の兆しも新型肺炎の感染拡大に懸念残る

米供給管理協会(ISM)が発表した1月ISM製造業景況指数は50.9と、予想外に昨年7月以降半年ぶりに活動の拡大を示す50を回復した。12月分は2009年6月以来の低水準から大きく回復した。今年に入って米中第1段階貿易協定が正式に成立した。中国は今までの2倍となる規模の米国農産物の購入や米国産石油関連製品の購入を公約したため貿易への不透明性が後退し、企業は自信を取り戻したことが明らかになった。特に、ISMの輸出受注は2018年9月以降で最高を記録した。ただ、今後も米国製造業が1月の拡大ペースを維持することには懐疑的な見方も少なくない。中国が実際に協定を順守し米国製品の購入を実行してくかどうか見極めたいとの企業主が大半だった。中国で発生した新型肺炎の感染拡大で中国経済が停滞することにより、世界的なサプライチェーンのさらなる圧力となり、再び製造業メーカーの圧力となる可能性が懸念材料となる。 

 

欧米イベント

○16:45   12月仏財政収支
○18:30   1月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:46.6)
○19:00   12月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比横ばい/前年比▲0.7%)
○24:00   12月米製造業新規受注(予想:前月比1.2%)
○トランプ米大統領、一般教書演説

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2020/02/03/15:13:01

日経平均株価:アジア株の落ち着きから買い戻しも

引き続き新型コロナウイルスによる肺炎の影響が懸念されたほか、急速に進んだ円高が嫌気され、輸出関連株を中心に幅広く売られた。一時400円を超す下げとなったが、春節の休み明けとなる上海株式市場が大幅安で始まった後、徐々に戻したことを受けて、日経平均も下げ渋る展開となった。結局、前営業日比233円安の2万2972円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:過度な円買いは後退し108円台半ばでもみ合い

ドル/円は、国内輸入企業のドル買い・円売りや米長期金利上昇に支えられ、108.58円付近までじり高となった。中国人民銀行が2日に大規模な資金供給を実施すると発表、春節明けで動向が注目された上海総合株価指数が下げ渋ったことも、過度なリスク回避姿勢を和らげて円売りを誘った。しかし、新型コロナウイルスの感染者や死者が増えていることから、上値ではドル売り・円買いも見られ、108.50円前後で取引された。午後は日経平均株価上海総合株価指数をにらみながら、108.50円を挟んでもみ合った。ユーロ/ドルは、1.1080ドル台でこう着相場となった。欧州勢待ちの様相となっている。

ゴールドマンは対円でのドルのじり安を見込み、1ドル=107円を行使価格とする2ヵ月物のドル・プットオプション(売り権利)を購入し、104円のプットを売る『プットスプレッド』を推奨する。107円前後のプットはまだ購入費用が安い。

 

ドル/円の1月アノマリー:月足と年足が一致

ドル/円相場では、1月の月足とその年の念足が一致する確率が高いというアノマリーがある。すなわち、1月の月足(円高=陰線、円安=陽線)と年間(1-12月)の年足が一致する傾向がある。日本が変動相場制に移行した1973円の翌年1974年から2019年までの47年間で、『1月効果』の戦績は28勝19敗、確率は60%となっている。2020年1月足は『陰線』(始値108.76円・終値108.35円)だったので、12月末の終値が108.75以下となり、5年連続で年足が陰線となる可能性は60%程度となる。

 

中国政府は市場安定化のため空売り禁止と資金供給

中国証券監督管理委員会(CSRC)は、国内の証券各社に対して、春節(旧正月)休暇明けで市場が再開する3日に顧客の空売りを禁止するような口頭で指導した。空売り禁止が4日以降も適用されるのかどうかは不明。中信証券は支店にあてた内部メモで、空売り禁止措置について、取引再開初日の市場安定化に向けた『政治的な任務』と説明している。中国政策当局者は、新型肺炎の影響から金融システムを守るため、さまざまな措置を講じている。中国人民銀行は、3日にリバースレポの公開市場操作を通じて1兆2000億元(1740憶ドル)を金融市場に供給すると発表した。

 

SARSコロナウイルス時の8%の円高基調から逆算

新型コロナウイルスの相場への影響を図る上で、2002-2003年のSARSコロナウイルス時の動向が参考になる。SARSコロナウイルスは、2002年11月16日の中国広東省の症例に始まり、32の地域と 国にわたり8098人の症例が報告された後、2003年7月5日に世界保健機関(WHO)によって終息宣言が出された。ドル円は、2002年12月の高値125.73円から2003年5月の安値115.10円まで10.63円、約8%下落している。新型コロナウイルスでも同様の下落幅を想定した場合、1月高値110.29円から約8%の下落では、101.47円まで下落と試算される。

 

コロナウイルスは高齢者ほど重症化のリスク高い

30日までに亡くなった213人のうち、地方政府や報道の発表で、年齢や性別などがわかる54人分の個人データを朝日新聞が集計した。平均年齢は70歳で、65歳以上が約8割を占めた。専門家は抵抗力の弱い高齢者に対する周囲のケアが必要だと指摘する。

