FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2021/12/01/15:14:54

日経平均株価:前日までの大幅下落に対する値ごろ感買い

日経平均株価は小幅に反発してスタートしたが、間もなくマイナス圏に沈む展開になった。しかし、その後は値ごろ感が意識され持ち直し、再びプラス圏に浮上する展開になった。NYダウ先物やアジア株が総じて底堅い動きとなったことが、指数を下支えした。目先的に底打ちした可能性はあるものの、新型コロナウイルスの新たな変異株『オミクロン』は引き続き警戒された。結局、前営業日比113円高の2万7935円と4営業日ぶりに反発して終了した。信用評価損率は11月26日申し込み時点でマイナス9.66%と、前の週のマイナス8.2%からマイナス幅が1.46ポイント悪化し、悪化は5週連続となった。

 

東京外国為替市場:リスク回避姿勢後退で113円台前半でもみ合い

ドル/円は、前日に伝わったパウエル米FRB議長のタカ派的な発言で、FRBの早期利上げ観測が高まるなかでドル買い・円売りが先行し113.55円付近まで上昇した。日経平均株価が4日ぶりに反発し、リスク回避姿勢が和らいだことも円売りを誘った。しかし、新型コロナウイルスの変異株(オミクロン株)の感染が世界的に拡大するとの警戒感が広がっているため、積極的な上値追いは手控えられた。その後は、短期筋による利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いも見られ、113.40円付近へ緩んだ。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、113.40円台を中心とした狭いレンジで取引された。オミクロン株に関する続報や今晩発表される米経済指標を見極めたいとのムードが広がった。ユーロ/ドルは、1.13ドル台前半で小幅な値動き終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

トルコ経済は強烈な通貨安が追い風:リラの魅力増に繋がらない

NY午後には、エルドアン大統領は『利下げが投資や雇用、生産、成長を後押しする』と一連の金融緩和を擁護し、『2023年の選挙前に金利は大幅に低下し、インフレ率も低下するだろう』とも述べた。トルコ最高権力者のエルドアン大統領が低金利の必要性を声高に叫び続けており、リラ/円は本日も地合いの弱さが続きそうである。昨日発表されたトルコの7-9月期GDP(前年比)は7.4%と同国経済の回復基調が確認され、米ゴールドマン・サックスも2021年成長見通しを9.5%から10.5%に上方修正した。ただし、好調に見えるトルコ経済は強烈な通貨安を追い風とした製造業などの輸出関連が中心であり、リラの魅力増にはまったく繋がっていない。

 

南アの失業率は過去最高の悪化:ランド買い材料を探すのが難しい

昨日発表された7-9月期の南ア失業率は、2008年の四半期労働力調査(QLFS)を行って以来、前期に続き過去最高となる34.9%まで悪化した。南アの半分の経済活動を閉めている、ハウテン州とクワズール・ナタール州では、7月の暴動による不安で経済活動が悪化したことも、失業率上昇の大きな要因になっている。なお、拡大失業率は44.4%から46.6%まで増加し、若年層(15-24歳)失業率も63.3%から66.5%と前期よりさらに悪化し過去最高を記録している。失業率の悪化、オミクロン株の蔓延と各国の南アへの渡航規制だけでなく、この数カ月悪化している電力負荷制限、鉄鋼組合のストライキ、与党アフリカ民族会議(ANC)の支持率低下など、南アのポジティブ要素を探すのが難しい状況である。しかも、原油価格が下がっている(南アでは通貨安でガソリン価格は上昇している)ことで、コモディティ価格の上値が重いことも、ランドには悪材料となる。

 

米サイバーマンデーのオンライン売上高は前年比マイナス:CNBC


米CNBCが報じたところによると、米サイバーマンデーのオンライン売上高は前年比1.4%減の107億ドルとなった。前年比マイナスは調査を開始した2012年以来で初めてのことである。

 

パウエル米FRB議長証言から22年下半期利上げの軌道

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は上院銀行委での証言で最近のオミクロン変異株によりサプライチェーンの混乱がさらに悪化し、労働市場の回復にも影響を与える可能性に言及した。さらに、インフレ見通しの不確実性を高めるとした。
同時に、インフレ高進が広範に及び、『リスクが高まった』と言及した。持続的なインフレ高進の脅威が拡大しつつあると警告した。また、議員の質問に、「インフレが『一過性』との文言を撤回する時期」と答え、高インフレがもはや一時的ではないと懸念を表明した。11月FOMC以降のデータもインフレの上昇が示されていると説明した。経済は強く、インフレ圧力が強まっており、数カ月早く資産購入縮小を終了することが可能だとの見解で12月のFOMCでテーパー加速の選択肢を協議する計画も明らかにした。インフレ高進の定着を防ぐために手段を用いると表明した。

