FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2022/04/04/15:16:37

日経平均株価:海外株の底堅い動きに支えられ4営業日ぶりに小反発

大きな手掛かりに乏しく、方向感を欠く動きとなった。朝方に小高く始まった後は、前週末の終値を挟んだ一進一退が続いた。NYダウ先物が横ばい圏のほか、香港株がしっかりとなっており海外株の底堅い動きが支えになった。一方、東証の市場区分再編をめぐっては、大きな影響はなさそうとの見方が優勢ながらまだ始まったばかりでもあり、いったん様子見という向きも少なくなかった。ただ、新年度入りに伴う資金流入への期待が支えとなったほか、米国経済に対する悲観的な見方が和らいでいることも日本株の買いにつながった。結局、前週末比70円高の2万7736円となり4営業日ぶりに反発して終了した。

 

東京外国為替市場:円安けん制発言への警戒から上値追いになり難い

ドル/円は、本邦輸出勢などのドル入り・円買いが先行し、122.27円付近まで下落した。しかし、日米金融政策スタンスの違いが鮮明になっているため、下値を追う動きは限られた。その後は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、122.60円台へ値を切り返した。米長期金利が時間外取引で上昇したことも、ドルの買い戻しにつながった。午後は、日経平均株価やNYダウ先物の持ち直しを眺めたドル買い・円売りが入り、122.77円付近までじり高となった。ただ、このところ政府要人から過度な円安をけん制する発言が相次いでいることもあり、積極的な上値追いは手控えられた。その後は、利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いも見られ、小幅に値を下げて122.60円台を中心とする狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、1.10ドル台半ばで小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

OPECプラスは欧米諸国などと距離を置く姿勢

ウクライナ情勢の悪化を受けて国際原油価格は一段と上振れした。その後に米国はロシアを含む主要産油国(OPECプラス)に増産を要求したが、この動きは価格動揺を招いた。31日に開催したOPECプラスの閣僚級会合では、5月は日量43.2万バレルの協調減産縮小を決定した。IEA(国際エネルギー機関)や米国の増産要求にも拘らず小幅減産縮小を維持したほか、今後はIEAのデータ利用を停止するなど欧米諸国と距離を置く姿勢を鮮明にした。米国の戦略備蓄放出決定や中国の景気減速懸念が原油価格の重石となる動きがみられるが、先行きも需給動向を左右する材料に左右される展開が続くと予想される。

 

トルコの3月CPIに注目:付加価値税の引き下げも焼け石に水の状態

本日16時に発表される3月トルコ消費者物価指数(CPI)は前年比予想で61%超えと、前回記録した54%台をしっかりと上回り、20年ぶり高水準の更新が見込まれている。欧米の大手金融機関は、5月から6月の65%前後でインフレ率は頭打ちになるとの予想だったが、このままでは伸び率の更なる加速やピークアウト時期の後ずれも十分に考えられる。物価上昇による市民の負担を減らすため、エルドアン大統領は多くのモノの付加価値税の引き下げに踏み切っている。ただ下げ幅は最大でも10%程度であり、今のところ焼石に水の状態である。インフレ抑制のために利上げという正統的な金融政策を大統領が捨てているため、物価混乱の出口は見えず、投資家の本格的なリラ回帰の遅れが懸念される。

 

南アでは米国よりも利上げペースが速まる可能性も

国際的なエネルギー相場の上昇を受けて、南アフリカでも4月に入りガソリンやディーゼル価格が改定され、同国のインフレ圧力は高まっている。ガソリンは政府が保護策を打ち出し、ある程度の上昇幅に抑えようとしているが、一時は『天文学的な上昇』と報じられていた。南アのインフレ指標は、3月分は20日発表とまだ先である。ただ市場では、南ア準備銀行(SARB)・金融政策委員会(MPC)が今後2回(5月と7月)、それぞれ0.50%の利上げを決定するとの予測が強まっている。日本との金利差拡大だけでなく、米国よりも利上げペースが速くなる可能性もあり、ランドは対円、対ドルともに底堅い動きになりそうである。

 

メキシコ経済は堅調な回復見込み:国営石油会社ぺメックスがリスク

米ダラス連銀がまとめたレポートによると、メキシコ経済は年初から堅調な回復となった可能性が高いようである。ダラス連銀は『直近のデータはメキシコの輸出が減少する一方で、工業生産、小売販売、雇用が増加したことを示している』としている。4月29日に公表されるメキシコ1-3月期GDP(速報値)で回復傾向が確認されれば、ペソにとっても追い風となる。一方、 格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは昨日、『近い将来においてメキシコの格付けが改善する可能性は低い」との手厳しい評価を下している。ムーディーズによると国営石油会社ペメックスへの継続的な支援がメキシコにとってリスクとなっている。

