FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2022/03/18/15:14:13

日経平均株価:大引けにかけて買い強まる展開

連邦公開市場委員会(FOMC)通貨で不透明要因が解消され欧米株が値を戻す中、日本株も連れ高の展開になった。ただ、国内では明日から3連休に入るため、積極的な売買は手控えられた。日経平均株価は朝方に小安く寄り付いた後は、前日終値近辺を挟んだ値動きが続いた。ただ、大引け前に上げ幅は一時200円を超えた。結局、前営業日比174円高の2万6827円と5日続伸して終了した。5日続伸するのは2021年8月30日~9月8日に8日続伸して以来となった。

 

東京外国為替市場:118.70円台でのもみ合い相場

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや米長期金利上昇に支えられ、118.80円付近までじり高となった。原油先物価格の上昇を眺めた資源国通貨高・円安が波及した面もあった。ただ、前日の海外市場でつけた高値118.84円に接近すると上げは一服となった。日銀の金融政策決定会合では、大規模な金融緩和政策の現状維持を決定したが、ドル/円相場への影響は限定的だった。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、118.70円台を中心とする狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、1.10ドル台後半で方向感に欠ける値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日銀会合ではインフレ率の明確な加速を想定:ゴールドマン

日銀が17~18日に開いた金融政策決定会合で金融政策の現状維持を決めた。ゴールドマン・サックス証券は18日付のリポートで『インフレ率の明確な加速を想定』との見解を示した。リポートでは物価について、現状判断が1月の『小幅のプラスとなっている』から、今回は『0%台半ばとなっている』へと上方修正されたことに着目。加えて「先行き展望では1月の『コア消費者物価指数(CPI)の前年比は、振れを伴いつつも、プラス幅を拡大すると予想される』から、『プラス幅をはっきりと拡大すると予想される』へと表現が強められた」ことも関心を寄せていた。なお、黒田総裁の記者会見については『118円台後半まで進んでいる円安の経済インパクト、特に円安がもららすコストプッシュ・インフレによる家計購買力に対する影響などに対する総裁の見解に注目が集まりそうだ』とし、インフレの観点で為替への言及に注目していた。

 

ウクライナ侵攻で世界成長1%下方修正:OECD

経済協力開発機構(OECD)は17日、2月24日の侵攻開始から1年間の影響を分析ロシアのウクライナ侵攻が世界の経済成長率を1%超押し下げる可能性があると指摘した。ロシアとウクライナの世界GDPに占める比率は2%と小さいが小麦が世界輸出の3割、トウモロコシ2割、石油は1割強を占め商品価格高騰で世界物価が上昇し購買力を奪い成長鈍化に繋がるとの見方を示した。OECDは2021年12月時点で22年の世界GDP成長率を4.5%と予測していた。

 

英国では利上げ休止の可能性も:パンデミック前の水準を回復

英国中銀は17日、金融政策決定会合で、市場の予想通り政策金利を0.25ポイント引き上げ0.75%とすることを発表した。カンリフ副総裁は世帯の賃金の伸びの鈍化を鑑み据え置きを主張し、8対1での決定となった。声明では追加利上げを巡り『可能性がある』と、2月の『可能性が強い』から文言を変更しており、追加利上げの可能性が低下した。燃料価格の上昇が成長を鈍化させる可能性を指摘し、『追加利上げで、両サイドのリスクがある』と慎重姿勢に転じ、利上げ休止の可能性も示唆した。3会合連続での利上げで、パンデミック前の水準を回復したことを考えると、利上げをいったん休止することも理に適う。

 

トルコは3会合連続で政策金利を据え置き

トルコの中銀金融政策委員会(MPC)は、大方の予想通りに政策金利を14%で据え置くことを決定した。据え置きは3会合連続となる。トルコ中銀の声明には、一部で期待されていた金融引き締めを示唆するような文言は全く見られなかった。MPC内で利上げについて議論したかどうかは、1週間後に公表される議事要旨で確認することになる。また声明では、物価安定のために重要とした経常収支を警戒した部分はあったが、今後のインフレ見通しは依然として楽観的とも捉えられる内容だった。

 

南アでは来週のイベントを前に調整入りするリスクに警戒

この数週間は南アの経済指標等では動意づきにくい相場が続いたが、来週は消費者物価指数(CPI)が発表され、南ア準備銀行(SARB)・金融政策委員会(MPC)も開かれる。イベントを前に調整が入るリスクには警戒を怠らないようにしておきたいところである。なお、ラマポーザ南ア大統領は、ゼレンスキー・ウクライナ大統領と会談をし、ロシアとの仲裁に入りたいと発言した。しかし、ロシアの侵攻に対して中立的な立場を保っている南アに対しては、おそらく多くの国からは『ロシア寄り』と思われていることや、政治的なパフォーマンス色が強いことで実現することはまずないとの意見が多い。

