FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2019/12/11/15:11:03

日経平均株価:重要イベント控え利益確定売りが重石

為替の円安基調や、追加関税の発動見送りの可能性を支えに、日経平均株価は小反発でスタートした。しかし、その後は為替がやや円高方向に振れたことや米国の対中関税『第4弾』発動期限を15日に控えて協議の進展や重要イベントが続き海外短期筋の利益確定売りが重石となり下げに転じた。結局、前日比18円安の2万3391円と小幅続落して終了した。

 

東京外国為替市場:108.70円前後で終日もみ合い相場

ドル/円は、日経平均株価のさえない動きをながめたドル売り・円買いが先行し、108.67円付近まで下落した。ナバロ米大統領補佐官が通商交渉について『我々が合意するかは中国次第だ』と発言したことも、リスク回避の円買いを誘った。しかし、米FOMCの結果発表を前に、下押しは限られた。その後は、国内輸入企業などがドル買い・円売りに動き、108.75円を挟んでもみ合う展開となった。午後からも108.70円台を中心とsた狭い値幅での取引が続いた。ユーロ/ドルは、1.1090ドルを挟んでこう着相場となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

当たらない大手調査会社の世論調査:精度に改めて関心集まる

大手調査会社『YouGov』の英総選挙に関する世論調査で、与党・保守党の議席獲得予想が前回359議席から339議席に縮小した。一方で最大野党・労働党の議席予想が211議席から231議席まで拡大した。

英調査会社フォーカルデータの最新予測によると、12日投開票の総選挙(下院定数650議席)で、ジョンソン首相率いる与党保守党の獲得議席数は337議席と、前回2017年の選挙から20議席増やし過半数を確保する見込み。一方、野党労働党は235議席と前回から27議席減らすと予想されている。その他、スコットランド民族党は41議席、自由民主党は14議席の見通し。

世論調査は過去に大きな政治イベントで読みを外し、たびたび批判にさらされてきた。2016年の欧州連合(EU)離脱をめぐる英国民投票では、残留が優勢との調査結果に反して離脱に決まった。同年の米大統領選では劣勢とされたトランプ氏が当選した。「保守党優勢」が予測されている12日投開票の英総選挙では、その精度に改めて関心が集まっている。

 

英総選挙のスケジュール

・12日07時(日本時間16時):投票開始

・12日22時(日本時間13日7時):投票終了

・22時~23時半(日本時間13日7時~8時半):出口調査開始

・23時半~翌1時(日本時間13日8時半~10時)

深夜前にサンダーランドやニューキャッスルなどで最初の投票結果発表が予定。これらの地域は伝統的に労働党が優勢の地域だが、結果が労働党の場合でも保守党がどれだけ詰め寄っているかなどが、今後を占ううえで重要。

・13日1時~2時半(日本時間13日10時~11時半)

レッドウォール地域の投票結果が発表予定。レッドウォール地域とは伝統的に労働党支持地域だが、ブレグジットに関しては離脱に賛成している投票者が多い地域。

ワーキントン(1918年から労働党勝利)、ダーリントン(1964年以外は労働党勝利)などの地域から結果が発表される予定。その後、セッジフィールド(1935年以来労働党勝利でブレア元首相の基盤)、リー(1922年以来労働党勝利)、ウェスト・ボロムウィッチ・イースト(1974年以来労働党勝利)なども発表される予定。この地域を労働党が維持できるかが注目。

・翌2時半~4時(日本時間13日11時半~13時)

イングランドの主だった地域が続々と発表予定。またスコットランドなども結果が出てくることから、スコットランド民族党などの獲得議席にも注目。ウェールズでも保守党と自由民主党の争いもし烈なので注目。

・翌4時~5時半(日本時間13日13時~14時半)

この時間帯になると、明らかに勝利が確定するか、接戦になるかなどが判明してくる予定。ロンドン中心部などで接戦を繰り広げている地域は発表に多少時間がかかる予定。

・翌5時半~正午(日本時間13日14時~21時)

ほぼ結果が出揃う予定だが、再集計に必要な地域が出てくる可能性もある。

 

 

