FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2022/02/25/15:16:57

日経平均株価:米国株高の流れを引き継いで堅調推移

前日の米国市場でのハイテク株高の流れを引き継いで堅調な推移となった。一方、ウクライナ情勢への警戒感も継続した。半導体関連や電子部品、グロース(成長)株を中心に買い戻す動きが目立った。また、ドル/円が堅調に推移する中、自動車など輸出関連もしっかりだった。前日までの5営業日で1400円超下げていた後とあって、買いが入りやすかった。結局、前営業日比505円高の2万6476円と反発して終了した。2月第3週(14日~18日)の投資部門別株式売買動向で、海外投資家(外国人)は32億円の買い越しとなった。買い越しは6週ぶりだった。個人投資家は16億円の買い越しとなり、買い越しは3週ぶりだった。また、信託銀行は1890億円の買い越しとなり、買い越しは4週連続となった。

 

東京外国為替市場:利益確定や持ち高調整によりドルの上値が重い展開

ドル/円は、ウォラー米FRB理事が講演で『雇用や物価のデータが強い場合は、3月会合で0.50%の利上げが有力な選択肢となる』と発言すると、ドル買いが強まって115.62円付近まで上昇する場面があった。しかし、前日のNY市場でつけた高値115.69円が意識され、追随する動きは見られなかった。その後、週末を控えた利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いに押され、115.25円付近へ下落した。一部メディアが『ウクライナの首都キエフで複数の爆発音があった』と報じたことも、円買いを誘った。午後に入っても軟調地合いは続き、115.15円付近まで値を下げた。ただ、今晩の米国株動向やウクライナ情勢の続報を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、日経平均株価の上げ幅拡大を眺めてドル買い・円売りも見られ、115.20円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、前日の海外時間に急落した反動から、利益確定やポジション調整のユーロ買い・ドル売りが持ち込まれ、一時1.1230ドル付近まで上昇した。

 

ロシアのウクライナ侵攻でも落としどころが重要

ロシア・プーチン政権によるウクライナ『侵攻』を受け、ウクライナ問題は深刻化している。欧米は経済制裁の強化に動くも現時点では『決定的』なものは避けられているが、事態が一段と深刻化すれば苛烈な制裁に動く可能性は残る。米ドル決済停止は『抜かずの宝刀』とみられるが、今後はロシア経済の『体力』に注目が集まろう。過去の欧米による経済制裁では外貨準備は減少したが、当時は固定相場制のほか、ソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)の取り崩しが影響した。他方、足下では対外準備資産の2割を金が占めるほか、外貨準備も米ドル以外にも分散を進めている。短期的には持ち応える体力は充分な一方、長期化すれば体力が蝕まれるとともに、経済の疲弊が不満噴出に繋がる可能性もある。その意味では、ウクライナ問題の『落としどころ』が重要になると言える。

 

トルコの観光業においてはウクライナ問題は大きな打撃

ウクライナ情勢を見極めながらの取引は変わらない。国際社会からの強い非難にもかかわらず、ロシアは強硬姿勢を貫いている。事態が直ぐに落ち着くとは思えず、そうなると国家間の関係性からリラは買いにくい展開が続く。もしプーチン露大統領がウクライナ全体の属国化を目指しているのであれば、紛争の長期化は避けられない。トルコ観光業界にとっては、ロシアだけではなくウクライナも優良顧客である。外貨獲得の貴重なチャンスである観光シーズンを控えているが、状況を見る限り、ウクライナからの観光客数は伸び悩む。トルコ政府が予想する経常黒字の達成もかなり難しくりそうである。

 

エルドアン政権は若者を引き付けられず

ドイツの財団が昨年トルコで実施した調査では、トルコの若者の7割以上が外国で生活してみたいと思っていることが分かった。インフレ高騰や通貨暴落などトルコ経済が過去20年で最悪の危機に直面しているため、若い人たちの多くが国内での将来について悲観的な見通しを持っている。そのため、トルコ外でのチャンスを求める人が増えている。このトルコの若者に関する調査は全国で行われ、18歳から25歳の3243人が対象となった。『生活状況、政治的・社会的な態度や意見、好みや期待、志向』などの質問のなか、回答者の約73%が『機会があれば外国に住みたい』と答えた。また、約48%が20年間も国を率いてきたエルドアン政権を『信頼できない』と述べた。エルドアン大統領と政府は、若者たちに明るい将来の展望を十分に与えることができていない。

 

今後の南アの格付けへの変化が注目点:格付け会社フィッチが苦言

南ア国外要因でランドが動く相場になっているが、南ア国内事情を少しだけ振り返ると、昨日発表されたPPIは市場予想を下回った。オミクロン株の影響もあり、かなり予想より振れる展開が続いているが、PPIがある程度抑えられたことは南アにとっては良いことである。ただし、引き続きエネルギー価格が上昇していることもあり、3月に発表される経済指標次第で、南ア準備銀行(SARB)の再利上げの可能性はまだあるのではないかと思われる。また、23日に発表された南ア予算に対して格付け会社のフィッチが苦言を呈している。フィッチは今回の予算の支出が大きすぎること、昨年の税収増はコモディティ価格の高騰が要因で、あくまでも一時的なものだったこと、などを指摘している。今後の南アの格付けに対して、変化があるかも注目される。

