FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2021/12/08/15:12:49

日経平均株価:値がさのハイテク株の買い強まる

前日の米国株式市場の上昇を好感して、好地合いを引き継ぐ形で堅調に推移した。ただ、戻り売りが警戒されており、さらなる上値追いには慎重な様子となった。ただ、後場では『オミクロン株』への警戒感から売られ過ぎていた銘柄が多く、買い戻しの動きが続いた。値がさのハイテク株を中心に買いが入った。結局、前営業日比405円高の2万8860円と続伸して終了した。信用評価損率は3日申し込み時点でマイナス10.83%と、前の週のマイナス9.66%からマイナス幅が1.17ポイント悪化した。悪化は6週連続となる。

 

東京外国為替市場:手掛かり材料難から113円台半ばでもみ合い相場

ドル/円は、米長期金利低下を眺めたドル売りが先行し、113.36円付近まで下落した。しかし、仲値に向けた国内輸入企業などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれると、113.55円付近へ値を切り返した。仲値発表後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、小幅に値を下げて113.40円台を中心とした狭いレンジで取引された。午後は、手掛かり材料難から積極的な売り買いは目立たず、113.50円前後で方向感に乏しい値動きが続いた。新型コロナウイルスの変異株(オミクロン株)に関する続報や、米露対立が続くウクライナ情勢を見極めたいとのムードが広がった。ユーロ/ドルは、海外時間に予定されているECB当局者の講演を前に、様子見を決め込む市場参加者が多く、1.1290ドル前後で小動きとなった。

 

中国恒大デフォルト不可避との見方:S&Pグローバル・レーティング

経営不振に陥っている中国の不動産開発会社、中国恒大は正式なデフォルト(債務不履行)宣言はなされていないものの、ドル建て債2本の保有者は遅れており、クーポン支払いを30日間の猶予期間が終了した時点までに受け取っていない。このことを鑑み、格付会社のS&Pグローバル・レーティングは7日、デフォルトは『不可避』との見方を示した。

 

人民元は対ドルで3年7ヵ月ぶり高値:輸出堅調で海外資金流入も活発

上海外国為替市場で、人民元の対米ドル相場が上げ幅を広げた。一時は1ドル=6.3515元まで買われ、2018年5月中旬以来、約3年7ヵ月ぶりの高値を付けた。中国の輸出は7日発表の11月分も含めて前年比2ケタの増加が続き、輸出から輸入を差し引いた貿易収支も黒字の基調となっている。企業などが貿易で得たドルを人民元に替える動きがみられ、元買い・ドル売りにつながった。中国当局の政策期待から海外勢の投資資金が中国本土の株式市場などに活発に流入していることも、元買いの流れを後押ししている。

 

中国の11月末の外貨準備高は予想外に増加

中国人民銀行(中央銀行)が7日発表したデータでは11月末時点の外貨準備は予想外に47億7000万ドル増加し、3兆2220億ドルとなった。ロイターがまとめたアナリスト予想は3兆2120億ドルと、10月の3兆2180億ドルから減少すると見られていた。11月の人民元は対ドルで0.6%高だった。11月末時点の金準備は6264万トロイオンスと前月末から変わらなかった。ドル建ての規模は1130億3000万ドルと、前月末の1108億3000万ドルから拡大した。

 

エルドアン大統領のカタール訪問でリラ買戻し

昨日は、トルコ中銀による外貨売り為替介入を思わせるような値動きだったが、中銀からは何の発表もなかった。エルドアン大統領が中東カタールを訪問したことを受け、同国からトルコへの経済支援に対する思惑でリラショートカバーに繋がったとの声も聞かれた。結局トルコとカタールは、貿易や投資・開発、文化や外交など様々な分野で12の協定を結んだ。昨日はリラの下値攻めは一服したが、リラ買いはあくまでポジション調整の域を出ないとの見方はまだ多い。エルドアン大統領は低金利政策について妥協しないことを明言しており、トルコ金融政策に対する投資家の不信感が拭えない限りはリラの本格的な上昇は難しい。

