FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2021/11/09/15:18:19

日経平均株価:上値の重さが意識されるなか円高基調を嫌気

朝方は前日の米国株高が好感され、一時200円超高となったものの、その後は上値の重さが意識された。個別では前日に自社株買い1兆円の方針を発表したソフトバンクグループが10%超高となった。NYダウ先物がさえない動きとなったことや、為替市場でドル/円が113円割れとなる円高基調となったことが嫌気され、下げ幅は一時250円を超えた。結局、前営業日比221円安の2万9285円と3日続落した。

 

東京外国為替市場:米長期金利の低下を眺めドルは下値模索

ドル/円は、日経平均株価が朝高後に伸び悩んだことや米長期金利低下を眺めて下値を模索する展開となり、約1ヵ月ぶりに113円を割り込んで112.93円まで下落した。前日にクラリダFRB副議長が早期の利上げに慎重な姿勢を見せたことも、ドル売りにつながった。午後に入ってもこの流れは続き、日経平均株価が下げ幅を拡大すると、さらにドル売り・円買いが進んで112.73円付近まで下落した。しかし、NY時間に予定されているFRB当局者の講演内容を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、値ごろ感からのドルを買い戻す動きも見られ、112.75円前後で取引された。ユーロ/ドルは、米国の早期利上げ観測が後退するなかで持ち高調整などのユーロ買い・ドル売りが入り1.1605ドル付近へ上昇した。

 

中国恒大集団は子会社株を再び売却:デフォルト回避の資金調達

中国紙・証券時報(電子版)は8日、経営危機に陥っている不動産開発大手の中国恒大集団が同日、傘下のインターネットサービス会社・恒騰網絡集団の株式を再度売却し、4億730万香港ドル(約59億円)を調達したと伝えた。恒大は未払いとなっているドル建て社債の利息の支払い猶予期限が10日に切れることから、デフォルト(債務不履行)回避に向けた資金調達の動きとみられる。同紙などによると、恒大は4、5両日にも恒騰株を売却しており、8日分と合わせた調達額は11億2460万香港ドル(約164億円)に達した。社債の未払い利息は1億4810万ドル(約168億円)と、ほぼ同額で、調達資金は利払いに充てられる可能性がある。

 

欧英の中銀幹部発言と今後の金融政策動向にらむ

今週はECB(欧州中銀)や英国中銀の幹部による発言機会が相次ぐ。ECBはドイツなどでコロナ感染が再増加となるなか、来年にかけての利上げには慎重姿勢を強調している。今週以降も利上げ慎重姿勢が確認されるとユーロ安へと作用する。反対にインフレ長期化などを警戒し、量的緩和の縮小加速を含めた『緩和見直し』に前向きな幹部発言が出てくると、短期的なユーロ高の材料となる。

英国中銀は前週に利上げを見送ったが、ベイリー英中銀総裁は4日、『インフレを目標水準にとどめるために今後数カ月内の利上げは依然必要』、『利上げは封印しない』と述べた。続いて5日には英中銀のチーフエコノミストが、『英国の賃金上昇ペースは、米国とユーロ圏を上回る公算が大きい』との見解を示している。こうした発言などもあり、為替相場のポンドは前週からの調整下落が一巡してくると、先行きの利上げを見据えた下限切り上がりに移行してくる可能性もある。

 

トルコ国営企業の財務が透明性に欠くとの批判

トルコメディアは先週末、国有企業12社が2020年に合計で160億リラの損失を被ったと報じた。トルコ航空が61億リラと全損失の約38%を占め、次にトルコ国営鉄道の39億リラ、国営空港庁総局21億リラなどの損失が目立つ。これら国営企業の財務が透明性に欠くのではないかという批判も上がっており、いずれ経済危機に繋がるのではないかと懸念を示す人も出てきた。一方、イスタンブール株式市場をみると主要指数が過去最高値を更新するなど、民間企業に対する業績回復、そして拡大への期待は高まっている。トルコ経済の成長を期待する見方は確かにあり、今後は緩和サイクルに打ち止め感がでてインフレ抑制への見通しが立つかがリラ反転のポイントとなる。

 

南アの地方選挙後のリスク要因

先週、5年に1度の南ア地方選挙が行われた。今回のアフリカ民族会議(ANC)の支持率低下は現大統領のラマポーザ氏の責任というよりも、長い間積もっていた国民の不満が爆発した形である。特に前政権のズマ時代が、汚職や腐敗が蔓延っていたこと、そして貧富の拡大、失業率の上昇、インフレ下なのに給料は上がらないなど、落ちるべきして落ちたと言える。リスク要因を挙げていくと ①現大統領を巻き込んだ政争が起きる・・・この場合はクリーンなイメージがあり、国際的にも支持されているラマポーザ氏が大統領職を辞すると、南アにとってはマイナスになりランド売りになる。 ②国民の不満が爆発し、デモから暴動が起きる・・・7月に起こった暴動が起きた場合はランドは売りになる。③ANCが分裂する・・・あまりにも大きな政党になったためにANCは一枚岩ではないことは事実である。もし分裂した場合は依然として前大統領支持者もいることで、国内情勢はより不安定になりランド売りになる。

