FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2019/06/17/15:08:31

日経平均株価:イベント控え様子見ムード

前週末の米国株市場で半導体関連株が下落した流れを引き継ぎ、朝方は日本の半導体関連株が売られて安く始まった。しかし、大規模デモの影響が懸念された香港ハンセン指数が高く始まると安心感が広がった。108円台半ばまで円安が進んだことも相場の支えとなった。今週は米FOMCなどイベント多く半導体関連には業績先行き不安も懸念されて積極的な売買が手控えられ、結局、前週末比7円高の2万1124円と小幅続伸で終了した。

 

東京外国為替市場:日本株高と米長期金利上昇からドル底堅い展開

ドル/円は、国内輸入企業などのドル買い・円売りや、日経平均株価がマイナス圏からプラス圏へ転じたことに支えられて、108.70円前後まで値を上げた。米長期金利が上昇したことも、ドルの押し上げ要因となった。ただ、11日つけた戻り高値108.80円が意識されると下げは一服し、108.60円を挟んでもみ合う展開となった。午後は、株価をにらみながら、108.60円台を中心とした狭いれんじで取引された。ユーロ/ドルは1.12ドル台前半で方向感の欠いた展開となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

トルコリラはムーディーズ格下げを受けた欧州勢待ち

先週末取引終了前に格付け会社ムーディーズが昨年8月以来、約10ヵ月ぶりにトルコの格付けを引き下げたことでトルコリラ安が進んだが、週明けのアジア市場では追随する動きはいられていない。ただ、欧州勢が参入してくると夕方から動意づく可能性があるので注意が必要。ロシア製S400地対空ミサイルについて、エルドアン・トルコ大統領は先週末にも『すでに納入済み、7月前半には届くだろう』『これはもう完了済みであり、後ろ向きなことは論外』とかたくなな姿勢を維持している。また、米国側から届いた書簡についても『今週中には回答書簡が米側に届くだろう。米国側との意見の食い違いについてはトランプ大統領と話し合う』と述べている。

 

6月FOMC会合では利下げに傾斜するか注視

連邦公開市場委員会(FOMC)を予定しているほか、英国中央銀行や日本銀行が金融政策決定会合を予定している。FRBが18-19日に開催するFOMCでは3月に発表した見通しを基にすると、政策金利が引き締め気味であるため利下げの思惑も一部浮上している。しかし、大半は政策金利を据え置き、必要とあれば利下げに踏み切る明確な軌道を示唆する可能性がある。声明では『辛抱強い』との文言を削除し、7月の利下げの可能性を示唆するとも考えられる。さらに、景気やインフレの判断、見通しが下方修正されるかどうかにも注視される。パウエル議長やFOMCメンバーは『低いインフレは一時的な要因が影響している証拠がある』との見解を示していたが、この見解が修正されるかどうかにも注目される。修正されると、より利下げに傾斜したことを示す。

 

日銀はFRBの利下げ待ちの様相

米国の予防的利下げ観測、欧州の追加緩和の議論を受けて、日銀に対してもいずれ追加緩和せざるを得ないとの見方が強まっている。この流れは2019年初にもあった。確かに黒田総裁は10日のブルームバーグのインタビューで、『必要であればさらに大規模な緩和を行うことができる』『追加緩和に踏み切る際は副作用を減らすために最大限の配慮を行う』と述べた。 しかしながら、現時点では下振れリスクが顕在化し『たら』、必要で『あれば』のタラレバの状況にあり、材料はまだ揃っていない。備えあれば憂いなしで、黒田総裁の発言もまだリップサービスの領域にとどまる。政府もFRBも動かない状況下、日銀は先に動かない。 19-20日開催の日銀金融政策決定会合では、賛成多数で現状維持の決定を予想する。リフレ派の一部委員から追加緩和の提案があっても、論理的に説明できる材料なしに日銀は動かない。協調姿勢を示すために、フォワードガイダンスをECBのように修正するとの見方もある。しかしながら、18日発表の政府6月の月例経済報告では、大きな判断修正がないとみている。