 

南ア小売売上高に注目:スタグフレーションが囁かれている

南アの7-9月期GDPは前期比年率-1.5%(予想:-1.0%)、前年同期比+2.9%(予想:+3.8%)と市場予想を下回る結果となった。GDPの落ち込みは7月暴動により、クワズールナタールを中心に貿易や製造業が予想よりも大幅に落ち込んだ。本日発表の経済指標では10月の南ア小売売上高が注目である。ここ最近の南アの小売売上高が落ち込んでいることで、インフレの中の景気停滞(スタグフレーション)が囁かれている。今回も市場予想を下回った場合はランドの重石になる。 10月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比1.8%) 

 

米第3四半期の労働生産性は74年ぶり低水準に落ち込む

米労働省が発表した7-9月期非農業部門労働生産性改定値は前期比年率-5.2%となった。速報値から上方修正予想に反して下方修正され1947年10-12月期以降74年ぶり最低に落ち込んだ。同期単位労働コスト改定値は前期比年率+9.6%になった。速報値+8.3%から伸びが予想以上に上方修正され昨年10-12月期以来最大の伸びとなった。同指数は連邦準備制度理事会(FRB)のグリーンスパン前議長が景気動向を判断する上で注目していた指標である。賃金などコストの上昇で企業の生産性が落ち込んでいることが明らかになった。パンデミック関連のサプライチェーン混乱が落ち着き、コストが低下した場合、再び生産性が回復する可能性はあるが、混乱が長引いた場合、回復にも懸念が残る。FRBは焦点を高インフレに移した。高インフレが想定以上に長引くことに備え、量的緩和(QE)縮小を加速させ、計画していたよりも数カ月早く縮小を終了する可能性を示唆した。パンデミックの状況の改善で、緊急措置として導入されたQEの必要性は後退した。しかし、時期尚早の利上げは回復を損なう可能性が警戒される。

 

欧米市場イベント

○17:15   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○17:25   デギンドスECB副総裁、講演
○18:30   11月南アフリカSACCI企業信頼感指数
○20:00   10月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比1.8%)
○未定   ポーランド中銀、政策金利発表(予想:1.75%に引き上げ)
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:00   10月ブラジル小売売上高(予想:前年同月比▲5.6%)
○22:10   シュナーベルECB専務理事、講演
○24:00   カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:0.25%で据え置き)
○9日00:30   EIA週間在庫統計
○9日01:00   11月ロシアCPI(予想:前月比0.7%)
○9日03:00   米財務省、10年債入札
○9日06:30   ブラジル中銀、政策金利発表(予想:9.25%に引き上げ)
○独連邦議会、新首相を選出

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2021/12/07/15:11:19

日経平均株価:売り持ち高の買い戻しで上昇幅拡大

新型コロナウイルスの新たな変異株『オミクロン株』への過度な警戒感が和らいだことを受け、景気敏感セクターを中心に買い戻しが優勢となった。新規の材料が少ないことから、買い一巡後はNYダウ先物やアジア株などの外部環境の動向を見極めながら上下する展開になった。ただ、最近の下落局面で売り持ち高を増やしていた投資家の買い戻しの動きも広がり、上げ幅は690円を超える場面もあった。結局、前営業日比528円高の2万8455円で終了した。上げ幅は11月1日(754.39円)以来の大きさだった。

 

東京外国為替市場:リスク選好の円売りが優勢

ドル/円は、本邦輸入企業などのドル買い・円売りや日経平均株価の大幅高に支えられ、113.60円付近へ上昇した。米長期金利が小幅に上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。ただ、上値では短期筋による利食い売りみ見られ、113.40円台へ押し戻された。午後に入ると、日経平均株価の上げ幅拡大を眺めたドル買い・円売りが優勢になり、一時113.73円付近まで上昇した。ユーロ/ドルは、1.1290ドル前後で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国の11月米ドル建て輸出は市場予想上回る

