FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2023/10/30/15:10:19

日経平均株価:米国市場の週末の株安の流れを引き継いだ売りが優勢

週末の米国の株式市場でNYダウが1%超安となった流れを引き継ぎ、幅広い業種で売りが先行した。中東情勢を巡る不透明感も重しになり、日経平均は前場を通してマイナス圏でのもみ合いとなった。一方、ナスダック総合やフィラデルフィア半導体指数の上昇を受けて、半導体関連株は総じてしっかりだった。心理的節目の3万500円台では押し目買いが入りやすいものの、3万600円台では利益確定売りがみられた。今週は日米の中銀会合に加え、主力企業の決算も多数控えていることから、様子見姿勢も強かった。結局、前営業日比294円安の3万0696円と反落した終了した。

 

東京外国為替市場:日米の金融会合の結果控え149円台半ばでもみ合い

ドル/円は、仲値にかけて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、一時149.82円付近まで上昇した。仲値発表後は、東京債券市場で新発10年物国債利回りが2013年7月以来の高水準となる0.89%へ上昇していることで、日米金利差縮小を意識したドル売り・円買いが入り、149.60円台へ下落した。午後は、軟調地合いは続き、149.50円付近へ下落した。しかし、今週予定されている日銀金融政策決定会合や米連邦公開市場委員会(FOMC)のイベントを前に、下値を追う動きは限られた。その後は、米長期金利や日経平均株価を睨みながら、149.60円前後で小動きが続いた。ユーロ/ドルは、1.0560ドル前後でこう着相場となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ドル買い比率は3ヵ月ぶりの高さに上昇

QUICKが30日に算出した店頭の外国証拠金(FX)取引5社の合計(週間)の建玉状況によると「ドル/円」取引での総建玉に占めるドル買い比率は27日時点で50.5%だった。前の週末から8.5ポイント上昇し8月上旬以来およそドルの買い越しに転じた。円相場は1ドル=150円台に下落する場面もあったが、大幅反発への期待は乏しく、相場の流れに逆らう「逆張り」戦略をとる傾向の強い個人投資家は円買い・ドル売りを手控えたようだ。米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めが長引くとの観測が根強く残り、26日の外国為替市場で円相場は一時1ドル=150.78円付近と昨年10月以来1年ぶりの安値をつけた。だが、日本政府・日銀による円買いの為替介入は実施されていないとの見方が濃厚で、通常であれば「逆張り」に動くことが多い個人投資家は円相場が下げ渋った局面で円売り・ドル買いの持ち高を増やした。対円では英ポンドの買い比率が高まっている。「ポンド/円」取引ではポンドの買い比率が同6.4ポイント高い62.8%となり、2月上旬以来の高水準となった。

 

トルコ中銀が5会合連続の利上げもリラの信頼回復はほど遠い

26日、トルコ中銀は5会合連続の利上げに加え、2会合連続で利上げ幅を500bpとして主要政策金利である1週間物レポ金利を35.00%とする決定を行った。シムシェキ財務相とエルカン中銀総裁の下で「正統的」な政策運営は着実に進められているが、足下ではインフレが再加速しており、大幅利上げにも拘らず実質金利は大幅マイナスが続くなど投資妙味は極めて乏しい。保護預金制度の廃止を受けてトルコ国民は外貨や金預金を増加させるなど、実需面でもリラ相場に調整圧力が掛かりやすい状況が続く。中銀は先行きの利上げ継続を示唆するが、結局はエルドアン氏に対する信頼性の乏しさがリラ相場の重石となる状況は変わらない。これまでの無茶苦茶な政策運営が足かせとなり、リラ相場が輝きを取り戻すのは難しいと言える。

 

南アの中期予算政策声明の発表に注目

南アのイベントは、30日に9月財政収支、31日に貿易収支が発表されるが、最も重要なのが11月1日の中期予算政策声明(MTBPS)の発表である。財政がひっ迫しており、緊縮財政案が公表されると見られているが、労働組合は緊縮財政の場合にはストライキを示唆している。来年の選挙を控え、財政バランスを無視し、国民受けの良い政策を発表した場合はランド売りに反応する可能性が高い。なお、一部ではランド/円が早朝に8円を超えた出合いを記録しているようなところもある。南アがラグビーワールドカップで勝ったことによるご祝儀相場かと思ったが、早朝の流動性がほぼ何もない中でのミスヒットのようなもので、実際の高値は7.9円半ばか、ドル/円の高値とドル/ランドの安値の計算では7.9円前半になる。