 

強い米3月雇用統計受け2年債利回りと10年債利回りが逆転

米労働省が発表した3月雇用統計で失業率は3.6%と、2月3.8%から予想以上に低下し、パンデミックにより経済が封鎖した20年2月来で最低水準を回復した。非農業部門雇用者数は前月比+43.1万人と伸びは2月から予想以上に減少した。2月分は+67.8万人から+75万人へ上方修正された。1月分は+48.1万人から+50.4万人へ上方修正され、2カ月連続で9.5万人上方修正された。平均時給は前月比+0.4%と、2月+0.1%から伸びが拡大。前年比では+5.6%と、伸びは2月+5.2%から一段と拡大し20年5月来で最大を記録した。 強い雇用統計を好感し、特に2年債利回りが2.426%まで上昇した。景気後退を示す兆候と注視されていた2年債と10年債の利回りが逆転した。

 

債券市場のカナリアは24年の景気後退を警告

米国債券市場は、逆イールドにより、米国の景気後退を警告してきた。1955年以降、米連邦準備理事会(FRB)による利上げ局面は13回あるが、平均37ヵ月後にリセッション入りしている。その内、6回は逆イールドが発生し、景気後退入りまでの期間は、約23ヵ月となっている。米FRBは2023年末のFF金利誘導目標を2.75-3.00%と予想し、2.4%に引き下げられた中立金利を若干上回る見通しを示している。逆イールドという債券市場のカナリアは、2024年の米国大統領選挙年の景気後退入りを警告している。

 

欧米市場イベント

○15:00   2月独貿易収支(予想:101億ユーロの黒字)
○16:00   3月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月5.84%/前年比61.50%)
○18:05   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○21:30   2月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比6.8%)
○23:00   カンリフBOE副総裁、講演
○23:00   2月米製造業新規受注(予想:前月比▲0.6%)
○中国(清明節)、休場
○豪州、NZは3日から冬時間に移行済み

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2022/04/01/15:13:41

日経平均株価:米国株式市場の流れを引き継ぎ売り優勢

前日の米国株式市場が軟化した流れを引き継いだ。日経平均は安く始まった後も下げ幅を拡大し、一時400円超安となった。その後は、米3月雇用統計を見極めたいとのムードが広がり、マイナス圏での小動きが続いた。ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や日本国内での新型コロナウイルスの感染再拡大も重石となった。外国為替市場で円安が進行したことなどから、次第に押し目買いも入って下げ渋った。結局、前営業日比155安の2万7665円と3日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:週末ポジション調整のドル売りやや優勢

ドル/円は、新年度入りで本邦輸入勢や機関投資家などからドル買い・円売りが多く持ち込まれ122.60円台へ上伸した。米長期金利が上昇したことも、ドルの押し上げ要因となった。鈴木財務相が『為替の安定は重要で、急速な変動は望ましくない』『政府として為替市場の経済への影響を緊張を持って注視している』などと発言したが、ドル/円相場への影響は限定的だった。午後に入っても堅調地合いは続き、122.73円付近まで値を上げた。ただ、今晩発表される3月米雇用統計や3月米ISM製造業景況感指数を見極めたいとの雰囲気もあり、上げは一服した。その後は、週末を控えた利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いも見られ、122.30円台へ下落した。ユーロ/ドルは、1.10ドル台後半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

仏大統領選は初回投票でマクロン大統領の圧勝には注意

約10日後に迫るフランス大統領選挙の初回投票は、ウクライナ情勢を追い風にマクロン大統領がリードを保っているが、低所得者層への配慮を前面に打ち出す極右のルペン候補と極左のメランション候補が最終盤で追い上げている。ルペン候補が決選投票でマクロン大統領との差を縮めるためには、初回投票で共和党のペクレス候補を支持した有権者のより幅広い支持を獲得することと、メランション候補を支持した有権者の投票棄権が増える必要がある。今回の大統領選では有権者の投票意欲がそれほど高くない。決選投票当日は学校の祝日と重なるうえ、マクロン大統領の再選濃厚との安心ムードが広がれば、世論調査が示唆する以上にルペン候補が善戦する可能性がある。初回投票でのマクロン大統領の圧勝にこそ注意が必要となる。

 

トルコ中銀の外貨準備高の再拡大の動きが一服

持ち直していたトルコ中銀の外貨準備高も、このところは再拡大の動きが一服している。昨日発表された先週末時点のネット準備高は、前週比で12.4億ドル減少した。また逆に、トルコ国内の外貨預金と金保有高は前週比で11.6億ドル増加しており、リラの対ドルやユーロでの伸び悩みに繋がっている。

 

