FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2020/01/07/15:16:20

日経平均株価:ショートカバーと海外勢の実需買い

前日の米国株式市場が上昇し、中東情勢は米中対立に比べてリスク回避の要因としては小さいとの見方があるほか、ドル/円相場が108円台半ばまで円安に振れたことが好感された。幅広く買われ、ほぼ全面高商状となった。先物市場でショートカバーが活発化する一方、昨年まで相場をリードした銘柄が個別に物色されるなど、海外勢などの実需買いの流入も観測された。結局、前日比370円高の2万3575円と大幅反発で終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利上昇でドル買い優勢

ドル/円は、国内輸入企業などのドル買い・円売りや日経平均株価の大幅高に支えられ、108.50円近辺までじり高となった。米長期金利が小幅上昇したことも、ドル買いにつながった。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、108.40円台を中心とした狭いレンジでもみ合いとなった。米国とイランの対立が続き、中東情勢の先行き不透明感が強まっているため、積極的な売り買いは手控えられた。ユーロ/ドルは、新規の手掛かり材料に乏しく、1.11ドル台後半で小動きとなった。

 

今週の注目点

米軍によるイラン司令官の暗殺に対するイラン側の報復措置が懸念されるなか、その有無を含めたイラン政府の動向と米政府の対応に注目が集まっている。緊張の高まりが原油高に繋がっているが、足元の世界経済は製造業での減速を堅調な個人消費を背景にした非製造業がカバーしているだけに、原油価格の上昇がどこまで進むのかは景気を左右する極めて重要なポイントとなる。今週は、このほかにも金曜日に米雇用統計の発表を控えている。ISM製造業景気指数が市場の期待を裏切る冴えない内容だっただけに、雇用統計の結果はインパクトが大きくなる。弱めの結果となれば、市場のリスクオフの流れが加速しかねない。この場合、とくに金利低下圧力は非常に強まると予想され、米金利の一段の低下と円高ドル安が(一時的にせよ)大幅に進む可能性もある。なお、週末には台湾総統選挙が行われる。こちらも中国・香港情勢と絡んで、その後の展開が気になる。

 

米国とイランの本音は軍事衝突や戦争は回避したい事情

今回のイラン司令官殺害については、トランプ氏の狙いとして、昨年12月末の米国大使館襲撃に対する報復の意味合いのほか、①自身の弾劾裁判に対する関心をそらす、②大統領選に向けて、反イランのイスラエル(ユダヤ系など)やサウジアラビア関連などからの支援・協力を固める、③北朝鮮の非核化難航による失政批判や、米中通商『第一段階』合意に伴う対中国弱腰批判をかわす、といった思惑も取り沙汰されている。さらに米国とイランの対立が軍事衝突や戦争に発展した場合、トランプ氏の再選にマイナスとなる可能性もある。具体的には、①原油高騰や長期金利の急上昇、②米国の株安や経済の悪化、③米国内での反戦運動の高まり、といったリスクを抱えている。
かたやイランも経済制裁による景気悪化や大幅なインフレ昂進などにより、『戦争への余裕は乏しく、国民理解も得られにくい』との見方が少なくない。実際にイランは5日、核合意で定められた遠心分離機の数の上限を順守せず、無制限にウラン濃縮を進めていく方針を表明したが、その一方で『IAEA(国際原子力機関)には、これまで通り協力する』、『米国が制裁を解除すれば、核合意を履行する』として、完全な孤立化は回避させている。その意味で紆余曲折はあっても、最終的には軍事対立の回避が見込まれそうだ。

 

金融不安が抑制されると金上昇と円安が進む可能性も

年明けからのリスク回避相場にあって、同じ安全逃避資産どうしの金と円では、金の対円クロスレートで金上昇と円安方向に振れている。ブルームバーグ算出ベースによると、金の対円クロス相場は改めて1980年以来の高値を更新してきた。過去実績としてリスク回避の中でも金上昇と円安に振れている局面では、ドル/円で円高抑制やドル高・円安が同時観測されている。現状は米国の銀行株が過去最高値推移を維持しており、金融不安が抑制されている限りは、金上昇・円安の力関係がドル/円とクロス円での円高抑制や円安へと寄与する。しかし、反対に米銀株が下落に転じるなど、微妙に金融不安が高まっていくとリスク回避による円独歩高(ドルなどの外貨安)激化につながる余地を秘めている。

