FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2021/02/09/15:10:50

日経平均株価:国内企業の業績回復観測から買い継続

米国株高を受けて上昇して始まったが、一旦上値が抑えられて失速した。しかし、そこから下げに転じたところで直ぐに切り返すと、2万9500円を突破して上げ幅を200円近くまで広げた。しかし、節目を超えたところでは利益確定売りも出てきて伸び悩むと、その後は2万9500円近辺でこう着感が強まった。好決算を発表したソフトバンクグループ株の上昇が指数を押し上げた。結局、前営業日比117円高の2万9503円と3日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利低下から105円割れ水準で推移

ドル/円は、米長期金利低下を眺めた欧州通貨や資源国通貨に対するドル安が波及、104.90円付近まで下落した。本邦輸出企業によるドル売り・円買いも継続的に観測された。午後に入っても軟調地合いは続き、104.84円付近まで値を下げた。しかし、海外時間に予定されているFRB当局者の講演や米3年債入札を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルを買い戻す動きが見られ、104.90円を挟んでもみ合う展開になった。ユーロ/ドルは、米長期金利の低下を手掛かりとしたユーロ買い・ドル売りが一巡すると、1.2070ドル台で方向感を欠く展開になった。

 

11日から春節で日本市場がリスク回避のヘッジ市場になりやすい

中国市場は11日から17日にかけて、春節(旧正月)の長期休場となる。周辺のアジア市場でも休場が増加していく。中国などアジア市場が休場となる場合、ちょっとした悪材料が浮上してくると、取引されている日本市場で『代替ヘッジ対応』による日本株売りや円買いが進みやすい。中国当局は春節入りを前にして、不動産バブル抑制などに向けた流動性の回収を強化しており、こうした引き締め策もまた、潜在的な株安とリスク回避の円高、資源国通貨安のリスクとして注意を要する。

 

原油優位への基調転換で世界的景気回復と安全逃避後退の動きに

国際商品市場では『WTI原油先物÷NY金先物』の相対倍率で、原油劣勢の一服と原油優位への基調転換が固まりつつある。世界的な景気回復と安全逃避後退、デフレ懸念緩和、ドル安一服などを示唆するもので、日本では円高・ドル安の抑制と株高持続に寄与しやすい。同倍率はトレンドを示す12カ月移動平均の方向角度が上向き化に転じており、過去実績として1-2年の基調継続と世界的な循環回復の同時進行が支援される。金安・原油高の流れは、安全逃避から設備投資など前向きな投資への資金移転を促す。過去実績として『原油÷金』の相対倍率の底入れは、資源需要の復調を含めた世界景気の回復を先取りする前兆シグナルとなってきた。1980年代以降の長期実績として、日米での設備投資や米国の失業率とも時間差ケースを含めた連動相関性が確認されている。過去実績として上向き転換は世界景気の循環回復入りと密接な連動性を有しており、1-2年間は回復トレンドが持続延命されている。その期間中、日本では世界景気の回復などを受けて、内閣府の全産業・営業利益など企業収益の改善が連動観測されてきた。同時進行で円高・ドル安の抑制や円安への転換、株高のトレンドが高確率で支援されている。


 

南アでの高水準にある感染者数や死者数がランドの上値を抑える

週末のファイナンシャル・タイムズ紙に、南ア発の変異株がアストロゼネカとオックスフォード大学が開発したワクチンには効果が薄いという記事が掲載された。南アはアストロゼネカ/オックスフォードのワクチン使用の一時停止を決定している。その一方で、南ア保健省は『今後は米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)との協力を強化する』と発言している。日本国内でもインフルエンザのワクチンを受けたのにかかわらず、異なる型(変異株)のためインフルエンザに罹患したという話は毎冬聞かれる。新型コロナウイルスも同様に、変異し続けることでこのようなことは頻繁に起こるという声が出ている。市場の一部では昨日の動きで変異株のワクチン問題は市場に織り込んだとの声も出ているが、依然としてウイルスによる南アでの感染者数・死者数が高水準にあることや、インフルエンザよりも多くの国がコロナに対して敏感なことで、やはりランドの上値を抑える要因としては残る。