テーパーペースが現行の2倍となった場合は2月に資産購入縮小終了し、3月から5月にかけて利上げの選択肢が広がる。新型コロナの新たな変異株、オミクロンの不透明感が強いが、FRBはQE縮小を来年春にも終了し、2022年下半期に利上げを開始する軌道にあることが確認された。金利先物市場では22年の2回の利上げを織り込んだ。

 

米国の回復は引き続き堅調:イエレン米財務長官

イエレン米財務長官は30日、上院銀行委員会で証言し、米国の回復は引き続き堅調だと確信しているとの見解を示した。先進国全体でインフレが進行しているとも指摘した。バイデン米大統領の看板政策の一つである1兆7500億ドル規模の気候変動・社会保障関連歳出法案『ビルド・バック・ベター(よりよき再建)』については、財政赤字や債務削減を悪化させることはないと表明した。責任を持って財源の捻出が可能だとした。また、金利が上昇した場合でも、金利負担は管理可能だと述べた。

 

米国市場では11月ISM製造業景況指数が公表:予想では61.0

10月実績は60.8だった。新規受注指数が低下した。全ての業種で原材料調達にかかる時間が過去最長となった。11月については、若干の改善が予想されるものの、供給制約が引き続き経済活動の重石となっていることから、小幅な改善にとどまる見込みである。

 

欧米市場イベント

○16:00   10月独小売売上高(予想:前月比1.0%/前年比▲1.7%)
○16:00   11月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.5%)
○16:00   11月トルコ製造業PMI
○16:30   11月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.1%)
○17:30   11月スイス製造業PMI(予想:64.2)
○17:50   11月仏製造業PMI改定値(予想:54.6)
○17:55   11月独製造業PMI改定値(予想:57.6)
○18:00   11月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:58.6)
○18:30   11月英製造業PMI改定値(予想:58.2)
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○22:15   11月ADP全米雇用報告(予想:52.5万人)
○22:30   10月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比▲1.0%)
○23:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○23:45   11月米製造業PMI改定値(予想:59.1)
○24:00   10月米建設支出(予想:前月比0.4%)
○24:00   11月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:61.0)
○24:00   パウエルFRB議長とイエレン米財務長官が米下院金融サービス委員会でコロナウイルス支援・救済・経済安全保障(CARES)法について証言
○2日00:30   EIA週間在庫統計
○2日00:30   11月メキシコ製造業PMI
○2日03:00   11月ブラジル貿易収支(予想:13.00億ドルの赤字)
○2日04:00   米地区連銀経済報告(ベージュブック)
○石油輸出国機構(OPEC)閣僚級会合

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/11/30/15:16:24

日経平均株価:モデルナのCEO発言からリスク回避売りで急落

前日の米国株高を好感したほか、自律反発狙いの買いが先行した。ただ、南アフリカで確認された新型コロナウイルスの変異株『オミクロン株』が引き続き警戒されていることもあり、買い一巡後は伸び悩み、徐々に上げ幅を縮小する展開になった。市場では『MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)が定期銘柄入れ替えを行うのに伴い2000億円超の資金流出が観測されており、それを見極めたいとのムードが生じて買い手控えられている』との声が聞かれた。また、新型コロナウイルスの『オミクロン株』を巡り、モデルナの最高経営責任者(CEO)が既存のワクチンは有効性が下がると英フィナンシャル・タイムズが報じたことをきっかけに売りが膨らんだ。結局、前営業日比462円安の2万7821円と3日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク回避の動きが強まり円買い加速