 

メキシコのガソリン価格と財政悪化懸念

先日、メキシコ大統領府の公式ツイッターによる『我々が実施したエネルギー政策のおかげで国内のガソリン価格が1リットル当たり22.42ペソと世界でもっとも安いということを実現できた。』というツイートが地元メディアで話題に挙がっている。このツイートの後、ロペスオブラドール大統領が会見で『ガソリン価格がここまで低いことは国営石油会社ペメックス労働者、そして国民一人ひとりにとって誇りである。米国では1リットル当たり32ペソ、これを見れば分かるでしょう』と自慢げに発言したが、これにはからくりがある。実は政府から莫大な補助金がガソリン価格抑制のために注がれているため、ここまで価格を低くすることができるとのこと。実際この補助金がなければ、国内のガソリン価格は1リットルあたり28-29ペソであるほか、大統領が言っていた米国のガソリン価格も誤りで、実は1リットル当たり25.7ペソとなり、補助金なしなら米国よりも高くなる。そして、専門家の中にはこのまま補助金を費やした場合、メキシコ政府の財政状況は一段と悪化すると懸念しており、仮に補助金を維持するならばその他の予算を調整する必要があるとも指摘している。

 

物価の上振れ続くなら米景気のオーバーキルへの警戒も

米FRBは3月のFOMCで利上げを開始し、今回分を含めて来年末までに2.55%ポイント、0.25%刻み換算で10回の利上げを見込む。過去の利上げ局面の株価パフォーマンスは、利上げ開始から1-3ヶ月は調整色が強まるが、その後は上昇に転じることが多い。今回の利上げペースは、インフレ圧力が抑制された1990年代以降の平均をやや下回るが、2015-18年の前回利上げ局面を大きく上回る。FRBの大勢意見は、インフレ抑制には中立金利を上回る水準への利上げが必要と判断しており、その後の景気後退をある程度容認する内容と言える。物価の上振れが続けば、景気のオーバーキルへの警戒が高まる恐れがある。

 

欧米市場イベント

○15:30   黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
○19:00   1月ユーロ圏貿易収支(予想:季節調整前なし/季節調整済90億ユーロの赤字)
○19:30   ロシア中銀、政策金利発表(予想:20.00%で据え置き)
○21:30   1月対カナダ証券投資
○21:30   1月カナダ小売売上高(予想:前月比2.4%/自動車を除く前月比2.4%)
○22:00     米中首脳電話会談
○23:00   2月米中古住宅販売件数(予想:前月比▲6.2%/年率換算610万件)
○23:00   2月米景気先行指標総合指数(予想:前月比0.3%)
○18日01:00   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○18日02:20   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○18日03:00   ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○インド(水掛け祭)、休場

 

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欧米タイム直前市場コメント!

2022/03/17/15:18:11

日経平均株価:イベント通過で主力銘柄を中心に幅広く物色

米FOMC事態はタカ派よりとの見方が多いが、ウクライナを巡る停戦交渉の進展への思惑や原油安、中国での政策期待など、外部環境の好転を好感した買いが強まった。イベント通過によって安心感が生じ、主力銘柄を中心に幅広く物色され、日経平均は立会時間中としては3月4日以来となる2万6000円台の回復となった。外国為替市場で円安が進んだことが、輸出関連株に追い風となった。結局、前営業日比890円高の2万6652円と4日続伸して終了した。3月第2週(7~11日)の投資部門別売買動向で、海外投資家(外国人)は9935億円売り越しとなり、3週連続となった。個人投資家は1853億円の買い越しとなり4週連続となった。信託銀行は288億円の売り越しとなり、2週連続となった。

 

東京外国為替市場:ドル売り強まるも底堅い展開で118円台後半でもみ合い

ドル/円は、米FRBがインフレに対処するため、積極的に利上げを実施するとの観測からドル買い・円売りが先行し、119.02円付近まで上昇した。日経平均株価の大幅高でリスク選好が高まったことも、円売りを誘った。ただ、前日のNY市場でつけたおよそ6年1ヵ月ぶりの高値119.12円が視野入りすると上げは一服した。その後は、急ピッチの上昇に対する警戒感から利益確定やポジション調整のドル売り・円買いが持ち込まれ、118.70円付近へ軟化した。東京市場では久しぶりに119円台へ乗せたことで、本邦輸出企業のドル売り・円買いも継続的に観測された。午後に入っても軟調地合いは続き、米長期金利が一時2.13%付近へ低下すると、118.60円付近まで下落した。しかし、日米金融政策スタンスの違いが鮮明になっていることで、本邦輸出企業のドル売り・円買いも継続的に観測された。午後に入っても軟調地合いは続き、米長期金利が一時2.13%へ低下すると、118.60円付近まで下落した。ただ、日経平均株価の上げ幅拡大やアジア株高を好感した円売りも見られ、118.80円付近まで持ち直した。ユーロ/ドルは1.10ドル台前半で小幅なもみ合い相場となった。