中国の税関総署が本日発表した2021年11月の米ドル建て貿易統計は、輸出が前年同月比22.0%増だった。市場予想の19.0%増を上回り、前月の21.1%増から伸び率がわずかに加速した。一方、輸入は31.7%増で、前月の20.6%増から加速し、予想を19.8%増を上振れた。貿易黒字は717億1000万ドルと市場予想の827億5000万ドルを下回った。

 

トルコ中銀は来週会合で追加利下げを決定する可能性高まる

エルドアン大統領は週末、不安定な外国為替とインフレ率はまもなく安定すると、トルコ南東部の都市シイルトで聴衆に向かい語った。そして大統領は、『エルドアンは、昨日も低金利と言い、今日も低金利と言い、明日も低金利というでしょう』と発言、『この点について妥協しない、なぜなら金利は金持ちを金持ちに、貧乏人を貧乏人にするから』と述べた。トルコ中銀・金融政策委員会(MPC)は大統領に支配されており、足もとのインフレが21%台まで上昇しているにもかかわらず、来週会合で追加利下げを決定する可能性は更に高まった。カブジュオール・トルコ中銀総裁は来年1月から金融緩和を休止すると述べたが、この無謀な金融政策をできる限り早く止めることができなければ、リラの下値余地は更に大きく広がってしまう。

 

南ア7-9月期国内総生産が発表:動意づくかは不透明

経済指標では南アの7-9月期国内総生産(GDP)が発表される。通常ならば市場の再大注目となる指標だが、今回はどの程度市場が動意づくかは不透明ところである。新型コロナウイルス・オミクロン株の影響で南ア経済が再び悪化することが予想されている状況で、今回の結果が市場予想よりも好結果だとしても市場は反応が難しい。市場予想では前年のパンデミック禍と比較すると回復するとの期待で、前年比では3.8%程度増加すると予想されている。前月比では、7月には暴動により一時的に経済が麻痺した影響で1.0%程度の減少を予想している。

 

トルコ中銀は5会合連続利上げの可能性:ペソの下値は底堅く

メキシコ中銀は先週の四半期インフレリポートで中長期的には見通しの引き上げはなく、インフレは短期的との見方は変えていないが、短期的には今年や来年初旬のインフレ率を大幅に上方修正した。目先のインフレは止めることが出来ず、対抗策としての利上げ政策はしばらく続くとの市場の予想は変わっておらず、来週会合での5会合連続利上げの可能性はあり、金融市場が引き続き落ち着けば利上げ期待と重なってペソの下値は堅くなりそうである。一方、世界各国でオミクロン株の感染が確認し始める中で一段の感染拡大でリスク回避ムードが再び高まれば、ペソの下落は避けられない。

 

米国市場では10月貿易収支が公表:予想は▲667憶ドルの赤字

9月実績は▲809憶ドルで赤字額は過去最大となった。財の輸入額は増加したが、産業用資材や原油の輸出額が減少したことが要因となった。10月については、輸入額の反動減が予想されていることや、産業用資材の輸出額が増えるか可能性があるため、貿易収支は改善する見込みである。

 

欧米市場イベント

○15:45   11月スイス失業率(季節調整前、予想:2.6%)
○16:00   10月独鉱工業生産(予想:前月比1.0%/前年同月比▲2.9%)
○16:45   10月仏貿易収支(予想:69.00億ユーロの赤字)
○16:45   10月仏経常収支
○18:30   7-9月期南アフリカGDP(予想:前期比年率▲1.0%/前年同期比3.8%)
○19:00   12月独ZEW景況感指数(予想:25.3)
○19:00   12月ユーロ圏ZEW景況感指数
○19:00   7-9月期ユーロ圏域内総生産(GDP)確定値(予想:前期比2.2%/前年比3.7%)
○22:30   10月カナダ貿易収支(予想:20.7億カナダドルの黒字)
○22:30   10月米貿易収支(予想:670億ドルの赤字)
○22:30   7-9月期米非農業部門労働生産性・改定値(予想:前期比▲4.9%)
○24:00   11月カナダIvey購買部協会景気指数
○8日03:00   米財務省、3年債入札
○8日05:00   10月米消費者信用残高(予想:260.0億ドル)
○米露首脳会談(オンライン)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2021/12/06/15:14:01

