FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

2023/05/11/07:10:19

米国株式市場はまちまち:根強い景気後退懸念から売り優勢に

NYダウは30.48ドル安の33531.33ドル、ナスダックは126.89ポイント高の12306.44ポイントで取引を終了した。4月消費者物価指数(CPI)がインフレの鈍化基調をあらたに証明したため利上げ停止観測を受けた買いが強まり、寄り付き後は上昇した。ただ、鈍化ペースは依然鈍く、また、根強い景気後退懸念に、NYダウは下落に転じた。一方、金利低下に伴うハイテクの買いが続き、ナスダック総合指数は終日堅調に推移した。VIX指数は17.71から16.94へ低下した。

 

NY外国為替市場:4月米CPI結果受けドル売り優勢に

ドル/円は、注目の4月米消費者物価指数(CPI)の発表を前に思惑的なドル買いが先行し一時135.41円付近まで値を上げたものの、アジア時間に付けた日通し高値135.47円がレジスタンスとして意識されると失速した。4月米CPIが前年比で4.9%上昇と予想の5.0%上昇を若干下回り、2年ぶりの低水準を記録したことが伝わると、米長期金利の低下とともに円買い・ドル売りが活発化し、一時は210ドル超上昇したNYダウが失速し、320ドル超下落したことも相場の重しとなり、2時30分過ぎに134.11円と日通し安値を更新した。

 

ユーロ/ドルは、米インフレ指標発表前に全般ドル買いが進んだ流れに沿って一時1.0942ドルと日通し安値を付けたものの、米CPIの結果が伝わると米金利の低下とともにドル売りが優勢となった。「欧州中央銀行(ECB)の一部当局者はインフレを十分に抑制するため、9月の利上げが必要な可能性を受け入れ始めつつある」との観測報道を受けて、ECBの利上げ継続観測が高まるとユーロ買いも進み、一時1.1007ドルと日通し高値を更新した。ただ、1.1ドル台では利食い売りや戻り売りなどが出たため、滞空時間は短かった。NYダウが下落したタイミングでリスク回避のドル買いが入ると、一時1.0962ドル付近まで下押しする場面があった。

 

NY原油先物市場は4営業日ぶりに反落:中国の需要減速懸念が重しに

NY原油先物市場は71.80ドル‐73.89ドルのレンジ相場となった。中国の需要減速懸念が前日に続いて相場の重しとなったほか、米エネルギー省(EIA)の週間在庫統計で原油在庫が予想に反して大幅な積み増しとなったことも売りを促した。米国市場の前半にかけて73.89ドルまで買われたが、戦略石油備蓄補充に絡んだ需要増加を見込んだ買いは一巡した。通常取引終了後の時間外取引では主に72ドル台で推移した。

 

NY金先物市場は3営業日ぶりに反落:利食い売り強まる

NY金先物市場は2028.30₋2056.00ドルのレンジ相場となった。4月米消費者物価指数(CPI)が米利上げ停止を後押しする結果だったと受け止められると、金利を生まない金の買いにつながった。もっとも、その後は利益確定目的の売りに押される展開となり、相場もマイナス圏に転じた。米国市場の序盤にかけて2056.00ドルまで買われた後、利食い売りが入ったことで反落し、米国市場の後半にかけて2028.30ドルまで下落。しかしながら、米長期金利の低下を意識した買いが入ったことで下げ渋り、通常取引終了後の時間外取引では主に2038ドルを挟んだ水準で推移した。

 

米国債券市場は反発:4月米CPI結果受け買いが優勢に

米国債券市場で中長期ゾーンは反発(利回りは低下)した。米2年債利回りは前営業日比0.11%低い(価格は上昇)3.91%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.08%低い3.44%で終了した。4月米消費者物価指数(CPI)が前年比で予想を下回ったことが分かると、債券買いが優勢となった。10年債入札が『好調』と受け止められたことも相場の支援材料となった。

 

