FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2019/10/11/15:19:24

トランプ大統領と劉鶴副首相の会談

10日にワシントンで始まった米中の閣僚級通商交渉は、1日目の協議を終えた。トランプ大統領は、極めて良好な交渉だったと述べたほか、中国の劉鶴副首相と11にちにホワイトハウスで会談することを明らかにしている。ホワイトハウスによると、トランプ大統領と劉鶴副首相は米東部時間11日午後2時45分(日本時間12日午前3時45分)に会談する。

 

日経平均株価:米中閣僚協議への期待高まり買い優勢

米中通商協議に対する期待感に加え、外国為替市場でドル/円が108円台まで円安が進んだことが好感され、200円を超す上昇となった。業績予想を下方修正したスズキが買われるなど、悪材料に対して抵抗力を示す動きが出たことも注目された。トランプ大統領と中国副首相が11日に会談すると伝わり米中閣僚協議が予想以上の合意に向けて動いているとの期待感が買いを誘い香港ハンセン指数の大幅高も投資家心理を一段と強気に傾けている。結局、前営業日比246円高の2万1798円と続伸して終了した。

 

東京為替市場:米中通商協議への期待感からドル堅調推移

ドル/円は、連休前となり、仲値にかけて本邦輸入企業などのドル買い・円売りが通常より多く入り108.10円付近まで上昇した。ドル買い一服後は、107.95前後で小動きに終始した。トランプ米大統領は、劉鶴中国副首相と面談予定と報道されたが、目立った反応はなかった。午後に入ると、米中通商協議の結果を見極めようと、様子見ムードが強く107.95円を挟んでもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、1.0100ドル前後でこう着相場となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

前回のECBでは理事間の見解の相違が表面化

欧州中央銀行(ECB)は10日、9月11-12日に開催された定例理事会の議事録を公表した。域内19諸国の中央銀行の見解の相違が表面化した。ECBが広範な追加緩和を発表したのち、タカ派で知られるドイツのザビーネ・ラウテンシュレーガー理事は2022年1月の任期満了を待たずに辞任する意向を表明したことからも分裂は明らかだ。 6人の専務理事のうち欧州最大の経済を持つドイツと2番目に大きな経済のフランス2人が国債購入策の再開に反対していた。国債購入の再開に反対している委員は、『すでに債券利回りが低く、購入しても大きな効果が得られない』『このような手段は緊急時に取っておくべきだ』と主張した。しかし、結果的に、多くの反対にもかかわらず、全ての政策委員が弱い成長や低いインフレに対処する一段の刺激策が必要だということで合意した。国債購入の再開は『明確な過半数』に支持され、利下げも『非常に大差』で支持を得た。

 

米エコノミストの半数超は米系経済のリセッションの見方

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が今月実施したエコノミスト調査によれば、米製造業活動が2四半期以上連続で縮小するリセッション(不況)に陥っているとの見方が63.5%を占めた。また、年後半の米国経済の成長ペースは一段の鈍化が予想されている。2019年下半期の経済成長率について、エコノミスト予想の平均は7-9月期が1.82%、10-12月期が1.77%と、9月時点の1.92%、1.81%から低下した。

 

景気後退は予想しないが利下げを支持:ミネアポリス連銀総裁

カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁は10日、米経済のリセッション入りは予想していないとした上で、追加利下げへの支持を表明した。米WSJ紙のインタビューで『成長が続くというのが私の基本シナリオだ。景気後退は予想していないが、下振れリスクは増している』と指摘した。『今後の統計がこれまで通り追加利下げを支持する』と語った。同総裁は今年のFOMCで投票権を持っていない。

 

米国市場では10月ミシガン大学消費者信頼感指数が公表

9月の米消費者信頼感指数は、今年最大の低下となった。景気や労働市場に関する消費者の見通しが悪化した。信頼感は向こう数ヵ月、現在と大差ない水準で推移する可能性はあるが、この継続する不確実性が影響し、ある時点で低下し始める可能性がある。

 

欧米イベント

○15:00   9月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比横ばい/前年比1.2%)
○16:00   8月トルコ経常収支(予想:27.8億ドルの黒字)
○17:00   コスタ・ポルトガル中銀総裁、講演
○19:30   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○21:00   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○21:00   8月インド鉱工業生産(予想:前年同月比1.8%)
○21:30   9月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化1.00万人/失業率5.7%)
○21:30   9月米輸入物価指数(予想:前月比横ばい)
○23:00   10月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:92.0)
○12日02:15   ローゼングレン米ボストン連銀総裁、講演
○12日04:00   カプラン米ダラス連銀総裁、講演
○米中閣僚級貿易協議(ワシントン、最終日)
○トランプ米大統領と劉鶴中国副首相がホワイトハウスで会談(12日3時45分頃からの予定)
○13日 ポーランド総選挙

