FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2019/09/11/15:13:04

日経平均株価:米中通商摩擦懸念後退と円安を好感した買い

米中協議の進展期待や中国ファーウェイの米政府訴訟一部取り下げによる米中摩擦の懸念後退に円安を好感した自動車関連や金利上昇を受けた銀行株などバリュー(割安)株の買い戻しが相場を押し上げた。また、13日のメジャーSQ(特別清算指数)算出日を控えた取引が目立った。2万1500円近辺ではコールの建玉が残っていた。そのため、2万1500円を超えると、コールの売り手が先物を買って損失を埋めようとする動きが出た。後場では2万1500円を超えて安定してきたため、先物主導で上昇にスピード感が出た。結局、前営業日比205円高の2万1597円と7日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク選好の円売り活発

ドル/円は、米中通商交渉が進展するとの期待から、短期筋などのショートカバーが入り、107.70円付近まで上昇した。日経平均株価が2万1500円を回復したこともあり、リスク選好の円売りを誘った。午後もこの流れは続き、一部メディアが『中国が貿易戦争緩和に向けた措置を開始しする可能性がある』と報じると107.78円まで値を上げた。その後も『中国が対米報復関税の免除リストを公表』との報道で、さらにドル買い・円売りが進み107.85円付近まで値を上げた。ユーロ/ドルは、1.10ドル台半ばで方向感を欠く展開となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

19年の石油需要の伸びを下方修正:米ゴールドマンサックス

米ゴールドマン・サックスは9日付けのリポートで、2019年の石油需要の伸びは鈍化すると予測した。インドや日本、その他の経済協力開発機構(OECD)非加盟のアジア各国、中東、南米での需要減が要因となっている。ゴールドマンは19年の石油需要の伸びに関する見通しを日量110万バレルから100万バレルに下方修正した。一方、20年の需要の伸びは日量140万バレルで据え置いた。20年の北海ブレント価格見通しは1バレル=60ドルで維持した。市場シェアを犠牲にし、減産に取り組んでいる石油輸出国機構(OPEC)の産油国の意図に疑問を投げかける形。ゴールドマンのアナリストは、『20年の原油需給見通しを踏まえると、通常の在庫水準を維持するには、OPECの追加減産が求められる』と指摘した。

 

中国ではインフレとディスインフレが共存する難しい対応が必要

米中摩擦の激化で中国経済を巡る環境は厳しさが増すなか、当局は先月に『ステルス利下げ』に動いたものの、足下のインフレ高止まりを受けて本格的な利下げに動けない状況が続いている。8月のインフレ率も前年比+2.8%と食料品の物価昂進が押し上げ要因となる一方、コアインフレ率は同+1.5%に鈍化するなど景気減速に伴うディスインフレ懸念も共存する。雇用調整懸念がくすぶるなど、物価を取り巻く環境も一段と厳しさを増している。 川上の物価である生産者物価は前年比▲0.8%とマイナスで推移し、一見するとディスインフレ懸念に繋がりやすい。しかし、年明け以降の商品市況底入れにも拘らず企業は価格転嫁出来なかったため、足下の市況調整も物価動向に影響を与えにくい。他方、日用品など消費者段階に影響しやすい財価格は上昇が続く。当局が人民元安圧力を抑える姿勢を強める背景には、輸入物価の上振れへの警戒も影響しているとみられる。中銀は6日、16日付で全金融機関を対象に預金準備率を50bp引き下げ、来月以降は一部金融機関で累計100bp引き下げる決定を行った。金融市場はこの動きを好感しており、先月の金利改革を通じた追加緩和を期待する向きもみられる。しかし、足下の物価はインフレとディスインフレが共存する極めて難しい対応が迫られる状況にあり、当局は慎重姿勢を崩していないことを勘案すれば現時点で過度な期待は禁物と捉えられる。

 