Fedウオッチでは6月利上げ確率は6%へ低下:US Dashbosrd

10日発表の米消費者物価指数(CPI)が物価の鈍化傾向を示す結果となり、市場では米連邦準備理事会(FRB)の利上げ打ち止め観測が広がった。米金利先物の動きから米政策金利をよそうする『Fedウオッチ』で6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)における利上げ確率は、前日の21%から6%へ急低下した。

 

米原油在庫は予想に反して増加

米エネルギー情報局(EIA)が10日発表した石油在庫統計で、原油在庫は市場予想に反して増加した。原油需給の緩みを一因として、この日の米原油先物相場は4営業日ぶりに反落して終えた。原油増産の機運は乏しく、米石油サービス大手ベーカー・ヒューズが5日発表した石油リグ(掘削装置)稼働数は588基と前週から3基減った。

カテゴリー: 朝の市場コメント

朝の市場コメント!

2023/05/10/07:03:53

米国株式市場は下落:米債務上限問題への懸念から売り優勢に

NYダウは56.88ドル安の33561.81ドル、ナスダックは77.36ポイント安の12179.55ポイントで取引を終了した。地銀セクターの売り再開がけん引し、寄り付き後は下落した。消費者物価指数(CPI)の発表を明日に控え、金利が上昇したことも売り材料となり日中も軟調推移が続いた。終盤にかけ、NY連銀のウィリアムズ総裁が講演で利上げ停止の可能性を示唆すると地銀株の回復に連れ株式相場は下げ幅を縮小した。しかし、バイデン大統領と議会指導者との会合を控え債務上限問題への懸念がくすぶりマイナス圏で終了した。VIX指数は16.98から17.71へ上昇した。

 

NY外国為替市場:米重要イベント控え大きな方向感出ず

ドル/円は、米10年債利回りが上昇に転じたことをきっかけに円売り・ドル買いが先行した。アジア時間の高値135.32円を上抜けて一時135.36円まで上値を伸ばした。一時134.96円付近まで下押しする場面もあったが、ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁が『インフレは高すぎる』『追加利上げが適切な場合は、実施する』と述べたうえ、年内の利下げ転換に否定的な見解を示すと再び強含み、135.27円付近まで持ち直している。もっとも、米連邦債務上限を巡るバイデン大統領と議会指導部による協議の行方や明日の4月米消費者物価指数(CPI)の結果を見極めたいとの思惑から、大きな方向感は出なかった。

 

ユーロ/ドルは、米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いが優勢になると、一時1.0941ドルと日通し安値を付けた。市場では『欧州中央銀行(ECB)の利上げが米連邦準備理事会(FRB)より長期化するとの観測を背景にユーロ買い・ドル売りが進んでいただけに、ポジション調整目的のユーロ売り・ドル買いが出やすい』との声が聞かれた。ただ、売り一巡後はもみ合いに転じた。米債務上限問題の行方と明日公表される米インフレ指標の結果を見極めたいとの思惑が広がり、積極的な売買は手控えられた。

 

NY原油先物市場は3日続伸:米政権は戦略石油備蓄を補充へ

NY原油先物市場は71.34ドル‐73.78ドルのレンジ相場となった。中国の4月貿易統計で輸入の減少が明らかになり、同国のエネルギー需要が先細りするとの思惑から売りが先行した。ただ、取引時間中には『バイデン米大統領が年内にも戦略石油備蓄の補充を始める計画』との報道が伝わり、一転して買い戻しが優勢となった。通常取引終了後の時間外取引で73.78ドルまで買われた。

 

NY金先物市場は続伸:米長期金利上昇を意識され上げ渋り

NY金先物市場は2026.40₋2045.10ドルのレンジ相場となった。明日の米消費者物価指数(CPI)を控えてしばらくは方向感が定まらなかったが、取引時間終盤にやや買いが強まった。米連邦債務上限問題が意識されて、安全資産とされる金相場に買いが向かった。アジア市場の序盤で2026.40ドルまで下げた後、押し目買いが入ったことで反転し、米国市場の後半にかけて2045.10ドルまで買われた。しかしながら、6月も利上げを継続する可能性は残されており、米長期金利の上昇を意識して通常取引終了後の時間外取引では主に2042ドルを挟んだ水準で推移して上げ渋った。