 

トルコのCDSは低下傾向となり信用リスク軽減


信用リスクを示すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)をみると、トルコ5年物国債CDSが先週、約1年ぶりに300を割り込んだ。11月初旬にトルコ財務相や中銀のトップが入れ替わる前は550を超えていたことを考えると、トルコ金融市場に対する信用度は大きく改善している。トルコCDSは昨日やや下げ渋ったが、今後も5年CDSが300を下回り続けるようならば、リラの下値も限定的になりそうである。一方、高止まりしている米金利や堅調な原油相場はリラの重石となり得るため、それらの動向も注視すべきである。

 

メキシコ市場では1月CPIが公表:中銀の金融政策に影響

9日に1月消費者物価指数(CPI)が明らかになるが、前年比では3カ月連続で中銀のインフレ目標値のレンジ内(2-4%)に収まることになりそうである。国立統計地理情報院(INEGI)が先月末に発表した2020年の実質国内総生産(GDP)は1932年の世界恐慌時以来の悪化となったことが分かり、ワクチンの普及とともに経済対策が急がれている。昨年11月以降、利下げをやめ金利動向に注視している中銀からすれば、再度金融緩和を始める舞台は整ってきたとも言える。そういった中で、9日にインフレ指標が発表された後の2日後、11日に中銀が金融政策を発表する。ここでの利下げはないにしても、声明で今後の緩和を匂わす内容が出れば、高金利通貨であるペソにとっては悪材料となるため、声明内容に注目である。

 

9-11日にかけて四半期定例の満期償還とクーポン利払い:円高の思惑

米国債は1月以降の債券価格下落(金利は上昇)を受けて高値警戒感が緩和されており、FRBによる緩和長期化の見通しなどもあって、根強い応札需要が示される可能性がある。その場合は米債金利の低下(債券価格は上昇)とドル安を促す。ただし、米国債への根強い需要自体は、中長期スパンではドルの下支え要因にもなる。同時に米国債市場は15日にかけて、四半期定例の満期償還とクーポン利払いが集中する。日本の機関投資家は3月に年度末決算が迫っており、償還・利払い資金の国内送金と円転(ドル売り)の可能性が思惑先行でドル安・円高材料となる可能性を秘めている。

 

欧米市場イベント

○16:00   12月独貿易収支(予想:140億ユーロの黒字)
○16:00   12月独経常収支(予想:233億ユーロの黒字)
○21:00   1月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前月比0.31%)
○21:00   1月メキシコCPI(予想:前月比0.78%)
○24:00   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○10日02:00   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○10日03:00   米財務省、3年債入札

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2021/02/08/15:10:41

日経平均株価:企業業績の回復期待相場で買い

日経平均は2万9000円を超え、約30年半ぶりの高値を付けた。世界で景気回復への確信度が高まっており、企業業績の回復が相場を裏打ちする『業績相場』に移行するとの期待が強まり始めている。短期目線で売買するCTAやマクロ系のヘッジファンドなどが先物を買い入れて相場の動きに追随したほか、『個別株で売り方の投資家の買い戻しも入っていた』ことで上昇に弾みがついた。結局、前営業日比609円高の2万9388円と大幅続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:105円台半ばでもみ合う展開

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の大幅続伸に支えられ、105.55円付近へ上昇した。米長期金利が上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。ただ、5日に発表された1月米雇用統計が期待外れの内容だったこともあり、上値を追う動きは限られた。その後は、利益確定や戻り待ちのドル売り・円買いも見られ、105.50円を挟んでもみ合いとなった。午後に入っても、105.50円前後で方向感に乏しい値動きが続いた。ユーロ/ドルは、1.2040ドル前後で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

南ア発の変異種にはワクチンの効果が薄いという記事

南アのロックダウン規制水準は据え置かれましたが、規制は大きく緩和された。その内容は、夜間外出禁止時間が23時から翌4時までに短縮されたこと、アルコールの販売が許可されたこと、教会での集会が条件付きで認められたこと、ビーチが解放されたことなどである。アルコールの販売停止解除は、南ア・ハイネケンが人員を削減するなど多くの醸造会社が苦境を訴えていたことに対処したものと言える。先週はこれらの規制緩和がランド買い要因となった。しかし、6日のファイナンシャル・タイムズ紙に、南ア発の変異株がアストロゼネカとオックスフォード大学が開発したワクチンには効果が薄いという記事が掲載された。この結果を受けて南アとの貿易や入出国を一時的に停止する国や企業が出てくることが予想され、南ア経済およびランドにとっては重い課題として残る。