 

21年12月末の家計金融資産:初の2000兆円台

日銀が発表した2021年10~12月期の資金循環統計(速報)によると、家計が保有する金融資産の残高は21年12月末時点で前年比4.5%増の2023兆円だった。増加は7四半期連続で、残高はこれまで最高だった21年9月末時点の水準(1999.8兆円)を上回って過去最高を更新し、初めて2000兆円の大台に乗せた。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で家計が消費を抑制したほか、年末のボーナス支給もあって現金・預金が積み上がった。株高や円安傾向を背景に株式や投資信託、保険・年金・定型保証の残高も増えた。家計の金融資産の内訳をみると、現金・預金の残高は3.3%増の1092兆円と、過去最高を更新した。保険・年金・定型保証は1.0%増の540兆円、投資信託は20.4%増の94兆円で、ともに残高は過去最高だった。株式などは15.5%増の212兆円だった。

 

トルコの金融政策決定会合に注目:予想は金利据え置き

トルコ中銀の金融政策決定会合が注目されます。政策金利は3会合連続の14.00%で据え置きが大方の市場予想である。一昨日に広まった利上げの噂は、噂の域を出ない。しかしながら一部のトルコメディアは、金融政策委員会(MPC)が利上げの可能性について議論するのではないかと報じており、いつも以上に声明内容が重要視される。 足もとのインフレ率が54%台を超え、年央には65%に達するという見通しも出ているため、金融引き締めについて話し合うというのは正当な方向性である。しかしながら、自身を金利の敵と呼ぶエルドアン大統領の考えが変わるとも思えず、カブジュオール中銀総裁がそれにあらがうということも想像できない。トルコ中銀が独立性を取り戻すことができれば、確かにリラにとってはかなりのプラス要因となる。ただ2023年の選挙のことで頭がいっぱいのエルドアン大統領が、金融政策に圧力かけ続けることが予想されるため、あまり期待を膨らまさない方が良い。

 

南ア準備銀行と日銀との金融政策の違いは顕著:来週の利上げ幅が注目点

市場では日米の金融政策の違いが着目されているが、南ア準備銀行(SARB)と日銀との間でも金融政策の違いは顕著である。昨日、南ア自動車協会(AA)が『4月には記録的なガソリンとディーゼルの値上げが検討されている』との見解を発表したが、インフレ懸念が高まる中で、来週のSARB金融政策委員会(MPC)での利上げ幅が注目される。なお、昨日発表された南アの小売売上高は市場予想を上回る好結果だった。市場の反応は限定的だったが、インフレ高進の中で小売りが弱まらなかったことは、南アにとってはポジティブな要因と言える。

 

メキシコのエコノミストはインフレ率が今年末に10%付近まで上昇と警告

メキシコの民間エコノミストは先週、メキシコのインフレ率が今年の年末までに10%付近まで上昇する可能性があるとの見解を示した。ロシアによるウクライナ侵攻によって世界的に資源・原材料価格が高騰しており、メキシコでも前週に発表された2月消費者物価指数は前年比で7.28%まで上昇した。メキシコ銀行(中央銀行)のインフレ目標(3.0%±1.0%)を大きく上回る状況が続いている。メキシコ系金融機関のエコノミストによると、ロシアのウクライナ侵攻が世界的なサプライチェーンに与える影響には大きな不確実性があり、ウクライナ危機が長引くことになればメキシコのインフレ率も10%が視野に入ってくる。この見方はメキシコ中銀が四半期報告で示した見通し(現在の7%台から年末にかけて4%程度まで鈍化し、2023年半ばにはインフレ目標内に落ち着く)と大きくかけ離れているが、今後のインフレ推移がエコノミストのシナリオへと傾いていけば、中銀も一段の金融引き締めを迫られることになる。

 

米オキシデンタル株を買い増し:ウォーレン・バフェット氏

著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイが米石油大手オキシデンタル・ペトリアム株を買い増していたことが分かった。16日に米証券取引委員会(SEC)に提出した資料によると、バークシャーは14~16日に約1810万株を取得した。16日時点で保有株数は約1億3640株となり、この日の終値で計算すると時価総額は約72億ドル(8500億円程度)になる。米経済誌バロンズによると、保有比率は14.6%に達するという。バークシャーは3月に入ってからオキシデンタル株の購入を加速しており、2~16日の取得株数は約1億600万株となった。

 

