FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2022/03/04/15:19:31

日経平均株価:ウクライナ情勢の緊迫化を嫌気した売り優勢に

前日の米国株安を嫌気して安く始まった後は、ウクライナの原発でロシア軍の攻撃による火災が生じているなど、情勢の緊迫化を示唆する情報が相次ぎ、リスク回避の売りが急速に広がった。ロシア軍の攻撃を受けたウクライナの原発に関して、グランホルム米エネルギー長官が『強固な格納構造で保護されており、原子炉は案z年に停止されている』と述べたことが伝わっている一方、市場では『週末でもあり、休日中の動きがどうなるか不透明感が強く、手を出しにくい』との声が出ていた。結局、前営業日比591円安の2万5958円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:有事のドル買いとリスク回避の円買いが錯綜

ドル/円は、複数メディアが『ロシア軍による砲撃でウクライナにある欧州最大規模の原子力発電所で火災が発生した』と報じると、リスク回避姿勢が強まり、115.25円近くへ下落した。日経平均株価の大幅安や米長期金利が急低下したことも、ドル売り・円買いを誘った。その後、『ロシア軍に砲撃された原子力発電所では、バックグランド放射線レベルに変化はなかった』『火災は敷地以外の訓練用建で起きた』などの報道が伝わると、ドル買い・円売りが強まり、115.55円付近へ付近へ上昇する場面があった。しかし、ロシア軍がウクライナ都市部への攻撃を続けていることから伸び悩み、持ち高調整などのドル売り・円買いに押されて115.35円付近へ軟化した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、小幅に値を上げて115.40円台を中心とする狭いレンジで取引された。ウクライナ情勢の続報や今晩の2月米雇用統計を見極めたいとのムードが広がった。ユーロ/ドルは、1.10ドル台前半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ロシア国債にデフォルトリスク:クーポン支払いでも投資家に届かず

ロシア国債の保有者は、資金を回収できないのではないかという疑問を抱き始めている。政府はクーポンを支払っているが、ウクライナでの戦争と外貨準備凍結の中で投資家が資金をいつどうやって受け取れるかは不透明である。ロシア中央銀行は、送金停止は一時的措置だとしているが、金融システム崩壊の中でロシアが債務を履行するモチベーションにも疑問符が付く。ロシアは数十年をかけ国際金融システムに参加してきたが、数日で巻き戻された。ロシア国債は1998年以来のデフォルト(債務不履行)リスクに直面している。

 

制裁はプーチン氏に効果あるのか:歴史は否定的

西側諸国が発動したロシアに対する一連の包括的な経済制裁は、世界の主要国に対するものとしては過去最大級で、ロシア経済を疲弊させ、ウクライナ侵攻の代償を極めて大きなものにする見通しである。しかし、制裁措置がウラジーミル・プーチン大統領にウクライナからの軍撤退を決断させる、あるいはプーチン氏の求心力を弱めることにはならないだろうと専門家はみている。これまで世界で実施された制裁による成果はまちまちで、ロシアのような専制国家についてはとりわけ、言動を劇的に変化させるには至っていないと指摘されている。イランに対して2015年の核合意を迫り、最近でも指導者に交渉のテーブルに戻るよう促したのは、経済制裁が要因の一つと考えられている。だが、中東での攻撃的な武力行使といった米国が問題視するイランの行動を変更、あるいは食い止めることはできなかった。北朝鮮についても、米国や国連が経済制裁を発動しても核開発を断念していない。

 

トルコのインフレは高進中:米銀の見通しも上方修正

2月消費者物価指数(CPI)は前年比で54%を超え、52%台の予想を上回り、約20年ぶりの水準を記録した。トルコ中銀が重要視するとしたCPIコアも前回39%台から44%台まで上昇している。なお、CPIと同時に発表された同月生産者物価指数(PPI)は、前年比105%付近まで急騰した。今後、消費者物価にどの程度まで転嫁されるかが注目される。昨日の結果を受け、米ゴールドマン・サックスはインフレのピーク予想を5-6月の65%前後、米JPモルガンも5月の60%台とこれまでの55%前後から引きあげた。年末予想は、ゴールドマンが45%、JPは40%付近としている。足もとの物価高が想定以上にもかかわらず、ネバティ・トルコ財務相は相変わらず『インフレは低下する、させる』の一点張りである。同財務相は昨日、2023年には一桁台を実現するとまで述べている。トルコの経済・財政政策をリードしなければならない人物が現実を見ていないのであれば、今後も効果的なインフレ抑制策は期待できそうにない。

 

南アはウクライナ侵攻について中立:バイデン米大統領が懸念

南アはロシアのウクライナ侵攻について中立的な立場をとっている。しかし、バイデン米大統領がこのことに懸念を表明するなど、徐々に南アも決断を迫るときがくるかもしれない。今後の南ア政府の動きには注目点となる。

 