 

時間差を経た米景気下げ止まりの遅行効果に注目

米国市場では3日、最新12月のISM製造業景況指数が47.2となり、前月の48.1から悪化した。2009年6月以来の低水準となっており、改めて10年前後に及んできた長期景気改善の『息切れ』が懸念されている。もっとも米国では昨年7月から10月まで、FRBが3回にわたって予防的利下げを実施した。過去実績としてFRBによる利下げは、6カ月から1年のタイムラグを経て景気を浮揚させている。その意味でISM指数についても、『昨年7月利下げ開始の6カ月後』となる今年1月以降から、時間差を経た景気下げ止まりの遅行効果が注視される。

 

トランプ大統領の弾劾裁判の日程決まらず

トランプ米大統領を辞めさせるかどうかを決める、弾劾(だんがい)裁判の日程が宙に浮いている。米下院が『ウクライナ疑惑』でトランプ氏を弾劾訴追したものの、上院で行われる弾劾裁判の進め方をめぐって与野党が折り合わず、開くメドが立っていない。今秋の選挙も見据え、与野党の駆け引きが激化している。『トランプ氏の弾劾は緊急にしなければならないと叫んでいた人たちはいまや、新しい論点が見つかるまで無期限に待つことにしている』。与党・共和党のマコネル院内総務は3日、本会議の演説で野党・民主党を批判した。これに対し、民主党のシューマー院内総務も演説で『マコネル氏は事実を検証するための公平な裁判を開く気がない』とやり返した。対立の理由は、弾劾裁判の手続きが進まないことにある。民主党が過半数を占める下院は昨年12月18日、トランプ氏を『権力の乱用』と『議会の妨害』で弾劾訴追した。弾劾裁判は上院で開かれるため、この訴追要件を下院から上院に送付する手続きが必要だが、民主党のペロシ下院議長が『弾劾裁判の公平さが担保されていない』として送付の手続きを止めている。

 

欧米イベント

○16:30   12月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比横ばい)
○19:00   11月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比0.6%/前年比1.3%)
○19:00   12月ユーロ圏HICP速報値(予想:前年比1.3%)
○19:00   12月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比1.3%)
○22:30   11月カナダ貿易収支(予想:11.5億カナダドルの赤字)
○22:30   11月米貿易収支(予想:438億ドルの赤字)
○24:00   12月カナダIvey購買部協会景気指数
○24:00   12月米ISM非製造業指数(予想:54.5)
○24:00   11月米製造業新規受注(予想:前月比▲0.8%)
○8日03:00   米財務省、3年債入札
○英下院、欧州連合(EU)離脱関連法案の審議開始(9日まで)
○ロシア(ロシア正教クリスマス)、休場

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/01/06/15:14:57

日経平均株価:知世学リスクの高まりと円高進行を嫌気した売り

米国がイラン革命防衛隊の精鋭部隊司令官を殺害したことを受け、米国とイランの対立が鮮明化している。また、トランプ大統領が5日に北朝鮮の金正恩委員長について『私との約束を破るとは思わないが、破るかもしれない』と述べ朝鮮半島緊迫化が懸念されリスク回避ムードの中、朝方から幅広い銘柄で売りが先行した。その後もNYダウ先物の下落や為替の円高基調などが嫌気され、下げ幅を一時500円超に拡大した。結局、前日比451円安の2万3204円と大幅続落して終了した。

 

東京外国為替市場:地政学リスクの高まりからリスク回避の円買い

ドル/円は、正月休み明けとなる本邦実需筋などがドル買い・円売りに動き、108.12円近辺まで上昇した。しかし、米軍によるイラン革命防衛隊の司令官殺害で、中東情勢が緊迫しているため、上値を追う動きは限られた。その後は、日経平均株価の下げ幅が一時500円を超えたことや、12月中国サービス部門製造業購買担当者景気指数(PMI)の下振れを背景に、108.00円前後で取引された。午後は、日経平均株価の下げ幅縮小をながめ、108.10円近辺へじり高した。しかし、イラン情勢の行方を見極めたいとの雰囲気からドル買い・円売りは続かず、108.05円を挟んでもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、1.1165ドル前後で小動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日12月新車販売台数と軽自動車販売台数