 

メキシコの31日の7-9月期GDP速報値に注目

国内イベントでは、31日に7-9月期国内総生産(GDP)速報値がある。メキシコ中銀が15会合連続での利上げを停止したのが5月なので、利上げの悪影響を受けずにどこまで国内の経済成長が進んだかを図るうえで結果に注目である。

 

米PCE物価指数は鈍化傾向続くもインフレ圧力は根強い:US Dashboard

27日に発表された9月の米個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比で3.4%上昇した。伸びは7月から3ヵ月連続で横ばいとなり、市場予想と一致した。エネルギーと食品を除くコア指数は3.7%と8月の3.8%から伸びが鈍り、鈍化傾向が続いている。一方、PCEは前月比で0.7%増と前月の0.4%から伸びが加速した。個人所得は0.3%と前月の0.4%から鈍化したが、2022年2月から上昇が続いている。労働市場のひっ迫を背景に個人消費は堅調で、インフレ圧力は根強い。米連邦準備理事会(FRB)は31日から開く米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置く公算だが、ハト派的な姿勢を示す可能性は低い。

 

11月FOMCは長期金利上昇でパウエル議長は慎重姿勢を改めて表明か:ドイツ

10月31日~11月1日の米連邦公開市場員会(FOMC)を控える中、ドイツ銀行は27日付のリポートで、「金利据え置きが広く予想されており、今後の政策方針についてパウエル議長がどのような指針を示すかが焦点となる」との見解を示した。リポートでは、パウエル議長が、特に長期金利の上昇による金融環境の「著しい」引き締めに直面している中、政策決定を慎重に進めることができるとFOMCが信じていることを改めて表明する可能性が高いと指摘した。その一方、米連邦準備理事会(FRB)が利上げを完了したというのが同社の基本シナリオであることに変わりはないとしつつ、「この見方は成長と労働市場のデータが緩やかになっていることと、金融環境が引き締まっているかさらに引き締まっていることにますます依存している」とも指摘。こうした動きがなければ、FRBが12月から24年1~3月期(1Q)に再び利上げを必要とするリスクが高まり、その結果を条件に、現在示唆されているよりもさらに金利を引き上げる必要が生じる可能性があるとみていた。

 

欧米市場イベント

○17:00   10月スイスKOF景気先行指数(予想:95.0)
○17:00   シムカス・リトアニア中銀総裁、講演
○18:00   7-9月期独国内総生産(GDP)速報値(季節調整済、予想:前期比▲0.2%/前年同期比▲0.7%)
○18:00   7-9月期独GDP速報値(季節調整前、予想:前年同期比▲1.0%)
○18:30   9月英消費者信用残高(予想:14億ポンド)
○18:30   9月英マネーサプライM4
○19:00   10月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:93.0)
○19:00   10月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲17.9)
○22:00   10月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.2%/前年比4.0%)
○欧州は29日から冬時間に移行済み

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欧米タイム直前市場コメント!

2023/10/27/15:11:30

日経平均株価:米長期金利上昇一服を好感した買い優勢に

米国では株価主要三指数は下落したが、日経平均は前日の大幅安からの自立反発を期待した買いが入った。米長期金利の上昇一服や、米株先物、中国・香港株のプラス推移が投資家心理を支えた。市場では、日経平均の前日の大幅下落は、他の市場に比べて下げが大きかった。今晩の米株高を期待した買いも入ったとの声が聞かれた。結局、前営業日比389円高の3万0991円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:ポジション調整で150円台前半でもみ合い

ドル/円は、週末を控えた利益確定やポジション調整のドル売り・円買いが持ち込まれ、150.15円付近へ下落した。来週予定されている会合で、日銀が長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)を再修正するとの見方が浮上していることも円買い要因となった。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、150.10円台を中心とする狭いレンジで推移した。今晩発表される米経済指標を見極めたいとのムードが広がっている。ユーロ/ドルは、1.0565ドル前後で方向感に欠ける値動きとなった。

 

