FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2019/09/19/15:17:00

日経平均株価:1ドル=108円割れを嫌気して上げ幅縮小

米連邦公開市場委員会(FOMC)を無難に通過したことで、朝方から幅広い銘柄に買いが先行した。米国の追加利下げ期待が後退する中、米長期金利が上昇してドル高・円安基調となったことも支援となり、一時300円近い上昇となった。しかし、日銀が金融政策決定会合で金融政策の現状維持を決定したと発表したことで、為替が円高に振れ、1ドル=108円を割り込んだことをにらんで上げ幅を縮小した。結局、前営業日比83円高の2万2044円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:日銀の追加緩和見送りで円買い優勢に

ドル/円は、国内輸出企業などがドル売り・円買いに動き、108円台半ばから108円近辺へ下落した。8月豪雇用統計の弱い数字を背景に、豪ドル/円の下落が波及した面もあった。昼前に、日銀金融政策決定会合の結果が発表され、短期金利をマイナス0.1%。長期金利を0%程度に操作する大規模な金融緩和を維持することを決定したが、市場の反応は限定的だった。午後は、日銀の追加緩和見送りが改めて意識され、108円を割り込んで107.74円近辺まで軟化した。日経平均株価の伸び悩みや米長期金利の低下も、ドル売り・円買いを誘発した。ユーロ/ドルは、前日の海外時間に下落した反動から、利益確定などのユーロ買い・ドル売りが持ち込まれ1.1040ドル台へじり高となった。

 

日経平均株価の上昇は裁定売り残の買い戻し

技術的な要因が背景と言われているものの、根本的に流動性が不十分である証拠となる。また、今回は信用ひっ迫の結果ではないものの短期金利の突然の急伸は、急激で無秩序なリスクに繋がるため度々警戒材料となる。機関投資家の期末ショートカバーに個人の売り方の買い戻し等、怒涛の買戻しが10連騰を支援した。何より、ネット裁定残(裁定買い残高-裁定売り残)が歴史的な規模の売り越し超過の状況にあり、こうした裁定売り残のショートカバーの買いがまだ続きそうだ。東京証券取引所が11日発表した6日時点の裁定買い残は4週ぶりに減少、前週比-1165億円の3720億円と16年9月以来約3年ぶりの低水準となった。一方、裁定売り残は前週比+1281億円の2兆0666億円と2兆円を突破し、東証がデータ公表始めた1991年以来の過去最高を7週連続で更新した。そのため、2兆円を突破した裁定売り残に象徴される内外機関投資家の売りポジション解消の怒涛の買い戻しが日経平均2万4000円の戻り高を後押す可能性が出てきた。

 

英中央銀行政策金利発表:政策金利は据え置きの見込み

英議会は来年1月末まで離脱期限を延期するよう欧州連合(EU)に要請することを義務付ける離脱延期法を可決したが、EUからの英国の離脱を巡る情勢は依然流動的であり、離脱期限も正式に確定していない。英中央銀行は今回も金融政策の現状維持を決定し、状況の変化に応じて機動的に対応する見込み

 

欧州の新車販売台数の減少止まらず:フランスの落ち込み大きい

欧州自動車工業会(ACEA)が18日発表した2019年8月の欧州主要18カ国の新車販売台数(乗用車)は、前年同月比8.4%減の93万2501台だった。マイナスは12カ月連続となった。18年8月に規制変更前の駆け込み需要があった反動が出た。19年1~8月の累計は前年同期比3.6%減った。国別ではドイツが0.8%減、フランスが14.1%減、英国は1.6%減だった。

 

NY連銀は連日のレポ取引にて資金供給:短期市場金利上昇

米連邦準備理事会(FRB)傘下のニューヨーク連銀は18日、フェデラル・ファンド(FF)金利を誘導目標の2.00─2.25%の範囲内に維持するため、レポ取引を通じて750億ドルの資金供給を実施した。NY連銀は前日はレポ取引を通じて531億5000万ドルの資金を供給した。前日の資金供給オペは約10年ぶりのもので、NY連銀は18日もレポ取引を通じた金融調節を実施し、最大750億ドルを供給すると表明していた。資金供給を受け、銀行や企業が資金調達する際に支払う翌日物レポ金利は低下した。
リフィニティブによると、18日米東部時間午前8時37分(日本時間午後9時37分)時点で、翌日物レポ金利は2.25─2.60%。資金供給実施前は2.60─3.00%だった。NY連銀が18日公表したデータによると、FF金利の実効レートは17日に2.30%に上昇し、金融危機以来約10年ぶりにFRBの誘導目標を超えた。