中国政府は25日以降、死者の数などを発表しているが、それぞれの属性は明らかにしていない。朝日新聞は地方政府などが個別に発表しているデータを集計し、年齢や居住地、症状などがわかる死者の状況を調べた。
54人のうち最年少は、感染者が最も多い湖北省武漢市から70キロ離れた天門市の31歳女性、最高齢は武漢市の89歳の男性2人。65歳以上が42人を占めた。新型肺炎については、中国当局も高齢者ほど感染による重症化のリスクが高いと指摘しており、それを裏付ける結果だ。

 

大統領選に向けた民主党の候補者指名争いがスタート

秋の米大統領選に向けた民主党の候補指名争いが3日夜(日本時間4日午前)、初戦の中西部アイオワ州党員集会で開幕する。7月の党大会での指名を懸け、11人の候補が激戦を展開する。共和党のトランプ大統領との対戦が想定される11月3日まで、9カ月間の長丁場が始まる。党員集会は州内約1700カ所で夜7時から行われる。勝利すれば今後の指名争いに弾みがつくため、各陣営は総力を挙げる。
1日現在の世論調査の平均支持率は、中道派のバイデン前副大統領(77)が27.2%でトップ。急進左派のサンダース上院議員(78)が23.5%で追う。だが、アイオワに限ると、サンダース氏はバイデン氏を3ポイントほどリードしている。若者の人気を背景に大勢のボランティアを集め、有利に戦いを進めている。2人に続くのは、左派ウォーレン上院議員(70)と中道派ブティジェッジ前インディアナ州サウスベンド市長(38)。女性で中道派のクロブシャー上院議員(59)が上位に食い込む可能性もある。予備選や党員集会は6月まで続き、それぞれの州・地域に割り当てられた代議員の獲得数が、過半数に達した候補が党大会で指名される。

 

米国市場では1月ISM製造業景況指数が公表

12月実績は47.2だった。また、先行指標的なマークイット1月製造業PMIは51.7で12月実績の52.4を下回った。一部地区連銀の製造業景気指数は改善しており、1月の数字は12月実績を上回る可能性が高いと見られているが、新規受注や生産は特に改善していないとみられており、1月も節目の50を大幅に下回り見込み。

 

欧米イベント

○16:00   1月トルコ製造業購買担当者景気指数(PMI)
○16:00   1月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比1.10%/前年比11.90%)
○17:30   1月スイスSVME購買部協会景気指数(予想:50.3)
○17:30   10-12月期香港域内総生産(GDP)速報値(予想:前期比▲1.5%)
○17:50   1月仏製造業PMI改定値(予想:51.0)
○17:55   1月独製造業PMI改定値(予想:45.2)
○18:00   1月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:47.8)
○18:15   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○18:30   1月英製造業PMI改定値(予想:49.8)
○23:45   1月米製造業PMI改定値(予想:51.7)
○24:00   1月米ISM製造業景気指数(予想:48.5)
○24:00   12月米建設支出(予想:前月比0.5%)
○4日03:00   1月ブラジル貿易収支(予想:4.68億ドルの黒字)
○4日06:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○メキシコ(憲法記念日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2020/01/31/15:16:22

日経平均株価:ヘッジファンド等の継続的な買い

世界保健機関(WHO)が国際的な緊張事態と宣言したことで、新型肺炎への国際的な取り組み強化進展などの期待が高まり買いが先行した。ヘッジファンド等の断続的な先物買いに一時上げ幅440円超へ広げた後戻り待ちの売りに押され、結局、前日比227円高の2万3205円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:109円を挟んでの値動き

ドル/円は、本邦輸入企業などのドル買い・円売りや日経平均株価の反発に支えられ、109.14円付近までじり高となった。世界保健機関(WHO)は新型ウイルスについて『緊急事態宣言』を発表した。しかし、一方で国際的な貿易と渡航の制限を勧告しないと表明したことが、引き続き円売り要因となった。ただ、29日高値の109.27円が上目目処として意識されると、上げは一服した。午後は、日経平均株価や香港ハンセン指数をにらみながら、109.05円を挟んでもみ合い相場となった。春節明けとなる中国市場の株価や人民元相場の動向を見極めたいとのムードが広がった。ユーロ/ドルは1.1025ドルを挟んでこう着相場となった。

 

今週末はオーストラリアの首都では熱波

オーストラリア南部サウスオーストラリア(South Australia)州で30日、気温が40度を超え、森林火災の発生しやすい複数の地域で火災警報が発令された。森林火災に見舞われた同国南東部は今後数日のうちに熱波に襲われると予想されており、火災の悪化が懸念されている。31日にはメルボルンや首都キャンベラで熱波が予想されており、週末にはシドニーの一部で45度超えが予想されている。

当局は、燃えるような暑さと乾いた風により、南東部ニューサウスウェールズ(New South Wales)州とビクトリア(Victoria)州の一部で深刻な森林火災が発生しやすくなると警告した。この2州では現在も80か所以上で火災が続いている。