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ113.89円付近まで上昇した。日経平均株価の上げ幅が一時400円を超えたことも、リスク選好の円売りを誘った。しかし、前日の海外市場でつけた高値113.96円に接近すると上げは一服した。その後は、南アフリカで発見された新型コロナウイルスの変異株(オミクロン株)が世界的に拡大するとの警戒感から持ち高調整などのドル売り・円買いが入り113.60円台へ下落した。本邦輸出勢から月末に絡むドル売り・円買いも観測された。午後に入ると、米製薬大手モデルナのバンセルCEOが英メディアのインタビューに応じて『オミクロン変異株に対する既存のワクチン効果は低下する可能性が高い』との見解を示した。この報道を受けて米長期金利が低下すると、ドル売り・円買いが強まり、一時113.04円付近まで下落した。日経平均株価の失速やNYダウ先物がプラス圏からマイナス圏へ沈んだことも、リスク回避の円買いに拍車をかけた。ユーロ/ドルは、米長期金利低下を眺めたドル売りが優勢になり、1.12ドル台後半から1.13ドル台前半へ切り上げた。

 

リラ売り止めるにはエルドアン大統領の口を閉ざす必要

トルコ中銀の金融政策委員会(MPC)はエルドアン大統領によって完全に支配されており、インフレ高にもかかわらず緩和策に転じた金融政策は『明らかに失敗』と市場に受け止められている。リラの価値を下落させた張本人として大統領への批判は日増しに強まっているが、その大統領は『低金利』にある意味では異常なまで固執している。昨日も『利上げを擁護したこともないし、今後も支持するつもりはない』との考えを改めて示した。このエルドアン大統領が低金利を望んでいることは以前から周知の事実であり、それ自体はサプライズではない。ただ、この夏以降の金融政策決定に対する圧力のかけ方は『中銀の独立性』を完全に無視しており、市場の不安は高まる一方である。リラの回復にはまず、大統領が金利について口を閉ざすことが必要がある。

 

南アの7-9月期の失業率に注目:失業率の悪化はランドの上値を抑える

南アでは、本日発表される経済指標では7-9月期の失業率が注目される。4-6月期の南ア失業率は前期の32.6%から34.4%へと悪化し、2008年の計測以来最悪の結果となった。若年層(15-24歳)失業率も63.2%から63.3%と過去最高を記録した。また、拡大失業率は43.2%から44.4%まで増加した。南ア準備銀行(SARB)は先週の金融政策委員会(MPC)で利上げを行ったが、これ以上の利上げの足かせとなるのが失業率の高さでもある。失業率の悪化はランドの上値の抑えとなりやすい。

 

パウエル米FRB議長の事前原稿ではややハト派スタンス

パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が30日、米上院で議会証言に臨む。29日にFRBが事前に公表した冒頭発言によると、パウエル氏は新型コロナウイルスの変異型『オミクロン株』の出現が「雇用と経済活動に下振れリスクをもたらし、インフレの不確実性も高める」との見解を示した。エバコアISIは29日付のリポートで「パウエル議長は事前原稿で、ややハト派のスタンスをとった。最近の他のFRB高官のタカ派的な発言を踏まえると、パウエル議長の発言はFRBが12月に量的緩和(テーパリング)のペースを加速させることになるかどうかについて疑問を投げかけた」との見解を示した。リポートでは、「彼らが1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)に決定を下す可能性があるとみられる」としつつ、パウエル氏がオミクロンに関して「サプライチェーンの混乱をさらに激化させる可能性がある」との見解を示したことに着目。次回のFOMCまでにオミクロン株のリスクのほか、11月の雇用・インフレ指標が弱ければ12月FOMCでテーパリングを加速させる決定が見送られる公算とみていた。

 

米国市場では11月CB消費者信頼感指数が公表:予想は110.0

10月実績は113.8で予想を上回った。労働市場の見通しが改善したことが上昇の要因とみられる。11月については、インフレ進行の影響がさらに強まることから、消費者信頼感はやや悪化する可能性がある。

 

欧米市場のイベント

○16:00   7-9月期トルコGDP(予想:前年比7.5%)
○16:45   7-9月期仏GDP改定値(予想:前期比3.0%)
○16:45   11月仏CPI速報値(予想:前月比0.2%/前年比2.6%)
○16:45   10月仏卸売物価指数(PPI)
○16:45   10月仏消費支出(予想:前月比横ばい)
○17:00   11月スイスKOF景気先行指数(予想:109.0)
○17:55   11月独雇用統計(予想:失業率5.3%/失業者数変化▲2.50万人)
○18:00   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○18:30   7-9月期南アフリカ失業率
○19:00   11月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比4.4%)
○19:00   11月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比2.3%)
○19:00   外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○21:00   7-9月期インドGDP(予想:前年同期比8.4%)
○21:00   10月南アフリカ貿易収支(予想:230億ランドの黒字)
○22:00   マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○22:30   9月カナダGDP(予想:前月比0.1%/前年比3.3%)
       7-9月期カナダGDP(予想:前期比3.0%)
○23:00   9月米住宅価格指数(予想:前月比1.2%)
       7-9月期米住宅価格指数
○23:00   9月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比19.3%)
○23:00   デコス・スペイン中銀総裁、議会証言
○23:45   11月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:67.0)
○24:00   11月米消費者信頼感指数(予想:110.9)
○24:00   パウエルFRB議長とイエレン米財務長官が米上院銀行委員会でコロナウイルス支援・救済・経済安全保障(CARES)法について証言
○1日00:30   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、あいさつ
○1日03:00   クラリダFRB副議長、講演