技術的な要因が背景と言われているものの、根本的に流動性が不十分である証拠となる。また、今回は信用ひっ迫の結果ではないものの短期金利の突然の急伸は、急激で無秩序なリスクに繋がるため度々警戒材料となる。

 

FOMCの年内の追加利下げが不鮮明に

連邦公開市場委員会(FOMC)で市場の予想通り政策金利のFF金利誘導目標を25bp引き下げ1.75%-2.0%に設定した。声明の中で、世界経済の成長減速やインフレの低迷で利下げを実施したことを再表明した。 声明では前会合からの修正は少ない。消費は『強いペースで伸びた』(前回:消費の伸びは年初に比べて加速)と上方修正された一方で、企業の投資や輸出は弱まった(前回:企業の設備投資は軟化)と下方修正された。 利下げの軌道に関しては、メンバー内の見解の相違がより拡大。前回は8対2で利下げを決定したが、今回は7対3と反対票が増えた。前回も据え置きが必要と主張し利下げに反対したローゼングレン・ボストン連銀総裁とジョージ米カンザスシティー地区連銀総裁が再び据え置きを主張した。一方で、新たに、ブラード・セントルイス連銀総裁が50ベーシスポイントの利下げを主張した。また、四半期に一度公表されるスタッフ予測の中で、5人のメンバーが2%-2.25%の水準で据え置くべきと見ていたほか、他の5人のメンバーが9月の25bpの利下げ後据え置きが必要と見ていたことが明らかになった。その他の7人のメンバーがさらに1回以上の利下げが必要と予想した。計10人のメンバーが年内の追加利下げが必要ないと判断している。年内の追加利下げが必要とした7人を上回った。年内の追加利下げの可能性が一段と不鮮明になった。

 

★欧米市場イベント

○未定  9月月例経済報告
○16:30  スイス国立銀行(中央銀行)、政策金利発表(予想:▲0.75%で据え置き
○17:00   7月ユーロ圏経常収支(季節調整済/季節調整前)
○17:00   ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:1.25%で据え置きと1.50%に引き上げで拮抗)
○17:30   8月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比横ばい/前年比2.9%)
      英小売売上高指数(自動車燃料除く、予想:前月比横ばい/前年比2.6%)
○19:00   レーン・フィンランド中銀総裁、議会証言
○19:00   クーレ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○20:00   英中銀金融政策委員会(MPC)2日目、終了後政策金利発表(予想:0.75%で据え置き、資産買取プログラムは4350億ポンドで維持)
○20:00   MPC議事要旨
○21:30   4-6月期米経常収支(予想:1278億ドルの赤字)
○21:30   9月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:11.0)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.3万件/167.2万人)
○23:00   8月米景気先行指標総合指数(予想:前月比0.1%)
○23:00   8月米中古住宅販売件数(予想:前月比▲0.4%/年率換算537万件)
○未定   南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利発表(予想:6.50%で据え置き)
○米中次官級貿易協議(ワシントン、数日間の見込み)
○米財務省2年、5年、7年債入札条件

 

 

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/09/18/15:11:36

日経平均株価:利益確定売りが重石となり11日ぶりに反落

原油価格が軟化したことやドル/円相場が1ドル=108円台前半で落ち着いて推移していることが安心感を誘っているものの、前日までの10日続伸で高値警戒感が強いほか、米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて見送りムードが強いことから小動きの展開に終始した。前日までの10日続伸で1400円近く上昇したことで、利益確定売りが重石となった。結局、前日比40円安の2万1960円と11日ぶりに反落した終了した。

 

東京外国為替市場:108円台前半で底堅い展開

ドル/円は、国内輸入企業のドル買い・円売りや中国株高に支えられ、108.27円付近まで上昇した。米長期金利が小幅ながら上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。しかし、前日につけた約1ヵ月ぶりの高値108.37円が視野入りすると、上げは一服した。午後は日経平均株価の反落を眺めた持ち高調整のドル売り・円買いが入り、108.20円を挟んでもみ合いとなった。FOMC結果発表を控えて、様子見ムードも強かった。ユーロ/ドルは、1.10ドル台後半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国は景気減速の中でも不動産価格は上昇