 

 

米国のマネーサプライ(通貨供給量)に歯止めが掛かる

FRBによる資産圧縮ペースの鈍化(9月からは圧縮停止へ)などの影響が大きいとはいえ、FRBの金融調節ベースでの資金供給配慮が間接示唆されているほか、米国での貸出・資金需要の一定残存やマネー回転の継続といった打たれ強さを示すものだ。
流動性に敏感な成長株を中心とした米国株を下支えするほか、先行き時間は要するものの米国での余剰マネー増加を通じ、海外勢による日本株への溢出配分にプラス効果をもたらす。FRBは独自判断として、3月時点で保有バランスシート(資産)縮小について今年5月から資産圧縮ペースを緩やかにし、9月末には完全に圧縮を停止する方針を示している。連動する形でFRBのマネーサプライは、伸び率の減少に歯止めが掛かり始めた。最新の6月3日週にはマネーサプライM2の13週前比(約3カ月前比)が+1.62%となり(前週は+1.49%)、直近最低である4月29日週の+0.42%での底入れが再確認されている。伸び率としては、2016年11月以来、実に約2年半ぶりの高水準となってきた。

 

欧米イベント

○16:00   3月トルコ失業率(予想:14.1%)
○17:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○21:30   4月対カナダ証券投資
○21:30   6月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:11.0)
○23:00   6月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:67)
○18日02:00   ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○18日05:00   4月対米証券投資動向
○米通商代表部(USTR)、対中制裁第4弾で産業界から意見を聞く公聴会
○南アフリカ(青年の日の振替休日)、休場

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/06/14/15:10:18

日経平均株価:輸出関連株の一部に買い戻し

米国利下げ観測を手掛かりとした前日の米株式相場の上昇を好感した買いが先行し米長期金利低下にも関わらず円高進行が小幅で自動車など輸出関連株の一部に買い戻しが入った。オマーン沖での石油タンカー攻撃などで地政学リスクが意識されたが、ドル/円や香港ハンセン指数などの落ち着いた動きが安心材料となった。結局、前日比84円高の2万1116円と3日ぶりに反発して終了した。

 

東京外国為替市場:108円台前半でのもみ合いに終始

ドル/円は、本邦実需筋のドル買い・円売りや日経平均株価の持ち直しに支えられ108.40円前後まで上昇した。しかし、このところ発表されている米経済指標の下振れで、FRBの早期利下げ観測が高まっているため、上値を追う動きは限られた。その後は、週末を控えた持ち高調整などのドル売り・円買いが入り108.30円近辺でもみ合う展開となった。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら108.30円台を中心とした狭いレンジ内でもみ合った。ユーロ/ドルは、1.12ドル台後半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国市場では5月小売売上高が公表:16:00発表

4月実績は前年比+7.2%で市場予想を大幅に下回った。衣類販売が10年ぶりの減少した。個人消費はやや低調だが、3月に増加した反動もあった。5月については、伸び率は4月実績を上回るとみられているが、個人消費の急回復は期待できないこと、貿易摩擦の影響が懸念されていることから、前年比+7%台の伸びにとどまる可能性がある。

 

南アランドの上値が重い:南アランド大統領への疑惑の目

ランドが弱含んだ要因は、南ア国営企業の人員削減報道(失業率の悪化懸念)、米中貿易摩擦への不透明感、南ア中銀の利下げへの思惑など幾つかみられた。くわえて、ラマポーザ南ア大統領への疑惑の目も通貨ランドの重石となっている。

17年のアフリカ民族会議(ANC)の党首選時に、ラマポーザ氏が運動資金として受け取った50万ランドが再び問題視されている。献金は、南アの企業ボササ(Bosasa)のCEOからラマポーザ大統領の息子名義の口座を通じて行われており、ラマポーザ氏も資金の流れについて認めていた。選挙違反ではないとされていたようだが、献金についての議会説明でラマポーザ氏が偽証したのではないかという疑いがでている。この件を調査した護民官(Public Protector)は、調査内容に対するラマポーザ大統領からの回答は21日から28日の間にされると述べている。

