FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2019/10/04/15:21:39

日経平均株価:日銀のETF買い入れ観測で先物買いで反転

昨日発表された米9月ISM非製造業景気指数が約3年ぶりの低水準となり、米国の追加利下げ期待が高まり米国株式市場はプラス圏で終了した。しかし、外国為替市場でドル/円が106円後半まで円高が進行したことで、日本株は朝方から売りが先行した。午後、日銀による上場投資信託(ETF)の買いいれ観測が浮上し、相場の下値は堅いと見た短期筋などが先物に買いを入れた。結局、前日営業日比68円高の2万1410円と3日ぶりに反転して終了した。

 

東京外国為替市場:106円台後半でもみ合う展開

ドル/円は、今週発表された米経済指標の下振れで、FRBの追加利下げ観測が急速に高まっているため、持ち高調整などのドル売り・円買いが入り106.75円程度まで下落した。本日は実質的な五・十日にあたり、仲値にかけて国内輸入企業のドル買い・円売りが通常より多いと期待されていたものの、需給に大きな偏りは見られなかった。午後は、日経平均株価の動向をにらみながら、106.80円台中心とした狭いレンジでもみ合いとなった。今晩公表される米9月雇用統計やFRB要人の講演を前に、様子見ムードも強かった。ユーロ/ドルは、1.09ドル台後半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

欧米貿易摩擦懸念高まる:安全資産への資金シフトの可能性も

世界貿易機関(WTO)は2日、欧州連合(EU)による航空機大手エアバスへの補助金は不当として米国が年間75億ドル(8000億円)相当のEU製品への報復関税を認めた。米国は航空部品などを対象に近く関税を発動、EUも米国に報復関税を検討、米中貿易戦争に加え欧米貿易摩擦により世界経済が一段と減速するとの警戒感が高まっている。世界経済牽引役の米国経済にリセッションの暗雲が覆うことになれば投資家は一段と世界景気底割れリスクへの警戒感を強め安全資産シフトを進める可能性がある。

 

昨日の米国経済指標の振り返り:米国の景気後退懸念高まる

米供給管理協会(ISM)が発表した9月ISM非製造業景況指数は52.6と、引き続き50を上回り活動の拡大を示したものの予想55.0を下回り2016年8月以降3年ぶり低水準となった。同時刻に商務省が発表した米8月製造業受注は前月比‐0.1%と、3カ月ぶりのマイナスに落ち込んだ。しかし、予想-0.2%は上回った。米8月耐久財受注改定値は前月比+0.2%と、速報値から変わらずだった。輸送用機除く改定値も前月比+0.5%と、速報値から修正はなかった。国内総生産の算出に用いられる製造業出荷・資本財(航空機を除く非国防)改定値は前月比+0.3%と、速報値+0.4%から下方修正されたほか、企業の設備投資の先行指標となる製造業受注・資本財(航空機を除く非国防)改定値は前月比‐0.4%と、4カ月ぶりのマイナスとなった。一方、事前にマークイットが発表した米国の9月サービス業PMI改定値は50.9と予想や速報値に一致し、8月から改善した。9月総合PMI速報値は51.0と、過去最低となった8月から上昇した。3年ぶりの低水準に落ち込んだ米国のISM非製造業景況指数を受けて米国経済が景気後退入りするとの懸念が強まった。

 

米ISM製造業指数の50割れの過去のケース

米株『強気相場』11年半、米景気拡大が11年目に入り流石に市場は疲れ果て上昇モメンタムが削がれつつあるが、米ISM製造業指数が好不況節目50を割り込むも政策対応でリセッションを回避したケースが1979年以降6回あり、いずれも米国株はその後2年上げ相場のアノマリーがある。1979年以降、米ISM製造業指数が好不況の分岐点「50」を割り込み、その後リセッションに至ったケースが1979年、1981年、1989年(10月ブラックマンディ)、2000年(ITバブル崩壊)、2008年(リーマンショック)の7回ある。一方、同指数が「50」を割り込みながらも政策対応によりリセッションを回避したケースが6回(1985年、1995年、1998年、2002年、2012年、2015年)あり、注目すべきはリセッション回避の6回のケースでいずれも米国株がその後2年間にわたり上昇するというアノマリーを有している。

 