ムーディーズは南アフリカの格付けを据え置き

米格付け会社ムーディーズは10日、投機的等級より1段階上としている南アフリカの格付けについて、財政リスクや経済改革を巡る政治的な制約は既に現在の格付けに反映されていると説明した。その上で、現行格付けを維持できるかどうかは経済改革のペースにかかっているとの見方を示した。ムーディーズの南アの格付けは『Baa3』で、見通しは安定的となった。3大格付け会社で唯一、投資適格級としている。先の格付け見直しの際には格下げが広く予想されていたが、最終的に格下げは見送られた。

同社は2019年の南アの経済成長率見通しを0.7%とし、6月時点の予想の1.0%から引き下げた。2020年の成長率予想は1.5%に据え置いた。同社は、南アの中期財政声明の発表後の11月に、南ア格付けの次回見直しを行う見通しとなっている。

 

トランプ政権から強硬派のボルトン大統領補佐官去る

トランプ米大統領が10日、ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)を解任したことで、米国の対北朝鮮政策が外交重視に戻るとの期待が出ている。北朝鮮は9日、停滞している米国と非核化協議を再開する用意があると表明した。また北朝鮮はこれまで、軍事力を行使して金正恩体制の転覆を図ることなどを提案し、同国に強硬な姿勢を取ってきたボルトン氏を『戦争狂』『人間のくず』などと、極端な表現で非難し続けてきた。複数の米政府高官によると、2月にベトナムのハノイで開催された2回目の米朝首脳会談が決裂したのも、ボルトン氏が原因だったという。
国際政治の専門家は、ボルトン氏が去ったのは米国が北朝鮮との交渉を再開する上でプラスに働く可能性があるとみている。ただ、北朝鮮に核兵器保有をあきらめさせるという米国の最終的な目的の達成が容易になるわけではないとくぎを刺す。

 

欧米イベント

○19:00   7-9月期南アフリカ経済研究所(BER)企業信頼感指数(予想:28)
○未定   ポーランド中銀、政策金利発表(予想:1.50%で据え置き)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:00   7月ブラジル小売売上高指数(予想:前年同月比2.0%)
○21:30   8月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比横ばい/前年比1.7%)
      食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比2.2%)
○21:30   4-6月期カナダ設備稼働率(予想:81.8%)
○23:00   7月米卸売売上高(予想:前月比0.2%)
○23:00   7月米卸売在庫(予想:前月比0.2%)
○23:30   EIA週間在庫統計
○12日02:00   米財務省、10年債入札

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/09/10/15:12:53

日経平均株価:円安が好感され全体的に確り

前日の米国株で主要株価指数が高安まちまちで小動きとなったものの、ドル/円が107円台半ばで推移するなど円安に振れたことが好感され、全体的にしっかりとなった。ただ、その後は高値警戒感から買い手控えとなり、前引けにかけて伸び悩んだ。一時上げ幅100円超へと広げた一方で、高値警戒感から個人投資家の利益確定売りが重石となり、結局、前日比73円高の2万1392円と6日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク選好の円売りで107円台キープ

ドル/円は、国内輸入企業のドル買い・円売りや日経平均株価の続伸に支えられて、一時107.50円まで上昇し、8月2日以来の高値を付けた。トランプ大統領が『来週にも中国と協議する』との見解を示したこともあり、リスク選好の円売りを誘った。その後は、上海総合株価指数のさえない動きを眺めた利食い売りなどに押され107.30円台へ小緩んだ。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、107.40円を挟んでもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは1.1045ドル前後で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国政府都合によりリスク回避の後退持続か

11-12日に香港で『一帯一路サミット』が開催される。続いて中国では、10月1日に中華人民共和国の建国70周年イベントも控えている。前週からはこうした行事も意識する形で、中国政府からは香港デモ鎮静化策や10月の米中貿易協議再開への協力、中国人民銀行による金融緩和といった政策努力が相次いできた。その意味で少なくとも10月1日までは、香港デモ混乱の鎮静や中国での景気刺激策、中国株や人民元の下落阻止強化、米中貿易対立の一時休戦といった『リスク回避の後退』が持続される可能性がある。