日本自動車販売協会連合会(自販連)が発表した12月の新車販売台数(軽自動車除く)は226,951台、前年比-9.5%となった。11月は238,844台、前年比-14.6%。

全国軽自動車協会連合会(全軽自連)が発表した12月の軽自動車新車販売台数は117,924台、前年比-13.7%となった。11月は147,015台、前年比-9.4%。

 

中国人民銀行は年初早々から金融緩和

中国人民銀行は5日、ウェブサイトに掲載した声明で、慎重で柔軟、かつ適切な金融政策を維持するとともに、金融改革をさらに推し進める方針を再度示した。 金融危機を回避し、中小企業の資金調達を今後も支援するとも表明した。さらに、為替相場において市場に決定的な役割を担わせるが、人民元を妥当なレンジ内で安定推移させると説明した。 中国人民銀行(中央銀行)は1日、市中銀行から強制的に預かる資金の比率を示す預金準備率を50ベーシスポイント(bp)引き下げると発表した。銀行の貸出余力を増やし、減速する経済を下支えする。

 

英国のEU離脱で年内中は一喜一憂の動きに

欧州連合(EU)欧州委員会のフォンデアライエン委員長は仏紙レゼコー(電子版)に27日掲載されたインタビューで、英国の20年1月末の離脱後に自由貿易協定(FTA)などの交渉を行う20年12月末までの『移行期間』について、『わずかな時間しかなく非常に心配だ』と述べた。その上で『年の半ばに状況を検証し必要なら延長に合意するのが妥当だと思う』とし、英側に延長検討の必要性を訴えた。移行期間では、激変緩和のため英国は加盟国並みの状態が続く。来年7月1日より前に決定すれば1度限り最大2年延長できるが、ジョンソン英首相は延長を求めない方針。期間内に交渉が終わらず経済・社会の混乱を招く事態が懸念されている。

 

米国とイランの緊張高まるもイランが外交交渉の余地を残す

イラン政府は5日、ウラン濃縮に関して一斉の制限を撤廃すると発表し、2015年に主要6カ国と結んだ核合意からさらに逸脱する姿勢を打ち出した。ただ、国連の監視機関への協力は続けると付け加えた。 国営テレビが伝えた政府声明によると、今後はウラン濃縮に用いる遠心分離機の数や、濃縮能力、濃縮度、核開発活動などについて、先の合意で設けられたいかなる制限も尊重しない方針。『イランは技術的な必要に基づいて、ウラン濃縮を無制限に継続する』という。 イランは、2018年に米国が核合意から離脱し、イランに再び石油禁輸の制裁を科して以降、これに反発して段階的に核合意に違反する行動を取り続けている。3日には米軍がバグダッドでイラン革命防衛隊の精鋭『コッズ部隊』のソレイマニ司令官を殺害し、米・イラン関係の緊張が一段と高まっている中で、イランが新たな強硬措置を講じた形だ。 一方、声明では米国が制裁を解除すればすぐに違反行為を撤回する可能性も示しており、専門家はイランが外交交渉の余地を残したと指摘している。

 

米国株式市場は月初の調整株安

米国株式市場は月次傾向として、毎月の自動引き落としによる年金運用資金の株式流入の日柄影響や経済指標などの要因もあってか、最近は『月初の調整株安』が目立っている。例えばNYダウは昨年の6月や9月、10月、12月は、3日にかけて株安が進展した。8月は1日から5日にかけて大幅続落となっており、年明けの本日の大発会でも米国株安とリスク回避の円高になっている。今年も月初の株安には注意が必要となりそうだ。

 

欧米イベント

○16:00   11月独小売売上高指数(予想:前月比1.0%/前年比1.0%)
○17:50   12月仏サービス部門PMI改定値(予想:52.4)
○17:55   12月独サービス部門PMI改定値(予想:52.0)
○18:00   12月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:52.4)
○18:30   12月英サービス部門PMI改定値(予想:49.1)
○19:00   11月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.1%/前年比▲1.5%)
○22:30   11月カナダ鉱工業製品価格
○22:30   11月カナダ原料価格指数
○23:45   12月米サービス部門PMI改定値(予想:52.2)
○23:45   12月米総合PMI改定値
○北大西洋条約機構(NATO)緊急会合
○ロシア(新年休暇)、ポーランド(三博士の日)、休場