メキシコ中銀が今年の成長率予想を下方修正

メキシコ銀行(中央銀行)は2日公表した四半期報告で、今年の成長率予想を従来の3.2%から2.4%へと引き下げた。ウクライナ情勢を巡る地政学リスクと新型コロナウイルスのパンデミックによる影響を考慮したものとしている。インフレについてもウクライナ情勢が農作物やエネルギー価格を押し上げる可能性があり、サプライチェーンの混乱と人件費の高騰を招きかねないと警戒感を示した。もっとも、インフレ見通しは現在の7%台から年末にかけて4%程度まで鈍化し、2023年半ばには中銀のインフレ目標(3.0%±1.0%)内で落ち着くと予想しています。

 

米2月ISM非製造業景況指数が予想外に低下

米供給管理協会(ISM)が発表した2月ISM非製造業景況指数は56.5と、1月59.9から上昇予想に反して低下し2021年2月来で最低となった。同時刻に発表された米1月製造業受注は前月比+1.4%と、12月+0.7%から伸びが拡大した。12月分は+0.7%と、-0.4%からプラスに上方修正された。米1月耐久財受注改定値は前月比+1.6%と、予想通り速報値を維持した。輸送用機器除く1月耐久財受注改定値は前月比+0.7%も速報値と同水準となった。国内総生産(GDP)の算出に用いられる製造業出荷・資本財(航空機を除く非国防)改定値も前月比+1.9%と、修正はなかった。 事前にマークイットが発表した米2月サービス業PMI改定値は56.5と、予想外に速報値56.7から下方修正された。2月総合PMI改定値も55.9と、速報値56.0から下方修正された。

 

米2月雇用統計と2月CPIの結果で3月FOMCの利上げを確認

連邦準備制度理事会(FRB)は2週間後に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催する。2月雇用統計や10日発表の消費者物価指数(CPI)で3月の利上げの幅を探る。FRBのパウエル議長は議会証言で、インフレ高進とともに労働市場がひっ迫しており、非常に低い金利を引き上げる必要があると、金融正常化計画を維持していることを再表明した。議長は現状で3月FOMCで25bpの利上げを推奨。ロシアのウクライナ軍事侵攻が一段と激化し、ウクライナ近隣のNATO諸国にもリスクが波及する可能性なども警戒される中、一時3月FOMCの利上げ観測が後退した。しかし、議長の発言を受けて、3月FOMCでの利上げ観測が再燃。議長は加えて、高インフレが持続した場合、50bpの利上げの準備もあるとした。2月雇用統計では失業率が一段と低下、非農業部門雇用者数も40万超の増加が予想されている。賃金も20年5月以来で最大の伸びを記録する見通しで、利上げを正当化すると見られる。3月15-16日に開催されるFOMC直前の10日には2月CPIが発表される。FRB高官の中には、前月比で伸びの鈍化が示されなければ50bpの利上げを支持するとの見解も見られる。

 

米国市場では2月雇用時計を公表:予想は非農業部門雇用者数は前月比40万人

1月の非農業部門雇用者すすは市場予想を大幅に上回ったが、2月上中旬の新規失業保険申請件数は大きく変わっていないため、大幅な雇用拡大は期待できない。ただし、失業率は不完全雇用率が継続的に低下していることを参考にすると、1月実績の4.0%を下回る可能性がある。

 

欧米市場のポイント

○16:00   1月独貿易収支(予想:55億ユーロの黒字)
○16:00   1月独経常収支(予想:165億ユーロの黒字)
○16:45   1月仏鉱工業生産(予想:前月比0.5%)
○18:30   2月英設業購買担当者景気指数(PMI、予想:57.5)
○19:00   1月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比1.3%/前年比9.1%)
○21:00   10-12月期ブラジル国内総生産(GDP、予想:前期比0.1%/前年同期比1.1%)
○22:30   1月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比2.0%)
○22:30   10-12月期カナダ労働生産性指数(予想:前期比▲0.2%)
○22:30   2月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化40.0万人/失業率3.9%/平均時給、前月比0.5%/前年比5.8%)
○24:00   2月カナダIvey購買部協会景気指数
○5日 中国全国人民代表大会(全人代)開幕(北京)

 

 

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欧米タイム直前市場コメント!