 

米国債発行減で米FRBの購入縮小を相殺

3日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でテーパリングが正式に表明された。一方、同日に米財務省は今後3ヵ月間(11月~22年1月)の国債発行計画を示した。2年債から30年債まで全ての年限でその前の四半期(8~10月)から発行額を減らし、総額では840億ドル減とする内容だった。バンク・オブ・アメリカの金利分析チームの予測(追加発行分は除く)では、22年2~4月にさらに1070億ドル減、同5~7月に690億ドル減と国債発行の縮小が続くという。規模的にはFRBの購入減額に概ね見合う形で国債の供給も減ることになり、需給の引き締まりが金利上昇圧力を和らげる公算が大きい。

 

今週の米国市場では、物価関連などの指標が注目される

9日にPPI(生産者物価指数)、10日にCPI(消費者物価指数)が予定されているが、米国では資源エネルギー価格の高騰のほか、供給・輸送・労働者の制約や年末商戦に向けた需要増加などにより、物価とインフレの高止まりが注目されやすい。為替相場では米債金利の上昇とドル高の要因となる。一方で米国では経済活動再開の広がりや雇用回復などで、過度な供給制約が緩和されてきた。10月の米雇用統計では賃金が上げ渋りとなっており、物価の急激な上昇ペース自体は鈍化となる可能性もある。

 

欧米市場イベント

○16:00   9月独貿易収支(予想:160億ユーロの黒字)
○16:00   9月独経常収支(予想:170億ユーロの黒字)
○16:45   9月仏貿易収支(予想:71.00億ユーロの赤字)
○16:45   9月仏経常収支
○19:00   11月独ZEW景況感指数(予想:20.0)
○19:00   11月ユーロ圏ZEW景況感指数
○21:00   10月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前年比6.17%)
○22:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○22:30   10月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.6%/前年比8.6%)
        食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.5%/前年比6.8%)
○23:00   クノット・オランダ中銀総裁ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○23:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、講演
○10日00:30   ブロードベント英中銀(BOE)副総裁、議会証言
○10日01:00   ベイリーBOE総裁、シュナーベルECB専務理事、講演
○10日01:35   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○10日03:00   米財務省、10年債入札
○10日03:30   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、ディスカッションに参加
○欧州連合(EU)財務相理事会

 

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/11/08/15:11:39

日経平均株価:上値の重さが意識され見送り商状が強まる

前週末の米国主要三指数が終値ベースで過去最高値を更新したことも支援材料となり、日経平均株価は寄り付きは上昇して始まった。しかし、NYダウ先物が軟化したことや、上値の重さが意識されると見送り商状が強まった。中国不動産大手の中国恒大集団によるドル建て社債の利払い見送りが伝わったのも重荷となった。結局、前営業日比104円安の2万9507円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:113円半ばでもみ合い相場

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ113.65円付近へ上昇した。低下していた米長期金利が持ち直したことも、ドルの買い戻しにつながった。ただ、先週末に発表された10月米雇用統計の労働参加率が期待外れの数字となり、米国の早期利上げ観測が後退しているため、積極的な上値追いは手控えられた。午後は、日経平均株価のさえない動きを眺め、小幅に値を下げて113.60円前後で取引された。NY時間に予定されている米FRB当局者の講演を前に、様子見ムードが広がった。ユーロ/ドルは、1.1560ドル前後でこう着相場となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

米国の禁輸緩和の見直しの初期段階では日本株に資金流入

米国ではFRBが金融緩和の見直しに着手しつつあるが、初期段階では海外勢による日本株投資が支援されやすい。緩和見直しと裏表の米国景気の回復のほか、日本での日銀緩和残存と超低金利の持続、為替円安、米国発の利ざや改善などが、日本の外需関連株や金融株などにプラスとなる。過去のFRBによる利上げや量的緩和縮小の各開始前後では、対日株式投資が6カ月間のネット累計で+5兆円から+7兆円の買い越しパターンが繰り返されてきた。米緩和見直しの初期段階では、日本企業の経常利益も増益となる連動相関性がある。海外勢による日本株投資では、米FRBによる『金融緩和の見直し着手』という追い風が吹き始めた。あくまでも米利上げや量的緩和縮小の各開始前後という『初期段階』に限れば、過去に対日株式投資の増加と日経平均株価の上昇という連動相関性が観測されている。

 

