★NY株式市場では、三指数で上昇・下落のまちまちとなり、レイバーデーで米国債券市場が休場だったことから、前日の米長期金利を使用した。イールドスプレッドはNYダウは縮小したが、S&P500とNASDAQは拡大するなどまちまちの展開となった。三指数とも割高なほどは買われているわけではないものの、過去のイールドスプレッドと比較して目に見えて割安感が薄れてきている。
NYダウは、5日SMAの27,606ドルがサポートとなり短期的な上昇基調は継続している。10日SMAの27,415ドルが上向きとなっており、短期的な上昇基調は継続している。ただ、ロウソク足の実体が小さくなっていることから、相場に迷いが出始めている可能性がある。そのため、今後も長期金利が上昇するようなら米国株の割高感が意識されるようになる。NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。割高になると米国株を売って、安全資産である債券などに資金がシフトされやすくなり、米国株の下落調整しやすい地合いとなる。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.253%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/6/3-▲4.038%、
19/8/5-▲4.102%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・11月8日:▲3.350%⇒11月11日予想▲3.347%
11月11日はNYダウは小幅上昇し、長期金利はレイバーデーで債券市場が休場だったことから、8日終値の1.941%を使用した。株価が上昇したことでイールドスプレッドは前日比で小幅縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲4.253%から▲0.906%と平均値よりかい離が縮小している。18年12月3日の天井▲3.069%まで▲0.278%に接近してきた。19年4月25日の天井3.048%まで▲0.299%に接近してきた。
NYダウが小幅上昇したことで株式益利回りは低下した。イールドスプレッドは前日比で縮小し3.4%台割れとなっている。そのため、米国債券に対してNYダウが前日比で割高となった。前日比ではNYダウを買うよりも米国債券を買う方が良いことになる。米中貿易協議をめぐる楽観論が後退したほか、香港情勢の悪化を懸念した売りが先行し一時160ドル超下げた。ただ、個別に材料の出た航空機のボーイングやドラッグストア大手のウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンスが大幅高となり、NYダウをプラス圏に押し上げた。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.577%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/6/3-▲3.881%、
19/8/5-▲4.002%、19/8月15日-4.179%
・11月8日:▲3.286%⇒11月11日予想▲3.297%
S&P500が小幅下落したことで、米長期金利は横ばいとしてイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲3.577%から▲0.280%と平均値より縮小している。また、18年12月3日の天井となった▲2.731%まで▲0.566%に接近した。19年4月25日の天井となった2.966%まで▲0.331%に接近した。イールドスプレッドが徐々に縮小してきており、割高感に近づいている。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.103%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/6/3-▲2.328%、
19/8/5-▲2.383%、 19/8/15-▲2.498%
・11月8日:▲1.767%⇒11月11日予想▲1.772%
NASDAQが下落したうえ、米長期金利は横ばいとしたことでイールドスプレッドが前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲2.103%から▲0.331%と平均値より縮小した。また、18年12月3日の天井となった▲1.198%まで▲0.574%に接近した。19年4月25日の天井となった▲1.468%まで▲0.304%に接近した。
NASDAQが下落したうえ、米長期金利を横ばいとしたことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。割高にはなっていないが、イールドスプレッドが1.80%台割れまで縮小してきており、割安感も払しょくされてきている。NASDAQはハイテク関連銘柄が多く米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。特に米中通商協議の行方に左右されやすく、報道に振れやすい地合いとなっている。
三指数のイールドスプレッドは、指数上昇・下落とまちまちの動きとなったことで、米長期金利を横ばいとしたことから、NYダウは縮小し、S&P500とNASDAQはわずかに拡大した。米国株は割高感を感じるまでは買われているわけではないが、全般米国株への割安感は薄れてきている。割高・割安感がないということは見方を変えれば、上振れ・下振れしやすいとも言える。米長期金利が引き続き上昇すると、米国株に割高感が出てくるので、今後の米長期金利の動向には注意が必要となる。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。
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★東京金の中期トレンドを示す週足では、よく見るとダブルトップの予想となっている。ネックラインは10月4日安値5,071円となっており、夜間取引での安値5,071円と一致している。そのため、ダブルトップ崩れは回避された。
移動平均線では、ロウソク足は13週MA(赤線)を下抜け、わずかに下向きとなってきたことから、下押しバイアスがかかってきた。
ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は、価格はもみ合いながらも上昇していたにも関わらず、%DとSlow%Dは低下基調となるダイバージェンスとなっており、下落の前兆となっている。
昨年11月23日週から翌年2月22日週には、ストキャスティクスが高値圏から横ばいになった。そこから下落するまでに13期間かかっている。今回も高値圏から横ばいになった位置から13期間以降陰線となり下落基調を示している。
まとめると、13MAを下抜けストキャスティクスでも下落基調となっており、時間的サイクルでも下落調整いやすい時間帯となっている。ただ、ダブルトップネックラインを維持していることから、反転の可能性も残っている。そのため、ネックラインの5,071円を下抜けるかを確認したい。
下抜けした場合は、ダブルトップの高値とネックラインの値幅に対しての倍返しとなる4,838円が大きな節目となる。移動平均線では、26週MA(青線)5,012円や52週MA(緑線)4,787円がある。心理的な節目とすれば5,000円となる。
下値節目までの時間は、2月22日週から5月31日週で13期間となった。今回も13期間前後が節目となる可能性ある。3週目の調整となっていることから、10週前後の調整が必要となる可能性がある。
★11月5日以降の東京金60分足では、24時間SMA(緑線)がレジスタンスとして意識され、戻りも限定的となり下値模索状態が続いている。一旦、5,071円が下値目処となり、戻り基調となっているものの、値動きが極端に小幅になっており、力強い戻りにはなっていない。24時間SMAを上抜け出来るかが注目される。
NY金先物市場は1448.90-1467.40ドルのレンジ相場となった。米中通商協議のさらなる進展への期待は持続していることや、英ブレグジット党のファラージ党首は、英総選挙で、与党保守党が前回選挙で勝利した選挙区に対立候補を擁立しないと表明したことが材料視された。しかし、ドルが軟調に推移していたことで、ドルで取引される金先物は割安感から堅調に推移していた。しかしながら、徐々に上値が重くなると先週の安値近辺にあったストップロスをつけ、8月5日以来となる水準まで弱含んだ。
価格帯別出来高では、5,200円近辺での出来高が多く、もう一段下落すると手仕舞い売りが継続的に入りやすい。一方で、5,100円割れでは押し目買いも入っており、短時間で出来高が膨らんでいる。
MACD(パラメータ:12、26、9)は、ゼロラインの下方でMACDがシグナルとゴールデンクロス寸前となっている一方で、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、3、3、20、80)は、%DとSlow%Dともに上向きとなっていることから、戻り基調を維持している。
東京金の日足では、100日SMAの5,070円と10月2日安値5,071円、さらに一目均衡表の雲の下限5.087円がサポートラインとして意識され、下げ止まる展開となっている。これらのサポートラインを維持出来るかが注目されるところである。NY金も上値の重い展開となっており、100日SMAの1,474.55ドルを明確に下抜けしてきたことから、現在は下値模索の展開となっている。為替市場では、109円を挟んだ値動きとなっているものの、香港での警察とデモ隊との衝突激化が警戒されており、リスク回避の円買いになりやすい。
東京金の下値節目で反転しているものの、上値の重い展開が続く可能性がある。そのため、節目となっている5,070円台を維持出来るかが焦点となる。
★欧州市場朝方の取引では、先週の株高・債券安の流れが失速し、ドルが戻り売りに押される展開となった。なお、欧州株は軟調に取引を開始した。欧州市場では、欧州株は軟調、NYダウ先物もマイナス圏推移で、109円を割り込んだ後の戻りが鈍い展開となった。欧州株は下げ幅を広げ、NYダウ先物も戻りの鈍い動きとなったが、こう着相場が継続した。ブレグジット党党首が保守党に歩み寄る姿勢を示したことが好感され、対ポンドが下落したタイミングで一時安値を付けたが下値も限定的だった。
安く始まった米国株が下げ幅を縮めたほか、市場では『108円台では実需の買いが意識される』との指摘もあった。米国株式市場の回復に連れて、リスク回避の動きが一段落となった。NYダウはプラス圏を回復したものの、為替市場は米国がベテランズデーで市場参加者が少ないこともあり反応は鈍い展開となった。
★欧米主要経済指標
・英・7-9月期GDP:前年比+1.0%(予想:+1.1%、4-6月期:+1.3%)
・英・7-9月期GDP:前期比+0.3%(予想:+0.4%、4-6月期:-0.2%)
・英・9月鉱工業生産:前月比-0.3%(予想:-0.1%、8月:-0.7%←-0.6%)
・英・9月製造業生産:前月比-0.4%(予想:-0.2%、8月:-0.7%)
・英・9月貿易収支:-125.41億ポンド(予想:-101.00億ポンド、8月:-108.25億ポンド←-98.06億ポンド)
★欧米市場のポイント
・108.86-109.10円のレンジ相場
・ブレグジット党党首が保守党に歩み寄る姿勢を示したことでポンド買い
・香港情勢の悪化を懸念したドル売り
・米中貿易協議を巡る楽観論が後退
・ベテランズデーで米債券市場が休場で値動きは鈍い展開
・VIX指数は12.07から12.69へ上昇
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★日経225の日足では、5日SMA(赤線)や10日SMA(黄線)がサポートとなり、上昇基調を維持している。また、8月26日安値を起点として10月10日安値を結んだトレンドライン(S1)よりも10月10日安値を起点として11月1日安値を結んだトレンドライン(S2)がS1よりも上に引かれることから、上昇のペースは加速していることになる。
一方で、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は、%Dラインが10月29日にピークとなり価格が上昇しているにも関わらず、ストキャスティクスは低下傾向にあるダイバージェンスとなっている。9月にも同様のダイバージェンスが発生して、その後は大きな下落調整となった。そのため、警戒しておく必要がある。
基調的には上昇基調を継続しているが、ダイバージェンスが確認できることから5日SMAや10日SMAを下抜けるような状況となると、下落調整となる可能性が高いので注意。
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