米中協議で2ヵ月経ったが署名に至らず

10月10-11日の閣僚級の米中協議で『第1段階合意』に達してから2カ月が経ったが、署名には至らず、15日にトランプ米政権の対中追加関税の発動が迫っている。対中追加関税の発動は見送られるとの見方は少なくないが、協議は続いており、不透明感は払しょくされていない。中国が発動済みの関税撤廃を求めていることも、協議が進まない一つの要因と言われている。中国が協議で強気なのは、トランプ氏が来年に米大統領再選を控えているのも一因に挙げられる。米中貿易摩擦が激化すれば、中国だけではなく米国経済への悪影響も強まる。制裁・報復関税が米雇用や米国経済を牽引してきた国内消費に影響が出る可能性がある。トランプ米大統領は景気を気にしながらの交渉を迫られていることを中国はうまく利用しようとしている。ただ、トランプ米大統領は対中強硬姿勢を緩めた場合、民主党からも共和党からも批判されるリスクも大きく、合意しにくい問題は後回しに公算が高い。 

 

米国市場では11月消費者物価指数(CPI)が公表

11月消費者物価指数(CPI)は前年比+1.7%、同コア指数は前年比+2.3%が見込まれている。直近のインフレ率が市場の予想を上回った場合、利下げ打ち止め観測を後押しする可能性がある。

 

米連邦公開市場委員会(FOMC)会合の結果公表

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は先月行われた議会証言で『金融施策は現状が適切だ』と述べ、7月から続いた利下げを当面停止する方針を表明した。米景気は貿易戦争による下振れリスクがあるものの、金融緩和が後押しして『緩やかな経済成長が続く』と強気な見方も示している。FRBは7月から10月まで3会合連続で利下げに踏み切ったが、先行きは政策金利を当面据え置く考えを示唆しており、今回は現状維持の見込みとなっている。

 

欧米イベント

○16:00   10月トルコ経常収支(予想:15.6億ドルの黒字)
○17:00   11月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.1%/前年比3.6%)
○17:30   11月スウェーデンCPI(予想:前月比横ばい/前年比1.7%)
        コア指数(予想:前月比横ばい/前年比1.6%)
○20:00   10月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比0.6%)
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:00   10月ブラジル小売売上高指数(予想:前年同月比3.8%)
○22:30   11月米CPI(予想:前月比0.2%/前年比2.0%)
       エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比2.3%)
○22:30   7-9月期カナダ設備稼働率(予想:82.1%)
○12日00:30   EIA週間在庫統計
○12日04:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表(予想:1.50-1.75%で据え置き)
○12日04:00   FOMC、経済・金利見通し発表
○12日04:00   11月米月次財政収支(予想:1965億ドルの赤字)
○12日04:30   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
○12日06:20   ブラジル中銀、政策金利発表(予想:4.50%に引き下げ)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2019/12/10/15:18:02

日経平均株価:重要イベント控え様子見ムードが強い相場展開

前日のNYダウ105ドル安の4日ぶり反落を受けて利益確定売りが先行したものの、先行き期待や1ドル=108円台後半の円安を背景に押し目買いが継続的に入り前日比で一時上げに転じる場面もあった。米国の追加関税発動期限が15日に迫る中、米FOMC、英国総選挙、国内では週末のメジャーSQ算出と、イベントを多数控えていることから、見送りムードが強まった。結局、前日比20円安の2万3410円と4日ぶりに反落して終了した。

 

東京外国為替市場:108.60円前後でこう着相場

ドル/円は、国内輸入企業などのドル買い・円売りや日経平均株価の持ち直しに支えられ、108.66円付近まで上昇した。しかし、前日につけた108.68円が上値の目処として意識されると、上げ幅は一服した。その後は、アジア株安をながめ108.60円を挟んでもみ合いとなった。午後は、日経平均株価や米長期金利の動向をにらみながら、108.60円台を中心とした狭い値幅で取引された。今週は重要イベントが多いことから、様子見気分も強かった。ユーロ/ドルは、1.1065-70ドル水準でこう着相場となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

