★3月11日(月)の米国3市場は、NYダウ:200.64ドル高の25,650.88ドル、S&P500:40.23ポイント高の2,783.30ポイント、NASDAQ:149.92ポイント高の7,558.06と3指数ともに下落した。一方、米長期金利は、2.641%に上昇(価格は下落)した。『8日付けPERと株価から逆算』して3月11日付け予想PER計算すると、NYダウ:16.53倍、S&P500:17.25倍、NASDAQ:24.13倍と、3指数ともに上昇(割高)した。2011年4月21日以降の平均値は、NYダウ:14.98倍、S&P500:16.59倍、NASDAQ:21.75倍で現在3指数とも大幅に上回っている。このPERを基に11日付けのイールドスプレッドを算出すると、NYダウ:▲3.409%、S&P500:▲3.156%、NASDAQ:▲1.503%と、3指数ともにイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)となった。米長期国債金利は、米国株相場が底堅く推移したことで安全資産とされる米国債に売りが出た。ただ、売り一巡後は徐々に値動きが鈍った。
昨年12月3日の高値時のイールドスプレッドを参考にする。12月3日に戻り天井となり下落基調となった。NYダウ:▲3.069%、S&P500:▲2.731%、NASDAQ:▲1.198%だった。
11日(月)のNYダウの予想イールドスプレッドは前日▲3.466%⇒▲3.409%となり縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。1月3日の直近割安となったイールドスプレッドの▲4.226%から0.817%に拡大(米国株に割高感)している。また、12月3日の戻り天井となった12月3日の▲3.069から0.340%へ縮小してきている。NYダウは、1月小売売上高が予想を上振れたほか、パウエルFRB議長がメディアのインタビューで現在の政策金利が適切であるとの認識を示し、S&P500及びナスダックに買いが先行した。ただ、航空機大手ボーイングの株価が同社製新型旅客機の墜落事故を受けて急落したため、NYダウは一時240ドル超下げた。ただ、前週末までに5日続落し2月14日以来の安値を付けていただけに、売り一巡後は押し目買いなどが入り上げに転じた。ハイテク株が相場の上昇をけん引し、引けにかけて上げ幅を広げた。 VIX指数は16.05から14.33へ低下した。
S&P500の予想イールドスプレッドは前日▲3.250%⇒▲3.156%となり、イールドスプレッドは縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。S&P500も連日の下落で割高感が徐々に払拭されてきている。1月3日のイールドスプレッド▲3.869%から0.713%に拡大してきている。また、12月3日の戻り天井の2.731%から▲0.425%へ縮小してきている。
NASDAQの予想イールドスプレッドは、前日▲1.596%⇒▲1.503%となり、イールドスプレッドは縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。1月3日のイールドスプレッド▲2.179%から0.676%に拡大してきている。また、12月3日の戻り天井の▲1.198%から▲0.305%へ縮小してきている。
テクニカル的には、NYダウは、200日SMAがサポートラインとして意識され反発した。ただ、5日SMAの25,610ドルや25日SMA25,654ドルがレジスタンスとして上値を抑えた。航空機大手ボーイングの株価が同社製新型旅客機の墜落事故を受けて急落したため一時240ドル近く下落したが、連日の下落で800ドル近く下落したところから、押し目買いが入りプラス圏に浮上した。イールドスプレッドが大きく縮小したことから、再び過熱感が増した。S&P500は、260日SMAの2,736ポイントがサポートとなり下げ止まり、反転基調となった。ただ、10日SMAの2,780ポイントがレジスタンスとして意識され上値を抑える展開となった。NASDAQは一旦260日SMAの7,423ポイント下抜けしたものの、強い戻り基調から一気に200日SMA、5日SMA、10日SMAのレジスタンスを上抜ける展開となった。
3指数ともにストキャスティクス(パラメータ:14、5、3、20、80)では、%Kが%Dを下抜け両線とも下向きとなっていることから、下押しの勢いが残っていることを示している。そのため、下落基調は継続している可能性がある。
2011年4月21日以降のイールドスプレッドの平均値のNYダウ:4.310%、S&P500:3.559%、ナスダック:2.018%も下落時の節目となりやすい。
※毎日イールドスプレッドを掲載していきますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。
★欧州市場朝方の取引では、米長期金利が2.64%台まで上昇していることや、欧州株が反発したことでリスク選好回復によるドル安・円安が優勢となった。ボーイング株がプレマーケットで10%安近くまで下げ、NYダウ先物が一時200ドル超下落し、日経先物も反落となったことを受け、円売り戻しは一巡した。米国が夏時間に移行したことにより、早く参入してくるNY勢の動向が注視される中、111.20円付近で底堅さを維持した。
米国の小売売上高が懸念ほどに悪化せず、やや市場予想を上回ったことで小幅反発となる場面もあったが、前回値が下方修正されたことで売買が交錯した。NYダウ先物が205ドル安と大幅に下落し、米長期金利が低下に転じるとドルが再軟化した。その後一時240ドル超下落したNYダウがプラス圏に浮上すると円売り・ドル買いがじわりと強まった。プラス圏に浮上したNYダウと米長期金利の上昇が下支えに底堅い展開となった。ポンド/ドル主導でドル売りが優勢になったことでドル/円の上値を重くした。
★欧米主要経済指標
・米・1月小売売上高:前月比+0.2%(予想:0.0%、12月:-1.6%←-1.2%)
・米・1月小売売上高(自動車除く):前月比+0.9%(予想:+0.3%、12月:-2.1%←-1.8%)
・米・12月企業在庫:前月比+0.6%(予想:+0.6%、11月:-0.1%)
★欧米市場のポイント
・111.02-30円のレンジ相場
・英EU離脱延期の可能性を楽観しポンド買い
・ボーイング社の最新鋭機の事故を嫌気
・米1月小売売上高は予想を上回る
・NYダウは5日続落したことで押し目買いで上昇
・VIX指数は16.05から14.33へ低下
★J.P.モルガン.グローバル製造業PMI(購買担当者景気指数)は、景気の方向性を示す経済指標で速報性の高さから金融市場で注目されている。企業の購買担当者に新規受注や生産、雇用の状況などを聞き取り、景況感についてアンケート調査した結果を指数化したものである。50を判断の分かれ目としてこの水準を上回る状態が続くと景気拡大、逆に50を下回る状態が続くと景気減速を示す。
2017年12月の54.5がピークとなり、18年4月に一旦持ち直したものの、その後は下落基調が続き2月には50.6まで低下している。今後も持ち直すことなく50を割ってくると、世界的に景気減速感が強まり、リスク回避の動きが強まる可能性が高い。
その際は、世界的な株価の下落調整やリスク回避の円高になりやすく、日本の景気減速感も強まる。
昨今のメディアで世界景気減速が語られているが、世界景気は2018年以降ブレーキがかかっていたことが分かる。そういう意味では、リスク回避の動きに対応出来るような投資戦略が必要となる。
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