【昨日の指標結果】     (結果)  (予想)
・1月南アPPI(前月比)    +0.2%   +0.4%
・1月南アPPI(前年比     +10.1%   +10.5%

 

パウエル議長の議会証言でタカ派発言なければ25pbの利上げ:野村証

3月2日に米FRBのパウエル議長が米下院金融サービス委員会で議会証言に臨む。市場では3月15~16日の米FOMCでの50bp利上げの織り込み度が低下しているが、地政学リスクやインフレに対する見解のほか、議会に提出する半期金融政策報告書で今後の利上げに関して何らかのシグナルが発せられるのか監視が高い。野村証券は25日付の国債金融為替フラッシュのリポートで『FRB執行部が50pb利上げの可能性を真剣に考慮しているとすれば、パウエル議長からタカ派的な発言が必要となろう』と指摘している。リポートでは、50pb利上げへの期待を高めるような発言がなければ『3月は25pbの利上げとの見方が市場コンセンサスとなりそうだ』とみている。

 

米国市場では1月PCEコア価格指数が公表:予想は前年比+5.1%

12月実績は円年日+4.9%と1983年以来の高い伸びを記録した。物価上昇圧力が高い状態が続いている。供給制約の状態が続いており、1月の上昇率は12月実績を上回る可能性がある。

 

欧米市場イベント

○16:00   10-12月期独国内総生産(GDP)改定値(季節調整済、予想:前期比▲0.7%/前年同期比1.4%)
○16:00   10-12月期独GDP改定値(季節調整前、予想:前年同期比1.4%)
○16:00   1月独輸入物価指数(予想:前月比1.6%/前年比23.7%)
○16:45   10-12月期仏GDP改定値(予想:前期比0.7%)
○16:45   2月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.3%/前年比3.2%)
○16:45   1月仏卸売物価指数(PPI)
○16:45   1月仏消費支出(予想:前月比▲0.5%)
○19:00   2月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:113.1)
○19:00   2月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲8.8)
○21:00   10-12月期メキシコGDP確定値(予想:前期比▲0.1%/前年比1.0%)
○21:00   1月メキシコ貿易収支(予想:38.42億ドルの赤字)
○22:30   1月米個人消費支出(PCE、予想:前月比1.5%)
       1月米個人所得(予想:前月比▲0.3%)
       1月米PCEデフレーター(予想:前年比6.0%)
       1月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.5%/前年比5.1%)
○22:30   1月米耐久財受注額(予想:前月比0.8%/輸送用機器を除く前月比0.4%)
○23:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、会見
○24:00   1月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比▲0.5%/前年比▲0.8%)
○24:00   2月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:61.7)
○ユーロ圏財務相会合

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欧米タイム直前市場コメント!

2022/02/24/15:18:53

日経平均株価:ウクライナ情勢の一段の緊迫化を嫌気売りが優勢

日本の休日中にウクライナ情勢が一段と緊迫化し、連日の米国株安となった流れを引き継いだ。取引時間中にブリンケン米国務長官がNBCニュースのインタビューで『ロシアが夜明けまでにウクライナに侵攻すると確信』などと語ったと報じられた後は、米株主要3指数の先物がマイナス圏で下げ幅を拡大し、地合いがさらに悪化する格好となった。ロシアのプーチン大統領が、ウクライナ東部のドンバス地域での特別軍事活動を容認したと発表したことが警戒されると、心理的節目の2万6000円を割り込んだ。結局、前営業日比478円安の2万5970円と5日続落して終了した。1月に付けた2万6170円を下回って年初来安値を更新した。信用評価損益率は18日申し込み時点でマイナス12.93%と、前の週のマイナス10.9%からマイナス幅が2.03ポイント悪化し、悪化は3週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:地政学リスクの高まりと米長期金利低下で円買い

ドル/円は、ブリンケン米国務長官が『夜が明けるまでにロシアがウクライナへ本格的に侵攻する可能性がある』と発言すると、リスク回避の円買いが先行、114.80円付近へ下落した。しかし、本邦輸入勢などから月末に絡むドル買い・円売りフローが持ち込まれ、115.10円付近へ値を上げた。ただ、昼前にロシアのプーチン大統領がウクライナで特別な軍事行動を開始することを表明すると、小幅に値を下げて115.00円を挟んでもみ合いとなった。午後に入ると、複数のメディアが『ロシア軍がウクライナで攻撃を開始し、首都キエフなどのウクライナ軍の軍事拠点がミサイル攻撃を受けた』と報じた。ロシア軍による本格的なウクライナ侵攻を嫌気して日経平均株価や米国株指数先物が大幅安になると、リスク回避のドル買い・円買いが強まり114.50円付近へ下落した。米長期金利が急低下したことも、ドルの押し下げ要因となった。ユーロ/ドルは、ウクライナ情勢を巡る地政学リスクが一段と高まっているため、ユーロ売り・ドル買いが優勢になり、1.12ドル台後半から1.12ドル台前半へ水準を切り下げた。