ECBが11会合ぶり金利据え置き:ゴールドマン

欧州中央銀行(ECB)が26日に定例理事会を開き、11会合ぶりに政策金利を据え置いた。金利据え置きは市場予想通りで、会合後の記者会見でラガルド総裁は「再び利上げしないと言っているわけではない」と追加利上げの可能性を残しつつ、利上げについては「時期尚早だ」と述べて早期の利下げ観測をけん制した。ゴールドマン・サックスは26日付のリポートで、今回のコミュニケーションで政策の見通しに関する我々の見解を変わらないとしながら、「コアインフレは鈍化し続けており、ECBスタッフの予測に近い状態が続いている。したがって、ここからの追加引き締めには高いハードルがあると考えられる」との見解を示した。リポートでは、金利上昇による成長の足手まといが24年に顕著に後退する可能性があるとラガルド総裁が示唆したことは、引き締めスタンスの時期尚早な緩和に反論するものであるとも指摘。その上で、24年10~12月期(4Q)まで政策金利が据え置かれるとの予想を維持した。

 

トルコ中銀は市場予想通りの利上げを実施

利上げが確実視されていたトルコ中銀会合では、市場予想通りに「主要政策金利を30%から35%まで引き上げ」が決定された。中銀は声明で「インフレ見通しの大幅な改善が達成されるまで、必要な限り、タイムリーかつ段階的に金融引き締めをさらに強化する」との姿勢を再び示した。また、現行の金融政策を支援するための「量的引き締めおよび選択的信用引き締めの継続」も確認した。くわえて、リラ預金のシェア拡大のために追加措置を講じることも表明している。エルカン総裁のもと6月から始まったトルコ中銀の利上げは、今回で5会合連続となった。しかしながらドル/リラの基調に大きな変化はなく、そうなると本日のリラ/円も、ドル/円の動向を見極めながらの値動きとなりそうである。大きなニュースがないようであれば、基本的には5.30円台での推移が予想される。

 

南アのインフレ再燃が確認される

昨日発表された南アの9月卸売物価指数(PPI)は前月だけでなく、予想を更に上振れるなど南アのインフレ再燃が確認された結果になった。南アフリカ準備銀行(SARB)の金融政策委員会(MPC)は来月21日から23日まで開かれるが、おそらく再利上げとなる。もっとも、利上げを行ったとしても、ランド買いにはなかなか傾きにくい。インフレ要因の主だった理由が食品価格のインフレで、国民生活はさらに困難な状況に陥っている。食料価格高騰の背景には、原油価格の変動、ランド安、農作物に被害を与えた気象現象などがあり、先月クガニャゴSARB総裁は更にインフレ圧力がかかる可能性と警告している。

 

米最終利上げから利下げ迄「平均8ヶ月」を要する

ある米系ヘッジファンド幹部によれば、「1968年以降の米FRBの最終利上げから最初の利下げPivot(転換)まで平均8ヶ月を要している(Eight Months from Last Fed Hike to First Fed Cut)」という。仮に、今回の米FRB利上げサイクルが7月FOMCの0.25%追加利上げが最後とすれば、2024年春以降に利下げpivotが想定されるが、最終利上げが12月FOMCとなれば少なくとも来夏までは長期金利の高止まりが続くことになりそうだ。むろん、平均8ヶ月というのは飽くまで1968年以降の経緯であって、今回の経済環境と過去のそれが大きく異なる点は最終利上げ局面にありながら米CPIインフレ率が米FRBの2%目標を大幅に上回っている点である。その意味で米景気が顕著にスローダウンしインフレが再加速しないと判断するまで米FRBは「higher for longer」を続け、利下げpivotは後ズレする可能性が高い。

 

米国市場では米PCE物価指数が発表:US Dashboard

27日に9月の米個人消費支出(PCE)物価指数が発表される。市場予想は前年同月比で3.4%上昇と前月3.5%から伸びが鈍化すると見込まれている。変動が大きい食品とエネルギーを除くコア指数も3.7%上昇と伸び率は前月3.9%から縮小すると予想されている。7月と8月はガソリン価格の上昇で反発していたが、3ヵ月ぶりに鈍化傾向に戻る見通し。もっとも、原油相場には先行き不透明感があり、ガソリン価格が引き続き指数を押し上げる可能性も残る。米連邦準備理事会(FRB)は次回(10月31日~11月1日)の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置きとみられる。もっとも、パウエルFRB議長はインフレ率について「依然として高すぎる」と発言しており、インフレの根強さが示されれば12月以降の追加利上げのリスクが高まる。

 

欧米イベント

○未定    10月月例経済報告
○15:45   10月仏消費者信頼感指数(予想:83)
○19:30   ロシア中銀、政策金利発表(予想:14.00%に引き上げ)
○21:00   9月メキシコ貿易収支(予想:7.12億ドルの赤字)
○21:30   9月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.5%)
       9月米個人所得(予想:前月比0.4%)
       9月米PCEデフレーター(予想:前年比3.4%)
       9月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.3%/前年比3.7%)
○22:00   バー米連邦準備理事会(FRB)副議長(銀行監督担当)、あいさつ
○23:00   10月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:63.0)
○欧州連合(EU)首脳会議(ブリュッセル、最終日)
○29日 欧州が冬時間に移行

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欧米タイム直前市場コメント!