南アのインフレ高進でランドは底堅い展開

南ア政府はインフレ対応策を打ち出している。そのうちの一つが、緊急的に燃料価格の介入に乗り出したことである。議会の委員会は一定の期間、燃料に対する免税期間を提案した。これにより1リットル当たり3.93ランド、価格が抑えられるとしている。ランド/円の買いトレンドは変わらないと思われる。一つ目は日本の低金利政策継続の中で円安を止めるような方向にないこと。そして、二つ目は昨日の南アの生産者物価指数(PPI)を見てもわかるように、南アのインフレが高進していることが要因である。上述のように南ア政府はインフレ抑制を計画しているが、簡単には南アのインフレは止まりそうもない。(2月PPI:前月比+1.1%、前年比+10.5%)


メキシコ中銀は今後タカ派色強まる可能性も

メキシコ銀行(中央銀行)のエスキベル副総裁は『メキシコのインフレ率・コアインフレ率は依然として高く、引き下げるためのプロセスも想定より時間を要するだろう』との見解を示した。その上でメキシコの金利は2023年に現在よりも少し高くなる可能性があるとしている。政策メンバー内で最もハト派とされているエスキベル副総裁の発言ということもあり、今後は中銀内でさらにタカ派色が強まる可能性もある。

 

米2月コアPCEは83年来で最大の伸び:インフレが鈍化する兆候も

米国商務省が公表した2月個人所得は前月比+0.5%となった。伸びは1月+0.1%から拡大し昨年11月来で最大になった。2月個人消費支出(PCE)は前月比+0.2%となった。伸びは1月+2.7%から予想以上に縮小し12月来で最小の伸びとなった。1月分は+2.1%から+2.7%へ上方修正された。米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として注視している燃料や食料を除いたコアPCE価格指数は前年比+5.4%と、1月+5.2%から伸びが拡大し1983年3月以降ほぼ39年ぶり最大を記録した。しかし、予想は下回り、FRBの見通し通り、インフレが少しづつ鈍化する兆候を示した。

 

米国市場では3月雇用統計が公表:堅調な雇用情勢継続の可能性

3月の米雇用統計では堅調な雇用情勢が継続していることが示される可能性が高い。非農業部門の就業者数の市場予想は前月比47万7500人増と2月の67万8000人増からは鈍化するものの高水準が維持され、失業率は2月の3.8%から3.7%へ低下すると見込まれる。30日に米民間雇用サービス会社ADPが発表した3月の全米雇用リポートにおける非農業部門の雇用者数(政府部門を除く)は45万5000人増と市場予想とほぼ一致し、市場の反応は限られた。29日に発表された2月の雇用動態調査(JOLTS)では非農業部門の求人件数が前月比ではわずかに減ったものの過去3番目の高水準が維持され、労働市場の逼迫が続いていることが示されていた。3月の米雇用統計における『平均時給』は前年比5.5%上昇と2月の5.1%上昇から伸びが加速すると予想されている。完全雇用と賃金インフレ加速が意識され、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ加速観測が改めて正当化されることになる。

 

欧米市場イベント

○15:30   3月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.5%)
○16:00   3月トルコ製造業PMI
○16:30   3月スイス製造業PMI(予想:60.5)
○16:50   3月仏製造業PMI改定値(予想:54.8)
○16:55   3月独製造業PMI改定値(予想:57.6)
○17:00   3月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:57.0)
○17:30   3月英製造業PMI改定値(予想:55.5)
○17:30   センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○18:00   3月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比6.6%)
○18:00   3月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比3.1%)
○18:45   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○19:00   マクルーフ・アイルランド中銀総裁、講演
○21:30   3月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化47.75万人/失業率3.7%/平均時給、前月比0.4%/前年比5.5%)
○22:05   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○22:45   3月米製造業PMI改定値(予想:58.5)
○23:00   2月米建設支出(予想:前月比1.0%)
○23:00   3月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:59.0)
○2日00:30   3月メキシコ製造業PMI
○2日03:00   3月ブラジル貿易収支(予想:90.13億ドルの黒字)
○欧州連合(EU)・中国首脳会議(オンライン形式)
○3日 豪州、NZが冬時間に移行

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2022/03/31/15:14:48

日経平均株価:戻り待ちや利益確定売りで上値の重い展開

前日の米国株安を嫌気して軟調に始まりとなったものの、原油価格の下落を下支え要因に戻り歩調となった。しかし、中国国家統計局が発表した3月の製造業PMIが予想を下回ったことを嫌気し、再びマイナスに沈んだ。市場では期末を前にした買い戻しも一巡した一方、テクニカル面では厳しいところにきており、上値が追いにくくなった。2万8000円近辺では幅広い銘柄で戻り待ちや利益確定売りが出て上値は重かった。結局、前営業日比205円安の2万7821円と続落して終了した。