米国市場では9月雇用統計が公表

9月中旬の失業保険新規申請件数は21万人程度で推移しており、8月の同時期をわずかに下回っている。非農業部門雇用者数は8月実績の前月比+13.0万人程度をやや上回る見込み。失業率は雇用の拡大が続いていることから、8月実績の3.7%を若干下回る可能性がある。

 

欧米イベント

○15:15   インド中銀、金融政策決定会合(予想:5.15%に引き下げ)
○15:45   8月仏財政収支
○20:25   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○21:30   8月カナダ貿易収支(予想:10.0億カナダドルの赤字)
○21:30   8月米貿易収支(予想:545億ドルの赤字)
○21:30   9月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化14.5万人/失業率3.7%/平均時給、前月比0.3%/前年比3.2%)
○21:30   ローゼングレン米ボストン連銀総裁、講演
○22:00   9月ロシア消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.1%)
○23:00   9月カナダIvey購買部協会景気指数
○23:25   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○5日03:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、あいさつ
○6日 豪州が夏時間に移行
○6日 ポルトガル総選挙 

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/10/03/15:15:00

日経平均株価:前日米国株安と円高基調を嫌気

米9月ISM製造業景気指数が約10年ぶりの低水準となったことが引き続き嫌気されたほか、貿易を巡る米国とユーロ圏の対立も暗い影を落とし、米国の3指数が軒並み大幅安となったほか、ドル/円で1ドル=106円台まで円高に振れたことなどを受けて幅広く売られ、一時500円を超す下げとなった。結局、前日比436円安の2万1341円と大幅続落で終了した。

 

東京外国為替市場:リスク回避の動きが継続し107円前後でもみ合い

ドル/円は、今週発表された米経済指標が予想を下回ったことで世界経済の減速懸念から107円を割り込み、一時106.97円付近まで下落した。日経平均株価の大幅安も、リスク回避の円買いを誘った。しかし、9月24日につけた106.96円が下値の目処として意識されると、下げは一服した。その後は、国内輸入企業などがドル買い・円売りを持ち込み107.16円近辺まで切り返した。午後は、日経平均株価や米長期金利の動向をにらみながら、107.10円台を中心として狭いレンジでのもみ合い相場となった。ユーロ/ドルは1.09ドル台半ばで小幅な値動きに終始した。欧州勢参入待ちの様相となっている。

 

ニトリHD会長の年末に向けての為替相場

ニトリホールディングスの似鳥昭雄会長は2日に都内で開いた決算説明会で、外国為替相場について『年末に向けて1ドル=100円~105円の間で推移するのではないか』と述べた。8月に1ドル=105円53銭で下期決済見込み分の予約を締結したと説明したうえで、下期に来期分の為替予約をするかどうか検討する考えを示した。
併せて、米中貿易摩擦の影響で米景気が下振れる可能性があるほか、日本経済も消費増税などにより景気が落ち込む見通しだと述べた。そのうえで同社の業績については『あまり良い状況ではないが、準備をしてきたので増収増益を達成していきたい』と語った。

 

欧州市場では8月ユーロ圏小売売上高が公表

7月実績は前月比▲0.6%だった。衣料品販売などが落ち込んだ。6月に増加した反動が出た。8月については伊商品の売り上げは多少持ち直すと見られているが、その他の項目についてはまちまちとみられており、小幅な増加にどどまる見込み。

 

世界に拡大する過剰債務がリスク要因

米企業(非金融部門)の債務残高は08年の金融危機前の水準を超えた。パウエル氏は『(08年の)住宅ローンバブルの再来という声と、心配は不要だという両極端な見方があるが、真実はおそらくその中間』とした。とりわけ、信用力の低い企業向け『レバレッジ・ローン』の残高が1年で20%も増え、その資金源ローン担保証券が金融システムのリスクになると警戒される。大手銀行は資本増強などで健全性が増したが、リスクの高い企業債務は、非銀行部門から資金供給されている。米債務拡大は低格付企業の過剰債務だけではない。NY連銀の調査によれば、1-3月期の全米家計債務残高が13兆6680億ドルと前期比+1240億ドル、9期連続でリーマンショック前(08年7-9月期)の12兆6800億ドルを超え、過去最高を更新した。『借金漬け』は米中に限らない、リーマンショック以降に顕著となったのが新興国の債務急拡大である。その借入とCP、 社債等の残高は08年後半の名目GDP比 80%から18年3月末の10年間に同144%まで一挙に膨らんでいる。因みに、2019年3月末の新興国の家計債務の対名目GDP比は、韓国92.1%、香港73.2%、タイ68.9%、マレーシア68.0%、中国53.6%、シンガポール53.6%といずれも50%超と高水準が続いている。韓国、香港、中国の直近値は統計以来の過去最高の債務水準にある。世界的に拡大する過剰債務が世界経済及び株価のリスク要因として横たわる。