 

市場ではトルコ中銀への信認度は高まっている

3日発表の1月トルコ消費者物価指数(CPI、前年比)が14.9%まで上昇したことを受け、アーバル中銀総裁は先週、予想以上にインフレが上昇する兆候があれば速やかな利上げを含め市場に先回りして動くと述べた。トルコ最高の権力者であるエルドアン大統領が高金利に反対しているにもかかわらず、アーバル総裁はインフレ対策に向けた断固たる姿勢を就任後から示し続けている。また、エルバン財務相も物価安定が最重要課題と述べていることで市場の金融当局への信認度は高まっており、それがリラ相場の支えとなっている。

 

米・トルコ関係の不透明感がリアの重石

サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は先週のトルコ政府高官との電話会談で、露製地対空ミサイルに対する懸念を表明した。しかしながらトルコ側が米側の意向に譲歩するとも思われず、米による対トルコ制裁の原因となった問題の解決はかなり難しい。また、米国でバイデン新政権が誕生したばかりなのにもかかわらず、ソイル・トルコ内相が『2016年のクーデター未遂事件の背後には米国が存在していた』とわざわざ指摘したことも、米側の不信感を高めることになる。

 

米スーパーボウルでのアノマリー分析:AFC所属チーム勝利で株価動向

ナショナル・フットボールリーグ(NFL)の王座決定戦となる第55回スーパーボウルが7日にフロリダ州で行われ、ナショナル・カンファレンス(NFC)のバッカニアーズがアメリカン・カンファレンス(AFC)のチーフスを31対9で破り、18季ぶり2度目の制覇を果たした。株式市場ではスーパーボウル・アノマリーが知られる。NFC所属のチームが勝てば米国株は年間で上昇し、AFC所属のチームが勝てば逆に下落するというものである。ただ、2020年はAFCのカンザスティ・チーフスが勝利したものの、S&P500 指数は年間で16.25%上昇した。AFCのチームが前年まで2年連続で勝利したものの、S&P500指数は2年連続で大幅に上昇しており、アノマリーとは逆の展開だった。2020年までは5年連続でアノマリーは外れた。



米民主党と共和党は経済対策で対決姿勢が強まることを警戒

バイデン政権の新型コロナウイルス救済法案(1.9兆ドル)に関して、米民主党上院トップのシューマー院内総務が、6180億ドルの経済対策を提案している共和党との協議で合意できなければ、財政調整制度を通じて民主党のみの過半数で成立させる、と述べており、共和党との対決姿勢が強まることが警戒される。米下院は、予算決議案を可決し、共和党の支持なしにコロナ対策法案の承認が可能となっている。

 

欧米市場イベント

○15:45   1月スイス失業率(季節調整前、予想:3.7%)
○16:00   12月独鉱工業生産(予想:前月比0.3%/前年同月比▲0.8%)
○9日00:30   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○9日01:00   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○9日01:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○9日02:00   メスター米クリーブランド連銀総裁、講演

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2021/02/05/15:14:28

日経平均株価:出遅れ銘柄の上昇が市場をけん引

米追加経済対策の早期成立思惑や米雇用改善期待に前日のNY米ダウ332ドル高の4日続伸を受け投資家心理が改善し、好決算企業を中心に買い優勢となり高値圏で推移した。市場からは、決算発表を先回りした個別物色が活発な1週間となった。また、出遅れ銘柄の上昇が市場をけん引したとの声が聞かれた。結局、前営業日比437円高となり反発して終了した。

 