 

エコノミストの多くが米国の利下げを予想:WSJ紙

ウォールストリートジャーナル紙の調査によると、回答者の75%以上が米連邦公開市場委員会(FOMC)の次の行動が『利下げ』と見ていることが明らかになった。調査の対象となった46人のエコノミストのうちほぼ40%が7月の利下げを予想している。30%近くが9月の利下げを予想している。調査は、59人の学者、エコノミストを対象に6月7日から11日にかけて実施された。ただ、6月18-19日に開催される次回連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げを予想しているエコノミストは回答者46人のうちわずか2人のみとなっている。貿易緊張の深刻化、世界経済の減速、米国国内経済の成長が減速する兆候などを鑑み、FRB高官は今後、数カ月で利下げの可能性を熟考していくことになる。5月の予想を下回った雇用が利下げを正当化する可能性もある。米商務省が14日にワシントンで発表する5月小売売上高で米国経済に最も重要な消費動向を判断していく。今年に入って消費の鈍化が鮮明になりつつあり、成長が抑制されるとの懸念に繋がっている。

 

米国市場では5月小売売上高が公表

4月は主要13項目のうち7項目で売上が減少した。3月が1.7%の高い伸びを記録したため、反動が出た。5月については4月に減少した反動で増加すると予想されるが、個人消費はやや伸び悩んでおり、わずかな伸びにとどまる可能性がある。

 

米国市場では5月鉱工業生産が公表

4月実績は前月比▲0.5%となった。製造業の減少が目立った。5月については、4月にさえない状態が続いているとみられている。ただし、鉱業は順調であることから、市場予想の前月比+0.2%程度の増加となる可能性が高いとみられている。

 

欧米イベント

○15:00   5月独卸売物価指数(WPI)
○15:30   5月インドWPI(予想:前年比3.10%)
○15:45   5月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.2%/前年比1.0%)
○16:00   5月中国鉱工業生産(予想:前年比5.5%)
○16:00   5月中国小売売上高(予想:前年比8.1%)
○16:00   4月トルコ経常収支(予想:15.0億ドルの赤字)
○16:30   5月スウェーデンCPI(予想:前月比0.1%/前年比2.0%)
      コア指数(予想:前月比0.1%/前年比2.0%)
○19:30   ロシア中銀、政策金利発表(予想:7.50%に引き下げ)
○21:30   5月米小売売上高(予想:前月比0.6%/自動車を除く前月比0.3%)
○21:55   カーニー英中銀(BOE)総裁、東京で講演
○22:15   5月米鉱工業生産指数(予想:前月比0.2%)
       設備稼働率(予想:78.0%)
○23:00   6月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:98.0)
○23:00   4月米企業在庫(予想:前月比0.5%)
○EU財務相理事会(ルクセンブルク)
○日米閣僚級貿易協議(ワシントン、15日まで)

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/06/13/15:13:51

日経平均株価:米国株安と円高進行を嫌気した売り

前日の米国株市場で主要3指数やフィラデルフィア半導体指数が下落した流れを引き継ぎ、朝方から売りが先行した。その後、米長期金利の低下を受けて円高基調が進行すると、為替に連動する先物売りが出て下げ幅を拡大し、一時200円近くまで下げ幅を広げた。今晩の米30年債入札の需要が旺盛との思惑から、米金利に低下圧力がかかったとの見方が出ていた。結局、前日比97円安の2万1032円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:内外株安と米長期金利の低下でリスク回避の円買い