 

中国不動産会社の世茂集団の来月満期ABSの償還は不可能か

中国不動産開発会社の債務危機が続くなか、世茂集団が保証している資産担保証券(ABS)約11億元(1億7400万ドル)について、来月の満期に償還されない可能性があると報じている。ABSの受託会社が開示資料のなかで明らかにした。

 

ウクライナの複数都市で激しい爆発音で空爆始まった可能性も

ウクライナメディアによると同国内の複数の都市で24日未明、激しい爆発音が聞かれた。ロシア軍の空爆が始まった可能性がある。爆発音が響いたのは東部クラマトルスクや黒海に面した南部オデッサなど。首都キエフでも午前5時過ぎから朝日新聞記者が断続的に爆発音が響くのを聞いた。爆発音は30分以上にわたって続いている。ウクライナのウニアン通信によると、ロシアの航空当局は同国南部のウクライナ国境周辺の空域の飛行禁止を命じた。ウクライナ当局もロシアのプーチン大統領が軍事作戦開始を表明する前の24日未明に北東部ハリコフからロシア国境沿いの空域で飛行禁止を命じた。

 

ウクライナ問題でエルドアン大統領は難しい対応が求められる

エルドアン・トルコ大統領は昨日、ウクライナへの圧力で国際的な非難を受けているプーチン露大統領と電話会談をした。会談では、ロシアによるウクライナ東部2地域の独立承認はウクライナ領土保全への侵害だとし、トルコは認めない旨を再度伝えた。エルドアン大統領はロシアのリーダーに対し、軍事ではなく対話を通じた解決を改めて呼びかけた。一方ウクライナからは、もしロシアが侵攻してきた場合、露軍艦に対する黒海の海峡封鎖を要請された。海峡条約では外国軍艦の通過について、『トルコが差し迫った戦争の脅威に晒されたときには同国裁量に任される』とある。いずれにせよ本格的な地域紛争が勃発した場合、両方に良い顔をするわけにもいかず、エルドアン大統領は非常に難しい対応が求められる。

 

トルコの経済自由度ランクが大きく低下

米シンクタンクのヘリテージ財団とウォールストリートジャーナル紙によって世界各国の経済自由度が測られた『経済自由度指数』は先日、2022年版が発表された。トルコは指数ランキングで、177カ国中114位と前年の76位から大きく順位を下げた。この指数は、世界銀行や国際通貨基金(IMF)などの統計情報が使用される。自由経済度に関する項目『財産権の確保、汚職の少なさ、政府支出、財政の健全性、ビジネスや労働の自由度、通貨や貿易の自由度、投資、そして金融の自由度』について点数がつけられる。高騰するインフレと不安定な通貨に悩まされたトルコの総合スコアは100点満点中56.9点で、『やや不自由』と分類された。地域平均69.5を大きく下回り、世界平均の60にも届いていない。

 

南アの1月卸売物価指数に注目

南ア国内からは、本日は1月の卸売物価指数(PPI)に注目が集まる。消費者物価指数(CPI)が12月から1月にかけて低下したこともあり、PPIも市場予想は12月分よりも低い予想となっている。オミクロン株の影響でPPIの結果は振れやすいこともあり、市場予想と結果に大きなかい離が生じた場合には、ランド/円も動意づきそうである。

・1月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.4%/前年比10.5%)

 

米国市場では10-12月期国内総生産改定値が公表:予想は前期比年率+6.9%

参考となる速報値は前期比年率+6.9%だった。個人消費や設備投資が回復していること、在庫投資がしっかりと伸びたことが要因である。改定値については、上方修正が予想される項目が少ないことから、成長率は速報値と同水準となる可能性がある。

 

欧米市場イベント

○16:45   2月仏消費者信頼感指数(予想:100)
○18:30   1月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.4%/前年比10.5%)
○22:15   ベイリー英中銀(BOE)総裁、あいさつ
○22:30   10-12月期米GDP改定値(予想:前期比年率7.0%)
           個人消費(改定値、予想:前期比年率3.4%)
           コアPCE(改定値、予想:前期比年率4.9%)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:23.5万件/158.0万人)
○23:00   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○24:00   1月米新築住宅販売件数(予想:前月比▲1.0%/80.3万件)
○25日01:00   EIA週間在庫統計
○25日01:00   ブロードベントBOE副総裁、講演
○25日01:00   シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○25日01:10   ボスティック米アトランタ連銀総裁、討議に参加
○25日02:00   メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○25日03:00   米財務省、7年債入札
○25日03:00   ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト、講演
○25日04:45   オアNZ準備銀行(RBNZ)総裁、講演
○25日06:00   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、パネルディスカッションに参加
○主要7カ国(G7)首脳会議(オンライン)
○欧州中央銀行(ECB)非公式会合(パリ)
○欧州連合(EU)緊急サミット

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欧米タイム直前市場コメント!