3月第4週(22日~25日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家(外国人)は1649億円の売り越しとなり、5週連続となった。個人投資家は3472億円の売り越しとなり、2週連続となった。信託銀行は278億円の買い越しとなり、2週連続となった。

 

東京外国為替市場:月末・期末に絡んだ値動き

ドル/円は、日米金融政策スタンスの違いを意識したドル買い・円売りが先行して、121円台後半から122.45円付近まで上昇した。本日は月末・期末にあたり、仲値にかけて本邦輸入企業のドル買い・円売りも通常より多く観測された。ただ、今週に入ってから政府要人や経済界から過度な円安をけん制する発言が相次いでいるため、上値を追う動きは限られた。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、122円台前半でもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、1.1160ドル台を中心とする狭いレンジで取引された。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ユーロ圏では景況感は低下するもインフレ期待は過去最高

欧州委員会の発表によれば、景況感は108.5と、前月の113.9から低下した。市場予想の108は若干上回った。インフレ期待値は統計を開始した1985年以降で最高となった。
ユーロ圏はウクライナ侵攻の影響を受けており、景況感の悪化や物価上昇が消費や投資の重石になるとみられる。

 

独CPIが92年来で最大の伸び:欧州燃料危機警戒

ドイツの3月消費者物価指数速報値は前年比+7.3 %となった。伸びは予想を大幅に上回り統計が開始された1992年以降で最大を記録した。欧州はウクライナ戦争の制裁で、ロシア産の燃料輸入依存を軽減する計画だが、ルーブルの支払いを巡り、ロシアが欧州へのガス供給を停止する可能性もあり、燃料価格をさらに押し上げ、インフレを上昇させる可能性が懸念されている。

 

2月トルコ貿易収支は赤字幅の縮小予想:観光業低迷でリラの上値は重い

日本時間16時に発表される2月トルコ貿易収支は、予想81億ドルの赤字と前回からは20億ドルほど赤字幅の縮小が見込まれている。ただ、露ウクライナ戦争の影響でトルコにとって重要な輸出先であるドイツの景気鈍化が懸念されるなか、今後も赤字幅は高水準で推移する可能性は高い。くわえてトルコの主要産業の1つである観光業は、重要顧客であるロシアとウクライナからの観光客の減少が確実視されている。外貨獲得の手段が限られてきており、リラ相場の上値の追いづらさに繋がっている。

 

南アでは内閣不信任案が提出されたが反応薄

南アでは、昨日ラマポーザ南ア大統領に対して、内閣不信任案が提出されたが、野党からの提案であり、市場は可決する見込みもほぼないことで反応はしなかった。

【今日の予定】
2月南アフリカPPI(予想:前月比0.9%/前年比10.2%)
2月南アフリカ貿易収支(予想:219億ランドの黒字)

 

2度の石油危機より深刻な状態:予想以上の利上げの必要性も

米10年債利回りが2.0%程度であるのに対し消費者物価指数(CPI)が7.9%、つまり長期金利とインフレ率の差が5.9%という大幅なギャップの存在は、1962年から2度の石油危機を通じても現在まで存在しない。10年物利回りからCPIインフレ率を比較したグラフをみると、1973年の石油ショック後の1974年12月10年債利回り7.45%に対しCPIが12.1%とギャップ4.7%、1979年の石油ショック後の1980年6月に10年債10%とCPIの14.5%のギャップ4.5%の2回しか4.5%超のギャップは存在していない。つまり、現在の10年債利回りとCPIのギャップ5.9%は1970年代初頭や1980年代初頭の石油危機時の高インフレ時代より深刻かつハイパー・インフレ時代を彷彿とさせるもので、多くの識者が予想するFF金利2%台半ばへのメジャード利上げで退治できるような生易しいインフレではない可能性が高い。

 

米国労働省はワシントンで1日に3月雇用統計を発表

エコノミストの平均予想で、失業率は3.7%と、2カ月連続低下でパンデミック前の水準回復が予想されている。非農業部門雇用者数は49万人増と、2月67.8万人増から伸びが鈍化するものの、歴史的には依然高水準を維持する見通しである。平均時給は前月比+0.4%、前年比+5.5%と、それぞれ、横ばい、+5.1%から伸びが拡大すると見られている。先行指標の中で雇用統計と相関関係が最も強いとされる民間の雇用者数を示すADP雇用統計の3月分は前月比+45.5万人と、2月+48.6万人から伸びが鈍化も予想を小幅上回った。一方で、失業保険申請件数は1969年以降53年ぶり低水準を記録しており、労働市場のひっ迫を示す結果となった。