中国の国家統計局が17日発表した2019年8月の住宅価格統計によると、主要70都市のうち、新築分譲住宅価格(保障性住宅を除く)が前月比で上昇したのは55都市となり、前月から5都市減った。下落は前月から7都市増えて10都市。横ばいは前月から2都市減って5都市となった。 前年同月比では70都市すべてが上昇。6カ月連続で70都市が軒並み上昇した。

 

英議会は最高裁の判決待ちの状態:20日以降の見通し

英最高裁は今週、ジョンソン首相が来月中旬まで議会を閉会した決定が違法かどうか審理を行う。首相の決定を巡っては、スコットランドの上級裁判所が今月11日、違法との判断を示したが、ロンドンの高等法院(高裁)はその1週間前、議会閉会の差し止めを求める申し立てを却下した。ただし、最高裁への上訴は可能とした。最高裁は今週、両訴訟を審理する。訴訟を起こしたのは欧州連合(EU)離脱に反対する活動家や野党議員である。最高裁が違法判決を出せば、直ちに議会を招集すべきだと訴えている。ジョンソン首相は17日、BBCテレビとのインタビューで『司法を最大限尊重する』としながらも、違法判決が出た場合、議会を再招集するかどうかは明言せず『判事の見解を待つのが最も良いと思う』とコメントした。最高裁は19日まで審理を行う。判決が出るのは早くても20日以降となる見通し。

 

短期金融市場では制御不能の状態

連邦準備制度理事会(FRB)が連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し追加利下げに関する協議が継続する中、NY連銀は17日、リバースレポを実施し短期金融市場に資金を供給、短期金利の上昇を抑制した。『利払いや税金の支払いという技術的な要因』が重なった上、FOMCでの追加利下げを織り込む動きに翌日物金利のビッドが一時5%近くまで急伸した。キャッシュ取引では9.25%まで上昇したと報じられており、FF金利誘導目標2-2.25%の上限を大幅に上回った。市場への資金供給は、金融危機の2008年以降初めてとなる。FEDによる金融調節が完全に制御不能となっているようで、普段ではあり得ないことが起きていることは確かである。何故、それほどまでに市場で『ドルのキャッシュが必要となっている』状況であるのかは謎である。

 

米国市場ではFOMCの結果が公表:トランプ大統領の発言にも注意

根強い世界減速リスクや貿易摩擦の不透明感、原油高に伴う経済打撃などもあり、利下げ継続への前向き姿勢が示されると短期的なドル安を後押しさせる。前回FOMCである7月31日には利下げ決定前後で一旦の材料出尽くしにより、ドル/円は109.33円前後までドル高が進展したが、一気に基調が反転した。8月12日の105.05円方向まで、ドル安モメンタムが倍加された実績を有している。今回もFOMC前後での荒い上下動には注意を必要となる。ただし今回の場合、米中貿易摩擦に関しては19日から次官級協議が再開されるほか、10月初旬には閣僚級協議が予定されている。前週には暫定合意の思惑も浮上しており、米中対立は一旦の緩和や休戦の可能性が無視できなくなってきた。同時に週明けからの原油高は、先行き米国でインフレ上昇に伝播する可能性を秘めている。FRBからすると18日のFOMCで利下げを決めながら、合わせて10月以降の継続利下げまで確約するのは難しい経済・物価環境となってきた。
結果、FOMCでは市場やトランプ米大統領などに配慮し、『今後の状況次第では機動的な利下げ継続』という柔軟姿勢を示しつつも、10月以降の利下げについては曖昧な玉虫色表現にとどめる可能性もある。その場合はドル高を促す一方、利下げ余地の残存がリスク回避を制御する。過度な米株安とクロス円での円高を抑制させる可能性をはらむ。

 

欧米イベント

○17:00   8月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.2%/前年比4.2%)
○17:30   8月英CPI(予想:前月比0.5%/前年比1.9%)
         CPIコア指数(予想:前年比1.8%)
          小売物価指数(RPI、予想:前月比0.7%/前年比2.6%)
○17:30   8月英PPI(食品とエネルギーを除くコア指数、予想:前年比2.0%)
○18:00   7月ユーロ圏建設支出
○18:00   8月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比1.0%)
○18:00   8月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比0.9%)
○19:45   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○19:50   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   7月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比2.6%)
○21:30   8月米住宅着工件数(予想:125.0万件、前月比5.0%)
        建設許可件数(予想:130.0万件、前月比▲1.3%)
○21:30   8月カナダCPI(予想:前月比▲0.2%/前年比1.9%)
○22:00   8月ロシア失業率(予想:4.4%)
○23:30   EIA週間在庫統計
○19日00:15   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○19日03:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表(予想:1.75-2.00%に引き下げ)
○19日03:00   FOMC、経済・金利見通し発表
○19日03:30   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
○19日06:00   ブラジル中銀、政策金利発表(予想:5.50%に引き下げ)
○英中銀金融政策委員会(MPC、19日まで)