2022/02/22/15:16:05

日経平均株価:ウクライナ情勢の一段の緊迫化からリスク回避の売り優勢

ウクライナ情勢の一段の緊迫化を受けたリスク回避の売りが優勢となり、朝方に安く始まった後も下げ幅を拡大した。ロシアのプーチン大統領は21日にテレビ演説し、ウクライナ東部の親ロシア派2地域の独立を承認すると表明し、平和維持軍を派遣するよう国防省に指示した。欧米からは非難する声明や制裁措置に動く意向が伝わっており、ウクライナを巡る情勢が一段と緊迫化した。半導体関連や電子部品といった値がさハイテク株の下落が指数の重石になったほか、主力株もさえない銘柄が目立った。日経平均の下げ幅は一時650円を超える場面もあった。結局、461円安の2万6449円と4日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:ドル/円の上値は重いものの過度な円買いにならず

ドル/円は、仲値に向けて本邦輸入勢のドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、114.80円付近まで上昇した。朝方に約3週間ぶりの安値114.50円をつけた反動から、利益確定のドル買い・円売りが入りやすい面もあった。ただ、ウクライナ情勢を巡り、米国とロシアの対立が激化するとの警戒感が高まっているため、ドル/円の上値は重かった。その後は、日経平均株価の下げ幅拡大やアジア株安を眺めたドル売り・円買いに押され、114.60円付近へ下落した。

国連安全保障理事会はウクライナ情勢を協議する緊急会合を日本時間午前11時から開催した。ロシアのプーチン大統領がウクライナ東部の親ロシア派地域の独立を一方向的に認めたことについて、ほぼすべての理事国が非難したが、市場の想定した範囲の内容と受け止められ、ドル/円相場への影響は限られた。午後は、新規手掛かり材料に乏しく、114.70円を挟んで小動きとなった。ユーロ/ドルは、ウクライナ情勢を巡る地政学リスクを警戒したユーロ売り・ドル買いが優勢となり、1.13ドルを割り込んで一時1.1288ドル付近まで下落した。前日に独連銀が独経済のリセッション入りの可能性に言及したことも、ユーロの重石になった。

 

ロシア侵攻を牽制する中国、対米関係に配慮=WSJ

米ウォールストリート・ジャーナル紙は、ロシア侵攻を牽制する中国、対米関係に配慮、ウクライナを巡りロシア支持を表明した後、米国寄りに軌道修正と報じた。中国はこのところ、ロシアがウクライナを侵攻しないよう以前より明確な警告を発している。ロシアとの連携強化を図る一方で、米国と完全な敵対関係に陥ることを避けるため綱渡りの対応をしている。中ロ関係は現在、70年前の冷戦初期以来最も緊密になっている。その背景には、米国と対決姿勢を取ることが両国にとって共通の利益になるとの判断がある。中国の習近平国家主席は今月、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領との会談で、西側諸国と対立するロシアにこれまでで最も強い支持を表明した。しかし中国政府はその後、外交交渉を通じた危機解消を目指すべきだと呼び掛けるなど、米国とその同盟諸国に近い姿勢をとるようになっている。中国の外交官や中国政府アドバイザーらによれば、こうした方向転換は、最高指導部の1週間以上に及ぶ密室での協議の末に打ち出されたもので、対米関係が現状以上に敵対的になるのは避けたいとの思惑を反映している。対米関係のさらなる悪化は、中国を西側諸国から孤立させ、長期的に中国の発展を損なう恐れがあるためである。

 

プーチン露大統領が一定の成果を上げたことで次の展開に注目

偽旗作戦が実行されてきたウクライナ東部のドンバス地域。その中でもロシアとの国境沿いとなるドネツクとルガンスクを、プーチン露大統領は独立国家として承認するという新たな展開となった。NATO側もロシアが何もなしでは終われないことはわかっていたはずだが、バイデン米大統領がかかる独立の動きをけん制する前に、一気に国家承認から、ロシア軍の、あくまでも平和維持部隊としてのウクライナ侵攻が始まったところである。プーチン露大統領に言わせれば、『衝突が激化している隣国の治安安定を図り、今後も平和維持に協力していく』ということになる。米国を始めNATO側がそれをすんなりと受け入れるはずもなく、今後は時間をかけてロシアへの経済制裁へと繋がっていくのかもしれない。ただ、市場では今後の展開について、『ロシア軍がこれ以上ウクライナ侵攻を図るようであれば、NATO側との軍事衝突になる可能性もある』との悲観的な見方が出ている一方、『プーチンは一定の成果を上げたわけなので、これ以上は考えていないのではないか」との声も聞かれている。ドネツクとルガンスクを実質上奪取できれれば面目は保てるというものである。一定の経済制裁などは当然想定内で、今後は、ロシアの平和維持部隊の駐留長期化の可能性が高まるということになれば、市場としては『一旦線引きする必要がある』との結論に達してもおかしくない。