 

米9月雇用統計は米景気先行きのカギ

市場エコノミストの平均予想は失業率が3.7%と、8月と同様ほぼ50年来の低水準を維持、非農業部門雇用者数は前月比+14.8万人と、伸びは2カ月連続で鈍化後、拡大が予想されている。雇用統計の先行指標の中で相関関係が強いとされるADP雇用統計の9月分は前月比+13.5万人と、伸びが予想+14.0万人を下回り6月来で最小となった。また、8月分も+19.5万人から+15.7万人に大きく下方修正されるなど、雇用の伸びがピークをつけたことが再表明される可能性もある。米国経済で製造業が占める割合は3割ほどに過ぎない。しかし、製造業の雇用が予想以上に悪化し、全体指数を一段と押し下げる可能性も除外できない。 貿易の不透明性や世界経済の成長減速で製造業の鈍化が避けられないものの、強い雇用が消費を支え、年内の経済が順調に成長するというのが、今のところFOMCメンバーなどの見通しで、基本路線となっている。ただ、もし、消費を支えると期待されている強い雇用市場がくずれた場合、成長期待も大きく後退することになる。

 

欧米イベント

○15:45   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○16:00   9月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比1.38%/前年比9.70%)
○16:45   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○16:50   9月仏サービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値(予想:51.6)
○16:55   9月独サービス部門PMI改定値(予想:52.5)
○17:00   9月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:52.0)
○17:00   レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○17:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○17:30   9月英サービス部門PMI(予想:50.3)
○18:00   8月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比▲0.3%/前年比▲0.5%
○18:00   8月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比0.3%/前年比1.9%)
○20:30   9月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:30   クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.5万件/165.4万人)
○22:45   9月米サービス部門PMI改定値(予想:50.9)
○22:45   9月米総合PMI改定値
○23:00   8月米製造業新規受注(予想:前月比▲0.2%)
○23:00   9月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:55.0)
○23:00   テンレイロ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○4日01:10   メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○4日02:00   カプラン米ダラス連銀総裁、講演
○米財務省3年、10年、30年債入札条件
○中国(国慶節)、韓国(建国記念日)、休場

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/10/02/15:13:37

日経平均株価:米国株安も割安感から底堅い展開

前日の米国株主要3指数が下落し、為替市場でも1ドル=107円後半と円高方向に振れたことで、朝方から売りが先行した。ただ、寄付き後に安値を付けた後は下げの勢いは強まらず、マイナス圏でもみ合う展開となった。また、北朝鮮のミサイル発射や懸念された香港情勢の影響も限定的となった。市場からは『日本株は割安との見方から海外投資家の資金が入っている』との指摘もあった。結局、前日比106円安の2万1778円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:米中通商協議の進展期待からドル下げ渋る

ドル/円は、前日に発表された米9月ISM製造業景況感指数が、およそ10年ぶりの低水準を記録した余波が続き、107.61円近辺まで下落した。しかし、来週に再開される米中通商協議の進展期待から、下げは一服した。その後は、国内輸入企業などがドル買い・円売りに動き、107.80円近辺まで値を持ち直した。米長期金利が上昇したことも、ドルの買い戻しにつながった。午後もこの流れは続き、日経平均株価の下げ幅縮小にも支えられ、107.89円付近までじり高となった。しかし、ドル買い・円売りは続かず、107.80円を挟んでもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、1.0935ドル前後でこう着相場となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