中国ではスタグフレーションへの警戒感高まる

中国の10月のCPIは、8月が前年比+0.8%、9月が+0.7%と高止まりしており、エネルギー価格の高騰を背景に上昇が見込まれている。中国では、インフレ高進と景気低迷によるスタグフレーションへの警戒感が高まっており、リスク回避要因となっている。また、10日に中国恒大集団の利払いの猶予期間が終了することから、デフォルトの可能性にも警戒が必要である。

 

英国中銀も利上げには慎重姿勢

BOEは7対2で政策金利の据え置きを決定した。利上げを支持したのはラムズデンBOE副総裁とサンダースMPC委員の二人にとどまった。ベイリーBOE総裁が10月17日に『中銀はインフレ圧力を抑制するために行動する必要がある』と警鐘を鳴らしたことを受けて、市場では利上げ期待が急速に高まったが、同総裁は今回の会合では利上げを支持せず、一連の利上げで来年のうちに政策金利が1%に達するとの市場の見方に対し、『急激に利上げを行えばインフレ率が目標の2%を下回る可能性がある』と警告した。BOEはインフレ率を目標水準に保つために『今後数カ月内』の利上げが必要だとの見解を示し、12月にも利上げに踏み切る可能性は残されている。ただ、英国はEU離脱の影響もあり、供給制約の影響を他の経済よりも受けやすい。コロナ感染再拡大のリスクも景気の先行きへの不透明感を高めており、過度に利上げを織り込むのは禁物である。

 

トルコ経済は回復力を強まている:格付け会社フィッチ・レーティング

先週3日発表された同国の10月消費者物価指数(CPI)は、前年比が5カ月連続で上昇し2019年1月以来の水準を記録した。鈍化が期待されていた同月生産者物価指数(PPI、前年比)も加速している。一方、トルコ中銀が金融政策の決定材料としたコア・インフレ率は前年比16%後半で僅かながらも低下した。金融政策委員会(MPC)が来週18日に3会合連続で政策金利を引き下げることができる理由を作った。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、『トルコ金融政策への信頼性欠如』を原因とした投資家のトルコ離れを指摘している。まだ暫くは投機筋のショートカバー以外に、リラが反発力を強めることは見込めなさそうである。 ただ、トルコの経済成長を期待する向きがいるのも確かである。格付け会社フィッチ・レーティングスのアナリストは先週末、様々なショックにもかかわらず同国経済は回復力を強めていると述べた。 フィッチは、『強い内需、生産力の力強い拡大、外需増』によりトルコ2021年成長率は9.2%増と予測している。反動で22年は3.5%増まで落ち着くが、23年は4.5%増まで拡大するとも予想している。また好調なトルコ観光業により同国経常赤字の対GDP比は21年には3%まで低下し、来年には2.3%まで縮小すると見ている。

 

南アランドの買い材料と売り材料

南アランドは、売りと買いの材料が拮抗し、不安定な動きとなりそうである。ランド売りの要因としては、先週の地方選で与党・アフリカ民族会議(ANC)の獲得票数が大幅に減少したことである。選挙結果を受けて、今後ラマポーザ南ア大統領が与党内での政権争いに巻き込まれる危険性や、国民の不満が再びデモ・暴動につながる可能性も否定できない。買い要因としては、コモディティ価格が大きく崩れるような地合いではなく、資源国通貨としてのランドには支えとなりそうである。今週注目されるのは、11日に発表される中期予算発表(MTBPS)である。中期予算では、今後3年間にわたる政府の優先事項が示されます。国内総生産(GDP)に対する財政赤字の予想やインフラ投資など、様々な分野について発表される予定である。

 

メキシコではインフレ指標と中銀政策金利の発表が注目点


今週はメキシコ指標の中で重要視される最新のインフレ指標が明日9日、メキシコ中銀の政策金利の発表が11日(日本時間では12日)に予定されている。10消費者物価指数(CPI)については、現時点での市場予想では前年比+6.20%手前まで上昇するとの予想が大半で、予想通りとなれば2017年12月以来の高水準を記録することになる。原油高や深刻化するエネルギー価格の高騰が背景にあり、中銀の月次アナリストレポートでは年末に+6.60%まで予想が引き上げられるなど、さらなるインフレ高進が予想されているため、中銀の利上げ期待は自ずと高まる。政策金利については今のところ0.25%の4会合連続利上げが見込まれており、市場では12月16日に行われる年内最後の金融政策決定会合でも利上げを期待する声が聞かれるなど、金利先高期待が先行している状況となっており、声明文での文言に注目が集まりそうである。また、メンバーで唯一利上げに反対し続けているエスキバル委員が賛成に回るかどうかも確認したいところである。

 