FOMCは22年に7回の利上げを予想:FRBはタカ派姿勢

連邦準備制度理事会(FRB)は市場の予想通り政策金利(フェデラルファンドFF金利の誘導目標)を0.25ポイント引き上げ、0.25-0.50%に決定した。経済活動や労働市場の改善が継続しており、インフレは引き続き上昇するとの見解が背景となる。声明では、ブラード・セントルイス連銀総裁が50ベーシスポイントの利上げを主張し、決定に反対に投じたことが明らかになった。パウエル議長はバランスシート政策を早くて5月にも発表するとした。 FRB予測では2022年の見通しで、国内総生産(GDP)の成長見通しが前回12月の4.05%から2.75%へ引き下げられた。一方で、PCE価格指数は+4.4%と、12月+2.6%から大幅に引き上げられており、さらに、メンバーの金利見通しも引き上げられた。本年平均で7回の利上げを予想しており、12月の3回から大幅引上げた。

 

欧米市場イベント

○17:00   1-3月期南アフリカ経済研究所(BER)消費者信頼感指数
○18:30   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○19:00   2月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比5.8%)
○19:00   2月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比2.7%)
○19:15   レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○20:00   トルコ中銀、政策金利発表(予想:14.00%で据え置き)
○21:00   英中銀金融政策委員会(MPC)2日目、終了後政策金利発表(予想:0.75%に引き上げ)
○21:00   英中銀MPC議事要旨
○21:00   クノット・オランダ中銀総裁、講演
○21:30   2月米住宅着工件数(予想:170.0万件、前月比3.8%)
          建設許可件数(予想:185.0万件、前月比▲2.4%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.0万件/148.0万人)
○21:30   3月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:15.0)
○21:45   シュナーベルECB専務理事、講演
○22:15   2月米鉱工業生産指数(予想:前月比0.5%)
          設備稼働率(予想:77.8%)
○23:30   ビスコ伊中銀総裁、講演

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欧米タイム直前市場コメント!

2022/03/16/15:16:17

日経平均株価:中国株の上昇に連れて上げ幅拡大

朝方は北朝鮮から弾道ミサイルの可能性のあるものが発射されたと報じられたが、その後は発射失敗との韓国軍の発表もあり、相場への影響は限定的だった。ウクライナ情勢に不透明感は残るものの、前日の米国株式市場が上昇したことや、原油価格の急落などが好感され、日本株は終始上値をうかがう動きになった。しかし、午後からは米FOMC結果発表を控えて様子見ムードが強まり伸び悩む展開になった。しかし、中国の劉鶴副首相が『中国政府は企業が海外上昇することを支援』と発言すると、上海総合指数や香港ハンセン指数が急騰としたことや、NYダウ先物もプラス圏へ上昇したことを受け、引けにかけて買いが強まった。結局、前営業日比415円高の2万5762円と3日続伸して終了した。信用評価損益率は11日申し込み時点でマイナス15.66%と、前の週のマイナス13.0%からマイナス幅が2.66ポイント悪化した。悪化は3週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:高値警戒感から利益確定や持ち高調整のドル売り

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、118.43円付近まで上昇した。日経平均株価の大幅高でリスク選好が高まったことも円売りを誘った。ただ、前日の東京市場でつけたおよそ5年2ヵ月ぶりの高値118.45円に接近すると上げは一服となった。その後は、高値警戒感から利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いに押され、118.20円付近へ下落した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、118.20円台を中心とする狭いレンジで取引された。米FOMC結果発表を控えて、様子見ムードも広がった。ユーロ/ドルは、FOMCを控えた持ち高調整などのユーロ買い・ドル売りが一巡すると、1.0970ドル台で方向感を欠く展開となった。

 

本邦貿易収支2月は7ヵ月連続の赤字:原油高などで輸入増加

財務省が発表した2月貿易統計速報によると、貿易収支は6683億円の赤字だった。輸出額、輸入額ともに2月としては過去最大だったが、原油価格上昇などの影響で輸入の伸びが輸出を上回り、貿易赤字は7ヵ月連続となった。輸出は7兆1901億円で前年比19.1%増加した。2月としては比較可能な1979年1月以降で最大だった。前年同月比で12ヵ月連続のプラスだった。一方、輸入は前年比34.0%増の7兆8583億円となった。アラブ首長国連邦(UAE)からの原租油やオーストラリアからの液化天然ガス、ベルギーからの医薬品などの輸入が増えた。輸入も13ヵ月連続で前年で上回った。

 

トルコリラは原油先物の大幅続落を好感した買い:利上げの噂も下支え

原油先物が大幅に続落し、エネルギーを輸入に頼るトルコにとってはポジティブ材料と受け止められ、リラは対ドルを中心に買いが優勢となった。また、あくまでインターネット上の噂だが、トルコ中銀が明日の金融政策決定会合で利上げに踏み切るという話も一時出回っていたようである。ウクライナ国内での戦闘が依然として続くなか、地域情勢を緩和させるためエルドアン・トルコ大統領は、チャブシオール外相をロシアとウクライナに送ることを決定した。戦争当事国との関係性が活かされるのか、チャブシオール外相の手腕が問われる。もしトルコが停戦に一役買うことができれば、戦後秩序の形勢に影響を持つことができると思われ、地域経済の回復に繋がるかもしれない。