日経平均株価:ソフトバンクGの下げが重石

寄り付は小高く始まったものの一転、ソフトバンクグループの下げが重石となり、一時300円超安となった。新型コロナウイルスの変異株『オミクロン株』を巡る警戒感も根強かった。前引けにかけては、NYダウ先物の概ね堅調に推移する中、下げ渋る展開になった。結局、前営業日比102円安の2万927円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利が上昇で113.00円前後のもみ合い

ドル/円は、日経平均株価の下落幅拡大がリスク回避の円買いを誘い、112.85円付近へ下落した。しかし、低下していた米長期金利が持ち直したこともあり、下値を追う動きは限られた。その後は、仲値に向けた国内輸入企業などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれると、113.10円付近へ値を上げた。ただ、米国で新型コロナウイルス変異株(オミクロン株)の感染が相次いで確認されているためドル買いは続かず、小幅に値を下げて113.00円前後でもみ合いとなった。午後に入っても、113.00円近辺で方向感に乏しい値動きが続いた。11月米雇用統計のイベントを終了したこともあり、様子見を決め込む市場参加者も多かった。ユーロ/ドルは、1.12ドル台後半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

9月上旬以来ドル買い比率が高水準に

QUICKが6日算出した3日時点の店頭の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドル買い比率は前の週末から4.4ポイント上昇の66.3%だった。9月上旬以来の高水準になった。新型コロナウイルスの変異型『オミクロン型』の感染拡大を受けて円買い・ドル売りが強まる中で、相場の流れに逆らう『逆張り』の個人は円売り・ドル買いに持ち高を傾けたとみられる。他の通貨ペアでも円売り・外貨買いが目立った。円に対するユーロ買い比率は2.1ポイント上昇の40.7%だった。円に対するオーストラリアドル買い比率も3.3ポイント上昇の78.5%だった。

 

中国恒大集団が債務不履行の可能性を示唆

中国の不動産大手である恒大集団は、『資金の流動性の悪化のため財務上の責任を履行できるかは不確定』するなど、2億6000万ドルの債務返済の履行ができない可能性があることを示唆する発表を行った。それを受け、地元政府が対応に乗り出した。

巨額の債務を抱えて経営難に陥っている中国恒大集団が広東省政府や中国人民銀行など政府の全面的な監督・指導のもとで、外貨建て債務の再編を目指すことになった、と報じている。中国政府は金融システム不安への波及や市場の動揺、取引先の連鎖破綻などを回避すべく、軟着陸(ソフトランディング)を探るという。ただ債権者平等の原則を重視する海外債権者との交渉は難航が予想される。

 

トルコ中銀の介入効果を疑問視する見方広がる

インフレ加速にもかかわらずのトルコのエルドアン大統領は低金利政策を推進し、通貨安についても大統領は『輸出を促進する』などと強気である。2023年の選挙に向けた大統領の賭けは金融市場から不評を買うばかりであり、信用リスクを示すトルコ5年物国債CDSは13カ月ぶりの水準まで上昇した。投資家のトルコ離れは顕著であり、リラ需要は高まりそうにない。さて、トルコ中銀は先週、外貨売りの為替介入を市場で直接実施した。1度目はサプライズも大きくリラ/円も8円前半から9円台乗せまで急騰したが、週末に行った2度目では20銭程度の上げに留まった。中銀の外貨準備高不足を市場に見透かされており、介入効果を疑問視する見方は広まっている。今後は、他中銀と通貨スワップ協定の締結ができるかが大きなポイントとなる 。

 