東京外国為替市場:105円台半ばでもみ合い相場

ドル/円は、高値警戒感から利食い売りなどに押されて105.45円付近へ下落した。仲値に向けて本邦輸出勢のドル売り・円買いも観測された。しかし、このところ発表されている米経済指標が好調で、米景気回復期待が高まっていることもあり、下値を追う動きは限られた。午後は、日経平均やアジア主要株価を睨みながら、105.50円台を中心とした狭いレンジで取引された。今晩発表される1月米雇用統計を前に、様子見気分も強かった。ユーロ/ドルは、欧州で新型コロナウイルスのワクチン普及が遅れ、ユーロ圏景気のさらなる減速が警戒されているため、1.1960ドル台で上値の重い展開になった。

 

中国人民銀行は資産バブル予防に向かう

中国人民銀行は株式などの資産バブルを警戒し、金融市場の公開市場操作(オペ)で実質的な資金供給量を絞り、短期金利を高め誘導する等金融政策の微妙な匙加減の変更に乗り出している。景気回復の度合いの調節に加え、企業や地方政府の債務拡大の抑制、過熱感が高まった株式相場を冷やす狙いがある。金融当局の変化を受けて、騰勢を強めてきた中国株式相場は上値の重い揉み合いボックス圏相場へと移行しつつある。

 

バイデン政権も台湾を支援する姿勢

バイデン政権が発足して初めて米海軍第7艦隊のミサイル駆逐艦『ジョン・S・マケイン』が4日、台湾海峡を通過したことに中国が反発している。第7艦隊は声明で今回の海峡通過について『自由で開かれたインド太平洋への米国の関与を示すもの』と強調し、『米軍は国際法が許す限りどこにでも飛行、航行、展開を続ける』と指摘した。
バイデン政権はトランプ前政権と同じく台湾を支援する姿勢を鮮明にしており台湾に圧力をかける中国を牽制する狙いがある。

 

南ア準備銀行のカシム副総裁の発言

一昨日に行われたパネルディスカッションで南ア準備銀行(SARB)のカシム副総裁の発言が興味深いものだった。副総裁はウイルス感染で『唯一中銀にとって良かったことはインフレが抑制されていること』と発言している。12月には16年ぶりの低水準となる3.1%までインフレ率が下がったことは中銀にとっては良いことで、今年のCPIは平均4%、2022年は4.5%と予測をしているとも述べている。副総裁の予想通りに事が運ぶかは分からないが、依然としてSARBの会合では5人のうち2名は追加利下げを求めている状況である。

 

米国市場では12月貿易収支が公表

参考となる11月実績は▲681憶ドルだった。12月については、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で内需は抑制されており、輸入金額はやや減少する可能性があるが、外需も伸び悩んでおり、米国貿易収支の大幅な改善は当面期待できない。

 

米国市場では1月の雇用統計が公表

2月雇用統計では、非農業部門雇用者は増加予想に反して14万人減少した。失業率は6.7%で11月と同水準だった。1月については、新規失業保険申請件数が1月中旬に90万件を超えているものの、12月に減少した反動でやや増加する可能性がある。なお、平均時給の上昇率は12月実績と同水準となる前年比+5.1%と予想される。

 

欧州市場イベント

○16:00   12月独製造業新規受注(予想:前月比▲1.0%/前年同月比6.7%)
○16:45   12月仏貿易収支(予想:42.91億ユーロの赤字)
○16:45   12月仏経常収支
○21:15   ベイリー英中銀(BOE)総裁、ラムスデンBOE副総裁、講演
○22:30   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○22:30   1月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化▲4.75万人/失業率8.9%)
○22:30   12月カナダ貿易収支(予想:30.0億カナダドルの赤字)
○22:30   12月米貿易収支(予想:657億ドルの赤字)
○22:30   1月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化5.0万人/失業率6.7%/平均時給、前月比0.3%/前年比5.1%)
○24:00   1月カナダIvey購買部協会景気指数
○6日01:00   1月ロシア消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.8%)
○6日05:00   12月米消費者信用残高(予想:120.0億ドル)