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/11/29/15:20:25

日経平均株価:オミクロン株の感染拡大を警戒した売りが継続

感謝祭の祝日明けで半日取引となった前週末26日米国株式市場は、オミクロン株に対する警戒から急落した。この変異株に対し既存のワクチンの効果があるか調査が進められる中、欧州連合(EU)や英国を含む世界各地で渡航制限を強化するなどの動きが広がった。これを受けtえ日本株の下値を模索して始まったが、NYダウ先物が堅調に推移したほか、前週末に先行して下落していたことから、売り一巡後は一時買い戻しが活発化した。しかし、感染拡大を警戒した売りが続き、30日午前0時から外国人の新規入国の停止を発表したのも経済活動の鈍化懸念を強め、相場全体を下押しした。結局、前営業日比467円安の2万8283円と10月13日以来の安い水準となった。

 

東京外国為替市場:オミクロン株をめぐってリスク回避の円買い優勢

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられて113.88円付近まで値を上げた。NYダウ先物の上昇で、過度なリスク回避姿勢が和らいだことも円売りを誘った。ただ、心理的節目の114.00円が意識され、積極的な上値追いは見られなかった。その後、南アフリカで発見された新型コロナウイルスの新たな変異株(オミクロン株)の感染拡大に対する根強い懸念から、持ち高調整などのドル売り・円買いに押されて113.45円付近へ下落した。午後に入ると、短期筋などからショートカバーが持ち込まれ、113.75円近辺へ上昇する場面があった。しかし、日経平均株価が下げ幅拡大したことから伸び悩み、113.25円付近へ下落した。岸田首相が『外国人の新規入国を11月30日から全世界を対象に中止する』と発表、オミクロン株をめぐって世界各国で入国制限や規制強化が相次いでいることもリスク回避の円買いにつながった。ユーロ/ドルは、欧州各国でオミクロン株の感染者が確認され、欧州景気のさらなる減速懸念から1.12ドル台後半でユーロの上値が重い展開になった。

 

OPECプラスが会合を延期:オミクロン株の影響見極め

石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国でつくる『OPECプラス」は、29日と30日に予定していた会合をそれぞれ12月1日と12月2日に延期した。南アフリカなどで確認された新型コロナウイルスの新変異株(オミクロン株)が原油の需要と価格にどう影響を及ぼすか見極める時間を確保する狙いだ。複数の関係者や関連書類で明らかになった。原油価格は26日に下落率が10%超と、1日として2020年4月以降最大を記録した。オミクロン株の出現に投資家が動揺し、供給過剰が来年第1・四半期まで続くとの懸念が強まったことが背景だった。これより前、米国や他の消費国が石油備蓄放出に動いたことで、OPECは既に供給過剰が拡大するとの見通しを示していた。こうした状況を受け、OPECプラスは29日の共同技術委員会(JTC)を12月1日に変更し、OPECも同日に会合を開く方針である。また30日に開くことにしていた共同閣僚監視委員会(JMMC)は12月2日に先送りするという。

 

トルコの今週発表の経済指標に注目:インフレ加速への危惧が高まる可能性

エルドアン大統領は先週、トルコ中銀の金融緩和継続を支持し、『今後も金利は低下していくだろう』と述べてリラ売りを加速させた。加えて大統領は、自身がリラ暴落の元凶にもかかわらず、通貨操作の可能性について調査を行うよう指示を出したと報じられている。大統領が、『利下げを止めろ』という金融市場からシグナルを受け入れられないうちは、通貨リラの魅力が高まり難い。今週はトルコの10月貿易収支から始まり、7-9月期国内総生産(GDP)や11月製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表され、最後には注目の11月消費者物価指数(CPI)が控えている。今回のCPIは前年比で20%台乗せが予想されており、インフレ加速への危惧が更に高まることになる。前回はやや鈍化したコアインフレ率も、次の中銀会合への思惑(低下した場合は追加利下げ)に繋がるため非常に重要となる。