 

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/09/17/15:14:02

日経平均株価:円安の流れで結局10日続伸

中東の地政学的理数への警戒感から反落スタートとなったが、為替市場で円安の流れとなったことが好感され買い戻しの動きとなった。ただ、9連騰しただけにテクニカル面では過熱感が出ていたことで、上値も重い展開となった。しかし、1ドル=108円台への円安進行で輸出企業の業績改善期待から海外投資家の先物への買い戻しが入り上げに転じた。結局、前週末比13円高の2万2001円と10日続伸で終了した。

 

東京外国為替市場:ドルは底堅い展開が継続

ドル/円は、国内輸入企業のドル買い・円売りや日経平均株価の持ち直しに支えられて一時108.37円前後まで上昇し、約1ヵ月半ぶりの高値をつけた。豪準備銀行(RBA)議事要旨がハト派色の濃い内容と受け止められ、豪ドル/ドルの下落が波及した面もあった。しかし、本日から始まるFOMCを見極めたいとの雰囲気もあり、上げは一服した。その後は、米長期金利の低下や中国株安をながめた利食いなどに、108.10円台へ押し戻された。午後は、日経平均株価をにらみながら、108.20円前後でもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、1.1010ドル前後で小幅な値動きに終始した。

 

中国経済の鈍化が懸念される:経済の立て直しが課題

中国当局は『経済運営はおおむね安定を保っている』と強調しているが、米中貿易摩擦の激化で、中国経済のカギとなる製造業の不振が一段と深刻化しており、中国経済の鈍化が懸念される。中国は巨大な国内市場や安価な労働力等を背景に、製造業の規模が米国や日本を上回り、欧州全体と同規模まで拡大した。政府が外資系企業の誘致・外資への規制強化の切り替え、補助金供与等を通じて国内企業の技術獲得や販路拡大、コスト競争力強化を支援した。この産業政策により、中国企業の競争力が高まったが、中国企業への技術流出や知的財産権などをめぐり、米国との対立も激化しただけではなく、国内では急速な供給過剰による市況悪化等の問題も深刻化した。米中貿易摩擦の長期化が見込まれるなか、中国は『内需拡大』に一段と力を入れることが予想されるが、個人消費の減速も懸念されており、経済の立て直しは習政権にとって大きな課題となっている。

 

米中通商協議再開で何処まで詰められるか

米中両政府は19日から貿易問題で次官級協議をワシントンで開く。米中両政府は関税の拡大を延期するなど足元で歩み寄りの姿勢をみせているが、知的財産侵害など中国の構造改革を巡って難題が山積している。10月上旬にワシントンで開く閣僚級協議に向けて、事務レベルで地ならしを進める狙いがある。
全米商工会議所のドナヒュー会頭は16日の記者会見で、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表と協議し、同氏が米中の貿易協定は『本物の合意でなければいけない』と述べたと明らかにした。中国の構造問題すべてに対処する構えで、事務レベルで詳細を詰められるかが焦点となる。翌週以降に、より上位の実務者で協議を開く予定もあるという。

 

ドラギECB総裁の可能な限りの緩和策

 9月のECB理事会は、預金ファシリティ金利の10bp引き下げ、フォワード・ガイダンス強化、月額200億ユーロのオープンエンドの資産買い入れ再開、TLTRO3の融資条件緩和、金利階層化―からなる包括的な緩和パッケージを決定した。 理事会内に将来のリスク時に備えて資産買い入れを温存すべきとの反体意見も噴出した模様だが、ドラギ総裁が早期再開で押し切った。ただ、買い入れルールの見直しまで踏み込むことが出来なかったためか、買い入れ規模は月額200億ユーロと前回プログラム対比で見劣りする。タカ派メンバーの反対を押し切って資産買い入れの再開を決定したことで、次期執行部へのスムーズなバトンタッチと政策の継続性を確保した点は評価できる。恐らくドラギ総裁として今できることは全部盛り込んだ緩和策となる。 しかし、今回の緩和策でも景気や物価が十分に浮揚しない場合、ECBは追い詰められる。金融政策の限界をどう克服するか、財政政策との適切なポリシーミックスをどのように模索するか、ラガルド次期総裁は難しい課題を引き継ぐことになる。

