FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2019/11/13/15:12:39

日経平均株価:円高と香港情勢の緊迫化を嫌気

前日の上昇の反動などで売りが先行していたが、混乱する香港情勢を嫌気して香港ハンセン指数や上海総合株価指数が軟調に推移すると、日経平均も一時250円近くまで下げ幅を拡大した。結局、前日比200円安の2万3319円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:株価の動向をにらみながら109円を挟んでもみ合い

ドル/円は、日経平均株価の下げ幅拡大を眺めたドル売り・円買いが先行し、108.87円近辺まで下落した。しかし、米中通商交渉の行方を見極めたいとの雰囲気から、下押しは限られた。その後は、国内輸入企業などがドル買い・円売りに動き、109.10円近辺まで持ち直した。上海総合株価指数の下げ渋りで、過度なリスク回避姿勢が和らいだことも円売りを誘った。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、109.05円を挟んでもみ合う展開となった。昨日注目されたトランプ大統領の演説は目新しい材料もなく、米中貿易協議の不透明感から、市場には失望感が漂った。本日はパウエルFRB議長の議会証言に注目が集まっている。ユーロ/ドルは、1.10ドル台前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ファーウェイは破格な現金報酬で米国の規制を乗り切れるか

中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)は12日、米国のファーウェイ規制を乗り切ることに貢献した従業員に20億元(2億8600万ドル)の現金報酬を与えると明らかにした。米国は5月、ファーウェイに対して米国企業とのビジネスをほぼ禁じた。これにより、主要部品の調達を阻害された同社は米国製品の代替品を探し続けている。
ロイターが確認した従業員向けの通知によると、ファーウェイの人事部は現金報酬について、米国の圧力に直面する中での仕事ぶりを評価するものだと指摘。同社の広報担当者はまた、19万人の従業員のほぼ全てを対象に今月の給与を倍にすると明らかにした。広報担当者によると、現金報酬は研究・開発チーム、およびサプライチェーンの米国脱却のために働いている従業員らに与えられる見込み。

 

豪州のニューサウスウェールズ州の全域78ヵ所で火災が制御不能

オーストラリア東部ニューサウスウェールズ州を襲っている大規模森林火災で12日、最大都市シドニーにも一時火の手が及んだ。同州当局は消防士約3000人態勢で対応し、国防軍も支援した。州内では数百校が臨時休校となった11日から7日間の非常事態を宣言した州は12日、シドニー一帯に強風が吹き最高気温が37度に達するとの予報が出ていたため『壊滅的な火災の危険』が迫っていると警告した。警戒水準を最高レベルに引き上げていた。一帯は国全体の人口の5分の1に相当する約500万人以上が集中する。

 

トランプ大統領の弾劾訴追に向けテレビ中継:場合によってはリスク回避

トランプ米大統領のウクライナ疑惑をめぐる弾劾調査で、野党民主党が主導する下院委員会は13日(日本時間14日未明)、政府高官による初の公開証言を開く。年内を視野に入れたトランプ氏の弾劾訴追に向け、テレビ中継される質疑を通じて世論の支持を広げたい考えだ。9月下旬に始まった弾劾調査は、約15人の高官や元高官から非公開で聴取。バイデン前副大統領のスキャンダルに関する調査をウクライナに約束させるため、トランプ氏が権力を駆使して同国のゼレンスキー大統領に圧力をかけた疑いを追及してきた。13日に登場するテイラー駐ウクライナ臨時代理大使は、対ウクライナ軍事支援がバイデン氏に関する調査を実施させる見返りだったと最初に証言した高官。軍事支援がなければ『(国境地帯で交戦する)ロシアの思うがままになる』との恐れを抱き、辞任を考えたことも明かした。公正中立な外交官の立場から、トランプ氏の『権力乱用』の実態を白日の下にさらすことを野党は期待する。

 