 

欧州市場ではユーロ圏2月マークイット製造業PMIが公表:予想は58.6

1月実績は58.7だった。ユーロ圏の製造業ままずまず堅調だった。受注は4ヵ月連続で改善している。ただし、イタリア、スペイン、ギリシャは減速していることから、2月については1月実績を下回る可能性がある。

 

ロシア制裁ならトルコ政府はエネルギー政策の見直しの可能性も

ミンスク合意の破棄とも捉えられるプーチン大統領の決定で、今後は西側による対露制裁が現実味を帯びてきた。そうなると北大西洋条約機構(NATO)加盟国のトルコにとっても、今後ロシアからの天然ガス供給がこれまで通りという訳にも行かない。エネルギー政策の見直しに迫られるようだと、トルコ国内の企業や家計へのコスト増が危惧される。なお、昨日発表されたトルコの1月外国人観光客数は128万人と、前年同月比で約151%増加した。パンデミック前、20年1月の179万人とはまだ開きがあるものの、観光客が着実に戻ってきているのは確かである。5月以降の本格的な観光シーズンへの期待も高まっている。しかしながら、優良顧客であるロシアやウクライナの情勢が不安定なため、状況次第では期待倒れになってしまう懸念は残る。

 

南ア経済は最悪な事態に直面:IMF

南ア紙のインタビューで国際通貨基金(IMF)関係者が『南アはインフレ、公的債務の問題で、南ア経済は最悪な事態に直面している』と南ア経済について言及した。なお、本日発表予定だった10-12月の南ア失業率は、3月1日から15日の間への発表に変更された。新型コロナウイルスのパンデミック後は、失業率のデータ集積に戸惑うことが多く、昨年も発表時期が大幅に遅れた。

 

メキシコでは24日の2月隔週消費者物価指数に注目集まる

今週の国内イベントで重要なのは、まずは24日の2月隔週消費者物価指数(CPI)で現時点での予想としては前年比で+7.17%である。昨年11月の+7.37%をピークにその後は2カ月連続で前月から鈍化したが、ここへきて再びインフレ圧力が高まる模様である。そして、同日(日本時間では25日0時)には先日行われたメキシコ中銀の金融政策発表の議事要旨が公表される。ロドリゲス新体制による初会合で6会合連続での利上げが決定されたが、比較的メンバーの中でハト派とされるエスキベル副総裁が0.50%ではなく0.25%の利上げを主張するなど、他メンバーと再び意見が分かれたことが明らかになった。議事要旨では副総裁の詳細な見解が判明する為、その点には注目したいところである。

 

米国市場では2月マークイットサービス業PMIが公表:予想は53.0

1月実績は51.2で市場予想を下回った。労働力不足が影響した。ただ、各種サービスに対する需要はまずまず堅調であることから、2月については1月実績を上回る可能性がある。

 

欧米市場イベント

○17:30   1月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比1.7%)
○18:00   2月独Ifo企業景況感指数(予想:96.5)
○19:45   ラムスデン英中銀(BOE)副総裁、講演
○23:00   12月米住宅価格指数(予想:前月比1.0%)
       10-12月期米住宅価格指数
○23:00   12月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比18.0%)
○23:45   2月米製造業PMI速報値(予想:56.0)
○23:45   2月米サービス部門PMI速報値(予想:53.0)
○23:45   2月米総合PMI速報値
○24:00   2月米消費者信頼感指数(予想:110.0)
○24:00   2月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:10)
○23日03:00   米財務省、2年債入札
○23日05:30   ボスティック米アトランタ連銀総裁、質疑応答に参加

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欧米タイム直前市場コメント!

2022/02/21/15:12:40

日経平均株価:ウクライナ情勢を巡る市場の警戒感強く売り優勢

週末の米国株安やウクライナ情勢の緊迫化を受け、リスク回避ムードが強まった。しかし、取引時間中に米ホワイトハウスがロシアのプーチン大統領との首脳会談を行う可能性について言及した後は、日経平均株価は急速に下げ幅を縮小した。引き続きウクライナ情勢の関連報道に反応する神経質な展開となった。午後になると、米露首脳会談の実現可能性も含めてまだ不透明な面が大きいとの見方もあり、ウクライナ情勢を巡る市場の警戒感は根強い。結局、前営業日比211円安の2万6910円と3日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:115.00円を挟んでもみ合い相場