今週は米国の物価指標に注目集まる

今週は10月生産者物価指数(PPI)や10月消費者物価指数(CPI)など重要インフレ指標に注目が集まる。サプライチェーンの混乱や供給ひっ迫によるエネルギー価格上昇が世界的なインフレに繋がっている。賃貸の上昇も顕著で、10月消費者物価指数(CPI)は前年比で1990年以降31年ぶりの大幅な伸びが予想されている。FRBがインフレ指標として注視しているエネルギーや食品を除いたコアCPIも伸びが拡大する見込み。今後はパウエル議長が言及したとおり、来年の第2、第3四半期までにインフレが弱まるかどうかを睨む展開となる。

 

欧米市場イベント

○15:45   10月スイス失業率(季節調整前、予想:2.6%)
○22:10   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼主任エコノミスト、講演
○23:00   クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○9日00:30   パウエルFRB議長、あいさつ
○9日02:00   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○9日02:00   ボウマンFRB理事、講演
○9日03:00   米財務省、3年債入札
○9日03:50   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○ユーロ圏財務相会合
○米国は7日から冬時間に移行済み

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/11/05/15:16:04

日経平均株価:米雇用統計を控え様子見ムード強く反落

米国株高が好感され朝方はしっかりだったものの、その後は週末を控えていることもあり軟化した。米雇用統計を控えていることも買い見送り要因となっている。一方、好決算を発表した銘柄については、引き続き堅調に推移したものが目立った。ただ、5日のアジア株価市場で香港や上海の指数が軟調に推移したことも重荷となった。下げ幅は一時290円ほどに達する場面があった。結局、前営業日比182円安の2万9611円と反落して終了した。10月第4週の株式市場で海外投資家は1414億円の売り越しとなり、2週連続となった。

 

東京外国為替市場:リスク回避の円買いがやや優勢

ドル/円は、日経平均株価の下げ幅拡大やアジア株安を眺めたドル売り・円買いが入り、113.56円付近まで下落した。中国不動産開発会社の債務危機が警戒されていることも、リスク回避の円買いを誘った。しかし、前日の海外市場でつけた安値113.51円に接近すると、下げは一服した。その後は、日米金融政策スタンスの違いを意識したドルの押し目買いが見られ、113.70円付近へ値を戻した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、113.60円台を中心とした狭いレンジでの取引が続いた。今晩の10月米雇用統計を前に、様子見を決め込む市場参加者も多かった。

 

英中銀緩和維持するも経済が想定通りなら利上げの可能性も

イングランド銀行(英中央銀行)は4日の金融政策委員会で、7対2で政策金利を過去最低の0.1%に据え置くことを決定した。ただ、景気が想定通りに推移すれば『向こう数カ月』で利上げが必要になると表明し、近く引き締めに転じる可能性を排除しなかった。9人の金融政策委員のうち、ラムスデン副総裁とソーンダース委員が15ベーシスポイント(bp)の利上げを提案した。残りの7人が政府の一時帰休者支援措置終了の影響を見極める必要があるとして、金利据え置きを提案した。利上げに反対した委員は、このところ消費需要に減速がみられるとも指摘している。中銀は大半の委員が、労働市場関連指標を『待つ価値がある』と判断したとした。ベイリー総裁は金融政策委員会後、『労働市場が短期的にどのように展開するか、対応策の規模とペースを決定する上で極めて重要になる』と指摘した。『一時帰休者支援措置の終了を受けた労働市場の状況を巡るハードデータはまだ得られておらず、十分に明確な検証ができていない』と述べた。ただ、向こう数カ月で明確になる可能性があるとの見方を示した。その上で、12月16日の次回金融政策委会合までにあと2回の労働市場関連指標が発表されるとし、これにより経済情勢が一段と明確になる可能性があると指摘した。ただ、何らかの強い手掛かりを示すと予期しないでほしいと述べた。

 

米格付け会社S&Pは投資家のトルコ離れを指摘

トルコ紙のインタビューを受けた米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、トルコ中銀が金融緩和に転じたことでインフレ率が更に悪化する可能性や、金融政策の信頼性欠如からくる投資家のトルコ離れを指摘した。暫くは投機筋のショートカバー以外に値を戻すことは期待できないかもしれない。 なお、トルコ中銀は昨日、物価動向をまとめたレポートを発表し、エネルギー価格の上昇がインフレに影響を与えたと述べている。金融政策の重要指標となったコア・インフレ率は前年比で若干ながら減速したが、水準自体はまだ高いと指摘した。もっともインフレが一過性との見方は変わらず、18日のMPCでは3会合連続の政策金利引き下げを予想する向きはまだ多い。ただ、トルコ中銀の緩和サイクルは金利15%で休止との見方も広がりつつあり、11月会合で一旦は『リラネガティブの材料出尽くし感』を期待する声も聞こえ始めた。

 

