★NY株式市場では、三指数は全て上昇したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して前日比で米国株は割高)した。新型コロナウイルス発生源をめぐる米中対立への懸念が後退し、買いが膨らんだ。引けにかけては、景気底入れへ期待感から上げ幅を一段と拡大した。米長期金利も上昇してきており、三指数とも割安感は薄れてきている。そのため、リスク回避の材料が出ると利益確定売りが出やすい。また、米企業の業績下方修正により、PERが上昇しやすく割安感が薄まる。
今回のリスク回避の動きは新型コロナウイルスの感染拡大や原油急落にある。そのため、利下げや量的緩和、財政政策などを実施しても市場の不安は一時的なものになりやすい。まずは、感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチンが開発されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続く。また、景気後退は避けられないほか、どの程度速やかに救済資金が消費者や企業に供給されるかなどに不透明感もあるため、一方的な戻りにもなり難い。VIX指数は31.44から27.98へ低下した。VIX指数が20台後半まで低下してきたことで、過度なリスク回避の動きがやや弱まってきている。ただ、未だにVIX指数が高水準で推移していることから、しばらくはボラタイルな動きが続きやすい。VIX指数が20を割ってくると市場に落ち着きが出たことになる。米中関係の悪化懸念も出始めていることは、株式市場の売り材料になりやすい。
NYダウは、5日SMAの23,901ドルと10日SMAの24,044ドルを上抜けしたことで、再び短期的には上昇基調となった。ただ、上値では緩やかに下向きの75日SMAの24,981ドルが位置しており、レジスタンスとして意識される。一方、2月12日高値29,569ドルと3月23日安値18,214ドルの半値戻し23,891ドルを上回ったことで、サポートラインとして半値戻しが意識される。過度な割安感は払拭されてきており、戻りが早いことから一旦の下落調整があっても不思議ではない状態が続いている。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.424%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%
20/01/17‐▲3.018%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・5月7日:▲3.694 %⇒5月8日:予想▲3.567%
5月7日のNYダウは上昇したもうえ、米長期金利が大きく上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲4.424%から▲0.857%と平均値よりかい離していることで割高になっている。19年1月3日の大底▲4.226%から▲0.659%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲0.535%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲0.974%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.450%下回った。ムニューシン米財務長官とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は前日、中国の劉副首相と電話で会談し、米中貿易交渉の『第1段階の合意』履行を確認したと伝わった。新型コロナウイルス発生源をめぐる米中対立への懸念が後退し、買いが膨らんだ。引けにかけては、景気底入れへ期待感から上げ幅を一段と拡大した。また、米国で半数以上の州が規制緩和に動いていることも好感されて、一時470ドル超上昇した。VIX指数は31.44から27.98へ低下した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.655%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%
20/01/17-▲2.990%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/23-▲6.222%
・5月7日:▲3.443%⇒5月8日予想▲3.329%
S&P500は上昇したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.655%から▲0.326%と平均値よりかい離していることで割高になっている。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.540%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲0.673%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲0.850%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.170%下回った。20年3月23日の6.222%から▲2.893%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.339%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・5月7日:▲2.239%⇒5月8日予想▲2.148%