 

南ア政府は国家的災害自体を1ヵ月延長:インフレ見通しが上方修正

昨日南ア政府は国家的災害事態を更に1カ月(4月15日まで)延長した。政府と州の機関が新型コロナウイルス後の対策が確実にできるための決定である。2020年3月末から始まった国家的災害事態だが、延長が1カ月単位でしか行えないこともあり、毎月の更新となっている。先週、一部では(コロナ)第4波が4月にも起こる可能性が高いとの予想が発表されており、まだ南アでは予断が許さない状況が続いている。また、昨日は財務省からインフレ見通し修正が発表された。2022年はこれまでの+5.0%予想から+5.5%に上方修正された。4-5月にインフレがピークに達し、それ以後は石油価格が下落するとの予想に基づき、インフレも低下すると見込まれている。もっとも、ウクライナでの戦争が4月以後も続く場合は、インフレの高進や、南ア国内での燃料の配給制を検討する必要があるとも警告している。

 

機関投資家は現金に逃避:BofA調査

BofAの機関投資家への月次調査では、世界経済成長見通しへの懸念が2008年の世界金融危機以降で最も高まり、キャッシュ(現金)の保有が2年ぶり高水準となった。調査は3月4-10日に実施した。2022年の株式市場は弱気相場との見方が過半数を占め、世界の株式への投資配分は2020年5月以来の低水準となった。現金の比率は約6%に上昇した。コモディティー(商品)の比率は過去最高の33%。ヘッジファンドのネットでの株式投資は20年4月以来の低水準となった。

 

欧米の景気後退に陥る確率が上昇:CNBC調査

CNBCがエコノミストやマネーマネジャーを対象に実施した調査によると、米国が景気後退に陥る確率は従来の20-25%から33%へ上昇した。ユーロ圏が景気後退に陥る確率は50%と見ていることが明らかになった。欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、全てのシナリオにおいて、インフレは依然斬新的に低下すると予想していると述べており、ECBの金融正常化も先送りされる可能性もある。

 

米国経済指標でインフレピークの兆候と景気過熱感の後退

米労働省が発表した2月生産者物価指数(PPI)は前月比+0.8%と、伸びは過去最大となった1月+1.2%から予想以上に鈍化した。前年比では+10.0%と、予想に一致した。過去最大となった1月に並んだ。変動の激しい燃料や食料品などを除いた2月PPIコア指数は前月比+0.2%。やはり過去最大となった1月+1.0%から予想以上に伸びは鈍化し昨年9月来で最小となった。前年比では+8.4%と、1月+8.5%から伸びは予想外に縮小した。同時刻に発表された3月NY連銀製造業景気指数は‐11.8と、2月3.1からマイナスに落ち込み20年5月来で最低となった。インフレピークの兆候が見られたことや景気過熱感が後退した。

 

米国市場では米連邦公開市場委員会(FOMC)結果発表:予想は25bpの利上げ

連邦準備制度理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)で25bpの利上げで、利上げサイクルを開始する見込みとなっている。同時に、FRBはバランスシート縮小を巡る計画を発表する可能性がある。バンク・オブ・アメリカは5月から量的引き締め(QT)を開始すると予想している。 同時に発表される経済、金利、インフレ見通しにおいて、年内の利上げの軌道を探る。成長や失業率見通しは引き下げられ、インフレやコアPCEインフレ見通しは引き上げられると見られる。特に金利見通しは、大幅に引き上げられる可能性が強く、タカ派色が強まる可能性がある。前回12月の見通しで、FRBスタッフは22年に平均3回の利上げを予想していた。会見ではパウエル議長が物価安定を公約。指標次第で50ベーシスポイントの利上げも辞さない構えを示す可能性がある。同時に、ロシア、ウクライナ戦争や商品価格の急騰を見通しリスクとして指摘する可能性がある。バンク・オブ・アメリカは今年5回、来年4回、24年に1回を予想している。米FOMCの声明やパウエル議長会見に注目される。

 