メキシコでは当面利上げ期待が継続

メキシコ中銀が発表した民間アナリストによる月次の経済見通しでは、2021年のインフレ率が前月の+6.26%から+6.60%、2022年は+3.84%から+3.93%にそれぞれ上方修正された。来週には10月のCPIが発表されますが、先月9月分は4月以来の6%台に乗せてきており、アナリストはさらなる上昇を予想しているため、当面利上げ期待が収まることはなさそうである。

 

米FRBのインフレ鈍化予測を債券市場は納得せず

11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)を終えた後も、一部のトレーダーは高インフレが長期化するとの見方を変えていない。それは、債券市場と米連邦準備制度理事会(FRB)との間に存在する大きな溝を浮き彫りにしている。パウエルFRB議長は会見で来年6月までに債券購入を終える方針を明らかにしたものの、利上げはさほど急がない姿勢を示したことから、米主要株価指数は最高値を更新した。パウエル氏はまた、企業が生産を拡大し、サプライチェーン(供給網)の混乱が和らげば、インフレ率は来年4-6月期か7-9月期までに鈍化するとの見方を改めて示した。だが、投資家の間では、高インフレが続けばFRBは2022年に数回の利上げを余儀なくされかねないとの見方がくすぶる。利上げ観測に連動しやすい2年物米国債の利回りは、足元で0.515%(11月4日終値)と、20年3月以来の高水準にある。

 

米民主上院トップは1.75兆ドル法案は25日までの可決を目指す

米議会の合同税制委員会の専門家は、バイデン大統領が看板政策に掲げる1兆7500億ドル規模の『ビルド・バック・ベター(よりよき再建)』法案の財源となる向こう10年の歳入が1兆4800億ドル程度と、2700億ドル不足するという試算を示した。下院では4日もしくは5日に同法案の採決が実施される可能性があり、下院を通過すれば、上院に送付される。米与党・民主党の議会上院トップ、シューマー院内総務は、子育て支援や気候変動対策を盛った1.75兆ドル規模の歳出・歳入法案について『感謝祭(25日)までに可決したい』と述べた。党内をまとめて早期の成立をめざすという。

 

米国市場では10月雇用時計が公表

市場予想によると、失業率は9月4.8%から4.7%へ低下する見込みである。非農業部門雇用者数は45万人増と、8月、9月に予想を大幅に下回ったのち伸びが拡大する公算である。先行指標の中で雇用統計と相関関係が最も強いとされる民間の雇用者数を示すADP雇用統計の10月分は前月比+57.1万人と、伸びは9月から予想以上に拡大した。6月来で最大となった。また製造業の雇用も引き続き改善基調した。ISM非製造業景況指数の雇用は9月から低下したものの拡大と縮小の境目である50は4カ月連続で上回った。週次失業保険申請件数も減少傾向を継続し、パンデミック以前の低水準となるなど、先行指標は順調な雇用の増加を示唆している。一方で、パンデミックの影響がくすぶり、さらに団塊世代の退職の動きが加速し、労働参加者の減少傾向が続いている。求人件数は増加しているものの失業者総数も依然500万人あまりと、労働市場のスラックは存続している。利上げの条件であるFRBの最大雇用目標の達成には時間がかかる可能性がある。

■市場予想:失業率:4.7%(9月4.8%)、非農業部門雇用者数:前月比+45万人(+19.4万人)、民間部門雇用者数:前月比+42万人(+31,7万人)、平均時給:予想:前月比+0.4%、前年比+4.9%(+0.6%、+4.6%)

 

欧米市場イベント

○16:00   9月独鉱工業生産(予想:前月比1.0%/前年同月比1.3%)
○16:45   9月仏鉱工業生産(予想:前月比横ばい)
○17:30   ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○17:30   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○18:00   センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○19:00   9月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比0.3%/前年比1.5%)
○20:00   パネッタECB専務理事、講演
○21:15   ラムスデン英中銀(BOE)副総裁、ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○21:30   10月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化5.00万人/失業率6.8%)
○21:30   10月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化45.0万人/失業率4.7%/平均時給、前月比0.4%/前年比4.9%)
○22:00   テンレイロ英MPC委員、講演
○23:00   10月カナダIvey購買部協会景気指数
○6日04:00   9月米消費者信用残高(予想:159億ドル)
○ロシア(振替休日)、休場
○7日 米国が冬時間に移行

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/11/04/15:12:12

日経平均株価:利益確定売りから上昇一服後は伸び悩み

米連邦公開市場委員会(FOMC)を無難に通過し、米国株高となったことを背景に朝方に高く始まった。ただ、買い一巡後は、トヨタ自動車の決算を前に様子見が強まり、上値追いに慎重となった。主要企業の決算発表を控え様子見姿勢がみられるなか、高値では利益確定売りが出て上昇一服後は伸び悩んだ。結局、前営業日比273円高の2万9794円と、9月28日以来およそ1ヵ月ぶりの高値となった。

 

