★欧州市場朝方の取引では、米中貿易摩擦悪化への懸念からリスク回避姿勢が強まり、株価が続落する一方、米国債や円に買い圧力が強まった。株価が下げ渋り米長期金利が低下幅を縮小したことに連れ、リスク回避の円買いの動きも一服となり、ドルに買い戻しが入った。株価はその後も軟調に推移したものの、短期的にやや傾いた円買い・ドル売りポジションを解消する動きが広がり109.91円付近まで反発した。NYダウ先物が再び弱含み、米長期金利も低下幅を広げたため上値の重い展開となった。
NYダウが300ドル超下落し、米長期金利が低下したことでリスク回避的な円買い・ドル売りが再開した。その後もNYダウが420ドル超下落したことでリスク回避的な円買いが強まった。ただ、トランプ大統領が『習近平・中国国家主席から書簡を受け取った』『電話会談を実施する可能性がある』『米中合意について素晴らしい代替案がある』など述べるとドル/円や米国株に買い戻しが入った。しかし、米中貿易交渉に関して期待感は浮上したものの、まだ手放しで楽観できる状態ではなく、やや下押した。
★欧米市場のポイント
・109.44-91円のレンジ相場
・米経済指標はほぼ予想に近い数字で反応は限定的
・トランプ大統領の発言で米中貿易交渉に関して期待感が浮上
・発言受けNYダウは450ドル超下落から下げ幅縮小
・VIX指数は19.4から19.1へ低下
★1月3日のフラッシュ・クラッシュの安値を104.70円として、今年の高値の4月24日112.40円からフィボナッチリトレースメントと白銀比率から推測する。
38.2%押しとなる109.46円近辺が節目となりそうだ。
3月25日の安値109.67円前後では、何度もレジスタンスとサポートとなっており意識されやすい。
38.2%を下抜けしてしまうと半値押しの108.55円が次の下値節目となる。
★2019年1月以降の日経225の価格帯別出来高では、21,300-21,600円前後での出来高が多いことが分かる。出来高の多い価格帯がサポートとなりやすいものの、下抜けすると出来高の少ない方へ下落基調となりやすい。
そのため、21,300円台を維持するということが重要なポイントとなる。
ちょうど75日SMA(緑線)がサポートとなり下支えとなっている。
出来高は増加傾向となったことから、投資家の押し目買いが入り始めている状況となっている。
75日SMAが確りサポートとなり、再び出来高が上昇してくるようなら、さらに押し目買いが入り始め、下げ止まる兆候となる。
明日も75日SMAを維持しつつ、23,000円を維持するようなら売り方からの買い戻しや新規の買いが入りやすくなり、一旦の下げ止まりとなりやすい。上値は25日SMAや5月8日に空けた窓埋めとなる21,875円が上値目処となりやすい。
★東京白金の一目均衡表日足では、52期間の高低の中心値となる先行スパン2(灰線:当日線)の3,035円が意識されている。また、三尊天井の高値とネックラインとの差額である124円をネックラインから差し引いた3,031円も意識されている。
26期間遅行する遅行線(緑線)がロウソク足にぶつかっていることから、このままサポートラインとなるのか、それとも下抜けするのかが注目される。
ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は、4月9日より4月23日の高値が上回ったが、ストキャスティクスは上値を切り下げるダイバージェンスからの下落となった。ただ、%D:11.36、Slow%D:21.19と売られ過ぎまで低下している。そのため、%Dが横ばいとなってくるかが注目点となる。ただ、この下落が長期的なものになると、ストキャスティクスは低位で底這いとなるダマシには注意が必要となる。
東京白金は下落基調のなかの下値節目まで低下していることから、売り買いが交錯しやすい局面にある。そのため、下値節目がサポートとして機能するのかを見極める段階にある。下抜けした場合でも、雲の上下限がサポートとして機能するのか第二の下値節目ポイントとなる。
★5月8日(水)の米国3市場は、NYダウ:2.24ドル高の25,967.33ドル、S&P500:4.63ポイント安の2,879.42ポイント、NASDAQ:20.43ポイント安の7,943.31とNYダウがわずかに上昇したものの、S&P500とNASDAQは続落した。一方、米長期金利は、2.481%へ上昇(価格は低下)した。『7日付けPERと株価から逆算』して5月8日付け予想PER計算すると、NYダウ:17.22倍、S&P500:17.57倍、NASDAQ:24.63倍と、NYダウは前日PERと変わらずだったが、S&P500とNASDAQは前日PERは低下した。2011年4月21日以降の平均値は、NYダウ:15.03倍、S&P500:16.61倍、NASDAQ:21.81倍で現在3指数とも大幅に上回っている。このPERを基に8日付けのイールドスプレッドを算出すると、NYダウ:▲3.326%、S&P500:▲3.211%、NASDAQ:▲1.579%と、三指数ともにイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。株価は軟調地合いであったが、米長期金利が上昇したことで、イールドスプレッドは縮小した。