ドル/円は、内外株安や米長期金利の低下をながめてドル売り・円買いが進み、108.17円近辺まで下落した。低調な5月号雇用統計を嫌気した豪ドル/円の急落が波及したことも材料視された。ただ、下値では値ごろ感からのドルの押し目買いが入り、下げは一服した。午後は日経平均株価の下げ幅縮小や上海総合株価指数の持ち直しに支えられ、108.40円近くまで値を切り返した。しかし、トランプ大統領の不規則発言が警戒されているため、ドル買い・円売りは続かず、108.35円を挟んだもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、1.1295ドル前後で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国の人民元安誘導懸念:制裁関税効果を相殺

中国人民銀行は、2015-16年の資本流出を回避するため、1ドル=7元、をレッドライン(換えてはならない一線)に設定しているのではないか、との警戒感が根強くあった。 しかし、2019年6月7日、易綱中国人民銀行総裁が、『人民元に換えてはならない一線(レッドライン)があるか?』との質問に対して、『数学的な物差しで見て特定の数字が他の数字よりも重要だとは思わない』と述べたことで、ドル・人民元は、1ドル=7元に向かってドル高・元安が進んでいる。総裁は、『貿易戦争が一時的な元安圧力になる可能性があるが、そうしたノイズの後は元が引き続き安定し、新興国通貨、交換可能通貨と比較しても強くなるだろう。元は非常に力強い通貨だ』とも述べている。経済協力開発機構(OECD)の購買力平価モデルによると、ユーロはドルに対して20%程度、人民元は48%程度、円は10%程度過小評価されている。
 中国は、米国から25%の制裁関税を課された場合、ドル・人民元が25%、ドル高・元安になれば、関税効果が相殺されることになる。

 

トルコ中銀は現行の政策金利据え置きでリラの下支え要因

トルコ中銀は前日、政策金利である1週間物レポ金利を現行の24.00%に据え置いた。中銀はその声明で、インフレの低下傾向を強化するために引き締め政策を堅持することを明らかにしている。前回はハト派姿勢に転換とも捉えられた声明だが、今回は(エルドアン大統領からの圧力にもかかわらず)引き締め維持となったことで、ひとまずリラの支え要因となっている。

 

英国の合意なきEU離脱への可能性が高まってきた

欧州連合(EU)の欧州委員会は12日、英国が合意のないままEUを離脱する可能性に関する緊急対応策を更新し、EU加盟国、企業、市民に対し、こうした離脱に備えるよう伝えた。欧州委は声明で、英国の合意なき離脱は依然として起こり得る結果で、経済への悪影響が見込まれると指摘。緊急時に向けたこれまでの準備は『引き続き適切で目的にかなっている』と付け加えた。

欧州委員会は、英国の『合意なきEU離脱』への対応をめぐって声明を出し、『合意なし』の場合も英国はEU予算分担金などの『手切れ金』を支払う必要があるとの見解を改めて示した。英国でメイ首相の後任を決める与党・保守党党首選の議員投票が13日から始まるのを前に、強硬離脱派をけん制した格好にある。

英下院は、野党・労働党が提出したEUからの『合意なき離脱』を阻止するための動議を反対多数で否決した。採決結果は賛成298、反対309だった。

 

米5月コア消費者物価は予想外に低下

米労働省が発表した5月消費者物価指数(CPI)は前月比+0.1%と、市場の予想通り4月の+0.3%から低下し、1月来で最低となった。前年比では+1.8%と、4月+2.0%から予想以上に低下し、2月来で最低となった。変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数は前月比+0.1%と、上昇予想に反して4月来と同水準を維持した。前年比では予想外に+2.1%から低下した。 市場予想を下回ったインフレで、米債利回りは低下し、米10年債利回りは2.14%から2.11%へ低下した。ドルも下落し108.45円から108.26円近辺まで下落した。米FRBの早期利下げの可能性が現実味を帯びた。

 