 

米国債券市場は続落:米イベント控えポジション調整売買

米国債券市場で中長期ゾーンは下落(利回りは上昇)した。米2年債利回りは前営業日比0.03%高い(価格は下落)4.02%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.01%高い3.52%で終了した。米債務上限問題の行方や明日公表される米インフレ指標の結果を見極めたいとの思惑から、積極的な売買は手控えられた。なお、この日行われた3年債入札は『堅調』と受け止められたものの、相場の反応は限られた。

 

米中小企業楽観度指数は10年ぶりの低水準:US Dashbosrd

9日に全米自営業連盟(NFIB)が発表した4月の中小企業楽観度指数(1986年=100、季節調整済み)は89.0と3月の90.1から1.1ポイント低下し、2013年1月以来、10年ぶりの低水準となった。同指数が49年間の平均である98を下回るのは16カ月連続で、中小企業経営者は先行きに対して慎重姿勢を継続している。事業環境や売り上げ見通しの悪化が重荷となり、今後6カ月の事業環境見通しと今後3ヵ月の売り上げ見通しともに悪化した。一方、企業が信用供与(資金繰り)に困難を感じているとの兆候はほとんどみられなかった。資金需要がすべて満たされているとの回答は30%と前月比で1ポイント上昇し、借り入れの必要がないとの「回答は59%で前月と横ばいだった。直近の融資が以前よりも厳しかったとの回答は6%で、銀行が融資基準を厳格化するなかでも企業側の資金需要は乏しく、影響が限られていることが示された。

カテゴリー: 朝の市場コメント

朝の市場コメント!

2023/05/09/07:16:44

米国株式市場はまちまち:米重要インフレ指標控え方向感出ず

NYダウは55.69ドル安の33618.69ドル、ナスダックは21.50ポイント高の12256.92ポイントで取引を終了した。地銀セクターの回復で金融不安が緩和したため、寄り付き後は上昇した。その後、債務不履行リスクを警戒した売りに押され下落に転じた。さらに、FRB銀行融資担当者調査で融資基準が一段と厳格化されたことやビジネス融資需要の弱さが証明されると、売り圧力がさらに強まり下落幅を拡大した。ただ、今週予定されている消費者物価指数(CPI)などの重要インフレ指標発表を控え下値も限定的となり、終盤にかけて下げ幅を縮小した。ナスダック総合指数はプラス圏を回復し、まちまちで終了した。VIX指数は17.19から16.98へ低下した。

 

NY外国為替市場:債務上限問題がドル相場の重しに

ドル/円は、米10年債利回りが3.51%台まで上昇したことなどを手掛かりに円売り・ドル買いが先行すると、一時135.23円付近まで値を上げたものの、アジア時間に付けた日通し高値135.30円付近がレジスタンスとして意識されると失速した。米債務上限問題を巡る懸念からNYダウが一時160ドル超下落したことも相場の重しとなり、一時134.66円付近まで下押しした。ただ、アジア時間に付けた日通し安値134.64円や前週末NY時間高値からの下押しレベルである134.63円がサポートとして働くと買い戻しが優勢になった。米長期金利の上昇に伴う円売り・ドル買いも出て135.18円付近まで持ち直した。なお、米連邦準備理事会(FRB)が公表した2023年第1四半期の融資担当者調査(SLOOS)によると、融資基準の厳格化および商業・産業向け貸し出し需要の軟化が報告されたものの、相場の反応は限られた。

 

ユーロ/ドルは、米長期金利の上昇を材料にユーロ売り・ドル買いが先行した。ユーロ/円やユーロ/豪ドルなどユーロクロスの下落につれた売りが出ると一時1.1000ドルと本日安値を付けた。

 