ドル/円は、日経平均株価の大幅安がリスク回避の円買いを誘い、114.85円付近へ値を下げた。しかし、複数のメディアが『フランスのマクロン大統領が米露首脳会談を提案し、双方が受け入れを表明した』と報じると、ウクライナ情勢を巡る過度な懸念の後退でショートカバーが入り、115.10円台まで急反発した。仲値にかけて本邦輸入勢のドル買い・円売りが通常より多く観測されたことも、ドル/円の押し上げ要因となった。その後は、利益確定や戻り待ちのドル売り・円買いも見られ、小幅に値を下げて115.00円を挟んでもみ合い相場となった。午後には、手掛かり材料難から積極的な売り買いは目立たず、115.00円前後で方向感に乏しい値動きが続いた。本日はプレジデントデーで米国市場が休場となるため、ポジションを積極的に傾けにくくなっている。ユーロ/ドルは、夕方に発表されるフランスやドイツの2月購買担当者景気指数(PMI)速報値を見極めたいとの雰囲気もあり1.1360ドルを挟んで小動きとなった。

 

マクロン仏大統領の提案で米露首脳会談を開催予定

週明けの東京市場では、マクロン仏大統領が提案したプーチン露大統領との米露首脳会談を米国が『原則として受け入れる』ことが明らかになっている。先週末からのウクライナ情勢は、東部ドンバス地域での激しい衝突が続くなか、ウクライナと親ロシア分離派がお互いを非難し合うといった状況である。米国はバイデン米大統領が『プーチン露大統領はウクライナ侵攻を決断した』と断言するなど、いずれにしても解決の糸口が見つからない状況となっている。NATO側とロシアとの間で、お互いが落としどころを探ることになるが、衝突が激しくなっている、いわゆる、偽旗作戦が行われている地域を独立させて、その他のウクライナをNATOに加盟させるなどの妥協案しか選択肢はなくなっているような状況である。米国もロシアも一歩も譲れない状況に変わらないが、偽旗作戦が結局、通用してしまうようであれば、市場としては「今後も思いやられる」といったところである。今週は24日にも米露外相会談が予定されているが、マクロン仏大統領の提案を米国が受け入れるのだとすれば、今週末にかけて続けて行われる可能性が高いわけで、1週間の時間稼ぎがどちらに吉と出るのかを見極めていくことになりそうである。

 

中国恒大集団会長は『サッカークラブ経営を手放さず』

経営危機の直面している不動産デベロッパー中国大手、中国恒大集団の許家印会長は19日、傘下のプロサッカークラブ『広州足球倶楽部(広州FC)』について、引き続き経営に注力する意向を示した。「毎日経済新聞」が20日に伝えた。市場では、中国恒大集団が資金繰りの悪化から、広州FCを売却するとの観測が出ていた。ただ、広州FCは2020年上期、10億5200万元以上の赤字を計上。2015-19年も毎年、9億5200万元、8億1200万元、18億2900万元、19億4000万元の赤字だった。16日には選手の大幅減俸も発表した。

 

前週のドル買い比率は60.4%に上昇

QUICKが21日に算出した18日時点の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドル買い比率は60.4%と前の週末から7.3ポイント上昇した。前週はウクライナ情勢の緊迫を材料に円高・ドル安が進んだ。この場面で相場の流れに逆らう『逆張り』傾向の強い個人投資家は円売り・ドル買いの持ち高を増やしたとみられる。『ユーロ/円』取引のユーロ買い比率は5.1ポイント上昇の28.2%だった。『豪ドル/円』取引での豪ドル買い比率は0.9ポイント低下の65.6%だった。

 

エルドアン大統領のインフレ対策の効果も限定的

トルコ中銀は、先週市場予想通りに主要政策金利を2会合連続となる14%で据え置いた。高騰するインフレについては、前回は要因の1つとしたリラ安については言及せず、新たに『ファンダメンタルに基づかない価格形成』という文言を加えた。また今後については、『持続可能な物価と金融の安定に向けた措置を背景に』インフレ率は減速するとの見通しを示した。エルドアン政権は、基本的な食品の付加価値税引き下げにくわえて、小売業者に更に値下げするよう圧力をかけ、また電気代を補助するなど、物価高に苦しむ家計負担の軽減に努めようとしている。ただし、金利は敵だとするエルドアン大統領の考えが変わらない限りは、これら対策の効果も限られたものになってしまう。

 

24日の南ア1月のPPIに注目:高止まりなら利上げ期待高まる

今週の南アからの経済指標では24日に予定されている1月の卸売物価指数(PPI)の発表が注目される。CPIに続いてPPIも高止まりをした場合は、3月の利上げ予想が高まる。また、10‐12月失業率が22日に発表される予定となっている。過去最悪の失業率を更新していることもあり、今後の南アの経済や治安を占う上で注目をしておきたいところである。また、23日にはゴドンワナ南ア財務相が予算演説を行う予定で、この演説にも要注目である。

 

メキシコ中銀副総裁は米FRBの利上げに追随する必要性を示唆

メキシコ銀行(中央銀行)のヒース副総裁は、『米連邦準備理事会(FRB)の利上げサイクルが迫るなか、メキシコ中銀もFRBの政策から独立した決定はしにくく、結果的に金融政策運営が制限を受けている』との見解を示した。そのうえで『メキシコ中銀は高インフレと国内景気の減速、米FRBの利上げサイクルなどとのバランスを取る必要がある』と述べている。