2023/10/26/15:18:01

日経平均株価:米長期金利の上昇を嫌気した売りが優勢に

前日の米国市場で長期金利が上昇し、米株安となった流れを受けて、日本株市場でも幅広い銘柄で売りが優勢になった。半導体や電子部品などハイテク銘柄の下落幅が大きく指数を押し下げた。市場では、日米ともに長期金利が上昇傾向にあり、株式市場全体の重しになっているとの指摘が聞かれた。下げ幅は一時700円を超えた。結局、前営業日比668円安の3万0601円と3日ぶりに反落した。東京証券取引所が26日発表した10月第3週(16日~20日)の投資部門別株式売買動向(東証・名証の合計)によると、海外投資家(外国人)は766億円の売り越しとなり、売り越しは3週ぶり。個人投資家は3236億円の買い越しとなり、買い越しは2週ぶり。信託銀行は1343億円の売り越しとなり、売り越しは7週連続となった。

 

東京外国為替市場:150円台半ばへ円安基調継続

ドル/円は、仲値にかけて本邦輸入企業などがドル買い・円売りを持ち込み、150.25円近辺へ上昇した。その後も、最近発表された米経済指標が好調で、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めが長期化するとの観測から海外短期筋などがドル買い・円売りに動き、150.45円近くへ上昇した。村井福官房長官が午前の記者会見で「為替は安定的な動きが望ましい」「為替相場の動向や介入の有無についてのコメントは控える」などと発言したが、ドル円相場への影響は限定的だった。午後に入っても、ドル/円の堅調地合いは続いて一時150.49円程度まで値を上げ、約1年ぶりのドル高・円安をつけた。米長期金利が4.98%台へ上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。ユーロ/ドルは、今晩予定されている欧州中央銀行(ECB)理事会やラガルド総裁の会見を控えて様子見ムードが広がり、1.05ドル台半ばで小動きに終始した。

 

日銀会合ではYCC上限引き上げはメインシナリオとしない:ゴールドマン

30~31日に日銀の金融政策決定会合を控える中、ゴールドマン・サックス証券は25日付のリポートで、イールドカーブ・コントロール(YCC)、資産買入方針、フォワード・ガイダンス(FG)に至るすべての金融政策事項に関して現状維持を予想した。今回の会合で公表される展望レポートで物価見通しが上方修正される見込みと報じられていることについて、「2023年度の消費者物価指数(CPI)見通しは再度上方修正されると予想する」と指摘した。また円安は1年以上の長期にわたってCPIを押し上げるため、「2024年度見通しも上方修正は不可避と見る。ただし、2025年度の見通しは横ばいに留まる」とも指摘した。その一方、米10年債利回りが7月会合時から既に100bp近く上昇していることを背景に、日本の10年国債利回りがYCCの実質上限の1%に接近しつつあることについては「この動きが継続すれば、日銀が上限金利(連続指値オペの金利)を1.25%へと上方修正する可能性が高まるが、米国債金利の高いボラティリティを考慮し、現時点では上限引き上げをメインシナリオとしない」と指摘。上限金利が引き上げられたとしても、「日銀はこれが金融政策の引き締め方向への転換であることを否定し、10年金利の急激な上昇を引き続き抑制する可能性が高い」とみていた。

 

欧州市場ではECB政策金利発表:予想は政策金利は据え置き

予想は、政策金利の据え置きとなっている。前回理事会後に公表された声明では「主要な政策金利は、これが十分に長い期間続けば、インフレ率が目標への回帰を速やかに達成する水準に到達したと考えている」との見方が提示された。ラガルドECB総裁は、政策金利の焦点が、金利水準からその水準を維持する期間に移っているとの見方を伝えており、政策金利の据え置きが決まる見込みである。

 

