★欧州市場朝方の取引では、米長期金利が小幅低下となったことを背景に、前日小幅水準でもみ合う展開となった。なお、欧州株は概ね堅調に推移した。米9月雇用統計の発表を控え、欧州勢本格参入後もドル/円の動意乏しくこう着商状を継続した。対ユーロなどでドル安が進んだ影響を受けたほか、日米株価指数先物が弱含んだことも相場の重石となりドルはじり安となった。米雇用統計の下振れ警戒からドル売りが優勢気味となった。米9月雇用統計では、非農業部門雇用者数がわずかに予想を下回った一方、前月分は上方修正された。また、平均時給は予想を下回ったが、失業率は予想より強い結果となり、一時ドルは下げる場面もあったもののその後は買い戻しが入った。
クドローNEC委員長が、米中閣僚貿易協議でポジティブサプライズの可能性も除外しないとしたため、期待感が広がりNYダウも一時200ドル超高となった。また、ナバロ米大統領補佐官が『雇用統計が好調でも追加利下げは必要』『ドルは過大評価されている』などと述べたことでドルは軟調となった。さらに、トランプ大統領が『中国と良い取引が出来るだろう』と発言したこともあり、米株式市場は上昇したものの、週末を前にドルロングは傾けにくい展開だった。パウエルFRB議長は『米経済はリスクを抱えているものの、全体的に良好な状態にある』『インフレは目標の2%に近づいているものの、やや下回っている』と発言したが、値動きは限定的だった。株価は堅調だったが、香港のデモや米大統領の弾劾調査など複数のリスク要因があるため、上値の重い展開だった。
★欧米主要経済指標
・米・9月非農業部門雇用者数:前月比+13.6万人(予想:+14.5万人、8月:+16.8万人←+13.0万人)
・米・9月平均時給:前年比+2.9%(予想:+3.2%、8月:+3.2%)
・米・9月失業率:3.5%(予想:3.7%、8月:3.7%)
・米・8月貿易収支:-549億ドル(予想:-545億ドル、7月:-540億ドル)
★欧米市場のポイント
・106.52-107.13円のレンジ相場
・ソッソリ欧州議会議長は英国のブレグジット案を拒否
・比較的堅調な雇用統計を受けて投資家心理改善
・米中貿易摩擦緩和期待から米国株高
・VIX指数は19.12から17.04へ低下
★東京金の日足では6月6日に12EMA(赤線)と26EMA(青線)がゴールデンクロスしてから、一度もデッドクロスせずに上昇基調を継続してきた。
10月1日に大陰線で26EMAを下抜けしたものの、12EMAと26EMAは現在もデッドクロスせずに推移している。
東京金は戻り基調が継続しているものの、12EMAの5,169円と26EMAの5,165円がレジスタンスとして意識され上値を抑える展開となっている。
MACD(パラメータ:12、26、9)はMACDがゼロライン近辺で横バイとなっており、サポートラインとして意識される展開となっている。
まとめると、12EMAと26EMAを下抜けしたものの戻り基調にある。ただ、両線がレジスタンスとなり上抜け出来ずに下落するようなら、調整下落が継続する可能性がある。また、その際12EMAと26EMAがデットクロスするようなら、上昇トレンドは一旦終了して下落調整場面となりやすい。現在相場の節目にあることから、注意深くトレンドの行方を見極める必要がある。
★南アランド/円の日足で、12日EMA(指数平滑移動平均線:赤線)が26日EMA(青線)を下抜けるデッドクロスしており、ロウソク足も12EMAの下方に位置していることから、下落基調が継続している。
2本のEMAを使用するMACD(パラメータ:12、26、9)でも、ゼロラインの上方でMACDがシグナルを下抜けるデッドクロスしており、さらにゼロラインを下抜けしていることで、下落基調が継続していることを示している。ただ、MACDとシグナルの下落は緩やかになっていることから、下落の勢いが鈍化していることを示している。
まとめると、南アランド/円は下落基調が継続している。ただ、一旦ロウソクで下値・上値を切り上げる展開となっており、下げ止まる展開となっている。しかし、現段階では明確な反転の兆しにはならないことから、現状では戻り売り目線が継続する。12EMAで押し戻される可能性もある。一方で、再び12日EMAを上抜けするような動きになると、反転の兆しとなる。ロウソク足が12EMAや26日EMAを上抜けしてから買っても遅くはない。
南アランド/円の日足では、12EMAと26EMAの移動平均線とMACDの組合せ分析が結構分かりやすい。
★NY株式市場では、三指数ともに上昇したものの、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは三指数ともに拡大した。そのため、割安感が強まってきた。
NYダウは、200日SMAと260日SMAまで下落後、下ヒゲを伴って戻り基調となった。米9月ISM非製造業景況指数が市場予想を下回ったことから、NYダウは下落基調となったものの、FOMCによる追加利下げ観測が強まったことが好感され持ち直す展開となった。今晩も下値目処では、200日SMAの25,853ドルや260日SMAの25,749ドルがサポートラインとして意識される。イールドスプレッドで割安感が出ていることから、下押しも限定的となりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.601%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/6/3-▲4.038%、
19/8/5-▲4.102%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・10月2日:▲4.046%⇒10月3日予想▲4.084%
10月3日はNYダウは上昇したものの、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲4.601%から▲0.517%スプレッドがかい離した。19年1月3日の大底▲4.226%を▲0.142%とかい離した。19年6月3日の大底4.038%を+0.046%と上回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲0.018%とかい離した。