■市場予想:失業率:3.7%(2月3.8%)非農業部門雇用者数:前月比+49万人(2月+67.8 万人)民間部門雇用者数:前月比+49.9万人(+65.4万人)平均時給:予想:前月比+0.4%、前年比+5.5%(+0.0%、+5.1%)

 

米国市場では2月PCEコア価格指数が公表:予想は前年比+5.5%

供給制約の影響は消えていないこと、インフレの進行を抑制する材料は少ないことから、2月の上昇率は1月をやや上回る可能性が高い。5%超のインフレ率がしばらく続くと見られており、5月に0.5ポイントの追加利上げが実施される可能性は一層高まる。

 

欧米市場イベント

○15:00   2月独小売売上高(予想:前月比0.5%/前年比6.1%)
○15:00   3月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.8%)
○15:00   10-12月期英国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比1.0%/前年比6.5%)
○15:00   10-12月期英経常収支(予想:176億ポンドの赤字)
○15:30   2月スイス小売売上高
○15:45   3月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比1.3%/前年比4.3%)
○15:45   2月仏卸売物価指数(PPI)
○15:45   2月仏消費支出(予想:前月比1.1%)
○16:00   2月トルコ貿易収支(予想:81億ドルの赤字)
○16:55   3月独雇用統計(予想:失業率5.0%/失業者数変化▲2.00万人)
○17:00   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼主任エコノミスト、講演
○18:00   2月ユーロ圏失業率(予想:6.7%)
○18:30   2月南アフリカPPI(予想:前月比0.9%/前年比10.2%)
○19:00   外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○19:00   デギンドスECB副総裁、講演
○20:30   3月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:00   2月南アフリカ貿易収支(予想:219億ランドの黒字)
○21:30   1月カナダGDP(予想:前月比0.2%/前年比3.6%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:19.7万件/135.0万人)
○21:30   2月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.5%)
       2月米個人所得(予想:前月比0.5%)
       2月米PCEデフレーター(予想:前年比6.4%)
       2月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.4%/前年比5.5%)
○22:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、あいさつ
○22:45   3月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:57.0)
○石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国による「OPECプラス」閣僚級会合

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2022/03/30/15:19:37

日経平均株価:配当落ち分は埋めて終了(240円以内の下落)

前日の米国株が上昇したことに連れ、朝方は配当落ちの影響がある中でも横ばい圏からのスタートとなった。そして、プラスで推移する場面もあったが、上値が重くマイナス圏に沈むと、次第に下方向への勢いを強めた。配当落ちの影響が少ないマザーズ銘柄には強く買われるものが多かったが、それが余計に主力株の買いづらさを意識させられた。配当落ち分の240円程度を埋める水準がほぼ2万8000円で、この近辺ではいったん下げ渋る展開になった。しかし、場中の値動きが悪いことで高値警戒感が意識され、節目を割り込むと一段安になった。引けにかけては押し目買いも入り2万8000円を回復して終了した。結局、前営業日比225円安の2万8027円で終了した。信用評価損益率は、25日申し込み時点でマイナス11.36%と、前週のマイナス12.27%からマイナス幅が0.91ポイント縮小した。改善は2週連続となった。

 

東京外国為替市場:ドル/円は荒い値動きに終始

ドル/円は、本邦輸出勢などから年度末に絡むドル売り・円買いフローが継続的に持ち込まれ、121.80円付近へ大きく下落した。日経平均株価の下げ幅拡大や米長期金利が低下したことも、ドル/円の押し下げ要因となった。昼頃に、『黒田日銀総裁が首相官邸に入り、岸田総理と会談する』との報道が伝わった。前日に政府要人や経済界から過度な円安をけん制する発言が相次いでいたため、政府と日銀が協調して円安に対応するとの思惑から、ドル/円は一段とドル買い・円売りが加速して121.32円付近まで下落した。しかし、下値では日米金融政策スタンスの違いを意味したドル買い・円売りも見られ、122.00円付近へ値を切り返す荒い値動きとなった。黒田日銀総裁が岸田総理との会談後に、『為替についての話はとくになかった』『日銀の金融市場調節が直接的に為替へ影響を与えているとは思わない』などと発言したことも、円売りにつながった。ユーロ/ドルは、米長期金利低下を手掛かりとしたドル売りが一巡すると、1.1110ドル前後で方向感を欠く展開となった。

 

日銀が本気モードで金利上昇を抑制

日銀は30日午後、臨時の国債買い入れを通知した。対象は残存期間『5年超10年以下』『10年超25年以下』『25年超』で金額はそれぞれ5000億円、1000億円、500億円だった。午前に予定されていた中期と長期債の増額、超長期債の臨時買い入れを行っていた。