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/10/10/15:25:52

日経平均株価:米中通商協議の進展期待もあり底堅い展開

米中通商協議を巡る観測報道で一喜一憂する展開となった。朝方は協議不調が伝えられるなか、幅広い銘柄に売りが先行した。しかし、中国の劉鶴副首相の訪米日程に変更なしとの報道があり、ひとまず安心感につながった。米株先物が下げ幅を縮小したことや、ドル/円が107円台半ばまで切り返しことが支援材料となった。また、米紙NYタイムズ電子版が『トランプ政権が米企業に中国通信大手ファーウェイに機密上重要でない製品供給を近く認可』と報じて10日再開の閣僚級協議の進展期待が高まり買い優勢となった。結局、前日比95円高の2万1551円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:107円台半ばでもみ合い相場

ドル/円は、米中貿易協議を前に米中双方から強弱入り混じった報道が相次いで伝わったことから、107円台前半で一喜一憂する展開となった。その後、『米国が部分合意の一環で中国と通貨協定を検討』と報道されるとドル買いを誘い、107.75円台に上昇した。しかし、107円台後半では輸出企業などのドル売りが散見され、107.50-60円水準に下落した。午後は10-11日に開催される米中閣僚級貿易協議の結果を見極めようと様子見ムードが強まり、107.50円を挟んで小動きとなった。ユーロ/ドルは、1.0985-90ドル前後で小幅な値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

★英国の合意なき離脱の懸念が高まる

欧州連合(EU)のバルニエ首席交渉官は9日、欧州議会で証言し、英国とのEU離脱協議について『客観的に見てわれわれは今、合意を見いだせる状況にはない』と述べた。月末に離脱期限が迫る中、合意実現に悲観的な見方を示した。バルニエ氏は『たとえ非常に困難でも、双方にやる気があればまだ合意は可能だ』とも指摘した。17-18両日のEU首脳会議までの事態打開に向けて英国との協議を続ける姿勢は示したが、決裂の公算は大きくなっている。また、英国が合意のないままEUを離脱することにジョンソン政権内で反発が出ており、閣僚5人が辞任する可能性に警戒が高まっていると報じている。

 

英国が合意なき離脱ならトルコへの影響にも注意

9月5日、英トルコ経済フォーラムがトルコ最大の都市イスタンブールで開催された。その場でペキジャン・トルコ貿易相は、もし英国が合意ないままに欧州連合(EU)離脱となればトルコの英輸出は大きく落ち込むことが見込まれ、衣類輸出などは13億ドル減少するとの試算を示した。これは18年トルコの英輸出総額の11.7%分になる。
ペキジャン貿易相は、他の製品も含めた英輸出総額では18年の3割弱となる30億ドル減も有り得るとした。そうなれば、先週にアルバイラク・トルコ財務相が示した20年の経済成長率5%という強気見通しも達成が難しそうだ。
トルコリラは8月下旬から9月末までは底堅く推移していたが、10月に入り上値が重い展開が続いている。経済指標ではトルコ経済が最悪期を脱したとする結果も出てはいるが、通貨リラの下支えとはなっていない。ここから気をつけなければならないことの1つに、「合意なきブレグジット」によるトルコの景気下振れ度合いが(英国との貿易関係をみると)想像以上に大きくなる可能性がある。

 

米中貿易戦争の持久戦は世界経済の減速を深くする

選挙がない中国のほうが選挙のある米国より『持久戦』に強いという判断が習近平国家主席はじめ中国政府に交渉「延引戦略」を選択させたようで、10-11日の米中協議では暫定合意の帰趨は予断を許さない状況にある。産業補助金や知的所有権など構造問題で『持久戦』を選択した以上、トランプ大統領を納得させる中国の譲歩が得難い政治状況が懸念されつつあるのだ。すでに、WTO(世界貿易機構)によれば、足元の世界貿易取引は約9年半ぶり低水準に縮減し、IMFは7月世界経済見通しの改定版で19年の経済成長率を4回連続で下方修正した。米中貿易戦争の激化がもたらす世界経済への傷は深く、米中対立は泥沼化の様相を呈し『我慢比べ』の様相を呈す。

 