米国市場では10月消費者物価指数コア指数が公表

9月の実績は前年比+2.4%だった。インフレ鈍化の兆しはみられないものの、中古車価格の下落が全体の物価上昇率をやや抑制した。10月については、中古車価格の下落が続くとみられているが、住居費の上昇が続いていること、医療費は増加する可能性があることから、コア物価上昇率は9月実績と同水準となる可能性がある。

 

欧米市場イベント

○16:00   10月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.1%/前年比1.1%)
○17:30   10月スウェーデンCPI(予想:前月比横ばい/前年比1.6%)
      コア指数(予想:前月比0.1%/前年比1.5%)
○18:30   10月英CPI(予想:前月比▲0.1%/前年比1.6%)
       CPIコア指数(予想:前年比1.7%)
        小売物価指数(RPI、予想:前月比▲0.1%/前年比2.2%)
○18:30   10月英卸売物価指数(PPI、食品とエネルギーを除くコア指数、予想:前年比1.5%)
○19:00   9月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比▲0.3%/前年比▲2.3%)
○20:00   9月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比1.9%)
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:00   9月ブラジル小売売上高指数(予想:前年同月比2.1%)
○22:00   7-9月期ロシア国内総生産(GDP)速報値(予想:前年比1.6%)
○22:30   10月米CPI(予想:前月比0.3%/前年比1.7%)
       エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比2.4%)
○14日01:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、米上下両院合同経済委員会の公聴会で証言
○14日04:00   10月米月次財政収支(予想:1330億ドルの赤字)
○米議会でトランプ大統領弾劾調査の公聴会
○米・トルコ首脳会談(ワシントン)
○新興5カ国(BRICS)首脳会議(ブラジリア、14日まで)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2019/11/12/15:12:53

日経平均株価:売りポジションの買い戻しで午後上げ幅拡大

週明けの米国株式市場はさえない動きとなったものの、とりわけ目立った売り材料も見当たらないことから、強い基調を維持している。ただ、テクニカル指標に高値警戒感を示すものが目立つことから、上値に対して慎重な動きとなった。そのため、日経平均が下がるとみて午前ショート(売り)仕掛けした投資家が、想定よりも堅調な地合いをみて買い戻しを入れて一時上げ幅を200円超に広げた。結局、前日比188円高の2万3520円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:109.15円を挟んでもみ合う展開

ドル/円は、国内輸入企業などのドル買い・円売りや日経平均株価の反発に支えられ、109,21円まで上昇した。しかし、前日に付けた109.25円が上値の目処として意識されると、上げは一服した。その後は、上海総合株価指数のさえない動きを眺めたドル売り・円買いが入り、109.15円を挟んでもみ合う展開となった。午後は日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、109.10円台を中心とした狭いレンジ内での値動きとなった。ユーロ/ドルは1.10ドル台前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

不況時に物価があがる中国経済:スタグフレーションに警戒

中国は、米中摩擦などによる景気減速を受けた雇用環境の悪化に加え、物価上昇による実質購買力の下押し圧力が財布の紐を固くしている。10月のインフレ率は前年比+3.8%と政府目標(3%)も上回り、豚肉の供給不足に伴う供給インフレが一段と鮮明になった。他方、雇用悪化を受けて需要インフレ圧力は後退しており、スタグフレーションが意識される状況にある。また、川上の物価に当たる生産者物価は国際商品市況の頭打ちを受けて鈍化し、10月も前年比▲1.6%とマイナス幅も拡大している。食料品価格の上昇圧力に伴い加工食品で物価は上昇する一方、原材料価格の低下は全般的に出荷価格の下押し圧力となっている。さらに、ECサイト間の価格競争激化は価格転嫁を難しくしている。スタグフレーションが意識されるなかで政策余地は縮小しており、米中摩擦の不透明感も景気の重石となり得る。独身の日のセールは活況を呈しようが、「その後」の家計消費は力強さを欠く展開が続く。

 

最新の英国の支持政党の支持率

英調査会社ICMが実施した最新の世論調査では、12月12日投開票の総選挙に向け、ジョンソン首相率いる与党保守党の支持率は1%ポイント上昇し39%となった。なお、野党・労働党は31%と変わらず。欧州連合(EU)残留派の自由民主党は15%と横ばい、ブレグジット党は1%ポイント低下し8%となった。