今週の注目イベント

今週は、スマートフォンやノートPCなど主要耐久消費財の対中関税引き上げ期限が15日(日曜日)に迫るなか、この動向を固唾を飲んで見守る展開となっている。もっとも、それ以外にもFOMC、英国総選挙、日銀短観など、その後の市場の方向性を大きく左右するような注目度が高く重要な材料は多い。
 FOMCに関しては、連続利下げが一旦休止し、金利は据え置かれる可能性が高い。市場に影響を及ぼすのは声明文や議長の記者会見で、国際情勢などが不安定化するような環境では利下げが再開されるなど、機敏で柔軟な対応を執る用意と覚悟があるかどうかといった点に注目が集まる。
 英議会選挙については、与党保守党が第1党になる可能性が高いが、焦点は単独過半数を取れるかどうか。単独過半数となれば、来年1月末のEUからの円満離脱の可能性が高まる。
 しかし、単独過半数を取れず、連立政権となればこれが難しくなってくる。その場合、1月末に向けて市場は再び英議会に翻弄されるリスクが出てくる。
 日銀短観は、大企業製造業、非製造業の業況判断DIがどこまで低下するか、3ヶ月後の予測DIも含めてマイナス圏突入はあるのかどうかがポイントとなろう。いずれにせよ、米中合意のニュースがない限り、市場の動きは不安定で、リスクを避けるような展開が見込まれる。

 

米国は15日の追加関税発動なら急速に経済悪化の危険も

米中貿易協定では米国、中国側がとみに『交渉が順調に進んでいる』と表明している。しかし、一部では中国による米国農産物の購入規模でいまだに折り合いがつかないとの報道がある。また、中国は徐々に関税の解除を望んでいる。一方で、米国側は、関税の撤廃にはまだ前向きではない。追加関税の発動はトランプ大統領の判断次第となる。 関税の影響で米国の製造業も落ち込む中、先週発表された米国の11月雇用統計が非常に強かった。その結果を受けて、強い労働市場が今後も弱い製造業を相殺し、米国経済の成長を支えていくとの投資家の自信につながっている。しかし、万が一、トランプ大統領が消費関連商品を含め全中国輸入品に追加関税発動を決定した場合、経済への先行き見通しが急速に悪化する危険がある。

 

中国もハイテク分野で米国に対抗

英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は9日、中国当局が全ての官庁や公共団体から外国製のコンピューター機器とソフトウエアを3年以内に取り除くように命じたと報じた。産経新聞が引用して伝えたもの。特定の分野で国産製品への交換が命令されたことが明らかになるのは初めてで、この措置によりHPやデル、マイクロソフトといった米IT企業が影響を受ける可能性があると伝えている。
トランプ米政権は、中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)などの中国製品の締め出しを進めている。今回の中国側による指示は、トランプ政権の措置に対抗したものとみられる。中国が進める国産製品の利用を向上させる取り組みの一環でもあり、これによりハイテク分野における米中の『デカップリング(分離)』が進む恐れがある。

 

GSは1年後の予想まで1オンス=1600ドルに据え置き

ゴールドマン・サックス(GS)が金の3カ月、6カ月、12カ月の各予想を1オンス=1600ドルに据え置いた。リセッション懸念や政治的不透明感が投資需要を支えると予想している。金は年初から約14%上昇し、年間で2010年以来の大幅上昇となる勢い。ただし9月初めにつけた6年ぶり高値の1557ドルからは約6%下落した。
この下落について、GSは12月6日付のノートで、米中貿易摩擦の緩和や好調な米労働市場を背景とするリスク志向の高まりが原因と指摘した。しかし『成長の著しい加速がみられず、逆イールドなどを受けてリセッション懸念が強い状態が続く公算』と述べた。GSは、ドルの若干の下落を予想している。ドルが下落すれば、他通貨を保有する人には金が割安となる。貿易摩擦の長期化や米選挙を巡る不透明感が金需要を押し上げると指摘した。地政学の不確実性はすでに金需要の拡大という形であらわれていると指摘している。2019年は、世界の中央銀行の金購入が750トンで過去最高と予想している。『2020年の中銀の金購入は19年を若干下回る見込みだが、地政学の不確実性、世界的な低金利、新興国中銀の準備に占める金の割合の少なさから高水準を維持すると予想する』とした。

 