2022/03/03/15:13:52

日経平均株価:米金融引き締めへの過度な警戒感後退で買い優勢

前日の米国株高を好感して朝方に高く始まったが、その後は伸び悩んだ。米金融引き締めへの過度な警戒感が和らいだ一方、ウクライナ情勢などの不透明要因が相場の重石となった。半導体関連やグロース(成長)株が買い戻されたほか、米長期金利の上昇を受けて銀行などの金融株、資源高を受けて石油関連や非鉄金属なども物色され、幅広く買われた。日経平均の上げ幅は300円を超える場面があった。一方、原油高が上値を抑える要因となった。結局、前営業日比184円高の2万6577円で終了した。2月第4週(21日~25日)の投資部門株式売買動向によると、海外投資家(外国人)は2678億円売り越しとなり、売り越しは2週間ぶりとなった。個人投資家は1647億円の買い越しとなり、買い越しは2週連続となった。信託銀戸は502億円の買い越しとなり、買い越しは5週連続となった。

 

東京外国為替市場:ややドル買いが優勢で115円台後半でもみ合い

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の反発に支えられ、115.67円付近まで上昇した。前日にパウエル米FRB議長がウクライナ危機下にあっても、金融引き締めを進めていく方針を示したこともドル買い要因となった。午後に入ってもドル買い・円売り基調は続き、115.72円付近まで上昇する場面があった。しかし、2月28日につけた高値115.97円に接近すると上げは一服した。その後は、利益確定などのドル売り・円買いも見られ、小幅に下げて115.65円前後でもみ合いとなった。明日発表される2月米雇用統計を前に、積極的な売り買いは手控えられている。ユーロ/ドルは、本日ベラルーシで行われるロシアとウクライナの2回目となる停戦協議の行方を見極めたいとの雰囲気から、1.1100ドルを挟んで方向感に欠ける値動きとなった。

 

ムーディーズがロシア国債を『投機的』に格下げ:3社が全て投機的水準

米格付け会社ムーディーズは3日に、ロシア国債の格下げを発表した。自国通貨建てと外貨建ての長期発行体格付けを、投資適格とされ『Baa3』から投機的水準にあたる『B3』に6段階引き下げた。経済制裁によるロシアの債務返済リスクが高まったとして、今後も格下げ方向での検討を続ける。同社は『(欧米による)制裁がロシアの世界の金融システムへのアクセスを妨げている』と指摘。その上で『3月16日に予定されている1億1700万ドル(約130億円)のクーポンの支払いが遅れないかを監視する』とした。格付け会社によるロシア国債の見直しが相次いでおり、2日にはフィッチ・レーティングスが長期外貨建て発行体格付けを『トリプルB』から『シングルB』に6段階引き下げた。S&Pグローバルは2月25日に外貨建て長期債務格付けを『トリプルBマイナス』から投機的水準の『ダブルBプラス』へと引き下げており、主要格付け3社の格付けが全て投機的水準とされたことになる。

 

ロシアはCIPS活用で貿易損失の半分程度をカバー出来る可能性

市場参加者の間では、ロシアはSWIFTから永続的に離脱する可能性があるとみられており、『SWIFTに替わって中国の人民元国際決済システム(CIPS)の活用を大幅に拡大する可能性が高い』と予想されている。中国メディアの『環球時報』は2月28日、『ロシアがSWIFTの迂回先としてCIPSを通じれば貿易損失の約50%を挽回できる』と指摘した。

 

トルコの2月インフレ指標を確認:ウクライナ情勢の影響

2月トルコ消費者物価指数(CPI)は前年比52%台まで伸び率加速が見込まれている。資源大国ロシアに対する経済制裁が強化されるなか、原油や天然ガス価格が高騰した。リラ安が改善されないこともあり、エネルギーを輸入に頼るトルコにとってはかなりの痛手である。金融当局やアナリストが予想していた『5月に55%前後でインフレ頭打ち』は、近いうちに上方修正されるとみられる。エルドアン政権は週初、住宅や農業用灌漑に使用される電力に対する付加価値税(VAT)を18%から8%に引き下げを発表した。先月には基本的な食料品のVATを引き下げるなどインフレ対策は講じられているが、その効果は限定的と見られている。

・16:00 2月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月3.80%/前年比52.95%)

 

南アランドは金利面では買い・経済面では売り:今後の展開に注目

南ア国内情勢は、原油価格の高騰が痛手となっている。一昨日、メスター米クリーブランド連銀総裁が、ウクライナ情勢でインフレ上昇のリスクと経済成長鈍化のリスクがあることを述べていたが、すでに南アではインフレ上昇・経済停滞に直面している。金利面のランド買いと、経済面のランド売りが、今後どのような展開になるかが注目される。なお、音信が不通となっていた、南アのグローエンウォルド在ウクライナ大使は、昨日無事キエフから出国できたことが確認されている。

 

メキシコ大統領の八方美人的な姿勢に対して米国側の反応に注目

メキシコのロペスオブラドール大統領は、『メキシコはロシアのウクライナ侵攻で経済制裁を発動しない』と言及した。メキシコはロシアとの経済・外交的な結びつきは強くないので双方の影響は比較的小さいと思われるが、『世界の全ての政府と良好な関係を保ちたいため』というロペスオブラドール大統領の八方美人的な姿勢は、最大の貿易相手国である米国との関係をこじらせる可能性もあり、米国側の反応にも注目しておきたいところである。

 