トルコ大統領の発言で株式市場が急落

昨日はイスタンブール株式市場が急落し、日中にサーキットブレーカーが2回発動した。エルドアン・トルコ大統領のイスラム組織ハマスを擁護する発言が株売りのきっかけとされている。取引が再開された主要株式指数は結局、7%安の大幅下落で終えた。トルコの国営メディアは昨日、エルドアン大統領がハマスを「解放者」と呼んだことを報じた。国際的にテロ組織として認知されているハマスの存在を容認する発言に、今後トルコが孤立する懸念が高まったとして同国株を手放す動きが広がった。大統領はイスラエル訪問予定をキャンセルしており、イスラエルを支援する米国とトルコとの関係悪化も危惧される。

 

南アの9月のPPI指標に注目:インフレ懸念が強まっている

南アからも9月の卸売物価指数(PPI)が発表される。先週発表された同月消費者物価指数(CPI)は市場予想を上振れたが、PPIも前年比で8月の+4.3%から+4.7%まで上昇する予想となっている。昨日、シャジバナ南アフリカ準備銀行(SARB)副総裁が「利上げサイクルが終わったと宣言するにはインフレ見通しに対するリスクが多すぎる」「最近の価格上昇圧力は主に燃料だが、食料面でも見られる」と発言するなど、インフレへの警戒感が強まっている。先日、ハト派だったナイドゥ副総裁が辞任を表明したこともあり、来月21日から23日に予定されている今年最後の金融政策委員会(MPC)での利上げ期待が高まっていることもあり、PPIの結果も注目される。

 

米下院議長に保守派のジョンソン氏:ゴールドマン

米連邦議会下院が25日、新しい議長に野党・共和党のマイク・ジョンソン氏を選出した。下院で多数派を握る共和の賛成多数で当選に必要な過半数を獲得した。3日にマッカーシー前議長が解任された後、4人目の候補者にしてようやく選ばれる運びとなった。ゴールドマン・サックスは25日付のリポートで「ジョンソン氏が新議長に選出されたが、23年10~12月期(4Q)の政府閉鎖に関する当社見解を大きく変えるものではない。暫定議長で11月17日の期限に達していた場合、最も可能性の高い結果は別の仮の延長であったと考えられる」との見解を示した。リポートでは、新議長が選出されたことで、下院共和党は最大1200億ドルの歳出削減を迫る可能性が高いとしながら、「長期的な歳出協定は困難になるだろう」と指摘した。また、ウクライナの資金調達をめぐる意見の相違も、歳出交渉を複雑にする可能性が高いとしつつ。「最近のイスラエルの動きにより、11月の政府閉鎖(シャットダウン)の可能性は低くなっている」と指摘した。その上で、11月の政府閉鎖が起きる可能性は現時点でギリギリ(close call)としつつ、基本シナリオとして11月に最大2~3週間の政府閉鎖が起こるとの見方を維持した。その結果、4Qの米国内総生産(GDP)は0.5パーセントポイント押し下げられ、24年1~3月期(1Q)に同じ分の反動増を見込んだ。

 

景気後退の兆候が見られるまで利上げは続く:JPモルガン

足もとの米債券市場では債券全般が売られるなかで長期債利回りの上昇幅が大きくなる「ベア・スティープ」化が進んだ。JPモルガンは25日付リポートで「1969年の米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めサイクルは、最後の利上げ後にベア・スティープ化が見られた唯一の引き締めサイクルだった」と指摘した。当時の引き締めサイクルを参考にすると、今年7月のFRBの利上げが最後とした場合、そこから3ヵ月後にあたる「今月末までにベア・スティープニングは原則として使い果たされる可能性がある」という。もっとも、「69年のサイクルでは、最後の利上げから3ヵ月後に景気後退が始まっており、現在のベア・スティープ化は成長の下方シフトに明確な兆候がみられるまで続く可能性があることを示唆している」との見解を示した。

 

米国市場では7‐9月期国内総生産速報値が公表:予想は前期比年率+4.0%

アトランタ地区連銀の経済予測モデル「GDPNow」の試算によると前期比年率+5.4%と高い伸びとなる可能性がある。住宅着工件数と小売売上高がやや強い数字だったこと、個人消費はまずまず良好であることから、成長率は4₋6月期の実績を大幅に上回る見通しとなった。

 

欧米市場イベント

○18:30   9月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比1.1%/前年比4.7%)
○20:00   トルコ中銀、政策金利発表(予想:35.00%に引き上げ)
○21:00   9月メキシコ失業率(季節調整前、予想:2.90%)
○21:15   欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:4.50%で据え置き)
○21:30   7-9月期米国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比年率4.5%)
       7-9月期米個人消費(速報値、予想:前期比年率4.0%)
       7-9月期米コアPCE(速報値、予想:前期比年率2.5%)
○21:30   9月米耐久財受注額(予想:前月比1.7%/輸送用機器を除く前月比0.2%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:20.8万件/174.0万人)
○21:30   9月米卸売在庫(予想:前月比0.1%)
○21:45   ラガルドECB総裁、定例記者会見
○22:00   ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、あいさつ
○23:00   9月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比▲2.0%/前年比▲14.6%)
○23:00   カンリフ英中銀(BOE)副総裁、講演
○27日02:00   米財務省、7年債入札
〇欧州連合(EU)首脳会議(ブリュッセル、27日まで)

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欧米タイム直前市場コメント!