欧米市場のイベント

○16:00   11月ノルウェー消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.3%/前年比1.6%)
○16:45   10月仏鉱工業生産指数(予想:前月比0.2%)
○18:30   10月英国内総生産(GDP、予想:前月比0.1%)
○18:30   10月英鉱工業生産指数(予想:前月比0.2%/前年比▲1.2%)
      製造業生産高(予想:前月比横ばい)
○18:30   10月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:116.50億ポンドの赤字/28億ポンドの赤字)
○19:00   12月独ZEW景況感指数(予想:0.0)
○19:00   12月ユーロ圏ZEW景況感指数
○22:30   7-9月期米非農業部門労働生産性・改定値(予想:前期比▲0.1%)
○24:00   ビスコ・イタリア中銀総裁、講演
○11日03:00   米財務省、10年債入札
○米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2019/12/09/15:10:45

日経平均株価:戻り待ちの売りで上値の重い展開

前週末の米国株高を好感し、寄り付きで高値を付けた後は利益確定売りが強まり、上げ幅を縮小した。その後は為替相場に連動しながらプラス圏でもみあった。米国による対中関税『第4弾』の全面発動の期限を15日に控えて、米中貿易協議の先行きを見極めたいとの見方から、戻り待ちの売りが出やすかった。結局、前週末比76円高の2万3430えんと続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:108.50円台を中心としたもみ合い相場

ドル/円は、米中通商交渉の先行きを警戒したドル売り・円買いが先行し108.54円まで値を下げた。日経平均株価が朝高後に伸び悩んだことも、円買いを誘った。しかし、6日に付けた108.52円が下値目処として意識されると、下げは一服した。その後は、国内輸入企業などがドル買い・円売りに動き、108.60円を挟んでもみ合う展開となった。午後は、日経平均株価や米長期金利の動向をにらみながら、108.50円台を中心とした狭い値幅で取引が続いた。今週予定されている重要イベントを控え、様子見気分も強かった。ユーロ/ドルは、1.10ドル台半ばで小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国の11月貿易統計は予想反して減少

中国税関総署が発表した11月の貿易統計では、市場予想に反して輸出が4ヵ月連続で減少した。米中貿易摩擦による製造業への影響が根強いことが浮き彫りになった。11月の輸出は前年比1.1%減少し市場予想の1.0%増を下回った。また、19月は0.9%減少だった。輸入は前年比0.3%増加し、市場予想の1.8%減少を上回り、4月以来のプラスとなった。また、10月は6.4%減少だった。貿易収支は387億3000まんドルの黒字となり、市場予想の463億ドルの黒字を下回った。10月は428億1000万ドルの黒字だった。

 

英総選挙の結果は13日午後に大勢が判明すると予想

JPモルガン証券のリポートでは、投票は英国時間12日午後10時に投票が締め切られるとしながら、『日本時間では13日(金)午前7時となるため、投票締め切り後の出口調査が日本時間朝から市場を動かす可能性がある』と指摘した。その上で『日本時間13日の午後には大勢が判明すると予想される。保守党が過半数を確保することが予想されており、ハングパーラメント(宙ぶらりん議会)となる確率は25%以下とみている』と見込んだ。

 

12日発表のトルコ中銀・政策金利(1週間レポレート)が注目

ウイサル氏が中銀総裁に就任後、3会合連続で利下げが実施され、その引き下げ幅は1000bp(10.0%)にも達した。利下げへの動きは小休止するかと思われたが、先週発表された11月消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回ったことで、市場は4会合連続の引き下げを見込み始めている。エルドアン・トルコ大統領の更なる利下げ要求も強く、その大統領に任命されたウイサル総裁は要求にさからえない。トルコ景気の回復には利下げは必要であるが、あまりにも急速で大幅な金利低下となった国の通貨は買いにくい。まだしばらくは19円台の重さが感じられる展開を予想される。
 トルコと北大西洋条約機構(NATO)同盟国との関係は、首脳会議を終えて決裂という最悪の事態は避けられたものの、依然として脆弱なまま。トルコが露製ミサイルS400の再購入を検討しているとの話もでているなかで、欧米による対トルコ制裁への懸念は残る。

 