欧米イベント

○15:00   5月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.2%/前年比1.4%)
○15:30   5月スイス生産者輸入価格(予想:前月比0.1%)
○16:30   スイス国立銀行(中央銀行)、政策金利発表(予想:▲0.75%で据え置き)
○18:00   4月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比▲0.5%/前年比▲0.5%)
○19:00   4-6月期南アフリカ経済研究所(BER)企業信頼感指数(予想:28)
○21:30   4月カナダ新築住宅価格指数(予想:前月比横ばい)
○21:30   5月米輸入物価指数(予想:前月比▲0.2%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.6万件/168.0万人)
○14日02:00   米財務省、30年債入札
○英保守党党首選、第1回投票
○ユーロ圏財務相会合(ルクセンブルク)
○日米閣僚級貿易協議(ワシントン、15日まで)

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/06/12/15:16:41

日経平均株価:戻り待ちの売りが優勢となり引けに掛けて下押し

寄付きは利益確定売りでマイナス圏からスタートとなったものの、朝方発表された4月の機械受注が市場予想を上回ったことが安心材料となりプラス圏まで反転した。その後は2万1200円台前半を中心にもみ合う展開となった。上海総合株価指数や香港の株式市場が軟調な展開となったことで、戻り待ちの売りが優勢となった。結局、前日比74円安の2万1129円と4日ぶりに反落して終了した。東証一部の売買代金は概算で1兆9169億円(速報ベース)で、5日連続で2兆円割れとなった。

 

東京外国為替市場:アジア株が軟調なことからリスク回避の円買い

ドル/円は、日経平均株価がマイナス圏からプラス圏へ転じたことに支えられ、108.57円まで上昇した。しかし、トランプ大統領の不規則発言が警戒されるため、上値を追う動きは限られた。その後は、上海総合株価指数のさえない動きをながめ、持ち高調整などのドル売り・円買いが入り108.45円前後まで下落した。午後は株価をにらみながら108.45円を挟んだでもみ合いが続いた。ユーロ/ドルは、1.13ドル台前半で小幅な値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日企業物価指数は米中摩擦が非鉄金属などに影響

日銀が発表した5月企業物価指数(CGPI)速報によると、国内企業物価指数(2015年=100.00)は前年比でプラス0.7%となった。プラスは29カ月連続で、4月に比べて上昇幅は大きく縮小した。米中貿易摩擦が再燃したことで、非鉄金属やスクラップ類などの押し下げ要因となった。4月には進捗が期待された米中貿易協議は、5月に入って一転した。協議の先行きも不透明になり、商品市況は下落した。このため、銅などの非鉄金属が前年比6.2%下落(4月は2.8%下落)、スクラップ類は同9.9%下落(4月は3.5%下落)へと下落幅を拡大させた。

 

本日トルコ中銀が金融政策決定会合後に政策金利を発表:据え置き予想

市場は昨年9月に24.00%に引き上げてから6会合連続の据え置きと予想。3日に発表された5月トルコ消費者物価指数(CPI)では前年比+18.71%と昨年8月以来の+19%割れとなった。前年比では、昨年10月の+25%台から今年2月には+20%を割り込み、インフレは落ち着きを取り戻しつつある。懸念された食料品・非アルコール飲料の上昇率も5月は+28%台とまだ高水準だが、前月+31%台から水準を下げた。ただ、対外債務を多く抱えているトルコ企業にとって、利下げにより通貨リラがこれ以上下落することは避けたい。トルコメディアによれば、トルコ民間部門の対外債務は約200億ドル超えとされている。18年の通貨急落で対外債務が膨らみ、上位500社は利益の9割を債務支払いにあてる必要があったとも報じられている。

 

本日香港では大規模デモ:アジアリスク?