NY原油先物市場は続伸:米景気後退への懸念和らぎ買い優勢に

NY原油先物市場は71.04ドル‐3.69ドルのレンジ相場となった。前週末に米労働市場の強さを再確認し、景気後退への懸念が和らいだことがこの日も相場を支えた。足もとの相場下落が『行き過ぎだった』との思惑が広がっていることも買い戻しを誘い、全般にショートカバーの動きが目立った。米国経済の大幅な悪化に対する警戒感は低下し、米国市場の前半にかけて73.69ドルまで買われた。ただ、ドル高や米長期金利の上昇を意識した売りも観測されており、通常取引終了後の原油先物は上げ渋った。

 

NY金先物市場は反発:米長期金利上昇を嫌気した売り

NY金先物市場は2022.00₋2037.10ドルのレンジ相場となった。米連邦債務上限問題への警戒感から安全資産とされる金需要が高まった。もっとも、米金利が上昇幅を拡大すると、金利を生まない金の買い意欲も後退。取引時間の終盤はやや上値が重くなった。アジア市場の序盤に2022.00ドルまで下げた後、米国市場の後半にかけて2037.10ドルまで買われた。しかしながら、6月も利上げを継続する可能性は残されており、ドル高や米長期金利の上昇を意識して通常取引終了後の時間外取引で2027.40ドルまで売られている。

 

米国債券市場は続落:需給悪化懸念から売り優勢に

米国債券市場で中長期ゾーンは続落(利回りは上昇)した。米2年債利回りは前営業日比0.09%高い(価格は下落)3.99%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.07%高い3.51%で終了した。アップルなど複数の起債が決まり、需給の緩みが意識されると売りが優勢となった。今週予定されている3・10・30年債入札を前に、需給悪化を警戒した売りも出た。

 

米融資態度悪化も想像ほど深刻ではない:JPモルガン

米連邦準備理事会(FRB)が8日発表した銀行融資担当者調査(SLOOS)は、企業向け融資を『厳しくした』から『緩めた』を引いた値が46ポイントと2022年10~12月から1.2ポイント上昇した。四半期に1度公表されるSLOOSは今回の回答期間が3月27日~4月7日と23年の米銀破綻以降初めての調査となったことから、市場では注目が集まっていた。JPモルガンは8日付リポートで、銀行はほぼすべてのカテゴリーの借り手に対し、総じて貸出基準を引き締めたと総括した。一方で、前回調査で既に貸出態度が引き締められていたことを考慮すると、大きな変化がなかったとも指摘。また、米銀破綻による銀行ストレスから想像されるほど、融資基準の引き締めは深刻ではなかったとの見方も示した。一方で、融資側ではなく需要側に当たる小企業のローン需要はマイナス53.3%と09年以降も低い水準に落ち込んだほか、不動産ローンや消費者ローンに対する需要も非常に低調であったことから、融資の供給・需要の両サイドから「見通しについては厳しい絵を描いているように見える」との見方も示した。

カテゴリー: 朝の市場コメント

朝の市場コメント!

2023/05/08/03:00:05

米国株式市場は大幅反発:米のソフトランディング期待広がり買い優勢に

NYダウは546.64ドル高の33674.38ドル、ナスダックは269.01ポイント高の12235.41ポイントで取引を終了した。地銀をはじめ金融セクターの反発で警戒感が緩和、さらに携帯端末アップル(AAPL)の好決算も好感され、寄り付き後は上昇した。4月雇用統計で鈍化が想定されていた労働市場の強さが再表明されたため金利先高観と同時に、ソフトランディング期待も広がり買戻しが強まり、相場全体を一段と押し上げた。また、健全性が警戒され昨日大きく売られた地銀の株価が大幅反発したことに加え、セントルイス連銀のブラード総裁が銀行のストレスを巡り『制御可能』との見解を示し、金融不安がさらに緩和したことも買い材料となり、終盤にかけて、上げ幅を拡大して終了した。VIX指数は20.09から18.53へ低下した。

 