米議会証言で米金融政策に対する不透明感を払しょく

米下院金融サービス委員会で行われた半期に一度の議会証言において、パウエル米FRB議長が質疑応答の場で答えるかたちで『私は3月会合では0.25%利上げの方向に傾いている』と断言した。更に、『その後インフレ高進が続くようであれば、その後の会合で1回もしくは複数回で0.5%の利上げを行って、積極的に対応していく』方針であることも表明しました。また、『中立金利が2.0%から2.5%の間にあるのか議論している』ことも明かした。市場の3月FOMCでの0.5%利上げ観測を完全に打ち消した一方、その後については、かなりのタカ派的なスタンスを示したといえ、米10年債利回りは一気に1.9078%まで急騰した。1日の1.6800%からは何と22bpを超える急激な上昇となった。市場に突如拡散した米金融政策に対する不透明感をしっかりとケアしたといったところ。市場との対話という意味では、ウルトラC的な対応となった。

 

米国市場では4日に2月雇用統計を公表

先行指標の中で雇用統計と相関関係が最も強いとされる民間の雇用者数を示すADP雇用統計の民間雇用者数を示すADP雇用統計の2月分は前月比+47.5万人と、予想を上回った。1月分も+50.9万人と、パンデミック発生来で最低の伸びとなった-30.1万人からプラスに大幅上方修正され、2月の結果にも期待が集まる。連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は下院金融サービス委員会での半期に一度の証言で労働市場が非常にひっ迫しており、労働市場参加者の減少が賃金インフレの速やかな上昇に繋がっていると言及した。2月賃金の伸びも5.8%と1月から一段と拡大し20年5月来の大幅な伸びが予想されており、想定通りとなるとFRBの利上げ軌道を正当化し、ドル買いを支援することが予想される。

■市場エコノミスト予想失業率:3.9%(1月4.0%)非農業部門雇用者数:前月比+41万人(1月+46.7 万人)民間部門雇用者数:前月比+39.3万人(+44.4万人)平均時給:予想:前月比+0.5%、前年比+5.8%(+0.7%、+5.7%)

 

欧米市場イベント

○16:00   2月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月3.80%/前年比52.95%)
○16:30   2月スイスCPI(予想:前月比0.3%)
○17:05   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○17:50   2月仏サービス部門PMI改定値(予想:57.9)
○17:55   2月独サービス部門PMI改定値(予想:56.6)
○18:00   2月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:55.8)
○18:30   2月英サービス部門PMI改定値(予想:60.8)
○19:00   1月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比2.3%/前年比27.0%)
○19:00   1月ユーロ圏失業率(予想:6.9%)
○21:30   ECB理事会議事要旨(2月3日分)
○21:30   2月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○22:30   10-12月期米非農業部門労働生産性・改定値(予想:前期比6.7%)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.5万件/147.5万人)
○23:45   2月米サービス部門PMI改定値(予想:56.7)
○23:45   2月米総合PMI改定値(予想:56.0)
○24:00   2月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:61.0)
○24:00   1月米製造業新規受注(予想:前月比0.7%)
○24:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、米上院銀行委員会で金融政策や経済情勢に関する半期に一度の証言
○4日02:00   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○4日02:45   マックレム・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁、記者会見
○4日03:00   1月ブラジル貿易収支(予想:34.58億ドルの黒字)
○ウクライナ情勢に関する国連人権理事会の緊急会合(ジュネーブ)

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欧米タイム直前市場コメント!

2022/03/02/15:15:12

日経平均株価:世界景気の悪化懸念から売りが優勢に

ウクライナ情勢が一段と緊迫化する中、前日の米国株式市場の大幅な下落や原油価格の急騰が嫌気され、幅広い業種で売りが先行した。ウクライナ情勢を巡っては停戦交渉難航で対ロシアの経済制裁の長期化が警戒されており、市場は再びリスク回避ムードに傾いている。日経平均株価は前日まで3営業日で900円近く上昇した反動もあり、利益確定の売りも広がった。ロシアに対する制裁強化が世界景気を冷やすという見方から自動車株など景気敏感株を中心に幅広い銘柄売られた。半面、資源価格の上昇を受けて原油関連や非鉄金属には買いが向かい、相場の下支えとなった。結局、前営業日比451円安の2万6993円と反落して終了した。信用評価損益率は2月25日申し込み時点でマイナス14.32%と、前の週のマイナス12.93%からマイナス幅が1.39ポイント悪化し、悪化は2週連続となった。

 

東京外国為替市場:115円を挟んでもみ合う展開となり方向感出ず

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、115.10円付近まで値を上げた。低下していた米長期金利が持ち直したことも、ドルの買い戻しにつながった。ただ、ロシアとウクライナの軍事衝突が長期化するとの観測が浮上しているため、上値を追う動きは限られた。その後は、日経平均株価の大幅安を眺めたリスク回避の円買いも見られ、小幅に値を下げて115.00円付近でもみ合いになった。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、115.05円前後で動きになった。ユーロ/ドルは、1.11ドル台前半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