NASDAQは上昇したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.339%から▲0.191%平均値よりかい離していることで割高になっている。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.031%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.235%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.350%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲0.655%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲1.946%下回った。
NASDAQが上昇したものの、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。過去のイールドスプレッドを下回ってきたことから、さらに割安感は払しょくされてきている。ただ、米中対立緩和や新型コロナウイルスの感染などのポジティブな報道があると、引き続き急速な戻り基調となりやすい。三指数の中での割安感が払しょくされてきている。
三指数のイールドスプレッドは、三指数が全て反発したうえ、米長期金利が上昇したことで、イールドスプレッドは三指数ともに縮小した。新型コロナウイルス発生源をめぐる米中対立への懸念が後退したことで、市場ではリスク回避姿勢が後退した。新型コロナウイルス感染報道や米中貿易交渉、中東情勢、英国のブレグジットなどの報道で市場は上下に振れやすい状況が続いている。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。
★4月28日以降の東京金60分足では、90時間SMA(紫線)がサポートとなり週末大引けに掛けて押し目買いが入り、戻り基調で終了した。週明けから雲のネジレがあることから、トレンドの反転や加速など相場の節目となりやすいので、寄り付き後の動きには注意が必要となる。先行き雲の上下限がサポートとして意識されるかも注目される。
NY金先物市場は1705.10-1735.50ドルのレンジ相場となった。米中の関係悪化への懸念が後退し、米株が上昇するなど、投資家のリスク選好のムードが高まり、安全資産の金に売り圧力が強まった。ロンドン市場で1735.50ドルまで買われたが、米雇用統計発表後は利益確定を狙った売りが優勢となった。
価格帯別出来高では、出来高の多い価格帯を下抜けしたことで戻り場面では買い方からの『やれやれ売り』が出やすく上値の重石となりやすい。下値でも出来高が多いことから、上値が重くなると利益確定売りが出やすい。
MACD(パラメータ:12、26、9)は、ゼロラインの上方からシグナルとデッドクロスして下落基調となっている一方で、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、3、3、20、80)が、低位で%Dが上向きとなりSlow%Dをわずかに上抜けしてきたことで戻り基調となっている。寄り付き後、MACDのゼロラインがサポートラインとなり反転するようなら、短期的には戻り基調に戻りやすい。
東京金の日足では、5日SMAの5,826円がサポートラインとして意識され、下げ止まる展開となっている。もみ合い相場となっているが、三尊天井の様相となってきていることには注意が必要となる。4月22日の安値5,719円がネックラインとなっている。NY金は株高・米長期金利上昇から利益確定売りに押される展開となった。1,700ドル台での値固めの動きとなっている。為替市場では、弱い米経済指標結果には反応しなくなっており、米長期金利や米国株動向に左右される展開となっている。
本日の注目点は60分足で寄り付きから雲のネジレがあることから、相場の節目となっている。トレンドの反転や加速などの動きがあるかが注目される。また、雲の上下限がサポートラインとして意識されるかも焦点となる。日足では5日SMAがサポートラインとして意識されていることから、維持出来るかも相場のポイントとなる。
★欧州市場序盤の取引では、株高が一服となるに連れて円売りの動きも一巡となり、クロス円は上昇幅を縮小してもみ合い推移となった。欧州市場では、欧州株式市場は主要指数が総じて強含んでおり、リスク選好的な円売りで主要通貨は底堅い値動きとなった。欧州市場中盤の取引では、米雇用統計の発表を控え、米長期金利が0.61%近辺に低下となる中、全般もみ合い商状ながらドルの上値は重かった。