 

9~11月はドル/円が上昇しやすい:JPモルガン証券

JPモルガン証券は10日付けリポートで『過去半年間の日米金利差とドル/円の関係は、本邦投資家が為替リスクを取って米国債に投資していても、全体としては利益を得られていることを示唆している』とし、ドル/円相場の予想を上方修正した。四半期毎の予想は1ドル=107円で横ばいとするが、『105~109円をコアレンジと考え、短期的にはレンジの上限を試す可能性があると予想』した。それによれば、『ドル/円は過去半年間の相関が示唆する水準から切り上がり始めている。105円はレンジの下限との見方が広まっている可能性がある』としながら、『9月~11月はドル/円が上昇しやすい季節性がある。過去6年間、毎年ドル/円はこの3ヵ月間に上昇している』というアノマリーも踏まえつつ、『年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が10月に基本ポートフォリオを変更する予定となっている。2014年10月31日(1日でドル/円が3円上昇)の再来とはならないだろうが、円安方向に大きく動くことに対する警戒は高まるだろう』と指摘した。

 

OPECプラス会合が調整

12日に石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC主要産油国による『OPECプラス』会合が調整されている。原油減産の協調姿勢が再確認されると、原油相場の下支えと作用する。米国の物価低迷に対する歯止め要因となり、米長期金利の下げ渋りやドルの安定化要因となる。また、資源国通貨にプラスとなるほか、リスク選好の円安も支援される。

8日にはサウジアラビアでエネルギー相が交代したが、同国の政府当局者が『石油やOPECに関する政策に変更はない』発言し、9日の原油先物相場は上昇となっている。8日にはアラブ首長国連邦(UAE)のエネルギー産業相が、OPECの加盟国と非加盟産油国は『石油市場の需給均衡を達成する強い決意がある』と発言し、これまた原油相場の下支え要因になっている。

 

米国がトルコに対して制裁を検討

ムニューシン米財務長官は9日、トルコがロシアからミサイル防衛システム『S400』を購入したことに関連し、トルコに対し制裁を検討していると明らかにした。 ムニューシン長官は、『詳細な決定についてはコメントしないが、検討はしている』と記者団に述べた。 米国はトルコのS400購入を巡り、北大西洋条約機構(NATO)の防衛体制に相いれず、米最新鋭ステルス戦闘機『F35』にも驚異になるとして反対し、両国は対立している。ムニューシン長官の発言を受け、トルコのドル建て国債は下落(金利は上昇)した。

 

欧米イベント

○15:00   8月ノルウェーCPI(予想:前月比▲0.5%/前年比1.8%)
○15:45   7月仏鉱工業生産指数(予想:前月比0.5%)
○16:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○16:30   8月スウェーデンCPI(予想:前月比▲0.3%/前年比1.7%)
      コア指数(予想:前月比▲0.3%/前年比1.5%)
○17:30   8月英雇用統計(予想:失業保険申請件数推移3万件/失業率なし)
○17:30   5-7月英失業率(ILO方式、予想:3.9%)
○21:15   8月カナダ住宅着工件数(予想:21.50万件)
○21:30   7月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比2.3%)
○11日02:00   米財務省、3年債入札
○インド(イスラム教新年)、休場

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/09/09/15:15:10

日経平均株価:直近の懸念材料が和らいだことを好感

直近の懸念材料だった香港や英国の政治リスク、米中貿易摩擦への懸念などが和らぎ、終末もこれらが無難に通過したことで安心感が広がった。そのため、朝方の売りが一巡した後はやや上値を伸ばした。先週末はパウエル米FRB議長が討論会で追加利下げのシグナルと見なされるような発言をしたことや、8月雇用統計が米国の利下げを正当化する程度に軟調だったことなど、日本株の支援材料となった。結局、前営業日比118円高の2万1318円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:日本株高と中国株高に支えられ底堅い展開