 

FOMCではタカ派的な最低限の追加利下げ

米連邦準備制度理事会(FRB)は今週17-18日の2日間、連邦公開市場委員会(FOMC)を開催する。依然25ベーシスポイントの利下げが97%近く織り込まれている。中東地政学的リスクの上昇や原油高が世界経済の成長を抑制することはFRBの追加利下げの論拠を一段と高めるとの指摘もある。サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコの石油施設2カ所が14日に無人機攻撃を受けた。これに対し、サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相は石油生産を日量生産能力の約50%中断したと発表した。供給不安が原油価格の急騰を招いた。そのため、金利先物市場での大幅な利下げ観測は消滅。逆に据え置き観測が一時再燃した。FOMCはタカ派的な追加利下げを実施するとの見方も目立ちドルを支えている。

トランプ米大統領は、自身のツイッターで、サウジアラビアで週末に起きた石油施設攻撃で原油供給に大きな支障が生じたことに触れたうえで、FRBを改めて批判した。トランプ氏は『FRBは状況に対応する気があるのか疑問』、『FRBとパウエル議長はわかっていない』、『ドル高が米国の輸出業者に悪影響を与えている』、『原油が打撃を受けた。大幅な利下げだ、刺激だ』--などとの考えを指摘していた。

 

欧米イベント

○16:30   8月スウェーデン失業率(予想:6.3%)
○18:00   9月独ZEW景況感指数(予想:▲37.0)
○18:00   9月ユーロ圏ZEW景況感指数
○18:40   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○21:30   7月カナダ製造業出荷(予想:前月比▲0.2%)
○22:15   8月米鉱工業生産指数(予想:前月比0.2%)
       設備稼働率(予想:77.6%)
○23:00   9月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:66)
○18日01:35   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼主任エコノミスト、講演
○18日02:10   クーレECB専務理事、講演
○18日05:00   7月対米証券投資動向
○米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
○第74回国連総会開幕(ニューヨーク)
○イスラエル総選挙

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2019/09/13/15:13:31

日経平均株価:リスク選好の動きが強まり9日続伸

米中貿易摩擦の対立が一段と緩和されるとの期待が高まる一方、欧州中央銀行(ECB)の利下げが好感され、幅広く物色された。SQ(特別清算指数)を算出してから利益確定売りに押される場面があったものの、その後は売りを吸収して上げ幅を広げる展開となった。米国で減税など新たな景気刺激策が浮上し世界景気減速への懸念が和らぎ一時5月以来4ヵ月ぶりに節目2万2000円台を回復した。結局、前日比228円高の2万1988円と9日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:108円台で底堅い展開

ドル/円は、米中通商交渉が進展するとの期待から一時108.26円近辺まで上昇し、約1ヵ月半ぶりの高値を付けた。日経平均株価の上げ幅拡大や米長期金利が上昇したことも、ドル買い・円売りにつながった。しかし、今晩発表される米8月小売売上高を見極めたいとの雰囲気もあり、ドルの上げは一服した。午後は新規の手掛かり材料に乏しく、108.10円台を中心とした狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは1.1070ドルを挟んで小動きの展開となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

世界の金融緩和が本格化:ECBはマイナス金利深堀り

欧州中銀(ECB)は12日の理事会で2018年12月に打ち切った量的緩和(QE)の3年半ぶり再開とマイナス金利深堀りを決めた。マイナス金利は銀行が中央銀行に余剰資金を預ける際の金利を現在のマイナス0.4%からマイナス0.5%に引き下げる。
ECBのQE再開とマイナス金利深堀りは、米中貿易戦争の激化や英国「合意なきBrexit」を巡る先行き不透明感等を背景とした世界減速に歯止めをかける狙いがある。物価上昇率も2%目標を大幅に下回り低インフレ・低金利・低成長から脱出できない危機感がある。
米FRBも17-18日のFOMCでの追加利下げが確実視され、中国は預金準備率0.50%引き下げに動き、他の新興国にも追随緩和の動きが広がりつつあり再び世界的な金融緩和局面入りが旗幟鮮明となってきた。

 