南アではネガティブな要素が満載でランドの重石:売り場探しの可能性も

南ア国内でも新型コロナウイルス・オミクロン株の感染が急速に拡大していることが重石になりそうである。また、オミクロン株の感染により、世界各国から南アへの渡航禁止が発令されている。南ア保健相は『差別的な渡航禁止措置』と訴えているが、改善される見込みはなく、経済的な損失は甚大になる。更には、南ア国内では引き続き電力負荷制限の規模は大きく、鉄鋼組合によるストライキや与党アフリカ民族会議(ANC)の支持率低下など、ネガティブな要素が満載である。また、先週発表された7-9月の失業率は、2008年の統計開始以来、過去最高となる34.9%まで悪化した。拡大失業率は前期の44.4%から46.6%まで増加し、若年層(15-24歳)失業率も63.3%から66.5%となり、過去最高を記録している。ポジティブなニュースを探すのが難しく、当面、ランド/円は売り場探しになる可能性が高いと思われる。

 

メキシコ中銀では女性で初めての総裁:大統領による中銀介入懸念も

議会にてロドリゲス財務公債省次官が女性で初めて次期中銀総裁に賛成78票、反対21票、棄権10票で承認された。ロドリゲス氏は公聴会で『私は金融政策において必要な経験を満たしていると信じている』と発言し、周囲からの経験不足の声を一蹴する自信ある姿を見せた。とはいえ、市場が予想していたエレラ前財務公債相に比べて力量不足感が否めないのは確かなわけで、中銀の先行き懸念が残るほか、ロペスオブラドール大統領の中銀介入に対する疑念も浮上している。

 

来年の米成長見通しを引き下げ:米ゴールドマン・サックス

米ゴールドマン・サックスは4日、2022年の米経済成長率見通しを従来の4.2%から3.8%に引き下げた。新型コロナウイルスの新たなオミクロン変異株の発生に伴うリスクと不確実性を理由に挙げた。今年第4・四半期の成長見通しも従来の3.3%から2.9%に下げた。

 

欧米市場イベント

○16:00   10月独製造業新規受注(予想:前月比▲0.3%/前年同月比5.5%)
○18:30   11月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:54.2)
○20:30   ブロードベント英中銀(BOE)副総裁、講演
○ユーロ圏財務相会合

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2021/12/03/15:16:23

日経平均株価:午後から景気敏感株買いで上昇幅広げる

日経平均株価は反発して寄り付いたが、値がさ株の下落が重石になったほか、NYダウ先物が軟化する中、買い一巡後に短時間でマイナスに転じた。その後は、前日終値を挟んだ往来相場が続いた。午後になると、新型コロナウイルスの治療薬を巡る報道も支援材料となり、景気敏感株をはじめ幅広い銘柄に買いが入った。結局、前営業日比276円高の2万8029円とこの日の高値で終了した。

 

東京外国為替市場:113円台前半でもみ合い相場

ドル/円は、米国で新型コロナウイルスの変異株(オミクロン株)の感染者が相次いで確認されたことから、リスク回避のドル売り・円買いが先行し、113円を割り込んで112.96円付近まで下落する場面があった。しかし、前日に米FRB要人からテーパリングの加速に前向きな発言が伝わり、日米金融政策スタンスの違いが意識されているため、下値を追う動きは限られた。その後は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、113.10円台へ値をもどした。午後になると、日経平均株価の上げ幅拡大を眺めたドル買い・円売りが持ち込まれ、113.25付近へじり高となった。米長期金利が持ち直したこともドルを支えた。ユーロ/ドルは、1.1300ドル近辺で方向感に欠ける値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

国内生保のドル建て資産ヘッジ比率は11年間で最低

国内の大手生保のドル建て資産に対するヘッジ比率が過去11年間で最低水準となっている。日本と米国の金融政策の方向性の違いなどを背景に、当面の円高リスクに対する警戒感が弱まっていることがうかがえる。ブルームバーグが半期決算を基に集計したところによると、生保9社の9月末時点でのドル建て資産に対する為替ヘッジ比率は41.5%と3月末時点の42.1%から低下。ドル・円のヘッジコストが歴史的低水準にとどまっているにもかかわらず、2010年以降の最低となった。9社が保有するドル建て資産は3707億ドルと3月末から2.1%増加した。

 