米長期国債金利は、中国が米国との通商交渉に前向きとの報道が伝わると売りが先行した。また、低調な10年債入札も相場の重石となった。
昨年12月3日の高値時のイールドスプレッドを参考にする。12月3日に戻り天井となり下落基調となった。NYダウ:▲3.069%、S&P500:▲2.731%、NASDAQ:▲1.198%だった。また、4月25日のNYダウのイールドスプレッドは12月3日より縮小し▲3.048まで縮小した。
8日(水)のNYダウの予想イールドスプレッドは前日▲3.350%⇒▲3.326%となり縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。1月3日の直近割安となったイールドスプレッドの▲4.226%から0.900%に拡大(米国株に割高感)している。また、12月3日の戻り天井となった12月3日の▲3.069から0.257%に縮小してきている。NYダウは、米中貿易摩擦の激化懸念から売りが先行したものの、中国が米国との通商交渉に前向きとの報道が伝わると一転上昇した。NYダウは一時150ドル超上げた。ただ、中国側は米国が関税を引き上げた場合、必要な対抗処置を取ると表明するなど、明日から始まる米中高官協議の行方を見極めたいとの思惑から、寄付き後から揉み合う展開となった。その後は緩やかに上昇したものの、引けにかけて下落した。取引終了にかけてはポジション調整の売りが出て急速に伸び悩んだ。VIX指数は19.32から19.40へ上昇した。
S&P500の予想イールドスプレッドは前日▲3.225%⇒▲3.211%となり、イールドスプレッドは縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。1月3日のイールドスプレッド▲3.869%から0.658%に拡大してきている。また、12月3日の戻り天井の2.731%から▲0.480%へ縮小してきている。
NASDAQの予想イールドスプレッドは、前日▲1.593%⇒▲1.579%となり、イールドスプレッドは縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。1月3日のイールドスプレッド▲2.179%から0.600%に拡大してきている。また、12月3日の戻り天井の▲1.198%から▲0.381%へ縮小してきている。
テクニカル的には、NYダウは、75日SMAの25,814ドルがサポートとして意識されている。一方で、5日SMAの26,236ドルが下向きとなっており、レジスタンスとして意識され、本日も75日SMAの攻防となる可能性が高い。一目均衡表では、雲の上限がサポートとなりつつ、先行スパン2の25,951ドルの攻防となっている。上値では転換線と基準線がレジスタンスとして意識される。
S&P500は、サポートとして意識されていた25日SMAの2,909ポイントを下抜けたことで、一転してレジスタンスとして意識されている。下値では75日SMAの2,812ポイントが意識される。一目均衡表では、相場の方向性を示す基準線を下抜けしたものの、はわずかに上向きを維持している。下値では先行スパン2が位置する2,838ポイントが意識される。
NASDAQも、サポートとして意識されていた25日SMAの8,019ポイントを下抜けしてきたことで、下落基調となっている。下値では75日SMAの7,659ポイントが意識されるが、かなりかい離が開いていることから、そこまで下落するかは不透明感がある。一目均衡表では、基準線を下抜けしてきたことで、先行スパン2が位置する7,745ポイントが下値の節目となりやすい。
ストキャスティクス(パラメータ:14、5、3、20、80)では、三指数ともに%DがSlow%Dを下抜けており、下押しの勢いが強まっている。売られ過ぎまで距離があることからしばらくは弱い展開が続く可能性がある。
2011年4月21日以降のイールドスプレッドの平均値のNYダウ:4.253%、S&P500:3.546%、NASDAQ:2.016%も下落時の節目となりやすい。
※毎日イールドスプレッドを掲載していきますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。
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