英国がEU離脱の最終提案を示す見通し

ジョンソン英首相は2日、欧州連合(EU)と新たな離脱協定案を結ぶための最終提案を示す見通しである。EUがこの提案について協議に応じない場合は、さらなる交渉はせずに予定通り10月31日に離脱する考えも表明する。 ジョンソン氏は与党・保守党大会を締めくくる党首演説を行い、最終提案は『十分かつ妥当な譲歩』と語り、EUに送付すると表明する見通し。ブレグジット(EU離脱)に関する強硬姿勢は堅持するとみられる。首相府が公表した演説原稿の抜粋によると、ジョンソン氏は、EU離脱を決めた国民投票から3年半経った今、『国民はこの国にブレグジットを全く実現したがらない勢力がいると疑い始めている』と指摘した。『10月31日にブレグジットを果たそう。そうすれば2020年にこの国は前進できる』と強調する。

 

米9月ISM製造業景況指数はリセッション水準まで低下

米供給管理協会(ISM)が発表した9月ISM製造業景況指数は47.8と、改善予想に反して8月49.1に続いて50を割り込み活動の縮小を示した。50は活動の拡大と縮小の境目となる。景気後退から脱出した2009年6月来で最低を記録した。7-9月期の平均は49.4と、50割れとなった。2012年10-12月期以降で初めての50割れとなる。製造業が7-9月期国内総生産(GDP)の成長を抑制する可能性が示唆された。特に、関税の影響で輸出は41と、景気後退時の2009年3月来で最低を記録した。関税が世界経済のみならず米国経済の製造業をもリセッション水準に陥れている兆候が出始めた。雇用は2016年1月来で最低となった。入荷遅延を除いて、重要な項目となる新規受注を含めて全項目が50を割り込んだ。 ISM結果を受けてアトランタ連銀は7-9月期のGDP成長見通しを従来の2.11%から1.78%へ引き下げた。9月のFOMCで公表されたスタッフ予測によると、FOMCメンバーの過半数は年内金融政策の据え置きを予想していた。一方、市場は、年内少なくともあと1回の利下げを織り込み始めた。

 

10日から2ヵ月ぶりに米中の閣僚級の貿易交渉開始

アメリカの政府高官は、米中の閣僚級の貿易交渉が今月10日からワシントンで行われるという見通しを明らかにした。閣僚級の交渉はおよそ2ヵ月ぶりで、農産品や知的財産権などの問題をめぐって進展があるのかどうか注目される。関税引き上げの応酬で自国の経済に影響が出ている米中両政府は、今月、およそ2ヵ月ぶりとなる閣僚級の貿易交渉をワシントンで行うことで一致している。これについて、アメリカのナバロ大統領補佐官は1日、FOXテレビの番組に出演し、『中国の劉鶴副首相を10月10日に迎える』と述べ、ライトハイザー通商代表らとの閣僚級の交渉が今月10日から行われるという見通しを明らかにした。

 

トランプ大統領の職権乱用の可能性がオーストラリアでも浮上

トランプ米大統領が2020年大統領選で自らに有利になるよう他国に協力を働きかけた可能性が、ウクライナに続いてオーストラリアでも浮上した。大統領の職権を乱用したとしてトランプ氏への攻勢を強める野党・民主党を勢いづかせるのは確実となった。広がる疑惑が共和党支持層からの不信を買えば、トランプ氏弾劾の行方にも影響を与えかねない。複数の米メディアによると、トランプ氏は最近のモリソン豪首相との電話協議で、16年の米大統領選にロシアが介入した疑惑の捜査過程に問題がなかったかを検証する米政府の調査へ協力を求めた。電話は、このロシア疑惑捜査の検証作業を担うバー司法長官の依頼によるものだった。豪政府はロシア疑惑の発端となる情報を、米連邦捜査局(FBI)にもたらしたとされる。もし情報提供の中身が不適切で、FBIがトランプ氏を追い落とすために捜査を推進したとトランプ氏が主張できれば、疑惑捜査の信頼をおとしめて民主に打撃を与えられる。『豪政府は調査されている事実解明の取り組みをいつも支援してきた。モリソン首相はトランプ氏との会話でいま一度、支援する用意があると確認した。』豪政府報道官は1日公表した声明で、トランプ氏から協力要請があったことを認めた。

 

欧米イベント

○15:30   9月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.1%)
○15:30   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○17:30   9月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:45.0)
○未定   ポーランド中銀、政策金利発表(予想:1.50%で据え置き)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:00   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○21:15   9月ADP全米雇用報告(予想:14.0万人)
○22:00   4-6月期ロシア国内総生産(GDP)確報値(予想:前年比0.9%)
○22:00   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○23:30   EIA週間在庫統計
○23:50   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演