 

米FRBは政策金利を9会合連続で0.25ポイントずつ引き上げ:JPモルガン

米金融当局はインフレ抑制のため政策金利を9会合連続で0.25ポイントずつ引き上げる公算が大きいと、JPモルガン・チェースのエコノミストが予測した。1月の米消費者物価指数(CPI)が1982年以来の大幅な上昇率となったことを受けて、金融引き締めの加速を見込むウォール街の金融機関が増えている。ゴールドマン・サックス・グループは年内の利上げ回数見通しをそれまでの5回から7回へと修正した。1月の米CPI上昇率は『予想外に大きく上振れ』したとし、『過去最高に近いペースだった前四半期からの減速はもはや見込んでいない』との見解を明らかにした。インフレに関しては、エネルギー面の現在の強烈な価格圧力がいずれ緩和するとしても、力強い経済成長とコスト圧力、民間セクターの行動が相乗的に物価上昇を増幅させる流れが定着しつつある可能性を指摘した。『中央銀行が姿勢を転換して成長減速の必要性を認識するリスク、およびそれが世界の金融環境に及ぼす影響が今や世界にとって最も重大な脅威だ』と続けた。

 

欧米市場イベント

○16:00   1月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比1.5%)
○17:15   2月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:55.5)
○17:15   2月仏サービス部門PMI速報値(予想:54.0)
○17:30   2月独製造業PMI速報値(予想:59.8)
○17:30   2月独サービス部門PMI速報値(予想:53.1)
○17:30   デコス・スペイン中銀総裁、あいさつ
○18:00   2月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:58.7)
○18:00   2月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:52.1)
○18:30   2月英製造業PMI速報値(予想:57.0)
○18:30   2月英サービス部門PMI速報値(予想:55.5)
○22日01:15   ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○米国(プレジデンツデー)、カナダ(ファミリーデー)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2022/02/17/15:14:53

日経平均株価:ウクライナ情勢の悪化報道で一時売り強まる

朝方は小安く始まった後、マイナス圏でのもみ合いが続いた。タカ派材料が警戒された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨はひとまず無難に通過した一方、ウクライナを巡る地政学リスクがくすぶり、上値は重かった。ロシア通信(RIA)によると、ウクライナ東部の親ロシア勢力は17日、ウクライナ政府軍から砲撃を受けたと非難した。この報道を受けてウクライナ情勢が再び緊張感を増したとの見方から株安のほか、金利の低下、原油価格の上昇、円高などが進みリスク回避ムードが強まる場面も見られた。市場では『この砲撃がロスあの侵攻につながるかは不明。ウクライナ政府の発表を待っている状態』との声が聞かれた。結局、前営業日比227円安の2万⑦②32円と反落して終了した。2月第2週(7~10日)の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家(外国人)は148億円売り越しとなり、売り越しは5週連続となった。個人投資家は1712億円の売り越しとなり、売り越しは2週連続となった。信託銀行は1324億円の買い越しとなり、買い越しは3週連続となった。

 

東京外国為替市場:ウクライナ情勢の悪化報道で一時リスク回避の円買い

ドル/円は、日経平均株価のさえない動きを眺めたリスク回避の円買いが先行し、115.30円付近へ値を下げた。しかし、仲値にむけて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、115円台前半から115円台半ばへ水準を切り上げた。午後に入ると、ロシアの国営通信社が『ウクライナ東部の親ロシア派勢力が、ウクライナ軍から砲撃を受けた』と報じた。この報道でリスク回避姿勢が鮮明になると、ドル売り・円買いが強まり、115.10円付近まで下落した。米長期金利が節目の2.00%を割り込んで急低下したことも、ドル売りに拍車をかけた。ただ、心理的節目の115.00円が視野入りすると下げは一服した。その後は日米金融スタンスの違いを意識した押し目買いが入り、115.20円台を中心に取引された。ユーロ/ドルは、ウクライナ情勢を巡る地政学リスクを警戒したユーロ売り・ドル買いが進み、1.13ドル台後半から1.132ドル台まで急落する場面があった。

 

本邦貿易収支は6ヵ月連続の赤字:輸入39%増で過去最大

財務省が発表した1月貿易統計速報によると、貿易収支は2兆1911億円の赤字だった。貿易赤字は6ヵ月連続で、2014年1月に次いで過去2番目に大きな赤字額となった。原油坂が影響し輸入額は3ヵ月連続で過去最大を更新した。輸出は6兆3320億円で前年比9.6%増えた。鉄鋼や鉱物性燃料、半導体等電子部品などの輸出が伸びた。対前年同月比で11ヵ月連続のプラスになった。一方、輸入は前年比39.6%増の8兆5231億円となり1979年1月以降で過去最大となった。サウジアラビアから原租油やオーストラリアからの石炭、液化天然ガスなどの輸入が増加に寄与した。輸入額が対前年同月比でプラスとなるのは12ヵ月連続となった。