4月米雇用統計で非農業部門雇用者数や失業率は前回から大幅に悪化したものの、予想ほど弱くなかったことでドルの買い戻しが強まった。米FRBが政策金利であるFF金利誘導目標をマイナスにすることを織り込み始め、米長期金利が低下に転じたほか、米2年債利回りが一時0.1032%と過去最低を付けたことも相場の重石となり、ドルは徐々に上値を切り下げた。米国株の堅調な動きや米長期金利の下げ渋りを受けてドルが買い戻された。米FRBは資金調達市場の安定に連れて、国債購入ペースを1日70億ドルへ、従来80億ドルから減速すると発表すると、米長期金利が上昇したことで、ドルが堅調推移となった。
★欧米主要経済指標
・米・4月非農業部門雇用者数:前月比‐2050万人(予想:-2200万人、3月:-87万人←-70.1万人)
・米・4月平均時給:前年比+7.9%(予想:+3.3%、3月:+3.3%←+3.1%)
・米・4月失業率:14.7%(予想:16.0%、3月:4.4%)
・米・3月卸売在庫改定値:前月比‐0.8%(予想:-1.0%、速報値:-1.0%)
・米・3月卸売売上高:前月比‐5.2%(予想:-3.0%、速報値:-0.7%←‐0.8%)
★欧米市場のポイント
・ドル/円相場は106.27-74円のレンジ
・米中対立への懸念が後退したことでリスク選好
・米4月雇用統計は市場予想ほど悪化せずドル買い戻し
・米FRBの国債購入ペース減額で米長期金利上昇
・米FRBのマイナス金利導入の思惑から2年債金利は低下
・VIX指数は31.44から27.98へ低下
★東京白金のボリンジャーバンド(パラメータ:21、±1σ、±2σ、±3σ)日足では、バンド幅が縮小するスクイーズ状態となっており、さらに縮小傾向が強まっている。ほとんど上下の値幅がなくなっており、売買が交錯している状態となっている。そのため、何時バンド幅が拡張する上下放れのエクスパンションしても不思議ではないほどバンド幅が縮小している。
厚みのない一目均衡表の雲の中での値動きとなっており、雲の上限を上抜けするのか、それとも下抜けするのかが上下放れのシグナルとなりやすい。
ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は、%DとSlow%Dは横ばいとなっており、トレンドレスの状態となっている。
2020年1月からの価格帯別出来高では、3,500円前後での出来高が多いほかは目立った出来高はない。2,200円から2,780円の間では約30万枚の出来高がある。
何時上下に大きく放れても不思議ではない状態となっている。現在は上下どちらに放れるか全く分からないが、ヒントとすれば雲の上下限のどちらに抜けるかが放れの目安となりやすい。もみ合いながらも出来高が30万枚あることから、放れるとそれなりに大きな動きとなりやすい。上放れした際は、以前出来高が膨らんだ3,500円前後が一旦の目途となりやすい。
トルコ金融当局が強めた規制に対する影響を見極める展開となっている。銀行調整監視機構(BDDK)は昨日、為替や金利などの金融市場で『操作的』とする取引の範囲を拡大した。資産価格を不自然・異常な水準に維持する結果となった銀行取引などは、今後は操作的とみなされるとした。誤った、または誤解を招く情報を広めることも規制の対象となる。なお、前述の取引禁止とされた外銀は、米・仏・スイスの大手銀行とされている。そのため、投機筋のポジションがリラショートに傾いた後の規制発表で、市場はパニック的なリラ買い戻しに動いた。しかし、テクニカル的には、レジスタンスを上抜けできずに上値の重い展開となっている。
トルコリラ/円の日足では、5月7日に付けた最安値14.61円から反転している。5日SMA(赤線)の14.942円はわずかに上抜けしたものの、下向きの10日SMA(黄線)の15.123円がレジスタンスとして意識され上値を抑えている。10日SMAを上抜けしても、下向きとなっている25日SMA(青線)の15.498円がレジスタンスとして意識される。ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)では、売られ過ぎ域で底這い状態から%DとSlow%Dは上向きとなってきた。そのため、戻りを期待したいところではあるが、明確な下落トレンドを形成していることから、この反転がダマシとなる可能性が高いので注意が必要である。
戻りの兆しは出ているものの、5日SMAと10日SMAが上値を抑える展開となっている。そのため、5日SMAと10日SMAを上抜け両線がゴールデンクロスするような動きになるまでは戻り売りに押されやすい。また、戻り目途も25日SMAが限界となっている。モメンタム系のオシレーターであるストキャスティクスは、明確なトレンドが発生している時はダマシが発生しやすい。
トルコ中銀の4月30日時点での外貨準備高は約515億ドルと、前週比2.3%減、前年同時期と比べると3割弱も減少している。外貨準備枯渇への懸念が高まったままであり、他中銀との通貨スワップラインの設定や拡大を急ぐ必要があるのは変わらない。
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