欧米市場のポイント

○20:00   1月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比4.9%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:30   1月カナダ卸売売上高(予想:前月比3.9%)
○21:30   2月カナダ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.9%/前年比5.5%)
○21:30   2月米小売売上高(予想:前月比0.4%/自動車を除く前月比0.9%)
○21:30   2月米輸入物価指数(予想:前月比1.5%)
○23:00   1月米企業在庫(予想:前月比1.1%)
○23:00   3月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:81)
○23:30   EIA週間在庫統計
○17日03:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表(予想:0.25-0.50%に引き上げ)
○17日03:00   FOMC、経済・金利見通し発表
○17日03:30   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
○17日06:30   ブラジル中銀、政策金利発表(予想:11.75%に引き上げ)
〇ゼレンスキー・ウクライナ大統領、米連邦議会で演説(オンライン)
〇北大西洋条約機構(NATO)国防相理事会(ブリュッセル)
○英中銀金融政策委員会(MPC、17日まで)

 

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2022/03/15/15:12:38

日経平均株価:中国でのウイルス感染急拡大を嫌気した売り優勢

朝方に安く寄り付いた後はプラス圏に浮上した。ウクライナ情勢への警戒感は依然として強いものの、原油価格の下落や外国為替市場での円安基調や中国での底堅い経済指標が支えとなり上値を伸ばした。しかし、市場では、中国で新型コロナウイルスの感染が急拡大する中、経済への影響が懸念されているとの声が聞かれた。結局、前営業日比38円高の2万5436円と小幅に続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:118.60円が意識されると押し戻される展開

ドル/円は、米FRBが積極的に金融引き締めへ向かうとの観測からドル買い・円売りが強まり一時118.45円付近まで上昇した。米長期金利が小幅に上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。ただ、2017年1月3日の海外市場でつけた118.60円が上値目処として意識されると上げは一服した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、118.30円台を中心とする狭いレンジで取引された。本日から開催される米FOMCのイベントを前に、様子見ムードが強まった。ユーロ/ドルは、ロシアとウクライナの停戦協議で、何らかの進展があるとの見方からユーロ高・ドル安基調が続き、1.0985ドル付近へじり高となった。

 

★中国株の下げ止まらず:中国株の暴落が世界経済にもダメージ

中国株の下げが止まらない。一部の株価指数の下落率は20世紀前半の大恐慌時や2000年のITバブル崩壊時の米株に迫る。2015年夏の『チャイナ・ショック』時は中国株の暴落が世界経済に大きなダメージを与えた。日本にとっても対岸の火事では済まない可能性がある。21年の昨年来高値から14日までの下落率は香港ハンセン指数が37%、上海総合指数は13%に上る。アリババ集団や騰訊控股(テンセント)などのハイテク銘柄で構成するハンセンテック指数は65%に達した。ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに、海外投資家の間でロシアと政治的に近い中国株に対する制裁リスクを敬遠する動きが広がっている。ノルウェー政府年金基金など政府系ファンド(SWF)の売りを警戒する見方も多い。米国政府の締め付けによる中国企業の米国上場廃止懸念や中国本土や香港における新型コロナウイルス感染症の再拡大に伴う経済活動の急減速への懸念もある。

 

英国中銀は17日に金融政策委員会を開催:市場予想は0.25%の利上げ

英国経済については英国立経済社会研究所(NIESR)が8日、『エネルギー価格が現行水準にとどまれば、英国は下期にリセッション(景気後退)入りする』と予測した。一方で英中銀のテンレイロ委員は2日、ウクライナ情勢が『インフレ上振れサプライズにつながる』という警戒感を示している。17日の会合にかけては、基本的なインフレ警戒と利上げ持続姿勢がポンドを下支えする。ただし、会合後には一旦の材料出尽くしのほか、『景気後退』への警戒感が強調されるようなら今後の利上げ慎重化が想起され、ポンド安を促す可能性もある。

 

トルコに車載電池工場の建設を発表

エルドアン大統領もロシア製兵器をトルコが更に購入する可能性についてコメントするのは時期尚早と、これまでの強硬姿勢を和らげているように見える。トルコが国際社会と連携強化に動いたことで、今後(直ぐにというわけではなく)何らかの経済関係に繋がるかもしれない。なお一部メディアが報じたところによると、韓国の電池大手メーカーが昨日、米フォード・モーターとトルコ財閥大手との3社合弁でトルコに車載電池工場の建設を発表した。新工場への投資額は20億ドル前後、早ければ2025年に量産を始めるとされている。これは、トルコ経済にとっては朗報であり、今後の進捗状況が注目される。

 

不足及び価格上昇が南ア経済への影響は大きい

ロシアによるウクライナの侵攻で、南ア産のパラジウムなどに脚光が浴びているが、逆に侵攻の影響のマイナス面も南アでは拡大している。例をあげると、南アは農業肥料の7-8割を輸入に依存し、ロシア産はサウジアラビア産と中国産の次の輸入量だった。また、食用油価格の上昇も南アには大きな痛手となっている。これらの不足及び価格上昇が南ア経済に与える影響は大きくなりそうである。来週発表される消費者物価指数(CPI)は2月分では、3月にかけてもインフレが高進することが予想されるため、南ア準備銀行(SARB)による金融政策の舵取りにより注目が集まる。