 

1月中国のCPI予想下振れで金融政策の余地が大きくなる

申万宏源集団傘下の先物会社、申銀万国期貨は最新リポートで、1月の中国消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことを受け、金融政策の余地が大きくなっているとの見方を示した。春節(旧正月)の時期のずれ(2021年は2月、22年は1月)があったにも関わらず、CPIは前年同月比0.9%の上昇にとどまり、新型コロナウイルスの影響で川下需要が低迷していることが背景にあったと指摘した。『経済通』が16日伝えた。 一方、1月の融資増加額と社会融資総量がともに高水準になったことについて、これまでの金融緩和策の効果が表れてきたと分析。米連邦準備理事会(FRB)が3月に0.5ポイントの利上げを実施する可能性が高まっており、国内のインフレ率の低下を受けて人民銀行(中央銀行)は緩和的な金融政策を維持すると予想した。

 

トルコ中銀金融政策委員会(MPC)による政策発表が注目

政策金利については2会合連続の14%で据え置きが大方の予想である。ポイントは、足もとのインフレ率が50%に近づく勢いをみせているなかで『今後の物価動向への見解』である。前回会合の声明では『ベース効果によるインフレ率の低下とともに、持続可能な物価と金融の安定のために取られた措置を背景に、ディスインフレプロセスが始まると予想』と述べられていた。今回、先行きインフレへの警戒感が緩んだとも受け取られる文言であれば、金融緩和サイクルの長期化観測が高まり、リラにとっては重しとなる。なお、ネバティ・トルコ財務相が先日『インフレは今年末には24%台まで低下する』『(総選挙が予定されている)23年半ばまでには一桁台まで下がる』と述べていたように、政府内では物価に対して楽観論が広がっている。しかしながら、供給不足やエネルギー価格の高止まり、通貨リラ安などが改善される兆候もなく、くわえて金融引き締めに舵を切ることができない中では期待感が先行し過ぎているように思える。

 

南アランドは商品相場堅調で米長期金利上昇の影響を受けにくい

米10年債利回りは2%台を中心に推移している。かつては米金利上昇はランド売り・ドル買い要因だった。しかしながら、プラチナ価格を中心に商品相場が比較的堅調な動きを見せていることで、ここ最近は米金利上昇によるランド売り圧力は減っている。ここで、もしランドが対ドルで15ランド割れで安定するようだと、対円の水準は7円半ばから7円後半に徐々にシフトしていくと思われる。なお、昨日発表された1月の南ア消費者物価指数(CPI)は市場予想通りだった。一方で、12月南ア小売売上高は市場予想を上回る好結果となった、両指標ともランド相場への影響は限定的だったが、CPIは高止まりしていることもあり、2月インフレ指標次第で南ア準備銀行(SARB)の再利上げの可能性もある。

 

米1月小売は改善

米商務省が発表した1月小売売上高は前月比+3.8%となった。12月-2.5%からプラスに改善した。伸びは昨年3月来で最大となった。前年比では13%増。オンラインでの売り上げや家具の売り上げが強く、全体指数を押し上げた。一方で、スポーツ用品やガソリンの売り上げは価格の上昇も影響してか需要が鈍り、減少した。結果は消費活動が一段と活発化したことや、インフレの上昇を示唆した。オミクロン感染拡大にもかかわらずレストランなど、外食での消費は0.9%減にとどまった。変動の激しい自動車を除いた小売売上高は前月比+3.3%と、やはり、12月-2.8%からプラスに改善し昨年3月来で最大の伸びとなった。国内総生産(GDP)の算出に用いられる自動車、建材などを除いたコントロールグループは+4.8%。伸びは昨年3月来で最大を記録し、1-3月期のGDP成長に寄与した。

 

米FOMC議事要旨はタカ派色は強めず

連邦準備制度理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(1月25-26日会合分)を公表した。インフレが長期目標を上回る水準で、メンバーは間もなく利上げが適切になると主張した。2,3人のメンバーは資産購入を3月前に終了することを望んだことも明らかになった。もし、インフレが想定通りに低下しなかった場合、速やかに利上げも可能だとした。ただ、引き締めにおいて、緊急性を示唆する言及や3月連邦公開市場委員会(FOMC)での50ベーシスポイントの利上げを示唆する言及はなかった。

 

欧米市場イベント

○未定  2月月例経済報告
○17:45   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○20:00   トルコ中銀、政策金利発表(予想:14.00%で据え置き)
○22:30   12月対カナダ証券投資
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.9万件/160.5万人)
○22:30   1月米住宅着工件数(予想:170.0万件、前月比▲0.4%)
         建設許可件数(予想:175.0万件、前月比▲7.2%)
○22:30   2月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:20.0)
○23:00   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○18日01:00   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(インドネシア・ジャカルタ、18日まで)

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