 

南ア政府にとっては非常に厳しい状況

先々週の南ア準備銀行(SARB)の利上げにもかかわらず、ランドは軟調な動きが継続した。更に25日には南アから新たな新型コロナウイルス変異株が発見されたとの報告があり、ランドは下げ幅を広げている。変異株発見の確認発表後に、各国の対応が早かったことは南ア経済には大きな痛手となる。日本政府は南アなどの6カ国からの入国制限の強化をする方針を固めた。欧州の対応はより素早く、英国はすぐに旅客便を一時停止、過去10日間南アとその近隣諸国に滞在したことがある人の英国入国禁止などを決定した。他の欧州各国も同様に追随している。また、対外的な問題だけでなく、もしこの新たな変異株が南アで感染拡大をした場合、南ア政府がどのような対応を取るのかが難しい状況である。コモディティ価格が上昇したことで、今年度の税収は予想を上回っているが、財政は依然として厳しい状況である。ロックダウンによる補償問題、国民の不満が高まっていることで新たなロックダウンを行った場合のデモの誘発など、南ア政府にとっては非常に厳しい状況に直面している。

 

メキシコ中銀の利上げ期待高まる

先週メキシコ銀行(中央銀行)が11日開催分の政策決定会合議事要旨を公表した。政策委員の多数は依然として足もとのインフレを『一時的』と考えていることが明らかになったが、同時に今後の物価上振れリスクに強い警戒感も示した。11月前半のメキシコ消費者物価指数が約20年ぶりの水準まで上昇するなか、年内最後の政策決定会合(12月17日開催)に向けて追加利上げ期待がさらに高まりそうである。

 

ネット購入が小幅原で実店舗客足は増加:米ブラックフライデー

米年末商戦の幕開けとなる感謝祭翌日『ブラックフライデー』の今年のオンライン支出は、新型コロナウイルスへの懸念や供給制約などで、前年から小幅減少した。一方、実店舗の客足は前年よりも増えた。アドビ・アナリティクスによると、26日のオンライン支出は約89億ドルで、前年の90億ドルを小幅下回った。感謝祭当日25日のオンライン支出は51億ドルで前年比ほぼ横ばいだった。米小売り各社は、サプライチェーン(供給網)の制約で年末にかけて品不足となるのを避けるため、9月からオンライン販売に力を入れてきた。人手不足やコロナ禍で今年も感謝祭日に実店舗を休業した小売店が多かった。Sensormatic Solutionsのデータによると、26日の客足は前年比47.5%増加した。ただ、19年比では28.3%減となった。カナダの電子商取引企業ショッピファイによると、同社プラットフォームでスマートフォンを使い購入した人の割合は72%で、前年の67%から増加した。

 

欧米市場イベント

○16:00   10月トルコ貿易収支(予想:15.0億ドルの赤字)
○17:15   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○17:30   黒田東彦日銀総裁、講演(Tokyo International Financial Forum 2021)
○17:30   7-9月期スウェーデン国内総生産(GDP、予想:前期比1.8%)
○18:30   10月英消費者信用残高(予想:4億ポンド)
○18:30   10月英マネーサプライM4
○18:30   センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○19:00   11月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:117.5)
○19:00   11月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲6.8)
○21:00   10月メキシコ失業率(季節調整前、予想:4.11%)
○22:00   11月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比▲0.4%/前年比5.0%)
○22:30   7-9月期カナダ経常収支(予想:46億カナダドルの黒字)
○22:30   10月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比1.3%)
○22:30   10月カナダ原料価格指数(予想:前月比3.5%)
○24:00   10月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比1.0%/前年比なし)
○30日05:00  ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、あいさつ
○30日05:05  パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、あいさつ

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/11/26/15:16:55

日経平均株価:南アで検出された新たな変異株を警戒した売り優勢

南アフリカで検出された新型コロナウイルスの新たな変異株が警戒され、主力銘柄を中心に売りが加速した。短期筋のロスカットが活発化し、米NYダウ先物が下落したことで、投資家のマインドが悪化した。前日の米国株式市場で、26日も時短取引となることから、比較的流動性の高い東京市場にリスク回避の売りが集中したとの指摘もあった。結局、前営業日比747円安の2万8751円と、およそ1ヵ月ぶりの安値で終了した。JPXが26日発表した11月第3週(15日~19日)の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家は1475億円の売り越しとなり、売り越しは2週連続となった。個人投資家は1281億円の買い越しとなり、買い越しは3週ぶりとなった。信託銀行は1310億円の買い越しとなり、買い越しは5週連続となった。