今朝の臨時オペに対する市場の反応は良かった(素直に金利が低下した)ことで、日銀は10年金利を0.25%以下に抑えるには超長期債の金利も下げる必要があると確信したのだろう。期末で流動性の低いタイミングで市場にサプライズを与えることで、効率的に金利を下げることを狙ったと思われる。先週までは超長期にには手をつけないと見られていたが、日銀は本気を出してきたとの声も聞こえた。

 

1円の円安ドル高でTOPIXの予想経常利益は0.25%押し上げ:野村証券

野村証券は29日付の日本株ストラテジーのリポートで、円安による日本株への影響を試算した。それによれば、現在の日本企業業績における具体的な為替感応度は、同社アナリストが試算する為替感応度を集計すると(為替感応度試算値がない銘柄についてはゼロと仮定)、1円の円安ドル高によりTOPIXの2022年度予想経常利益は0.25%押し上げられる計算になるという。円安は輸入物価上昇により原材料高につながるため、必ずしも日本企業業績にポジティブではないという懸念もあるとしながらも、『しかし、原材料高への影響も考慮に入れたトップダウン分析でも、1円の円安ドル高で同経常利益は0.22%押し上げられると試算している』と指摘した。これまでの円安・ドル高は経常利益ベースで原油価格上昇によるマイナス影響の約40%を相殺しているとも指摘した。

 

日銀短観では企業の利益計画に要注意:大和証券

大和証券では、4月1日(金)に発表される3月調査の日銀短観に注目している。3月11日に発表された1-3月期法人企業景気予測調査では、大企業全産業の景況判断指数が3四半期ぶりのマイナスとなった。ただ当該調査の回答基準日は2月15日で、ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めた影響を十分に反映できていない可能性があると、大和では考えている。一方、3月調査の日銀短観の回答期間は2月25日~3月31日で、この影響を十分反映するとみられる。大企業の業況判断DIが製造業・非製造業とも7四半期ぶりに悪化すると予想されていることに加えて、今回初めて発表される2022年度の企業の収益計画が減益となる可能性に注意が必要としている。

 

ユーロ圏の回復期待しぼむ:ウクライナ紛争や高インフレが要因

ドイツとフランスで29日に発表された消費者信頼感指数は、インフレ高進やロシアのウクライナ侵攻の影響を巡る懸念から、予想以上の落ち込みとなった。ECBはユーロ圏が景気後退を回避できるという見解を示しているものの、域内3大経済大国の消費者信頼感の低下はこうした見通しに影を落としている。さらに関係筋によると、域内3位のイタリアも経済成長予測を下方修正する見通しとなった。

ドイツでは、2月時点では、新型コロナウイルス制限措置の緩和で消費者心理が回復するとの期待がまだ高かったが、ウクライナ紛争でそうした期待が消滅した。

 

トルコのインフレ止まらず:来週の3月CPIに注目

一部通信社によるアナリスト調査では、来週発表されるトルコの3月消費者物価指数(CPI)は前年比でついに60%超えが確実視されている。米系金融機関が5-6月に65%前後までインフレ率の上昇を見込んでおり、予想はサプライズではないが、物価高騰に歯止めがかかっていないことは確かである。エルドアン大統領は昨日、医療機器など複数のモノへの付加価値税を引き下げる方針を示したが、残念ながら『焼け石に水』となる。

 

南アでは高インフレの中で高失業率:治安の悪化に注意

昨日発表された南アの10‐12月失業率は前回や、市場予想よりもさらに悪化し、2008年からの調査以来で過去最高となる35.3%となった。若年層(15-24歳)は前期と変わらず66.5%となっている。拡大失業率は前期の46.6%から46.2%まで低下している。業種別では、貿易、社会福祉サービスなどの新規雇用が増えた半面、製造業や建設業は減少した。なお、発表後も市場の反応は鈍いままだった。ただし、中長期的にみると、これだけの高失業率の中で、食料品が高騰し、燃料価格も来月から大幅に値上げされることになり、貧困層はより厳しい状況に陥る。南ア経済及び治安には悪材料である。

 

2月JOLT求人件数結果からFRBの利上げ加速正当化へ

米労働省が発表した2月JOLT求人件数は1126.6万件と過去最高付近を維持した。1月分も1128.3万件へ1126.3万件から上方修正された。総失業率の627万人を500万近く上回った。その差は、過去最大となった。労働市場の自信をあらわすとして注目される退職率(Quits rate)は2.9%と、1月2.8%から上昇した。自発的離職者は440万人だった。
連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は労働市場のひっ迫が不健全な水準に達したと警戒し、利上げ加速が正当化するとの考えを示している。労働省が発表する最新3月の雇用統計の発表が待たれるが、JOLT求人件数の結果は、労働市場のひっ迫を示す新たな証拠となり、FRBの引き締め加速を正当化する。