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/02/04/16:00:10

日経平均株価:上昇スピードへの警戒感による利益確定類

直近3日間の戻りが1000円を超え、スピードが速かったことから警戒感が生じ、利益確定や、やれやれの売りが先行した。日経平均株価は前場を通してマイナス圏での一進一退の値動きが継続した。市場では、当然の調整と言え、全体としての流れには変化はなく、今後も好業績を織り込む動きが続くとみている。香港や韓国等のアジア株が大幅安となり等しか心理が悪化し割高なグロース株注視に利益確定売りが優勢となった。結局、前営業日比304円安の2万8341円と4日ぶり反落して終了した。1月第4週では海外投資家が2週連続の748億円の売り越しとなった。

 

東京外国為替市場:米長期金利上昇からドル買い優勢

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、105.08円付近まで上昇した。米長期金利が上昇し、日米金利差が拡大したこともドル買い要因になった。午後に入ってもこの流れは続き、一時105.19円付近まで上昇して、昨年11月以来となるドル高・円安をつけた。ユーロやポンドなどの欧州通貨に対するドル高が波及した面もあった。ユーロ/ドルは、アジア株安や米株価指数先物の下落を背景にユーロ売り・ドル買いが進み、1.2010ドル台へ下落した。レモンド次期米商務省長官が『ファーウェイを禁輸リストから除外すべきではない』と発言、米中対立激化が再燃するとの警戒感が広がったことも、基軸通貨で流動性が高いドルを確保する動きにつながった。

 

南アランドは材料不足から7円前後でのもみ合い予想

レベル3のロックダウン規制継続も、内容は大幅緩和されたことによるランド/円の買いの勢いも長くは続いていない。観光業界は緩和に対しては好意的なコメントを発表しているが、南アの変異株の悪影響が響き、規制が緩和されても観光業は当面浮上するのが難しいとしている。他の産業ではレストランなどの飲食は好感しているが、規制緩和での買いも一段落してしまったような動きである。本日のランド/円も、南アからは経済指標など発表予定はなく、7円前後でのもみ合いが予想される。

 

トルコ中銀の金融政策決定会合に注目集まる

昨年11月から12月にかけてトルコ中銀が実施した大幅利上げの効果は今のところ見受けられない。消費者物価指数(CPI)の先行指標ともされる生産者物価指数(PPI)も1月は+26%台と1年9か月ぶりの水準まで上昇した。トルコ中銀は下げ渋る食料品・農産物価格の調査するため新たな部署を設立しインフレ対策を更に進める方針を示したが、具体的な影響力がどの程度あるのかは未知数である。市場の目は今後、18日のトルコ中銀金融政策決定会合に向かうことになる。懸念されることは、エルドアン大統領が新憲法作成に動き出したことである。大統領の権限強化も盛り込まれることは確かであり、そうなれば、トルコ中銀の独立性が保たれるかが危惧される。また、権限集中による構造的な硬直化でトルコ経済に歪みができ、持続的な成長の足かせとなる可能性もある 。

 

メキシコ成長率は世界恐慌以来の落ち込み

メキシコの国立統計地理情報院(INEGI)は1月29日、2020年の実質国内総生産(GDP)が前年比で8.5%減になると発表した。約90年前の世界恐慌以来で最大の落ち込みとなり、特に第2次産業は10.2%減と大幅に悪化した。新型コロナウイルスの感染拡大によって工場などの稼働が停止した結果、主力の自動車製造業が振るわなかった。もっとも、年間GDPはメキシコ銀行(中央銀行)の予測(9%減)よりは強い内容となっている。感染抑制のための経済活動規制によって深刻なダメージを受けた上半期から一転、経済活動が徐々に再開されたことで7-9月期は12%増、10-12月期は3.1%増とそれぞれプラス成長となり、年間での悪化を和らげた格好である。

 

『ゲームストップ』乱高下に一服感

米国株市場でゲームストップ株の極端な乱高下に一服感が出ている。ヘッジファンドの買い戻しが一巡したほか、個人投資家の投機的な売買も減り、売買代金はピークから8割ほど減った。ただ、乱高下が再発するリスクは拭えず、相場操縦や取引制限を巡る議論が金融当局で広がっている。3日のゲームストップ株の値幅は前日比で6%安~25%高だった。通常なら乱高下だが、ゲームストップ株は最近、前日比2倍や80%安を繰り返していただけに『ひとまず収束に向かいつつある』(株式ブローカー)。3日の売買代金は前日比52%減の41億ドル(約4300億円)で、ピークだった1月27日と比べると87%減った。