トルコ中銀は4会合連続の利下げか

新たなトルコ財務相に任命されたネバティ氏は副財務相時代からエルドアン大統領の低金利政策に賛同していた。大統領の周囲が『イエスマン』で固められたことで経済・財政・金融政策への不信感が更に強まり、リラ保有の躊躇に繋がったという面もある。一部通信社によると、カブジュオール・トルコ中銀総裁は昨日の投資家との電話会議で、9月から進めてきた積極的な金融緩和を来年1月以降は休止する考えを示した。ただ再来週の金融政策決定会合については、『追加利下げ余地は限られている』と述べるに留まった。つまり、小幅ながらも4会合連続の利下げはあり得るとも捉えられる。

 

トルコ市場では11月の物価指数(CPI・PPI)が公表

本日発表予定の11月トルコ消費者物価指数(CPI)に関し、市場は前年比総合が20%後半まで加速すると予想した。中銀・金融政策委員会(MPC)がこの秋から政策決定で重要視し始めたCPIコアも、前回16%後半から一部予想では17%半ばまでの上昇が見込まれている。生産者物価指数(PPI)にいたっては、10月の46%台から49%まで上昇ペースが上がると見る向きもいる。インフレ高進が続く状況のなか、小幅ではあるとしてもMPCによる追加利下げの可能性が残っているようでは、リラ相場の反発力が強まるとは考え難い。

 

南アではオミクロン株の感染者拡大でランドの重石に

米国をはじめ、オミクロン株の感染拡大を楽観視している国もあるが、南アは楽観視することが出来ない。昨日の南ア国内の感染は1万1815件となり、一昨日の8561件を上回っている。連日感染拡大が続き歯止めが立たない状況にある。また、南アへの渡航禁止が南ア経済に与える影響も深刻で、南アの夏休みシーズン(南半球のため現在が夏)の観光業務にも影響を及ぼし、すでに10億ランド以上の損害が出ているとされている。オミクロン株に対する詳細が判明するまでは、各国とも南アとの渡航禁止解除などを進めることもできないことで、仮に他国で感染拡大が無かった場合でも南アの一人負け状態は継続しそうである。

 

メキシコ中銀は次回会合での5回連続利上げの可能性

メキシコ中銀が四半期インフレリポートを発表し、今年の第4四半期のCPI予測が前回の+5.7%から+6.8%まで大幅に上昇修正された。また、2022年に関しては第1四半期から第3四半期までは大幅に上方修正する一方で、第4四半期は若干の下方修正、2023年はほぼ据え置くなどの見通しを示した。中期的にはインフレ見通しの変更はないが、短期的には大幅にインフレ予想が引き上げられたことで専門家の間では次回会合での5連続利上げの可能性が現実味を帯びてきたとの声が聞かれている。

 

中国企業を米国市場から締め出す取り組みを一方進める

米証券取引委員会(SEC)は2日、外国企業に米当局の会計監査受け入れを義務付ける新規則について、導入に向けた最終的な計画を発表した。会計監査を受け入れない場合、3年以内にニューヨーク証券取引所(NYSE)またはナスダックから上場廃止となる恐れがある。米当局は2002年からこの要求を行っているが、受け入れていないのは中国と香港の企業だけである。新規則は上場廃止対象となる企業の特定方法や、上場廃止の手続きなどが定められている。導入されれば、200社余りが米市場から締め出される可能性があり、米国預託証券(ADR)が取引されているアリババグループや百度もこれまで米当局の監査を受け入れてこなかった。

 

米上院の予算案可決で2月まで政府閉鎖回避へ

米議会上院は、新たなつなぎ予算案を可決したと、米メディアが報じた。来年2月18日までの政府資金を手当てする内容で、政府機関の一部閉鎖という事態はひとまず回避される見通しとなった。米下院は2日に可決済みで、この後バイデン大統領が署名すれば成立する。3日が現行のつなぎ予算の期限だった。

 