 

欧米市場イベント

○16:00   3月スイスKOF景気先行指数(予想:100.8)
○17:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○17:00   カジミール・スロバキア中銀総裁、講演
○17:10   ブロードベント英中銀(BOE)副総裁、講演
○18:00   3月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:109.0)
○18:00   3月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲18.7)
○18:00   ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:00   3月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比1.6%/前年比6.3%)
○21:00   2月メキシコ失業率(季節調整前、予想:3.60%)
○21:00   ウンシュ・ベルギー中銀総裁、講演
○21:15   3月ADP全米雇用報告(予想:45.0万人)
○21:30   10-12月期米国内総生産(GDP)確定値(予想:前期比年率7.0%)
○21:30   10-12月期米個人消費(確定値、予想:前期比3.1%)
○21:30   10-12月期米コアPCE(確定値、予想:前期比5.0%)
○21:30   マクルーフ・アイルランド中銀総裁、講演
○22:15   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○23:15   パネッタECB専務理事、講演
○23:30   EIA週間在庫統計
○31日01:00   2月ロシア失業率(予想:4.5%)
○31日02:00   ジョージ米カンザスシティ連銀総裁、講演

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2022/03/29/15:12:17

日経平均株価:年度末最終売買日に絡んだ買いで高値引け

米国株式市場の上昇や原油価格の下落などが好感され、朝方から買いが先行する展開となった。本日は受渡ベースの年度末最終売買日とあって、それに絡んだ思惑によって株価が振れやすくなっている。中でもインデックスファンドによる配当再投資の動きが、目先的な株高要因になると注目されている。市場では、配当金の落ち分は約236円と試算されている。これによって発生するトラッキングエラーを回避するため、現物の手当てを先物買いを入れる運用担当者が多くなる。結局、前営業日比308円高の2万8252円反発して終了した。

 

東京外国為替市場:月末・期末に絡む売買が交錯

ドル/円は、月末・期末に絡む本邦輸出勢のドル売り・円買いが先行し、123円台後半から123円台前半へ水準を切り下げた。しかし、仲値にかけて本邦輸入勢のドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれると、124.30円付近へ急上昇する荒い値動きとなった。その後、急ピッチの上昇に対する警戒感から利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いに押され、124円を割り込んで123.25円近くへ下落した。松野官房長官や鈴木財務相から過度な円安をけん制する発言が伝わったことも、円の買い戻しにつながった。日銀が初の連続指し値オペを通告し、応札額は2426億円あったことが判明したものの、ドル/円相場への影響は限定的だった。午後に入っても軟調地合いは続き、123.11円付近まで値を下げた。しかし、心理的節目の123.00円が視野に入りすると下げは一服した。その後は、日米金融政策スタンスの違いを意識したドル買い・円売りも見られ、123円台半ばへ持ち直した。ユーロ/ドルは、1.09ドル台後半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

米企業の自社株買いが低調:BofA

BofAセキュリティーズの29日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は21~25日の1週間に米国株を13億3800万ドル買い越した。2週ぶりに買い越しに転じたことになる。この週は米長期金利が2.5%台に上昇して主力ハイテク株が軟調な中、S&P500指数が1.79%高で2週連続で上昇したものの、前週(6.15%高)のような強いリバウンド基調が一服した時だった。主体別動向ではヘッジファンド(HF)が10億8800万ドルの売り越しで、4週連続の売り越し。機関投資家は9億6300万どるの買い越しで、2週ぶりの買い越しだった。個人投資家は7億6800万ドルの買い越しで、2週ぶりに買い越しとなった。企業の自社株買いは6億9600万ドルで4週移動平均(10億3100万どる)を大きく下回った。S&P500の戻り歩調が続く中、HFの売り越し基調が続いた。企業の自社株買いは11ヵ月ぶりの低水準となり、22年1~3月期(1Q )の自社株買いが低調だったことを示唆しているという。コロナ禍前と比べて、これまでの自社株買いの発表額は平均値を50%下回っているとのこと。

 

トルコZ世代は約半数が野党側に投票

世論調査会社ORCがトルコ全土で行った調査によると、同国で3月に総選挙が行われた場合、Z世代(1997年から2012年生まれ)の約半数が野党側に投票する(つもりがある)ことが分かった。トルコのZ世代は900万人以上いるとされ、現在は有権者の13%を占めている。総選挙が行われる2023年には16%まで有権者シェアが広がるもよう。世論調査では、Z世代の13%弱が現与党の公正発展党(AKP)に投票すると答えた。これは現在の最大野党・共和人民党(CHP)の25%台に大きく引き離されおり、野党第2位の優良党(または「良い党・改善党(IYI)」)の18%台にも及ばない。なお、Z世代でどの党に投票するか未定としたのは15%弱、投票しないと答えた人は約13%だった。ワンマン振りが目立つエルドアン・トルコ大統領が率いるAKPがこれら浮遊票を引き付けられるとも思えず、23年の総選挙でAKPはかなり苦戦することになるかもしれない。