 

マイナス金利の先駆者スウェーデン中銀がマイナス金利から脱出

スウェーデン国立銀行(中央銀行、リクスバンク)は今年12月に政策金利であるレポ金利を現行のマイナス0.25%からゼロ%へと引き上げる方針である。プラン通りであれば、リクスバンクはマイナス金利からの脱却という意味でも各国中央銀行の先陣を切ることになる。その説明を裏読みすれば、『収拾がつかなくなる前に止めておく』といったところ。 そもそも、マイナス金利という発想は、スウェーデンが先駆者だった。リクスバンクが超過準備金に対する金利をマイナス0.25%に引き下げたのは2009年だった。それ以来、他の先進諸国の多くも同じ決断に踏み切った。スウェーデンはマイナス金利を試す際にも先陣を切った。同国の最新の実験が明らかな害をもたらさないようであれば、他国もマイナス金利の世界から脱出しようという勇気を奮い起こす可能性がある。

 

トランプ大統領が12日にNYで講演

トランプ大統領が米東部時間の12日昼、エコノミック・クラブ・オブ・ニューヨークで講演を行う。ワシントンタイムズ紙では、『ホワイトハウス関係者は、トランプ氏が演説の中で中国との貿易問題を取り上げると述べたが、詳細は明らかにしなかった』と報じた。米中の貿易協議でフェーズ1の合意内容を巡って見解の相違が明らかになる中、トランプ氏の口から前向きな発言が出るのか関心が高い。

 

13日のパウエル米FRB議長の議会証言に注目

FRBのパウエル議長が13日に議会証言を行うほか、FRB幹部による講演も相次ぐ。12月FOMCでの利下げ有無や、今後の利下げ回数やスケジュール、残りの利下げ幅などに関しての考え方が注目されやすい。現状段階で米中貿易交渉への不透明感は残されているが、一旦の最悪期通過に対する期待感が高まっている。最近の米国指標は下げ止まりも見られているほか、今後は過去3回の利下げによる景気刺激効果や、米年末商戦への期待感、英国の合意なきEU離脱リスクの後退などにより、FRBが『当座の様子見姿勢』を示す可能性もある。その場合はドル/円を含めて、全般的にドルの支援材料となりやすい。ただし、過度に市場の『利下げ残存余地』期待が否定されると、米国株の高値警戒売りにつながる。同時進行で米債金利の上昇(債券価格は下落)が加速され、『金利差要因のドル高』が『米国株など世界株安によるリスク回避への円高』に波及する可能性あり注意が必要となる。

 

欧米イベント

○16:00   7-9月期ノルウェー国内総生産(GDP)
○16:00   9月トルコ経常収支(予想:20億ドルの黒字)
○17:00   クーレ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○17:30   メルシュECB専務理事、講演
○18:30   10月英雇用統計(予想:失業保険申請件数推移2.13万件/失業率なし)
○18:30   7-9月英失業率(ILO方式、予想:3.9%)
○19:00   11月独ZEW景況感指数(予想:▲13.0)
○19:00   11月ユーロ圏ZEW景況感指数
○19:30   クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○13日02:00   トランプ米大統領、講演
○13日02:55   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2019/11/11/15:15:00

日経平均株価:香港のデモ混乱を嫌気した売り優勢

前週末の米国株式市場が上昇した流れを引き継ぎ、朝方は買いが先行した。上げ幅を一時80円近くまで拡大した。ただ、その後は米中通商協議をめぐる不透明感や連騰後の高値警戒感などから売りが優勢となり、マイナス圏に沈んだ。香港で警官とデモ隊が激しく衝突し、混乱が広がっていることを懸念材料となり、午後から軟調地合いで推移した。結局、前日比60円安の2万3331円と5日ぶりに反落して終了した。

 