 

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/10/01/15:12:24

日経平均株価:円安と日銀短観を好感した買い優勢

前日の米国株市場が上昇したことや、為替が円安に振れたことが好感され、幅広く物色された。また、9月日銀短観が予想を上回ったことも注目された。しかし、市場では、日銀短観発表後も米国ISM非製造業景況指数など、見極めたい指標が控えていることから様子見ムードがあり、前場中盤から伸び悩む展開となった。結局、前日比129円高の2万1885円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:108円台前半でもみ合う展開

ドル/円は、国内輸入企業のドル買い・円売りや日経平均株価の反発に支えられ、108.20ン円近辺までじり高となった。米長期金利が上昇したことも、ドルの押し上げ要因となった。午後もこの流れは続き、108.30円近辺まで値を上げた。しかし、108.45円前後がレジスタンスとして意識されると、上げは一服した。その後は、今晩発表される米9月ISM製造業景況指数やFRB要人の講演を控えて様子見ムードが広がり、108.20円を挟んでもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、1.0890ドル前後で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

豪準備銀行(RBA)は予想通り政策金利引き下げ

RBAは予想通り政策金利を25bp引き下げることを発表し、声明文で今後の金融政策について前回の『必要であればさらなる金融緩和を行う』から『必要であればさらなる金融緩和を行う用意がある』に変更したことで、やや緩和に消極的になったとの見方から発表後は豪ドル買いで反応した。しかし、『労働需要の先行指標は雇用の伸びが鈍化する可能性を示唆している』と雇用市場の先行きに弱気な姿勢を示したことで一転豪ドル売りで下落した。 

 

韓国の消費者物価指数(CPI)の前年比マイナス:経済減速懸念

韓国統計庁が発表した9月のCPIは前年同月比0.4%の下落となった。韓国のCPIが前年比マイナスとなるのは1965円の統計開始以来で初めてとなった。9月の輸出も落ち込みが続き、経済減速の懸念がある。韓国銀行(中央銀行)は7月に利下げを実施したが、10月16日の会合に向けた追加利下げを求める圧力が強まる可能性がある。消費低迷による需要減に加えて、農産品の価格下落が響いた。教育無償化の拡大なども下押し圧力になった。

同じく1日に発表の9月の貿易統計によると、韓国の輸出額は前年同月比11.7%減の447億米ドルとなった。前年実績を下回るのは10ヵ月連続となった。輸入は5.6%減の387億米ドルだった。半導体市場の悪化や米中貿易摩擦の長期化による下押し圧力が続いた。貿易収支は59億米ドルの黒字だった。

韓国経済を支える半導体輸出は32%減となった。石油化学製品も18%下と振るわなかった。地域別では最大の輸出先である中国向けが22%減となり、米国向けも2%減だった。日本向けは6%減となった

 

日銀短観で製造業を巡る悲観論は行き過ぎだった可能性:ゴールドマン

ゴールドマン・サックス証券は1日付けのリポートで、この日に発表された日銀短観(9月調査)に関して『業況判断DIは、ヘッドラインの大企業・製造業で+5と、6月から2ポイント悪化したものの、市場予測(+1)は大きく上回った。悪化は3四半期連続となるが、米中貿易摩擦の再燃や中国景気の不安定性などに端を発する製造業を巡る悲観論は幾分行き過ぎだった可能性が示唆される』と指摘した。その上で『12月先行きDIは、企業規模を問わず、製造業・非製造業の双方で広く悪化が見込まれているが、悪化幅は非製造業でより顕著だ』としながら、『注目は、消費増税の影響が懸念される小売よりもむしろ、情報サービス、建設などでの悪化が目立つ点だ。建設での大幅悪化見込みは、東京オリンピック関連需要の一巡などが影響している可能性がある』と指摘していた。

 

モルガン・スタンレーの最新リポート:米の制裁関税拡大ならば成長率減速

2019年9月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)について、輸出受注の堅調な伸びを受けて予想を小幅に上振れたと指摘した。ただ、貿易情勢は依然として緊張が高まっていることから、中国当局は景気対策を継続する必要があるとの見方を示した。また、9月のPMIは前月から上昇したものの、依然として50を下回っており、7-9月期の中国国内総生産(GDP)成長率が当局目標の下限に当たる6%に減速すると予想している。 PMIが9月の水準を維持できるかも未知数で、米国が10月と12月に中国製品への制裁関税を拡大すれば、中国のGDP成長率は5.8%まで減速する可能性もあるとした。
財政部などによる2020年特別債の発行にも言及した。10-12月GPD成長率を0.75-1ポイント押し上げるために、当局は引き続インフラ投資の拡大を促す必要があるとの見方を示した。