ドル/円は、一部メディアが『米アップルと台湾のフォックスコンが、アイフォーンの生産を巡って中国の労働法に違反している』と報じたことを背景に、106.76円まで下落した。しかし、6日の8月米雇用統計発表後につけた安値106.63円が視野に入るとドルの下げは一服した。その後は日経平均株価の続伸や中国株高に支えられて、106.90円近辺まで値を戻した。午後は、株価動向をにらみながら、106.80円台を中心とした狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、1.10ドル台前半で方向感に欠く値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日本の需給ギャップ改善で物価上昇圧力がかかりやすい

内閣府は6日、日本経済の需要と供給のバランスを示す『需給ギャップ』が2019年4~6月期に0.6%のプラスになったと発表した。プラスは2四半期連続となった。需給ギャップのプラスは需要が供給を上回っていることを示し物価上昇圧力がかかりやすいとされる。 需給ギャップは国内総生産(GDP)統計から推計する。年率換算の金額でみると、3兆円程度の需要超過となった。

 

日本GDP2次速報値は3四半期連続のプラス成長

内閣府が本日発表した4-6月期実質国内総生産(GDP)2次速報値は、前期比0.3%増、年率換算で1.3%増だった。3四半期連続のプラス成長となったが、1次速報の前期比0.4%増、年率1.8%増から下方修正された。民間設備投資が前期比0.2%増と1 次速報の同1.5%増から下方改定されたことが響いた。内閣府は『内需がある程度押し上げて、外需が押し下げるという大きな形に変更はない』と総括した。内需と外需を寄与度でみると、内需はプラス0.6%と1次速報の0.7%から低下した。一方、外需はマイナス0.3%で1次速報は変わらなかった。

 

今週の注目点

今週は、欧州中央銀行(ECB)が定例理事会を予定している。また、米連邦公開市場委員会(FOMC)の金融政策を左右するインフレ指標として生産者物価指数(PPI)、消費者物価指数(CPI)や小売り売上高も発表が予定されており結果に注目が集まる。また、英国の欧州連合(EU)離脱や米中貿易協議の行方、香港情勢に引き続き注目が集まる。香港情勢は鎮静化する兆候は見られず、イベントリスクになりかねないほか、米中貿易協議にも影響を与える可能性も指摘されている。
米国経済の7割を消費が占めるため注目される小売売上高の8月分は前月比+0.2%と伸びはマイナスとなった2月来の低水準に鈍化すると見られている。一方、FOMCがインフレ動向を判断する上で特に注視しているCPIコア指数は前年比+2.3%と、ほぼ1年ぶりの高水準に回復する見込みで、予想通りにインフレが回復すると利下げの論拠を弱める。

 

南アランドは短期的上昇も中長期には買い材料は乏しい

先週発表された4-6月期の南ア国内総生産(GDP)が好結果だったことは、ZARを支える材料になっている。8月にZARは大きく売られたが、9月はZARが買い戻されるケースが多いこともあり、短期的にZARは支えられる可能性が高い。トルコなどの新興国でここ最近発表された経済指標が良かったことも、新興国通貨に対してある程度の利食い買いが出る要因となっている。しかし、中長期的にみるとZARを買い戻す材料は非常に少ない。30%近い高失業率の影響もあり、南ア国内では若年層(若年層にいたっては50%以上の失業率)が移民に対して暴動を繰り返している。これに対してナイジェリア政府がラマポーザ大統領にツイッターで抗議している。アフリカ国内でのもめごともZARにとってはネガティブ要因になりやすい。

 