東京外国為替市場:香港のデモでの混乱を嫌気してリスク回避

ドル/円は、日経平均株価の反落や中国株安をながめたドル売り・円買いに押され、109.00円近辺まで下落した。香港で警官とデモ隊が激しく衝突し、混乱が広がったこともリスク回避の円買いを誘った。午後に入ってもドル売り・円買いは続き、108.97円近辺まで値を下げる場面があった。しかし、米中通商交渉の行方を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、日中の株価動向をにらみながら、109.05円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは1.10ドル台前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

英国のEUからの合意なき離脱の可能性残る

6日に英下院が解散し、12月12日の総選挙に向けての選挙戦が本格的に始まった。クリスマス前の繁忙期で天候も厳しい12月の総選挙は1923年以来となる。この総選挙はジョンソン首相にとって国民に初めて評価される『審判の場』であり、離脱の命運を有権者に委ねる『事実上の国民投票』でもある。最近の世論調査では、保守党はおおむね40%弱の支持率を保ち、2位の労働党に10%以上の差をつけている。世論調査は、ジョンソン首相が離脱の実現を国民に託す方針の正しさを示唆しているといえるが、過半数を取れるかどうかは不透明だ。2017年のメイ前政権下の総選挙で、世論調査では保守党の大勝が見込まれていたが、結果は過半数割れとなった。保守党が過半数を獲得できれば、EUと合意した離脱案で来年の1月末までの離脱の可能性が高まるが、保守党が単独過半数を獲得できなかった場合は離脱をめぐる不透明感は払しょくされず、『合意なき離脱』のリスクも残される。

 

米大手2銀行が金のポジションを解消

ウォール街の大手銀行2行は金のポジションを解消したという。米メディアによると「JPモルガン・チェースの資産配分チームは金のヘッジを解消するとともに投資判断を『オーバーウエート』から『アンダーウエート』に引き下げた」もよう。シティ・グループのストラテジストも「金のロングポジションを解消した」と7日付けのリポートで明らかにしている。米国株が史上最高値を更新し米国債の下落傾向が顕著な状況とあっては、1400ドル付近までの調整の可能性もあるので注意。

 

パウエルFRB議長とクラリダFRB副議長などの発言に注意

今週、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が両院経済合同委員会、下院予算委員会の公聴会で景気見通しに関して証言を予定している。リスクは依然、存続しており、金利のバランスは下向きだ。そのほか、FRBの中でもパウエル議長と同じく影響力のあるクラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長やウィリアムズ米NY連銀総裁も講演を予定しており、発言に注目が集まる。また、米国経済の7割を消費が占めるため注目される小売売上高の10月分も9月のマイナスからプラスに改善が予想されている。また、利下げを実施する一因ともなった重要なインフレ指標も発表予定されている。

 

予断を許さない米中通商協議の行方

11月中旬に予定されていた米中首脳会談が12月に先送りされる可能性が報じられたことで、米中通商『第1段階』の部分合意に向けた米中通商協議が難航しているのではないかとの警戒感が高まりつつある。10月の米中通商協議では、『第1段階』としての部分合意に到達し、中止となった11月16-17日のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて予定されていた米中首脳会談で合意文書に署名することが予定されていた。トランプ政権は、11月中に米国で米中首脳会談を開き合意文書に署名したい意向と報じられていたが、中国側が第1段階での米国産農産物輸入の見返りとして追加関税撤回を要請し、第1段階の部分合意に達した場合、段階的に関税を撤廃することを要請している模様で、予断を許さない状況が続いている。トランプ政権は、対中追加関税第1・2・3弾(約2500億ドル・25%)は30%への引き上げを保留し、第4弾(15%)として、9月15日(約1250億ドル)に発動し、12月15日(約1600億ドル)も発動を示唆している。

 