11月米雇用統を受けて:ゴールドマン・サックスレポート

6日に発表された11月の米雇用統計で非農業部門の新規雇用者数が前月比26万6000人増となり、市場予想18万4000人増を大幅に上回った。1月以来、10ヵ月ぶりとなる大きな伸びを記録したことになる。10~11日のFOMCを控え、米FRBが追加利下げを行う必要性を薄れさせる強い数字だった。ゴールドマン・サックスはレポートで『米自動車大手ゼネラル・モーターズのストライキが終わった影響で4万4000人増の要因があったものの、それを考慮しても11月の増加ペースはかなり堅調だった』と指摘した。その上で米感謝祭が今年は月末で例年より遅かったことと、寒波の要因によって『小売業と建設業の雇用増加の一部が12月にシフトした可能性もある』としながらも、『我々は、短期的に追加的にな利下げの可能性をさらに排除することを除いて、今回の米雇用統計が金融政策に対して重要なインプリケーションがあるとは思っていない』と指摘している。

 

欧米市場のイベント

○15:45   11月スイス失業率(季節調整前、予想:2.3%)
○16:00   10月独貿易収支(予想:193億ユーロの黒字)
○16:00   10月独経常収支(予想:200億ユーロの黒字)
○21:00   11月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.83%)
○22:15   11月カナダ住宅着工件数(予想:20.75万件)
○22:30   10月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比3.0%)
○10日03:00   米財務省、3年債入札

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2019/12/06/15:16:01

日経平均株価:海外短期筋の先物買いが下支え

前日の米ダウ平均28ドル高の続伸やオブライエン米大統領補佐官等の米中貿易交渉進展への前向き発言を好感した買いが先行した。また、政府が5日に閣議決定した経済対策への期待感と相まって海外短期筋の先物買いに一時上げ幅は100円を超えた。ただ、週末で動きが取りにくい上に手掛かり材料も乏しいこや、今晩発表される米雇用統計を見極めたいとのムードが強く様子見が広がった。結局、前日比54円高の2万3354円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:為替相場は全般小動きもみ合いの動き

ドル/円は、米長期金利の低下を手掛かりに一時108.65円と昨日安値の108.66円をわずかに下抜けた。もっとも、持ち高調整の範囲内に過ぎず、動きは総じて緩慢となった。この日の値幅は13銭と狭い。 午後3時前後に中国が大豆など輸入関税一部免除との報道などが材料になりドル買い・円売りが優勢となった。ユーロ/ドルは、直近の高値圏の1.110ドル近辺でこう着相場が続いた。欧州勢待ちの様相となっている。

 

トルコ中銀は金融政策決定会合を来年12回に増加

トルコ中銀は、今年の8回開催した金融政策決定会合を来年は12回実施すると発表した。中銀のトップは、金利引き下げを訴え続けるエルドアン大統領に任命されたウイサル総裁であり、総裁就任後は3会合連続で利下げを実施し、下げ幅は合計1000bp(10%)に達した。その総裁のもとで会合回数の増加は、更に緩和しやすい環境を整えたと見られている。

 

南アフリカの景気浮揚の糸口見えず

南アフリカでは今年5月の総選挙を経てラマポーザ政権が2期目を迎えたが、同政権下の景気は力強さを欠く展開が続いている。7-9月の実質GDP成長率は前期比年率▲0.55%と2四半期ぶりのマイナス成長に転じ、概ねすべての産業で減産圧力が掛かる一方、公的部門への依存姿勢が強まっている。また、外需も鈍化するなかで物価安定や利下げにも拘らず家計消費も力強さを欠き、企業の設備投資意欲も弱含む展開が続いている。足下では計画停電などによる企業マインド悪化の動きもみられ、景気浮揚の糸口がみえない状況にある。 政府が10月末に公表した『中期財政計画』では、当面は景気が弱含む一方で財政赤字の拡大が続き、22-23年度末には公的債務残高がGDP比71.3%に上昇する見通しが示された。

 

米10月貿易赤字は予想以上に縮小

米商務省が発表した10月貿易収支は472億ドルの赤字となった。赤字幅は9月の511億ドルから7.6%減、16カ月ぶりの低水準となった。輸入が大幅に減少した一方で、輸出の減少が小幅にとどまったことが奏功した。輸入は前月比1.7%減の2543憶ドル。輸出は前月比0.2%減の2071憶ドル。しかし、米国の2019年度貿易赤字は10月までで5201億ドルと、2018年の同時期5130億ドルを依然上回っており、通年では11年ぶり最大の赤字が予想されている。

 