早いトルコ中銀の利下げペース

トルコ中銀は昨日、政策金利を19.75%から16.50%に大幅に引き下げた。市場は17.25%への引き下げを予想していたが、市場予想を上回る利下げ幅となった。物価上昇率が縮小傾向で、金融緩和を進めて景気をテコ入れする好機だと判断したようだ。エルドアン大統領は8日の演説で『中銀は近く政策金利を一桁まで引き下げるだろう』と発言しており、『金融政策に介入するエルドアン大統領の意向が働いた可能性もある』という。なお、中銀は声明でリラ相場の安定に触れ『インフレ見通しは改善を続けている』『経済活動は緩やかな回復が続いている』と表明し、『一段の利下げの余地は小さい』と示唆した。市場では『今後はエルドアン大統領と市場との相反する要求の間で慎重な道筋を取る」と受け止められた。 為替市場ではトルコリラを買う動きが優勢となっている。

 

米国市場では8月小売売上高が公表

7月実績は前月比+0.7%で市場予想を上回った。幅広い品目で売上高が増加した。ただ、7月は一部通信販売における売り上げ増加の影響があった。8月については、複数の項目で売り上げは減少したとみられており、全体の売上高は小幅な伸びにとどまる可能性がある。

 

米国市場では9月ミシガン大学消費者信頼感指数が公表

参考となる同指数の確報値は89.8で速報値から下方修正された。ただ、8月のCB消費者信頼感指数は市場予想を上回る135.1となった。現況指数は177.2で2000年11月以来の高水準を記録しており、9月のミシガン大学消費者信頼感指数については、雇用や収入の増加が引き続き評価される可能性があることから、8月確報値を上回るとみられる。

 

欧米イベント

○15:00   8月独卸売物価指数(WPI)
○16:00   7月トルコ経常収支(予想:12.4億ドルの黒字)
○16:00   7月トルコ鉱工業生産(予想:前月比1.4%)
○16:30   4-6月期スウェーデン国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比▲0.1%)
○18:00   7月ユーロ圏貿易収支(季調済、予想:175億ユーロの黒字)
         ユーロ圏貿易収支(季調前、予想:174億ユーロの黒字)
○21:30   8月米輸入物価指数(予想:前月比▲0.4%)
○21:30   8月米小売売上高(予想:前月比0.2%/自動車を除く前月比0.1%)
○23:00   9月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:90.9)
○23:00   7月米企業在庫(予想:前月比0.3%)
○欧州連合(EU)非公式財務相理事会(ヘルシンキ、14日まで)
○中国(中秋節)、韓国(秋夕)、休場

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2019/09/12/15:14:57

日経平均株価:米中通商交渉の期待膨らみ買い優勢

米中両国が10月の閣僚級協議を前に通商交渉で譲歩する姿勢を示したことも投資家心理を好転させている。中国財政省は11日、中国が一部の米国製品を追加関税対象から除外すると発表した。トランプ米大統領も東京時間朝方、米政府が10月1日に予定していた一部中国製品への関税引き上げを10月15日に延期したと明らかにした。前日の米国株高や為替の円安を受け、朝方から買いが先行した。8月の急落後のショートカバーの域は出ないとの見方もあるが、徐々に外国人投資家の買いが入ってきているとの観測もあった。結局、前日比161円高の2万1759円と8日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:米中通商協議の進展期待からリスク選好の円売り

ドル/円は、トランプ大統領が中国製品に対する制裁関税の引き上げを先送りしたことを背景にドル買い・円売りが進んで108円台を回復した。日経平均株価の続伸で、リスク選好が高まったことも円売りを誘った。午後もこの流れは続き、一部メディアが『中国は10月初旬に予定されている貿易協議の前に、善意の印として米農産物輸入を検討中』と報じたことにも支えられて、一時108円17円付近まで上昇した。その後は、このところ一本調子の上昇が続いているため、利益確定売りや持ち高調整のドル売り・円買いに押されて、108.00円近辺へ小緩んだ。ユーロ/ドルは、ECB理事会やドラギECB総裁の記者会見を控えて、様子見ムードが広がり、1.10ドル台前半で方向感に欠く値動きとなった。

 

格付け会社ムーディーズの邦銀の格付け見直しリスク

8月末に邦銀の格付け評価を見直したムーディーズ・ジャパンの判断が銀行界に波紋を広げている。横浜銀行や福岡銀行など地銀12行に加え、最大手の三菱UFJ銀行も評価項目の一部が見直しの対象となったからだ。実際に評価が下がると、外貨の調達コストが上昇しかねない。超低金利による収益への逆風は当面弱まりそうもなく、邦銀に対する格付け会社の視線は厳しさを増している。