米国の労働市場もピークをつけた可能性も

米労働省が発表した8月JOLT求人件数は705.1万件と、前月から増加予想に反して減少し、昨年3月以降1年半ぶりの低水準となった。3カ月連続の減少した。7月分も717.4万件と、721.7万件から下方修正された。2018年11月に過去最高を更新したのち、ピークから減少基調にある。米雇用統計でも示されたとおり、労働市場の減速が裏付けられた。同時に、依然700万件は保ったほか、総失業者数を100万上回っている。求人件数が失業者数を上回ったのは18カ月連続で過去最長となった。ただ、採用者数や労働市場での健全性をはかる上で注視される退職者数は大幅に減少しており、労働市場の拡大基調が終了する可能性は懸念される。採用者数は19.9万人減少し5779万人。退職者数は14.2万人減の352.6万人となった。退職者数の減少幅は1月来で最大となる。
今年に入り企業は技術を持つ労働者を見つけるのが困難になったことや景気先行き見通しの悪化で採用を見送っている。唯一強かった米国の労働市場もピークをつけた可能性は、消費の鈍化につながり米国経済の成長を減速させる。

 

米国市場では9月消費者物価コア指数が公表

8月実績では、前年同月比+2.4%で2018年7月以来の大幅な伸びを記録した。9月については、帰属家賃や医療費の増加によって、物価浄書率は8月実績に近い水準となる可能性がある。

 

欧米イベント

○15:00   8月独貿易収支(予想:188億ユーロの黒字)
○15:00   8月独経常収支(予想:179億ユーロの黒字)
○15:00   9月ノルウェー消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.5%/前年比1.5%)
○15:45   8月仏鉱工業生産指数(予想:前月比0.1%)
○16:30   9月スウェーデンCPI(予想:前月比0.3%/前年比1.3%)
      コア指数(予想:前月比0.3%/前年比1.2%)
○17:30   8月英国内総生産(GDP、予想:前月比横ばい)
○17:30   8月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:100億ポンドの赤字/10.50億ポンドの赤字)
○17:30   8月英鉱工業生産指数(予想:前月比▲0.1%/前年比▲0.9%)
      製造業生産高(予想:前月比横ばい)
○20:30   欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(9月11日-12日分)
○21:00   8月ブラジル小売売上高指数(予想:前年同月比1.9%)
○21:30   8月カナダ新築住宅価格指数(予想:前月比横ばい)
○21:30   9月米CPI(予想:前月比0.1%/前年比1.8%)
       エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比2.4%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.9万件/165.3万人)
○11日01:30   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○11日02:00   米財務省、30年債入札
○11日04:00   ブラード米セントルイス連銀総裁、あいさつ
○欧州連合(EU)財務相理事会(ルクセンブルク)
○米中閣僚級貿易協議(ワシントン、11日まで)

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/10/09/15:25:53

日経平均株価:前日の米国株安を嫌気した売り優勢

米中貿易摩擦を巡るネガティブなニュースを嫌気し、前日の米国株主要3指数が大幅安で取引を終了したことにつれ、朝方から幅広い銘柄で売りが先行した。その後、米中閣僚級通商協議前の手控えムードから2万1400円を挟んだもみ合いが続いた。しかし、上海総合指数の下げ渋りや米株先物のプラス圏での推移を眺めて小幅に下げ幅を縮小した。また、日銀によるETFの買い入れ観測も浮上し、午後は一段と下げ幅を縮小した。結局、前日比131円安の2万1456円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利の戻り鈍くドルの上値重い

ドル/円は、日本株や中国株の軟調地合いが続きやや円買いが強まったが、NYダウ先物がプラス圏で推移したことで、今晩のNY株高を期待したドル買いが観測された。しかし、米長期金利が前日の海外市場での低下からの戻りが鈍く、ドルの上値を抑える展開となった。ユーロ/ドルは、1.0966ドルを頭にやや上値の重い動意の乏しい展開となった。英・EU離脱協議の決裂に対する懸念が高まる中、欧州時間に入ってからのポンドの動きに警戒しているようだ。

 

世界最大のファンドが大幅な変動に備える必要性を示唆

ノルウェーの政府系ファンドを運用する同国中銀の投資管理部門(NBIM)は8日、今後3年は大幅な変動に備える必要があると表明、貿易戦争や気候変動といった国際問題が運用資産に悪影響を及ぼすとの見方を示した。同ファンドの運用資産は1兆1000億ドルで世界最大となっている。

 