NY外国為替市場:米景気の過度な警戒が和らぎドル買い

ドル/円は、米労働省が発表した4月米雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比25.3万人増と予想の18.0万人増を上回り、失業率が3.4%と予想の3.6%より強い内容だったことが明らかになると、米景気悪化への過度な警戒が和らぎ全般ドル買いが先行した。前日の高値134.88円を上抜けて一時135.12円と日通し高値を更新した。平均時給が前月比0.5%/前年比4.4%と予想の前月比0.3%/前年比4.2%を上回ったこともドル買いを誘った。ただ、135円台では戻りを売りたい向きも多く、買い一巡後は徐々に上値が重くなった。一目均衡表転換線が位置する135.40円がレジスタンスとして働いたほか、市場では『3日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後に付けた高値135.70円が戻りの目処として意識されている』との声が聞かれ、一時134.63円付近まで下押しする場面があった。

 

ユーロ/ドルは、米雇用統計の上振れをきっかけに全般ドル買いが先行すると一時1.0967ドルと日通し安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢になった。欧州中央銀行(ECB)の利上げ継続観測を背景にユーロ買い・ドル売りが入ったほか、ユーロ円の上昇につれた買いが入り一時1.1036ドル付近まで持ち直した。なお、大半のエコノミストは『ECBは7月までに0.25%の利上げをあと2回実施する』と予測している。

 

カナダドルは全面高となった。カナダ統計局が発表した4月カナダ雇用統計で、新規雇用者数が4.14万人増と予想の2.00万人増を上回り、失業率が5.0%と予想の5.1%より強い内容となったことを受けてカナダドル買いが広がった。対米ドルでは一時1.3371カナダドル、対ユーロでは1.4735カナダドル、対円では100.83円まで値を上げた。WTI原油先物価格が4%超上昇したことも産油国通貨とされるカナダドルの買いを促した。

 

NY原油先物市場は1週間ぶりに反発:米景況への懸念後退で買い優勢に

NY原油先物市場は68.48ドル‐71.72ドルのレンジ相場となった。4月米雇用統計の各指標が軒並み予想を上回ったことで、景況への懸念が後退した。このところ米欧利上げによる景気圧迫がエネルギー需要を弱めるとして売られていた原油相場に巻き戻しの買いが入った。良好な4月米雇用統計を受けて株高となり、6月以降も利上げを継続する可能性は残されていることから、原油先物は強い動きを見せた。

 

NY金先物市場は4日ぶりに大幅反落:米金利高と株高を嫌気した売り

NY金先物市場は2007.00₋2061.30ドルのレンジ相場となった。4月米雇用統計の各指標が軒並み市場予想より強い結果となったことで、米金利上昇・ドル高が先行した。ドル高でドル建て金価格の割高感が高まり、上値を重くした。米雇用回復・景況の底堅さを受けた株高によるリスクセンチメント改善で、対欧州通貨などでリスク回避のドル買いが弱まったことから、ほどなくドル相場は失速した。しかし、その後も米金利は上昇の勢いを緩めつつも高水準を維持。金利が付かない資産である金の相対的な投資妙味後退が相場の動きを重くした。株高によるリスクセンチメントの改善は、リスク回避資産とされる金を購入する動機を弱める材料にもなった。

 

米国債券市場は下落:米景気悪化への警戒感が和らぎ売り優勢に

米国債券市場で中長期ゾーンは下落(利回りは上昇)した。米2年債利回りは前営業日比0.10%高い(価格は下落)3.90%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.06%高い3.44%で終了した。4月米雇用統計が予想を上回ったことを受けて、米景気悪化への過度な警戒が和らぐと債券売りが優勢となった。米国株の大幅上昇も相場の重しになった。

カテゴリー: 朝の市場コメント

朝の市場コメント!(NY3日終了時)

2023/05/04/08:06:46

米国株式市場は続落:米利下げ期待後退で売り優勢に

NYダウは270.29ドル安の33414.24ドル、ナスダックは55.18ポイント安の12025.33ポイントで取引を終了した。連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を控え調整色が強まりまちまちで寄り付いた。調整が続いたのち、連邦準備制度理事会(FRB)がFOMCで市場の予想通り25BPの利上げを決定、同時に声明では前回合まで示していた追加利上げの可能性を示唆する文言を削除したため利上げ停止の観測が強まり上昇した。しかし、パウエル議長が会見でFRBの見通しにもとづくと利下げが想定されないとすると利下げ期待が後退して売りに転じた。終盤にかけて、6月の利上げ確率が上昇すると下げ幅を拡大して終了した。VIX指数は17.78から18.34へ上昇した。