 

中国の自動車販売台数は28年ぶりに前年実績下回る

中国汽車工業協会は11日、8月の新車販売台数が前年同月比6.9%減の196万台だったと発表した。14カ月連続で前年実績を割り込んだ。中国経済の減速や米中貿易戦争の長期化を受け、購買意欲の落ち込みが続いている。中国政府は消費刺激策を打ち出しているものの、需要の拡大につながるか不透明感もある。
1~8月の累計販売台数は11%減の1610万台となった。中国の新車販売台数は2018年に28年ぶりに前年実績を下回り、19年もマイナスになる見通しのなか、どこまで落ち込みに歯止めをかけられるかが今後の焦点になる。

 

欧州市場では欧州中央銀行(ECB)定例理事会を開催

欧州中央銀行(ECB)はドイツ、フランクフルトで開催予定の定例理事会で利下げを含む緩和パッケージを発表する見込みとなっている。中銀預金金利を-0.10ポイント引き下げマイナス0.5%に設定し、各月300億ユーロペースでの資産購入する量的緩和(QE)を再開するほか、フォワードガイダンスなどを含むバズーカを発表すると見られている。利下げ幅は10ベーシスポイントがコンセンサスとなっているが、20ベーシスポイントと、一段と積極的な利下げ予想もある。また、QE再開に関しては各月300億ユーロ規模の資産購入予想が平均だが、QE再開の壁が高いことを考えると、各月200億ドル規模に留まるとの考えもある。

 

インドではルピー安で金の需要に陰りが

宝飾品用の金で最大需要国のインドに異変が起きている。景気が減速する一方、米国の利下げなどで国際価格が高騰した。現地通貨のルピー安も重なり、需要に陰りが出てきた。金の現物需給をみるうえで目安となるのが、ロンドンの地金価格(ロコ・ロンドン)とその国の現物価格との差である。本来、両者は連動するが、現物価格が国際価格より高ければ需給はタイトで、国際か価格より安ければ需給が緩いことを示す。金の国際調査機関、ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)によると、インドの現物価格は6月まで国際価格より1トロイオンスあたり1~2ドルほど安かった。しかし、価格差は7月下旬に約30ドル、8月中旬には65ドル超に拡大した。また、足もとでは50ドル前後と2016年夏以来ほぼ3年ぶりの大きさとなった。インドの現物需給の緩さを示している。WGCによると4~6月の個人向け消費量(宝飾品と地金やコインの合計)は213トンと前年同期より13%多かった。しかし、金融機関の貸し渋りなどで消費が減速し、7月以降はドル建て国際価格の高騰と通過ルピー安が需要を冷やした。更にインドは投資需要を分散させるため7月以降、金の輸入税を10%から12.5%に引き上げた。輸入コスト上昇は国内の金製品に転嫁されるのが一般的で、足もとでは消費の鈍化に拍車がかかる要因となっている。

 

米国市場では8月消費者物価コア指数を公表

7月実績は前月比+0.3%、前年同月比+2.2%となった。帰属家賃の上昇率は鈍化したが、医療費、衣類、中古車、家電用品・家庭向けサービス、航空運賃などの伸びが目立った。8月については複数の項目が7月実績を上回る伸び率となった可能性があり、全体の物価上昇率は7月実績をやや上回る可能性がある。

 

欧米イベント

○15:00   8月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比▲0.2%/前年比1.4%)
○15:30   8月スイス生産者輸入価格
○15:45   8月仏CPI改定値(予想:前月比0.5%/前年比1.1%)
○18:00   7月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比▲0.1%/前年比▲1.3%)
○20:00   トルコ中銀、政策金利発表(予想:17.25%に引き下げ)
○20:45   欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:0.00%に据え置き)
○21:00   7月インド鉱工業生産(予想:前年同月比2.3%)
○21:30   ドラギECB総裁、定例記者会見
○21:30   7月カナダ新築住宅価格指数(予想:前月比横ばい)
○21:30   8月米CPI(予想:前月比0.1%/前年比1.8%)
       エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比2.3%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.5万件/169.0万人)
○13日02:00   米財務省、30年債入札
○13日03:00   8月米月次財政収支(予想:1950億ドルの赤字)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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