バンカメ・メリルの顧客が4週連続で米国株買い越し

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの8日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は9月30日~10月4日の1週間に米国株を27億100万ドル買い越した。4週連続の買い越しとなった。ヘルスケアを中心に企業の自社株買いが活発で、買い越し額は20億2200万ドルと6週続けて20億ドル超の大規模なものとなったことが寄与した。ベンチマークのS&P500が下げた週だったが、主体別動向ではヘッジファンドが11億7800万ドルの買い越しで、、2週連続の買い越しとなった。ヘッジファンドの買い越しとしては1月以来の大規模なものだった。機関投資家は2億5000万ドルの売り越しで2週連続の売り越し。ETFを除けば22億ドルの売り越しで個別株売りが激しかった。個人投資家は2億4900万ドルの売り越しで2週ぶりに売り越しに転じた。

 

豪州の長引く干ばつで農産物市場に影響も

オーストラリアで長引く干ばつの影響が広がっている。2019年に入ってからの降水量は54年ぶりの少なさだ。20年にかけて小麦や菜種などの生産量は過去10年の平均を大きく下回り、牧草の減少などで食肉や羊毛の輸出も落ち込む見通し。干ばつの規模は従来より拡大しており、地球温暖化が一因との見方もある。豪経済や世界の農産物市場に影響を与えそうだ。

 

英ジョンソン首相の真意はどこに

10月17-18日の欧州首脳会議で新たな合意を交わすには、向こう1週間余りに協議に実質的な進展が必要となる。19日までに議会が合意を受け入れない限り、ジョンソン首相は離脱期限の延期要請を義務づけられる。 一部メディアでは、延期を要請する書簡の送付を回避するため、離脱延期法の効力を巡って法廷闘争を行うことや、離脱延期を余儀なくされた場合、EU予算の承認を拒否したり、EU側が受け入れられない人物を欧州委員に指名する可能性も取り沙汰されている。 こうした試みが成功する可能性は低いが、ジョンソン首相は、あくまで合意なき離脱も辞さない姿勢を示すことで、最終局面でのEU側の譲歩を引き出すことや、近い将来の総選挙を睨んで有権者にアピールをする狙いがあると思われる。

 

経済指標発表後のトランプ大統領のツイッターのパターン

経済指標発表後のトランプ米大統領のツイッターを見ていると、限りなくワンパターンになっている。米経済指標が好結果になった時には、『自分の手柄だ!凄いだろう』という内容になる。その一方で悪い結果となった時は、『まったくパウエルFRB議長や、他のFRBのメンバーは何もわかっていない』『ほかの国は自国通貨安にして』など、自分以外に責任があるということをツイートしている。 要するに手柄は自分、失敗は部下ということのようだ。

 

インフレの低下で米FRBの利下げは正当化

米労働省が発表した9月生産者物価指数(PPI)は前月比▲0.3%と、予想外に6月以来のマイナスに落ち込み1月来で最低となった。前年比でも+1.4%と、予想外に8月+1.8%から低下し、2016年11月以降3年ぶり低水準。変動の激しい燃料、食品を除いたコアPPIは前月比▲0.3%と、予想外に7月来のマイナスに落ち込み、2015年2月以降4年ぶり低水準となった。前年比では+2.0%と、予想外に8月+2.3%から低下し、2017年7月以降2年ぶり低水準となった。
企業は関税を価格に転嫁することなく、需要の低迷に値引きで対処している証拠だとの分析も見られる。インフレの低下は連邦準備制度理事会(FRB)による年内の追加利下げを正当化する。今回の米中貿易協議が物別れに終わると、10月15日に米国政府は対中2500億ドルに対する関税を現行の25%から30%に引上げ、12月までには米国経済にとっても重要な消費財を含めた全中国製品に関税を発動することになる。

 

欧米イベント

○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   9月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.26%)
○21:00   9月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前月比0.03%)
○23:00   8月米卸売売上高(予想:前月比0.2%)
○23:00   8月米卸売在庫(予想:前月比0.4%)
○23:30   EIA週間在庫統計
○23:30   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、討議に参加
○10日02:00   米財務省、10年債入札
○10日03:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(9月17日-18日分)
○ユーロ圏財務相会合(ルクセンブルク)
○韓国(ハングルの日)、休場

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/10/08/15:15:51

日経平均株価:円安と中国株式市場が堅調推移となったことを好感

前日の米国株式市場はさえない展開となったものの、外国為替市場でドル/円が円安方向に振れていることが好感され、輸出関連株を中心に幅広く物色された。国慶節の休場明けとなる中国株式市場が堅調となっていることも買い安心感を与えた。結局、前営業日比212円高の2万1587円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク選好のドル買いも上値重い展開