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/12/30/15:11:56

日経平均株価:地政学リスク懸念が嫌気された

外部環境面では中東や北朝鮮の情勢など地政学リスクが気にされた一方、明日から年末年始の6日間休場となることからポジションを持ちにくいため、手仕舞い売りが先行した。ドル/円がやや円高に振れたことも警戒された。結局、前日比181円安の2万3656円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:年末年始における急変動を警戒した円買い優勢

ドル/円は、年末年始の急変動を警戒したドル売り・円買いが持ち込まれ、109.10円付近まで下落した。日経平均株価の下げ幅が100円を超えたことも、リスク回避の円買いを誘った。午後もこの流れは続き、一時109.02円近辺まで下落した。しかし、心理的節目の109.00円が意識されると、下げは一服した。その後は、上海総合株価指数の持ち直しに支えられ、109.15円を挟んでもみ合う展開となった。年末に絡む本邦実需筋の売り買いは午前で一巡したこともあり、商いは薄かった。ユーロ/ドルは、年末を控えた持ち高調整などのユーロ買い・ドル売りが進み、一時1.1210ドル程度まで上伸しておよそ4ヵ月半ぶりとなる高値をつけた。

 

年末年始に北朝鮮による地政学リスク

北朝鮮による長距離弾道ミサイル発射など新たな挑発行動について、トランプ米政権が金朝鮮労働党委員長の誕生日である来年1月8日ごろまで実施の可能性があるとみている、と報じている。挑発行動に出た場合は朝鮮半島上空で爆撃機を飛行させるなど、米政権は複数の軍事的な選択肢を事前に承認したという。

北朝鮮では、28日に平壌で『住民総招集令』が発令され、28-29日は朝鮮労働党中央委員会第7期第5回全員会議が開催され、金正恩朝鮮労働党委員長が、『現在の状況で求められる国の主権と安全保障の完全な確保に向け、積極的かつ攻撃的な措置』をとる必要性を強調した、と報じられている。『住民総招集令』は、2010年の延坪島砲撃事件や1993年の第1次核危機などで発令されていることで、米国との非核化交渉の年末期限に向けて要警戒となる。

 

米国がイランが支援する武装組織を攻撃

アメリカ国防総省は29日、イランが支援する武装組織がイラクやシリアに築いていた5か所の拠点に攻撃を行ったことを明らかにした。イラク北部で今月27日にアメリカ軍の兵士らが駐留する基地がロケット弾攻撃を受けたことへの報復だとしていて、アメリカとイランとの間で緊張がさらに高まる可能性もある。
アメリカ国防総省のホフマン報道官は29日に声明を発表し、イランが支援するイスラム教シーア派の武装組織『カタイブ・ヒズボラ』がイラクとシリアに築いていた武器庫や指揮所など合わせて5つの拠点に対して精密攻撃を行ったと明らかにした。
イラクでは今月27日に北部のキルクーク近くにあるイラク軍基地に30発以上のロケット弾が打ち込まれ、駐留するアメリカ国籍の民間人1人が死亡したほか、アメリカ軍の兵士4人がけがをしていて、今回の攻撃はこれに対する報復措置だとしている。

 

ビットコインは2020年5月に4年に一度の『半減期』で乱高下のリスク

マイナーが採掘の報酬としてもらえるビットコインの量が半分になるので、コイン需給がひっ迫するとの思惑から従来は価格の上昇要因とみなされていた。確かに需給バランスの変化だけをとらえればそういう結論になるのだが、投資家の数が細っている足元では買いの持続性には疑問符がつく。さらに、今回はビットコインキャッシュなどの『派生コイン』も半減期になるとみられ、相場全体の変動率はより高まる可能性がある。マイニング(採掘)能力の高さを示すハッシュレート(採掘速度)の乱高下がネットワークの安定性に対する懸念を連想させ、コイン需給悪化につながる可能性も考慮する必要がある。

 

欧米イベント

○17:00   12月スイスKOF景気先行指数(予想:94.5)
○19:00   外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○22:00   7-9月期ロシア国内総生産(GDP)確報値(予想:前年比1.7%)
○23:45   12月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:48.0)
○24:00   11月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比1.3%/前年比7.4%)