 

NY外国為替市場:米地銀の報道が伝わるとリスク回避の円買い

ドル/円は、米連邦準備理事会(FRB)は今日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、市場予想通り0.25%の利上げを実施した。声明では『幾分の追加的な金融政策引き締めが適切になるかもしれないと予想する』とした前回の表現を削除し、『インフレ率を長期的に2%に戻すのに十分な金融政策スタンスを達成するため、どの程度追加の政策が適切であるかを決める際、金融政策の累積引き締め、金融政策が経済活動やインフレに影響を与える時間差、および経済と金融の動向を考慮する』との見解を示した。市場では『利上げ停止の可能性が示唆された』と受け止められ、ドル売りで反応し、一時134.84円まで下げた。パウエルFRB議長の会見が始まると135.70円付近まで下げ幅を縮める場面もあったが、戻りは鈍かった。利上げ停止時期に関して『近づいている感触。すぐそこの可能性も』と述べたと伝わると再び弱含む展開となった。株取引終了後に『米地銀パックウエスト・バンコープは売却を含めて戦略的選択肢を検討』との一部報道が伝わると、時間外の米株価指数先物が一段と下落した。リスク回避の円買いが優勢となり、一時134.71円と日通し安値を更新した。

 

ユーロ/ドルは、FOMCで『米利上げ停止が示唆された』との見方からドル売りが先行すると一時1.1091ドルと日通し高値を付けたものの、4月26日の高値1.1095ドルがレジスタンスとして意識されると失速した。明日の欧州中央銀行(ECB)定例理事会を控えて、積極的にユーロを買う動きは限られた。

 

NY原油先物市場は3日続落:米利上げが需要を抑えるとの見方から売り

NY原油先物市場は、67.95ドル‐71.79ドルのレンジ相場となった。米連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げが景気を抑制し、エネルギー需要を抑えるとの見方が上値を抑える流れが継続した。本日公表の米エネルギー省(EIA)週間石油在庫では、原油在庫は-128.1万バレル(前週 -505.4万バレル)と取り崩しが続いたものの、原油受け渡し地点オクラホマ州クッシングの在庫は+54.1万バレル(前週 +31.9万バレル)と積み増しが継続した。ガソリン在庫は+174.2万バレル(前週 -240.8万バレル)と積み増しに転じ、原油を含むエネルギー関連相場の上値を重くした。アジア市場で71.79ドルまで買われたが、将来的な需要減少の思惑が強まり、米国市場の中盤にかけて一時67.95ドルまで一段安となった。通常取引終了後の時間外取引では主に68ドル台で推移した。

 

NY金先物市場は続伸:米ドル安と米長期金利低下を好感した買い

NY金先物は、2016.00~2050.00ドルのレンジ相場となった。米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表を前に、対ユーロなど主要通貨に対して調整のドル安が進行し、ドル建て金相場に割安感が生じたことで金が買われた。米金利低下が進んだことも、金利が付かない資産である金の相対的な投資妙味向上に寄与し買いを促した。米追加利上げは想定内だったが、6月以降は政策金利を据え置く可能性があることや米長期金利の低下を受けて、通常取引終了後の時間外取引で2050.00ドルまで一段高となった。

 

米国債券市場は上昇:安全資産としての債券買い優勢に

米国債券市場で中長期ゾーンは上昇(利回りは低下)した。米2年債利回りは前営業日比0.14%低い(価格は上昇)3.83%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.08%低い3.34%で終了した。米連邦公開市場委員会(FOMC)声明で利上げ停止が示唆されると債券買いが優勢となった。米債務上限問題を巡る懸念や米金融システム不安再燃への警戒から、相対的に安全資産とされる米国債が買われた面もある。

カテゴリー: 朝の市場コメント

カテゴリー

カレンダー

5月 2024
« 1月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ページの先頭へ