ドル/円は、市場では『本邦年金資金から日本株に買いが観測された』との指摘があり、日経平均株価が堅調に推移するなか、一時107.44円と本日高値を更新した。もっとも、9月18日高値や日足・一目均衡表転換線などが重なる107.48円が依然としてレジスタンスとして意識されていることから上値も限られている。

ユーロ/ドルは、円絡みの取引が中心となったため1.0975ドル付近でこう着していたが、予想を上回る独指標を受けて1.0982ドルまで小幅に上げた。欧州勢待ちの様相となっている。

 

財新の中国サービス部門PMIは7ヵ月ぶりの低水準

財新/マークイットが発表した9月の中国サービス部門PMIは51.3と、2月以来7ヵ月ぶりの低水準となった。新規受注は大幅に増えたものの、コスト負担の増加が響いた。8月は52.1だった。ただ、景況拡大のと悪化の分かれ目である50は引き続き上回った。中国国家統計局が発表した9月の非製造業PMIは53.7で、8月の53.8からやや低下しており、財新のPMIも同様の傾向を示した。

財新サービス部門PMIでは、9月の新規受注は2018年1月以来のペースで伸びた。新規サービスの展開や一段と強い需要が背景にある。一方、人件費や燃料費、原材料費が増えたため、コスト負担は1年ぶりの高水準を付けた。企業が競争力を追求するなか、販売価格の引き上げは限定的となり、利益率が圧迫された。

 

香港の長期的なデモで訪問者数激減

香港特別行政区・入境事務所の発表によると、2019年国慶節連休の初日から5日間(10月1-5日)における香港訪問者数は延べ160万3000人、うち中国本土からの訪問者数は54万人にとどまった。7日付『信報』は前年実績比でそれぞれ38.0%減、54.8%減だったと指摘している。一方、香港においてデモ参加者がマスクなどを着用することを禁止する『覆面禁止法』が施行された5日のみの同地訪問者数は58.3%減の19万7000人、うち本土からの訪問者数は同73.0%減の6万1000人だった。

 

欧州市場では独8月鉱工業生産が公表

7月実績は予想に低下し、製造業の不振でドイツ経済が第3四半期にリセッション(景気後退)に突入する可能性を示唆した。8月は反動増が予想されているが、資本財の生産が継続的に増加することは期待できないため、9月は伸び悩む可能性がある。

 

米国市場では短期市場でステルス的な量的緩和継続

米ニューヨーク連銀は7日午前、短期金融市場に470億ドルの資金を供給した。資金供給は15営業日連続となる。資金を供給したのは国債などを担保に金融機関が短期資金を融通し合う『レポ取引』の翌日物だった。応札は上限の750億ドルを下回った。
ニューヨーク連銀は今回の資金供給を11月4日まで続ける方針を示している。2週間など期間物の資金供給も10月に計8回実施する予定となっている。依然として短期市場で資金需給の逼迫が続いており、資金供給を通じて金利の急上昇を避ける狙い。

 

米中貿易閣僚級協議再開も最後にハードルが上がり物別れか

今週10日、11日に米中貿易閣僚級協議が再開される。世界で第1、第2位の経済を持つ両国は2018年以降、お互いの輸入品に関税を発動している。金融市場に不透明感を与えているほか、企業や消費者の信頼感を抑制し、企業の設備投資の低迷に繋がっている。中国政府はトランプ大統領が進めている広範な貿易協議での合意に一段と消極的になっているとみられる。交渉を指揮する劉鶴副首相は中国側の提案に中国の産業政策または政府の補助金の改革を公約することを含まないとしている。
中国商務省は、中国側はすでに米中が合意している部分でディールの準備があるとし、困難な問題に関しては来年度交渉するとの案を提示してきている模様。クドロー国家経済会議(NEC)委員長も短期ディールも含めてオープンだと指摘したほか、中国がすでに大豆の購入を再開していることから期待感も広がった。ただ、トランプ大統領があくまでも広範なディールでの合意を主張した場合は、期待感が大きく後退することになる。

 