欧州市場では2月ユーロ圏消費者物価コア指数:予想は前年比+2.5%

1月実績は+2.3%だった。供給制約の状態は改善していないこと、各種サービス価格の上昇が報告されていることから、2月のコアインフレ率は1月実績を上回る可能性がある。

 

ECBはインフレリスクから難しい判断を迫られる可能性

ロシア大手行の国際的な資金決済からの排除により、ロシアの欧州向け資源輸出が滞るリスクが高まった。事実上の抜け道も用意した形だが、今回の措置で対ロシア貿易がどの程度縮小するかは不透明な要素も多い。ロシアの報復禁輸措置やウクライナの戦闘でのパイプライン破損時も、ガス供給の遮断リスクが高まる。供給不安による資源価格の高騰で、ユーロ圏のインフレ率は一段の上振れが避けられない。政策正常化を目指すECBは難しい判断を迫られる。金融市場の動揺封じ込めや景気の下支えを重視する場合、物価の上振れを容認することにつながり、将来的により厳しい金融引き締めが必要となる恐れがある。

 

金ETF(GLD)に資金が流入:年初来で30億ドル超

1日の米国市場で金を投資対象とするSPDRゴールド・シェアーズ(GLD)に資金が流入した。QUICK FactSet Workstationによれば8億2000万ドルの流入となり、1月21日(16億4000万どる)以来、1ヵ月半ぶりの大きさだった。これで年初来で30億ドル超の流入となった。この日のGLDは前日比1.81%高の181.62ドルで大幅続伸して終えた。ウクライナ情勢の緊迫化を受けて質への逃避で金が堅調な中、GLDもフローの流入を伴いながら買いが優勢だった。米FRBのタカ派姿勢への警戒感もあって堅調なGLDだが、過去1年では46億ドル超の流出超状態にある。

 

トルコはロシアへの国際的な生産の枠組みに参加しないことを表明

一部ロシアメディアは昨日、本日2日にもロシアとウクライナが停戦協議を行うと報じた。しかしながら、報道に対しトルコ大統領府報道官は、両国交渉団と連絡を取っているとしたうえで、両者の隔たりが大き過ぎて交渉が延期される可能性は高いとの見解を示した。またエルドアン大統領はルカシェンコ・ベラルーシ大統領と電話会談をしたようであり、東欧の紛争におけるトルコのプレゼンスが高まっている。もっとも西側諸国が対露制裁を強化しているにもかかわらず、チャヴシュオール・トルコ外相は昨日、国際的な制裁の枠組みにトルコは参加しないことを表明した。戦争終了後のロシアとの経済関係を睨んだ考えなのようだが、米欧のトルコへの反発は避けられない。

 

トルコはインフレ高進で通貨価値の減少は続く

昨日発表されたトルコ最大都市イスタンブールの小売物価指数は、前年比で55%%超まで伸び率が加速した。明日の2月トルコ消費者物価指数(CPI)も50%台乗せが確実視されている。トルコが輸入に頼る原油や天然ガスの価格上昇は止まらず、55%辺りで頭打ちするという市場の見方も今後上振れしてもおかしくない。インフレ対策の効果も薄く、通貨価値の減少は続く。

 

南アの良好な製造業指数を受けてもランドは反応薄

昨日発表された2月のABSA製造業PMIは58.6となった。2007年3月以来、最高の結果となった。通常であればランド買い要因だが、ウクライナ危機により今後の経済情勢が読めなくなっていることでランド相場は反応薄でだった。

 

米2月ISM製造業景況指数/1月建設支出は良好な結果

ISMが発表した2月ISM製造業景況指数は58.6と、1月57.6から予想以上に上昇した。支払い価格は75.6と、1月76.1から予想外に低下した。同時刻に発表された1月建設支出は前月比+1.3%となった。伸びは12月+0.8%から鈍化予想に反して拡大し、1998年6月来で最大を記録した昨年1月以降1年ぶり最大の伸びとなった。事前にマークイットが発表した米1月製造業PMI改定値は57.3と、予想外に速報値57.5から下方修正された。1月55.5からは上昇した。

 

米中間選挙へ向けた予備選開始

バイデン米大統領への審判となる11月の連邦議会中間選挙に向けた民主、共和両党の予備選が、南部テキサス州を皮切りに始まった。20211月に就任した上院の3分の1と下院の全議席が改選となり、両院で与党・民主党が過半数を維持できるかが最大の焦点になる。

 