 

東京外国為替市場:リスク回避の円買いが強まり115円割れ

ドル/円は、南アで感染力の強い新種の新型コロナウイルス変異株が確認されたことからリスク回避姿勢が強まり、115円を割り込んで114.80円付近へ下落した。日経平均株価の大幅安や米長期金利が低下したことも、ドル売り・円買いを誘った。ただ、心理的節目の114.50円が視野入りすると下げは一服した。午後は、日経平均株価やアジア主要株価の動向を睨みながら、114.60円台を中心に取引された。ユーロ/ドルは、週末を控えた利益確定や持ち高調整のユーロ買い・ドル売りが一巡すると、1.1225ドル前後で小動きとなった。

 

中国の昨年の出生率は建国以来最低

中国の昨年の出生率が、1949年の建国以来最低の8.5となったことが、先週公開された国家統計局の年鑑で明らかになった。労働人口の急速な高齢化や経済成長の鈍化、人口増加の減速による人口危機が浮き彫りとなった。政府は2016年、厳格な人口抑制策『一人っ子政策』を緩和し、子どもを2人まで認めた。今年には3人まで拡大された。
しかし、物価上昇や女性の自立が進んだことで、緩和後も期待されていたようなベビーブームは起きていない。

 

問われる産油国の対応:増産停止検討も

日米中など主要消費国が石油備蓄の放出を決めたことを受け、石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟の産油国で構成する『OPECプラス』の今後の対応が焦点となっている。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は24日、OPECプラスの中軸を担うサウジアラビアとロシアが以前から予定している小幅増産の停止を検討していると報道した。12月2日の閣僚級会合は、石油市場の動向を大きく左右することになる。

 

UAEがトルコリラショックから脱するきっかけになる可能性も

24日のトルコUAEトップ会談での合意事項は、『投資や開発、貿易/関税管理、エネルギー分野、環境保護や健康、そして反テロリズムなど』と広範囲に及んでいる。潤沢なオイルマネーをバックにUAE主導で物事が進みそうだが、トルコがリラショックから脱するきっかけになるかもしれない。今後は『トルコ中銀がUAE金融当局と通貨スワップ協定を正式に結ぶことができるか』が注目ポイントの1つとなる。なお、カブジュオール・トルコ中銀総裁は昨日、銀行調整監視機構(BDDK)や銀行幹部との会合を開き、中銀・金融政策委員会(MPC)が決定した利下げについて説明した。会合後に総裁は、トルコの銀行部門は極めて強固であると指摘し、『銀行部門と中銀、そしてBDDKは協調している』と述べ、トルコ金融に対する不安の払しょくに努めた。ただし緩和サイクル停止についてのヒントもなく、リラの上値追いに繋がるような材料は見当らない。

 

南ア発の新たな変異株について

25日(日本時間26日早朝)に南アで新たに新型コロナウイルス・変異株が確認されたとの報道で、ランドが大幅に下落、ランドだけでなくリスク回避で円買いになるなど他通貨にも影響を及ぼした。 南アで報じられていることを抜粋すると、この変異株は南アのゲノム監視ネットワークの保健省と科学者により、昨日(25日)確認されたとされている。B.1.1.529として知られるこの変異体は、スパイクタンパク質に30を超える変異があり、人から人へと簡単に感染する可能性があるとしている。変異の数が多いことは、研究にあたった科学者は『驚きであり、いくつかはよく知られていない変異』と述べている。また、国立伝染病研究所によると、南アではこれまでに22例が検出されたと報告されている。南アで発見されたものではあるが、この変異体の起源が南アにあるかは専門家は判断ができず、発見されたことにより南アに対する差別や規制をかけられることには懸念を表している。報道によると、この変異株はボツワナと香港へ旅行をしていた人たちからも感染が確認されていることで、南アが発祥とは限らないとされている。気になるこれまでのワクチン接種による効果などでは、研究チームはまだその影響を知ることは難しく、研究中であるとしている。また、今回の新変異株発見の唯一のポジティブ要素としては、発見が早期だったことで大きな流行(波)の前に抑制ができること、PCR検査でも検出できること、としている。 