東京外国為替市場:114円台前半で上値の重い展開

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の反発に支えられ、114.24円付近まで上昇した。米長期金利が上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。ただ、明日の10月米雇用統計を見極めたいとの雰囲気もあり、上げは一服した。その後は、利益確定などのドル売り・円買いも見られ、114.15円付近へ下落した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、114.10円台を中心とした狭いレンジで取引された。黒田日銀総裁が岸田首相との会談後に『内外の経済・金融情勢について話した』『日銀の金融政策についても説明した』などと発言したものの、ドル/円相場への影響は限定的だった。ユーロ/ドルは、欧米金融政策スタンスの違いを意識したユーロ売り・ドル買いが優勢になり、1.16ドル台を割り込んで1.1585ドル付近へ値を下げた。

 

ECB総裁は利上げ観測をけん制

ラガルドECB総裁はリスボンで講演し、『ECBは政策金利に関するフォワードガイダンスで、利上げ前に満たされているべき3つの条件を明確に示してきた』と指摘した。『最近はインフレの加速が見られるものの、中期的なインフレ見通しは引き続き抑制されていることから、3つの条件が来年に満たされる公算は非常に小さい』と語った。先週のECB会合後の記者会見で、ラガルド総裁は市場の利上げ観測について、ECB独自の分析とフォワードガイダンスに一致しないと述べていた。市場の金利見通しを真っ向から否定すれば逆効果になる恐れがあると政策委員会は考えたため、総裁はこの時、市場の金利見通しが誤っているとまでは踏み込まなかった。

 

英仏漁業戦争は延長戦へ:制裁発動はひとまず見送り

英国とフランスの漁業権を巡る対立は、フランス側が設定した2日の制裁発動期限を前に合意に達することはできなかったが、協議の継続を理由に制裁発動はひとまず見送られた。来年春に再選を目指す大統領選挙を控えるマクロン大統領は強硬姿勢を崩さないが、他のEU諸国はフランスの漁業者のために英国との対立をさらにエスカレートさせたくないのが本音にある。このまま両者の緊張が激化し、制裁措置や報復措置の応酬にまで発展する可能性は低い。だが、一連のブレグジット関連協議を通じて、英国のジョンソン首相とフランスのマクロン大統領の間には不信感が渦巻いている。同時に進む北アイルランドの運営方針見直し協議で英EU間の緊張がエスカレートし、英国が北アイルランド議定書の一部効力を一方的に停止したり、EU側が報復関税を発動するリスクには引き続き警戒が必要となる。

 

英国中銀は4日に金融政策委員会を開催

市場予想は現状維持と利上げに分かれている。英国では資源高や供給制約などで物価の上昇圧力が続いており、10月には英国の短期金融市場で『年末にかけて0.5%の利上げ』を織り込む動きもあった。一方で英国でも『インフレは一時的』との見方が根強いほか、最近では経済制限の緩和やワクチンの効果切れなどで、コロナ感染者が再増加となっている。その中で英中銀のテンレイロ委員は10月25日、『インフレ圧力は後退する公算が大きく、利上げは待てる』と主張した。26日には英金融大手HSBCが『英中銀総裁は過去数週間にタカ派(インフレ警戒、緩和見直し支持)的なコメントを続けているが、11月4日の会合で利上げを支持することにはならない』、『4日は7対2で金利据え置きが決まる』という予測を示している。4日の会合にかけては、利上げや利上げ地ならし進展がポンド高、利上げ見送りや利上げ慎重姿勢がポンド安、利上げ見送り後の先行き利上げの可能性がポンド高といった上下動の余地を秘めている。

 

トルコ中銀の利下げ思惑残りリラは買いづらい展開

10月トルコ消費者物価指数(CPI)は前月比/前年比ともに市場予想から下振れした。しかしながら前年比は5カ月連続で前回値を上回り、19%後半と2019年1月以来の水準まで上昇している。また鈍化が期待されていた10月生産者物価指数(PPI、前年比)は逆に46%台まで加速しており、今後はCPIも追随することが予想される。一方、トルコ中銀が9月から金融政策の決定材料とした『CPI前年比コア』は16%後半で前月から僅かながらも低下した。これにより中銀・金融政策委員会(MPC)が次回18日の会合で追加利下げに踏み切る可能性は残ったままであり、リラの買いづらさは変わらない。なお、トルコ当局は、昨日ツイッターにエルドアン大統領の死亡を示唆する投稿をした30人に対し、『大統領侮辱だけでなく、偽情報を共有した』として法的な手続きを開始したことを明らかにした。

 