欧米市場イベント

○16:00   2月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.6%)
○17:55   2月独雇用統計(予想:失業率5.1%/失業者数変化▲2.50万人)
○19:00   2月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比5.4%)
19:00   2月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比2.5%)
○20:00   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○22:15   2月ADP全米雇用報告(予想:38.8万人)
○23:00   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○23:30   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○24:00   カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:0.50%に引き上げ)
○24:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、米下院金融サービス委員会で金融政策や経済情勢に関する半期に一度の証言
○3日00:30   EIA週間在庫統計
○3日01:00   レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○3日01:00   1月ロシア失業率(予想:4.2%)
○3日03:30   テンレイロ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○3日04:00   米地区連銀経済報告(ベージュブック)
○3日05:00   カンリフ英中銀(BOE)副総裁、講演
〇国際原子力機関(IAEA)緊急理事会
○石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国による「OPECプラス」閣僚級会合(オンライン)
〇欧州連合(EU)財務相緊急会合

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欧米タイム直前市場コメント!

2022/03/01/15:14:31

日経平均株価:25日移動平均線が戻り目処で上値の重い展開

警戒されていた週開けの米国株式市場が波乱回避できたとして、直近で売られていた主力株を買い戻す動きが広がった。2万7000円台前半を通る25日移動平均線が戻りの目処として意識され、上値を抑える形となっており「一段高には追加の材料が必要」との声が聞かれた。結局、前営業日比317円高の2万6844円と3日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:ドル/円は米長期金利の低下で上値の重い展開

ドル/円は、本邦輸入勢などからドル買い・円売りや日経平均株価の大幅高に支えられ、115.30円付近まで上昇した。低下していた米長期金利が持ち直したことも、ドルの押し上げにつながった。ただ、ウクライナ情勢の続報を見極めたいとの雰囲気もあり、上値を追う動きは限られた。その後は、利益確定などのドル売り・円買いも見られ、115.20円前後で取引された。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、小幅に値を下げて115.05円を挟んでもみ合いとなった。今週予定されているパウエル米FRB議長の議会証言や2月米雇用統計を控えて、様子見を決め込む市場参加者も少なくなかった。ユーロ/ドルは、先週末に米欧がロシアに厳しい金融制裁を課したことで、欧州経済への打撃が大きいとの思惑から持ち高調整などのユーロ売り・ドル買いに押され1.1190ドル台へ下落した。

 

トルコがこれ以上ロシアと距離を置くことが出来るのかが注目

トルコのエルドアン大統領は『ロシアによるウクライナ攻撃は許容できない』と同国加盟の北大西洋条約機構(NATO)と足並みを揃えている。トルコ政府は、海峡条約で同国が制限することを認められている『黒海への軍艦通航の停止』を、沿岸・非沿岸国に警告した。ロシア軍艦を想定した措置であり、こちらもウクライナ寄りの対応である。ウクライナはトルコ製のドローン戦闘機を購入しており、在トルコのウクライナ大使によれば、すでにロシア軍相手に使用されている。そういったなかロシア外務省は昨日、ウクライナに武器を提供する国に対し、『ロシア軍に対して武器が使われた場合は相応の責任を負わせる』と発表したことが報じられている。戦争後を睨めば、ロシアにエネルギーや観光業などを頼るトルコとしては関係を維持しておきたいところである。対露制裁に積極的に手を挙げないのも、それどころではないというトルコ側の経済事情もある。トルコがこれ以上ロシアと距離を置くことができるのか、明らかな反プーチン色を強めるのか、エルドアン政権の対応が注目される。

 

南アランド動向は暫くはウクライナ情勢次第

今月の後半には南アの消費者物価指数発表(CPI)や、南ア準備銀行(SARB)・金融政策委員会(MPC)などのイベントがあることで、南ア国内情勢でランドも動意づくが、それまではウクライナ情勢次第となる。なお、今回のロシアによるウクライナ侵攻で、南ア国内で一番懸念されているのがエネルギー価格の上昇である。政府が毎週原油価格の基準値を発表しているが、今週はこれまで以上の上げ幅が予想されている。小麦価格も上昇していることもあり、すでにSARBの利上げがうわさされているが、通常とは違い金利高が通貨買いにはならないとことで、ランド相場は引き続き予測が難しくなる。

 

メキシコのGDP確報値が上方修正されリセッション入り回避

原油先物価格も足もとで荒い値動きとなっており、こちらも産油国通貨であるペソの波乱要因として意識しておく必要がある。なお、先週発表された10-12月期メキシコ国内総生産(GDP)確定値は前期比で横ばいとなり、速報値の0.1%減からはわずかに上方修正された。2期連続でのマイナス成長を回避したことで、定義上のリセッション(景気後退)入りも避けられた格好となったが、メキシコの回復が鈍いことには変わりなく、今週発表の2月メキシコ製造業PMIなどの結果も見極めたいところである。 

 