米国市場では11月雇用統計が公表:予想は非農業部門雇用者数+50.0万人

11月中旬における新規失業保険申請件数は27万件程度と前月同時期との比較で2万人程度減少した。雇用情勢は改善を続けているが、労働力不足は解消されていないため、非農業部門雇用者数の増加幅は10月実績を下回る可能性がある。失業率は、労働力不足を反映してさらに低下する可能性がある。

 

欧米市場イベント

○16:00   11月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月3.00%/前年比20.70%)
○16:45   10月仏鉱工業生産(予想:前月比0.5%)
○17:30   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、オンラインイベントに参加
○17:50   11月仏サービス部門PMI改定値(予想:58.2)
○17:55   11月独サービス部門PMI改定値(予想:53.4)
○18:00   11月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:56.6)
○18:30   11月英サービス部門PMI改定値(予想:58.6)
○19:00   10月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比0.2%/前年比1.2%)
○20:00   サンダース英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○22:30   11月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化3.50万人/失業率6.6%)
○22:30   7-9月期カナダ労働生産性指数(予想:前期比▲0.8%)
○22:30   11月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化55.0万人/失業率4.5%/平均時給、前月比0.4%/前年比5.0%)
○23:15   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○23:45   11月米サービス部門PMI改定値(予想:57.0)
○23:45   11月米総合PMI改定値
○24:00   11月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:65.0)
○24:00   10月米製造業新規受注(予想:前月比0.5%)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2021/12/02/15:12:53

日経平均株価:新変異株に対する警戒感強く上値の重い展開

米国で初の感染者が確認されるなど、引き続き新型コロナウイルスの新変異株『オミクロン株』に対する警戒感が強く、全般的に軟調に推移した。これを受けて日本株も軟調なスタートになった。NYダウ先物がしっかりとなっていることで、一時はプラスに浮上する場面があったものの、上値水準では戻り売りが出てくるため、再び押し戻される動きとなった。結局、前営業日比182円安の2万7753円と反落して終了した。11月第4週の海外投資家は2483憶円の売り越しとなり、3週連続となった。東証マザーズ指数は終値で32.22ポイントの3.04%安となり、3ヵ月半ぶりの安値となった。

 

東京外国為替市場:全般様子見ムード強く113.10円付近でもみ合い

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の下げ幅縮小に支えられ、113.10円付近へ下落した。低下していた米長期金利が持ち直したことで、ドルの買い戻しにつながった。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、113.10円前後で取引された。明日発表される11月米雇用統計を前に、全般様子見ムードが広がった。ユーロ/ドルは、1.13ドル台前半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

11月の資金供給量はコロナ対応で高水準

日銀が2日発表した11月の資金供給量(マネタリーベース、平均残高)は前年同月比9.3%増の659兆円だった。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた経済を下支えするために日銀は大規模緩和を実施しており、資金供給量は高水準となっている。11月の平均残高の内訳は日銀の当座預金が同10.9%増の536兆6367億円、紙幣の発行高が同3.1%増の117兆3108億円、貨幣(硬貨)の流通高が同0.7%増の5兆525億円だった。当座預金の伸び率が前の月から縮小したため、マネタリーベース全体の伸び率も10月の9.9%から縮んだ。縮小は7ヵ月連続だった。マネタリーベース11月末の残高は660兆4444億円だった。

 

韓国の11月CPIは10年ぶりの伸び率で追加利上げ観測強まる

韓国統計局が2日発表した11月の消費者物価指数(CPI)は前年比3.7%上昇し、2011年12月以来10年ぶりの伸びとなった。前月の3.2%上昇から加速した。食品やエネルギー価格が押し上げ要因となり、中央銀行の2%目標を8ヵ月連続で上回った。インフレ圧力の高まりを受け、韓国銀行(中央銀行)が来年1月14日の政策決定会合で追加利上げを行うとの観測が強まった。

 