欧米イベント

○16:00   10月ノルウェー消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.2%/前年比1.8%)
○16:00   10月独卸売物価指数(WPI)
○18:30   9月英国内総生産(GDP、予想:前月比▲0.1%)
○18:30   7-9月期英GDP速報値(予想:前期比0.4%/前年比1.1%)
○18:30   9月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:100.00億ポンドの赤字/20.00億ポンドの赤字)
○18:30   9月英鉱工業生産指数(予想:前月比▲0.2%/前年比▲1.3%)
      製造業生産高(予想:前月比▲0.3%)
○21:00   9月メキシコ鉱工業生産
○21:00   9月インド鉱工業生産(予想:前年同月比▲2.3%)
○22:15   ローゼングレン米ボストン連銀総裁、講演
○12日00:30   メルシュ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○米国(ベテランズデー)、債券市場が休場
○ポーランド(独立記念日)、カナダ(リメンバランス・デー)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2019/11/08/15:12:12

日経平均株価:利益確定売りで上値の重い展開

米中通商協議が貿易戦争の過程で発動した追加関税を段階的に撤廃することで合意したことを受け、米国株式市場が最高値を更新し、その流れを受けて買い先行で始まった。ナバロ大統領補佐官の米FOXビジネスTVインタビュー「現時点で『第1段階』の合意に関税撤廃は含まれていない」発言が浸透し年金基金等の利益確定売りに押され、結局、前日比61円高の2万3391円と4日続伸して終了た。

 

東京外国為替市場:109円前半でもみ合う展開に終始

ドル/円は、前日の海外市場で焼く5ヵ月ぶりの高値109.49円をつけた反動から、利益確定売りや持ち高調整のドル売り・円買いが入り109.15近辺まで下落した。日経平均株価が朝高後に伸び悩み、一時マイナス圏へ転じたことも、円買いを誘った。しかし、米中通商交渉の行方を見極めたいとの雰囲気から下押しは限られ、109.20円前後でもみ合う展開となった。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、109.20円台を中心に狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、前日に発表された独経済指標が予想を下回り、欧州の景気減速懸念がくすぶっているため、1.10ドル台半ばで上値が重い展開となった。

 

米中通商協議の合意についてナバロ米大統領補佐官が否定

ナバロ米大統領補佐官は7日の米テレビ番組『フォックスビジネス』で、米中貿易交渉を巡り「『第1段階』ディールの条件として発動済みの関税を撤廃するという合意は、現時点ではない」と語った。中国商務部の高峰報道官は同日開いた記者会見で、通商協議の合意には「すでに発動した追加関税の撤廃が重要条件」と述べていた。
 しかしナバロ氏は、中国側の情報発信は交渉で主張を通すためのプロパガンダに過ぎない断じ、「合意を決められるのはトランプ米大統領ただ一人だ」と述べた。

 

世界の債務残高増が過去最大を更新

国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は7日、ワシントンでの講演で、世界の公的部門と民間部門が抱える債務が計188兆ドル(約2京円)に達し、過去最大を更新したと明らかにした。世界の国内総生産(GDP)の約2.3倍に当たり『債務の持続性や透明性の確保がより必要だ』と指摘し、リスク管理の強化を促した。

 

英中銀の利下げの行方は総選挙の結果次第

英国中央銀行(BOE)は7日に開催した金融政策決定会合で市場の予想通り金融政策据え置きを決定した。ただ、予想外に2名の金融政策委員会(MPC)委員が0.25ポイントの利下げを主張したことが明らかになった。英中銀はまた、EU離脱や世界的リスクが悪化した場合、利下げが必要になる可能性を指摘いした。さらに、カーニー総裁も会見で、『貿易の不透明感が世界経済の重しになる』と悲観的な見通しを示し、『景気見通しリスクが下方に傾斜した』と警告した。『もし、リスクが具体化したら、経済に補強が必要になる』と利下げも示唆した。英中銀がハト派姿勢に傾斜したにもかかわらず、エコノミストはもし選挙後、速やかに離脱が実行できれば英国中銀が利下げをする可能性は少ないと見ている。英国中央銀行のカーニー総裁はじめ委員は世界経済の弱さよりも、EU離脱の行方が英国経済を大きく左右すると見ている。