欧米イベント


○15:00   7月独貿易収支(予想:174億ユーロの黒字)
○15:00   7月独経常収支(予想:164億ユーロの黒字)
○17:00   ブリハ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○17:30   7月英国内総生産(GDP、予想:前月比0.1%)
○17:30   7月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:96億ポンドの赤字/15億ポンドの赤字)
○17:30   7月英鉱工業生産指数(予想:前月比▲0.1%/前年比▲1.1%)
       製造業生産高(予想:前月比▲0.1%)
○20:00   8月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.02%)
○21:00   7月ブラジル小売売上高指数
○22:00   4-6月期ロシアGDP改定値(予想:前年比0.9%)
○10日04:00   7月米消費者信用残高(予想:160億ドル)

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/09/06/15:18:38

日経平均株価:米国株高と円安を好感した買い継続

米中貿易摩擦に対する懸念が和らぎ、前日の米国株が大幅高となった流れを引き継いだ。外国為替市場で1ドル=107円台まで円安が進んだことも輸出関連株の支えとなった。また、香港情勢、英国の欧州連合(EU)からの『合意なき離脱』リスクなど懸念材料が一旦後退したことも、投資家の心理的改善につながっている。結局、前営業日比113円高の2万1199円と4日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク選好のドル買い・円売り継続

ドル/円は、週末を控えた短期筋などの利食いに押され、106.92円付近まで下落した。東京市場では約1ヵ月ぶりに107円台に乗せたことで、国内輸出企業のドル売り・円買いも観測された。もっとも、前日に発表された米経済指標は総じて強い数字となり、米景気減速懸念が和らいでいることから、下値を追う動きは限られた。その後、日経平均株価の続伸に支えられ、107.10円近辺まで値を戻した。午後は日経平均株価や米長期金利の動向をにらみながら、小幅値を下げて107.00円を挟んでもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、持ち高調整などのユーロ買い・ドル売りが入り、1.1045ドル付近へじり高となった。

 

欧州市場では7月独鉱工業生産が公表

6月実績は前月比▲1.5%だった。また、7月のドイツ製図尾業PMIは43.2で6月実績の45.0を下回った。独製造業の生産活動はさえない状態が続いているが、一部セクターで底入れの兆しが出ていることから、7月は前月比で微増となる可能性がある。

 

ヘッジファンドがアルゼンチンへの投資で大損

ヘッジファンドのオートノミー・キャピタルは昨年、アルゼンチンの景気は回復に向かうと判断し、同国の国債はデフォルト(債務不履行)に陥らないことに賭けた。事情に詳しい関係者によると、アルゼンチンの100年債にも投資した。しかし、8月のアルゼンチン大統領選挙の予備選で、現職で親ビジネス派のマウリシオ・マクリ大統領が敗北すると、ファンドは8月に約10億ドル(約1070億円)を失う大きな痛手を被った。

 

米8月の非製造業部門は堅調推移

5日に発表された一連の米経済指標で、8月は非製造業部門の活動が活性化し、民間部門の雇用増のペースも加速していたことが分かった。通商を巡る緊張の高まりで金融市場ではリセッション(景気後退)入りの懸念が出ているが、米経済が緩やかなペースで拡大し続けたことが示唆された。 米供給管理協会(ISM)が5日発表した8月の非製造業総合指数(NMI)は56.4と、2016年8月以来の低水準だった7月の53.7から上昇した。通商面での懸念がくすぶる中、新規受注が2月以来の高水準となった。ISMは『関税措置のほか、地政学的な懸念は払拭されていない』としながらも、『企業は事業環境についておおむね前向き』とした。

 