 

米国市場では9月ISM製造業景況指数が公表

8月実績は49.1と2016年8月以来初めて50を割り込んだ。新規受注指数は47.2で2012年6月以来の低水準となった。輸出向け新規受注や雇用指数も大幅に悪化した。9月については、新規受注と雇用が多少持ち直す可能性があるものの、他の分野における改善はあまり期待出来ないことから、50近辺の水準にとどまる可能性がある。

 

欧州イベント

○15:00   9月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.1%)
○15:30   8月スイス小売売上高
○16:00   9月トルコ製造業購買担当者景気指数(PMI)
○16:15   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○16:30   9月スイスSVME購買部協会景気指数(予想:46.5)
○16:50   9月仏製造業PMI改定値(予想:50.3)
○16:55   9月独製造業PMI改定値(予想:41.4)
○17:00   9月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:45.6)
○17:30   9月英製造業PMI(予想:47.0)
○18:00   9月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比1.0%)
○18:00   9月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比1.0%)
○18:20   ロウRBA総裁、講演
○21:30   7月カナダ国内総生産(GDP、予想:前月比0.1%/前年比1.4%)
○21:50   クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長、あいさつ
○22:30   ボウマンFRB理事、講演
○22:45   9月米製造業PMI改定値(予想:51.0)
○23:00   9月米ISM製造業景気指数(予想:50.1)
○23:00   8月米建設支出(予想:前月比0.4%)
○2日01:45   ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○2日02:30   バイトマン独連銀総裁、講演
○2日03:00   9月ブラジル貿易収支(予想:32億ドルの黒字)
○中国、香港(国慶節)、休場

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/09/30/15:16:37

日経平均株価:米中の中傷協議を巡る不安感から売り優勢

トランプ政権が米証券取引所に上場する中国株の廃止を検討しているとの報道で、前週末の米国株が下落した。東京市場もその流れを引き継いで朝方から幅広い銘柄に売りが先行した。。その後も目ぼしい買い材料が乏しく、マイナス圏でのもみ合いが続いた。米中の通商協議を巡っては閣僚級協議がワシントンで10月10-11日に開催される予定だが、米中対立の新たな火種になる可能性が出てきた。利益確定売りに押され一時下げ幅を140円に広げた。結局、前週末比123円安の2万1755円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:107円台後半でのもみ合い相場

ドル/円は、月末・半期末に絡む国内輸入企業などのドル買い・円売りに支えられ、一時108円台に乗せる場面があった。しかし、27日に伝わった『トランプ米政権が対中投資制限を検討している』との報道が意識されているため、上値を追う動きは限られた。その後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、107.95円を挟んでもみ合いとなった。午後は日経平均株価の下げ幅拡大を眺めて107.75円付近まで下落した。米長期金利が小幅ながら低下したこともドル売りにつながった。ユーロ/ドルは、1.0935ドル前後で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国製造業PMIは50を5ヵ月連続で割り込む

中国国家統計局が発表した9月の製造業PMIは49.8と、8月の49.5から小幅上昇したものの、景況拡大と悪化の分かれ目となる50を5ヵ月連続で割り込んだ。市場は8月から横バイの49.5と予想していた。9月非製造業PMIは53.7で、8月の53.8からやや低下した。節目の50は引き続き上回った。製造業と非製造業を合わせた総合PMIは53.1と8月の53.0から上昇した。新規受注指数は50を回復し、内需の改善をうかがわせる結果となった。ただ、新規輸出受注指数は前月から小幅上昇したものの16ヶ月連続で50を下回った。生産高指数も新規受注の増加を背景に前月から上昇した。雇用指数は47.0と前月の46.9からやや改善したが、先行きへの不透明感が強く引き続き50を下回った。

 