米インフレ率予測を引き上げ:ゴールドマン・サックス・グループ

ゴールドマンのエコノミストはリポートで、米金融当局が重視するインフレ指標の個人消費支出(PCE)価格指数上昇率が22年末までに3.7%に達すると予想した。従来見込んでいた3.1%から引き上げた。23年末までには2.4%に低下すると予想しているものの、従来想定の2.2%より高い。リポートは『22年の高いインフレ軌道は年内の残り7回の米連邦公開市場委員会(FOMC)全てでの利上げの十分な根拠となる。23年のインフレ見通しも高まったことから、来年には4回の0.25ポイント利上げを予想(従来予想は3回)、ターミナルレートも従来予想より若干高い2.75-3%を想定している』と説明した。ゴールドマンは今年末までにインフレがどの程度鎮静化するかは不確実だとし、『21年のインフレ急騰は新型コロナウイルス禍に起因する耐久消費財の需給不均衡が主因だったが、インフレ圧力はここ数カ月に範囲が広がるとともに強まった』と指摘した。

 

市場では3月FOMCでの50bpの利上げ観測が大幅後退

米FRBのパウエル議長は今週、半年に一度の金融政策を巡る議会証言を控えている。そんな中、市場での3月FOMCでの50ベーシスポイントの利上げ観測が後退しつつある。ロシアが予想に反しウクライナ軍事侵攻に踏み切った。ウクライナの予想以上の抵抗を受けプーチン大統領は核兵器の利用も除外しない態度を示したため欧米は対ロ金融制裁も実施した。今後の展開がより不透明となった。安全資産としての米国債にも投資資金が向かった。米金利先物市場では一時8割がた織り込まれていた3月FOMCでの50ベーシスポイントの利上げ観測も後退しつつある。一時7回近く織り込まれていた年内の利上げ確率も5回まで後退しつつある。しかし、エクスポージャーがほぼなくロシア、ウクライナ危機による米国経済への影響が最小限にとどまるとの見方に、FRB高官は高インフレの持続で、引き締めが必要との見方を変えていない。

 

米国市場では2月ISM製造業景況指数が公表:予想は58.0

1月実績は57.6に低下した。中間財の不足、製品輸送の困難、新型コロナウイルスのオミクロン変異株の感染拡大に関連した製造現場での人手不足などが低下の要因。2月については多少の改善は見込まれるものの、米国の経済成長が減速していることを示唆する数値になるとみられる。

 

欧米市場イベント

○16:00   2月トルコ製造業PMI
○17:30   2月スイス製造業PMI(予想:64.0)
○17:50   2月仏製造業PMI改定値(予想:57.6)
○17:55   2月独製造業PMI改定値(予想:58.5)
○18:00   2月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:58.4)
○18:30   2月英製造業PMI改定値(予想:57.3)
○18:30   1月英消費者信用残高(予想:10億ポンド)
○18:30   1月英マネーサプライM4
○22:00   2月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.9%/前年比5.1%)
○22:30   12月カナダ国内総生産(GDP、予想:前月比0.1%/前年比3.8%)
       10-12月期カナダGDP(予想:前期比6.5%)
○23:45   2月米製造業PMI改定値(予想:57.5)
○24:00   1月米建設支出(予想:前月比0.2%)
○24:00   2月米ISM製造業景気指数(予想:58.0)
○2日00:30   2月メキシコ製造業PMI
○2日03:30   サンダース英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○2日04:00   マン英MPC委員、講演
○2日04:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○2日04:00   メスター米クリーブランド連銀総裁、あいさつ
○バイデン米大統領、一般教書演説
○先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議(オンライン)
○韓国(独立運動記念日)、インド(マハー・シヴァラートリー)、ブラジル(カーニバル)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2022/02/28/15:13:31

日経平均株価:ウクライナとロシアの停戦協議への期待で買い支え

週末に欧米などがロシアの一部銀行を国際銀行間の送金・決済システムのSWIFT(国際銀行間通信協会)から排除すると合意し、朝方には世界経済への影響を見極めたいムードが強まって狩猟の大型株や半導体関連で売りが先行し、指数の重石になった。その後は、ウクライナとロシアによる協議進展への期待感が支えとなり、前週末の終値を挟んだ一進一退の不安定な値動きとなった。ウクライナとロシアの停戦協議への期待から買いもが入り上昇して終了した。結局、前営業日比50円高の2万6526円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:115円台半ばでもみ合い相場

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、115.65円付近へ小幅に値を上げた。しかし、日本時間午後に予定されているロシアとウクライナの停戦協議を見極めたいとの雰囲気もあり、上値を追う動きは限られた。その後、利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いに押され、115.40円台へ下落した。海外メディアが『ベラルーシがロシア支援のため、ウクライナに派兵を準備している』と報じたことも、リスク回避の円買いを誘った。午後は日経平均株価や米長期を睨みながら、115.50円台を中心とする狭いレンジ相場となった。ユーロ/ドルは、26日に米欧などが国際銀行間の送金・決済システム(SWIFT)からロシアを排除する方針を決定したことで、欧州経済が打撃を受けるとの思惑から持ち高調整などのユーロ売り・ドル買いが入り、1.11ドル台後半から1.11ドル台半ばへ水準を切り下げた。