欧米イベント

○14:45   9月スイス失業率(季節調整前、予想:2.1%)
○15:00   8月独鉱工業生産(予想:前月比▲0.1%/前年同月比▲4.3%)
○15:45   8月仏貿易収支(予想:44.8億ユーロの赤字)
○15:45   8月仏経常収支
○18:30   テンレイロ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○18:30   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、デコス・スペイン中銀総裁、講演
○21:15   9月カナダ住宅着工件数(予想:21.45万件)
○21:30   8月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比▲1.0%)
○21:30   9月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.1%/前年比1.8%)
      食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比2.3%)
○9日02:00   米財務省、3年債入札
○9日02:35   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○9日03:30   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、講演
○9日06:00   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○米中次官級貿易協議(ワシントン、最終日)

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/10/07/15:25:50

日経平均株価:米中閣僚級協議の難航を警戒

前週末の米国株式市場は上昇したものの、10-11日に予定される閣僚級の米中通商協議を見極めたいとの見方から全体的に模様眺めとなった。また、複数の中国当局者が、トランプ大統領が追求する幅広い範囲での通商合意に対して後ろ向きの姿勢を強めていることを示唆しているとの一部報道を受け、マイナス圏に沈んだ。結局、前営業日比34円安の2万1375円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:ドル106円台後半で底堅い展開

ドル/円は、下値の堅い展開となった。米長期金利が低下幅を縮め、日経平均株価が引けにかけて下げ幅を縮小したことが支えとなりじり高の展開になった。早朝に付けた106.60円から戻り高値106.86円近辺を上抜けて106.90円近辺まで値を上げた。ユーロ/ドル安は、米長期金利の低下幅縮小に伴って動きは鈍いながらも頭の重い動きとなった。独8月製造業新規受注が予想を下回る結果となったことで1.0975ドル付近まで下押しした。

 

ホワイトハウスの声明を受けトルコリラは小幅下落

ホワイトハウスの発表に先立ち、トランプ米大統領はトルコのエルドアン大統領と電話会談を実施した。ホワイトハウスは声明で、トルコがまもなくシリア北部への軍事作戦を進めるが、米軍はその作戦の支援も関与もしないと発表した。声明後トルコリラは小幅に下落した。

 

英国の最終代替案でEUが納得出来るのか先行き不透明

英国のバークレイ欧州連合(EU)離脱担当相は、ジョンソン英首相が提示した離脱協定の最終代替案に盛り込まれた、英領北アイルランドの議会に決定権を与える仕組みについて、一定程度柔軟に対応する用意があると表明した。離脱交渉では北アイルランドとEU加盟国アイルランドの地続きの国境の取り扱いが最大の焦点となっている。ジョンソン首相は英国全体がEU関税同盟に残留する従来の『バックストップ(安全策)』の代わりに、英国が移行期間終了時に関税同盟から離脱しても同国境やその近辺に検問所を置かず、全ての物品の国境検査を省略する規制ゾーンを設置することを提案した。 また、2020年12月の移行期間終了前に、北アイルランドの議会がEUの貿易ルールに従い続けるかどうかを決定し、その後も4年ごとに同様の判断を行うことも提案した。

 

今後は米小売売上高なの個人消費関連に注目が集まる

米経済は個人消費が堅調な一方、貿易摩擦の影響から設備投資が鈍化傾向にある。先週末ボストン連銀のローゼングレン総裁も述べているように、今後の米景気は個人消費の動向がポイントになる。経済指標としては小売売上高などの個人消費関連が注目される。9月の米雇用統計はまちまちの内容であったが、平均時給の伸びは鈍化していた点が気にかかるところである。コアCPIが前年比+2.4%、コアPCEインフレ率が同+1.8%まで加速するなど物価関連指標の底打ち感があり、ディスインフレ懸念が後退している中でFRB高官が単月の平均時給の悪化をどこまで深刻に捉えているかを今後の発言を注視したい。

 

泥沼化するGMとの労使協議の行方

全米自動車労組(UAW)は6日、自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)との労使協議で、賃金水準などをめぐるGM側の提案を改めて拒否した。米メディアが一斉に伝えた。9月半ばから続いているストは7日で4週目に突入する。報道によると、UAWのディッテス副委員長は、組合員に宛てた書簡で『協議は悪い方向に向かっている』と説明した。GMが6日に提示した案は『多くの問題を前進させるものではなかった』という。GMで12年ぶりとなった今回のストには、全米30余りの工場の組合員約4万6000人が参加。GMの損失額は既に10億ドル(約1070億円)を超えたとの試算もある。

 

欧米市場のイベント

○15:00   8月独製造業新規受注(予想:前月比▲0.3%/前年同月比▲6.6%)
○16:30   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○23:20   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○8日04:00   8月米消費者信用残高(予想:155億ドル)
○米中次官級貿易協議(ワシントン、8日まで)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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