 

ロシアの経済低迷がトルコにも影響:S&P

米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は昨日、2022年のロシア経済成長率見通しを従来の予想から11%引き下げて、8.5%減とした。ウクライナ侵攻を受けた西側諸国からの経済制裁の影響が考慮された。またロシアと経済的な結びつきを強めていたトルコに対しても、今年の成長見通しを前回予想3.7%増から2.4%増に下方修正している。ただS&Pは見通しについて、過去に例を見ない大規模な経済制裁が実施されており、そのインパクトは依然として不透明としている。更なる成長鈍化も示唆している。

 

南アの中長期的な警戒はインフレ:治安が乱れるか可能性に注意

ランド買い要因としては、ロシアやウクライナの代替輸出国として注目されていることや、南アの金利上昇傾向などがあげらる。ただし、中長期的に警戒しなくてはならないのは、金利上昇の起因となっているインフレである。特に南アの貧困層にとっては生活が困難になる状況。来月から『天文学的な上昇』と噂されているほどの南ア国内のエネルギー価格の引き上げや、貧しい人が通常購入するとされている食品価格が22%超上昇していることが生活苦につながっている。日本でも輸入物価指数が34%も上昇していることで、価格上昇の波が低所得者層の家計負担になっているが、南アはより深刻な状況である。今年は選挙もあることで、これ以上の経済的な負担が生じるようだと、昨年7月のような暴動などで治安が乱れる可能性もあり、要警戒となりそうである。

 

メキシコでは利上げサイクルの継続見通し:ペソ/円は底堅い展開

市場の注目は各国の金融政策へと集まり始めている。ペソ/円もメキシコと日本の金融政策の方向性の違いを手掛かりにした買いが入りやすい。先週にメキシコ銀行(中央銀行)は6.00%から6.50%への利上げを実施した。決定は全会一致となり、これまで早期の追加利上げに慎重な姿勢を示してきたエスキベル副総裁も50bpの利上げに賛成していたことが明らかになった。また、今年のインフレ見通しも大幅に上方修正されており、今後も利上げサイクルの継続が濃厚となっている。

 

米国では年内に逆イールドが起こるとは予想していない:JPモルガン

米国市場では先行きの景気後退を織り込む、年限の短い国債が長い国債を上回る『逆イールド』が警戒されている。JPモルガンは28日付リポートで、通常は利上げ時にイールドカーブ(利回り曲線)がフラット化する傾向があることを踏まえつつ、今後の量的引き締め(QT)が逆の効果を生む可能性があるとして、『今年中に完全な逆転が起こるとは予想していない』と指摘した。米10年債と2年債のスプレッドは2022年12月にプラス15bp程度になると予想した。また、マイナス金利に関して、『過去の逆イールド時には平均プラス200bpであり、現在はマイナスである。極端にマイナス金利の出発点から不況に陥る傾向はない。銀行の貸出基準は依然として緩和されており、銀行は十分に資本化されており、継続的な信用拡大を支えることができる。信用スプレッドは若干拡大したが、長期的な文脈では重要なものではなく、明らかに過去の不況の頃のようなものではない』とも指摘した。利上げの開始には通常、ある程度の市場の不安定性が伴い、この初期の弱さは後に吸収され、市場は上昇する傾向があったことを踏まえつつ、『不況を基本ケースとして見るべきではないと考えている』との認識を示した。

 

米国市場では3月CB消費者信頼感指数が公表:予想は107.0

2月実績は110.5と、1月実績を下回った。短期的な成長予想がさらに弱まり、住、自動車などの購入を手控える消費者が増えていることが確認された。インフレ進行の影響もあったようだ。3月については経済情勢の改善は遅れていることから、2月実績を下回る可能性が高いと予想される。

 

欧米市場イベント

○15:00   4月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲14.0)
○15:00   2月独輸入物価指数(予想:前月比1.8%/前年比26.9%)
○15:45   3月仏消費者信頼感指数(予想:94)
○16:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○17:30   2月英消費者信用残高(予想:9億ポンド)
○17:30   2月英マネーサプライM4
○18:30   10-12月期南アフリカ失業率(予想:35.1%)
○22:00   1月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比18.4%)
○22:00   1月米住宅価格指数(予想:前月比1.2%)
○22:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、あいさつ
○23:00   3月米消費者信頼感指数(予想:107.0)
○23:45   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○30日02:00   米財務省、7年債入札

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