米国市場では8月雇用統計が公表

市場エコノミストの平均予想は失業率が3.7%と、7月と同様ほぼ50年来の低水準を維持すると見られている。また、非農業部門雇用者数は前月比+16万人と、7月+16.4万人に続いて順調な伸びを示すと予想されている。平均時給も前月比+0.3%、前年比+3.0%と強いペースでの上昇が予想されている。 先行指標の中でも労働省が発表する雇用統計と相関関係が最も強いとされている民間の雇用統計となるADP雇用統計の8月分は前月比+19.5万人と、伸びは予想を上回り4月来で最大を記録した。一部では8月雇用統計へのポジティブサプライズ期待も浮上した。
一方で、雇用低迷を示唆する先行指標も見られる。関税や貿易の不透明、世界経済の成長鈍化が響き特に製造業の雇用減速は避けられない。全米の製造業景況を示すISM製造業景況指数の8月雇用は47.4だった。2カ月連続の低下で、2016年9月以降初めて50を割り込み縮小した。50は活動の拡大と縮小の境目を示す。また、ISMサービスセクターでの雇用はかろうじて50を上回り拡大を継続した。ただ、ISM非製造業の雇用は53.1と、2017年3月来で最低を記録した。米国経済は7割が消費が占めるため、同指数の低下で雇用の伸びが低迷する可能性も残る。ポジティブサプライズの可能性があるが、ネガティブサプライズに備える必要があるかもしれない。



欧米イベント

○15:00   7月独鉱工業生産(予想:前月比0.3%/前年同月比▲3.9%)
○15:45   7月仏貿易収支(予想:44.54億ユーロの赤字)
○15:45   7月仏経常収支
○18:00   4-6月期ユーロ圏域内総生産(GDP)確定値(予想:前期比0.2%/前年比1.1%)
○19:30   ロシア中銀、政策金利発表(予想:7.00%に引き下げ)
○21:00   8月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前月比0.11%)
○21:30   8月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化1.50万人/失業率5.7%)
○21:30   8月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化15.8万人/失業率3.7%/平均時給、前月比0.3%/前年比3.1%)
○23:00   8月カナダIvey購買部協会景気指数(予想:53.0)
○7日01:30   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、講演

 

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/09/05/15:12:32

日経平均株価:投資家心理の改善から全面高

前日の米国株式市場は主要3指数がそろって上昇したことで、朝方から先物主導で広範囲で物色され、投資家心理が回復した。好材料が続いたことから、これまで市場を取り巻いていた不安感が解消された。特に、中国と米国が10月初めにワシントンで通商協議を開催することで合意したと中国商務省が明らかにしたことが、買い材料視された。そのため、8月2日以来、約1ヵ月ぶりに2万1000円台を回復した。結局、前営業日比436円高の2万1085円と3日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:米中通商交渉の進展期待からドル買い

ドル/円は、国内輸入企業のドル買い・円売りや日経平均株価の大幅高に支えられて、106.50円付近までじり高となった。その後、一部メディアが『米中は10月にワシントンで通商協議を開催する』と報じた。この報道で、米中通商交渉の進展期待が高まると、短期筋などからショートカバーが持ち込まれ、106.75円付近まで上伸した。午後は、世界経済の減速に対する根強い懸念から、利益確定や戻り売り待ちのドル売り・円買いに押される展開となり、106.50円近辺まで下落した。しかし、今晩発表される8月ADP全米雇用レポートや8月ISM非製造業景況感指数を見極めたいとの雰囲気から、下値を追う動きは限られ、106.60円を挟んでもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは1.10ドル台前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

香港の抗議活動に対し中国政府の譲歩もここまで

香港の抗議活動のきっかけとなった逃亡犯条例改正案の撤回を認めた中国政府だが、普通選挙の実施などそれ以外の反対派の要求を受け入れる気配はない。エスカレートする運動を「『一国二制度』に挑戦する反政府活動」と位置付けており、今後はより強硬な姿勢で臨む可能性がある。中国外務省の副報道局長は4日の記者会見で「国務院香港マカオ事務弁公室が昨日、中国の見解を説明している」と、撤回への具体的なコメントを避けた。同弁公室の徐露穎報道官は3日の記者会見で香港政府への支持を重ねて表明。10月1日の建国70周年までの事態沈静化に向け、実害のない改正案撤回までは譲歩した格好となる。しかし、反対派が掲げる『五大要求』のうち、残る四つに習近平指導部が応じる可能性は低い。中国国旗を海に投げ捨てるなど破壊行為を無罪放免にすることはもちろん、1人1票の普通選挙を認めることは、国内的にもできない。