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/12/27/15:12:36

日経平均株価:手掛かり材料難から様子見ムード強い展開

日経平均は米国株高を好感し続伸スタートしたものの、年末年始の休暇を控えていることもあり、手掛かり材料に乏しく様子見ムードとなった。寄り付き後は前日終値付近での一進一退の展開が続いた。ただ、本日は配当権利落ち分は40円前後とされているため、実質的には小幅下落となった。結局、前営業日比87円安の2万3837円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:109円半ば前後でのもみ合い相場

ドル/円は、国内輸出企業などのドル売り・円買いが先行し、109.43円近辺まで下落した。日経平均株価がプラス圏からマイナス圏へ転じたことも、円買いを誘った。しかし、米中貿易交渉『第1段階』合意の調印に向けた期待が高まっているため、下値を追う動きは限られた。その後は、国内輸入企業などがドル買い・円売りに動き109.50円近辺へ値を戻した。午後は、日経平均株価やアジア主要株価をにらみながら、109.40円台を中心に狭いレンジ相場となった。クリスマス休暇明けとなる欧州勢の動向を見極めたいとのムードが強かった。ユーロ/ドルは、年末を控えた持ち高調整などのユーロ買い・ドル売りが優勢となり、1.11ドル台前半の高値圏で推移した。

 

来年早々の地政学リスクは台湾総統選

台湾国防部は26日、中国の新たな空母群が台湾海峡を通過したと明らかにした。台湾は1月11日に総統選を控えている。中国は台湾を自国の一部と位置付け、台湾が正式に独立の動きをみせれば攻撃すると明言している。

 

中国企業信用低下に歯止めかからず

中国企業の信用低下に歯止めがかからない。2019年の社債の債務不履行額は1600億元(2兆5千億円)と過去最高を更新した。財政負担の膨張を恐れる中国当局が経営への過度の介入を控えた結果、地方政府系や国有企業の不履行額が400億元と前年の3倍以上に膨らんだ。22年末までに満期を迎える社債は1兆6千億ドル(175兆円)に上り、借金依存の成長は限界が近づいている。

 

中東リスク高まる懸念も:トランプ大統領のツイッターに注意

中国国防省は26日、中国とロシア、イランの3カ国が27日~30日までオマーン湾付近で海上軍事演習を実施すると発表した。3カ国の演習は異例である。米国主導の有志連合も中東・ホルムズ海峡で民間船舶の安全確保をめざすとして監視や巡回活動をしており、中ロとイランの海上軍事演習は米国にらみの動きになる。中国は『中国版イージス艦』とも呼ばれるミサイル駆逐艦『西寧』を派遣する。中国国防省は『3カ国の海軍の間で交流を深め、海洋運命共同体の意思と能力を作り出す』と主張している。

 

米中貿易交渉の進展で米国産大豆の中国への輸出急増

米国産大豆の中国への輸出が急増している。中国の税関当局によると、米国からの大豆輸入量は11月に256万トンとなり、10月の114万トンの2倍超に増えた。中国の米国産大豆の輸入は昨年後半にほぼゼロまで落ち込んだが、米中貿易交渉の進展を受けて中国が輸入を増やしている可能性がある。

 

キリスト教右派の福音派がトランプ支持から離脱の可能性も

複数の米メディアは、来年の米大統領選で再選を狙う共和党のトランプ大統領陣営が、重要な支持層であるキリスト教右派、福音派の支持者集会を来年1月3日に南部フロリダ州で開催すると決めたと報じている。福音派の有力誌が弾劾訴追を受け大統領罷免を求める論評を社説で掲載しており、トランプ氏は危機感を強めているとみられている。

 

ガンドラッグCEOは2020年はドル安予測

米ダブルライン・キャピタルのガンドラックCEOは今週、『ドルの次なる動きは下方向になる』との見方を示した(ツィッターへの投稿)ことについて、市場関係者の間では『発言内容を精査する必要はあるが、ヘッジなしのドル買いポジションが増えていることは否定できない』との声が聞かれている。米国金利の先高観はやや後退していること、主要中央銀行が追加金融緩和に動くかどうか微妙であることから、一部の市場関係者は『米国以外の投資家は、ドル資産の価値が目減りすることを避けるために、為替リスクをヘッジする動きに出る可能性がある』と指摘している。リスクヘッジの規模については推測の域を出ないが、『全体で数千億ドル規模になってもおかしくない』との見方が出ている。

 