 

中国の湖北省では感染者急増で医療体制が間に合わず

新型コロナウイルスの感染が拡大する中国では、患者の数は7711人、死亡した人は170人に上っている。このうち患者数が4000人を超えて最も深刻な湖北省では、連日、3万人以上が発熱を訴えて各地の病院や診療所に詰めかけており、患者の急増に、医療施設や医療関係者の数が追いつかなくなっている。
中国のメディア『財新』は『指定された大型病院は患者を受け入れられず、感染が疑われる患者が住宅地ごとに臨時に設けられた診療所に滞留していて、入院を待っている間に重症化している』と指摘している。そのうえで『症状の重い患者は今後毎日数百人のペースで増え続け、重症患者への治療が行き届かなくなるおそれがある』と警告している。

 

新型コロナウイルスを上回る桁違いの米国インフルエンザ

新型コロナウイルスの感染拡大が世界中の懸念になりつつあるが、米国ではもう一つ、インフルエンザの大流行についても危惧されている。米疾病対策センター(CDC)によれば、昨年10月1日から今年1月18日まで、インフルエンザに感染した人数は1500万人から2100万人と推定されている。そして、インフルエンザによる死者数は少なく見積もっても8200人、最大では2万人にも達する。18/19年シーズンは約6万人、17/18年では約8万人のインフルエンザを原因とした死亡者が米国ではでており、今年も更なる流行拡大への警戒感が高まっている。

 

欧州市場では10-12月期ユーロ圏域内総生産(GDP)速報値が公表

12月のユーロ圏景況指数は上昇していること、家計支出の増加、工業生産はやや拡大しつつあることから、ユーロ圏の景気はやや持ち直しの兆しが見られる。大幅な改善は期待できないものの、前年比1%台前半の成長となる可能性が高い。

 

メキシコはマイナス成長でペソ売り

メキシコの国立統計地理情報院(INEGI)がこの日発表した2019年の実質国内総生産(GDP)の速報値は前年比▲0.1%となった。マイナス成長は金融危機の影響が出た09年以来、10年ぶりとなった。なお、10-12月期メキシコGDP速報値は前期比横ばいと予想の▲0.2%を上回った。前年同期比でも▲0.3%と予想の▲0.5%を上回っている。また、WTI原油先物価格の下落などを背景に産油国通貨とされるメキシコペソに売りが出た。

 

米成長はトランプ大統領就任後最低の伸び

米商務省が発表した10-12月期GDP速報値は前期比年率+2.1%と、予想通り7-9月期と同水準の成長を維持した。同期個人消費速報値は前期比年率+1.8%と、7-9月期+3.2%から鈍化し、予想+2.0%も下回り1-3月期以来の低い伸びとなった。
燃料や食料品といった変動の激しい項目を除いた10-12月期コアPCE速報値は前期比+1.3%と、7-9月期+2.1%から低下し、予想+1.6%も下回り1-3月期来の低水準となった。

2019年の成長は2.3%と、2018年の2.9%、2017年の2.4%の伸びを下回り、トランプ大統領就任以降、最低の伸びにとどまった。2019年のPCEは2.6%2018年の3%ペースを下回った。トランプ政権は目標にしていた3%成長がまだ達成できずにいる。このことはトランプ大統領が、FRBに利下げ圧力をかける理由となっている。

 

欧米イベント

○15:30   10-12月期仏国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比0.2%)
○16:00   12月トルコ貿易収支(予想:43億ドルの赤字)
○16:00   12月独小売売上高指数(予想:前月比▲0.5%/前年比4.5%)
○16:30   12月スイス小売売上高
○16:45   12月仏PPI
○16:45   12月仏消費支出(予想:前月比▲0.1%)
○16:45   1月仏CPI速報値(予想:前月比▲0.5%/前年比1.5%)
○18:00   1月ノルウェー失業率(予想:2.5%)
○18:30   12月英消費者信用残高(予想:9億ポンド)
○18:30   12月英マネーサプライM4
○19:00   10-12月期ユーロ圏GDP速報値(予想:前期比0.2%/前年比1.1%)
○19:00   1月ユーロ圏HICP速報値(予想:前年比1.4%)
○19:00   1月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比1.2%)
○19:00   外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○20:00   パネッタ欧州中央銀行(ECB)専務理事、シュナーベルECB専務理事、メルシュECB専務理事、講演
○21:00   11月南アフリカ貿易収支(予想:120億ランドの黒字)
○22:30   11月カナダGDP(予想:前月比横ばい/前年比1.4%)
○22:30   12月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比横ばい)
○22:30   12月カナダ原料価格指数
○22:30   10-12月期米雇用コスト指数(予想:前期比0.7%)
○22:30   12月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.3%)
       12月米個人所得(予想:前月比0.3%)
       12月米PCEデフレーター(予想:前年比1.6%)
       12月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.1%/前年比1.6%)
○23:45   1月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:48.8)
○24:00   1月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:99.1)
○英国の欧州連合(EU)離脱期限
○中国(旧正月)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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