財新9月中国製造業PMIは改善方向

財新/マークイットが発表した9月の中国製造業PMIは51.4と、昨年2月以来1年7ヵ月ぶりの高水準を記録した。生産と新規受注の増加を背景に、製造業の緩やかな回復を示す予想外の好内容だった。PMIは8月の50.4から上昇し、景況拡大と悪化の分かれ目である50を2ヵ月連続で上回った。内需の回復が主導する形で景況が拡大していることが明らかになった。外需の動向を示す新規輸出受注は、米中貿易摩擦が続く中、4ヵ月連続で減少した。外需が軟調な中でも新規受注は全体で増え、18ヵ月ぶりの高水準を付けた。生産も拡大し、昨年8月以来の高水準となった。

 

ウクライナ問題はバイデン前大統領候補の支持率つぶしの可能性も

米議会下院の情報特別委員会は9月26日、トランプ大統領がウクライナのゼレンスキー大統領に対し、バイデン前副大統領に関する調査を要請した電話協議を巡る内部告発上を公表した。告発者はこの行為が『トランプ氏が大統領職権を使って2020年の大統領選に向けて外国政府の介入を求めたもの』と指摘した。

定数435の下院過半数(218)を超える219人の民主党議員が既に弾劾訴追に賛成の意向を表明した。もっとも、下院の訴追を受け、弾劾裁判を行うのは共和党が多数派を占める上院である。有罪にするには上院の3分の2以上(67議員以上)の賛成を必要とし、弾劾・訴追の可能性は極めて低い。

民主党の大統領候補がウォーレン女史なら『60対40』でトランプ優勢、バイデン氏なら『52対48』の僅差が予想されている。そのため、『バイデンつぶし』を強めた可能性もあるとの見方である。直近メディアの世論調査で初めてウォーレン上院議員が僅差ながらもバイデン前副大統領を上回った。トランプ大統領にとって、ウォーレン女史が民主党の大統領候補となれば再選の可能性が高まると考えているのかもしれない。

 

10月は1年でもっともNYダウが大暴落しやすい月

10月は、ニューヨーク株式市場が下落する傾向にある月と言われている。その理由は、12月の個人所得の申告を控えて、配当の支払いなどを完了させるため、投資信託の決算期末が10月に集中しているからと言われている。しかし、1991年から2018年の月足では、陽線を勝ち・陰線を負けとすると19勝9敗と陽線で終わることが多い。そのため、決して下落しやすい月というわけではない。暴落的な動きになりやすい月となっている。NYダウの下落率トップ10の内8回が10月に起きている。

・第1位:1987年10月19日(▲22.61%:▲508ドル)※ブラックマンデー
・第2位:1929年10月28日(▲13.4%:▲41ドル)※暗黒の木曜日
・第3位:1929年10月29日(▲11.7%:▲31ドル)
・第4位:1931年10月 5日(▲10.7%:▲10ドル)
・第5位:1929年11月6日(▲9.9%;▲26ドル)
・第6位:1987年10月26日(▲8.04%:▲157ドル)
・第7位:2008年10月15日(▲7.87%:▲733ドル)
・第8位:2008年12月1日(▲7.70%:▲680ドル)
・第9位:2008年10月9日(▲7.33%:▲679ドル)
・第10位:1997年10月27日(▲7.18%:▲554ドル)

 

欧米イベント

○15:00   8月独小売売上高指数(予想:前月比0.5%/前年比2.9%)
○15:00   8月南アフリカマネーサプライM3(予想:前年比7.45%)
○16:00   9月スイスKOF景気先行指数(予想:96.2)
○16:00   8月トルコ貿易収支(予想:25億ドルの赤字)
○16:55   9月独雇用統計(予想:失業率5.0%/失業者数変化5000人)
○17:30   4-6月期英国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比▲0.2%/前年比1.2%)
○17:30   4-6月期英経常収支(予想:195億ポンドの赤字)
○17:30   8月英消費者信用残高(予想:9億ポンド)
○17:30   8月英マネーサプライM4
○18:00   8月ユーロ圏失業率(予想:7.5%)
○19:00   外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○21:00   9月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.1%/前年比1.3%)
○21:00   8月南アフリカ貿易収支(予想:12億ランドの黒字)
○21:30   8月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比▲0.5%)
○21:30   8月カナダ原料価格指数(予想:前月比▲1.5%)
○22:45   9月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:50.2)
○ニュージーランドは29日から夏時間に移行済み

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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