 

6日間少ない米年末商戦:配送サービスとセール前倒し対応

米年末商戦の開始を告げる感謝祭が目前に迫っている。今年は販売日数が例年よりも短いため、小売各社は配送サービスの加速やセールの前倒しを武器に商戦に挑む。
今年の感謝祭は11月28日と昨年より1週間遅いことから、クリスマスまでの商戦期間は6日少ない。小売各社はインターネット通販大手アマゾン・ドット・コムが展開する無料の1日配送サービスに攻勢をかけ、クリスマスなどの主要な期日までの商品配送に注力する。小売大手ウォルマートは今回初めて最低35ドルの購入で無料の翌日配送サービスを提供する。

 

今後大富豪VSウォーレン氏との税制論争は注目を浴びる

米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏(64)が6日、2020年米大統領選の民主党候補者レースでトップ争いを演じているエリザベス・ウォーレン上院議員(70)が提唱する富裕層への課税策について懸念を表明した。ウォーレン氏はすぐに『喜んで説明したい』と反応した。ウォーレン氏が掲げる『富裕税』は、富豪が持つ5000万ドル(約55億円)を超える資産に対して2%、さらに大富豪が持つ10億ドル(約1090億円)を超える資産には6%を毎年課税するというもの。大富豪を敵に回す税制は、ウォーレン氏の目玉政策の一つだ。一方のゲイツ氏は、米フォーブス誌によると1069億ドルの資産をもつ超大富豪だ。同氏は6日のイベントで、富裕税について言及した。『私は、スーパー累進的な税制にまったく賛成している。私は100億ドル超の税金を納めている。誰よりも税金を払っている。200億ドル払えとなっても構わない』と述べ、富裕層への課税に賛成の立場を示した。その一方で『しかし、1000億ドルの税金を払えとなると、私も資産がいくら残るのか、ちょっと計算し始めるだろう』と発言した。『インセンティブを与えるような制度が本当に必要だ。それが脅かされないことで、長期的な視野をもって進んでいくことができる』と述べ、ウォーレン氏の税制のもとでは、新たな起業や投資が停滞する恐れがあることを示唆した。

 

欧米市場イベント

○15:45   10月スイス失業率(季節調整前、予想:2.2%)
○16:00   9月独貿易収支(予想:195億ユーロの黒字)
○16:00   9月独経常収支(予想:191億ユーロの黒字)
○16:45   9月仏貿易収支(予想:48.00億ユーロの赤字)
○16:45   9月仏経常収支
○16:45   9月仏鉱工業生産指数(予想:前月比0.3%)
○22:15   10月カナダ住宅着工件数(予想:22.12万件)
○22:30   9月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比▲2.0%)
○22:30   10月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化1.59万人/失業率5.5%)
○24:00   9月米卸売売上高(予想:前月比0.1%)
○24:00   9月米卸売在庫(予想:前月比▲0.3%)
○24:00   11月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:95.9)
○9日01:45   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○10日 スペイン総選挙

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2019/11/07/15:19:11

日経平均株価:米中首脳会談の12月延期見通しが心理的重荷

米国株式市場は、ほぼ横ばいで決めてとなる材料が不足する中、早朝からドル/円がやや円高方向に振れたことが上値を重くした。米中貿易協議の部分合意を署名する米中首脳会談が12月にズレ込む可能性が報じられ米中協議先行き不透明感が重荷となり下げ幅を広げたものの引けにかけて買い戻され、結局、前日比26円高の2万3330円と3日続伸で終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利の低下でドル売り

ドル/円は、米中通商交渉の先行きを警戒したドル売り・円買いが入り、108.70円近くへ下落した。米長期金利が低下したこともドル売りを誘った。午後に入ってもこの流れは続き、108.61円まで値を下げた。しかし、下値では値ごろ感からドルの押し目買いが入り、下げは一服した。その後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、108.70円台を中心とした狭いレンジでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、欧州の景気減速に対する根強い懸念からユーロ売りが優勢となり、1.10ドル台後半から1.10ドル台半ばへ水準を切り下げた。