香港立法会(議会)の梁君彦議長は11日、大規模デモを招いた『逃亡犯条例』改正案を20日にも採決する考えを表明した。立法会は親中国派が多数を占めるため、可決は確実な情勢となっている。立法会は12日に審議を再開する見通しで、再び大きなデモが起きる可能性が高まっている。香港当局は立法会周辺に5000人の警察官を配置して、厳戒態勢を敷いた。条例改正案は香港で拘束した容疑者を中国本土に引き渡せるようにする内容となっている。司法の独立性が損なわれるとして、9日には100万人を超える抗議デモに発展した。香港市民の7人に1人が参加したことになる。梁氏は20日までに66時間の審議を予定しているとして、『20日に採決できる』との考えを示した。民主派は猛反発し、12日にかけて市民に抗議を呼びかけた。香港メディアによると、地元の小売店やレストラン、旅行会社など100社以上は、従業員がデモに参加できるよう12日の休業を決めた。欧米の大手会計事務所も従業員に出社の必要がないと通知して、デモ参加を容認した。

 

中国から輸出拠点が移っている可能性も

米調査機関デカルト・データマインがまとめた5月の中国発米国向け海上コンテナ輸送量は、83万9748個(20フィートコンテナ換算)と前年同月に比べ3.5%減った。減少は4カ月連続となった。一方、アジア発全体では1.4%増えており、米中貿易摩擦を背景に輸出拠点が中国から東南アジアに移っている可能性もある。アジア発で増加が目立つのは、シンガポールやベトナムとなっている。シンガポール発は6万9392個と前年同月比28.4%増。ベトナム発は8万9062個と同25.9%増えた。タイ発、台湾発も同16.1~17.7%増だった。
 米国は5月、2000億ドル相当の中国製品の追加関税率を10%から25%に引き上げると表明した。海上輸送にかかる期間などを考慮し6月15日まで一部適用を延期しているが、影響を不安視した企業が対応を急いだとみられる。制裁関税の対象である『家具類』の5月の輸送量は、中国発が17万6944個と前年同月比5.7%減る一方、中国を除くアジア発全体では20.5%増えた。足元では駆け込み輸送も一部出ているもよう。トランプ米政権はほぼ全ての中国製品が対象となる制裁関税の計画も表明している。アジア系海運大手は『6月に入り、前倒しで輸送する動きも出ている』と話している。

 

G20サミットでの首脳会議で米中貿易摩擦の行方をにらむ

米国のトランプ大統領は大阪で開催されるG20サミット首脳会議で中国の習国家主席と会談を行うことを確認した。中国は米国と貿易協定での合意をひどく望んでいるとしながらも、『米国は良好な協定内容でなければ合意しない』と、協議の行方は依然不透明となっている。万が一、一部で憶測のある習主席がG20欠席、または、貿易協議が物別れに終わった場合は、米国は残り3000億ドル規模の中国製品に関税を発動することになり、世界経済をさらに悪化させる可能性が懸念される。リスク回避の動きに拍車がかかるほか、米国の利下げ確率もさらに上昇し、ドル売りにも拍車がかかる可能性がある。トランプ米大統領は、中国が景気押し上げを目指した金融緩和に踏み切っている一方で、米国の中央銀行は過剰な利上げや量的引き締めをしており、米中交渉に不利に働いていると、再び米FOMCを非難した。市場では、本年2、3回の利下げだけでなく、量的緩和(QE)など完全な緩和策を見込んだ動きも見られている。

 

欧米イベント

○17:15   ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○17:30   ラガルド国際通貨基金(IMF)専務理事、講演
○18:00   デギンドスECB副総裁、講演
○20:00   トルコ中銀、政策金利発表(予想:24.00%で据え置き)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   4月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比1.2%)
○21:00   4月インド鉱工業生産(予想:前年同月比0.8%)
○21:00   4月ブラジル小売売上高指数(予想:前年同月比2.9%)
○21:30   5月米CPI(予想:前月比0.1%/前年比1.9%)
      エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比2.1%)
○23:30   EIA週間在庫統計
○13日02:00   米財務省、10年債入札
○13日03:00   5月米月次財政収支(予想:1855億ドルの赤字)
○ロシア(ロシアの日)、休場