2023/10/25/15:13:11

日経平均株価:米金利上昇一服で半導体関連株が指数を押し上げた

米金利の上昇が一服する中、米国市場でハイテク株高となったことを支えに、国内の半導体関連株が堅調に推移し指数を押し上げた。市場では、米金利の上昇一服と米企業の好業績、値ごろ感が相場を支えた。株式市場も債券市場も需給主導の感があったが、いったん歯止めがかかったとの見方が聞かれた。2023年4~9月期の国内の主要企業決算を見極めたい投資家も多く、商いは低調だった。前営業日比207円高の3万1269円と続伸して終了した。QUICKが評価損益率を計算した、信用評価損益率は20日申し込み時点でマイナス10.81%と、前の週のマイナス9.96%からマイナス幅が0.85ポイント悪化しました。悪化は2週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:149円台後半でもみ合い展開が継続

ドル/円は、本邦輸入勢のドル買い・円売りに支えられ、149.92円付近まで上昇した。ただ、政府・日銀による為替介入への警戒感が根強く、上値を追う動きは限られた。その後は、日銀が来週の会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)を再修正するとの見方からドル売り・円買いも見られ、149.80円近辺へ下落した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、149.80円台を中心とする狭いレンジで推移した。今晩の米経済指標や米株価の動向を見極めたいとのムードも広がった。ユーロ/ドルは、1.0600ドル付近で方向感に欠ける値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日銀のYCC再修正は長期金利動向を直前まで見極めて判断

ブルームバーグによると、日本銀行は30‐31日に開く金融政策決定会合で、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策の再修正について、長期金利の動向などを直前まで見極めた上で必要性を判断する。事情に詳しい複数の関係者への取材で分かった。関係者によると、米国の長期金利上昇が主導する形で日本の長期金利も日銀が上限に設定している1%に迫っており、会合ではYCCの再修正が必要かどうかが議論の対象になり得る。上限を守るための大量の国債買い入れを迫られる前に、予防的に対応することも選択肢になるという。関係者によると、今回のYCCの枠組みを巡る議論は、先行きの物価上振れリスクの強まりに対する対応ではなく、米長期金利の上昇に連動した日本の長期金利の上振れが市場機能などに及ぼす影響への懸念から生じている。会合では2%物価目標が持続的・安定的な実現を見通せる状況には至っていないとの判断が改めて示される可能性が大きく、YCCやマイナス金利の撤廃という本格的な政策変更は見送られる見通しだとしている。

 

中国株式市場で政府系ファンドがETFを23日に購入

中国当局が株式相場の下支えを強化している。政府系ファンド、中国投資(CIC)傘下の中央匯金投資は上場投資信託(ETF)を23日に購入したと発表した。中央匯金投資が同日遅く出した短い声明は購入額に触れていないが、中国紙の中国基金報は複数の証券会社による推計として、100億元(約2000億円)相当のETFが買い入れられたもようだと24日報じた。中国本土株の指標CSI300指数は年初来で約10%下げており、23日は2019年2月以来の安値水準で取引を終えていた。

 

中国が新規国債を増額:ゴールドマン

中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)常務委員会が24日、政府が2023年に発行する新規国債の増発を認めた。1兆元増発し、自然災害の被害を受けた地域の経済復興に充てるという。増発を受け、財政赤字の国内総生産(GDP)比率は3%から3.8%前後に高まる。ゴールドマン・サックスは24日付のリポートで、今回の財政刺激策の形式は我々を驚かせたが、財政政策の全般的な方向性は驚くべきものではないとの見解を示した。財政支出とインフラ投資は新たな資金調達がなければ圧迫されるだろうし、今年の残りの期間に費やされる追加の国債の額は、当社以前の想定(5000億元程度)と一致していると指摘した。その上で、「今回の発表は、23年10~12月期(4Q)に25bpの預金準備率(RRR)引き下げと10bpの政策金利引き下げを求める当社の主張を指示するものである」と指摘。また主要政策担当者は様々なジェスチャーを通じて経済と金融市場に焦点を当てていることを示したが、「これはある程度の信頼回復に役立つかもしれない」ともみていた。