 

米国市場ではFRBが15-16日にFOMCを開催:市場予想は0.25%の利上げ

前週10日のECB理事会では、ウクライナ戦争発の経済打撃よりも、資源高などによるインフレ上昇リスクが重視される形で、量的緩和の終了時期が前倒しされた。FRBも同様のインフレ重視によるタカ派(金融引き締め前向き)姿勢が示されると、ドル/円では改めてドル高が後押しされる。ただし、すでにドル/円はFOMCでのタカ派を織り込む形で、前週から114円台から117-118円超えへのドル高・円安が先行加速されてきた。その意味でFOMCではタカ派姿勢が示されても、事前想定の範囲内であれば、短期調整的なドル反落の可能性がある。同時にFRBが戦争影響や物価上昇による米国の『経済打撃』のほうに目配りを強調した場合も、調整的なドル反落が後押しされやすい。短期金融市場は、年内残り7回のFOMCで6-7回の利上げが行われる可能性を織り込んでいる。しかしエコノミストは、3月会合後に公表される金利予測分布図(ドット・プロット)で、年内の利上げ回数が約4回になると予想している。また、引き上げ幅を0.5ポイントとはせずに5回利上げするとの見方も、今回の調査で示された。

 

欧米市場イベント

○16:00   2月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○16:00   11-1月英失業率(ILO方式、予想:4.0%)
○16:30   2月スイス生産者輸入価格
○16:45   2月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.7%/前年比3.6%)
○19:00   3月独ZEW景況感指数(予想:10.0)
○19:00   3月ユーロ圏ZEW景況感指数
○19:00   1月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比0.1%/前年比▲0.5%)
○21:15   2月カナダ住宅着工件数(予想:23.80万件)
○21:30   1月カナダ製造業出荷(予想:前月比1.3%)
○21:30   3月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:7.0)
○21:30   2月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.9%/前年比10.0%)
       食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.6%/前年比8.7%)
○16日00:15   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○16日05:00   1月対米証券投資動向
○欧州連合(EU)財務相理事会
○米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2022/03/14/15:10:56

ウクライナ・ロシア和平交渉

ウクライナからの報道で、ウクライナとロシアの和平交渉が現地時間10時半(日本時間17時半)から開催されると発表された。

 

日経平均株価:値ごろ感を意識した買い

米主要株価3指数先物が朝方ら堅調に推移したほか、WTI原油先物が軟調となり、投資家心理が改善した。朝方に高く寄り付いた後も上値を伸ばし、一時400円超高となった。ウクライナ情勢の好転への思惑や円安が支えとなった。ただ、買い一巡後は伸び悩む展開になった。ウクライナ情勢に一喜一憂する展開が継続しており、まだ予断を許さないとして上値追いには慎重な見方も根強かった。一方、日本株に値ごろ感を意識する声も聞かれ、上げ幅は400円を超える場面があった。結局、前営業日比145円高の2万5307円で終了した。

 

東京外国為替市場:心理的節目の118.00円が視界に入ると上げ一服

ドル/円は、米FRBが積極的に金融引き締めへ向かうとの観測から上値を試す展開となり、一時117.88円付近まで上伸、およそ5年2ヵ月ぶりのドル高・円安をつけた。米長期金利が上昇したことも、ドルの押し上げ要因となった。ただ、心理的節目の118.00円が視野入りすると上げは一服した。午後に入ると、急ピッチの上昇に対する警戒感から利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いも見られ、小幅に値を下げて117.70円台を中心に取引された。ユーロ/ドルは、1.09ドル台前半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ドル買い比率は07年以降で最低水準

11日時点の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、FX取引で円に対するドルの買い比率は低下した。『ドル/円』取引の総建玉に占めるドル買い比率は36.1%と前の週末から26.5ポイント下がった。集計社数の変更で単純比較はできないが、データを遡れる2007年以降で最低となった。前週は米国でインフレ加速を背景に米FRBによる利上げ観測が高まったことを受け、円安・ドル高が進んだ。短期売買の個人投資家から相場の流れに逆らう『逆張り』の円買い・ドル売りが入った。ユーロ/円取引の総建玉に占めるユーロ買い比率は38.1%と16.8ポイント低下した。円安・ユーロ高が進むなかで、逆張りの円買い・ユーロ売りが入った。『ユーロ/ドル』取引のユーロ買い比率も53.0%と0.8ポイント低下した。『ポンド/円』取引のポンド買い比率は58.5%と5.5ポイント下がった。

 