 

前週のFX概況でドル買い比率は低下

QUICKが28日に算出した外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドルの買い比率は51.1%と前の週末から9.3ポイント低下した。米金利の先高観を受けて円安・ドル高が進む場面で、相場の流れに逆らう『逆張り』傾向の個人投資家は円買い・ドル売りの持ち高を増やした。他の通貨ペアでも外貨の買いを減らす動きが目立った。『ユーロ・円』取引ではユーロの買い比率が26.7%と1.5ポイント低下した。円に対するオーストラリアドル買い比率は8.4ポイント低い57.2%だった。

 

経済指標は3日発表の2月トルコ消費者物価指数(CPI)が注目される

留まるところを知らないトルコの物価上昇も、通貨リラを非常に買いづらくさせている。2月消費者物価指数(CPI、前年比)はついに50%超えが現実味を帯びてきた。基本的な食品の付加価値税引き下げなどの政策も、インフレ減速に繋がりそうにない。望まれるのはやはり、中銀が独立性を取り戻し、正統的な金融政策に立ち返ることである。なお、トルコ中銀が先週発表した週間データによれば、ネットの外貨準備高は198億ドルと前週158.2億ドルから大きく拡大した。この規模は、中銀がリラ買い外貨売り介入を実施し始めた昨年12月前半の水準に近づいている。今後の推移を見守る必要が依然としてあるが、準備高の改善はトルコ金融市場にとってポジティブな材料である。

 

南アランドは引き続きコモディティ価格変動に左右する相場

今週は28日の1月貿易収支や、各種PMI以外は経済指標の発表もない。南ア国内要因で相場を動意づけるのは難しく、引き続きウクライナ情勢による株価の値動きや、プラチナ価格を中心としたコモディティ価格動向がランドの動きを左右する相場になる。 なお、ロシアのウクライナ侵攻による南アへの影響については、石油が南ア最大の輸入品目であるため、消費者に直接影響を与えるのはガソリン価格の上昇と見込まれている。特に最貧層にはガソリン価格上昇に打撃を与えるとされている。また、ロシアとウクライナは世界の小麦輸出の25%から30%を占めていることもあり、穀物価格の上昇も懸念される。

 

ロドリゲスメキシコ中銀総裁の新体制での金融政策決定会合議事要旨

先日行われた6会合連続での利上げを決定した、ロドリゲス新体制での金融政策決定会合の議事要旨が公表された。すべてのメンバーが今年と来年のインフレ期待が再び高まったことを言及し、そのうち一人のメンバーは一時的なインフレとして対応すべきではないと発言したことが伝わっている。ついにこれまでの一時的なインフレとの認識を変更したメンバーが現れた。なお、中銀メンバーで唯一、0.25%と小さい利上げ幅を主張したエスキベル副総裁は11月にインフレ率がピークを付けてその後は鈍化していることを挙げて0.25%の利上げで十分と判断した。また、米連邦準備理事会(FRB)よりも先立って金融引き締めに動いていることを懸念しているとも述べていた。

 

米3月の利上げは『0.25%』予想が最多:QUICK月次調査

QUICKが28日に発表した2月債券月次調査によると、米連邦準備理事会(FRB)が3月に開く米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ幅の予想は『0.25%』との回答が82%と最も多かった。『0.50%』との回答は18%にとどまり、政策金利を据え置くとの予想はゼロだった。

欧州中央銀行(ECB)の金融政策を巡っては、資産買い入れの停止時期が『2022年後半』との予想が66%で最多だった。『22年前半』が30%、『23年前半』が9%で続いた。

 

欧米市場イベント

○16:00   10-12月期スウェーデン国内総生産(GDP、予想:前期比1.4%)
○16:00   10-12月期トルコGDP(予想:前年比9.0%)
○16:00   1月トルコ貿易収支(予想:104.0億ドルの赤字)
○16:30   1月スイス小売売上高
○17:00   10-12月期スイスGDP(予想:前期比0.3%/前年比3.7%)
○17:00   2月スイスKOF景気先行指数(予想:108.5)
○19:00   外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○20:30   パネッタ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○21:00   1月南アフリカ貿易収支(予想:173億ランドの黒字)
○21:00   10-12月期インドGDP(予想:前年同期比6.0%)
○21:00   1月メキシコ失業率(季節調整前)
○22:30   10-12月期カナダ経常収支(予想:22.0億カナダドルの黒字)
○22:30   1月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比1.0%)
○22:30   1月カナダ原料価格指数(予想:前月比5.0%)
○22:30   1月米卸売在庫(予想:前月比1.3%)
○23:45   2月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:63.0)
○1日00:30 ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○ブラジル(カーニバル)、休場

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