 

26日のトルコ中銀によるMPCでは5会合連続の利上げ予想

トルコ中銀が26日開く金融政策委員会(MPC)では5会合連続の利上げが確実視しており、現行25%の主要政策金利は30%に引き上げられるというのが大方の見方である。一部通信社が実施したエコノミスト調査によれば、年末までに金利は40%まで引き上げられるとの予想が増えている。見込み通りであれば、インフレ抑制に向けた中銀の積極姿勢が確認されることになる。ただし、ポジティブサプライズではもうなくなっており、リラの上値を積極的に追う動きは出づらいかもしれない。一方、原油先物相場の弱含みや米長期金利の上昇一服は、リラにとっては好材料である。

 

南ア中銀副総裁の辞任で4名のメンバーに

昨日記載した、南アフリカ準備銀行(SARB)金融政策委員会(MPC)のメンバーの一人だったナイドゥ副総裁がSARBを辞任したが、後任人事はまだ決まっていない。11月21日から始まるMPCまでに後任が決まらない場合は、4名のメンバーしか残らないことで、もし投票が2票ずつの同数となった場合はクガニャゴSARB総裁が決定投票権を握ることになる。前回のMPCでは3票が据え置きだったが、ハト派のナイドゥ氏は据え置きを主張したと思われるので、前回同様の投票結果だった場合は2対2となる。

 

不法移民殺到で米国・メキシコ間の物流が大幅に遅延

メキシコで22日に開催された多国籍移民サミットでは移民が目指す国に対して「一貫性のない政策をやめるよう求める」ことで一致した。ラテンアメリカ・カリブ海諸国の移民が目指す米国を非難する決議を採択した。米国・メキシコ間の移民問題についてはバイデン米政権がテキサス州の国境の壁の建設を再開したほか、不法移民が国境に殺到した影響で米国・メキシコ間の物流が大幅に遅延するなど、事態の悪化が深刻化している。

 

米製造業PMIが市場予想を上回り下振れリスク緩和:ノムラ

24日に発表されたS&Pグローバルの10月の米国購買担当者景気指数(PMI、速報値)で製造業が前月比0.2ポイント上昇の50.0となり、市場予想の49.5を上回り、6カ月ぶりに好不況の分かれ目となる50に達した。ノムラ・セキュリティーズは24日付のリポートで、「インフレ指標はまちまちだった。製造業の投入価格と産出価格がともに上昇したことは、財セクターのディスインフレが停滞している可能性を示している。サービス価格は20年5月以来の低水準となる53.0だった」との見解を示した。リポートでは、現水準近辺のPMIは力強い成長を示すものではないとしつつも、「地域別調査の勢いがやや鈍化していることや、米連邦準備理事会(FRB)が10月に発表した米地区連銀経済報告(ベージュブック)の予想以上に悪い逸話を受けて、市場が懸念していた下振れリスクが緩和されたことは確かである」とみていた。

 

欧米市場イベント

○17:00   10月独Ifo企業景況感指数(予想:85.9)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○23:00   カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:5.00%で据え置き)
○23:00   9月米新築住宅販売件数(予想:前月比0.7%/68.0万件)
○23:30   EIA週間在庫統計
○26日02:00   米財務省、5年債入札
○26日02:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○26日05:35   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、あいさつ

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2023/10/24/15:10:02

日経平均株価:米国株価指数先物が堅調推移したことから買戻し優勢に

前日までの3営業日で1000円超値下がりした反動で朝方は反発して始まったが、次第に売りが優勢となった。米金利の先高観や中東情勢悪化への懸念など外部環境の不透明感が強く、買いが持続しづらいという。指数寄与度の大きいハイテク株や輸出関連株が軟調でだった。米国株価指数先物が午後の取引で堅調に推移したことも投資家心理を支えた。結局、前営業日比62円高の3万1062円と4営業日ぶりに反発した。

 

東京外国為替:ドルの下値も堅く149円台後半でもみ合う展開

ドル/円は、米長期金利を眺めたドル売り・円買いに押され、一時149.50円付近まで下落した。日経平均株価の下げ幅拡大で、リスク回避姿勢が強まったことも円買いを誘った。ただ、下値では値ごろ感からドルを買い戻す動きみ見られ、149.60円付近へ値を切り返した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、やや値を切り返して149.70円を挟んでもみ合いとなった。今晩の米経済指標や米株価の動向を見極めたいとのムードが広がっている。ユーロ/ドルは、10680ドルを挟んで方向感に欠ける値動きとなった。