迫りつつあるロシアのデフォルト:凋落が加速する可能性も

ソブリン債の利払いや元本償還が控えるなか、ロシアがデフォルトに陥る可能性は着実に迫っていると言える。ロシアは1998年にもデフォルトに陥った歴史がある。当時は旧ソ連崩壊後の経済混乱に加え、前年のアジア通貨危機を受けた国際原油価格の低迷も影響した。なお、ロシア通貨危機自体の影響以上にロシアのデフォルトを契機とするヘッジファンドの破たんが国際金融市場の混乱を増幅させた。しかし、足下では外国人投資家のロシア資産の売買が細る上、国債残高の小ささを勘案すれば直接的な影響は限定的である。他方、民間債務のデフォルト懸念の高まりはロシア向け債権を抱える欧州系をはじめ外資系金融機関に悪影響を与える可能性は残る。外資系企業の撤退を巡りロシア政府は接収も辞さない姿勢をみせるが、そうした動きは事態収束後のロシア経済の足かせとなると見込まれ、ロシア経済の凋落が加速する可能性がある。

 

ウクライナ情勢の泥沼化でトルコ経済も停滞懸念

ウクライナ国内の戦闘は泥沼化の様相をみせており、停戦への出口はまだハッキリとは見えない。戦争当事国とトルコは、黒海の対岸という地理的な近さを背景にこれまで経済関係を強めていた。戦闘による被害や西側諸国による対露制裁の強化で地域経済の停滞は避けられず、トルコ経済もダメージを避けることはできない。資源価格が高止まりしていることも、エネルギーを輸入に頼らざるを得ないトルコにとっては外貨需要の拡大に繋がる。またトルコの天然ガス輸入全体の45%、原油は17%がロシア産である。今のところロシアからの購入は継続するとしているが、今後は代替国を探す必要もでてくる。隣国イランの核協議の行方がこれまで以上に注目されるかもしれない。

 

南アがロシアの代替輸入先になるかが注目点

制裁が強化されているロシアの代替輸出国として、パラジウムやプラチナの需要が大幅に伸びてくると、それに絡むランド買い増加の可能性はある。先週、バイデン米大統領がロシアに対しての最恵国待遇を取り消した。米国はロシアからの輸入は全体の1%程度ではありますが、パラジウムの約35%をロシアから輸入している。ロシアの代替輸入先が南アになるかが注目される。

 

メキシコ中銀による利上げ期待がリスク

ペソの下押し要因としてはインフレ高進に伴うメキシコ中銀による利上げ期待が一層高まっていることが挙げられる。先日発表されたCPIはエネルギー価格を除いたコア指数が2001年6月以来の高水準を付けるなど、国内の物価全体が上がっていることが如実に表れたため、インフレ抑制としての追加利上げが急務となっていると市場は判断している模様である。そのため、中銀が景気に配慮して利上げを躊躇すると、市場の失望によるペソ売りがリスクとなる。

 

米3月ミシガン大学消費者信頼感指数:11年ぶりの低水準

米3月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値は59.7と、2月62.8から予想以上に低下し11年9月来で最低となった。ロシアのウクライナ侵攻や、原油高などが警戒された。米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ期待指数として注目している同指数の1年期待インフレ率速報値は5.4%と、2月4.9%から上昇し、1981年11月来で最高。同5-10年期待インフレ率速報値は3.0%と、2月と同水準を維持した。FRBが指摘するように長期のインフレ期待は抑制されている。指数は11年ぶり低水準になったものの短期期待インフレの上昇で米国債相場は揉み合い。

 

S&P500の年末目標を下方修正:ゴールドマン・サックス

ゴールドマン・サックスは11日付リポートで、S&P500株価指数の2022年末目標を4900から4700へ引き下げた。2月11日に5100から4900に引き下げて以来、今年に入って2回目の下方修正となる。また、S&P500の2022年の1株利益(EPS)を226ドルから221ドルに、23年を240ドルから230ドルにそれぞれ引き下げている。コモディティ価格の急騰と米及び世界景気見通し悪化を反映したもの。エネルギー・セクターを除くS&P500の22年EPS成長率はわずか2%と見込まれた。また、米経済がリセッション入りした場合は、過去のリセッション時のピークから底まで平均下落率が24%であることから、3600まで下落余地があるともしている。ゴールドマンのエコノミストチームは米経済がリセッション入りするリスクを、イールドカーブの傾斜に基づくモデルが現在示唆する確率である20~35%にほぼ沿っているとの見方を示している。

 

欧米市場イベント

○16:00   2月独卸売物価指数(WPI)
○16:00   2月スウェーデン消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.6%/前年比4.0%)
        コア指数(予想:前月比0.4%/前年比4.1%)
○16:45   1月仏貿易収支(予想:96.72億ユーロの赤字)
○16:45   1月仏経常収支
○21:00   2月インドCPI(予想:前年比6.0%)
○ユーロ圏財務相会合
○米国は13日から夏時間に移行済み

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