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/06/11/15:15:53

日経平均株価:ハイテク株中心に上昇したが閑散相場

前日に節目の2万1000円台を回復したことで、朝方は利益確定売りや戻り待ちの売りが先行したものの、円相場が1ドル=108円台半ばまで弱含むとハイテク株中心に買いが入りプラス圏に浮上した。上昇が続く米国株市場のリスク選好ムードも波及したが、市場参加者が少なく上値は限定的だった。結局、前日比69円高の2万1204円と3日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:日本株高と米長期金利上昇でやや円売り優勢

ドル/円は、日経平均株価がマイナス圏からプラス圏へ転じたことに支えられ、108.64円前後へじり高となった。米長期金利が小幅ながら上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。ただ、前日につけた108.71円が上値目処として意識されると、上げは一服した。午後は株価をにらみながら108.60円を挟んでもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、1.13ドル台前半で方向感に乏しい値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国経済指標は短期的に持ち直す可能性も

今週の中国市場では、12日に物価指標、14日に鉱工業生産や小売売上高などの経済指標が予定されている。米中貿易対立の激化や世界減速などにより、中国指標は悪化リスクの警戒モードが続く。ただし、10日の中国5月貿易統計では、輸出が予想外の改善となった。米国による追加関税増強前の駆け込みなどもあり、中国の指標が短期的に持ち直す可能性もある。

 

英国も合意なき離脱に備えた動きを加速

英国が10月末に欧州連合(EU)から合意なく離脱した場合に備え、英国の『自由貿易圏』を維持する動きをそろりと加速している。10日には、韓国と『合意なし』の場合に現行のEU・韓国の自由貿易協定(FTA)の内容をほぼ踏襲した協定を11月から発動することで合意した。ただ英国全体の貿易に占める割合はわずかで、同国の貿易の停滞を防ぐ突破口になるとはいえない。英韓両政府は10日、英国のEU離脱後も現在と同様の貿易条件を維持する、いわゆる『継続協定』に署名したと発表した。韓国産業通商資源省は、英国がEUから離脱した場合には、速やかに新たな韓英FTAの締結につなげるとした。

 

不法移民対策が不十分ならメキシコに関税の可能性も

トランプ大統領は7日、不法移民対策を巡りメキシコと合意したことを明らかにし、メキシコ製品への制裁関税発動を無期限で停止すると表明した。両国が出した共同声明によると、メキシコは米国に入国した難民申請者の審査が行われる間、メキシコに送還して待機させる措置を拡充することで合資した。メキシコはまた、同国南部のグアテマラ国境に武装した警官6000人を展開することを約束した。追加的な措置は、主に中米からメキシコに入国し、米国境に向かう移民の数が今回の合意を受けた対策でも45日以内に減らない場合、必要になるととエブラルド外相は指摘した。トランプ政権はメキシコ側が十分な対策を講じなかったと判断した場合、関税発動の可能性はなおあると警告した。ポンペオ米国務長官は記者団に4-6月週間内に成果を挙げることを期待していると述べた。

 

★市場は米国の指標悪化を織り込みも進捗しつつある

米国の経済指標は、貿易対立や世界減速による打撃が顕在化してきた。今週は11-13日の物価指標で低迷が見込まれるほか、14日の小売売上高や鉱工業生産、消費者信頼感指数なども下振れが警戒されやすい。その反面、米国では金利低下や利下げ期待、原油安などが景気の下支え要因にもなってきた。米国の指標悪化は織り込みも進捗しつつあり、市場の期待値が大きく低下している分だけ、『懸念ほどには悪くない』という個別指標にも注意を必要となる。

 

欧米イベント

○15:00   5月ノルウェー消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.1%/前年比2.9%)
○15:00   ノボトニー・オーストリア中銀総裁、講演
○17:30   5月英雇用統計(予想:失業保険申請件数推移2万2900件/失業率なし)
○17:30   2-4月英失業率(ILO方式、予想:3.8%)
○18:00   テンレイロ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○18:00   サンダースMPC委員、ブロードベント・イングランド銀行(BOE)副総裁、議会証言
○21:30   5月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.1%/前年比2.0%)
      食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比2.3%)
○12日02:00   米財務省、3年債入札

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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