 

スイスフランが地政学リスクに対する最良のヘッジ手段:ゴールドマン

ゴールドマン・サックスは23日付のリポートで、先週、投資家のリスク選好度は悪化の一途をたどったとの見解を示した。同社のリスク選好度指標は、「世界経済の成長」と「金融政策」の低下にけん引され、5月以来初めてマイナスに転じたという。ボラティリティは資産全体で上昇しているが、その上昇幅は金利よりも株式の方が大きく、特にフロントエンド金利の上昇幅が大きいとも指摘した。米連邦公開市場委員会(FOMC)がFF金利がピークに達した可能性を示唆し始めると、成長や地政学的な懸念が株式により重きを置くようになったという。その上で、「安全資産」のインプライド・ボラティリティ株式のボラティリティと並んで上昇しているものの、通常は利回りに敏感であるにもかかわらず、「米国の10年金利のボラティリティと比較すると依然として非常に低い」とも指摘。為替市場では、急激な為替変動に対してスイス国立銀行(SNB)が介入する可能性があるにも関わらず、依然としてスイスフランが地政学リスクに対する最良のヘッジ手段である可能性が高いとしながら、「ユーロ/スイスのプットとゴールドのコールは地政学的リスクのさらなる上昇に対して魅力的」とみていた。

 

トルコのCDSが下がりづらくリラの上値の重しに

実質金利が大幅マイナスであるトルコからの資金流出を簡単に止めることもできない。ドル建てトルコ5年債のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS、債務不履行に備える保証率)も下がりづらくなってきた。一時360ベーシスポイント(bp)まで下げたところから、足もとでは420bp超えまで水準を上げてきた。5月の選挙後と比較すると落ち着いてはいるとは言え、リラの買いづらさには繋がっている。

 

南ア中銀の副総裁が辞任発表

昨日南アからのサプライズニュースとしては、南アフリカ準備銀行(SARB)金融政策委員会(MPC)のメンバーの一人だった、ナイドゥ副総裁がSARBを辞任することを発表した。3人の副総裁のうちの1人で、任期は2025年3月まであったことで、辞任表明は予想外のことだった。同氏はハト派として知られている。なお、正式な辞任がいつになるのかはまだアナウンスされていない。また、現在のクガニャゴSARB総裁の任期は2024年までで、ナイドゥ氏の辞任により次期総裁は限られたメンバーから選択することになりそうである。

 

ドル高も株式相場が消化すべき要因:JPモルガン

JPモルガンは23日付リポートで「供給削減や地政学的な不確実性の高まりを背景としたエネルギー価格の上昇、財政上の懸念や米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締め長期化懸念を背景とした再建利回りの上昇に加え、米ドル高の更新も株式市場が消化すべきもう1つの要因である」と指摘した。昨年以降、世界の株式相場の底打ちとドル高のタイミングが重なったのを踏まえ、米金利と各国の金利差が大きいことから、「米ドルは十分に入札され続ける可能性がある。そうなれば、株式全般が圧迫され続ける可能性がある」との見解を示した。一方で、日本、スイス、英国株は輸出の割割合が高いことから現地通貨ベースでアウトパフォームすると強調した。

 

欧米市場イベント

○15:00   9月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○15:00   6-8月英失業率(ILO方式、予想:4.3%)
○15:00   11月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:26.6)
○16:15   10月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:44.4)
○16:15   10月仏サービス部門PMI速報値(予想:44.6)
○16:30   10月独製造業PMI速報値(予想:40.0)
○16:30   10月独サービス部門PMI速報値(予想:50.0)
○17:00   ブロック豪準備銀行(RBA)総裁、講演
○17:00   10月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:43.7)
○17:00   10月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:48.7)
○17:30   10月英製造業PMI速報値(予想:44.7)
○17:30   10月英サービス部門PMI速報値(予想:49.3)
○22:45   10月米製造業PMI速報値(予想:49.5)
○22:45   10月米サービス部門PMI速報値(予想:49.8)
○22:45   10月米総合PMI速報値(予想:50.0)
○23:00   10月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:2)
○25日02:00   米財務省、2年債入札
○インド(ヒンドゥー教ダシェラ祭)、休場

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