 

米国では来年3回の利上げ:ゴールドマン予想

米金融当局は来年、従来の予想よりも速いペースで金融政策を引き締めるだろうと、ゴールドマン・サックス・グループのエコノミストらが予想した。インフレ圧力の高まりが背景にある。ヤン・ハッチウス氏をはじめとするエコノミストは25日、顧客向けのリポートで、米金融当局は資産購入の縮小額を1月から倍増させて月300億ドルとし、6月には利上げを開始するとの見方を示した。さらに利上げは9月と12月にも行われ、2023年にも2回の利上げがあるだろうと予測。ハッチウス氏らはこれまで、来年7月と11月の利上げを見込んでいた。この新たなシナリオでは、米当局の資産購入プログラムは3月半ばに終了することになる。利上げが5月に始まり、7月と11月に追加利上げが行われる可能性も『現実的』だと、ハッチウス氏らは指摘した。

 

欧米市場イベント

○16:00   10月独輸入物価指数(予想:前月比2.1%/前年比19.6%)
○16:45   11月仏消費者信頼感指数(予想:98)
○17:00   7-9月期スイス国内総生産(GDP、予想:前期比2.0%/前年比3.2%)
○17:00   ラガルドECB総裁、講演
○17:00   ビスコ伊中銀総裁、講演
○17:30   シュナーベルECB専務理事、講演
○19:00   センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○19:30   パネッタECB専務理事、講演
○21:00   10月メキシコ貿易収支(予想:24.00億ドルの赤字)
○22:00   ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○22:30   レーンECB専務理事兼主任エコノミスト、講演
○感謝祭翌日で米債券・株式・商品市場は短縮取引
○アジア欧州会議(ASEM)首脳会議(オンライン、最終日)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2021/11/25/15:15:38

日経平均株価:手控えムード強く買い一巡後は様子見

米金融政策の早期正常化への警戒感がくすぶる一方、米新規失業保険申請件数などの指標に改善がみられるほか、利上げの影響を受けやすい不動産投資信託(REIT)が日米で堅調だとして『良い金利の上昇との受け止めになってきているのではないか』との見方が聞かれた。本日米国市場が感謝祭で休場となることもあって、朝方は値ごろ感から買われたが、一巡後は手控えムードが出で商いは膨らまなかった。前日に下げが目立った成長株や主力株への買いが目立った。結局、前営業日比196円高の2万9499円で終了した。信用評価損率は19日申し込み時点でマイナス8.2%と、前の週マイナス7.89%からマイナス幅が0.31ポイント悪化した。悪化は4週連続となった。

 

東京外国為替市場:米感謝祭を控え115.30円台でもみ合い相場

ドル/円は、高値警戒感から利食い売りなどに押され、115.31円付近まで下落した。仲値にかけて国内輸出企業のドル売り・円買いも通常より多く観測された。ただ、前日に発表された米新規失業保険件数などの指標は総じて好調で、米FRBが早期に利上げを実施するとの思惑から下値を追う動きは限られた。その後は、日米金融政策スタンスの違いを意識したドル買い・円売りも見られ、115.35円を挟んでもみ合いとなった。午後は手掛かり材料難から積極的な売り買いは目立たず、115.30円台を中心とした狭いレンジでの取引が続いた。本日は感謝祭で米国市場が休場となるため、様子見ムードが強かった。ユーロ/ドルは、欧州時間に予定されている欧州中銀(ECB)当局者の講演内容を見極めたいとの雰囲気から、1.12ドル台前半で小幅な値動きに終始した。

 

戦略備蓄放出に対抗して産油国は増産停止するのか

サウジアラビアとロシアが原油増産の一時停止を視野に協議していることが、事情に詳しい関係者の話で明らかになった。石油価格を抑制するため、米国の主導で複数の国が協調して戦略備蓄を放出すると発表したことを受けた動きだという。関係者によると、アラブ首長国連邦(UAE)を含む他の石油輸出国機構(OPEC)加盟国は、増産停止が必要との見方を支持していない。石油やガソリンの価格高騰を受け、米国は23日、一部の国と共同で戦略石油備蓄を放出すると発表。放出量は最大7000万バレルに上る見通しで、需給バランスを崩す恐れがある。OPEC関係者によると、備蓄放出による供給拡大を相殺するため、サウジとロシアはOPECと非加盟産油国で構成する『OPECプラス』の協調増産について、一時停止を検討している。これまで方針を巡ってサウジと対立していたUAEのほか、クウェートも停止に否定的な考えを示しているという。