南アの地方選挙では与党は獲得票数下がる:少数の政党が獲得票数増

南アの地方選挙は概ね結果が判明したが、与党・アフリカ民族会議(ANC)は獲得票数が下がった。ラマポーザ大統領はクリーンなイメージがあるものの、ANCの腐敗に対するイメージが拭えないこと、新型コロナウィルスの影響もあり失業率が上昇し、経済も危機的な状況にあることなどでANCの獲得議席が減少した。しかしながら、野党第2党の民主同盟(DA)も伸び悩んだ。その一方で急進左翼政党の経済的解放の闘士(EEF)や、今までは注目されていなかった少数の政党が獲得票数を増やした。今後は与党内での政権争いや、支持率の低下がランドの抑えになる可能性もある。

 

FOMC予想通りQE縮小開始もタカ派色強めず

連邦準備制度理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)で、市場の予想通り政策金利(フェデラルファンドFF金利の誘導目標)を0.00-0.25%に据え置くことを決定した。同時に、経済が目標に一段と近づいたためパンデミック対策として実施している資産購入策の規模を11月末から月150億ドル削減すると発表した。見通しリスクは存続しており、経済の見通し次第で、ペース修正する姿勢を示した。注目のインフレを巡り、最近の高インフレが一過性との見方を再表明した。来年の第2、3四半期にインフレは弱まるとの見方を示した。FRBが警戒されたほどタカ派色を強めずドル買いが後退した。ただ、QE縮小開始を受けた金利上昇に伴いドルはその後底堅く推移した。

 

バイデン米政権に政策実現の圧力:知事選敗北で中間選挙に黄信号

2日投開票の米バージニア州地知事選で、共和党の新人候補グレン・ヤンキン氏が民主党候補のテリー・マコーリフ前知事に勝利した。来年の議会中間選挙での民主党の過半数維持に黄信号がともった格好で、バイデン政権は問うう内対立を解消して看板政策を実現するように迫られている。共和党は2009年以降初めて、バージニア州全体の選挙を制した。

 

欧米市場イベント

○15:45   10月スイスSECO消費者信頼感指数(予想:7)
○16:00   9月独製造業新規受注(予想:前月比2.0%/前年同月比11.3%)
○17:50   10月仏サービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値(予想:56.6)
○17:55   10月独サービス部門PMI改定値(予想:52.4)
○18:00   10月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:54.7)
○18:00   ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:0.25%で据え置き)
○18:30   10月英建設業PMI(予想:52.0)
○19:00   9月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比2.2%/前年比15.2%)
○20:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○20:30   10月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:00   英中銀金融政策委員会(MPC)2日目、終了後政策金利発表(予想:0.10%で据え置きと0.25%に引き上げで拮抗、資産買取プログラムは8950億ポンドで据え置き)
○21:00   英中銀MPC議事要旨
○21:30   9月カナダ貿易収支(予想:15.5億カナダドルの黒字)
○21:30   9月米貿易収支(予想:805億ドルの赤字)
○21:30   7-9月期米非農業部門労働生産性・速報値(予想:前期比▲3.0%)
○21:30   7-9月期米単位労働コスト・速報値(予想:前期比7.0%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:27.5万件/211.8万人)
○22:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○23:00   エルダーソンECB専務理事、講演
○5日02:50   カンリフ英中銀(BOE)副総裁、講演
○5日03:15   シュナーベルECB専務理事、講演
○石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国による「OPECプラス」閣僚級会合(テレビ会議)
○ロシア(民族統一の日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2021/11/02/15:09:23

日経平均株価:利益確定売りに上値の重い展開継続

前日の米国株式市場は上昇したものの、前日に大幅上昇したことから利益確定売りが進行して寄り付いた。また、米連邦公開市場委員会(FOMC)の開催を控える上、明日が日本市場が祝日で休場となることから全般的に模様眺めとなった。結局、前営業日比126円安の2万9520円と3営業日ぶりに反落して終了した。

 

東京外国為替市場:米イベント控え持ち高調整のドル売り優勢

ドル/円は、米FOMCを控えた持ち高調整などのドル売り・円買いに押され113.90円付近へ下落した。日経平均株価の反落も、リスク回避の円買いを誘った。午後に入っても軟調地合いは続き、米長期金利が低下すると、さらにドル売り・円買いが進んで113.60円付近まで下落した。豪準備銀行の政策金利発表後の豪ドル安・円高が波及した面もあった。ただ、下値では日米金融政策スタンスの違いを意識したドルの押し目買いが見られ、113.70円付近へ値を戻した。ユーロ/ドルは、米長期金利低下を手がかりとしたドル売りが一巡すると、1.1605ドル前後で方向感に欠ける値動きとなった。

 