 

米IT企業大手では好業績相次ぐ

新型コロナウイルスの流行で多くの業界が打撃を受ける中、米IT大手の好調な業績がひときわ目立っている。2日までに発表された2020年10~12月期決算で、『GAFA』(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)などが相次いで過去最高の売上高や純利益を計上した。コロナ禍で加速する社会のデジタル化を追い風に、急速な成長を続けている。

 

米国市場では5日に1月雇用統計が公表

雇用統計との相関関係が最も強いとされる民間の雇用者数を示すADP雇用統計の1月分は前月比+17.4万人と、12月▲7.8万人からプラスに改善した。12月分も▲12.3万人から▲7.8万人へ上方修正された。12月は新型コロナウイルス第3波の影響でカリフォルニア州などで外出規制が再び強化されたため企業の雇用削減に拍車をかけ、パンデミック危機の影響で経済封鎖が始まった4月来の雇用減少に落ち込んだ。米国経済の7割を消費が占めるため注目されていたISM非製造業指数1月分の雇用は55.2。12月に48.7と50を割り込み活動の縮小を示したのち再び拡大に回復した。労働省が発表する1月雇用統計でも雇用者数がプラスに改善する可能性を示唆している。

◆市場エコノミスト予想失業率:6.7%(12月6.7%)非農業部門雇用者数:前月比+8.8万人(-14万人)民間部門雇用者数:前月比+10.5万人(-9.5万人)平均時給:予想:前月比+0.3%、前年比+5.0%(+0.8%、+5.1%)

 

欧米市場のイベント

○15:45   1月スイスSECO消費者信頼感指数(予想:▲18.5)
○18:30   1月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:52.9)
○19:00   12月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比1.6%/前年比0.3%)
○21:00   英中銀金融政策委員会(MPC)2日目、終了後政策金利発表(予想:0.10%で据え置き、資産買取プログラムは8950億ポンドで据え置き)
○21:00   MPC議事要旨
○21:00   英中銀、金融政策報告書
○21:20   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○21:30   1月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○22:30   10-12月期米非農業部門労働生産性・速報値(予想:前期比▲2.8%)
○22:30   10-12月期米単位労働コスト・速報値(予想:前期比4.0%)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:83.0万件/470.0万人)
○24:00   12月米製造業新規受注(予想:前月比0.7%)
○5日03:00   カプラン米ダラス連銀総裁、講演
○5日04:00   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、パネルディスカッションに参加

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2021/02/03/15:13:10

日経平均株価:米景気の回復加速の期待から買い優勢

前日の米国株高を受けて市場の不安心理が後退し、幅広く物色されたものの、買い一巡後は上値の重さが意識され全体的に伸び悩んだ。市場では、先週まであった警戒感は和らぎ、安心感が広がり地合いが良くなった。また、米バイデン政権が揚げる1.9兆ドル規模の追加経済対策について、民主党が財政調整法を活用して単独で成立させる手続きを進めていると伝わった。経済対策が市場の想定より大規模で早期に成立し、米景気の回復が加速するとの期待感から買いが優勢だった。結局、前営業日比284円高の2万8646円と3日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:新規材料乏しく105円を挟んだ展開

ドル/円は、前日の海外時間に約2ヵ月ぶりの高値105.17円をつけた反動から利食い売りなどに押され、104.92円付近まで下落した。本邦輸出勢によるドル売り・円買いも継続的に観測された。しかし、今晩の米国株動向や米経済指標を見極めたいとの雰囲気もあり、下値を追う動きは限られた。その後は、米国で新型コロナウイルスのワクチン購入に伴い、巨額なドル資金が必要になるとの思惑からどるは買い戻され、105.00円付近へ切り返した。午後は、新規の手掛かり材料に乏しく、105.00円を挟んで小動きに終始した。ユーロ/ドルは、前日に発表されたユーロ圏の経済指標が低調で、欧州景気の落ち込みが警戒されているため、1.20ドル台半ばで上値の重い展開となった。

 