米国市場では11月雇用統計が公表

先行指標の中で、米労働省が発表する雇用統計と最も相関性が強いとされる民間部門の雇用者数を示す米11月ADP雇用統計は前月比+6.7万人と、10月から拡大予想に反して伸びが鈍化した。5月来の低い伸びに落ち込んだ。このため、雇用統計でもネガティブサプライズの可能性が警戒される。米供給管理協会(ISM)が発表した全米の製造業活動を示すISM製造業景況指数の11月分の雇用は46.6と、10月47.7から低下し、4カ月連増で50割れとなった。米国経済の7割を消費が占めるため特に注目されるISM非製造業景況指数の雇用は55.5と、10月53.7から上昇した。7月来の高水準で、6カ月平均54.0も上回ったことは、安心感につながる。 ただ、全般的にひっ迫していた米国の労働市場も鈍化し始めた傾向が見られる。製造業の低迷をよそに、雇用の強さが今までと同様に今後も強い消費をけん引し、米国経済の成長持続を助けていくことが可能かどうかに注目が集まる。雇用の低迷が確認された場合は懸念材料となる。

〇市場予想失業率:3.6%(10月3.6%)非農業部門雇用者数:前月比+18.5万人(10月+12.8万人)民間部門雇用者数:前月比+17.9万人(9月+13.1万人)平均時給:予想:前月比+0.3%、前年比+3.0%(9月+0.2%、+3.0%)

 

欧米イベント

○16:00   10月独鉱工業生産(予想:前月比0.1%/前年同月比▲3.6%)
○16:45   10月仏貿易収支(予想:50.00億ユーロの赤字)
○16:45   10月仏経常収支
○21:00   11月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前月比0.46%)
○22:00   11月ロシアCPI(予想:前月比0.4%)
○22:30   11月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化1.00万人/失業率5.5%)
○22:30   11月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化18.0万人/失業率3.6%/平均時給、前月比0.3%/前年比3.0%)
○24:00   10月米卸売売上高
○24:00   10月米卸売在庫(予想:前月比0.2%)
○24:00   12月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:97.0)
○7日05:00   10月米消費者信用残高(予想:160億ドル)
○石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国の閣僚会合(ウィーン)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2019/12/05/15:12:58

日経平均株価は:米国株高や経済対策期待から買い優勢

米国市場はトランプ米大統領の発言に一喜一憂しているが、前日は米国株高となったことやドル/円の持ち直しを好感し、朝方から買いが先行した。さらに、国内の経済対策に対する基地あも支えとなり、上げ幅を200円超に拡大する場面もあったが、追随する買いは入らず、次の材料待ちの展開となった。結局、前営業日比164円高の2万3300円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:108円台後半でもみ合う展開

ドル/円は、米中通商交渉が進展するとの期待からドル買い・円売りが先行し、108.93円付近まで値を上げた。一部メディアが『日本政府が打ち出す経済対策の事業規模は26兆円程度で、財政支出は13.2兆円ほどになる』と報じた。この報道で、日経平均株価が上げ幅をやや拡大したことも、リスク選好の円売りを誘った。ただ、前日の米経済指標で景気先行きに対する楽観的な見方が後退しているため、上値を追う動きは限られた。その後は、利益確定などのドル売り・宴会が入り、108.80円台を中心とした狭い値幅でもみ合う展開となった。午後は、日経平均株価や米長期金利の動向をにらみながら、108.80円前後でもみ合った。ユーロ/ドルは、1.1085ドルを挟んだこう着状態となった。欧州勢待ちの状態となっている。

 

国内生保の米ドル建て資産の半数以上はヘッジ無し運用

国内の生命保険会社が保有する外債投資の為替リスクを回避するためのドルヘッジ比率がここ10年で最低水準となっている。ヘッジコストが割高なまま推移しているうえ、ドル/円相場が値幅の狭い推移を続けていることが背景にある。ブルームバーグの試算によれば、日本の主要生保9社が保有する米ドル建て資産は9月末時点で38兆2000億円規模。そのうち、ドルヘッジを施している資産は17兆7000億円程度で、比率では約46%と少なくとも2009年以降で最低水準に達している。ブルームバーグのデータによると、6カ月物の米ドルのヘッジコストは年率換算2.20%前後で、米30年債利回りとほぼ同水準となっている。このため、ドルのヘッジコストを負担すると、国内投資家による米国債運用利回りはマイナスになりかねない。一方、ヘッジを付けなければ為替が大きく変動しない限りプラスを確保できる公算が大きくなる。