顧客が米国株を2週ぶり売り越し:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズの2日付の顧客フローのリポートでは、10月25~29日の1週間に米国株を3700万ドル売り越した。2週ぶりの小幅売り越しとなる。この週は決算シーズンが本格化する中、S&P500指数が1.33%高となって4週連続で上昇して史上最高値を更新した時だった。主体別動向ではヘッジファンド(HF)が5億4300万ドルの売り越しで、3週連続の売り越し。機関投資家は11億4000万ドルの売り越しで、5週連続の売り越しだった。個人投資家は2億9200万ドルの小幅売り越しで6週ぶりの売り越し。企業の自社株買いは19億3800万ドルで4週移動平均(14億6600万ドル)を上回って活況だった。傾向としては3週続けて個別株売り・上昇投資信託(ETF)買いの流れだった。機関投資家による節税対策のいわゆる『タックス・ロス・セリング』の10月31日の期限を控えて機関投資家は5週連続の売り越しとなったが、金融セクターを中心とした企業の自社株買いが下支えとなった。

 

中国の不動産開発業の当代置業は社債の元利払いを実施せず

中国の不動産開発会社である当代置業は11月1日、10月25日期限の社債の元本と利息の支払いを実施しなかったことを受け、2023年満期の3億2100万ドル規模の社債などの返済義務がすみやかに発生する可能性があると発表した。

 

3日のトルコ10月CPIの上振れ警戒感がリラの重石

3日発表の10月トルコ消費者物価指数(CPI)の上振れ警戒感からリラの上値は限定的と予想する。CPIは前年比総合が20%台まで伸び率が加速するとみられており、トルコ中銀が金融政策の決定材料とした前年比コアも前回16.98%から17%後半までの上昇が予想されている。中銀は依然としてインフレ高は一時的との見方に固執しているが、政治圧力で政策金利を引き上げられないなかでインフレを抑制する手段はかなり限られているのは確かである。実質金利マイナス幅の拡大、くわえてトルコ中銀・独立性の失墜などリラにとってネガティブな要因が根強く残る。

 

国営石油公社ぺメックスの格下げリスクがペソ相場の重石

先週、メキシコペソ売りを促した大きな要因は原油安と国営石油公社ペメックスの赤字決算だったが、特にぺメックスの経営状況は深刻である。決算期間である7-9月期に原油先物は60ドル台から75ドル台へ上昇するなど堅調に推移していたが、原油高を考慮しても赤字に転落していることから、経営再建への道は一段と困難になることが容易に想像できる。ぺメックスの格下げも時間の問題とされており、そうなればメキシコ自体への格下げリスクも出てくるので、今後の米格付け会社の見解には要警戒である。

 

南ア地方選挙の結果待ち

南アの地方選挙は昨日投票が行われたが、現時点では結果がまだ判明していない。事前の調査では与党・アフリカ民族会議(ANC)の獲得票は5割に満たないのではないかとされている。また、投票率もカギと言われているが、今回は低いとの報道がある。日本では得票率が低い場合は与党が優位とされているが、南アフリカでは逆である。与党ANCに対して不満を抱えている同党支持者が投票に行かないことで、野党の獲得票の割合が増える傾向がある。この後の選挙結果の続報がランド相場にも影響を与える可能性があるので、注意深く報道を見守りたいところである。

 

米10月のISM製造業景況指数で新規受注が16ヵ月ぶり低水準

米供給管理協会(ISM)が発表した10月ISM製造業景況指数は60.8と、9月61.1から低下したものの予想は上回った。活動と縮小の境目となる50は16カ月連続で上回り活動の拡大を示した。しかし、主要項目の新規受注は昨年6月来の60割れと16カ月ぶり低水準に落ち込んだ。一方で、支払い価格は85.7と、9月81.2から予想以上に上昇した。7月来の高水準となり、スタグフレーションリスクが示された。入荷遅延が75.6に急伸したことが全体指数を押し上げたが、サプライチェーンの混乱というマイナス材料が要因となっている。製造業の雇用は52.0と、9月50.2に続き2カ月連続で活動の拡大を示す50を上回り7月来の高水準となったことは安心感に繋がる。
サプライチェーンの混乱やインフレ懸念から、生産予想は12カ月ぶりの低水準に落ち込み、見通しも暗い。

 

イエレン米財務長官はインフレは一過性のものだと認識

イエレン米財務長官は1日、米国経済が過熱しているとは考えていないと述べた。またインフレ率は近年に比べ高くなっているが、それは新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)による混乱に関連した一過性のものだとの認識を改めて示した。同長官は当地での記者会見で、パンデミックが収束すれば労働力供給の制約や供給のボトルネックは緩和されるとした上で、『その意味でインフレは一過性のものであり、長期的にみて経済が過熱しているということはないとみている』と述べた。

 

欧米市場のイベント

○16:30   10月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.1%)
○16:30   9月スイス小売売上高
○17:50   10月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値(予想:53.5)
○17:55   10月独製造業PMI改定値(予想:58.2)
○18:00   10月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:58.5)
○20:20   エルダーソン欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○20:55   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○21:30   9月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比3.1%)
○米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
○ブラジル(万聖節)、メキシコ(死者の日)、休場

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