 

英下院は合意なきEU離脱阻止法案を可決

英議会下院は4日、10月31日に英国を合意なしで欧州連合(EU)から離脱させようとするジョンソン首相の動きを阻止する法案を可決した。また、10月15日の総選挙実施を求める首相の提案を否決した。これにより、英国のEU離脱を強行に進めようとする同首相は手を縛られる結果となり、問題の行方は合意なき離脱から離脱断念まで、先行きが読みにくい状況が続くことになる。下院は、3ヵ月の離脱延期を要請することを政府に強制する法案を可決した。野党・労働党のコービン党首は、同法案が上院でも承認され成立すれば早期の総選挙実施に同意すると表明した。上院での承認は9日になる可能性がある。ただ、同党首はジョンソン首相が選んだ選挙日程に同意するかどうかは明らかにしなかった。

 

6日のパウエルFRB議長の講演に注目が集まる

米連邦準備制度理事会(FRB)は8月12日前に集められた情報を基にした米地区連銀経済報告(ベージュブック)では、前回からさらに緩慢な成長が継続したことが報告された。関税や貿易に関しての懸念も強まるが、見通しは依然楽観的だった。 関税や貿易に関する文言は7月17日に公表された前回のベージュブックの54から62に増えた。個人消費指標は強弱まちまちで、賃金や物価の上昇ペースも緩慢と指摘された。全般的に『まちまち』『緩慢な伸び』が目立つ内容となった。米商務省が4日に発表した米国7月の貿易赤字が予想ほど縮小せずアトランタ連銀は第3四半期の国内総生産(GDP)見通しを従来の+1.7%から+1.5%へ下方修正した。実質個人消費支出が3%から2.8%、非居住投資が-1.7%から―2.4%へそれぞれ下方修正されたため。
FRB高官の意見が異なる中、6日に予定されているパウエルFRB議長の講演にさらに注目が集まる。

 

FRB内でも利下げの是非や利下げ幅で意見まとまらず

世界経済の減速などを背景に米連邦準備理事会(FRB)の追加利下げへの思惑が高まる中、複数のFRB当局者が4日、それぞれの講演で経済や金融政策に関する発言を行ったが、追加利下げの是非や利下げ幅を巡りFRB内で意見がまとまっていないことが浮き彫りになった。 FOMCを9月17-18日に控え、この日はFRB当局者が公の場で講演する最後の機会だった。FRB当局者は、通商政策を巡る不透明感が米企業に影響を及ぼしているという見解ではおおむね一致している。今後の利下げは、米個人消費動向をどのように捉えるかが左右するとみられる。ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、個人消費は『堅調』で、米経済は『好ましい状況』にあると指摘。ただ、講演後記者団に対して、個人消費が今後もこれまで同様に拡大するとは思わない、と語った。

 

欧米イベント

○14:45   4-6月期スイス国内総生産(GDP、予想:前期比0.2%/前年比0.9%)
○15:00   7月独製造業新規受注(予想:前月比▲1.5%/前年同月比▲4.2%)
○16:00   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○16:30   スウェーデン中銀、政策金利発表(予想:▲0.25%で据え置き)
○18:00   4-6月期南アフリカ経常収支(予想:1345億ランドの赤字)
○20:30   8月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:15   8月ADP全米雇用報告(予想:14.9万人)
○21:30   4-6月期米非農業部門労働生産性・改定値(予想:前期比2.2%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.5万件/168.5万人)
○22:00   8月ロシア消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.2%)
○22:45   8月米サービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値(予想:50.9)
○22:45   8月米総合PMI改定値
○23:00   7月米製造業新規受注(予想:前月比1.0%)
○23:00   8月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:54.0)
○23:30   テンレイロ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○24:00   EIA週間在庫統計
○米財務省3年、10年、30年債入札条件
○日ロ首脳会談(ロシア・ウラジオストク)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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