NYダウが上昇したことで株式益利回りは低下した。しかし、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大した。米国債に対してNYダウが前日比で割安となった。前日比では米国債を買うよりもNYダウを買う方が良いことになる。昨日も米経済指標悪化を受け米国株が大幅続落となったうえ米長期金利も低下した。しかし、今月のFOMCで利下げの思惑からNYダウは反転してプラス圏に持ち直した。一方で、米長期金利は低下したことからイールドスプレッドは▲4.0%台を維持し割安感が強まった。株価が上昇しても、それ以上に米長期金利が低下すると、イールドスプレッドは拡大する。そのため、米長期金利の動向が重要ポイントとなる。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.933%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/6/3-▲3.881%、
19/8/5-▲4.002%、19/8月15日-4.179%
・10月2日:▲3.999%⇒10月3日予想▲4.018%
S&P500は上昇したものの、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲3.933%から+0.085%と平均値をわずかに上回った。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%に対して+0.149%と上回った。19年6月3日の大底となった3.881%から+0.137%とイールドスプレッドが上回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%から+0.016%上回った。19年8月15日の▲4.179%とは▲0.161%とかい離した。イールドスプレッドは、以前の割安に近づいてきている。S&P500は上昇したものの、米長期金利が急低下してきたことで割安感が出てきている。米長期金利の動向が重要なポイントとなっている。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.453%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/6/3-▲2.328%、
19/8/5-▲2.383%、 19/8/15-▲2.498%
・10月2日:▲2.468%⇒10月3日予想▲2.487%
NASDAQは上昇したものの、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドが前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲2.453%から+0.034%上回った。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては+0.308%上回った。19年6月3日の大底となった▲2.328%に対して+0.159%上回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%から+0.104%と上回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%から▲0.011%かい離した。
NASDAQのイールドスプレッドは、かい離幅が拡大してきていることから急速に割安感が出てきている。NASDAQはハイテク関連銘柄が多く米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。
三指数のイールドスプレッドは、株価指数は上昇したものの、米長期金利が低下したことでイールドスプレッドは拡大する結果となり米国株に割安感が強まった。米国の景気減速懸念や世界的な景気減速懸念もあって、米長期金利は低下基調にある。そのため、米国株がもう一段下落する一方で、米長期金利が低下するようなら過度な割安感が出てくる。そのため、今後も米長期金利の動向にも注意が必要となる。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。
★9月27日以降の東京金60分足では、もみ合いながらもじり高を継続した。ただ、雲のネジレ近辺で上値が重くなりやや反落基調となった。24時間SMA(緑線)や雲の上限の上方に位置していることから戻り基調は継続している。
NY金先物市場は1501.70-1525.80ドルのレンジ相場となった。9月米ISM非製造業指数が52.6と予想の55.0を下回ったことで、市場はリスクオフに動き、米金利低下、株価下落、ドル売り、金買いに反応した。しかし、その後に米株がプラス圏を回復したことで、金先物価格も上げ幅は縮小した。
価格帯別出来高では、上値に出来高が多いことから買い方からの『やれやれ売り』が上値も重石となっている。5,200円台まで上昇すると上値が軽くなってくる。下値での出来高も多いことから、一旦上値が重くなると利益確定売りも入りやすい。
MACD(パラメータ:12、26、9)は、ゼロラインの上方で横向きとなっており、トレンドレスの状態となっている。ただ、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、3、3、20、80)は、価格は上昇しているにも関わらず、徐々に上値を切り下げるダイバージェンスとなっているので注意が必要。
東京金の日足では、5日SMAの5,133円を回復したものの10日SMAの5,179円や25日SMAの5,192円がレジスタンスとして意識され上値の重い展開となっている。NY金市場は、今週発表された米経済指標が軒並み悪化していることで、米長期金利が低下傾向となって支援材料となり1,500ドルを回復している。為替市場では、米国長期金利が低下傾向にあることから、ドルの重石となっているものの過度な円高にはつながっていない。
本日の注目点は、10日SMAと25日SMAを上抜け再び上昇基調が継続されるのか、それとも上値の重さから5日SMAを下抜けるのかが焦点となる。本日は9月雇用統計発表を控え様子見ムードが強まりアジア市場では動き難い展開が予想される。
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