為替市場でボラティリティが高まると、生保が為替ヘッジに動くことになり円高基調が強まる可能性もあるので注意が必要となる。

 

欧州市場では10月ユーロ圏小売売上高が公表

9月実績は前月比+0.1%だった。失業率の低下や賃金の段階的な伸びがユーロ圏の個人消費を支えている。食品・飲料・たばこは減少したが、食料以外の製品はやや増加した。10月については、複数の項目で減少は予想されているが、増加の項目もあることから、前月比横ばいか、やや増加する可能性あると予想される。

 

トランプ大統領はフロリダ州へ移転:税金対策と大統領選に備える

トランプ大統領は、10月末に居住地登録をニューヨーク州からフロリダ州に移した。フロリダ州は個人に所得税を課さない9州の1つであり、フロリダ州パームビーチに有名な別荘マール・ア・ラーゴを持つ大統領は、今回の定住地移転は税金対策だろうとされている。そして加えて、同州が大統領選で重要な州であることも十分に考慮してのことだろう。 米国の大統領選で常に激戦が繰り広げられるフロリダ州は、『勝利した候補者が大統領選を制す』とまで言われている。実際に2016年は共和党、2012年と2008年は民主党(オバマ氏)、2004年と2000年は共和党(ブッシュ氏)が勝利し、全州で3番目に多い選挙人29人を獲得している。

 

今後の米ISM製造業指数次第で株価上昇アノマリーが現実味

1979年以降、米ISM製造業指数が好不況節目『50』を割り込むも政策対応でリセッションを回避したケースが6回あり、いずれも米国株はその後1-2年、上昇トレンドを辿るアノマリーがある。米国の対中関税『第4弾』発動等の米中貿易戦争の激化を受けて米ISM製造業景況指数は8月に49.1と7月の51.2から悪化して節目50を割り込んだ以降、9月が同47.8、10月も同48.3とすでに3ヶ月にわたり50を割り込んだまま低迷してきた。
だが、米中協議の進展など米中『宥和ムード』と米FRBの7月以降3度にわたるpreemptive(予防的)利下げが奏功して逆イールドが解消され、米ISM製造業指数と相関性が強い30日発表の中国11月製造業PMI(購買担当者景気指数)がクリスマス商戦などの受注好調を受けて前月比+0.9ptの50.2と好不況節目50を7ヶ月ぶりに上回った。
これで米ISM製造業指数の11月分もしくは12月分が50台を回復する可能性が高まり、そうなれば過去6回のうち、2015年パターン(ISM製造業50割れ3ヶ月)のリセッション回避年の向こう1年後の株価上昇アノマリーが現実味を帯びる。

 

米国市場では10月貿易収支が公表

9月実績は▲525憶ドルの赤字となった。輸出は▲0.9%の2,060億ドル、輸入は▲1.7%の2,584億ドルだった。輸入額の減少が貿易赤字の縮小に寄与した。10月については中国から輸入額減少が予想されているが、輸出も伸び悩んでいる。ただし、農産物やエネルギー資源の輸出はやや増加する可能性が高いとみられている。

 

欧米市場イベント

○15:15   インド中銀、金融政策決定会合(予想:4.90%に引き下げ)
○16:00   10月独製造業新規受注(予想:前月比0.3%/前年同月比▲4.7%)
○18:00   7-9月期南アフリカ経常収支(予想:1608億ランドの赤字)
○19:00   10月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比▲0.3%/前年比2.2%)
○19:00   7-9月期ユーロ圏域内総生産(GDP)確定値(予想:前期比0.2%/前年比1.2%)
○19:00   マクルーフ・アイルランド中銀総裁、議会証言
○21:30   11月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○22:30   10月カナダ貿易収支(予想:13.7億カナダドルの赤字)
○22:30   10月米貿易収支(予想:487億ドルの赤字)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.5万件/165.0万人)
○24:00   11月カナダIvey購買部協会景気指数
○24:00   10月米製造業新規受注(予想:前月比0.3%)
○24:00   クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長、米上院銀行委員会で証言
○米財務省3年、10年、30年債入札条件
○石油輸出国機構(OPEC)総会(ウィーン)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

4月 2024
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ページの先頭へ