欧米イベント

○21:00   11月メキシコ貿易収支(予想:5.37億ドルの赤字)
○28日01:00   EIA週間在庫統計

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/12/26/15:11:39

日経平均株価:先高感を受けた先物買いが優勢

クリスマスで米国など海外株式市場が休場となり、手掛かり材料に乏しい中で自立反発した格好となる。明日から受け渡しベースで2020年相場が始まることを意識して、買いが入っているとのも方も出ている。市場では、収支の損益合算に伴う節税対策の損切売りが終了する。これが一巡すると地合いが変わり、明日からの実質新年相場に期待を寄せる参加者も多い。企業業績の回復期待や先高感を受けた先物買いに上げ幅が150円に迫った。結局、前日比142円高の2万3924円で終了した。

 

東京外国為替市場:109円台半ばでもみ合う展開

ドル/円は、国内輸入企業などのドル買い・円売りや日経平均株価の反発に支えられ、109.57円付近までじり高となった。米長期金利が小幅ながら上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。しかし、2日につけた109.73円が上値目処として意識されると上げ止まる展開となり109.55円前後でもみ合う展開となった。午後は、日経平均株価をにらみながら、109.50円台を中心に狭いレンジ内の動きとなった。ユーロ/ドルは、クリスマス休暇中で、海外勢の流動性が低下していることから、1.1090ドル付近でこう着相場となった。

 

クリスマスでは北朝鮮動かず

25日はクリスマスのため、東京・上海市場以外はほぼ全ての市場が休場だった。北朝鮮が一方的に設定した米朝非核化交渉の期限である年末が迫る中、『アメリカへのクリスマスプレゼント』として大陸間弾道ミサイル(ICBC)発射実験や核実験再開の可能性を警告していたものの、何も起こらなかった。ただ、年末年始に向けて何もないかというと、北朝鮮のことなので油断出来ない。でも、もし発射実験や核実験再掲があり地政学リスクを嫌気した円買いがあっても一時的な動きになりそうだ。

 

中国は向こう2四半期にわたり回復が続くと予想

招商証券(06099)傘下のマクロ経済研究チームは最新リポートで、中国の経済成長について、向こう2四半期にわたり回復が続くと予想した。9月以降に複数の国や地域の製造業購買担当者景気指数(PMI)が改善していることや、貿易問題を巡る米中対立の緩和を理由に挙げた。『証券時報』が26日伝えた。
国内の生産者物価指数(工業製品出荷価格:PPI)が10月に底打ちしたほか、在庫サイクルによる影響もプラスに働くとした。12月の月次経済指標は一部悪化の可能性もあるものの、10-12月期の国内総生産(GDP)成長率は安定的に推移するとの見方を示した。

 

米中通商『第1段階』の合意は調印式まで予断を許さない

米中通商『第1段階』の合意文書は、米中両国で作成、翻訳されており、来月1月での米中首脳による署名が予定されている。対中制裁関税第4弾(9月1日:約1200億ドル)の税率が15%から7.5%へ引き下げられ、対中制裁関税第4弾(12月15日:約1600億ドル)の発動は無期限で延期されている。しかし、中国側が要請していた対中制裁関税第1・2・3弾(約2500億ドル・25%)の撤回・税率引き下げは却下されている。
また、米国側は、農産物の輸入400-500億ドルを含む2年間での2000億ドルの輸入増加を勝ち取っており、『スナップバック条項』(合意が履行されない場合、追加関税を発動する)や『為替条項』(中国が競争的な通貨切り下げを自制し、通貨政策の透明性を高める)も盛り込まれる模様、と報じられている。一部メディアでは、米中通商『第1段階』合意は、「習中国国家主席がトランプ大統領に屈服した『城下の盟』ではないのか」という懸念が示されている。さらに、日清戦争での敗北による屈辱的な『下関条約』に例えて、劉鶴中国副首相を李鴻章、習中国国家主席を西太合として批判する向きもあり、調印式まで予断を許さない状況が続く。

 

欧米市場イベント

○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.4万件/169.2万人)
○27日03:00   米財務省、7年債入札
○ニュージーランド、オーストラリア、香港、スイス、ドイツ、フランス、英国、カナダ、(以上、ボクシングデー)、スウェーデン、ノルウェー、ポーランド(以上、セカンドクリスマスデー)、南アフリカ(親善の日)、休場

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