 

欧州市場では9月鉱工業生産を公表

8月実績は前月比+0.3%と減少予想に反して増加した。中間財と資本財の生産増加が寄与した。9月については資本財の生産はやや減少する可能性があること、輸出回復の兆しは見られないことを考慮すると、やや減少する可能性がある。

 

欧州市場では英中央銀行が金融政策を発表

英中銀金融政策委員会(MPC)の前回分の声明では、『英国の欧州連合(EU)からの離脱を巡る不透明感がさらに長引けば、需要が抑制されて供給過剰となり、国内の物価上昇圧力が徐々に低下していく』との見通しが示された。英国のEU離脱期限は来年1月末まで延期されたが、12月に総選挙が実施されることになり、需要増大の思惑は後退していることから、政策金利を含めた金融政策の現状維持が決定される見込み。

 

恐怖&欲望指数は米国株の過熱感を示唆

米中貿易戦争『停戦』合意期待に世界景気の再加速見通しが広がり米ダウ平均は史上最高値を更新したが、すでに米国株ブルベア指標が80%の強気と過熱感を示し、米ヘッジファンドがポジションメイクの参考にする米CNN『Fear & Greed index』(恐怖&欲望指数)が88(11月6日現在)へと急上昇し、買われ過ぎ『過熱感』に覆われつつある。米CNN 『Fear&Greed Index』(恐怖&欲望指数)は投資家心理の7つの指標を分析し、市場の『欲望』と『恐怖』の度合いを示すもので、80前後を超えると過剰欲望の過熱感を示しているとされる。少なくとも17-18年の『Fear&Greed』指数は80越えが一つの過熱ピークを示唆する数字として理解され、今回も88に上昇しただけに買われ過ぎ「過熱感」には注意が必要となる。

 

米民主党はウクライナ疑惑をめぐって議会で公聴会開始

アメリカのいわゆるウクライナ疑惑をめぐって、トランプ大統領の弾劾に向けた調査を進めている野党・民主党は来週、議会で公聴会を始めると明らかにした。公開の場で関係者に証言を求めることで、トランプ大統領の弾劾に向けて攻勢を強めたい考えとされる。公聴会は13日から始まり、ウクライナ政策に関わってきたアメリカ大使館のテイラー臨時代理大使ら2人が証言するという。

 

トランプ離れは本物か?

米国の地方選挙が5日、各地で投開票された。2016年の大統領選でトランプ大統領が圧勝した南東部ケンタッキー州の知事選では、接戦の末に民主党の候補が勝利を宣言した。東部バージニア州でも州議会の上下両院で共和党が占めていた過半数を民主党が奪うなど、大統領選を1年後に控え、民主党の勢いが浮かんだ。
米国では都市部で民主党、地方で共和党が強い傾向があり、中間に位置する郊外の動向が20年大統領選の行方に大きく影響すると言われている。昨年の中間選挙では、郊外に住む穏健保守層の『トランプ離れ』が表れ、民主党の勝利につながった。5日も、民主党候補が郊外で票を伸ばしており、この傾向が続いている模様だ。

 

欧米市場イベント

○16:00   9月独鉱工業生産(予想:前月比▲0.4%/前年同月比▲4.4%)
○21:00   英中銀金融政策委員会(MPC)2日目、終了後政策金利発表(予想:0.75%で据え置き、資産買取プログラムは4350億ポンドで維持)
○21:00   MPC議事要旨
○21:00   英中銀イングランド銀行、四半期ごとの物価報告(インフレリポート)
○21:00   10月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前月比0.07%)
○21:00   10月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.52%)
○21:30   カーニー英中銀(BOE)総裁、記者会見
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.5万件/168.3万人)
○8日03:00   米財務省、30年債入札
○8日03:05   カプラン米ダラス連銀総裁、講演
○8日05:00   9月米消費者信用残高(予想:150億ドル)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

4月 2024
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ページの先頭へ