英コロナ変異種がさらに変異して南ア型に類似:ワクチンにも影響も

英保健当局は2日、国内でこれまでに検出された新型コロナウイルスの変異種がさらに変異したと明らかにした。新たな変異で南アフリカとブラジルの変異種に似た性質をもつようになっており、ワクチンの有効性が低下する恐れがあるとしている。

 

ドラギ前ECB総裁が伊首相候補になる可能性も

イタリアのマッタレッラ大統領が3日、ECBのマリア・ドラギ前総裁と会談する。コンテ前首相の再任を目指して進められていた各党の連立協議が失敗したことで、大統領は新政権樹立へドラギ氏を首相候補に指名する可能性があるという。ただ、3日付の英フィナンシャル・タイムズ紙電子版によれば、マッタレッラ大統領の決定に対して右派野党の間で怒りが巻き起こった一方、連立政権の中道左派からも政治的な合意を構築するのは容易ではないと警告する声が出ている。

 

トルコ市場では1月消費者物価指数が公表:政策金利にも影響

本日のリラ円は日本時間16時に発表される1月トルコ消費者物価指数(CPI)が注目される。1月CPIの市場予想は前年比+14.70%と前回+14.60%からの上振れ見込みである。食品やエネルギー価格の上昇がインフレの高止まりに繋がっているとされ、トルコ中銀が11月から12月にかけて実施した大幅利上げの効果はまだ出ていない。もし今回の結果が予想よりも上振れるようであれば、(エルドアン大統領は反対しているが)早期の追加利上げも視野に入ってくる。また、12月分が25%超まで上昇した生産者物価指数(PPI)についてもアーバル・トルコ中銀総裁は危惧しており、同指数にも目を向ける必要がある。

 

南アではロックダウンが一部緩和:経済への影響は不透明

昨日より南アのロックダウンが一部で緩和されたことをきっかけに、ランド/円は堅調地合いを維持している。ロックダウンの水準は、引き続きレベル3と変更はないが、夜間外出禁止時間の縮小やアルコールの販売許可などは国民や企業など南ア経済全般にポジティブであり、ランドの支えとなっている。しかしながら、決して南アの感染拡大が弱まっているわけではないので、規制緩和が今後、経済的にどのような影響を与えるかは不透明感が残る。

 

イエレン米財務長官が規制当局と協議:ゲームストップ問題

イエレン米財務長官は、ゲームストップなど一部銘柄を巡る個人投資家の取引で株式市場が乱高下した問題について、週内に金融規制当局と協議する。早ければ3日に開催される可能性がある。協議には、証券取引委員会(SEC)、連邦準備理事会(FRB)、ニューヨーク連銀、商品先物取引委員会(CFTC)のトップが参加する。この協議では、イエレン財務長官は市場の完全性を重視しており、最近の市場の混乱と一連の動きが投資家保護と公正で効率的な市場の原則に即していたかを協議する。2日の米株式市場でゲームストップ株は60%安の90ドルで終了した。先週末付けた483ドルの5分の1以下となった。銀価格も下落した。インライン掲示板の『レディッド』を通じた熱狂的な買いが収まりつつある。

 

欧米市場イベント

○16:00   1月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比1.40%/前年比14.70%)
○16:45   12月仏財政収支
○17:50   1月仏サービス部門PMI改定値(予想:46.5)
○17:55   1月独サービス部門PMI改定値(予想:46.8)
○18:00   1月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:45.0)
○18:30   1月英サービス部門PMI改定値(予想:38.8)
○19:00   12月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.7%/前年比▲1.2%)
○19:00   1月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比0.5%)
○19:00   1月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比0.9%)
○未定   ポーランド中銀、政策金利発表(予想:0.10%で据え置き)
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○22:15   1月ADP全米雇用報告(予想:4.9万人)
○22:30   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○23:45   1月米サービス部門PMI改定値(予想:57.4)
○23:45   1月米総合PMI改定値
○24:00   1月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:56.8)
○4日00:30   EIA週間在庫統計
○4日03:00   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○4日04:00   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○英中銀金融政策委員会(MPC、4日まで)
○日英外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2、テレビ会議)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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