ビットコインはリスク回避へ抵抗力増す

代表的な暗号資産(仮想通貨)のビットコインが底堅く推移。新型コロナウイルスの変異型『オミクロン株』の発見で世界の金融・資本市場がリスク回避に傾いたが、値下がりに抵抗力をみせている。長期投資家が暗号資産を運用対象とする傾向が定着してきたのが背景とみられる。ビットコインのドル建て価格は日本時間の2日13時時点で5万6000ドル台で推移している。11月に付けた過去最高値の6万9800ドル台を2割下回るものの、これは前月に早期の米利上げ観測の伴う米ドル高に連動して売り込まれた影響である。南アフリカでのオミクロン株発見が伝わる直前に付けていた5万8000~9000ドル程度と比べると下げは限定的だった。

 

トルコリラの為替介入は単に売り場を提供するだけ

トルコ中銀が、『為替レートの不健全な価格形成』の是正するため外貨売り市場介入を直接実施したと発表すると、リラは対ドルを中心に急騰した。対円では9.13円まで大きく上昇した。しかしながら、エルドアン大統領が『高金利政策を支持しない』意向を再び示すと、あっさりと8.40円台まで上値を切り下げた。NY午後にかけては8円半ばで方向感なく取引された。引け間際には、エルドアン大統領がエルバン財務相を更迭したとの報道が伝わっている。エルドアン大統領は『必要に応じて介入を実施できる』と述べているが、低金利への信奉を大統領が捨てない限り、為替介入はただ単にリラの売り場を提供するだけに終わってしまう。明日の11月トルコ消費者物価指数(CPI)ではインフレ加速が予想され、実質金利マイナス幅の拡大が確実視されているため、リラを売りたい向きはなかなか減りそうにない。

 

南ア国内の感染拡大がランドの重石に

昨日南ア国立伝染病研究所(NICD)によるとオミクロン株が最初に検出されたのは11月8日で、11月の南ア国内の感染はデルタ株よりもオミクロン株が中心だったことが判明した。新型コロナ遺伝子解析では74%がオミクロン株だったことが明らかになっている。また、南アでは昨日1日で8561件の新たなウイルス感染を記録するなど、オミクロン株の感染の勢いは早く、南ア国内の感染拡大がランドの重石となる。すでに専門家の中では、南アは第4波の波に入っているという声が多く、今後の南ア政府の対応も注目される。

 

3日に11月米雇用統計が公表:テーパリングが加速するか確認

先行指標の中で雇用統計と相関関係が最も強いとされる民間の雇用者数を示すADP雇用統計の11月分は前月比+53.4万人と、10月+57万人から伸びが鈍化したものの予想を上回った。また、新規失業保険申請件数も減少基調が続き、季節的調整も影響したものの最新のデーダでは1969年以来の低水準を記録し、労働市場の強さがあらためて表明された。全米の製造業を示すISM製造業景況指数の雇用も53.3と、3カ月連続で上昇し4月来で最高となるなど、サプライチェーン混乱などで回復が抑制されると懸念されていた製造業の雇用も需要の強さに支えられた。連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長はすでに経済が強くインフレ圧力が強まっているため、12月の連邦公開市場委員会(FOMC)で、11月に決定した軌道よりも早いペースでの資産購入縮小を進める選択肢を協議することが妥当だと方針を発表。雇用統計が良好な結果となった場合は、この軌道をより確実にする。ドルも底堅い推移を継続すると見られる。


■市場予想:失業率:4.5%(10月4.6%)非農業部門雇用者数:前月比+54.5万人(+53.1 万人)民間部門雇用者数:前月比+52.5万人(+60.4万人)平均時給:予想:前月比+0.4%、前年比+5.0%(+0.4%、+4.9%)

 

欧米市場イベント

○16:30   10月スイス小売売上高
○19:00   10月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比3.5%/前年比19.0%)
○19:00   10月ユーロ圏失業率(予想:7.3%)
○21:00   7-9月期ブラジルGDP(予想:前期比横ばい/前年同期比4.3%)
○21:30   11月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:24.0万件/200.0万人)
○22:30   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○23:00   パネッタ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○3日01:00   クオールズ米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○3日01:30   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国による「OPECプラス」閣僚級会合

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

5月 2024
« 1月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ページの先頭へ