FITS エコノミックレポート

★欧州市場朝方の取引では株高に下支えられ、110.35円近辺でもみ合いスタートとなった。ユーロ圏の経済指標は強弱まちまちの結果だったが、欧州株は全面安、NYダウ先物は小幅高となる中、米長期金利が2.82％台まで低下を受け、ややドル売りに振れた。

欧州時間では、上値･下値を切り下げるドル安･円高の流れが続いた。

朝方発表された米経済指標は軒並み悪化となったことを受け、景気の先行き不透明感にドル/円は110.05円近辺まで下落した。しかし、110.00-10円台では押し目のドル買いが強くサポートされるとドルのショートカバーから反転となった。その後は、連日下落していたこともあり短期的な戻りを期待した買いからNYダウはプラス圏に回復したことを支えにドル買いが進んだ。その後も、米国株が底堅く推移したうえ、米長期金利の上昇を葉池にドル買いが持続し、110.65円近辺まで上昇した。引けにかけては利食い売りなどに押され、110.50円近辺まで調整下落した。

★本日のキーポイント

･110.05-110.65円レンジでの値動き

･市場予想を下回る結果だったがNY経済指標後ドル買い強まる

･NYダウ･米長期金利上昇を好感

★NYダウの日足では、200日線（紫線）24,303ドルを下抜けした。4月2日と5月3日にも200日線を下抜けしたものの、下ヒゲを付けて200日線を回復して終了した。昨晩はトランプ大統領が、中国による対米投資制限について対米外国投資委員会（CFTUS)の役割強化での対応を選択し、強硬措置を避けたことが好感され、75日線（緑線）24,536ドルへの回復トライとなった。しかし、クドロー国家経済会議（NEC)委員長が『トランプ米大統領は中国に対する姿勢を緩めていない』と発言すると一転して200日線を割り込んだ。

1月26日の年初来高値26,616ドルから10％下落の23,955ドルが視界に入ってきたことで、トランプ大統領が株価へのフォロー発言となったものの、クドローNEC委員長が冷や水をかける発言となった。

トランプ大統領を支持層は50代･60代の白人や退役軍人など年金生活者が多い。そのため、2月からの下落時でも、10％下落ラインを下抜けるとトランプ政権内から株価へのフォロー発言が出て、翌日には回復するような動きとなった。年金生活者が運用している株価に打撃を与えると、支持層からの不満が高まり支持離れにつながる可能性が高まる。そのため、10％の下落ラインを下抜けると早々にフォロー発言となった。昨日もトランプ大統領自ら株価へのフォロー発言となり、NYダウは300ドル近く上昇したにも関わらず、クドローNEC委員長の発言でより10％下落ラインに近づいた。

今晩も欧米市場でNYダウが弱い動きとなると、すかさずトランプ政権内から株価フォロー発言が出やすい。テクニカル的には75日線が上値抵抗ラインとなり200日線を下抜け安値引けというおまけまでついているので、下落基調が継続しやすい。それだけに今晩のNYダウの動向が重要ポイントとなる。

★NZドル/円は5月29日安値74.55円を一時下抜けしたことで年初来安値を付けた。その後は下ヒゲで戻してきているものの、下落基調は継続している。

ボリンジャーバンド（パラメータ：21、±1、±2、±3）では、±3σが外側に開いてきているので、下落基調が継続していることを示している。バンド幅の伸縮を示現するボリンジャー％B（パラメータ：21、3、5）はボリンジャー％Bとシグナルが上昇基調となっていることで、バンド幅が拡大していることを示している。そのため、下方にバンド幅が開く動きとなりやすい。

ロウソク足でも、一旦は下ヒゲとなっているものの、前日ロウソク足に対して上値･下値を切り下げる展開となっており、下落基調が継続していることを示している。

年初来安値を更新したことで値ごろ感から買われやすい地合いとなっているが、トレンドの変化が現状では見られないことから、買い方は注意が必要となる場面である。プラス3σが外側に開いている内は下落基調が継続しやすい。買い場はまずはプラス3σが内側に入ってきてからになる。