 

トルコとUAEがパートナーシップを深めることはリラの支援材料

トルコとアラブ首長国連邦(UAE)の中銀が通貨スワップ協定について予備的協議を始めたという報道や、UAEの事実上の指導者とされるムハンマド皇太子とエルドアン・トルコ大統領の会談への期待感もリラ買いを後押しした。UAEがトルコへの投資を支援するために『10億ドル規模のファンドを設立する計画』が伝わると、再び下値を切り上げた。 今年の夏から関係修復に動いていたトルコとUAEが、トップ会談を経て貿易/ビジネスのパートナーシップを深めようとしていることは、リラにとって今後の支援材料となる。ただし、インフレ高騰にもかかわらずエルドアン大統領が利下げを求め、トルコ中銀による緩和サイクルが続くなかでは、まだ積極的にリラの上値を追いかけるのも難しそうである。また、トルコの主要輸出先である欧州で新型コロナウイルス感染が再拡大していることも懸念材料ではある。 

 

南アの金融サイクルは5年ぶりに上向きに変わる

本日は南アからは10月の卸売物価指数(PPI)が発表される。すでに先週南ア準備銀行(SARB)が利上げを行っていることで、PPIが仮に市場予想よりも強い結果が出た場合でも更なる利上げを行うのは時期尚早で、今回の利上げの影響などを見てからの判断となる。よって、PPIでは市場が動意づくのは難しい。なお、南アは政局不安、電力不安、治安不安など様々な不安定要素が山積みだが、昨日報告された金融安定化レビューでは、金融サイクルは5年ぶりに上向きに変わったというポジティブニュースがあった。民間部門への貸付の伸び、不動産価格、株価などの変数測定値も第2四半期にプラスに転じている。

・18:30 10月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.6%/前年比8.0%)

 

米物価上昇が加速:PCE物価指数は31年ぶりの高水準

24日に発表された10月の米個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比5.0%と、1990年11月以来、約31年ぶりに5%台に上昇した。変動の激しい食品とエネルギーを除くコア指数も4.1%上昇し、19年1月以来、約30年ぶりの高水準となった。物価上昇の背景には、原油をはじめとした商品価格の上昇や、経済活動の再開に伴う需要増に人手や部材が追いつかないことがある。石油やガソリンの価格高騰を受けバイデン米政権は23日、日本や中国など主要消費国と協調して戦略石油備蓄を放出すると発表したが、その効果については疑問視する声が多い。米経済をけん引する個人消費の回復基調は鮮明で、10月の個人消費支出は前月日で1.3%増え、3月以来の伸びとなった。個人所得も増えており、需要は今後も拡大する可能性が高い。米国の物価上昇圧力は根強く、インフレ懸念は当面続きそうである。

 

11月分の米FOMC議事要旨では想定内の結果:市場の影響は限定的

米連邦準備制度理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(11月2-3日会合分)を公表した。メンバーは2022年の力強い成長を予想していることが明らかになると同時に、成長リスクは下方に傾斜していると見ている。また、物価が緩和するまで長期間要する可能性があると判断。資産購入縮小ペースの加速を支持するメンバーもいた。柔軟性が必要で、もし、高インフレが持続したら、テーパーの加速や利上げを想定よりはやめることも可能だと指摘している。結果は想定内となり、相場への影響は限定的だった。

 

欧米市場イベント

○未定   11月月例経済報告
○16:00   7-9月期独国内総生産(GDP)改定値(季節調整済、予想:前期比1.8%/前年同期比2.5%)
○16:00   7-9月期独GDP改定値(季節調整前、予想:前年同期比2.5%)
○16:00   12月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲0.5)
○17:00   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○17:10   エルダーソン欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○17:30   スウェーデン中銀、政策金利発表(予想:0.00%で据え置き)
○18:00   シュナーベルECB専務理事、講演
○18:30   10月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.6%/前年比8.0%)
○21:00   7-9月期メキシコGDP確定値(予想:前期比▲0.3%/前年比4.5%)
○21:30   ECB理事会議事要旨(10月28日分)
○22:30   ラガルドECB総裁、講演
○23:05   ハスケル英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○26日02:30   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○米国(感謝祭)、休場
○アジア欧州会議(ASEM)首脳会議(オンライン、26日まで)

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